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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1132384
審判番号 不服2004-14738  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-01-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-15 
確定日 2006-03-09 
事件の表示 平成7年特許願第147812号「半導体装置及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成9年1月10日出願公開、特開平9-8079〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成7年6月14日の出願であって、平成16年3月17日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成16年5月24日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成16年6月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年8月16日付けで手続補正がなされたものである。

【2】補正却下の決定
[結論]
平成16年8月16日付けの手続補正(以下、この段落中で「本件補正」という)を却下する。

[理由]
特許請求の範囲の補正について、
請求項1又は2の何れか一項を引用する請求項3において、「キャリア基板は、(前記)半導体チップを内包する凹形状に形成されてなる」ものにあって、「個々の(該)接合手段の間及び、該接合手段が形成されている位置よりも外縁部の実装基板とキャリア基板との間には樹脂が配設されている」形態の実施例は、出願当初の明細書又は図面のどこにも記載されておらず、かつそれらの記載から自明なものでもない。
したがって、この補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められない。
よって、本件補正は、特許法第17条第2項を準用する同法第17条の2第2項の規定に違反しているから、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

【3】この出願の発明
本願については、前記【2】段落で述べたとおり平成16年8月16日付けの手続補正を却下したから、その請求項に係る発明は、平成16年5月24日付けの手続補正書により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1〜8に記載されたとおりのものである。
そして、その【請求項1】に記載された発明(以下、「本願発明」という)は、「実装基板に電気的接続を行って実装する実装手段が形成される半導体チップと、所定種類の該半導体チップを、該実装手段が形成された反対面で所定数搭載すると共に、接合手段が該半導体チップ周辺の該半導体チップ搭載面に所定数形成されたキャリア基板とを有し、該実装手段は該実装基板に固着され、該接合手段は該実装基板に熱圧着または溶接されていることを特徴とする半導体装置。」である。

【4】原審の拒絶理由
原審における拒絶理由の概要は、
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-8
・引用文献等 1-2
・備考 ウエハを切断分離してチップとし、検査等をした後に、実装することは通常行われる工程である。
引 用 文 献 等 一 覧
1.特開平5-235098号公報
2.特開昭63-95637号公報(以下、「引用例」という)」である。

【5】引用例(特開昭63-95637号公報)の記載
第1頁右下欄第20行〜第2頁左上欄第2行に、
(引a)「本発明は、超大型コンピユータ用CPUの論理LSIの高密度実装に使用するパツケージ構造に関する」と記載され、
第2頁右下欄第11〜16行に、
(引b)「ムライト板(キヤリア基板16としては同一材でなくても低誘電率で熱膨張係数がムライト多層回路基板に近いガラスセラミツク基板であつても良い)を用いたキヤリア基板16に8mm□のSiチツプ14を高温のPb-5%Snはんだ4(融点300℃)でフリツプチツプ接続し」と記載され、
第4頁左下欄第17〜20行に、
(引c)「第9図はチツプを樹脂封止しない構造に適用した例である。チツプ裏面は高熱伝導,低膨張のAlN,SiC,Cu-C等のキヤツプ20にはんだ付3し、キヤリア基板は前述と同様である」と記載されている。
また、第7頁第9図に、
(引d)「キャリア基板16に電気的接続を行ってはんだ4でフリップチップ接続するSiチップ14と、論理LSIの該Siチップを、前記フリップチップ接続した面と反対のチップ裏面で一個はんだ付3すると共に、前記Siチップを内包する凹形状に形成されたキャップ20とを有し、前記はんだ4は前記キャリア基板に固着され、前記キャップはその周端縁で前記キャリア基板にはんだ39付けで接合されているパッケージ構造」が記載されている。

【6】当審の判断
[1]引用例開示の発明
引用例はチップキャリアのパッケージ構造を前提としているから、前記(引a)〜(引d)において使用されている用語は、当業者が通常パッケージに関して使用する用語とは表現上相違している。
しかし、前記【5】段落に記載された内容を客観的に半導体装置として解釈すると、
1.キャリア基板16は、Siチップ14がフリップチップ状態で実装されている基板であるから、これは実装基板であるといえる。
2.Siチップ14は、論理LSIのチップであり、これは半導体チップである。
3.半導体チップの実装面と反対の面(チップ裏面)は、キャップ20の凹部の内部平面にはんだ3でダイボンディング(搭載)されている。
4.凹形状のキャップ20の側壁部は、一個の一体的な接合手段であって、これはキャップ平面部とも一体化されており、これが全体として半導体チップを内包している。
5.はんだ4は、半導体チップの実装基板であるキャリア基板16に該半導体チップを実装する実装手段である。
以上のことから、引用例には、
「実装基板16に電気的接続を行って実装する実装手段4と、半導体チップ14と、論理LSIの該半導体チップ14を、フリップチップ実装された面と反対面で一個搭載すると共に、接合手段が該半導体チップ周辺の該半導体チップ搭載面に一個一体的に形成されたキャップ20とを有し、該実装手段4は該実装基板16に固着され、該接合手段は該実装基板16にはんだ39付けで接合されていることを特徴とする半導体装置」の発明(以下、「引用発明」という)が開示されている。

[2]本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「論理LSI」,「一個」,「一個一体的に形成」,「キャップ」は、
本願発明の「所定種類」,「所定数」,「所定数形成」,「キャリア基板」にそれぞれ相当する。
したがって、両者は、
「実装基板に電気的接続を行って実装する実装手段と、半導体チップと、所定種類の該半導体チップを、フリップチップ実装された面と反対面で所定数搭載すると共に、接合手段が該半導体チップ周辺の該半導体チップ搭載面に所定数形成されたキャリア基板とを有し、該実装手段は該実装基板に固着され、該接合手段は該実装基板に接合されていることを特徴とする半導体装置」であることで一致し、
一方、本願発明においては「実装手段が半導体チップに形成される」のに対して、引用発明では「実装手段が形成される対象物」が明確でない点(相違点1)、および、本願発明においては「接合手段は実装基板に熱圧着または溶接されている」のに対して、引用発明では「接合手段は実装基板にはんだ付けされている」点(相違点2)で相違している。

[3]相違点の検討
1.相違点1について、
本願明細書の段落【0019】に、半導体チップに形成される実装手段としてのバンプは金や半田であってよいことが記載されている。
そして、半導体チップにバンプ付けしてフリップチップ実装することは周知の技術である。
してみると、引用発明の実装手段4(はんだ)を半導体チップに形成することは、当業者が適宜に採用できたものといえる。
2.相違点2について、
引用発明で、接合手段は実装基板にはんだ付けされている。
ところで、はんだ付けは、はんだを溶融させて接合する手法であることを考慮すれば、この「はんだ付け」を溶接に変更する程度の事項は、当業者が容易に想到できたものと認められる。

【7】むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-12-20 
結審通知日 2006-01-10 
審決日 2006-01-24 
出願番号 特願平7-147812
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 561- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 永一  
特許庁審判長 池田 正人
特許庁審判官 大嶋 洋一
川真田 秀男
発明の名称 半導体装置及びその製造方法  
代理人 伊東 忠彦  

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