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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  A61B
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A61B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
管理番号 1132583
異議申立番号 異議2003-72473  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-03-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-10-07 
確定日 2005-12-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3394250号「定位固定外科用装置」の請求項1ないし47に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3394250号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 1.訂正の適否
(1)訂正の内容
平成17年7月28日付け訂正請求書において、特許権者が求めている訂正の内容は以下a〜gのとおりである。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「生体内の生きている組織のターゲット領域を選択的に照射することによって、放射線外科を行なうための装置であって、
前記生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像がターゲット領域を含み、かつ前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
光線発信装置が作動されると、前記ターゲッド領域を壊死させるのに十分な強度の放射線外科用視準光線を放射する光線発信装置、
前記光線発信装置を選択的に作動させるための手段、
前記放射線外科用視準光線から分離し、かつ前記放射線外科用視準光線と異なる第1及び第2の診断用光線を実質的に同時に前記写像領域に通過させる手段、前記第1と第2の診断用光線は、互いに所定のゼロでない角度で配置され、前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像を生成し、
前記第1及び第2の診断用光線の画像を表す第1と第2のデジタル電子画像を生成するための手段、
前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を、時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記デジタル電子画像とデジタル的に比較するための手段、及び
前記放射線外科用視準光線が発せられると、前記放射線外科用視準光線が連続的にターゲット領域上に焦点を合わせるように、前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記放射線外科用視準光線に対して前記ターゲット領域を移動するために、必要な場合、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段、
を有する放射線外科を行なうための装置。」とあるのを、
「生体内の生きている組織のターゲット領域を選択的に照射することによって、放射線外科を行なうための装置であって、
前記生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像がターゲット領域を含み、かつ前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
光線発信装置が作動されると、前記ターゲッド領域を壊死させるのに十分な強度の放射線外科用視準光線を放射する光線発信装置、
前記光線発信装置を選択的に作動させるための手段、
前記放射線外科用視準光線から離れており、かつ前記放射線外科用視準光線と異なる第1及び第2の診断用光線を同時に前記写像領域に通過させる手段、前記第1と第2の診断用光線は、互いに所定のゼロでない角度で配置され、前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像を生成し、
前記第1及び第2の診断用光線の画像を表す第1と第2のデジタル電子画像を生成するための手段、
前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を、時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記デジタル電子画像とデジタル的に比較するための手段、及び
前記放射線外科用視準光線が発せられると、前記放射線外科用視準光線が連続的にターゲット領域上に焦点を合わせるように、前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記放射線外科用視準光線に対して前記ターゲット領域を移動するために、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段、
を有する放射線外科を行なうための装置。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項5及び8の「実質的に」なる記載を削除する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項9の記載について、「生体内の生きている組織のターゲット領域にリニアに伸延可能な外科手段を選択的に指向するための装置であって、
前記生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像はターゲット領域を含み、かつ前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
外科装置が作動されると、リニアに伸延可能な外科手段を前記ターゲット領域に伸張する外科装置、
前記外科装置を選択的に作動させるための手段、
前記外科手段から分離し、かつ前記外科手段と異なる第1及び第2の診断用光線を実質的に同時に周期的に前記写像領域に通過させる手段、前記第1と第2の診断用光線は、互いに所定のゼロでない角度で配置され、前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像の対を周期的に生成し、
前記第1と第2の診断用光線の画像を表す第1と第2のデジタル電子画像を生成するための手段、
前記デジタル電子画像が前記ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記第1と第2のデジタル電子画像と比較するための手段、及び
前記リニアに伸張可能な外科手段が作動されると、前記外科手段は、前記ターゲット領域に照準されるように、前記ターゲット領域の前記3次元のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記外科装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段、
を有する装置。」とあるのを、
「生体内の生きている組織のターゲット領域にリニアに伸延可能な外科手段を選択的に指向するための装置であって、
前記生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像はターゲット領域を含み、かつ前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
外科装置が作動されると、リニアに伸延可能な外科手段を前記ターゲット領域に伸張する外科装置、
前記外科装置を選択的に作動させるための手段、
前記外科手段から離れており、かつ前記外科手段と異なる第1及び第2の診断用光線を同時に選択された時間間隔で前記写像領域に通過させる手段、前記第1と第2の診断用光線は、互いに所定のゼロでない角度で配置され、前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像の対を選択された時間間隔で生成し、
前記第1と第2の診断用光線の画像を表す第1と第2のデジタル電子画像を生成するための手段、
前記ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記第1と第2のデジタル電子画像と比較するための手段、及び
前記リニアに伸張可能な外科手段が作動されると、前記外科手段は、前記ターゲット領域に照準されるように、前記ターゲット領域の前記3次元のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記外科装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段、
を有する装置。」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項10の記載について、「放射線外科装置であって、
生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像は、ターゲット領域を含み、前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
光線発信装置が作動されると、前記ターゲット領域を壊死させるのに十分な強さの放射線外科用視準光線を放射する光線発信装置、
前記放射線外科用視準光線から分離し、かつ前記放射線外科用視準光線と異なる、実質的に同時に前記写像領域を通過する互いに所定のゼロでない角度に配置された第1及び第2の診断用光線を発生する第1及び第2の放射線発生器、
前記第1と第2の診断用光線を受け、前記写像領域内の各々第1と第2の射影の第1と第2の電子画像を生成する第1と第2の受信機と、
前記放射線外科用視準光線及び前記ターゲット領域の相対的空間位置を表す位置データを提供するために、前記第1と第2の電子画像を前記3次元写像とデジタル的に比較するコンピュータ、前記第1と第2の電子画像は、前記第1と第2の電子画像が前記第1と第2の診断用光線によって生成された後、前記位置データが互いに関連する前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間位置を実質的に表すように、時間的に十分近い前記写像データと比較され、
前記放射線外科用視準光線が発せられたとき、前記放射線外科用視準光線は、所望の量の照射を与えるのに必要な時間、ターゲット領域上に焦点が合うように、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間的位置に応答して、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節する装置、を有し、且つ
放射線外科が行なわれるにしたがって、前記放射線外科用視準光線の通路に対する前記ターゲット領域の移動が実質的にリアルタイムに検出され、前記ターゲット領域上に前記放射線外科用視準光線の通路を維持するために、必要な場合、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域の相対的位置が調節されるように、新しく生成された前記第1と第2の電子画像を用いて、小さな時間間隔で前記比較を周期的に繰返すことを特徴とする放射線外科装置。」とあるのを、
「放射線外科装置であって、
生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像は、ターゲット領域を含み、前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
光線発信装置が作動されると、前記ターゲット領域を壊死させるのに十分な強さの放射線外科用視準光線を放射する光線発信装置、
前記放射線外科用視準光線から離れており、かつ前記放射線外科用視準光線と異なる、同時に前記写像領域を通過する互いに所定のゼロでない角度に配置された第1及び第2の診断用光線を発生する第1及び第2の放射線発生器、
前記第1と第2の診断用光線を受け、前記写像領域内の各々第1と第2の射影の第1と第2の電子画像を生成する第1と第2の受信機と、
前記放射線外科用視準光線及び前記ターゲット領域の相対的空間位置を表す位置データを提供するために、前記第1と第2の電子画像を前記3次元写像とデジタル的に比較するコンピュータ、前記第1と第2の電子画像は、前記第1と第2の電子画像が前記第1と第2の診断用光線によって生成された後、前記位置データが互いに関連する前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間位置を表すように、時間的に十分近い前記写像データと比較され、
前記放射線外科用視準光線が発せられたとき、前記放射線外科用視準光線は、所望の量の照射を与えるのに必要な時間、ターゲット領域上に焦点が合うように、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間的位置に応答して、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節する装置、を有し、且つ
放射線外科が行なわれるにしたがって、前記放射線外科用視準光線の通路に対する前記ターゲット領域の移動がリアルタイムに検出され、前記ターゲット領域上に前記放射線外科用視準光線の通路を維持するために、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域の相対的位置が調節されるように、新しく生成された前記第1と第2の電子画像を用いて、小さな時間間隔で前記比較を周期的に繰返すことを特徴とする放射線外科装置。」と訂正する。
オ.訂正事項e
特許請求の範囲の請求項11〜47を削除する。
カ.訂正事項f
明細書第6頁第2行(本件公報第11欄第28〜29行)の「第1および第2の画像を現わし」なる記載を、「第1および第2の画像を表し」と訂正する。
キ.訂正事項g
明細書第7頁第4〜5行(本件公報第12欄第24行)の「調製する」なる記載を、「調整する」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項a、c及びdのうち、「分離し」なる記載を、「離れており」とする訂正は、明瞭でない記載の釈明であって、新規事項の追加に該当しない。
イ.訂正事項a〜dのうち、「実質的に」なる記載を削除する訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当しない。
ウ.訂正事項a及びdのうち、「必要な場合、」なる記載を削除する訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し新規事項の追加に該当しない。
エ.訂正事項aのうち、「前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために」なる記載に続けて、読点「、」を挿入する訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当しない。
オ.訂正事項cのうち、「周期的に」なる記載を、「選択された時間間隔で」とする訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当しない。
カ.訂正事項cのうち、「前記デジタル電子画像が前記ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために生成された後に、」なる記載を、「前記ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、」とする訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当しない。
そして、訂正事項a〜dは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
キ.訂正事項eは、請求項11〜47を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
ク.訂正事項f及びgは、誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

2.特許異議申立について
(1)本件発明
上記1.で示したように上記訂正が認められるから、特許第3394250号(平成3年10月16日出願、平成15年1月31日設定登録)の請求項1〜10に係る発明(以下、「本件発明1〜10」という。)は、それぞれ、訂正明細書の請求項1〜10に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。

(請求項1)「生体内の生きている組織のターゲット領域を選択的に照射することによって、放射線外科を行なうための装置であって、
前記生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像がターゲット領域を含み、かつ前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
光線発信装置が作動されると、前記ターゲッド領域を壊死させるのに十分な強度の放射線外科用視準光線を放射する光線発信装置、
前記光線発信装置を選択的に作動させるための手段、
前記放射線外科用視準光線から離れており、かつ前記放射線外科用視準光線と異なる第1及び第2の診断用光線を同時に前記写像領域に通過させる手段、前記第1と第2の診断用光線は、互いに所定のゼロでない角度で配置され、前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像を生成し、
前記第1及び第2の診断用光線の画像を表す第1と第2のデジタル電子画像を生成するための手段、
前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を、時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記デジタル電子画像とデジタル的に比較するための手段、及び
前記放射線外科用視準光線が発せられると、前記放射線外科用視準光線が連続的にターゲット領域上に焦点を合わせるように、前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記放射線外科用視準光線に対して前記ターゲット領域を移動するために、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段、
を有する放射線外科を行なうための装置。」
(請求項2)「前記光線発信装置によって生成される前記放射線外科用視準光線がX線光線であることを特徴とする請求項1に記載の装置。」
(請求項3)「前記診断用光線を写像領域に通過させる手段は、X線光線を写像領域に通過させるものであることを特徴とする請求項2に記載の装置。」
(請求項4)「前記3次元写像は、CATスキャン操作から作られ、前記データ保存メモリ内にデジタル形式で保存されることを特徴とする請求項3に記載の装置。」
(請求項5)「前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段は、前記生体を静止させたままで前記光線発信装置を移動することを特徴とする請求項4に記載の装置。」
(請求項6)「前記3次元写像はCATスキャン操作から作られ、前記データ保存メモリー内にデジタル形式で保存されることを特徴とする請求項1に記載の装置。」
(請求項7)「前記診断用光線を表す電子信号を生成するための手段は、前記電子信号をデジタル形式で生成することを特徴とする請求項6に記載の装置。」
(請求項8)「前記光線発信装置および前記生体の相対位置を調節するための手段は、前記生体を静止させたままで前記光線発信装置を移動することを特徴とする請求項7に記載の装置。」
(請求項9)「生体内の生きている組織のターゲット領域にリニアに伸延可能な外科手段を選択的に指向するための装置であって、
前記生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像はターゲット領域を含み、かつ前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
外科装置が作動されると、リニアに伸延可能な外科手段を前記ターゲット領域に伸張する外科装置、
前記外科装置を選択的に作動させるための手段、
前記外科手段から離れており、かつ前記外科手段と異なる第1及び第2の診断用光線を同時に選択された時間間隔で前記写像領域に通過させる手段、前記第1と第2の診断用光線は、互いに所定のゼロでない角度で配置され、前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像の対を選択された時間間隔で生成し、
前記第1と第2の診断用光線の画像を表す第1と第2のデジタル電子画像を生成するための手段、
前記ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記第1と第2のデジタル電子画像と比較するための手段、及び
前記リニアに伸張可能な外科手段が作動されると、前記外科手段は、前記ターゲット領域に照準されるように、前記ターゲット領域の前記3次元のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記外科装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段、
を有する装置。」
(請求項10)「放射線外科装置であって、
生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像は、ターゲット領域を含み、前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
光線発信装置が作動されると、前記ターゲット領域を壊死させるのに十分な強さの放射線外科用視準光線を放射する光線発信装置、
前記放射線外科用視準光線から離れており、かつ前記放射線外科用視準光線と異なる、同時に前記写像領域を通過する互いに所定のゼロでない角度に配置された第1及び第2の診断用光線を発生する第1及び第2の放射線発生器、
前記第1と第2の診断用光線を受け、前記写像領域内の各々第1と第2の射影の第1と第2の電子画像を生成する第1と第2の受信機と、
前記放射線外科用視準光線及び前記ターゲット領域の相対的空間位置を表す位置データを提供するために、前記第1と第2の電子画像を前記3次元写像とデジタル的に比較するコンピュータ、前記第1と第2の電子画像は、前記第1と第2の電子画像が前記第1と第2の診断用光線によって生成された後、前記位置データが互いに関連する前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間位置を表すように、時間的に十分近い前記写像データと比較され、
前記放射線外科用視準光線が発せられたとき、前記放射線外科用視準光線は、所望の量の照射を与えるのに必要な時間、ターゲット領域上に焦点が合うように、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間的位置に応答して、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節する装置、を有し、且つ
放射線外科が行なわれるにしたがって、前記放射線外科用視準光線の通路に対する前記ターゲット領域の移動がリアルタイムに検出され、前記ターゲット領域上に前記放射線外科用視準光線の通路を維持するために、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域の相対的位置が調節されるように、新しく生成された前記第1と第2の電子画像を用いて、小さな時間間隔で前記比較を周期的に繰返すことを特徴とする放射線外科装置。」

(2)特許異議申立ての概要
特許異議申立人・梅村和裕は、証拠方法として
甲第1号証(特開平1-151467号公報)、
甲第2号証(特開平1-230378号公報)、
甲第3号証(米国特許第4,791,934号明細書)、
甲第4号証(特開昭62-53674号公報)、
甲第5号証(特開平1-214343号公報)
を提出し、
本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載されているから、当該発明についての特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである、又は甲第1及び2号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、
本件の請求項2に係る発明は、甲第1及び2号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、
本件の請求項3に係る発明は、甲第1及び2号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、
本件の請求項4に係る発明は、甲第1、2及び5号証及びに記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、
本件の請求項5に係る発明は、甲第1、2及び3号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、
本件の請求項6に係る発明は、甲第1、2及び5号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、
本件の請求項7に係る発明は、甲第1及び2号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、
本件の請求項8に係る発明は、甲第1、2及び3号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、
本件の請求項9に係る発明は、甲第1〜5号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、
本件の請求項10に係る発明は、甲第1〜5号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(請求項11以降の請求項については省略)
また、請求項1について、「放射線外科用視準光線」の内容が不明であり、明細書で例示される「外科用イオン化視準光線」以外のものも含まれることとなる。「外科用イオン化視準光線」のイオン化された光線では不明である。また、「放射線外科用視準光線から分離し」なる記載では、詳細な説明と異なる。「実質的に」とはどの程度を表すのか不明瞭であり、「同時に」という記載は詳細な説明にない。「前記写像領域に通過させる」とは意味不明であり、写像領域までに通過させると読むのが妥当であるから診断用光線は写像領域を通過せず画像を生成できない。「前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像を生成し」とは、意味不明であり、かつ前記写像領域内の第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の各々の画像を生成しと解釈できるから詳細な説明にない記載でもある。「時間的に十分近い」とはどの程度か不明である。「前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために前記デジタル電子画像が生成された後に、」と記載されているから、デジタル電子画像からリアルタイムの位置を表すデータを引き出すことになり、どのようにリアルタイムの位置を表すデータが引き出されたか不明である。仮に3次元写像と第1及び第2の診断用光線の画像を表すデジタル電子画像を比較するとしても、本件特許明細書には通常の幾何学的計算技術を用いることにより正確な位置がわかるとするのみであって具体的な計算方法の記載はなく、どのようにして正確な位置がわかるか理解できない。「必要な場合」とはなにか不明である。したがって、請求項1に係る特許は、特許法第36条第4項又は第5項及び第6項の規定に違反してされたものである。
請求項5及び8について、「実質的に」とはどの程度か不明瞭であるから、請求項5及び8に係る特許は、特許法第36条第5項及び第6項の規定に違反してされたものである。
請求項9について、「放射線外科用視準光線から分離し」なる記載では、詳細な説明と異なる。また、「実質的に」とはどの程度を表すのか不明瞭であり、「同時に」という記載は詳細な説明にない。「周期的に」なる用語は詳細な説明にない。「前記写像領域に通過させる」とは意味不明であり、写像領域までに通過させると読むのが妥当であるから診断用光線は写像領域を通過せず画像を生成できない。「前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像を生成し」とは、意味不明であり、かつ前記写像領域内の第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の各々の画像を生成しと解釈できるから詳細な説明にない記載でもある。「対」と記載されるが詳細な説明にない記載である。「時間的に十分近い」とはどの程度か不明である。「ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータ」と記載されるが、詳細な説明にはデータが3次元のリアルタイムの位置を表すことが記載されていない。「前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために前記デジタル電子画像が生成された後に、」と記載されているから、デジタル電子画像からリアルタイムの位置を表すデータを引き出すことになり、どのようにリアルタイムの位置を表すデータが引き出されたか不明である。仮に3次元写像と第1及び第2の診断用光線の画像を表すデジタル電子画像を比較するとしても、本件特許明細書には通常の幾何学的計算技術を用いることにより正確な位置がわかるとするのみであって具体的な計算方法の記載はなく、どのようにして正確な位置がわかるか理解できない。したがって、請求項9に係る特許は、特許法第36条第4項又は第5項及び第6項の規定に違反してされたものである。
請求項10について、「放射線外科用視準光線」の内容が不明であり、明細書で例示される「外科用イオン化視準光線」以外のものも含まれることとなる。「外科用イオン化視準光線」のイオン化された光線では不明である。また、「放射線外科用視準光線から分離し」なる記載では、詳細な説明と異なる。「実質的に」とはどの程度を表すのか不明瞭であり、「同時に」という記載は詳細な説明にない。「前記写像領域に通過させる」とは意味不明であり、写像領域までに通過させると読むのが妥当であるから診断用光線は写像領域を通過せず画像を生成できない。「相対的空間位置」なる用語は詳細な説明に記載されていない。本件特許明細書には通常の幾何学的計算技術を用いることにより正確な位置がわかるとするが具体的な計算方法の記載はなく、どのようにして正確な位置がわかるか理解できない。「時間的に十分近い」とはどの程度か不明であり、詳細な説明にもない。「ターゲット領域のリアルタイムの空間位置」を表すことが詳細な説明にない。仮に第1及び第2の診断用光線の電子画像と写像データを比較するとしても本件特許明細書には通常の幾何学的計算技術を用いることにより正確な位置がわかるとするのみであって具体的な計算方法の記載はなく、どのようにして正確な位置がわかるか理解できない。「放射線外科用視準光線の通路に対する前記ターゲット領域の移動」なる記載及び「移動がリアルタイムに検出される」なる記載が詳細な説明にない。「必要な場合」とはなにか不明であり、「小さな時間間隔」とはその程度が不明である。「比較を周期的に繰返す」との記載は詳細な説明にない。したがって、請求項10に係る特許は、特許法第36条第4項又は第5項及び第6項の規定に違反してされたものである。(請求項11以降の請求項については省略)
したがって、本件の請求項1〜47に係る発明についての特許は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過処置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、取り消されるべきものである旨主張しているものと認める。

(3)引用刊行物
1 甲第1号証には、「治療装置」に関し、第1〜7図とともに以下のような記載がある。
・記載1-1
「(1)患者を載せる治療台、上記患者の患部の位置が明らかな上記患者の少なくとも一部を撮像できる第1の撮像手段、この第1の撮像手段によって撮像された第1の画像を表示する第1の表示手段、ビーム軸の位置が明らかな上記患者の少なくとも一部を撮像できる第2の撮像手段、この第2の撮像手段によって撮像された第2の画像を表示する第2の表示手段、上記患部の位置情報を上記第1の画像および上記第2の画像に入力できる入力手段、上記位置情報が入力された上記第1の画像および上記第2の画像に基づいて上記患者の患部に治療用ビームが照射されるように上記治療台の移動量を計算する計算手段ならびに上記治療用ビームを照射する照射手段を備えたことを特徴とする治療装置。
(2)照射手段は荷電粒子線を照射する垂直照射装置または水平照射装置、上記荷電粒子線の飛程を変化させるレンジシフタ、上記荷電粒子線の線量をモニターする線量計、および上記荷電粒子線のビームを整形するコリメータからなり、第2の撮像手段はX線を照射するX線管、このX線管の電圧を制御するX線管制御器、X線画像を光学画像に変換するイメージ・インテンシティファイア、上記光学画像を導く光学系、絞りを制御するオートアイリス、上記光学画像を撮像するテレビジョン・カメラおよびこのテレビジョン・カメラを制御するカメラ・コントロール・ユニットからなり、上記X線管に接続された上記X線管制御器および上記テレビジョン・カメラに接続された上記カメラ・コントロール・ユニットを除いて地表に対して垂直または水平な軸上に上記垂直照射装置または上記水平照射装置、上記レンジシフタ、上記線量計、上記X線管、上記コリメータ、上記イメージ・インテンシティファイア、上記光学系、上記オートアイリス、および上記テレビジョン・カメラの順に配置されており、治療台は上記コリメータと上記イメージ・インテンシティファイアとの間にあり、計算手段はアナログ-デジタル変換器を介して上記カメラ・コントロール・ユニットに接続された計算機であり、第1の表示手段および第2の表示手段は上記計算機に接続された参照画像ディスプレイおよび画像ディスプレイであり、入力手段はランドマークを入力する上記計算機に接続されたタブレットであり、第1の撮像手段はデータバスを介して上記計算機に接続されたX線画像処理断層撮影装置であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の治療装置。」(特許請求の範囲の第1及び2項)
・記載1-2
「あらかじめ、診断時において、X-CT(11)によって、患部Kの位置が明らかな、撮像された患者のX-CT画像が通信装置(29)、データバス(28)、通信装置(27)、および計算機(19)を介して画像データファイル(26)に蓄積される。」(第4頁左下欄第14〜18行)
・記載1-3
「位置決め時において、第2図(a)に示すようにX線管制御器(12)によって電圧が制御されたX線管(2)により、治療台(4)上の患者(3)がX線照射される。I.I.(13)によって、ビーム軸の位置が明らかな、集められた患者(3)のX線画像が光学画像に変換される。この光学画像が光学系(14)によって導かれ、TVカメラ(16)の絞りを自動制御するオートアイリス(15)を介して、TVカメラ(16)によって撮像されて、電気信号のアナログ信号に変換される。このアナログ信号がC.C.U(17)を介してA.D.C(18)によって、デジタル信号に変換されて、計算機(19)に供給される。この計算機(19)によって、・・・画像ディスプレイ(21)に表示される(以下、「X-TV画像」という。)。・・・そして、計算機(19)によって、ビーム軸(1)の中心(0)とランドマークN1、N2、およびN3との位置関係が調べられて、前述した患部Kとビーム軸の中心(0)との位置関係が調べられる。すなわち、第2図(d)に示すように、ビーム軸(1)の中心(0)が患部Kの中心に一致するように、治療台(4)の移動量が計算される。・・・前記移動量を表わす制御信号が治療台(4)に出力されて、荷電粒子線が患部Kに正確に照射されるように、治療台(4)が移動される。」(第4頁右下欄第14行〜第5頁右上欄第5行)
・記載1-4
「実際の治療時において、・・・なお、この時、X線管(2)がビーム軸(1)から影響のない位置へ移動されている。
こうして、簡単に、自動的に、正確に位置決めがなされて、荷電粒子線によるがん治療が行なわれる。」(第5頁右上欄第6行〜左下欄第3行)
・記載1-5
「第4図はこの発明のさらに他の実施例を示す構成図である。第1図の実施例と異なるところは、下記の箇所である。第2の撮像手段が他のX-CT(13B)から構成され、ビーム軸(1)上に配置されている。またX-CT(13B)によって、撮像されたX-CT画像が計算機(19)に出力される。」(第5頁左下欄第14〜19行)
・記載1-6
「荷電粒子線のビーム軸(1)ならびに(1a)に直角な軸(1b)上に、X線管(2b)およびI.I.(13b)が配置されても所期の目的を達成し得ることはいうまでもない。こうすることにより、平面的な位置決めだけでなく立体的な位置決めが可能になる。」(第5頁右下欄第7〜12行)
2 甲第2号証には、「放射線治療装置」に関し、第1〜8図とともに以下のような記載がある。
・記載2-1
「放射線を発生する放射線照射手段が取り付けられた架台を回転させながら患者の患部に放射線を照射して治療を行う放射線治療装置において、前記患者の患部の形状および輪郭などの情報に基づいて前記放射線の照射野、出力線量率、および前記患者の治療寝台の前後左右の設定値を計算する計算手段と、この計算手段による計算結果を格納する記憶手段と、この記憶手段に格納された前記計算結果に基づいて前記治療寝台に設定された患者患部に対する照射野を電動制御により形成するコリメータ手段と、前記放射線の出力線量率の設定、前記治療寝台の駆動制御、その位置表示を行う副操作器と、この副操作器からの駆動信号により位置が電動設定され、上下,前後,左右とも電動駆動可能な前記治療寝台と、前記副操作器からの出力線量率の設定値により放射線治療装置の出力線量率を制御する主操作器とを備えたことを特徴とする放射線治療装置。」(特許請求の範囲)
・記載2-2
「この発明は、放射線治療装置に関し、特に患者の患部の位置に応じて患者治療台の位置、放射線の患部に対する照射野、出力線量率を制御できる放射線治療装置に関するものである。」(第1頁右欄第5〜8行)
・記載2-3
「第5図は電子ライナツクからの電子線またはこれをX線に変換したものを放射線源として利用する従来の放射線治療装置の全体構成図」(第1頁右欄第18〜20行)
・記載2-4
「このような放射線治療装置を用いて治療を資施する場合は、あらかじめX線コンピユータトモグラフイ(CT)装置などによりあらかじめ患者6の患部7の体内での位置や形状を求めておき、・・・
治療に使用する電子線、またはこれを変換して得られるX線は通常の電子ライナツクから得られる。即ち、電子発生部9からの電子線は電子加速部10に入射される。
電子加速部10は、高周波電界発生部11から印加されたマイクロ波を用いて電子発生部9から入射された電子線を加速して次の電子線偏向用の電磁石12に送出する。この電磁石12で、電子線は直角に曲げられ、軌導放射でX線に変換されるか、または電子線のままでコリメータブロツク2,3(第5図の放射線しやへい用のブロツクに対応する)に入り、ここでコリメートされる。そして、治療寝台5に設定された患者6の患部7に照射される。電子発生部9と高周波電界発生部11は、電源13で付勢される。以上の諸要素は、遠隔操作式主操作器14により、例えば、回転架台4の回転や照射線量の設定などが制御される。
一般に、放射線治療は、正常組織への放射線の被曝を最小にし、かつ患部7による吸収線量を最大にすることが治療効果の向上につながるとされている。」(第2頁右上欄第3行〜左下欄第12行)
・記載2-5
「第2図は、患部7を、患者6の体軸と直交する平面で等分割した状態を示し、第3図はその場合の中心断面を示したものである。また、第4図はこの実施例の動作の、各制御ステツプ毎の設定状態を示したものである。
第2図に示したように、患者6の患部7は、間隔l0で6等分される。この場合の患部7の断面は別に設けたX線コンピユータトモグラフイ法により求められる。」(第3頁右下欄第12〜20行)
3 甲第3号証には、「Computer tomography assisted stereotactic surgery system and method」(コンピュータ断層撮影に支援された定位固定手術のシステムと方法)に関し、第1及び2図とともに以下の旨の記載があると認められる。
・記載3-1
「好ましい実施態様の詳細な説明
患者または対象の詳細な非侵襲性の検査が、好ましくは、検査ステーションまたは検査室、図1にあるマルチスライスイメージャーAを使用しておこなわれる。通例、検査は、患者を通過している一連の平面スライス、患者の三次元の部位、またはこれらに類したものを表示している電子マッピングデータを結果としてもたらしている。図1の実施態様は、コンピュータ断層撮影装置、別名、CTスキャナーを図解している実施様態であるが、磁気共鳴影像法やその他の非侵襲性の画像もまた利用できる点が評価される。
マッピングデータは、二番目の現場、特に、外科手術の舞台またはステーション、図2に伝送される。二番目の現場では、患者は、二番目のイメージング装置Bを使用して、好ましくは、選択できる角度で患者を通過している二次元のシャドーグラフの投射を表示している電子データを生成するイメージング装置を使用して検査がおこなわれる。類似するシャドーグラフの投射やその他の画像が、最初のイメージャーAに由来するマッピングデータから総合されるか再構成され、これが、二番目のイメージャーBに由来する参照画像表示と比較される。最初のイメージャーのマッピングデータから総合されたシャドーグラフの画像は、これが参照画像と共に登録されるまで調整が加えられる。定位固定手術設備またはガイドCは、二番目のイメージャーに関連させた選択できる位置と角度の方位付けのところに取付けられる。定位固定手術設備は、侵襲性の手術装置を、マッピングデータまたは最初のイメージャーのデータから選択された経路に沿うようにするために、患者に関連させて容易に位置付けられる。」(3欄38行〜4欄2行)
・記載3-2
「重ね合わせの手段72が、投射フォーマットの手段、および、シャドーグラフの画像フォーマットの手段62のそれぞれに由来する、シャドーグラフの投射診断の画像と較正参照投射の画像との重ね合わせをおこなっている。投射フォーマットの手段70から来る画像が、少なくとも画像の中にある関係のある部位のほとんどが正確に重なり合い一致するようになるまで、平面と角度の選択手段34’を使用して方位付けと位置が調整される。」(6欄9〜17行)
・記載3-3
「好ましくは、二番目の較正参照のシャドーグラフの画像が、また別の角度の方位付けから患者を通過して生成されるように、二番目のイメージング手段Bの放射線源50と検知器アレイ52とを回転させることができる。」
(6欄42〜46行)
・記載3-4
「較正の調整が加えられた後には、画像フォーマットの手段36’が、患者が現在配置されている座標システムの中で平面と方位付けを選択できるように、平面と方位付けの選択手段34’に呼び出される平面と方位付けは、補正メモリー76によって加えられた適切な角度と空間の補正を持つものである。座標の重ね合わせの手段84は、診断画像によって生成される画像上の寸法のデータやその他の座標上の位置のデータの重ね合わせをおこなう。
ある実施態様の中では、定位固定手術手段Cは、ガイドまたは管90を含んでおり、これが、患者用台の縦軸に沿って選択的に位置付けることのできるキャリッジ92の上に取付けられている。縦方向の位置の固定手段94は、選択された縦方向の位置のところでキャリッジを選択的にロックする。ジンバル組立品96は、管90を三次元で回転させ、選択された方位付けの中でロックすることを可能にしている。このようにして、管の内側の末端98は、患者の表面の上でまたは患者の表面の近くで、選択された始点または進入ポイントに隣接させて位置を定めることができ、そして、選択された軸に沿って管の位置を定めロックすることができる。患者と定位固定手術手段とは両方とも、患者用台に関連させて固定されているために、両者は相互に関連させて固定されている。
生検針、膿瘍排膿針、放射線インプラント探触子、整形外科用ピン取付け装置、コントラスト用注射器やその他の薬物注射器などいった侵襲性の手術器具100が、スライドさせることができるように管の中に受け入れられている。調整可能な停止手段102が、器具が管の中に挿入される距離、したがって、先導の末端部が患者を貫通する深さを制限する。これによって、内科医や外科医は、器具の先導の末端部が選択された場所に到達するまで、手動で器具を患者の中に挿入することができるようになる。手動による挿入は、器具が異なる種類の組織に貫通したときに、医者に触覚によるフィードバックを提供するという利点を持っている。
選択的に、自動的な挿入ガイドまたはロボットアームの装置を利用することができる。自動化されたバージョンでは、オペレーターは、始点と角度の選択手段110を使用して、3つの軸に関連させた進入角度で患者に進入するポイントの空間座標を入力する。空間的な位置の制御手段112は、三番目のアーム116の先導の末端部が選択された始点に位置するように、スリーアーム制御器114に対してモーターを駆動するために制御信号を送っている。角度の制御手段118は、ロボットアームを回転させて、三番目のアーム116が選択された角度の方位付けとなるようにしている。三番目のアームは、この場合もまた、医者が手動でその中に手術用器具を挿入する管であることができる。選択的に、三番目のアームは手術用器具それ自体であることが可能であり、そしてこの場合もまた、手術用器具の制御モーターが作動され、三番目のアームが、選択された手術機能を実行するために、設定された角度で予め選択された距離を進むことができる。
最初のイメージング装置はこれまでにCTスキャナーとして記述されてきたが、その他のマルチスライスおよび三次元のイメージング技術もまた使用できる点が評価される。その他の三次元イメージング技術としては、磁気共鳴影像法、陽電子放射断層撮影法といった放射CT、超音波診断法、および、複合的なイメージング技術を挙げることができる。二番目のイメージング装置はこれまでにデジタル放射線写真イメージングシステムとして記述されてきたが、超音波、イメージャー、旧式で低速のCTイメージャーなどといったその他のイメージャーもまた使用できる点が評価される。もうひとつの選択肢として、スキャニング光濃度計やこれの類を使用して、電子デジタルシャドーグラフデータを、従来のシャドーグラフの写真フィルムの画像から生成することができる。写真のシャドーグラフの機器もまた、較正の重ね合わせをおこなう目的で、ディスプレー手段64に映し出すことのできる写真画像を作り出すのに使用することができる。」(7欄4行〜8欄8行)
・記載3-5
「侵襲性の手順をおこなうのに先立って、手術器具が対象の内部部位に関連させた位置を正確に取ることができる臨床的な方法で、この方法は以下からなっている:
対象内の構造物の位置を正確に特定するために対象の容量を画像化し、そして、これを表示している三次元の診断マッピングデータを作り出す;
侵襲性の手順が実施されることになっている臨床治療所に対象を移送する、侵襲性の手順を始める前に、構造物を含んでいる画像化された容量を通過する二次元の較正参照画像を生成することによって、治療所に関係させて患者内の構造物の位置を再確認するために、患者の画像化をおこなう;
三次元の診断マッピングデータから類似する二次元の画像をコンフィギュレーションする;
較正参照と診断データの二次元画像を比較して、患者と三次元マッピングデータとの間の相対的な方位付けについて決定する;そして
比較の段階に従って、位置が確認されている構造物の侵襲性の治療をおこなうために、画像化された容量に関連させて手術器具の位置を確定するために、手術器具を移動させ方位付ける。」(8欄19〜45行、請求の範囲の請求項1)
4 甲第4号証には、「放射線治療装置用リアルタイム位置決め装置」に関し、第1〜4図とともに以下のような記載がある。
・記載4-1
「治療すべき患部を透過してきたX線を検出し、ガントリの角度信号の関数であるアナログ画像信号を出力するリアルメイムイメージX線検出部と、前記アナログ画像信号を増幅した後、A/D変換するリアルタイムイメージアナログ信号インタフエースと、前記リアルタイムイメージアナログ信号インタフエースから出力される最初の照射時の情報であるデイジタル情報か、または治療すべき設定されるガントリの角度信号をA/D変換して得られるデイジタル角度信号を記憶する画像メモリ部と、前記リアルタイムイメージアナログ信号インタフエースからのデイジタル情報をモニタするリアルタイムイメージ高速処理部と、前記リアルタイムイメージ高速処理部のモニタ情報と前記画像メモリ部の記憶情報とのサプトラクシヨン処理を行なう画像サブトラクシヨン処理部と、前記画像サプトラクシヨン処理部の処理出力により放射線治療装置の放射線治療条件を制御する制御部とを含み、放射線照射中またはその直後に、放射線治療装置の各部を制御し、計画通りの位置決めを行なうように構成したことを特徴とする放射線治療装置用リアルタイム位置決め装置。」(特許請求の範囲)
・記載4-2
「前記構成によれば、従来のように照射毎に1枚のフイルムを使用する問題は解決され、アナログ画像信号の入力にしたがいリアルタイムで各部の位置決め制御するので、例えば回転治療、原体治療、運動治療の場合でも高精度の位置付けができ、治療精度が向上する。
(実施例)
以下、図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。
第1図は本発明による放射線治療装置用リアルタイム位置決め装置の実施例を示す図である。
リニア・アクセラレータの放射線治療装置に適用したもので、第4図に用いたものと同符号部分は同機能を果す部分である。
ガントリ2内の放射線発生部l0で発生したX線はX線コリメータ3で必要な制御を受けて治療台の患者4を透過してリアルタイムイメージX線検出部6に達する。X線検出部6は治療中の患部の位置を検出するもので、ガントリの角度信号の関数であるアナログ画像信号を出力する。アナログ画像信号はリアルタイムイメージ(RTI)アナログ信号インタフエースa、照合用画像メモリ部b、リアルタイムイメージ(RTI)高速処理部cおよび画像サブトラクシヨン処理部dよりなる高速画像処理部7に供給される。高速面像処理部7ではアナログ画像信号が増幅、A/D変換されたのち、まず、その情報が記憶される。
次いで入力したアナログ画像信号が同様に増幅、A/D変換され、患部の位置のリアルタイムイメージがモニタされ、最初に記憶された情報と照合され、制御信号が出力される。この制御信号は治療条件制御部に供給され、治療台位置制御部e、線量率制御部fおよび照射野制御部gにそれぞれ入力される。放射線照射方向角度制御部hはスタンド部lに接続され、ポテンシヨメータまたはダイヤルエンコーダなどにより角度信号を得、A/Dコンバータによりデイジタル角度信号を出力する。このデイジタル角度信号は治療台位置制御部e、線量率制御部fおよぴ照射野制御部gにそれぞれ与えられ、治療寝台5、X線コリメータ3および放射線発生器2がそれぞれ制御されている。
高速画像処理部7から入力した制御信号により、各制御部e,f,gはそれぞれ治療寝台5、X線コリメータ3および放射線発生器2の補正を行なう。
第2図は、第1図の高速画像処理部と治療条件制御部を中心に記載したものである。」(第2頁左下欄第16行〜第3頁右上欄第2行)
・記載4-3
「したがつて、治療の1回毎に1枚のフイルムを使用するという従来の問題は解決されて経済的な負担を軽減化するとともに、リアルタイムで計画治療領域に修正を行なうので高精度の治療ができるという効果がある。特に回転治療、原体治療、運動治療を実行するときにはその効果は大きい。」(第3頁右下欄第4〜10行)
5 甲第5号証には、「CT画像活用型治療計画装置」に関し、第1〜3図とともに以下のような記載がある。
・記載5-1
「本発明は所定厚さにスライスされたCT画像を多数用いて放射線治療における照射野を決定するCT画像活用型治療計画装置に関する。」(第1頁右欄第4〜6行)

(4)対比・判断
ア.本件発明1について
本件発明1と甲第1号証記載の発明を対比すると、
両者は少なくとも以下の点で相違する。
相違点:本件発明1は、「放射線外科用視準光線から離れており、かつ前記放射線外科用視準光線と異なる第1及び第2の診断用光線を同時に前記写像領域に通過させる手段、」
「ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を、時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記デジタル電子画像とデジタル的に比較するための手段、」及び
「前記放射線外科用視準光線が発せられると、前記放射線外科用視準光線が連続的にターゲット領域上に焦点を合わせるように、前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記放射線外科用視準光線に対して前記ターゲット領域を移動するために、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段」を有しているのに対し、
甲第1号証に記載の発明は、診断用光線であるX線管(2)や他のX-CT(13B)は、自動的に位置決めした後に、ビーム軸(1)から影響のない位置へ移動されて、荷電粒子線によるがん治療が行なわれるものであって、「放射線外科用視準光線から離れて」いるとはいえず、位置決め後、X線管(2)や他のX-CT(13B)は移動されてから、荷電粒子線を照射するのであるから、「ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を、時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記デジタル電子画像とデジタル的に比較するための手段、」も「放射線外科用視準光線が発せられると、前記放射線外科用視準光線が連続的にターゲット領域上に焦点を合わせるように、前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記放射線外科用視準光線に対して前記ターゲット領域を移動するために、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段」も有していない点。

以下、相違点について検討する。
甲第2号証には、X線コンピユータトモグラフイ(CT)装置などによりあらかじめ患者6の患部7の体内での位置や形状を求めておき、コリメートされた放射線を発生する放射線照射手段が取り付けられた架台を回転させながら患者の患部に放射線を照射して治療を行う放射線治療装置が記載されているものの、上記第1と第2の診断用光線や、その関連構成に関しては記載されていない。
したがって、本件発明1については、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第1及び2号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。
甲第3号証には、二番目のイメージング装置Bを使用して位置決めし、その後、ロボットアームの装置等の侵襲性の手術装置を進めることが示されているものの、その手術装置は位置決め後に、設定された角度で予め選択された距離を進むものであって、その手術中に連続的に調整するように、ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、放射線外科用視準光線に対して前記ターゲット領域を移動するために、手術装置及び生体の相対的位置を調節するための手段を示唆するものではない。したがって、甲第1号証記載の発明に適用して本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であるとはいえない。
甲第4号証には、放射線治療装置用リアルタイム位置決め装置であって、治療すべき患部を透過してきたX線を検出し、放射線照射中またはその直後に、放射線治療装置の各部を制御し、計画通りの位置決めを行なう旨が記載されている。
そして、放射線発生部l0で発生したX線は治療台の患者4を透過してリアルタイムイメージX線検出部6で検知され、リアルタイムイメージが形成されるものの、他方、治療用の放射線とリアルタイムイメージを形成するX線とについて、異なるものであるか否か明確でなく、また、両者が離れていることにより、ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すことができ、放射線外科用視準光線が発せられるときに、光線発信装置及び生体の相対的位置を調節するための手段を設けることについても記載されていない。
つまり、放射線外科用視準光線が発せられるときに、連続的に、リアルタイムに位置決めするための具体的構成として、放射線外科用視準光線と診断用光線を離れさせ、放射線外科用視準光線が発せられると、放射線外科用視準光線が連続的にターゲット領域上に焦点を合わせるように、ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、光線発信装置及び生体の相対的位置を調節するための手段については記載されず、示唆もない。
したがって、甲第4号証記載の発明を適用して、上記相違点に係る本件発明1の構成とすることが容易であるとはいえない。
甲第5号証には、所定厚さにスライスされたCT画像を多数用いて放射線治療における照射野を決定するCT画像活用型治療計画装置が記載されるが、上記第1と第2の診断用光線や、その関連構成に関しては記載されていない。したがって、甲第1号証記載の発明に適用して本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であるとはいえない。
以上のとおりであるから、本件発明1は甲第1号証に記載された発明であるとはいえないし、甲第1〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

そして本件発明1の構成とすることにより、本件特許明細書に記載の効果を奏するものと認められる。

イ.本件発明2〜8について
請求項2〜8は、請求項1を引用するものであって、本件発明2〜8は、本件発明1の構成をすべて有し、さらに限定を付すものである。
そして、本件発明1は上記ア.に述べたとおり、甲第1〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものはいえないのであるから、本件発明2〜8についても、甲第1〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものはいえない。

ウ.本件発明9について
本件発明9と甲第3号証記載の発明を対比すると、
両者は少なくとも以下の点で相違する。
相違点:本件発明9は、「第1及び第2の診断用光線を同時に選択された時間間隔で写像領域に通過させる手段、」「前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像の対を選択された時間間隔で生成し、」「ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記第1と第2のデジタル電子画像と比較するための手段、」及び「前記リニアに伸張可能な外科手段が作動されると、前記外科手段は、前記ターゲット領域に照準されるように、前記ターゲット領域の前記3次元のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記外科装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段」を有しているのに対して、
甲第3号証に記載の発明は、侵襲性の手順をおこなうのに先立って、手術器具が対象の内部部位に関連させた位置を正確に取ることができ、手術器具を移動させ方位付け、その後、手術用器具を設定された角度で予め選択された距離を進めるものであって、手術用器具を進めている時に、ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、外科装置及び生体の相対的位置を調節するための手段を有していない点。

以下、相違点について検討する。
甲第4号証には、放射線治療装置用リアルタイム位置決め装置であって、治療すべき患部を透過してきたX線を検出し、放射線照射中またはその直後に、放射線治療装置の各部を制御し、計画通りの位置決めを行なう旨が記載されている。
しかしながら、治療用の放射線とX線とが異なるか否か不明瞭であり、図面を参照するとX線は放射線と同じ軸上で照射するものである。そして、放射線は照射されるとその瞬間に他の部位を通過して患部に達するものであり、その放射線治療装置におけるコリメータの制御や位置決めを行なうものであって、本件発明9のリニアに伸張可能な外科手段が作動されるときに、ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、外科装置及び生体の相対的位置を調節するものとは、その技術的な意味合いが異なるといわざるを得ない。
したがって、甲第4号証に記載の事項を甲第3号証に記載の発明に適用して、上記相違点に係る本件発明9の構成とすることが容易であるとはいえない。
また、甲第1〜3及び5号証をみても、ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、外科装置及び生体の相対的位置を調節するための手段は記載も示唆もされていない。
以上のとおりであるから、本件発明9は甲第1〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

そして本件発明9の構成とすることにより、本件特許明細書に記載の効果を奏するものと認められる。

エ.本件発明10について
本件発明10と甲第1号証記載の発明を対比すると、
両者は少なくとも以下の点で相違する。
相違点:本件発明10は、「放射線外科用視準光線から離れており、」「第1と第2の電子画像は、前記第1と第2の電子画像が前記第1と第2の診断用光線によって生成された後、前記位置データが互いに関連する前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間位置を表すように、時間的に十分近い前記写像データと比較され、」「前記放射線外科用視準光線が発せられたとき、前記放射線外科用視準光線は、所望の量の照射を与えるのに必要な時間、ターゲット領域上に焦点が合うように、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間的位置に応答して、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節する装置、を有し、」且つ「放射線外科が行なわれるにしたがって、前記放射線外科用視準光線の通路に対する前記ターゲット領域の移動がリアルタイムに検出され、前記ターゲット領域上に前記放射線外科用視準光線の通路を維持するために、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域の相対的位置が調節されるように、新しく生成された前記第1と第2の電子画像を用いて、小さな時間間隔で前記比較を周期的に繰返す」のに対し、
甲第1号証に記載の発明は、診断用光線であるX線管(2)や他のX-CT(13B)は、自動的に位置決めした後に、ビーム軸(1)から影響のない位置へ移動されて、荷電粒子線によるがん治療が行なわれるものであって、「放射線外科用視準光線から離れて」いるとはいえず、位置決め後、X線管(2)や他のX-CT(13B)は移動されてから、荷電粒子線を照射するものである点。

以下、相違点について検討する。
上記「ア.本件発明1について」で述べたと同様に、診断用光線が放射線外科用視準光線から離れていること、および、ターゲット領域のリアルタイムの空間的位置に応答して、光線発信装置及び生体の相対的位置を調節するための具体的構成について、甲第2〜5号証には、記載も示唆もされていない。
したがって、本件発明10は、甲第1〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

そして本件発明10の構成とすることにより、本件特許明細書に記載の効果を奏するものと認められる。

オ.記載不備について
(ア)請求項1について
「放射線外科用視準光線」について、明細書に例示される「外科用イオン化視準光線」はイオン化を生じる光線であると解され、その光線の線源も数種、例示されている。そして、「放射線外科用視準光線」という用語から放射線外科に用いられる放射線からなる光線であると解され、その用語の指す構成であれば、本件発明の作用効果を奏することも明らかであるから、その内容が不明であるとも、発明の詳細な説明に記載されたものでないともいえない。
「放射線外科用視準光線から分離し」なる記載は、「放射線外科用視準光線から離れており」と訂正され、光線の位置が離れているということが明確となっており、当該事項は特許明細書より明らかであるから、発明の詳細な説明に記載されたものでないとはいえない。
「実質的に」なる用語は訂正により既に削除されており、「同時に」については、第1及び第2の診断用光線により画像を生成し、連続的にターゲット領域上に焦点を合わせるように、ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記放射線外科用視準光線に対して前記ターゲット領域を移動するのであるから、リアルタイムの位置を得るために、第1及び第2の診断用光線は同時に照射されていることが明らかである。
診断用光線を「写像領域に通過させる」とは、その光線により画像を生成するものであることから、診断用光線を写像領域である体の部分を通過させると解するのが通常であって、写像領域までしか光線が届かず、画像を生成できないとはいえない。
「前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像を生成し」なる記載は、画像を生成するのは、第1及び第2の診断用光線のみであるから、第1の診断用光線の第1の射影が、第1の診断用光線の画像を、第2の診断用光線の第2の射影が、第2の診断用光線の画像を、生成することは当業者に明らかである。そうすると、当該記載が発明の詳細な説明にない記載であるとはいえない。
「時間的に十分近い」との記載について、「ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すため」のものであって、そのために「デジタル電子画像」と比較するのであるから、リアルタイムに表示するのに対して十分に近い時間間隔で比較することは、当然のことであって、その程度が不明瞭とはいえない。
「前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために前記デジタル電子画像が生成された後に、」なる記載については、訂正により「データを引き出すために」の後に読点が加入されたから、「前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために」とは、この段落の手段の目的をいうものであることが明確となるので、デジタル電子画像からリアルタイムの位置のデータを引き出すとはいえない。そして診断用光線の光源等の空間的位置もわかっているのであるから、幾何学的にその位置を検出できることも明らかである。
「必要な場合」なる記載は訂正により削除されたので、記載が不明瞭であるとはいえない。
以上のように、請求項1について、特許異議申立人の主張する記載の不備はないから、請求項1に係る特許が特許法第36条第4項又は第5項及び第6項の規定に違反してされたものとはいえない。
(イ)請求項5及び8について
「実質的に」なる用語は訂正により削除されたから、特許法第36条第5項及び第6項の規定に違反しているとはいえない。
(ウ)請求項9について
「放射線外科用視準光線から分離し」なる記載、「実質的に」との用語、「同時に」という記載、「前記写像領域に通過させる」との記載、「前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像を生成し」との記載、「時間的に十分近い」との記載、「前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために前記デジタル電子画像が生成された後に、」との記載については、「(ア)請求項1について」で述べたと同様に、特許法第36条第4項又は第5項及び第6項の規定に違反しているとはいえない。
「周期的に」なる用語については、「選択された時間間隔で」と訂正されたから、詳細な説明にないとはいえない。
「対」なる用語については、第1及び第2の診断用光線の画像についていうものであるから、これらが対であることは明らかであって、実質的に発明の詳細な説明に記載されているものと認められる。
「前記ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、」なる記載について、外科装置及び前記生体の相対的位置を調節するために、3次元写像と、第1と第2のデジタル電子画像とを、比較するのであるから、第1と第2のデジタル電子画像自体は、それぞれ3次元でないにしても、幾何学的にターゲット領域の空間的位置を計算するのであるから、3次元的なリアルタイムの位置を計算して調整することとなり、結局必然的に、ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すこととなっていることは明らかである。そうすると、発明の詳細な説明には、実質的に上記データを引き出すことが記載されているといえる。
以上のように、請求項9について、特許異議申立人の主張する記載の不備はないから、請求項9に係る特許が特許法第36条第4項又は第5項及び第6項の規定に違反してされたものとはいえない。
(エ)請求項10について
「放射線外科用視準光線」なる記載、「放射線外科用視準光線から分離し」なる記載、「実質的に」との用語、「同時に」という記載、「前記写像領域に通過させる」という記載、幾何学的計算技術の具体的な計算方法の記載はないこと、「時間的に十分近い」との記載、「必要な場合」との記載については、「(ア)請求項1について」で述べたと同様に、特許法第36条第4項又は第5項及び第6項の規定に違反しているとはいえない。
「相対的空間位置」及び「ターゲット領域のリアルタイムの空間位置」について、放射線外科用視準光線とターゲット領域の相対的位置を調整するものであって、3次元写像と比較してその位置を調整ことからみて、その相対的位置は3次元、つまり、相対的な空間的位置であることは明らかであるから、実質的に発明の詳細な説明に記載されているといえる。そして、ターゲット領域についても、同様に、相対位置を得ているといえば、この場合空間的であることは明らかであって、そのリアルタイムの空間位置を表すデータを得ていることは、実質的に発明の詳細な説明に記載されているといえる。
「放射線外科用視準光線の通路に対する前記ターゲット領域の移動」なる記載及び「移動がリアルタイムに検出される」なる記載について、「放射線外科用視準光線の通路」とはその光線が通過する光軸であると解され、放射線外科用視準光線がターゲット領域を通過するようにその相対的位置を調整するものであるから、当然、放射線外科用視準光線の通路に対して、移動したことを検出し、その相対的位置を調整するものであることは明らかであって、実質的に発明に詳細な説明に記載されているといえる。
「小さな時間間隔」及び「比較を周期的に繰返す」について、リアルタイムに相対的位置の調整を続けるものであって、デジタル的に比較計算されるのであるから、当然、リアルタイムに調整出来る程度に小さな時間間隔であることは明らかであり、そのために周期的に比較をするものであることも明らかであるから、実質的に発明の詳細な説明に記載されているといえる。
以上のように、請求項10について、特許異議申立人の主張する記載の不備はないから、請求項10に係る特許が特許法第36条第4項又は第5項及び第6項の規定に違反してされたものとはいえない。

なお、請求項11〜47については、訂正により削除されたから、特許異議申立人の主張する理由は解消している。

(5)むすび
以上のとおりであるから、請求項1〜10に係る発明の特許は、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜10に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
定位固定外科用装置
【発明の詳細な説明】
発明の属する技術分野
本発明は、例えば定位固定手術を行なうための、好ましくはX線線形加速器を用いた、外科的手段を患者のターゲット領域まで伸延するための装置および方法に関する。加速器からの視準光線は、組織、例えば腫瘍組織を壊死させるのに用いられる。他の具体例として、生検プローブをターゲット領域に伸延させることが可能である。本発明は主に、視準光線、生検プローブまたはその他の外科的手段を患部に適切に狙いをつけて、壊死させ、サンプルを除去すべき組織まで伸延させることを確実に行なうことに関する。
技術的背景
組織、特に腫瘍組織を壊死させるために定位固定放射線外科療法を用いることがよく知られている。通常、この技術は脳手術に用いられているが、患者のそれ以外の体の部位の手術には用いられていない。このように脳手術だけに限定される理由としては、もし、壊死させるべきターゲット領域上に光線(ビーム)を適切に向けるか、あるいは該領域上に光線の焦点を合わせる場合、ターゲット領域に対して固定された位置にある放射線不透の外枠を用意する必要がある。該フレームは空間に正確に配置することができ、領域に適切に焦点が合うように患者または光線(ビーム)発信装置の位置を調節しながらフレームおよび照射されるべきターゲット領域を含む体の領域を診断用光線が通過することにより観察されるレチクルが得られる。体の大部分には、そのような枠を容易に取付けるのに利用できる骨構造がない。
定位固定は、中枢神経系のある障害を非常な精度で処置するための神経放射線学的研究より得られる空間情報を用いる神経外科の一領域である。上記したように、通常の定位固定は、頭蓋内の腫瘍および奇形を(放射線医学的研究により)定位および処置するために、対照の枠として患者の頭蓋にねじで留められた外枠を用いる。定位固定放射線外科療法は、この概念において、定位固定の正確な定位能を高エネルギー放射線源と組み合わせることにより構成される。過去20年にわたり、いくつかの異なるグループが、各種脳障害を単一の大きな放射線のフラクションで処置するために放射線外科技術を用いてきた。通常の放射線療法(ここでは、ターゲット組織およびその周囲にある健康な組織が実質的に等しく放射線にさらされ、健康な組織は放射線損傷に高い抵抗性を有すると期待される。)とは対照的に、そのような操作の背後にある理論的解釈によれば、結局は放射線壊死がターゲットとされる部位で起こるであろう。理論上、結果的にはこの操作は標準的な切除手術と同じであるので、放射線外科(療法)という用語が造りだされた。絶えず増大する放射線外科処置の適用リストには、動静脈奇形、聴神経鞘腫、転移性疾患、切除不可能な頭蓋系髄膜種、および脳幹、下垂体および松果体領域などの数種の腫瘍が含まれる。パーキンソン症候群および強迫反応性障害は、ストックホルムのKarolinska Instituteにおいて、脳の点在する位置に十分区切られた壊死障害を作りだすことにより処置されている。多くの臨床的な場において、定位固定放射線外科療法は最適療法として広く認められている。
放射線を脳腫瘍のボリュームまでできるだけ制限する放射線外科の原理は、重要かつタイムリーな概念である。一方、新たな科学技術の開発および見いだされている好ましい臨床結果により、現在定位固定放射線外科療法の処置を受けている患者数が驚異的に増加している。現時点で正確な数値を出すことは不可能であるが、当分野における専門家による文献および論議の報告によれば、すでに世界的に年間数千人の患者がこの技術による処処置受けていることが示唆されている。そのような定位固定放射線外科療法に対して熱誠が増大しているにもかかわらず、理論上魅力的なそのような療法の多くを用いることは手段上限定されるので、非実用的なままとなっている。
通常の定位固定放射線外科療法は、エネルギーの壊死線量を問題となる疾患と組み合わせているが、これには(放射線源とは無関係に)限度があり、必然的に正常な脳も幾分かは放射線照射を受ける。総体的に、照射される脳の量が少ない程、健康な組織の放射線壊死の危険性が少なくなる。理想的な場合、すなわち極めて少量の障害の処置において、正常な組織の許容量は放射線外科療法の問題ではない。しかしながら、放射物理学的および放射生物学的理由から、より頻繁に遭遇する大きな障害の放射線外科処置が問題なのである。照射される線量および量に比例して危険性が増大するので、処置される障害付近の脳の放射線壊死により、定位固定放射線外科療法は非常に複雑なままになっている。したがって、定位固定放射線外科療法の精度にもかかわらず、大きな単一の放射線線量に対する正常な許容性がしばしば関心事となり、線量および量のパラメーターに対して厳しい注意を払わなければならない。これは、放射線源とは関係なくあらゆる放射線外科技術にあてはまることである。
本発明の装置および方法は、現在利用可能な他の放射線外科システムに対していくつかの有利点を持つ。特に、本発明の装置および方法を用いて、本発明に従って操作すれば、多段階フラクション放射線外科処置(全体の線量を複数の少量の線量に分別し、該分別線量を何時間、または何日、何週間もの間隔で照射する。)を行なうことが可能である。その結果、通常の放射線技術を正確な解剖学的定位の外科的原理と合わせた、脳腫瘍のための新しいタイプのイオン化放射線療法が提供される。健康な組織の放射線壊死を最小限に抑えようとするならば、処置の間中、望ましくは何週間もの間、枠をねじで患者の頭蓋に接触したままにしておかなくてはならないので、現在のところ、脳腫瘍に対する多段階フラクション精度放射線処理を達成するための実用的な方法はない。正確な多段階フラクション療法を実行可能にするために、現在のところ外科的療法でも放射線療法でも十分に処置されていない多くの腫瘍の処置において本技術を広範囲にわたり適応することが可能である。
より頻繁に遭遇する大きな病巣の放射線外科処置が当面している問題は、本発明の開発に多くの刺激を与えている。通常の定位固定放射線外科処置の目的は、ターゲットとなる腫瘍または奇形の全量をあまねく放射線壊死させることであるが、上記放射物理学的および放射生物学的問題により制限されている。分別化放射線外科療法は、本発明の装置および方法を用いて行なうことができるが、それは同様の目的を達成することを意図している。しかし、腫瘍のすぐ近くの正常な脳は本質的にさらにかなりの線量および分別照射を受ける。腫瘍への全放射線線量は壊死を誘導するのに十分高くすることができるが、それでもより少ない放射線を受ける正常組織は細胞が回復するのに十分な時間が必要となる。正常な脳の細胞速度論と処置される障害との比較は、この問題に係るので関連性があるに過ぎない。正常な脳が、わずかな量に射出される非常に高い放射線線量にでさえも比較的耐性であることを心に留めておくことは重要なことである。さらに、一つの例では、急性の制御不可能な腫瘍および脳浮腫で死亡した患者にすぐに大きな腫瘍の定位固定照射を行なったことが報告されているので、分別化療法で大きな腫瘍に段階的な壊死を誘導する利点もあるに違いない。
分別化放射線外科処置の論理上の利点にもかかわらず、定位固定局在の現在の技術はそのようなアプローチを妨げるものである。とりわけ、主な障害は、患者の頭部にねじで取付けられる外枠が必要であり、それはそのような療法を行なうのに必要とされる数日から数週間にわたり正しい場所に保つ(これがもし不可能でなければ、であるが)ことが実用的ではないことである。本発明は、しっかりと連結された枠を使用しないので、この問題を容易に回避することができる。さらに、本発明のコンピューターで媒介される定位固定放射線外科療法は、わずかな改変で、全く未踏査の概念である頭蓋外部の放射線外科療法への使用の可能性を切り開くものである。過去15年にわたり結像技術の驚くべき開発が行なわれたので、今ではほとんど全ての体の構造を視覚化するための手段が存在し、その結果、当然、定位固定放射線外科学的原理は非脳新生物の処置においても貢献しているに相違ないと思われる。さらに、定位固定放射線外科療法はしばしば各手術の代用を提供するので、それを用いることにより社会の大部分が救済されるのであろう。
上記議論から明らかなように、脳手術以外の場所で使用可能であり、所望により実際にリンパ腺などの非腫瘍性組織を切除するために用いることができ、実質的に患者に不便を与えることなく操作し、かつ必要により数日または数週間の全経過時間にわたり点在するフラクションに正確に射出される放射線線量が簡便かつ安全に使用できるようにするであろう定位固定放射線外科用器械を有することは望ましいことである。
サンプリングを行なうことが可能な患者の腫瘍等の上に直線上に伸延させることができる他の外科的手段、例えば生検プローブを、適切かつ正確に狙いをつけることができることも望ましい。
発明の概要
本発明は、上記の問題の一つ以上を克服することについて述べられているものである。
本発明の具体例によれば、生体(living organism:生きている有機体)のターゲット領域を選択的に照射する方法が述べられている。該方法は、生体の少なくとも一部分の3次元写像を作製し、該写像が、ターゲット領域を含みそれより大きい写像領域を包含していることよりなる。該写像は参照データとして保存される。生体は、光線発信装置が作動されると、ターゲット領域を壊死させるに十分な強度の外科用視準光線を放射する光線発信装置のターゲット領域内に写像領域と共に配置され、第1および第2の診断用光線は、これらの診断用光線が互いに所定のゼロではない角度であるようにして写像領域を通過する。これらの診断用光線は、写像領域内の第1および第2の射影の各々第1および第2の画像を作製するために用いられる。第1および第2の画像を表わす電子画像が作製される。該電子画像を参照データと比較して、外科用視準光線とターゲット領域の相対的な空間位置を表わす位置データを得る。光線発信装置と生体の相対位置は、外科用視準光線の焦点をターゲット領域上に合わせるようにして調節される。該比較は短時間の間隔で繰り返され、比較がそのように示されたら、必要により、外科用視準光線の焦点をターゲット領域上に合ったままになるようにして、調節工程を繰り返す。
本発明のもう一つの具体例によれば、生体内の生きている組織のターゲット領域を選択的に照射するための装置が述べられている。該装置には、内部に生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存しているデータ保存メモリーを包含し、該写像は、ターゲット領域を含みターゲット領域よりも大きい写像領域を包含している。光線発信装置が作動されると、ターゲット領域を壊死させるのに十分な強度の視準光線を放射するようになっている光線発信装置が存在する。該光線発信装置を選択的に作動するための手段が提供される。第1および第2の診断用光線を、互いに所定のゼロではない角度になるようにして写像領域に通過させ、写像領域内の各第1および第2の射影の各々第1および第2の画像を写像領域に作製するための手段が提供される。第1および第2の画像からそれを表わす電子画像を作製するための手段が提供される。データ保存メモリーに保存される3次元写像を、第1および第2の画像を表し、そこからリアルタイムのターゲット領域の位置を表わすデータを誘導するための電子画像と比較するための手段が提供される。必要により、ターゲット領域のリアルタイムの位置を表わすデータに応じて、視準光線が作動されると、連続的にターゲット領域上に焦点が合うようにして、光線発信装置と生体の相対位置を調節するための手段が提供される。
本発明のさらに別の具体例によれば、生体内のターゲット領域をリニアに伸延可能な外科的手段で選択的に狙うための方法が述べられている。この方法は、生体の少なくとも一部分の3次元写像を作製し、該写像が、ターゲット領域を含みターゲット領域よりも大きい写像領域を包含することからなる。該写像は参照データとして保存される。生体は、外科的装置が作動されると、リニアに伸延可能な外科的手段をターゲット領域に伸延させる外科的装置のターゲット領域内に写像領域と共に、配置される。第1および第2の診断用光線は、互いに所定のゼロではない角度になるように写像領域を通過して、写像領域内の第1および第2の射影の各々第1および第2の画像を作製する。第1および第2の画像の各電子画像が作製される。該電子画像を参照データと比較して、リニアに伸延している外科的手段とターゲット領域の相対的空間データを表わす位置データを得る。外科的装置と生体の相対位置は、リニアに伸延している外科的手段がターゲット領域を向くようにして調節される。
本発明のさらに別の具体例によれば、生体内の生きている組織のターゲット領域を選択的に狙うための装置が開示されている。該装置は、内部に生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存しているデータ保存メモリーを有し、該写像はターゲット領域を含みターゲット領域よりも大きな写像領域を包含する。外科的装置が作動されると、リニアに伸延可能な外科的手段をターゲット領域に伸延するようになる外科的装置が提供される。該外科的装置を選択的に作動する手段が提供される。第1および第2の診断用光線を、互いに所定のゼロではない角度となるようにして写像領域に通過させ、写像領域内の第1および第2の射影の各々第1および第2の画像を作製するための手段が提供される。第1および第2の画像の各電子画像を作製するための手段が提供される。3次元写像を、第1および第2の画像を表し、そこからターゲット領域のリアルタイムの位置を表わすデータが誘導される電子画像と比較するための手段が存在する。ターゲット領域のリアルタイムの位置を表わすデータに応じて、リニアに伸延している外科的手段が作動されるとターゲット領域に向くようにして、外科的装置と生体の相対位置を調整するための手段が提供される。
上記で述べられている装置および方法は、先行技術の定位固定放射線外科的方法および装置から鑑みて、いくつかの有利点を有する。まず第1に、外枠を全く必要とせず、該枠は3次元写像に置き換えられている。第2に、枠を患者の体に取付ける必要がないので、感染の可能性だけでなく、枠による痛みもなくなる。第3に、定位固定放射線外科療法は、事実上患者の体のあらゆる部分で用いることができる。第4に、定位固定放射線外科的操作は、分別化された方法で、必要により、または所望により、希望するだけの時間、例えば数日間または数週間にわたり、簡便かつ正確に行なうことができる。
図面の簡単な説明
本発明は、図面を参照することにより、よりよく理解されるであろう。図面において、全体を通して同じ番号は同じ部分を示す。
第1図は、本発明による装置の一つの具体例を等角投影図法で示すものである。
第2図は、本発明の診断用X線の結像および加速器の焦点を合わせる様子を概略的に示すものである。
第3図は、本発明による装置のもう一つの具体例を図1と同様の観点から示すものである。
第4図は、本発明の具体例によるシステムの構成図を概要的に示すものである。
本発明を実施する最良の態様
本発明は、図面を参照することにより、より良く理解されるであろう。図面において、全体を通して同じ番号は同じ部分を示すものである。
本発明は、定位固定放射線外科装置10(図1に図示されている具体例)を提供するものである。
本発明によれば、データ保存メモリーが提供される。データ保存メモリーはデータプロセッサー12またはディスクまたはテープ保存ユニット13などの補助装置内におくことができる(図4)。マイクロプロセッサー12または保存ユニット13は内部に生体、すなわち患者14の少なくとも一部分の3次元写像を保存している。保存ユニット13が存在する場合には、3次元写像(通常はデジタル形態である)は一般に、比較する目的でマイクロプロセッサー12内にロードされる。写像は、選択的に照射される患者のターゲット領域18を含み該ターゲット領域18よりも大きい写像領域16を包含する(図2参照)。図2の写像領域16は本質的には患者14の頭蓋15の一部であり、そのため骨構造は位置合せ基準として役立つように存在している。所望により、3つ以上の基準点19を差し込むことが可能であり、その場合、位置合せ基準として骨構造を含むものは必要ない。これは脳を処置するためになされたが、体の骨のほとんどない領域であることが望ましく、あるいはそうであることが必要である。
3次元写像は通常の技術により得ることができる。例えば、この画像を得るためのCATスキャン(CT)、あるいはこの写像を得るための磁気共鳴結像(MR)を用いることができる。よく知られているように、CTまたはコンピューター化された断面投影法はX線光線の示差吸着の測定を通して作動し、フーリエ変換により得られるデータを処理するものである。また、MRは核磁気共鳴特性を利用して3次元写像を得るものである。この両操作を行なうための装置は商業的に入手することができる。さらに、データはデジタル化された形態で得ることができ、それによりただちにメモリーユニット13および/またはマイクロプロセッサー12に保存することができる。
光線発信装置(ビーム発生装置)20が作動されると、ターゲット領域18を壊死させるに十分な強度の外科用イオン化視準光線を放射する。利用できる光線発信装置の一つは線形加速器、好ましくはX線線形加速器の類であるが、他のイオン化放射線源を用いることも可能であろう。そのようなX線装置は商業的に入手可能である。それは、A.E.JonesおよびJ.R.Cunningham、1974、Charles C.Thomas、出版人、Springfield、Illinoisによる“The Physics of Radiology”、第3版、第5刷などのいくつかのテキストにも記載されている。無線周波はパワー源、変調器およびパワーチューブにより作られ、波誘導装置22を通って加速器20に送られる。波の速度は該チューブを通過するときに増加する。
電子は長いメーターチューブ内で、例えば6Mevのエネルギーが与えられる。電子は、所望の方向に視準化された光線の中でX線が作られるターゲットに衝突できる。そのような装置は、例えばVarianなどの各種製造元より入手可能である。好ましい装置であるX線線形加速器は、サイズが比較的小さいことおよび比較的軽量であることが好ましい理由であり、Schonberg Radiation Corporation、Santa Clara、Californiaにより製造され、MINACという商標名で販売されている。
オペレータがスイッチ、例えばコントロールコンソール24上のスイッチ23を作動すると、光線発信装置20が作動される。
本発明によれば、また図1および図2で図示されているように、写像領域の射影を提供するのに十分な程度横方向に伸延可能な第1および第2の診断用光線26および28を、写像領域16に通過させるための手段が提供される。第1および第2の診断用光線26および28は、互いに所定のゼロではない角度になっている。図1および図2で図示されている具体例において、光線26および28は互いに直交している。しかしながら、ゼロでない限り如何なる角度も用いることができる。光線26および28は、診断用X線発生装置30および32により各々発生される。図1および図2の具体例における各画像受信器34および36は画像増幅器であり、光線26および28を受けて、得られる電気信号を所望により増幅させながら、3次元写像と比較される場所であるマイクロプロセッサー12に通過させる。
図4に示されるように、画像受信器34および36はマイクロプロセッサー12に接続される。該画像受信器34および36はそれ自身デジタル信号を提供することができるか、または、画像受信器34および36により検知され写像領域16の2つの異なる平面領域を表わす画像を写像領域16の(デジタル形態の)3次元写像とデジタル形式で比較できる場所であるマイクロプロセッサーの一部またはそれと共同するものとして、A/Dコンバーターを存在させることができる。通常の幾何学的計算技術を用いることにより、照射されるべきターゲット領域18の正確な位置が十分にわかる。
ターゲット領域18のリアルタイムの位置を表わすデータに応じて、必要により、視準光線が作動されると、連続的にターゲット領域18上に焦点が合うようにして、光線発信装置20と患者14の相対位置を調節するための方法が提供される。図1に図示されるある具体例において、光線発信装置および患者の相対位置を調節するための手段は、光線発信装置20、診断用X線発生器30および32、および画像受信器34および36が、通常の操作台38を昇降させるための装置、それを軸42のまわりを回転させるための装置および操作台38の上部44を縦に伸延している軸のまわりに傾けるための装置(全て図2の矢印によって図示されている)と共に取付けられているガントリー40からなる。ガントリー40と患者14の相対位置の広範囲な調節により、光線発信装置20を患者のまわりに360°回転させて視準光線が通過する健康な組織を変えながら、視準光線の焦点を連続的にターゲット領域上に合わせることが可能になる。これまでの装置は約180°の回転に制限されていた。一般に、患者14を比較的静止させたままにし、ガントリー40を移動させることが好ましい。
図3は、本発明によるもう一つの装置の具体例を図示するものであり、そこではガントリー40が削除されているので操作台138を移動させる必要がある。
図3の具体例において、光線発信装置120は6本の運動軸を有するプロセッサー制御可能ロボットアーム機械装置46により支持および配置されており、そこで光線発信装置120は患者の体のまわりを上下左右へと自在に動くことができる。そのようなロボットアーム機械装置は、例えばSanta Fe Springs、CaliforniaのGMF Roboticsから商業的に入手することができ、DS-420の名称で販売されている。そのような装置を用いて、処置部位、すなわちターゲット領域上に、実質的に如何なる方向からでもイオン化視準放射線の目標を定めることができる。このように、この具体例により、視準光線は、先行技術の装置を用いた場合よりもずっと短い時間で健康な組織の如何なる特定領域も通過することができる。
図3の具体例において、第1および第2の診断用光線126および128を写像領域に通過させるための手段は、例えば天井(図示せず)に恒久的に取付けることができる一対のX線発生器130および132と同種のものである。適切な画像受信器134および136は、患者14の写像領域16内の第1および第2の射影の各々第1および第2の画像を表わす電子画像を得るために役立つ。電子画像はマイクロプロセッサー12を通過し、画像自身がすでにデジタルである場合にはA/Dコンバーターを通過させ、そこで比較を行なうことができる。信号はそこでマイクロプロセッサー12により発生され、光線発信装置120の位置を調節して、それが作りだす外科用視準光線の焦点を確実に照射されるべきターゲット領域18上に合わせるロボットアーム機械装置46の配置を制御する。
図4は、図1または図3の装置を制御できる論理操作をシステムのブロックダイヤグラム形式で図解している。3次元写像は写像領域16を包含するが、それは例えばテープ駆動装置13内のテープ上に保存される。画像受信器34、134、および36、136からの信号はプロセッサー12に移る。プロセッサー12からの制御信号は画像受信器34、134および36、136および/または診断用X線発生装置30、130および32、132に戻って、所望の時間間隔で、あるいはオペレーターコマンドでそれらを作動する(全て図4に図示されている)。プロセッサー12からの信号は、ロボットアーム機械装置46またはジンバル40に移り、こうしてその配置を、配置状態がプロセッサー12に戻されていることを示すジンバル40またはロボットアーム機械装置46から戻っている信号で制御している。光線発信装置20、120は通常、ターゲット領域18上に適切に焦点を合わせた場合のみプロセッサー12により作動され、通常それ以外では作動されない。しかしながら、患者14の非ターゲット領域の照射時間が非ターゲット組織の放射線壊死を防ぐように十分制限されている限り、光線発信装置20、120をそのままにしておくことが可能である。選択された如何なる方向からでも視準光線の目標をターゲット領域に定めることができ、こうして複数の方向から照射する能力が与えられる。オペレーター制御は、オペレーターディスプレー48を含むオペレーター制御コンソール24により得られる。例中のプロセッサー12および光線発信装置20、120の操作を必要な時中断するための安全運動装置50も提供される。
基本的に、画像受信器34、134および36、136は、選択された時間間隔により分離される画像を提供し、これらの画像は、通常テープ駆動装置13からプロセッサー12内にロードされているCTスキャンを用いてプロセッサー12内で比較され、必要によりジンバル40またはロボットアーム機械装置46の位置を調節して、光線発信装置20、120により発生される視準光線の焦点が患者の写像領域16内のターゲット領域18上に合うように保持する。望ましくは、ジンバル40またはロボットアーム機械装置46は、視準光線の焦点をターゲット領域18上に合わせたまま、連続的または段階的に移動させることができ、したがって光線の通路に存在するあらゆる健康な組織がイオン化放射線にさらされる程度を最小限に抑えられる。
一般に、本発明の装置および方法は実質的に体のあらゆる部分において利用することができることに注目すべきである。骨が全く存在しない領域において、ターゲット領域18を配置することができる必要なマーカーを与えるために、人工の標識点となるような3つの基準点19を挿入することが必要であろう。それらが空間配置の方向指示を与えるよう作られる場合、および/または1つ以上の部分的な標識点を与えるに十分な骨が存在する場合には、1つまたは2つの基準点を用いることも可能である。基準点は照射されるべきターゲット領域18の位置を決定するためのより優れた、あるいはより正確なシステムを提供するので、基準点を用いることは、十分な骨が存在する体における位置の設定においてまさに望ましいことである。
さらに、本発明の具体例によれば、視準光線は、整列および伸延可能な唯一の縦伸延外科的手段であることを認めるべきである。例えば、本発明によれば、生検プローブまたは他の如何なる所望される外科的手段を患部に指向し、用いることができる。したがって、ここで用いられるリニアな伸延外科的手段という用語は、該手段が手術用または診断用の医学的目的に有用であるかぎり、全てのそのような手段を包含し、実質的な機器、光線等を含むことを意味する。
本発明の方法は、上記で述べられている装置およびその操作の記載から大体理解されるであろう。さらに、多段階フラクション定位固定放射線処置が、非常に高い精度で、しかも患者14に痛みも不便を与えることなく容易に行なうことができることに注目すべきである。このように、放射線の所望線量を少量に分割でき、非ターゲット組織が過度に照射にさらされることはなく、所望の総放射線線量のこれらの少量を長時間にわたり一度で処理できる。また、処置には、写像の前に、視準光線の焦点を正確に合わせるのを補助するための基準点の挿入を包含できることにも注目すべきである。さらに、本方法は、基準外枠を用いるための十分に固定している骨構造が存在しない体の領域でも行なうことができる。
産業上の利用分野
本発明は、患者内のターゲット領域18を照射するための装置および方法を提供するものである。該装置および方法は、処置中の患者の移動が使用されるべきX線光線の焦点合わせを妨げないものである。レチクルを得るための外枠を体に取付ける必要はなく、患者の痛みおよび感染の危険性は最小限に抑えられる。また、本発明の装置および方法を用いることにより、頭部以外の体の領域が容易に処置できる。
本発明は特定の具体例と関連させて記載されているが、さらに改変することが可能であること、およびこの適用が、一般に本発明の原理に従った、かつ本発明が属する当業者にとって公知となるかあるいは通例的に実施されるようになり、上記の本質的な特徴にあてはまり、本発明の範囲内および添付の請求の範囲の制限内にあるような本開示からの新たな発展を包含する本発明のあらゆる応用、使用、または適用を網羅するものであることが理解できるであろう。
(57)【特許請求の範囲】
1.生体内の生きている組織のターゲット領域を選択的に照射することによって、放射線外科を行なうための装置であって、
前記生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像がターゲット領域を含み、かつ前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
光線発信装置が作動されると、前記ターゲット領域を壊死させるのに十分な強度の放射線外科用視準光線を放射する光線発信装置、
前記光線発信装置を選択的に作動させるための手段、
前記放射線外科用視準光線から離れており、かつ前記放射線外科用視準光線と異なる第1及び第2の診断用光線を同時に前記写像領域に通過させる手段、前記第1と第2の診断用光線は、互いに所定のゼロでない角度で配置され、前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像を生成し、
前記第1及び第2の診断用光線の画像を表す第1と第2のデジタル電子画像を生成するための手段、
前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を、時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記デジタル電子画像とデジタル的に比較するための手段、及び
前記放射線外科用視準光線が発せられると、前記放射線外科用視準光線が連続的にターゲット領域上に焦点を合わせるように、前記ターゲット領域のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記放射線外科用視準光線に対して前記ターゲット領域を移動するために、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段、
を有する放射線外科を行なうための装置。
2.前記光線発信装置によって生成される前記放射線外科用視準光線がX線光線であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
3.前記診断用光線を写像領域に通過させる手段は、X線光線を写像領域に通過させるものであることを特徴とする請求項2に記載の装置。
4.前記3次元写像は、CATスキャン操作から作られ、前記データ保存メモリ内にデジタル形式で保存されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
5.前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段は、前記生体を静止させたままで前記光線発信装置を移動することを特徴とする請求項4に記載の装置。
6.前記3次元写像はCATスキャン操作から作られ、前記データ保存メモリー内にデジタル形式で保存されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
7.前記診断用光線を表す電子信号を生成するための手段は、前記電子信号をデジタル形式で生成することを特徴とする請求項6に記載の装置。
8.前記光線発信装置および前記生体の相対位置を調節するための手段は、前記生体を静止させたままで前記光線発信装置を移動することを特徴とする請求項7に記載の装置。
9.生体内の生きている組織のターゲット領域にリニアに伸延可能な外科手段を選択的に指向するための装置であって、
前記生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像はターゲット領域を含み、かつ前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
外科装置が作動されると、リニアに伸延可能な外科手段を前記ターゲット領域に伸張する外科装置、
前記外科装置を選択的に作動させるための手段、
前記外科手段から離れており、かつ前記外科手段と異なる第1及び第2の診断用光線を同時に選択された時間間隔で前記写像領域に通過させる手段、前記第1と第2の診断用光線は、互いに所定のゼロでない角度で配置され、前記写像領域内の各々第1及び第2の射影の各々第1及び第2の診断用光線の画像の対を選択された時間間隔で生成し、
前記第1と第2の診断用光線の画像を表す第1と第2のデジタル電子画像を生成するための手段、
前記ターゲット領域の3次元のリアルタイムの位置を表すデータを引き出すために、前記デジタル電子画像が生成された後に、デジタル形式の前記3次元写像を時間的に十分近い前記第1と第2の診断用光線の画像を表す前記第1と第2のデジタル電子画像と比較するための手段、及び
前記リニアに伸張可能な外科手段が作動されると、前記外科手段は、前記ターゲット領域に照準されるように、前記ターゲット領域の前記3次元のリアルタイムの位置を表すデータに応答して、前記外科装置及び前記生体の相対的位置を調節するための手段、
を有する装置。
10.放射線外科装置であって、
生体の少なくとも一部分の3次元写像を保存するデータ保存メモリ、前記3次元写像は、ターゲット領域を含み、前記ターゲット領域よりも大きい写像領域を包含しており、
光線発信装置が作動されると、前記ターゲット領域を壊死させるのに十分な強さの放射線外科用視準光線を放射する光線発信装置、
前記放射線外科用視準光線から離れており、かつ前記放射線外科用視準光線と異なる、同時に前記写像領域を通過する互いに所定のゼロでない角度に配置された第1及び第2の診断用光線を発生する第1及び第2の放射線発生器、
前記第1と第2の診断用光線を受け、前記写像領域内の各々第1と第2の射影の第1と第2の電子画像を生成する第1と第2の受信機と、
前記放射線外科用視準光線及び前記ターゲット領域の相対的空間位置を表す位置データを提供するために、前記第1と第2の電子画像を前記3次元写像とデジタル的に比較するコンピュータ、前記第1と第2の電子画像は、前記第1と第2の電子画像が前記第1と第2の診断用光線によって生成された後、前記位置データが互いに関連する前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間位置を表すように、時間的に十分近い前記写像データと比較され、
前記放射線外科用視準光線が発せられたとき、前記放射線外科用視準光線は、所望の量の照射を与えるのに必要な時間、ターゲット領域上に焦点が合うように、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域のリアルタイムの空間的位置に応答して、前記光線発信装置及び前記生体の相対的位置を調節する装置、
を有し、且つ
放射線外科が行なわれるにしたがって、前記放射線外科用視準光線の通路に対する前記ターゲット領域の移動がリアルタルムに検出され、前記ターゲット領域上に前記放射線外科用視準光線の通路を維持するために、前記放射線外科用視準光線と前記ターゲット領域の相対的位置が調節されるように、新しく生成された前記第1と第2の電子画像を用いて、小さな時間間隔で前記比較を周期的に繰返すことを特徴とする放射線外科装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-11-21 
出願番号 特願平3-518600
審決分類 P 1 651・ 534- YA (A61B)
P 1 651・ 113- YA (A61B)
P 1 651・ 531- YA (A61B)
P 1 651・ 121- YA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中田 誠二郎  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 北川 清伸
平上 悦司
登録日 2003-01-31 
登録番号 特許第3394250号(P3394250)
権利者 アキュレイ インコーポレイテッド
発明の名称 定位固定外科用装置  
代理人 中村 稔  
代理人 村社 厚夫  
代理人 中村 稔  
代理人 小川 信夫  
代理人 大塚 文昭  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 小川 信夫  
代理人 大塚 文昭  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 今城 俊夫  
代理人 村社 厚夫  
代理人 今城 俊夫  
代理人 竹内 英人  
代理人 竹内 英人  
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