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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  B41J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B41J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B41J
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B41J
審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
管理番号 1132578
異議申立番号 異議2003-73317  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-07-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-24 
確定日 2006-01-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3452247号「プリンタ、プリンタの制御方法およびプログラムを記録した記録媒体」の請求項1ないし15に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3452247号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願からの主立った経緯を箇条書きにすると次のとおりである。
・平成11年12月28日 特許権者により本件出願(特願平11-375819)
・平成15年7月18日 特許第3452247号として設定登録(請求項1〜15)
・同年12月24日 小牧常松より請求項1〜15に係る特許に対して特許異議申立
・平成16年3月29日 特許異議申立人より手続補正書(理由補充)提出
・平成17年1月26日付け 当審にて取消理由を通知
・同年4月5日 特許権者より特許異議意見書及び訂正請求書提出

第2 訂正の許否の判断
1.訂正内容
平成17年4月5日付けの訂正請求は以下の訂正事項から成っている(下線部が訂正箇所)。
[訂正事項1]【請求項1】を、「ネットワークを介してホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段を備えたプリンタであって、
前記ホスト装置からジョブ管理情報を含む下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する第1の受付手段と、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈手段と、
前記解釈手段により生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行手段と、
前記抽出手段により抽出したジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを管理するジョブ管理手段と、
を備え、
前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタ。」と訂正する。
[訂正事項2]【請求項6】を、「ネットワークを介してホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段を備えたプリンタの制御方法であって、
前記ホスト装置からジョブ管理情報を含む下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する受付ステップと、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出ステップと、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈ステップと、
前記解釈ステップにより生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行ステップと、を備え、
前記抽出ステップを実行することにより抽出される前記ジョブ管理情報に基づいて前記プリントジョブデータを管理する管理ステップをさらに備え、
前記抽出ステップは、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタの制御方法。」と訂正する。
[訂正事項3]【請求項11】を、「ネットワークを介してホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段を備えたプリンタに所定の機能を実現させるプログラムを記録した記録媒体であって、
前記プログラムは、前記ホスト装置からジョブ管理情報を含む下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する機能と、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する機能と、
前記生成されたビットマップデータに基づいて印刷記録媒体に対する印刷を行う印刷実行手段を制御する機能と、
前記抽出されたジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを管理する機能とを、前記プリンタに実現させることを特徴とし、
前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプログラムを記録した記録媒体。」と訂正する。
[訂正事項4]【請求項15】を、「ホスト装置とプリンタとを備えたプリントシステムであって、
前記ホスト装置は、所定の入力要求画面を表示させて、ユーザから所定のジョブ管理情報を受け付けるユーザインターフェース手段と、
前記受け付けたジョブ管理情報および印刷対象であるアプリケーションデータに基づいて、プリントジョブデータを生成する生成手段と、
前記生成したプリントジョブデータを下位層プロトコルデータに変換して前記プリンタに送る第1の送信手段と、
前記プリンタに対してジョブ管理要求を送信する第2の送信手段と、を備え、
前記プリンタは、前記ホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段と、
前記ホスト装置から下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する第1の受付手段と、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈手段と、
前記解釈手段により生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行手段と、
前記ジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを管理するジョブ管理手段と、を備え、
前記ジョブ管理手段は、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付けて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とし、
前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするするプリントシステム。」と訂正する。
[訂正事項5]明細書の段落【0010】の「ジョブ管理手段と、を備えたことを特徴とするプリンタである。」との記載を「ジョブ管理手段と、を備え、前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタである。」と訂正する。
[訂正事項6]明細書の段落【0013】の「管理ステップを備えたことを特徴とするプリンタの制御方法である。」との記載を「管理ステップを備えたことを特徴とし、前記抽出ステップは、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタの制御方法である。」と訂正する。
[訂正事項7]明細書の段落【0016】の「管理する機能と、を備えたことを特徴とするプログラムを記録した記録媒体であってもよい。」との記載を「管理する機能と、を備え、前記抽出機能は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出する機能であることを特徴とするプログラムを記録した記録媒体であってもよい。」と訂正する。
[訂正事項8]明細書の段落【0019】の「前記ジョブ管理手段は、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付けて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とする。」との記載に続けて「前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とする。」との記載を追加する。

2.訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1〜4は、請求項1,6,11及び15(並びに請求項1,6及び11を引用する請求項)における「ジョブ管理情報」が「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」である旨限定することを目的とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。訂正事項5〜8は、請求項1,6,11及び15に対応した段落【0010】、【0013】、【0016】及び【0019】において、訂正事項1〜4と実質的に同内容の訂正を行うものであるから、訂正事項1〜4に付随した訂正であり、その目的についても訂正事項1〜4と異ならない。
「ジョブ管理情報」が「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」であることは、願書に添付した明細書・図面の「ジョブ受信部71は、プリントジョブデータの先頭部分を解釈するため、例えば、プリントジョブデータを1行(例えば[LF]まで)読み込む(STEP802)。ジョブ受信部71は、読み込んだ行が移行コマンドであるか否かを判断し(STEP803)、移行コマンドでないと判断する場合には、さらに、付加情報であるか否かを判断する(STEP804)。STEP804において、付加情報、つまりプリンタドライバ13が付加したコメント行であると判断する場合には、その付加情報を抽出し、これをバッファに出力する(STEP805)。」(段落【0037】)並びに【図6】及び【図8】に記載されている事項であるから、新規事項の追加には当たらない。
また、「ジョブ管理情報」が「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」である旨限定することによって、特許請求の範囲が拡張又は変更したということもできない。
したがって、訂正事項1〜8は、平成15年改正前特許法120条の4第2項並びに同条3項で準用する同法126条2項及び3項の規定に適合する。

3.訂正の許否の判断の結論
以上のとおりであるから、平成17年4月5日付け訂正請求による訂正を認める。

第3 特許異議申立についての判断
1.本件発明の認定
訂正が認められるから、本件の請求項1〜15に係る発明(以下、請求項番号に応じて本件発明1〜15という。)は、訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲【請求項1】〜【請求項15】に記載された事項によって特定されるものであり、【請求項1】〜【請求項15】の記載は次のとおりである。
【請求項1】ネットワークを介してホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段を備えたプリンタであって、
前記ホスト装置からジョブ管理情報を含む下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する第1の受付手段と、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈手段と、
前記解釈手段により生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行手段と、
前記抽出手段により抽出したジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを管理するジョブ管理手段と、
を備え、
前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】前記プリンタは、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付ける第2の受付手段をさらに備え、前記ジョブ管理手段は、前記ジョブ管理情報に基づいて、前記ジョブ管理要求に対応する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに関するジョブの状態を問い合わせるものであり、前記ジョブ管理手段は、前記プリントジョブデータが前記第1の受付手段により受け付けられ、前記記憶手段に出力中の状態、前記記憶手段に記憶された状態または前記記憶手段から読み出された状態などを前記ジョブの状態として前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに基づくジョブキャンセルに関するものであり、前記ジョブ管理手段は、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを削除することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項5】前記第2の受付手段は、前記プリントジョブデータの通信とは異なる所定のプロトコルで前記ジョブ管理要求を受け付け、前記ジョブ管理手段は、前記所定のプロトコルで前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項6】ネットワークを介してホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段を備えたプリンタの制御方法であって、
前記ホスト装置からジョブ管理情報を含む下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する受付ステップと、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出ステップと、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈ステップと、
前記解釈ステップにより生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行ステップと、を備え、
前記抽出ステップを実行することにより抽出される前記ジョブ管理情報に基づいて前記プリントジョブデータを管理する管理ステップをさらに備え、
前記抽出ステップは、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項7】前記管理ステップは、前記ホスト装置から送られる、ジョブ管理要求を受け付けるステップと、前記ジョブ管理情報に基づいて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送るステップとを含むことを特徴とする請求項6記載のプリンタの制御方法。
【請求項8】前記管理ステップは、前記プリントジョブデータが前記受付ステップにより受け付けられ、前記記憶手段に出力中の状態、前記記憶手段に記憶された状態または前記記憶手段から読み出された状態などをジョブの状態として前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項7記載のプリンタの制御方法。
【請求項9】前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに基づくジョブキャンセルに関するものであり、前記管理ステップは、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを削除することを特徴とする請求項7記載のプリンタの制御方法。
【請求項10】前記ジョブ管理要求を、前記プリントジョブデータの通信とは異なる所定のプロトコルで受け付けるとともに、前記ジョブ管理要求に対する応答を、前記所定のプロトコルで前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のプリンタの制御方法。
【請求項11】ネットワークを介してホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段を備えたプリンタに所定の機能を実現させるプログラムを記録した記録媒体であって、
前記プログラムは、前記ホスト装置からジョブ管理情報を含む下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する機能と、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する機能と、
前記生成されたビットマップデータに基づいて印刷記録媒体に対する印刷を行う印刷実行手段を制御する機能と、
前記抽出されたジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを管理する機能とを、前記プリンタに実現させることを特徴とし、
前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプログラムを記録した記録媒体。
【請求項12】前記プログラムは、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付ける第2の受付機能と、前記ジョブ管理情報に基づいて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送る機能とを、前記プリンタに実現させることを特徴とする請求項11記載の記録媒体。
【請求項13】前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに関するジョブの状態を問い合わせるものであり、前記プログラムは、前記プリントジョブデータが受け付けられ、前記記憶手段に出力中の状態、前記記憶手段に記憶された状態または前記記憶手段から読み出された状態などを前記ジョブの状態として前記ホスト装置に送る機能を前記プリンタに実現させることを特徴とする請求項12記載の記録媒体。
【請求項14】前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに基づくジョブキャンセルに関するものであり、前記プログラムは、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを削除することを前記プリンタに実現させることを特徴とする請求項12記載の記録媒体。
【請求項15】ホスト装置とプリンタとを備えたプリントシステムであって、
前記ホスト装置は、所定の入力要求画面を表示させて、ユーザから所定のジョブ管理情報を受け付けるユーザインターフェース手段と、
前記受け付けたジョブ管理情報および印刷対象であるアプリケーションデータに基づいて、プリントジョブデータを生成する生成手段と、
前記生成したプリントジョブデータを下位層プロトコルデータに変換して前記プリンタに送る第1の送信手段と、
前記プリンタに対してジョブ管理要求を送信する第2の送信手段と、を備え、
前記プリンタは、前記ホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段と、
前記ホスト装置から下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する第1の受付手段と、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈手段と、
前記解釈手段により生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行手段と、
前記ジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを管理するジョブ管理手段と、を備え、
前記ジョブ管理手段は、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付けて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とし、
前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするするプリントシステム。

2.特許異議申立理由
特許異議申立人の主張する取消理由は次のとおりである。
取消理由1:発明の詳細な説明は、本件発明1,6,11,15を当業者が実施できる程度に記載されておらず(平成14年改正前特許法36条4項違反)、請求項1,6,11,15の記載は不明瞭である(特許法36条6項2号違反)から、請求項1,6,11,15に係る特許は、平成14年改正前特許法113条4号の規定により取り消されるべきである。
取消理由2:本件発明1〜15は、欧州特許出願公開第0923024号明細書(1999)(特許異議申立人の提出した甲第1号証。以下「甲1」と略記する。)に記載された発明であるか、同発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜15に係る特許は特許法29条1項又は2項の規定に違反してされたものとして、平成15年改正前特許法113条2号の規定により取り消されるべきである。
取消理由3:本件発明1〜4,6〜9,11〜14は、特開平7-141132号公報(特許異議申立人の提出した甲第2号証。以下「甲2」と略記する。)に記載された発明であるか、同発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜4,6〜9,11〜14に係る特許は特許法29条1項又は2項の規定に違反してされたものとして、平成15年改正前特許法113条2号の規定により取り消されるべきである。
取消理由4:本件発明1〜15は、本件出願の日前に出願され本件出願後に出願公開された特願平10-317549号(以下「先願」という。異議申立人の提出した甲第3号証(特開2000-135820号公報であり、以下「甲3」と略記する。)はその公開公報である。)の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明(以下「先願発明」という。)と同一であり、先願発明の発明者は当該本件発明1〜15の発明者と同一の者ではなく、本件出願時において本件出願の出願人と先願の出願人も同一でないから、請求項1〜15に係る特許は特許法29条の2の規定に違反してされたものとして、平成15年改正前特許法113条2号の規定により取り消されるべきである。

3.取消理由1についての判断
(1)特許異議申立人は、請求項1記載の「前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段」(請求項6,11,15記載の「抽出ステップ」及び「抽出手段」も同様)は、下位層プロトコルデータから上位層プロトコルデータへの変換の過程において得られる何らかのデータからジョブ管理情報を抽出する構成が含まれるが、発明の詳細な説明に記載の実施例(プロトコルプログラムがLPDの場合であり、特に段落【0037】及び【図8】)では、上位層プロトコルデータへ変換された後のデータに対して抽出処理が実行されると主張している。
本件発明1は「前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段」(本件発明6,11,15も同様。以下これらを総称して、「本件発明群1」ということがある。)を発明特定事項としているから、本件発明群1が上位層プロトコルデータへ変換された後のデータに対して抽出処理を実行する手段やステップを排除していることは、文言上明らかである。
本件発明群1は、抽出処理が下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において行われる旨限定しているが、同過程において下位層プロトコルデータの解釈を行わない旨限定しているわけではない。特許明細書に添付された【図6】(添付図面は訂正されていない。)は「プリントジョブデータのデータ構造の一例を示す図」(段落【0033】)であり、同図には「移行コマンド」の手前に「EJLジョブ情報」(本件発明群1の「ジョブ管理情報」に該当する。)が記憶されることが図示されている。
訂正明細書には「ジョブ受信部71は、プリントジョブデータの先頭部分を解釈するため、例えば、プリントジョブデータを1行(例えば[LF]まで)読み込む(STEP802)。ジョブ受信部71は、読み込んだ行が移行コマンドであるか否かを判断し(STEP803)、移行コマンドでないと判断する場合には、さらに、付加情報であるか否かを判断する(STEP804)。」(段落【0037】)との記載があり、先頭部分の解釈段階では、未だ下位層プロトコルデータは上位層プロトコルデータに変換され終わっておらず、先頭部分の解釈終了時(移行コマンド検出時)にジョブ管理情報の抽出が終了するのであり、それは下位層プロトコルデータから上位層プロトコルデータへの変換の過程といえることが明らかである。
また、本件発明群1の「プリントジョブデータ」とは、上位層プロトコルデータからプリンタにおいて変換され、ビットマップデータ生成に用いられるデータであることが文言上明らかであり、プリントジョブデータと上位層プロトコルデータの区別も明確である。
したがって、下位層プロトコルデータから上位層プロトコルデータへの変換の過程においてジョブ管理情報を抽出することについて、当業者が実施困難であるとか、上位層プロトコルデータとプリントジョブデータとの区別が明瞭でないということはできず、特許異議申立人の上記主張には理由がない。

(2)特許異議申立人は、請求項15記載の「ユーザから所定のジョブ管理情報を受け付けるユーザインターフェース手段と、前記受け付けたジョブ管理情報および印刷対象であるアプリケーションデータに基づいて、プリントジョブデータを生成する生成手段」につき、ユーザから受け付ける所定のジョブ管理情報が一体どのようなものか不明である、と主張している。
しかし、「ユーザから受け付ける」という以上、ユーザが何らかの手段により指定する情報であって、「ジョブ管理」に役立つ情報であることは明らかであって、ことさらその具体的内容を特許請求の範囲に記載しなければならないというものではない。
また「ジョブ管理情報」という文言が不明確というのならいざ知らず、同文言が不明確であると認めることもできないばかりか、「プリントジョブに関する情報とは、例えば、ユーザ名、ドキュメント名、ホスト名および/またはプリントジョブ名などである。ユーザ名やプリントジョブ名などは、典型的には、プリンタドライバに設けられたユーザインタフェース機能を介してユーザによって入力される。」(段落【0031】)と記載されているとおりの情報であり、不明確とはいえない。特許異議申立人の主張は、「所定の」との修飾語があるため、「所定のジョブ管理情報」が不明確となっているということかもしれない。しかし、「所定の」とは、ユーザが指定できること、及びプリンタが認識できることが「ホスト装置」及び「プリンタ」で定まっているといった程度の意味であり、この修飾語が特許を取り消さなければならないほどの記載不備の原因となっているとまでは認めることができない。

(3)以上のとおりであるから、取消理由1には理由がない。

4.取消理由2についての判断
(1)甲第1号証の記載事項
甲3は、特願平9-361705,特願平10-34411及び特願平10-243430の3出願に基づく優先権を主張して日本国に出願された先願の公開公報であり、甲1は上記3出願及び先願の計4出願に基づく優先権を主張して欧州特許庁に出願・公開された明細書である。そのため、甲1と甲3には共通する記載が極めて多く、以下において甲1の記載を引用する際、甲3と共通する記載については、甲3の記載を甲1の翻訳文として採用し、甲1及び甲3の段落番号を示すことにする。
甲1には以下のア〜ツの記載がある。
ア.「従来の印刷システムでは、・・・印刷データはJLパーサ部2353が解釈する前に一度受信バッファ2352に格納される。そのため、印刷データが未だ受信バッファ2352に格納されている状態では印刷ジョブとして認識されず、印刷装置2350に入力された任意の印刷ジョブの情報獲得或いは情報設定、任意の印刷ジョブの取消指定を行うという点で不完全であるという問題がある。」(甲1【0016】,甲3【0016】)
イ.「本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、印刷装置に入力された全ての印刷ジョブを認識可能とするとともに、任意の印刷ジョブの取消指定を可能とし、また、取消指定された印刷ジョブに係る印刷データが解析される前であっても、例えば、受信バッファに格納されていても、当該印刷データを無効にすることを可能とし、さらに、上記印刷ジョブの取消をリアルタイムに行うことを可能とした。」(甲1【0019】,甲3【0019】)
ウ.「入力された前記印刷ジョブの前記印刷データを解析することなく、当該印刷ジョブに前記印刷ジョブ識別情報を割り当てる印刷ジョブ検知手段を有する」(甲1【0026】,甲3【0025】)
エ.「前記印刷ジョブ検知手段は、印刷管理データを含む前記印刷ジョブごとに前記印刷データ或いは前記印刷管理データに制御情報を付加して生成されたジョブパケットを、当該制御情報に基づいて解析し、当該印刷ジョブの当該印刷データ或いは当該印刷管理データを検知する」(甲1【0027】,甲3【0026】)
オ.「前記ジョブパケットは、前記印刷管理データを識別するための識別情報と前記印刷管理データとから、或いは、前記印刷データを識別するための識別情報と前記印刷データとから構成されている」(甲1【0028】,甲3【0027】)
カ.「印刷システムを構成する印刷装置150は、論理チャネル制御部151と、機器データベース部152と、ジョブプリプロセッサ部153と、受信バッファ154と、PDLトランスレータ部155と、描画バッファ156と、描画部157と、プリンタエンジン部158と、I/Fドライバ部159と、情報管理部160と、操作パネル161とを備える構成となっている。」(甲1【0046】,甲3【0125】)
キ.「機器データベース部152は、印刷装置150の機器情報或いは印刷ジョブの属性などの様々な情報を管理している。印刷ジョブの属性には、それぞれの印刷ジョブの名称、所有者、サイズ、印刷部数等がある。」(甲1【0048】,甲3【0127】)
ク.「ジョブプリプロセッサ部153は、ジョブパケットを受け取り、ジョブパケットのヘッダに格納されたオペレーションコードによって、受信バッファ154にPDLデータを転送したり、或いは機器データベース部152に印刷ジョブの属性を設定する。情報管理部160は、受け取った管理パケットに格納されたオペレーションコードとデータに応じて、機器データベース部152に印刷ジョブや機器の情報を設定し、或いはホストコンピュータ100のユーティリティ部105からの情報獲得要求に応じて返信パケットを生成し、或いはユーティリティ部105や操作パネル161からの印刷ジョブの取消指定に応じて当該印刷ジョブの取消処理を行う。」(甲1【0049】,甲3【0129】)
ケ.「PDLトランスレータ部155は、PDLデータの翻訳処理を行い、PDLデータを描画に適した描画オブジェクトに変換する。」(甲1【0053】,甲3【0132】)
コ.「ジョブプロトコルは、ホストコンピュータ100のジョブパケット生成部107において生成され、印刷装置150のジョブプリプロセッサ部153において印刷ジョブの開始と終了の認識及び印刷ジョブの属性の設定が容易に行われるように規格化されたジョブパケットによって構成されたプロトコルである。」(甲1【0057】,甲3【0136】)
サ.「図3はジョブパケットの構造を示す説明図である。縦軸はバイトを示し、横軸は各バイトのビットを示している。図中において0〜1バイト目のオペレーションコードは、パケットの機能を示す長さ2バイトのIDである。ジョブパケットにおいては、以下の値を取ることができる。
0x0201 ジョブ開始オペレーション
0x0202 ジョブ属性設定オペレーション
0x0204 PDLデータ送信オペレーション
0x0205 ジョブ終了オペレーション」(甲1【0058】,甲3【0137】〜【0138】)
シ.「ジョブ属性設定オペレーションの場合、設定したいジョブ属性IDとジョブ属性値をデータ部に格納する。」(甲1【0063】,甲3【0147】)
ス.「PDLデータ送信オペレーションの場合は、データ部にはPDLデータが入る。1つのジョブパケットのデータは、上記パラメータ長で指定できる最大サイズまで、つまり、64KBまで格納可能であり、それ以上のデータは複数のジョブパケットに分割されて送信される。」(甲1【0065】,甲3【0149】)
セ.「ホストコンピュータ100のジョブパケット生成部107について説明する。図4及び図5はジョブパケット生成部107の動作を示すフローチャートである。・・・ステップS401において、上記図3のオペレーションコードを格納する領域にジョブ開始オペレーションコード(0x0201)を格納したジョブパケットを論理チャネル制御部106に発行する。・・・ステップS403において、印刷ジョブの所有者の設定が行われる。上記図3のオペレーションコードを格納する領域にジョブ属性設定オペレーションコード(0x0202)を格納し、データ部にジョブ所有者を示すジョブ属性ID(=0x0103)及びジョブ属性値となる所有者(この場合例えば“太郎”)を格納したジョブパケットを論理チャネル制御部106に発行する。」(甲1【0066】〜【0069】,甲3【0150】〜【0153】)
ソ.「ステップS408において、送信バッファ103から64Kバイト分のPDLデータを取り出し、上記図3のオペレーションコードを格納する領域にPDLデータ送信オペレーションコード(0x0204)を格納し、データ部に上記取り出したPDLデータを格納したジョブパケットを論理チャネル制御部206に発行する。」(甲1【0072】,甲3【0156】)
タ.「印刷装置150のジョブプリプロセッサ部153について説明する。ジョブプリプロセッサ部153は、ジョブパケット生成部107から送られてきたジョブ開始オペレーションコード(0x0201)を格納したしたジョブパケットを受け取った時点で、印刷ジョブの開始を認識し、当該印刷ジョブにオブジェクトIDを発行して機器データベース部152に登録する。」(甲1【0076】,甲3【0160】)
チ.「これにより、印刷ジョブのPDLデータを解析することなく、印刷装置150に入力された印刷ジョブの認識が可能となり、さらに、印刷ジョブにオブジェクトIDを発行して管理することで、印刷装置150に入力された印刷ジョブの全ての認識が可能となる。」(甲1【0077】,甲3【0161】)
ツ.「ジョブ終了オペレーションコード(0x0205)を格納したジョブパケットを受け取るまでは、送られてくるジョブパケットのオペレーションコードに従って、当該印刷ジョブの属性を機器データベース部152に設定し、あるいは当該印刷ジョブのPDLデータを受信バッファ154に転送する。」(甲1【0078】,甲3【0162】)

(2)本件発明1と甲第1号証記載の発明の対比・判断
甲第1号証記載の発明(以下「甲1発明」という。)において、本件発明1の「抽出手段」、「ジョブ管理情報」及び「ジョブ管理手段」に相当するものが、「ジョブプリプロセッサ部」、「印刷管理データ」若しくは「ジョブ属性」と表現されているもの、及び「機器データベース部」であることは明らかである。
甲1の記載サによれば、甲1発明においては、ホストコンピュータ(本件発明1の「ホスト装置」に相当)から印刷装置(同じく「プリンタ」に相当)に送信される印刷のためのデータは、「ジョブ開始オペレーション」、「ジョブ属性設定オペレーション」、「PDLデータ送信オペレーション」又は「ジョブ終了オペレーション」の各オペレーションに対応したオペレーションコードを付したパケットとして構成されており、このうちジョブ属性設定オペレーションコードを付したパケットにジョブ管理情報が含まれており、同パケットには「PDLデータ」(本件発明1の「プリントジョブデータ」に相当するのはこれである。)は含まれていない。逆に、PDLデータ送信オペレーションを付したパケットに「PDLデータ」が含まれており、同パケットには「ジョブ管理情報」は含まれていない。
そうすると、甲1発明の「ジョブ管理情報」は、特定のパケットに単独の情報として書き込まれた情報であるから、「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」とはいえない。そのことは、「コメント書式」の定義として訂正明細書に「プリンタコマンドのコメント書式とは、プリンタコントローラ内の印刷実行部でプリンタコマンドを解釈する際に無効とされるように、予め決められている形式である。」(段落【0031】)と記載されているところ、甲1発明では、ジョブ管理情報が書き込まれたパケットは機器データベース部に送られるのであって、受信バッファには送られないから、PDLトランスレータ部で翻訳処理(プリンタコマンドを解釈に当たる。)されることもなく、したがって有効・無効という概念が存在しないことになることからも明らかである。
すなわち、ジョブ管理情報が「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」であるかどうかの点は、本件発明1と甲1発明の相違点となる。
そこでこの相違点について検討する。ジョブ管理情報を「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」とすること自体は、訂正明細書に「従来技術」として「プリンタドライバにおいて、印刷しようとしているアプリケーションデータに関する情報をプリントジョブデータ中に記述した場合には、そのプリントジョブデータをプリンタが解釈しなければ、その情報を取得することはできなかった。」(段落【0005】)との記載があることからも、本件出願前周知と認めることができる。
しかし、ここで重要なのは、「前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する」との構成を採用しつつ(上位層プロトコルデータはプリントジョブデータ(PDLデータ等)に変換される前のデータである。)、ジョブ管理情報を「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」とすることである。すなわち、上記相違点に係る本件発明1の構成に至るためには、PDLデータに変換する前のデータである上位層プロトコルデータを得る途中段階で、「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」を抽出しなければならないところ、そのためには訂正明細書に実施例として示されているように、「プリントジョブデータの先頭部分を解釈」(段落【0037】、ただし、解釈を司るのは「ジョブ受信部」であるから、解釈対象となる「プリントジョブデータ」は本件発明1の「下位層プロトコルデータ」である。)などの構成を採用しなければならないが、そのことが周知又は公知であることを示す証拠は提出されていない。
そうである以上、ジョブ管理情報を「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」とすること自体が周知であっても、甲1発明のジョブ管理情報を「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」に変更することが、当業者にとって想到容易ということはできない。
したがって、本件発明1が甲1発明と同一であるとも、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとも認めることができない。

(3)本件発明6,11,15について
ジョブ管理情報が「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」であるかどうかの点は、本件発明6,11,15と甲1発明の相違点ともなる。
そして、この相違点に係る本件発明6,11,15に係る構成を採用することが当業者にとって想到容易といえないことは、(2)で述べたと同様である。
したがって、本件発明6,11,15も甲1発明と同一であるとも、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとも認めることができない。

(4)本件発明2〜5,7〜10,12〜14について
本件発明2〜5,7〜10,12〜14は、本件発明1、本件発明6又は本件発明11のいずれかに何らかの限定を加えた発明である。
そうである以上、本件発明2〜5,7〜10,12〜14も甲1発明と同一であるとも、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとも認めることができない。

(5)取消理由2についての結論
以上のとおり、本件発明1〜15は甲1発明と同一であるとも、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとも認めることができないから、取消理由2には理由がない。

5.取消理由3について
特許異議申立人は、甲2段落【0030】、【0031】及び【図16】の記載・図示を根拠として、「LANを介して取り込まれるフレーム(パケット)で構成されたデータは下位層プロトコルデータに対応し、複数のフレームから再構築されたプロトコル制御部が処理するデータは上位層プロトコルデータに対応し、印刷データはプリントジョブデータに対応するものと認められる。」(平成16年3月29日付け手続補正書22頁17〜21行)と主張している。
しかし、甲2段落【0031】には、「バッファリングしてあるフレームを識別したプロトコル制御部(TCP/IPプロトコル制御部、IPX/SPXプロトコル制御部)に渡す(ステップ504a,504b)。識別したプロトコルがTCP/IPであれば、TCP/IPプロトコル制御部が起動し、フレームに含まれるIPアドレスが自アドレスであることを確認する(ステップ505)。ついで、複数のフレームから構成されるデータを再構築するために同一ID毎にバッファのリンクを行い、同一IDが終了するまで上記処理を繰り返す(506,507)。同一IDの終了により、データ(例えば印刷データ)を上位層であるスプーリング制御部21-8に渡す(ステップ511)。」と記載されており、プロトコル制御部にはフレーム(パケット)が渡され、フレームの再構築はプロトコル制御部にて行われる。すなわち、本件発明1〜15の「下位層プロトコルデータ」に対応するのはプロトコル制御部が処理するデータであり、再構築されたデータが「上位層プロトコルデータ」に対応し、これがスプーリング制御部に渡される。
そして、甲2には「印刷データの場合には、マルチプロトコル制御部は受信パケットのヘッダ情報より通信プロトコルを識別し(ステップ715)、対応する通信プロトコル制御部、例えばTCP/IP制御部21-3を起動し、データを受信させる(ステップ716)。ついで、利用者名、IPアドレス、印刷データ等を取り出し(ステップ717)」(段落【0060】)及び「スプーリング制御部21-8が起動して印刷データ(バナーページを含む)をSCSIインターフェースを介してハードディスク24に書き込む」(段落【0064】)との記載があるから、利用者名等が取り出される(本件発明1〜4,6〜9,11〜14(以下「本件発明群2」という。)の「ジョブ管理情報を抽出」に相当)のは、複数のフレームから構成されるデータを再構築する途中段階、すなわち本件発明群2の「前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程」であると認めることができ、「上位層プロトコルデータ」をスプーリング制御部によって処理した「印刷データ」が本件発明群2の「プリントジョブデータ」に相当する。
ところで、甲2の上記記載からは、利用者名等(ジョブ管理情報)がどのような形態で、下位層プロトコルデータに書き込まれているのか明確ではない。甲2には、「スプーリング制御部21-8はスプール(印刷情報)をハードディスク24から削除すると共に、DPRAM21d-1〜21d-3上のジョブ情報を削除する。」(段落【0068】)との記載があるから、印刷データ(プリントジョブデータ)とジョブ情報(ジョブ管理情報)は異なる媒体に書き込まれる。また、【図29】には、コマンドコード及びオペランドの説明図表が記載されており、「印刷要求」というコマンドコードに対する「データの種類」として「印刷ファイル」及び「印刷属性ファイル」があることが記載されている。そして、「印刷属性ファイル」には「ジョブ名」、「ユーザ名(グループ名)」等が例示的に記載されているから、印刷データ(プリントジョブデータ)はホストクライアントにおいて「印刷ファイル」に基づき作成され、ジョブ情報(ジョブ管理情報)は同様に「印刷属性ファイル」に基づき作成されると解すべきである。
そうであるならば、甲2発明におけるジョブ情報(ジョブ管理情報)は、印刷データ(プリントジョブデータ)を記述したフレーム(パケット)とは別のパケットとして、プリンタに送られると解するのが自然であり、4.であげた相違点(ジョブ管理情報が「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」であるかどうかの点)は、本件発明群2と甲2発明との相違点でもある。そして、この相違点に係る本件発明群2の構成を採用することが当業者にとって想到容易といえないことは、4.で述べたとおりである。
したがって、本件発明1〜4,6〜9,11〜14は甲2発明と同一であるとも、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとも認めることができないから、取消理由3にも理由がない。

6.取消理由4について
甲1と甲3の関係は4.で述べたとおりであって、甲3にも4.で摘記した記載がある。そうである以上、4.であげた相違点(ジョブ管理情報が「プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報」であるかどうかの点)は、本件発明1〜15と先願発明(甲3記載の発明)との相違点となり、本件発明1〜15と先願発明が同一でないことは明らかである。
したがって、取消理由4にも理由がない。

第4 むすび
以上のとおり、特許異議申立人が主張する取消理由にはいずれも理由がないから、特許異議申立人が主張する理由によって、請求項1〜15に係る特許を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
プリンタ、プリンタの制御方法およびプログラムを記録した記録媒体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段を備えたプリンタであって、
前記ホスト装置からジョブ管理情報を含む下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する第1の受付手段と、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈手段と、
前記解釈手段により生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行手段と、
前記抽出手段により抽出したジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを管理するジョブ管理手段と、
を備え、
前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記プリンタは、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付ける第2の受付手段をさらに備え、前記ジョブ管理手段は、前記ジョブ管理情報に基づいて、前記ジョブ管理要求に対応する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに関するジョブの状態を問い合わせるものであり、前記ジョブ管理手段は、前記プリントジョブデータが前記第1の受付手段により受け付けられ、前記記憶手段に出力中の状態、前記記憶手段に記憶された状態または前記記憶手段から読み出された状態などを前記ジョブの状態として前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに基づくジョブキャンセルに関するものであり、前記ジョブ管理手段は、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを削除することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項5】
前記第2の受付手段は、前記プリントジョブデータの通信とは異なる所定のプロトコルで前記ジョブ管理要求を受け付け、前記ジョブ管理手段は、前記所定のプロトコルで前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項6】
ネットワークを介してホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段を備えたプリンタの制御方法であって、
前記ホスト装置からジョブ管理情報を含む下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する受付ステップと、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出ステップと、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈ステップと、
前記解釈ステップにより生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行ステップと、を備え、
前記抽出ステップを実行することにより抽出される前記ジョブ管理情報に基づいて前記プリントジョブデータを管理する管理ステップをさらに備え、
前記抽出ステップは、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項7】
前記管理ステップは、前記ホスト装置から送られる、ジョブ管理要求を受け付けるステップと、前記ジョブ管理情報に基づいて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送るステップとを含むことを特徴とする請求項6記載のプリンタの制御方法。
【請求項8】
前記管理ステップは、前記プリントジョブデータが前記受付ステップにより受け付けられ、前記記憶手段に出力中の状態、前記記憶手段に記憶された状態または前記記憶手段から読み出された状態などをジョブの状態として前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項7記載のプリンタの制御方法。
【請求項9】
前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに基づくジョブキャンセルに関するものであり、前記管理ステップは、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを削除することを特徴とする請求項7記載のプリンタの制御方法。
【請求項10】
前記ジョブ管理要求を、前記プリントジョブデータの通信とは異なる所定のプロトコルで受け付けるとともに、前記ジョブ管理要求に対する応答を、前記所定のプロトコルで前記ホスト装置に送ることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のプリンタの制御方法。
【請求項11】
ネットワークを介してホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段を備えたプリンタに所定の機能を実現させるプログラムを記録した記録媒体であって、
前記プログラムは、前記ホスト装置からジョブ管理情報を含む下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する機能と、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する機能と、
前記生成されたビットマップデータに基づいて印刷記録媒体に対する印刷を行う印刷実行手段を制御する機能と、
前記抽出されたジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを管理する機能とを、前記プリンタに実現させることを特徴とし、
前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプログラムを記録した記録媒体。
【請求項12】
前記プログラムは、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付ける第2の受付機能と、前記ジョブ管理情報に基づいて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送る機能とを、前記プリンタに実現させることを特徴とする請求項11記載の記録媒体。
【請求項13】
前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに関するジョブの状態を問い合わせるものであり、前記プログラムは、前記プリントジョブデータが受け付けられ、前記記憶手段に出力中の状態、前記記憶手段に記憶された状態または前記記憶手段から読み出された状態などを前記ジョブの状態として前記ホスト装置に送る機能を前記プリンタに実現させることを特徴とする請求項12記載の記録媒体。
【請求項14】
前記ジョブ管理要求は、前記プリントジョブデータに基づくジョブキャンセルに関するものであり、前記プログラムは、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを削除することを前記プリンタに実現させることを特徴とする請求項12記載の記録媒体。
【請求項15】
ホスト装置とプリンタとを備えたプリントシステムであって、
前記ホスト装置は、所定の入力要求画面を表示させて、ユーザから所定のジョブ管理情報を受け付けるユーザインターフェース手段と、
前記受け付けたジョブ管理情報および印刷対象であるアプリケーションデータに基づいて、プリントジョブデータを生成する生成手段と、
前記生成したプリントジョブデータを下位層プロトコルデータに変換して前記プリンタに送る第1の送信手段と、
前記プリンタに対してジョブ管理要求を送信する第2の送信手段と、を備え、
前記プリンタは、前記ホスト装置から送られるプリントジョブデータを記憶する記憶手段と、前記ホスト装置から下位層プロトコルデータを受け付け、当該下位層プロトコルデータを解析して上位層プロトコルデータに変換し、次いで当該上位層プロトコルデータをプリントジョブデータに変換し、前記記憶手段に出力する第1の受付手段と、
前記下位層プロトコルデータを前記上位層プロトコルデータに変換する過程において前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈手段と、
前記解釈手段により生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行手段と、
前記ジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に出力中のまたは記憶されたプリントジョブデータを管理するジョブ管理手段と、を備え、
前記ジョブ管理手段は、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付けて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とし、
前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするするプリントシステム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリントジョブデータを管理するための技術に関する。特に、本発明は、ホスト装置のプリンタドライバと、このプリンタドライバによって生成されたプリントジョブデータをハードディスクにスプールさせるために受け付けるインターフェースの改良に関する。
【0002】
【従来技術】ホスト装置がプリンタを利用するためには、典型的には、ホスト装置はプリンタドライバ(プリンタ制御用プログラム)を必要とする。プリンタドライバは、アプリケーションプログラムからアプリケーションデータを受け取ると、そのプリンタ固有のプリントジョブデータ(プリントコマンド)に変換して、そのプリンタに対して出力する。プリンタは、このプリントジョブデータを受け取ると、これをスプールした後に、解釈してビットマップデータを生成し、印刷用紙に対するプリントを実現する。
【0003】また、イーサネット(Ethernet)などにより構築されたLANに接続され、複数のホスト装置に共用されるネットワーク対応型のプリンタが知られている。ホスト装置は、所定のネットワークプロトコルに従ってプリンタとの間でネットワーク通信を行い、プリンタドライバから出力されるプリントジョブデータをプリンタに送り込む。ホスト装置がプリンタにプリントジョブデータを送り込むためのネットワークプロトコルには、例えば、TCP/IP上で実装されるLPRプロトコルなどがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ホスト装置がプリンタに送り込んだプリントジョブデータの印刷状況を取得し、またはそのプリントジョブデータによる印刷を中止するなど、そのプリントジョブデータを管理できるようにするという要求がある。
【0005】しかしながら、プリンタドライバにおいて、印刷しようとしているアプリケーションデータに関する情報をプリントジョブデータ中に記述した場合には、そのプリントジョブデータをプリンタが解釈しなければ、その情報を取得することはできなかった。したがって、ホスト装置は、プリンタ内にスプール中のプリントジョブデータや処理待ちのプリントジョブデータを管理することができないといった不都合があった。
【0006】従って、このような不都合を避けるため、ネットワークのプロトコルを拡張し、プリントジョブ情報を投入する方式が提案されている。しかしながら、既存のプラットホームを変更し、ホスト装置がプリンタに送り込んだプリントジョブデータを管理することができる新たなプリントシステムを提供することは、コスト的に高くなり、現実的ではない。
【0007】そこで、本発明は、既存のプラットホームを大幅に変更することなく、プリントジョブデータをよりプリミティブなレベルで管理することができるシステムを提供することを目的とする。
【0008】より具体的には、本発明は、プリンタに投入されるプリントジョブデータがスプールされた状態で、そのプリントジョブデータに対する管理をできるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための発明は、以下のように特定される。
【0010】すなわち、本発明は、ホスト装置から送られる、ジョブ管理情報を含むプリントジョブデータを受け付ける第1の受付手段と、前記第1の受付手段により受け付けたプリントジョブデータから前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、前記第1の受付手段により受け付けたプリントジョブデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈手段と、前記解釈手段により生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行手段と、前記抽出手段により抽出したジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されたプリントジョブデータを管理するジョブ管理手段と、を備え、前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタである。
【0011】ここで、前記プリンタは、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付ける第2の受付手段をさらに備え、前記ジョブ管理手段は、前記ジョブ管理情報に基づいて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とする。このジョブ管理要求は、前記ジョブの状態を問い合わせるものであることが好ましい。また、このジョブ管理要求は、特定のプリントジョブデータの削除要求であってもよい。
【0012】また、前記ジョブ管理手段は、前記プリントジョブデータが前記第1の受付手段により受け付けられ、前記記憶手段に出力されている状態(書き込み中)、前記記憶手段に記憶された状態(書き込み済み)または前記記憶手段から読み出された状態(読み出し済み)などを前記ジョブの状態として前記ホスト装置に送ることを特徴とする。
【0013】上記装置の発明は、方法の発明としても成立する。すなわち、本発明は、ホスト装置から送られる、ジョブ管理情報を含むプリントジョブデータを受け付ける受付ステップと、前記受付ステップにより受け付けたプリントジョブデータから前記ジョブ管理情報を抽出する抽出ステップと、前記受付ステップにより受け付けられたプリントジョブデータを所定の記憶手段に出力する記憶ステップと、前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈ステップと、前記解釈ステップにより生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷ステップと、を備えたプリンタの制御方法であって、前記解釈ステップより前記プリントジョブデータが前記記憶手段から読み出される前に、前記抽出ステップを実行することにより抽出される前記ジョブ管理情報に基づいて前記プリントジョブデータを管理する管理ステップを備えたことを特徴とし、前記抽出ステップは、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とするプリンタの制御方法である。
【0014】ここで、前記管理ステップは、前記ホスト装置から送られる、ジョブ管理要求を受け付けるステップと、前記ジョブ管理情報に基づいて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送るステップとを含むことを特徴とする。
【0015】また、前記管理ステップは、前記プリントジョブデータが前記受付ステップにより受け付けられ、前記記憶手段に出力中の状態、前記記憶手段に記憶された状態または前記記憶手段から読み出された状態などを前記ジョブの状態として前記ホスト装置に送ることを特徴とする。
【0016】さらに、本発明は、プリンタの制御装置によって実行されるプログラムとしても成立する。具体的には、本発明は、プリンタに所定の機能を実現させるプログラムを記録した記録媒体であって、前記プログラムは、ホスト装置から送られる、ジョブ管理情報を含むプリントジョブデータを受け付ける機能と、前記受け付けたプリントジョブデータから前記ジョブ管理情報を抽出する機能と、前記受け付けたプリントジョブデータを記憶手段に記憶させる機能と、前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する機能と、前記生成されたビットマップデータに基づいて、印刷記録媒体に対する印刷を行う印刷実行手段を制御する機能と、前記抽出されたジョブ管理情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されたプリントジョブデータを管理する機能と、を備え、前記抽出機能は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出する機能であることを特徴とするプログラムを記録した記録媒体であってもよい。
【0017】なお、前記記録媒体とは、例えば、ハードディスク(HD)、DVD-RAM、フレキシブルディスク(FD)やCD-ROM等のほかに、RAMやROM等のメモリを含む。また、前記プリンタとは、例えば、CPUやMPUといったいわゆる中央処理装置がプログラムを解釈することで所定の処理を行う、いわゆるマイクロコンピュータ等をも含む。
【0018】また、前記プログラムは、オペレーティングシステムなどの基本プログラムによって実現される機能を呼び出す機能を含んで実現しても良い。
【0019】さらにまた、本発明は、ホスト装置とプリンタとを備えたプリントシステムであってもよい。ここで、前記ホスト装置は、所定の入力要求画面を表示させて、ユーザから所定のジョブ管理情報を受け付けるユーザインターフェース手段と、前記受け付けたジョブ管理情報および印刷対象であるアプリケーションデータに基づいて、プリントジョブデータを生成する生成手段と、前記生成したプリントジョブデータを前記プリンタに送る第1の送信手段と、前記プリンタに対してジョブ管理要求を送信する第2の送信手段と、を備える。また、前記プリンタは、前記ホスト装置から送られるプリントジョブデータを受け付ける第1の受付手段と、前記受け付けたプリントジョブデータから前記ジョブ管理情報を抽出する抽出手段と、前記受け付けたプリントジョブデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段から読み出されるプリントジョブデータに基づいてビットマップデータを生成する解釈手段と、前記解釈手段により生成されたビットマップデータに基づいて印刷を実行する印刷実行手段と、前記ジョブ管理情報に基づいて前記記憶手段に印刷されたプリントジョブデータを管理するジョブ管理手段とを備える。前記ジョブ管理手段は、前記ホスト装置から送られるジョブ管理要求を受け付けて、前記ジョブ管理要求に対する応答を前記ホスト装置に送ることを特徴とする。前記抽出手段は、前記ジョブ管理情報として、プリンタドライバが付加したコメント書式の付加情報を抽出することを特徴とする。
【0020】なお、本明細書において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】図1は、本実施形態に係るプリントシステムの概要を説明するための図である。同図に示すように、ホスト装置1とプリンタ2とはネットワークNを介して接続され、プリントシステムを構成している。なお、同図ではネットワークNに接続された複数のホスト装置1およびプリンタ2のうち、代表する1台をそれぞれ示している。
【0023】アプリケーションプログラム11は、例えば、文書を作成・編集するためのワードプロセッサ、図形を作成・編集するグラフィックエディタなどである。今、ユーザからユーザインタフェース12を介して印刷コマンドが与えられると、アプリケーションプログラム11は、プリンタドライバ13を呼び出す。プリンタドライバ13は、ユーザインターフェース12を介してプリントダイアログボックスを表示し、ユーザに所定の設定項目などの入力を促す。そして、ユーザからユーザインターフェース12を介して印刷実行指示(例えば「OK」ボタンの選択)が与えられると、プリンタドライバ13は、アプリケーションプログラム11から印刷対象であるそのアプリケーションデータを受け取って、このアプリケーションデータをプリンタ2で解釈するためのプリントジョブデータに変換し、プリントジョブ送信部14に出力する。この場合において、プリンタドライバ13は、本来の印刷のためにプリンタが解釈するためのプリントコマンドに加え、プリントジョブに関する情報(ジョブ管理情報)を出力データ中に埋め込む。プリントジョブ送信部14は、プリンタドライバ13から送られたプリントジョブデータを物理的/論理的に変換し、ネットワークインタフェース15に出力する。つまり、プリントジョブ送信部14は、ネットワーク階層モデルでいうところの上位層プロトコルに位置付けられる通信サービスを実現するものである。ネットワークインタフェース15は、ネットワーク階層モデルでいうところの下位層プロトコルに位置付けられる通信サービスを実現する。ネットワークインタフェース15は、ネットワーク3を介してプリンタ2のネットワークインタフェース15’にデータを送る。ジョブ管理マネージャ16は、プリンタ2のジョブ管理エージェント16’との間で、ジョブ管理情報送受信部17,17’を介して所定のプロトコルに従って通信を行い、プリンタ2内のジョブを管理する。ジョブ管理エージェント16’は、プリンタ2に投入されたプリントジョブデータに対するジョブを管理する実行体である。ジョブ管理情報送受信部17、17’は、プリントジョブデータの通信とは異なるプロトコルで、通信サービスを実現する。これにより、ホスト装置1は、プリンタ2内のジョブを管理することができる。
【0024】ネットワークインタフェース15’は、ネットワーク3を介して受け取った下位層プロトコルのデータを解析して上位層プロトコルのデータに変換し、プリントジョブ受信部18に引き渡す。ネットワークインタフェース15’は、また、ホスト装置1から送り込まれたデータを下位層プロトコルから上位層プロトコルに変換する過程において、プリントジョブ送信部14によって付加されたジョブ管理情報を抽出し、ジョブ管理情報送受信部17’に送出する。プリントジョブ受信部18は、受け取った上位層プロトコルのデータをもとのプリントジョブデータに変換し、ハードディスク19に出力する。
【0025】コントローラ20は、ハードディスク19にスプールされたプリントジョブデータを解釈してビットマップデータを生成し、図示しないイメージメモリに展開する。コントローラ20は、イメージメモリにビットマップデータを展開すると、印刷実行部21に印刷要求を送出する。これにより、ビットマップデータは印刷実行部20に供給されることになる。印刷実行部21は、供給されるビットマップデータに基づいて印刷用紙に対する印刷を実行する。
【0026】ジョブ管理エージェント16’は、ネットワークインターフェース15’から送られるジョブ管理情報に基づいて、ハードディスク18のスプール状態を管理する。そして、ジョブ管理エージェント16’は、ホスト装置1のジョブ管理マネージャ16からジョブ情報の問い合わせ要求を受け取った場合には、自身が管理しているジョブ情報をホスト装置に返答し、また、特定のジョブの削除要求を受け取った場合には、ハードディスク18にスプールされている指定されたプリントジョブデータを削除するための処理を行う。
【0027】図2は、本実施形態に係るホスト装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。同図において、プロセッサ21は、オペレーティングシステムの管理の下、ROM22やRAM23に記憶された各種プログラムを実行する。つまり、各種プログラムはプロセッサ21によって実行されることにより、他のハードウェアと共働して、図1に示した機能をホスト装置1に実現させる。ユーザインターフェース24は、典型的には、表示装置およびキーボードやマウスなどの入力装置並びにそれらを制御するためのデバイスドライバによって構成される。これにより、ユーザインタフェース24は、ユーザによるインタラクティブな操作を実現する。ファイルシステム25は、例えば、ハードディスク装置やCD-ROM装置およびそれらのデバイスドライバなどによって構成されるいわゆる外部記憶装置であり、各種プログラムやデータを記憶する。ネットワークインタフェース26は、ネットワークNとホスト装置本体とを物理的に接続するためのネットワークボードである。ネットワークインタフェース26は、ホスト装置1内部のデータを物理的/論理的に変換してネットワークNに送出し、また、ネットワークN上を流れる自身宛のデータを抽出して、これを物理的/論理的に変換して内部バスに入力する。
【0028】図3は、本実施形態に係るプリンタのハードウェア構成の一例を示す図である。同図において、プロセッサ31は、ROM32やRAM33に記憶された各種プログラムを実行する。つまり、各種プログラムがプロセッサ31に実行されることにより、他のハードウェアと共働して、プリンタに所定の機能を実現させる。ファイルシステム34は、ネットワークインタフェース35を介してホスト装置1から送られるプリントジョブデータをスプールする。イメージメモリ36は、プリントジョブデータに基づいて生成されたビットマップデータを記憶する。エンジンコントローラ37は、プリントエンジン38の動作を制御しながら、イメージメモリ36に展開されたビットマップデータを読み出して、プリントエンジン38に供給する。エンジンコントローラ37は、例えば、イメージメモリ36に所定のバンド幅のビットマップデータが展開された時点でコントローラ17から送られる印刷実行命令をトリガとして起動される。プリントエンジン38は、例えば、紙送り機構やプリントヘッドなどによって構成され、紙などの印刷記録媒体に印刷を行うものである。プリントエンジン38は、レーザプリンタやシリアルプリンタといったプリンタの種類に応じたものを用いることができる。
【0029】図4は、本実施形態に係るホスト装置1の機能構成を示すブロックダイアグラムである。同図は、図1に示したホスト装置1をより詳細に示したものである。アプリケーションプログラム41(図1のアプリケーションプログラム11に相当する。)は、印刷実行指示が与えられると、印刷対象であるアプリケーションデータに従い、オブジェクトを描画してGDI(Graphics Device Interface)43のAPI(Application Program Interface)をコールする。GDI43は、グラフィック機能を実装しているオペレーティングシステムのコンポーネントである。GDI43は、プリンタドライバ本体44をコールして、オブジェクト描画に関するプリントコマンドを作成する。
【0030】プリンタドライバ本体44は、プリンタ2に印刷を行わせるためのプリントジョブデータを生成する。すなわち、プリンタドライバ本体44は、GDI43によるコールに基づき、指定されたターゲットプリンタの設定情報をプロパティ情報記憶部42から適宜取得して、印刷設定に関するプリンタコマンドとして出力するとともに、オブジェクト描画に関するプリントコマンドを出力する。プリンタの設定情報とは、例えば、用紙サイズおよびその方向、解像度、印刷可能領域やプリントジョブ自体に関する情報である。
【0031】また、本実施形態におけるプリンタドライバ本体44は、上記設定情報とプリンタドライバが提供するユーザインタフェース機能(プリントダイアログボックス)を介してユーザによって入力されたプリントジョブに関する情報とを合わせてプリンタコマンドにより出力する。ここで、プリントジョブに関する情報とは、例えば、ユーザ名、ドキュメント名、ホスト名および/またはプリントジョブ名などである。ユーザ名やプリントジョブ名などは、典型的には、プリンタドライバに設けられたユーザインタフェース機能を介してユーザによって入力される。また、ドキュメント名やホスト名などは、アプリケーションやオペレーティングシステムの機能によって取得される。プリンタドライバ本体44がプリントジョブに関する情報を自ら収集するようにしてもよい。プリントジョブに関する情報は、これらに限られるものではなく、プリントジョブを識別するために有効な情報であればよい。プリンタコマンドのコメント書式とは、プリンタコントローラ内の印刷実行部でプリンタコマンドを解釈する際に無効とされるように、予め決められている形式である。プリントジョブデータとは、ユーザが印刷要求を行ったドキュメント(アプリケーションデータ)を印刷するために必要なプリンタコマンドの集合であり、ここでは、印刷属性を制御するための専用コマンドである。印刷属性とは、印刷品質の指定、両面印刷の指定、印刷部数の指定、排紙トレイの指定、入力トレイ、紙サイズの指定、解像度の指定、印刷言語の指定などがある。
【0032】プリンタドライバ本体44からGDI43を介して出力されるプリントジョブデータは、スプーラ45に出力される。スプーラ45は、複数のプリントジョブデータを管理し、一般にはそれらを順番にプリンタに送出する。スプーラ45は、例えば、ファイルシステム25の所定の記憶領域をスプール領域として利用する。プリントリクエストルータ46は、ターゲットプリンタに対してプリントジョブデータがルーティングされるように、制御する。例えば、ターゲットプリンタがネットワークプリンタである場合には、プリントリクエストルータ46は、プリントジョブデータを伴ってプリントジョブ送信部47(図1のプリントジョブ送信部14に対応する。)をコールし、また、ターゲットプリンタがローカルプリンタである場合には、ローカルプリントプロバイダ(図示せず)をコールする。プリントジョブ送信部47は、受け取ったプリントジョブデータをネットワーク階層モデルでいう上位層プロトコルデータに変換する。なお、これらのデータフォーマットは、例えば、RFC1179に規定されるLPDプロトコル(Line Printer Daemon Protocol)に従うことが好ましい。ネットワークプリントプロバイダ47によって出力された上位層プロトコルデータは、さらにネットワーク通信のためのデータ変換が行われ、ネットワーク環境を介してプリンタ1に送信されることになる。なお、ここでいうネットワーク環境とは、ネットワークプリントプロバイダ47よりも下位層に位置付けられるソフトウェアおよび/またはハードウェアにより構成されるネットワーク環境をいうものとする。
【0033】図5は、本実施形態に係るプリンタドライバ本体44の詳細動作を説明するための図である。同図に示すように、まず、プリンタドライバ本体44は、アプリケーションプログラム11から印刷コマンドが与えられると、所定のプリントダイアログボックスを呼び出して、属性情報(設定項目)および各種ユーザ情報の入力を受け付ける(STEP501)。ユーザによって所定の情報が入力され、プリントダイアログボックスに設けられた「OK」ボタンが選択されると、プリンタドライバ本体44は、アプリケーション名、文書名、属性情報および入力されたユーザ情報を取得し、制御コマンドを生成する(STEP502〜505)。例えば、EJL形式であれば、@EJL JOB INFO文を作成する。そして、プリンタドライバ本体44は、アプリケーションデータに基づいてプリントジョブデータ(例えば、ESC/pageコマンド列)を生成する(STEP506)。図6は、本実施形態に係るプリントジョブデータのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、プリントジョブデータは、制御コマンドとプリンタコマンドとを含む。制御コマンドは、制御コマンドの開始を示すコマンド、ジョブ情報、印刷属性情報および移行コマンド並びに制御コマンドの終了を示すコマンドからなる。プリンタコマンドの終わりには当該プリンタコマンドから脱出するための脱出コマンドが設けられている。
【0034】図7は、本実施形態に係るプリンタ2の機能構成を示すブロックダイアグラムである。同図において、ジョブ受信部71は、ホスト装置1からネットワーク環境を介してデータを受け取ると、スプーラ72に出力する。ジョブ受信部71は、ネットワーク環境を介してデータを受信すると、ネットワーク情報を抽出し、これをジョブ管理情報としてジョブ管理エージェント16’に出力する。ここで、ネットワーク情報とは、例えば、IPアドレスやマシン名、プロトコル種別などである。プロトコルプログラムがLPDである場合には、コントロールファイルを検出、解釈することにより取得できる。また、パラレルインターフェースを介してプリントジョブデータを受信した場合には、プロトコルがパラレルインターフェースであるという情報を取得できる。ジョブ受信部71は、下位層プロトコルデータを上位層プロトコルデータに変換する過程において、移行コマンドまでの制御コマンド中に含められたジョブ管理情報を抽出し、これをジョブ管理エージェント16’に出力する。ジョブ受信部71によるジョブ管理エージェント16’に対するジョブ管理情報の出力は、図示しないバッファに一旦蓄積し、まとめて出力するようにしてもよいし、抽出の都度、出力するようにしてもよい。
【0035】スプーラ72は、ハードディスク18にスプールされた複数のプリントジョブデータを管理し、それらを順番にジョブ解釈部73に送出する。ジョブ解釈部73は、スプーラ72から送られるプリントジョブデータを解釈して、ビットマップデータを生成し、これをイメージメモリ36に書き込む。なお、ジョブ解釈部73は、プリントコマンドのコメント書式であると判断した場合には、その行の終わりまで無視し、次のプリントコマンドに対する処理を行う。これにより、プリンタドライバ13によってジョブを管理するために付加した情報につては、何ら印刷に影響を与えることがなくなる。
【0036】ジョブ管理エージェント16’は、ジョブ受信部71がプリントジョブデータをスプールする前にまたはスプールしている最中に、ジョブ管理情報を受け取るので、プリントジョブデータがジョブ解釈部73によって解釈する前に、その受信ステータスを取得することができる。受信ステータスとは、例えば、「受信中(スプール中)」、「受信完了(スプール済み)」などである。ジョブ管理エージェント16’は、ホスト装置1のジョブ管理マネージャ16から受信ステータスの問い合わせを受け付けた場合には、その旨をジョブ管理マネージャ16に返答する。この場合に、ジョブ管理エージェント16’は、受信サイズやプロトコル情報などを合わせて返答するようにしても良い。また、ジョブ管理エージェント16’は、ジョブ管理マネージャ16からジョブキャンセルを受け取った場合には、ジョブ受信中であっても指定されたジョブをキャンセル(削除)する。
【0037】図8は、本実施形態に係るジョブ受信部71の動作を説明するための図である。同図において、まず、ジョブ受信部71は、データを受信すると、そのネットワーク情報を取得し、これをバッファに出力する(STEP801)。次に、ジョブ受信部71は、プリントジョブデータの先頭部分を解釈するため、例えば、プリントジョブデータを1行(例えば[LF]まで)読み込む(STEP802)。ジョブ受信部71は、読み込んだ行が移行コマンドであるか否かを判断し(STEP803)、移行コマンドでないと判断する場合には、さらに、付加情報であるか否かを判断する(STEP804)。STEP804において、付加情報、つまりプリンタドライバ13が付加したコメント行であると判断する場合には、その付加情報を抽出し、これをバッファに出力する(STEP805)。ジョブ受信部71は、移行コマンドを検出するまで上記処理を繰り返すことになる。STEP803において、移行コマンドを検出すると、バッファに出力された内容をジョブ管理情報としてジョブ管理エージェント16’に出力する(STEP806)。そして、ジョブ受信部71は、プリントジョブデータをハードディスク18に出力する(STEP807)。
【0038】図7に示したジョブ管理エージェント16’は、ネットワークインターフェースからジョブ管理情報を含むジョブ問い合わせ要求を受け取ると、そのジョブの状態を収集してこれをホスト装置1に送信する。これにより、ホスト装置1のジョブ管理マネージャ16は、ジョブ管理エージェント16’を介して、ジョブ管理情報で示されるプリントジョブデータを管理することができるようになる。特に、本実施形態では、ジョブ受信部71が下位層プロトコルデータを上位層プロトコルデータに変換する過程においてジョブ管理情報を取得できるので、ジョブ解釈部73によりプリントジョブデータが解釈される前であっても、ジョブ管理情報に従いプリントジョブデータを特定し、これに対するジョブ管理を行うことができるようになる。例えば、複数のプリントジョブデータがスプーラ72にスプールされ、解釈待ちの特定のプリントジョブデータに対する処理を行うことができるようになる。また、プロトコルプログラム81がスプーラ72にスプール中であっても、そのプリントジョブデータに対するジョブ管理を行うことができるようになる。
【0039】上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。例えば、上記機能実現手段の動作をシーケンシャルに説明したが、特にこれにこだわるものではない。従って、動作に矛盾が生じない限り、処理の順序を入れ替えまたは並行動作するように構成しても良い。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、プリンタに投入されるプリントジョブデータがスプールされた時点で、そのプリントジョブデータに対する管理ができるようになる。
【0041】また、本発明によれば、プリンタドライバがジョブ情報を付加するので、複数のインターフェース(ネットワークプロトコルを含む。)があっても、それぞれのインターフェースごとにジョブ情報のやり取りについて規定する必要がなく、統一的に処理可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリントシステムの概要を説明するための図である。
【図2】本発明に係るホスト装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本発明に係るプリンタのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】本発明に係るホスト装置1の機能構成を示すブロックダイアグラムである。
【図5】本発明に係るプリンタドライバ本体44の詳細動作を説明するための図である。
【図6】本発明に係るプリントジョブデータのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】本発明に係るプリンタ2の機能構成を示すブロックダイアグラムである。
【図8】本発明に係るジョブ受信部71の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1…ホスト装置
2…プリンタ
3…ネットワーク
11…アプリケーションプログラム
12…ユーザインターフェース
13…プリンタドライバ
14…ネットワークプロトコル管理部
15,15’…ネットワークインターフェース
16,16’…ジョブ管理部
17,17’…ジョブ管理情報送受信部
18…ジョブ受信部
19…ハードディスク
20…コントローラ
21…印刷実行部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-12-21 
出願番号 特願平11-375819
審決分類 P 1 651・ 536- YA (B41J)
P 1 651・ 113- YA (B41J)
P 1 651・ 161- YA (B41J)
P 1 651・ 121- YA (B41J)
P 1 651・ 537- YA (B41J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 立澤 正樹  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 國田 正久
番場 得造
登録日 2003-07-18 
登録番号 特許第3452247号(P3452247)
権利者 セイコーエプソン株式会社
発明の名称 プリンタ、プリンタの制御方法およびプログラムを記録した記録媒体  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 稲葉 良幸  

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