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審決分類 審判 一部申し立て 発明同一  D06F
管理番号 1132580
異議申立番号 異議2003-72247  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-09-10 
確定日 2005-11-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3383957号「洗濯機及びその制御方法」の請求項1、3、4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3383957号の請求項1、3に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3383957号の請求項1、3、4に係る発明についての出願は、平成5年8月13日に出願され、平成14年12月27日に設定登録され、その後、特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成17年7月5日付けで意見書が提出されると共に、訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正事項
a.特許請求の範囲の請求項1〜4において、請求項4を削除し、請求項1における
「衣類を撹拌する撹拌翼と、該撹拌翼を回転させるモータと、該モータを駆動するモータ駆動回路とを具備し、該モータを正転および反転させることで洗いおよびすすぎを行なう洗濯機において、前記モータを正転および反転させる毎に、前記撹拌翼を所要の回転速度で回転させるモータ制御信号を前記モータ駆動回路に与えるとともに前記撹拌翼の回転速度を最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御するモータ回転速度制御回路とを有することを特徴とする洗濯機。」を、
「衣類を撹拌する撹拌翼と、該撹拌翼を回転させるモータと、該モータを駆動するモータ駆動回路とを具備し、該モータを正転および反転させることで洗いおよびすすぎを行なう洗濯機において、前記モータを正転および反転させる毎に、前記撹拌翼を所要の回転速度で回転させるモータ制御信号を前記モータ駆動回路に与えるとともに前記撹拌翼の回転速度を回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御するモータ回転速度制御回路とを有することを特徴とする洗濯機。」と訂正する。

b.明細書3頁6〜7行(特許第3383957号公報4欄1〜3行参照)に記載の
「前記攪拌翼の回転速度を最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御するモータ回転速度制御回路」を、
「前記攪拌翼の回転速度を回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御するモータ回転速度制御回路」と訂正する。

c.明細書3頁23〜24行(同上公報4欄23〜28行参照)に記載の
「第4に、衣類を撹拌する撹拌翼を正転および反転させることで洗いおよびすすぎを行なう洗濯機において、前記撹拌翼の正転時および反転時における回転速度を、回転開始時、回転停止時のうち少なくとも回転停止時において時間とともに制御しつつ変化させることを要旨とする」を削除する。

d.明細書3頁27行〜4頁3行(同上公報4欄30〜37行参照)に記載の
「上記構成において、第1に、洗い或いはすすぎ時に撹拌翼の回転速度が最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間に徐々に減速するようにモータ回転速度制御回路によりモータの回転速度を制御することにより、撹拌翼停止時の洗濯水や衣類の急激すぎる動きの変化が抑えられて水はね音が抑制される。また、過激な衣類の動きが抑制され布絡みが抑えられる結果、洗いむらや、布傷みが軽減される。」を
「上記構成において、第1に、洗い或いはすすぎ時に撹拌翼の回転速度が回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間に徐々に減速するようにモータ回転速度制御回路によりモータの回転速度を制御することにより、回転開始時の制御に関わらず撹拌翼停止時の洗濯水や衣類の急激すぎる動きの変化が抑えられて水はね音が抑制される。また、過激な衣類の動きが抑制され布絡みが抑えられる結果、洗いむらや、布傷みが軽減される。」と訂正する。

e.明細書4頁15〜16行(同上公報4欄49行〜5欄2行参照)に記載の
「第4に、撹拌翼の回転速度を回転開始時においても時間とともに変化させることにより、水はね音の一層の抑制及び布傷みの軽減が可能となる。」を削除する。

f.明細書9頁28〜29行(同上公報9欄10〜13行参照)に記載の
「以上説明したように、本発明によれば、第1に、洗い或いはすすぎ時に撹拌翼の回転速度が最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間に徐々に減速させる」を、
「以上説明したように、本発明によれば、第1に、洗い或いはすすぎ時に撹拌翼の回転速度が回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間に徐々に減速させる」と訂正する。
g.明細書10頁16〜17行(同上公報9欄31〜34行参照)に記載の
「第4に、撹拌翼の回転速度を回転開始時においても時間とともに変化するように制御する場合には、一層の水はね音の抑制とともに布傷みを軽減することが可能となる。」を削除する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無及び拡張・変更の存否
ア.訂正事項aについて
上記訂正事項aは請求項1において、モータの回転速度の制御について「回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には」を付加するものである。
したがって、この訂正は、回転停止時のモータの回転制御が回転開始時とは別に行われることを特定し、限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、当初明細書6頁段落【0015】には「図5に示す第2実施例では、パルセータ6の回転速度ω(t)を、
【数1】
(C/α)t (0≦t≦α)
ω(t)= C (α≦t≦α+γ)
(-C/β)t (α+γ≦t≦α+γ+β)
のようにしている(ただしα、β、γ、Cは正の定数)。これは、パルセータの回転速度が、図5に示すように、回転開始時、回転停止時において直線状に変化する台形状となり、水はね音が抑制されるとともに、パルセータ停止時の水や布の急激な動きが減少して洗いむらや布傷みが軽減される。」が記載されていて、この記載及び図5によると、パルセータの回転速度を回転開始時と回転停止時とで異なるように制御することを示しているから、モータの回転速度の制御についての「回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には」は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであると云える。
更に、上記事項を付加しても、本件特許発明の目的が訂正前の発明の具体的な目的の範囲を逸脱するものではないから、上記訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項4の削除についても、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものでもなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ.訂正事項b、d、fについて
上記訂正事項b、d、fは、請求項1の記載に「回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には」を付加、限定したのに伴うものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、上記訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

ウ.訂正事項c、e、gについて
上記訂正事項c、e、gは、請求項4を削除したことに対応して発明の詳細な説明を削除するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法120条の4第3項において準用する平成6年法改正前の126条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.取消理由通知の概要
当審において通知した取消理由通知の概要は、次のとおりである。
(1)理由1
請求項1、3、4に係る発明は、特願平4-291385号(特開平6-134174号)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、請求項1、3、4に係る発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本件出願の時にその出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、請求項1、3、4に係る発明についての特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。
(2)理由2
請求項1、4に係る発明は、特開平4-20379号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項の規定に違反してなされたものである。
(3)理由3
請求項1、4に係る発明は、特開平4-20379号公報に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

4.取消理由についての判断
取消理由通知の理由1について以下検討する。
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1、3に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、3に記載された次のとおりのものと認める。(なお、請求項4は、訂正請求により削除されている。)
(1)本件発明1
「衣類を撹拌する撹拌翼と、該撹拌翼を回転させるモータと、該モータを駆動するモータ駆動回路とを具備し、該モータを正転および反転させることで洗いおよびすすぎを行なう洗濯機において、前記モータを正転および反転させる毎に、前記撹拌翼を所要の回転速度で回転させるモータ制御信号を前記モータ駆動回路に与えるとともに前記撹拌翼の回転速度を回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御するモータ回転速度制御回路とを有することを特徴とする洗濯機。」
(2)本件発明2
「衣類の布質を入力する布質入力手段及び衣類の布量を入力する布量入力手段の少なくとも何れかを具備し、前記布質入力手段からの布質データ及び前記布量入力手段からの布量データの少なくとも何れかにより前記撹拌翼の回転速度変化を変えるように構成してなることを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機。」

(3)先願明細書に記載された発明
先願明細書には次の事項が図面と共に記載されている。
ア.「【請求項1】洗濯槽あるいは槽内の撹拌体を回転駆動するモータを備え、前記モータの回転によって、撹拌体により槽内に水流を得て、洗濯を行うようにしたものにおいて、洗濯槽内の布量および布質に最適な水流を得るために、前記モータの回転速度の加速時間および減速時間を制御する手段を設けたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】請求項1において、前記モータの回転速度の加速時間および減速時間を制御するために、前記モータを回転させるための回転速度指令を段階的に上昇あるいは、下降させる手段を設けたことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】請求項1において、前記モータの回転速度の加速時間および減速時間制御するために、前記モータに流れるモータ駆動電流を制御する手段を設けたことを特徴とする洗濯機。」(特許請求の範囲)
イ.「【従来の技術】従来、洗濯機においては、洗濯槽の内底部に設けられた撹拌体を、誘導モータからなるモータにより駆動して洗濯槽内に回転水流を形成して洗濯およびすすぎを行うようにしている。例えば、脱水兼用洗濯機においては、モータの正回転、停止、逆回転、停止を繰り返すことにより、一定時間ごとに交互に逆向きの回転水流を形成したものがある。…
この場合、モータは、マイコンなどの制御指令に基づいて駆動回路により通断電制御されるものであるが、その通電パターンは図5に示すように、モータを所定の回転速度とすべく矩形波の出力となっており、洗濯槽内の洗濯物の量が多い場合には通電時間が長く、洗濯槽内の洗濯物の量が少ない場合には通電時間が短くなっている。」(段落【0002】、【0003】)
ウ.「【作用】洗濯槽内の洗濯物の布量および布質に合わせて、洗濯槽あるいは槽内の撹拌体を回転駆動するモータを加速するときの加速時間および減速するときの減速時間を制御することにより、洗濯物にあわせた水流を得ることができる。例えば、洗濯槽内の洗濯物量が多く、強い水流を得ようとする場合はモータの回転速度を急激に上昇させ、洗浄力の向上を図る。また一方、洗濯物量が少なく且つ、布質がやわらかく洗濯により布が傷みやすいものにたいしては、モータの回転を徐々に上昇させ、さらに停止する場合はモータの回転速度を徐々に下降させることにより、弱い水流を得て、布傷みの低減を図る。このように、洗濯物の布量および布質に合わせて、洗濯槽あるいは槽内の撹拌体を回転駆動するモータの回転速度の加速時間および減速時間を制御することにより、洗浄力の向上、さらには布痛みの低減が可能となる。」(段落【0007】)
エ.「図1にDCブラシレスモータ2、およびDCブラシレスモータ2を制御する制御回路の構成を示し、同図に示すように、DCブラシレスモータ2の位置を位置検出回路5により検出し、モータ駆動信号をマイコン6より出力する。…
モータ駆動回路1には直流電圧Eが印加されており、モータ駆動回路1はマイコン6のモータ駆動信号でスイッチングされ、モータ駆動信号にしたがったモータ駆動電流をモータ2に流し、モータ2を回転駆動する。…
モータ駆動時のモータ駆動電流Iは電流検出抵抗3を流れ、電流検出抵抗3に流れる電流を電流検出回路4で検出し、その値をA/D変換してマイコン6に取り込んでいる。」(段落【0009】〜【0011】)
オ.「図3にモータオン/モータオフ1周期のモータ回転速度外部指令N*およびモータ回転速度内部指令ΔN*の関係を示す。同図に示すように、洗濯槽内に弱い水流を得ようとする場合は、マイコン6外部からのモータ回転速度外部指令N*にゆっくりと到達するように、加速処理部11から出力されるモータ回転速度内部指令ΔN*を徐々に上昇させ、減速時にはモータ回転速度内部指令ΔN*を徐々に下降させる。一方、洗濯槽内に強い水流を得ようとする場合は、モータ回転速度内部指令ΔN*を急激に上昇させ、モータ回転速度Nが早くモータ回転速度外部指令N*に到達するようにする。この時、弱い水流を得ようとする場合はモータ回転速度外部指令N*を小さくしてあり、強い水流を得ようとする場合はモータ回転速度外部指令N*を大きくしてある。」(段落【0014】)
カ.「前記のように、洗濯槽内の洗濯物の布量および布質に合わせ、モータ回転速度の加速時間および減速時間を制御しすることによって、洗濯槽内に最適な水流を得ている。」(段落【0016】)
キ.図1には、モータ2を駆動するモータ駆動回路1が図示され、図3には、モータ回転速度指令値の変化を示す図であって、モータ2を所要の回転速度で正回転、逆回転し、加速時、停止時は、停止状態から最大回転速度状態に至るまでの間で徐々に加速し、最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速する回転速度外部指令N*,回転速度内部指令ΔN*が図示されている。
上記ア〜キの記載事項からみて、先願明細書には次の発明が記載されている
「洗濯槽あるいは槽内の撹拌体と、該攪拌体を回転駆動するモータ2と、該モータ2を駆動するモータ駆動回路1を備え、モータ2を正回転および逆回転させることで洗濯およびすすぎを行う洗濯機において、モータ2を所要の回転速度で正回転、逆回転するとともに、洗濯槽内の布量および布質に最適な水流を得るために、前記モータ2の回転速度の加速時間および減速時間を制御する手段を設けた洗濯機。」

(ア)本件発明1について
本件発明1と先願明細書に記載された発明とを比較すると、後者の「洗濯槽あるいは槽内の撹拌体」、「洗濯」は、その機能からみて、前者の「衣類を攪拌する攪拌翼」、「洗い」にそれぞれ相当する。
また、後者の「モータ2を所要の回転速度で正回転、逆回転するとともに、モータ2の回転速度の加速時間および減速時間を制御する手段」は、上記エ.オ.キ.の記載事項によれば、モータ駆動回路1をマイコン6のモータ駆動信号でスイッチングし、モータ駆動信号にしたがったモータ駆動電流をモータ2に流し、モータ2を回転駆動するものであって、モータ2を所要の回転速度で正回転、逆回転し、停止時は、最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間徐々に減速するものであり、更に、加速、減速指令のモータ回転速度内部指令ΔN*はマイコン6で演算されるものであるから、撹拌翼の回転速度を回転開始時と回転停止時別に制御できるものであると云える。したがって、後者の「モータ2を所要の回転速度で正回転、逆回転するとともに、モータ2の回転速度の加速時間および減速時間を制御する手段」は、前者の「モータを正転および反転させる毎に、前記撹拌翼を所要の回転速度で回転させるモータ制御信号を前記モータ駆動回路に与えるとともに前記撹拌翼の回転速度を回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御するモータ回転速度制御回路」に相当する。
してみれば、両者は、
「衣類を撹拌する撹拌翼と、該撹拌翼を回転させるモータと、該モータを駆動するモータ駆動回路とを具備し、該モータを正転および反転させることで洗いおよびすすぎを行なう洗濯機において、前記モータを正転および反転させる毎に、前記撹拌翼を所要の回転速度で回転させるモータ制御信号を前記モータ駆動回路に与えるとともに前記撹拌翼の回転速度を回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御するモータ回転速度制御回路とを有する洗濯機。」で一致し、相違点は見あたらない。
よって、本件発明1は先願明細書に記載された発明と同一である。

(イ)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1に、
「衣類の布質を入力する布質入力手段及び衣類の布量を入力する布量入力手段の少なくとも何れかを具備し、前記布質入力手段からの布質データ及び前記布量入力手段からの布量データの少なくとも何れかにより前記撹拌翼の回転速度変化を変える」構成を付加したものである。
ところで、先願明細書に記載された発明は、洗濯槽内の布量および布質に最適な水流を得るために、前記モータ2の回転速度の加速時間および減速時間を制御する手段を備えているから、布質データ及び布量データにより攪拌翼の加速、減速制御を行うものである。そして、布質および布量に合わせた制御を行うためには、制御装置が布質、布量を認識しなければならないから、当然に制御装置に布量及び布質を入力するための装置が必要であり、また、洗濯機において、パネルに量等を入力するスイッチを設けることは普通に行われていることである(例えば、実開昭58-109481号公報参照)。
したがって、先願明細書に記載された発明は、実質的に「衣類の布質を入力する布質入力手段及び衣類の布量を入力する布量入力手段の少なくとも何れかを具備し、前記布質入力手段からの布質データ及び前記布量入力手段からの布量データの少なくとも何れかにより前記撹拌翼の回転速度変化を変える」構成を具備していると云えるから、本件発明2は先願明細書に記載された発明と同一である。

5.むすび
以上のとおり、本件発明1、2は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本件発明1、2の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本件出願の時にその出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本件発明1、2は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件発明1、2についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、取消理由の他の理由を検討するまでもなく、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
洗濯機及びその制御方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】衣類を撹拌する撹拌翼と、該撹拌翼を回転させるモータと、該モータを駆動するモータ駆動回路とを具備し、該モータを正転および反転させることで洗いおよびすすぎを行なう洗濯機において、前記モータを正転および反転させる毎に、前記撹拌翼を所要の回転速度で回転させるモータ制御信号を前記モータ駆動回路に与えるとともに前記撹拌翼の回転速度を回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御するモータ回転速度制御回路とを有することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】衣類を撹拌する撹拌翼と、定回転モータと、該定回転モータの回転速度を可変して前記撹拌翼に伝達する回転速度可変伝達手段とを具備し、該定回転モータを正転および反転させることで洗いおよびすすぎを行なう洗濯機において、前記定回転モータを正転および反転させる毎に、前記撹拌翼を所要の回転速度で回転させる撹拌翼回転速度指示信号を前記回転速度可変伝達手段に与えるとともに前記撹拌翼の回転速度を最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御する撹拌翼回転速度制御手段とを有することを特徴とする洗濯機。
【請求項3】衣類の布質を入力する布質入力手段及び衣類の布量を入力する布量入力手段の少なくとも何れかを具備し、前記布質入力手段からの布質データ及び前記布量入力手段からの布量データの少なくとも何れかにより前記撹拌翼の回転速度変化を変えるように構成してなることを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、撹拌翼を回転させることにより、衣類の洗い、すすぎを行う洗濯機及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
撹拌翼を回転させることによって洗い、あるいはすすぎを行う従来の洗濯機において、撹拌翼を回転させる動力源であるモータの回転速度の変化は、図13に示すように方形波状に制御されていた。したがって、モータを停止させるとき、すなわちモータが回転状態から静止状態に至ると、撹拌翼もそれに追随して急激に回転状態から静止状態になる。しかしながら、洗濯水とその中の布は撹拌翼の動きに追随できずに回転し続け、停止している撹拌翼、あるいは次の逆方向に回転している撹拌翼に衝突し、必要以上に激しい布の動きを生じさせていた。これは、大きな水はね音の原因となっていた。また、これは、布絡みの原因にもなっており、その結果として洗いむらや布傷みも生じていた。一方、モータ起動時の水はね音を抑制するために、このときのモータの回転速度を、図14に示すように徐々に大きくしていくという方法が従来からあった。しかしながら、モータ停止時に関しては、何ら改善されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
洗い、あるいはすすぎ中に発生する水はね音を抑制することは、モータや給排水弁の動作音が小さくなってきた現在、トータルとしての洗濯機の静音化に欠かせないものである。しかしながら、従来の洗濯機では、このような水はね音を十分に抑制することができず、特にモータ停止時に関しては、何ら考えられていなかった。また、布絡み、洗いむら、布傷み等に対してもこれらを防止するのに十分なものではなかった。
【0004】
本発明は、これらのことに鑑みてなされたもので、その目的とするところは、洗い時、あるいはすすぎ時の水はね音を抑制し、同時に布絡み、洗いむら、布傷みの発生を減少させることができる洗濯機及びその制御方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、第1に、衣類を撹拌する撹拌翼と、該撹拌翼を回転させるモータと、該モータを駆動するモータ駆動回路とを具備し、該モータを正転および反転させることで洗いおよびすすぎを行なう洗濯機において、前記モータを正転および反転させる毎に、前記撹拌翼を所要の回転速度で回転させるモータ制御信号を前記モータ駆動回路に与えるとともに前記撹拌翼の回転速度を回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御するモータ回転速度制御回路とを有することを要旨とする。
【0006】
第2に、衣類を撹拌する撹拌翼と、定回転モータと、該定回転モータの回転速度を可変して前記撹拌翼に伝達する回転速度可変伝達手段とを具備し、該定回転モータを正転および反転させることで洗いおよびすすぎを行なう洗濯機において、前記定回転モータを正転および反転させる毎に、前記撹拌翼を所要の回転速度で回転させる撹拌翼回転速度指示信号を前記回転速度可変伝達手段に与えるとともに前記撹拌翼の回転速度を最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間で徐々に減速制御する撹拌翼回転速度制御手段とを有することを要旨とする。
【0007】
第3に、上記第1又は第2の構成において、衣類の布質を入力する布質入力手段及び衣類の布量を入力する布量入力手段の少なくとも何れかを具備し、前記布質入力手段からの布質データ及び前記布量入力手段からの布量データの少なくとも何れかにより前記撹拌翼の回転速度変化を変えるように構成してなることを要旨とする。
【0008】
【0009】
【作用】
上記構成において、第1に、洗い或いはすすぎ時に撹拌翼の回転速度が回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間に徐々に減速するようにモータ回転速度制御回路によりモータの回転速度を制御することにより、回転開始時の制御に関わらず撹拌翼停止時の洗濯水や衣類の急激すぎる動きの変化が抑えられて水はね音が抑制される。また、過激な衣類の動きが抑制され布絡みが抑えられる結果、洗いむらや、布傷みが軽減される。
【0010】
第2に、モータの回転速度は一定であっても洗い或いはすすぎ時に撹拌翼の回転速度が最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間に徐々に減速するように撹拌翼回転速度制御手段で回転速度可変伝達手段を制御することにより、上記と同様の作用が得られる。
【0011】
第3に、衣類の布質及び布量の少なくとも何れかに応じて撹拌翼を停止させるときの回転速度変化を変えることにより、撹拌翼停止時の減速状態が衣類の布質や布量に対しさらに最適なものとなって一層適切に水はね音の抑制及び布絡み、洗いむら、布傷みの発生を減少させることが可能となる。
【0012】
【0013】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。図1乃至図4は、本発明の第1実施例を示す図である。図1は洗濯機の内部構造を示す部分断面図、図2は、その制御回路のブロックダイアグラムである。本実施例に示す洗濯機は、誘導モータを使用し、これをインバータによって駆動することにより発生するトルクを変化させ、洗濯水や衣類による負荷に無関係に撹拌翼の回転速度を連続的に変えることができるようになっている。まず、図1、図2を用いて洗濯機の構成を説明する。誘導モータ1は、トルク伝達手段であるモータプーリ2、ベルト3、機構部プーリ4、クラッチ23、機構部5を経て、撹拌翼であるパルセータ6へトルクを伝達するようになっている。機構部5は、減速ギア、ブレーキ、パルセータ回転軸9からなっている。クラッチ23は、誘導モータ1からのトルクを洗い、すすぎ時に回転させるパルセータ6へ伝達するか、あるいは脱水時に回転させる脱水槽7に伝達するかを切り替えるためのものである。ブレーキは、パルセータ6を回転させるときに、脱水槽7が一緒になって回転するのを抑えたり、脱水槽7の回転にブレーキをかけるためのものである。パルセータ回転軸9は、減速ギアからのトルクをパルセータ6へ伝達するためのものである。誘導モータ1は、モータ駆動回路であるインバータ8によって駆動される。回転速度を指示するモータ回転速度制御回路は、パルセータ6の回転速度を検出するためにパルセータ回転軸9に取り付けられたロータリエンコーダ10と、ロータリエンコーダ10からのパルセータ回転速度信号を入力し、その値が設定値になるようにインバータ8をコントロールするマイクロプロセッサ11とからなっている。回転速度指示信号は0から5Vの範囲の電圧信号eで、マイクロプロセッサ11の電圧出力端子から出力される。誘導モータ1は0Vのときは停止状態で、5Vのとき最大回転速度で回転する。図1において、24はダンパ、25は外箱、26は排水弁、27は排水ホース、28は吊り棒、29は液体バランサ、30は脱水槽回転軸、31は洗濯槽である。
【0014】
次に、図3のフローチャート及び図4のパルセータ回転速度特性を用いて、この洗濯機の動作を説明する。洗濯槽31の内部への注水終了後(ステップ41)、マイクロプロセッサ11はインバータ8に誘導モータ1を回転させるように指示する(ステップ42)。このときインバータ8に指示する回転速度指示信号e(t)は、パルセータ6の回転速度がある設定値ωになるような値である。本実施例では、図4に示すようにω(t)=Asinαt(ただしA、αはある正の定数、0≦t≦(π/α))となるようにする(ステップ43)。マイクロプロセッサ11は、回転速度指示信号e(t)を0Vから徐々に変化させる。すると誘導モータ1は回転を始め、そのトルクはモータプーリ2、ベルト3、機構部プーリ4、機構部5を経てパルセータ6へ伝達され、その結果としてパルセータ6は回転を始める。パルセータ6の回転速度ω’(t)は、ロータリエンコーダ10により検出され、その検出値はマイクロプロセッサ11に送信される(ステップ44)。マイクロプロセッサ11は時刻tでの設定回転速度ω(t)と実際の回転速度ω’(t)との差Δ(t)=ω(t)-ω’(t)を計算する(ステップ45)。もしΔ(t)>0であるならば、制御電圧e(t)を小さくし、逆にΔ(t)<0の場合はe(t)を大きくする。すなわちマイクロプロセッサ11は、時刻tのときの制御電圧e(t)に対して、時刻t+δtでの制御電圧e(t+δt)をe(t+δt)=e(t)+βΔ(t)(βはある正の定数)というように制御を行なうことで、パルセータ6を設定回転速度で回転させる(ステップ46,47)。時刻t=π/αとなったときω(π/α)=0となり、パルセータ6は再び停止状態となる(ステップ48)。以上のような制御を繰り返して洗い、あるいはすすぎを行なった場合、洗濯水や布は徐々に減速される。したがって、パルセータ停止時の水や布の急激な動きがなくなり、水はね音が低減される。また、必要以上に布が捻られることがないため、布傷みや布絡みが減少し、洗いむらも少なくなる。
【0015】
図5に示す第2実施例では、パルセータ6の回転速度ω(t)を、
【数1】
(C/α)t(0≦t≦α)
ω(t)=C(α≦t≦α+γ)
(-C/β)t(α+γ≦t≦α+γ+β)
のようにしている(ただしα、β、γ、Cは正の定数)。これは、パルセータの回転速度が、図5に示すように、回転開始時、回転停止時において直線状に変化する台形状となり、水はね音が抑制されるとともに、パルセータ停止時の水や布の急激な動きが減少して洗いむらや布傷みが軽減される。また、図6に示す第3実施例では、ω(t)を図示のようにステップ状にしている。本実施例において上記と同様の作用効果が得られる。
【0016】
図7は、第4実施例に係る洗濯機の内部構造を示している。前記第1実施例における誘導モータ1をブラシレスDCモータ12に置き換え、モータ軸とパルセータ回転軸9を直結しダイレクトドライブとした洗濯機である。制御は、第1実施例、第2実施例、第3実施例と同様にでき、同様な作用効果が得られる。
【0017】
図8乃至図11には、第5実施例を示す。図8は洗濯機の内部構造を示す部分断面図、図9はその制御回路のブロックダイアグラム、図10は図8における回転速度可変伝達機構部の内部構成を示す図である。
本実施例の洗濯機は、永久磁石同期モータを使用しており、負荷状態にかかわらず一定の回転速度でしか回転させることができない。このため、モータとパルセータの間に、回転速度を可変する回転速度可変伝達機構部を持ち、これによりパルセータの回転速度を変えることが可能となっている。
【0018】
まず、図8、図9、図10を用いて、この洗濯機の構成を説明する。永久磁石同期モータ13は、トルク伝達手段であるモータプーリ2、ベルト3、回転速度可変伝達機構部プーリ14、及び回転速度可変伝達手段である回転速度可変伝達機構部15を経て、パルセータ6へトルクを伝達するようになっている。回転速度可変伝達機構部15は、回転速度可変伝達部プーリ14からのトルクを回転速度可変機構部15内に伝達するギア32、ギア33、トゥースクラッチ(a)17、トゥースクラッチ(b)37、クラッチ軸38、クラッチ制御機構34、クラッチ制御モータ35、ブレーキ36、5段の減速ギアからなるギアボックス16で構成されている。トゥースクラッチ(a)17は、永久磁石同期モータ13からのトルクをギアボックス16に伝達するか伝達しないかを切り替えるためのものである。これは、クラッチ制御モータ35の回転によりクラッチ制御機構34を上下させ、これに連動したクラッチ軸38を動かすことでトゥースクラッチ(a)17とトゥースクラッチ(b)37を噛み合せたり外したりすることで行なわれる。ブレーキ36は、脱水槽7の回転にブレーキをかけるためのものである。パルセータ回転軸9は、ギアボックス16からのトルクをパルセータ6へ伝達するためのものである。永久磁石同期モータ13は、モータ駆動回路であるリレー18によって制御される。パルセータ6の回転速度を指示する撹拌翼回転速度制御手段としての撹拌翼回転速度制御回路は、制御モータ35の回転を制御するクラッチ制御回路19と、ギアボックス16の中の複数の減速ギアを変えることによって、永久磁石同期モータ13の一定の回転速度を、パルセータ6に複数の回転速度として伝達するためのギアボックス制御回路20と、クラッチ制御回路19、ギアボックス制御回路20およびリレー18に動作指示を与えるマイクロプロセッサ11とからなっている。
【0019】
次に、図11のフローチャートを用いて、この洗濯機の動作を説明する。洗濯槽31の内部への注水終了後(ステップ51)、マイクロプロセッサ11は、クラッチ制御回路19にトゥースクラッチ(a)17を外すよう指示し(ステップ53)、トゥースクラッチ(a)17が外れた後にリレー18をオンさせて永久磁石同期モータ13を回転させる(ステップ54)。そして、ギアボックス制御回路20に最も減速比の大きいギア(第1ギア)を選択するように指示し、その後トゥースクラッチ(a)17を接続して、パルセータ6にトルクを伝達する(ステップ55,56)。パルセータ6を一定時間t1回転させたら(ステップ57)、マイクロプロセッサ11は再びクラッチ制御回路19にトゥースクラッチ(a)17を外すよう指示し、トゥースクラッチ(a)17が外れた後ギアボックス制御回路20に2番目に減速比の大きい減速ギア(第2ギア)を選択するように指示する(ステップ58)。再びトゥースクラッチ(a)17を接続して、パルセータ6を回転させる。そして、さらに時間t1後に3番目のギアに変更し、このようにして5番目の最も小さい減速比のギア(第5ギア)にと切り替えていく(ステップ59)。マイクロプロセッサ11は時間t2の後(ステップ60)、今度は逆に減速比の小さいギアから大きいギアへと5つのギアを変えていった後、リレー18をオフさせて永久磁石同期モータ13を停止させる(ステップ61〜69)、これによりパルセータ6の停止時の回転速度は、ステップ状に変化する。この動作を繰り返すことで、本実施例においても、前記第1実施例等と同様の作用効果が得られる。
【0020】
図12には、第6実施例における制御回路のブロックダイアグラムを示す。本実施例は、前記第1実施例を改良したもので、マイクロプロセッサ11にごわごわ、標準、なめらかの3つの種類の洗濯物の質を入力するための布質入力手段としての布質選択スイッチ21と、大、中、小の3つの種類の洗濯物の量を入力するための布量入力手段としての布量選択スイッチ22とが設けられている。この2つのスイッチの信号はマイクロプロセッサ11に出力され、結果としてマイクロプロセッサ11は、洗濯物の質と量をそれぞれ3段階に知ることができるようになっている。
【0021】
本実施例の洗濯機の動作は第1実施例と同様であり、そのパルセータ6の動きは、第2実施例と同様に台形状であるものとする。しかしながら、その形を決める4つのパラメータα、β、γ、Cは一定ではなく、マイクロプロセッサ11が布質選択スイッチ21と布量選択スイッチ22の出力する値によって変化させる。特に、パルセータ6の停止時の回転速度を決めるものはβとCであり、布質情報と布量情報により、例えば表1の例のように変化させることが考えられる。
【0022】
【表1】

このような設定により、第1実施例に示したような作用効果を、さらに洗濯物の布質と布量に最適なものとすることが可能となる。なお、本実施例では、パルセータ6の動きを台形状にしたが、正弦波状やステップ状にしてもよい。また洗濯物の布質や布量をスイッチにより入力したが、これをセンサによって行なうようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1に、洗い或いはすすぎ時に撹拌翼の回転速度が回転開始時と回転停止時別に制御し、回転停止時には最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間に徐々に減速させるようにモータ回転速度制御回路によりモータの回転速度を制御するようにしたため、撹拌翼停止時の洗濯水や衣類の急激すぎる動きの変化を抑えることができて水はね音を抑制することができる。また、過激な衣類の動きを抑制し布絡みを抑えることができる結果、洗いむらや、布傷みを軽減することができる。
【0024】
第2に、モータの回転速度は一定であっても、洗い或いはすすぎ時に撹拌翼の回転速度が最大回転速度状態から停止状態に至るまでの間に徐々に減速させるように撹拌翼回転速度制御手段で回転速度可変伝達手段を制御するようにしたため、上記と同様の効果が得られる。
【0025】
第3に、衣類の布質データ及び布量データの少なくとも何れかに応じて撹拌翼を停止させるときの回転速度変化を変えるようにしたため、撹拌翼停止時の減速状態が衣類の布質や布量に対し、さらに最適なものとなって一層適切に水はね音の抑制及び洗いむら、布傷みの発生を減少させることができる。
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る洗濯機の第1実施例の内部構造を一部断面で示す構成図である。
【図2】
上記第1実施例における制御回路のブロックダイアグラムである。
【図3】
上記第1実施例の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】
上記第1実施例におけるパルセータの回転速度の変化を示す図である。
【図5】
本発明の第2実施例におけるパルセータの回転速度の変化を示す図である。
【図6】
本発明の第3実施例におけるパルセータの回転速度の変化を示す図である。
【図7】
本発明の第4実施例の洗濯機の内部構造を一部断面で示す構成図である。
【図8】
本発明の第5実施例の洗濯機の内部構造を一部断面で示す構成図である。
【図9】
上記第5実施例における制御回路のブロックダイアグラムである。
【図10】
図8における回転速度可変伝達機構部の内部構成を示す構成図である。
【図11】
上記第5実施例の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図12】
本発明の第6実施例における制御回路のブロックダイアグラムである。
【図13】
従来の洗濯機における撹拌翼の回転速度の変化を示す図である。
【図14】
他の従来例における撹拌翼の回転速度の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 誘導モータ
6 パルセータ(撹拌翼)
8 インバータ(モータ駆動回路)
10 ロータリエンコーダ
11 ロータリエンコーダとともにモータ回転速度制御回路を構成するマイクロプロセッサ
12 ブラシレスDCモータ
13 永久磁石同期モータ(定回転モータ)
15 回転速度可変伝達機構部(回転速度可変伝達手段)
19 クラッチ制御回路
20 マイクロプロセッサ及びクラッチ制御回路とともに撹拌翼回転速度制御手段となるギアボックス制御回路
21 布質選択スイッチ(布質入力手段)
22 布量選択スイッチ(布量入力手段)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-10-13 
出願番号 特願平5-201646
審決分類 P 1 652・ 161- ZA (D06F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 増沢 誠一  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 柳 五三
北川 清伸
登録日 2002-12-27 
登録番号 特許第3383957号(P3383957)
権利者 株式会社東芝
発明の名称 洗濯機及びその制御方法  
代理人 三好 秀和  
代理人 小林 武  
代理人 岩▲崎▼ 幸邦  
代理人 三好 秀和  
代理人 川又 澄雄  
代理人 堀口 浩  
代理人 岩崎 幸邦  
代理人 堀口 浩  
代理人 川又 澄雄  

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