ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C25D |
---|---|
管理番号 | 1130876 |
異議申立番号 | 異議2003-73547 |
総通号数 | 75 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-02-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-25 |
確定日 | 2006-01-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3460401号「電解メッキ装置および方法」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3460401号の請求項1ないし8に係る特許を取り消す。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許第3460401号(以下「本件特許」という。)は、平成7年8月14日に特許出願されたものであって、平成15年8月15日に請求項1〜8に係る発明について特許権の設定登録がなされた後、平成15年12月25日に特許異議申立人:中田美代子より、その請求項1〜8に係る特許について特許異議の申立がなされ、平成17年4月13日付けで特許取消理由の通知がなされ、これに対して平成17年6月13日付けで特許権者より特許異議意見書及び訂正請求書の提出がなされ、平成17年7月22日付けで訂正拒絶理由の通知がなされたところ、これに対して所要の応答がなされなかったものである。 II.本件発明 上記平成17年7月22日付け訂正拒絶理由通知書で通知した理由により、平成17年6月13日付け訂正請求書による訂正は認められず、したがって、本件特許の発明は、特許権設定登録時の願書に添付した明細書及び図面(以下「特許明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定される以下のものと認める。(以下「本件発明1」〜「本件発明8」という。) 「【請求項1】給電電極を接続した被メッキ面を陽極に対向させて電解メッキを行う装置において、 一つの接続位置が被メッキ面の周縁部にあり、被メッキ面の中心を挟んで反対側の周縁部に該一つの接続位置と対を成す他の接続位置があるように給電電極を配置し、前記一対の接続位置のそれぞれに接続された給電配線を備えることを特徴とする電解メッキ装置。 【請求項2】被メッキ面の中心を挟んで互いに反対側にある給電電極の対を1対または複数対配置したことを特徴とする請求項1記載の電解メッキ装置。 【請求項3】上記被メッキ面の周縁部上で隣接する接続位置の間隔が全て等しくなるように給電電極を配置したことを特徴とする請求項2記載の電解メッキ装置。 【請求項4】給電電極を被メッキ面の周縁部全体に環状に連続配置したことを特徴とする請求項1記載の電解メッキ装置。 【請求項5】筒状メッキセルの上端を閉塞する基板保持具の下面に、上記基板を上記被メッキ面を下向きにして取り付け、該セル内の該基板下方に配した上記陽極の貫通孔から上記被メッキ面にメッキ液を噴流させてメッキを行うことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の電解メッキ装置。 【請求項6】メッキ浴内に被メッキ面と陽極とを平行に直立させて設けたことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の電解メッキ装置。 【請求項7】請求項1から6までのいずれか1項に記載の電解メッキ装置を用いることを特徴とする電解メッキ方法。 【請求項8】前記給電電極はどの接続位置についても被メッキ面の中心を挟んで反対側に他の接続位置があるように配置されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載の電気メッキ装置。」 III.取消理由 一方、上記通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 「本件特許の請求項1〜8に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記引用例 1〜4 に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 記 引用例1:特開平7-18499号公報(異議申立の甲第1号証) 引用例2:米国特許第5227041号明細書(同上、甲第2号証) 引用例3:特開平2-61089号公報(同上、甲第3号証) 引用例4:特開平6-49693号公報(同上、甲第4号証)」 IV.引用例の記載事項 引用例1〜4には、以下の事項の記載がある。 (1)引用例1(特開平7-18499号公報:甲第1号証) (1-1)「図1は、この発明の一実施例による電解メッキ装置の電極構造を示す図であり、図1(a) はその斜視図、図1(b) は、その電極構造を被メッキ物側からみた図、図1(c) は図1(b) のIc-Ic断面における断面図である。図において、1は直径3インチの円形の被メッキ物(ここではウエハを示す)であり・・。2aは・・環状電極部、12は・・電極の先端部、2bは・・環状電極部2aの引き出し部、3は・・レジスト非被覆部、4は・・電源である。 本実施例1の電解メッキ装置は、その電極構造、即ち電極2の構成を、円形のウエハ1の外縁部より内側の環状の位置に対応するよう、環状に形成された環状電極部2aと、該環状電極部2aの上端位置の4箇所にて、これに固定接続された4本の棒状電極引き出し部2bとを有する構成としたものであり」(段落【0018】〜【0019】) (1-2)「実施例2.図2は、この発明の第2の実施例によるメッキ装置の電極構造を示す斜視図である。・・・ 図2において、図1と同一符号は同一または相当部分を示し、14はPt等からなり、その表面をテフロンでコーティングした、直径1mmの棒状の電極である。本実施例2では、レジスト非被覆部3を、ウエハ1上の外周の8箇所の位置の、棒状の電極14を当接させようとする箇所に、各々9mm2以下の面積にて形成している。本実施例2では、レジスト非被覆部3を、ウエハ1上の外周の8箇所の位置の、棒状の電極14を当接させようとする箇所に・・形成している。」(段落【0023】) (1-3)「図11の従来例と同様に、棒状の電極14を載置したウエハ1を硫酸銅等のメッキ液17に浸し、電源4から棒状の電極14およびレジスト非被覆部3を介してウエハ1に電流を供給してウエハ1上にメッキを成長させる。」(段落【0025】) (1-4)「本実施例2による電解メッキ装置では、電極としてウエハ1の外周に沿って8本の棒状の電極14を設けて、電極とウエハとの接触面積を大きくしたので、上記実施例1と同様に、ウエハ1上に均一性の高い厚さのメッキを成長させることができる効果が得られる。」(段落【0026】) (2)引用例2(米国特許第5227041号明細書:甲第2号証(訳)) (2-1)「電気メッキ工程は次のステップを含む。電気メッキされるべき対象物はカソード電極として作用するメッキ装置に取り付けられる。メッキ装置はその後電解液に浸漬される。それから電解液に直流が供給されて、アノードで正電荷メタルイオンが溶解される。それからイオンはカソードに移動し、カソードに取り付けられた対象物をメッキする。」(第1欄第20〜29行) (2-2)「図4はセントラルアパーチュア周辺部34と電気接点36を示す平面図である。また、外周で電気接点36と物理的に接触するウエハ24が描かれている。」(第3欄第25〜28行) (2-3)「コンダクタ84はポスト86を通ってハンドル33中に配置される。・・当該コンダクタは、電気接点群36に連結されている。」(第4欄第8〜11行) (2-4)「本発明のドライコンタクト電気メッキ装置は、また、電気接点が対象物の両サイドで対象になるように対象物の面に結合されるので、先行技術より改良されている。この改良は電気メッキされる対象物にかかる電界の均一性と品質を向上させる。」(第4欄第29〜35行) (3)引用例3(特開平2-61089号公報:甲第3号証) (3-1)「電気めっきの方式としては、浸漬方式が最も一般的に用いられてきた。たとえば、第7図に示すように、めっき液5を容れためっき槽5a内に、第6図(A)の状態のウエハ1をカソードとして浸漬し、これと対向するアノード4との間で電析反応させる。」(第1頁右下欄第18行〜第2頁左上欄第4行) (3-2)「第1図に、本発明にしたがっためっき装置の一例を示す。 ウエハ1は図示していないローダによりめっきセル10に液めっき面を多孔ノズル11に対向するようにローディングされる。ウエハ1はローディング後、キャップ12により裏面をバックアップされ、シャワー圧に対して保護される。セルは気密チャンバ13上に配置され、キャップでウエハ1をクランプすることにより、シャワーブース14内が密閉される。」(第3頁左上欄第2〜11行) (4)引用例4(特開平6-49693号公報:甲第4号証) (4-1)「図9は従来例1の断面図、図10は従来例2の断面図である。図9において、被めっき板としての半導体ウェハ1の表面は、噴流カップ90の3個のピン91に支持され、裏面の導電膜がばね作用のある陰極電極92に押し付けられて接触する。めっき液2は、ポンプ3から噴流カップ90に導かれて多数の小穴93aを持つ陽極電極93を通過し、半導体ウェハ1がめっきされる。」(段落【0002】) (4-2)「図10に示す従来例2において、めっき室100内の陽極板101に対向する座板102に押し当てられる半導体ウェハ1は、先端が針状にとがった陰極電極103で固定と電気的接触が行われる。」 (4-3)「前記従来例1によれば、半導体ウェハ1と陰極電極92との電気的接触は良好である。しかし、めっき液2は半導体ウェハ1に垂直に接近するため、半導体ウェハ1の表面の中央部のめっき液流速は大きくなく、めっき液中の泡や、電流密度が高いときによくおきる電気分解による水素泡が滞留し、付着する。」(段落【0004】) V.対比・判断 本件発明1〜8と、引用例1〜4に記載されたものとを対比すると、上記平成17年4月13日付け取消理由通知書の「III.対比・判断」の欄に記載したとおり、本件発明1〜8は、引用例1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明である。 VI.むすび 以上のとおりであるから、本件発明1〜8は引用例1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明であって、特許法第29条第2項の規定に違反して特許を受けたものである。 したがって、本件発明1〜8に係る特許は、特許法第113条第1項第2号に該当し、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2005-11-16 |
出願番号 | 特願平7-206923 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZB
(C25D)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 鈴木 正紀 |
特許庁審判長 |
池田 正人 |
特許庁審判官 |
大嶋 洋一 日比野 隆治 |
登録日 | 2003-08-15 |
登録番号 | 特許第3460401号(P3460401) |
権利者 | 株式会社デンソー |
発明の名称 | 電解メッキ装置および方法 |
代理人 | 西山 雅也 |
代理人 | 石田 敬 |