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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C03C
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C03C
管理番号 1132611
異議申立番号 異議2003-73371  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-09-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-25 
確定日 2005-12-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3465238号「高液相線粘度ガラスおよびそれを用いた基板」の請求項1〜13に係る発明の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3465238号の請求項1〜8に係る発明の特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第3465238号は、パリ条約による優先権の主張を伴って平成6年1月24日(優先日:平成5年1月22日、平成5年11月22日)に出願され、平成15年8月29日に特許の設定登録がなされたものであって、その特許につき、日本電気硝子株式会社(以下、「異議申立人」という)より特許異議の申立がなされ、これに基づき平成16年8月26日付けで取消理由を通知したところ、権利者より平成17年3月3日付けで訂正請求書が提出され、再度、取消理由を通知したところ、権利者より、平成17年11月22日付けで訂正請求が提出され、先の訂正請求が取下げられたものである。

II.訂正の適否
II-1.訂正事項
平成17年11月22日付け訂正請求は、本件明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書に記載されるとおりに訂正するものであって、次の〈イ〉〜〈ホ〉からなるものである。
以下、訂正前の明細書を「特許明細書」といい、訂正請求書に添付された訂正明細書を「本件明細書」という。
〈イ〉特許明細書の請求項1における、
「650℃より高い歪点、0°-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、および5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失を示すガラスであって、該ガラスが、アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、65-69%のSiO2、10-12%のAl2O3、7-10%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1-5%のMgO、3-9%のCaO、1-3%のSrO、2-5%のBaO、および11-18%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になり、比率Al2O3:B2O3>1であり、液相線温度での粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きいことを特徴とするガラス。」を、
「アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、66.1-68.5%のSiO2、10.7-11.5%のAl2O3、7.03-9.7%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1.2-4.79%のMgO、4.85-5.2%のCaO、1.2-2.42%のSrO、2.42-4.5%のBaO、および11.8-15.34%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になり、比率Al2O3:B2O3>1である組成範囲を有し、650℃より高い歪点、0°-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、および5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失を示すと共に、液相線温度での粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きいことを特徴とするガラス。」に訂正する。
〈ロ〉特許明細書の請求項7における、
「前記ガラスが、65-69%のSiO2、10-12%のAl2O3、7-10%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1-5%のMgO、3-9%のCaO、1-3%のSrO、2-5%のBaO、および11-16%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になることを特徴とする請求項6記載の基板。」を、
「アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、66.1-68.5%のSiO2、10.7-11.5%のAl2O3、7.03-9.7%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1.2-4.79%のMgO、4.85-5.2%のCaO、1.2-2.42%のSrO、2.42-4.5%のBaO、および11.8-15.34%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になる組成範囲を有し、650℃より高い歪点、0°-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、および5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失を示すと共に、標準液相線法により測定した液相線温度を用いてファルチャーの式で計算した液相線温度での粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きいフラットで透明なガラスから成るフラットパネルディスプレー用の基板。」に訂正する。
〈ハ〉特許明細書の請求項6、8及び11〜13を削除する。
〈ニ〉特許明細書の請求項7、9及び10の請求項番号を、それぞれ、6、7及び8に訂正し、特許明細書の請求項9における「・・・請求項7記載の基板。」を「・・・請求項6記載の基板。」に訂正し、また、特許明細書の請求項10における「・・・請求項6-9のいずれか1項記載の基板。」を「・・・請求項6または7項記載の基板。」に訂正する。
〈ホ〉特許明細書の段落0051における、
「実施例16、21、22、25、26および27は好ましい組成を構成し、化学特性、物理特性、および溶融特性の全体的な組合せに基づいて、実施例21が最も好ましいものである。」を、
「実施例16、21、22、25、26および27は明らかに本件特許請求の範囲に入る好ましい組成を構成し、化学特性、物理特性、および溶融特性の全体的な組合せに基づいて、実施例21が最も好ましいものである。その他の実施例はデータが完備されていないだけのものを含めて参考例とする。」に訂正する。

II-2.訂正の適否の判断
上記〈イ〉の訂正は、特許明細書における請求項1において、具体的には、
〈イ-1〉ガラスの組成につき、「アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、65-69%のSiO2、10-12%のAl2O3、7-10%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1-5%のMgO、3-9%のCaO、1-3%のSrO、2-5%のBaO、および11-18%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になり、比率Al2O3:B2O3>1であり、」を「アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、66.1-68.5%のSiO2、10.7-11.5%のAl2O3、7.03-9.7%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1.2-4.79%のMgO、4.85-5.2%のCaO、1.2-2.42%のSrO、2.42-4.5%のBaO、および11.8-15.34%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になり、比率Al2O3:B2O3>1である組成範囲を有し、」に訂正し、また、
〈イ-2〉ガラスにつき、その組成に関する記載と物性に関する記載とを表現上分けて記載することとするものである。
上記〈ロ〉の訂正は、特許明細書における請求項7において、具体的には、
〈ロ-1〉ガラスの組成につき、「前記ガラスが、65-69%のSiO2、10-12%のAl2O3、7-10%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1-5%のMgO、3-9%のCaO、1-3%のSrO、2-5%のBaO、および11-16%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になる」を「アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、66.1-68.5%のSiO2、10.7-11.5%のAl2O3、7.03-9.7%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1.2-4.79%のMgO、4.85-5.2%のCaO、1.2-2.42%のSrO、2.42-4.5%のBaO、および11.8-15.34%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になる組成範囲を有し、」に訂正し、また、
〈ロ-2〉請求項6を引用して記載していたものを独立形式の表現方法に改め、かつ、ガラスにつき、その組成に関する記載と物性に関する記載とを表現上分けて記載することとするものである。
上記〈ハ〉〜〈ホ〉の訂正は、上記したとおりである。
II-2-1.訂正の目的の適否
上記〈イ-1〉の訂正は、ガラスの組成を限定するものであり特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記〈イ-2〉の訂正は、ガラスの組成と物性に関する記載とが混在して記載されていたところ、これを表現上分けて記載するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
上記〈ロ-1〉の訂正は、ガラスの組成を限定するものであり特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記〈ロ-2〉の訂正は、引用形式の記載を独立形式に改めるものであり、また、ガラスの組成と物性に関する記載とを分けて記載することとしたものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
上記〈ハ〉の訂正は、請求項を削除するものであり特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記〈ニ〉の訂正は、上記〈ハ〉の訂正に伴い、不揃い又は不明瞭となった記載を明瞭化するものであり明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
上記〈ホ〉の訂正は、発明の詳細な説明に記載される具体例の中の、実施例に該当するものを明確にするものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
II-2-2.新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記〈イ-1〉及び〈ロ-1〉の訂正により訂正する事項は、特許明細書の段落0024又は段落0018の記載と、特許明細書の段落0040、0041、0045及び0046における実施例16、21、22及び25〜27の記載から自明なこととして導き出すことができるものである。
上記〈イ-2〉及び〈ロ-2〉の訂正により訂正する事項は、特許明細書の請求項1又は6の記載の範囲(引用する請求項の記載内容を含む)内でなされるものであって特許明細書の記載から自明なこととして導き出すことができるものである。
上記〈ハ〉の訂正は請求項を削除するだけのものであり、そして、上記〈ニ〉の訂正は当該請求項の削除に伴い不揃い又は不明瞭となった記載を明確化するだけのものであるから、いずれも、特許明細書の記載から自明なこととして導き出すことができるものである。
上記〈ホ〉の訂正は、特許明細書の請求項の記載から自明なこととして導き出されるものである。
そして、上記〈イ-1〉〜〈ホ〉の訂正は、発明の目的の範囲内でなされるものでもあり、又は、単に明細書の記載を明確化するだけのものであって、何れの訂正も実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しない。
II-2-3.訂正の適否の結論
よって、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.本件発明
特許明細書についての訂正請求は前記したとおり容認されたものであり、したがって、訂正後の本件特許第3465238号の請求項1〜8に係る発明(以下、必要に応じて、それぞれ、「本件発明1」〜「本件発明8」という)は、本件明細書の特許請求の範囲に記載される次のとおりのものである。
【請求項1】アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、66.1-68.5%のSiO2、10.7-11.5%のAl2O3、7.03-9.7%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1.2-4.79%のMgO、4.85-5.2%のCaO、1.2-2.42%のSrO、2.42-4.5%のBaO、および11.8-15.34%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になり、比率Al2O3:B2O3>1である組成範囲を有し、650℃より高い歪点、0°-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、および5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失を示すと共に、液相線温度での粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きいことを特徴とするガラス。
【請求項2】前記ガラスが、1675℃より低い温度で約20Pa.s(200 ポアズ)の溶融粘度を示すことを特徴とする請求項1記載のガラス。
【請求項3】前記ガラスの液相線温度が1125℃以下であることを特徴とする請求項1記載のガラス。
【請求項4】請求項1から3いずれか1項記載のガラスを用いたフラットパネルディスプレー用の基板。
【請求項5】「チップ-オン-ガラス」技術を利用してシリコンチップをガラス上に直接搭載できることを特徴とする、請求項1から3いずれか1項記載のガラスを用いたフラットパネルディスプレー用の基板。
【請求項6】アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、66.1-68.5%のSiO2、10.7-11.5%のAl2O3、7.03-9.7%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1.2-4.79%のMgO、4.85-5.2%のCaO、1.2-2.42%のSrO、2.42-4.5%のBaO、および11.8-15.34%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になる組成範囲を有し、650℃より高い歪点、0°-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、および5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失を示すと共に、標準液相線法により測定した液相線温度を用いてファルチャーの式で計算した液相線温度での粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きいフラットで透明なガラスから成るフラットパネルディスプレー用の基板。
【請求項7】前記ガラスの液相線温度が1125℃以下であることを特徴とする請求項6記載の基板。
【請求項8】前記ガラスが、1675℃より低い温度で約20Pa.s(200ポアズ)の溶融粘度を示すことを特徴とする請求項6または7項記載の
基板。

IV.特許異議申立及び取消理由の概要
IV-1.特許異議申立
異議申立人は、特許異議申立書において、以下の証拠を提示し、次のように主張する。
【理由-1】特許明細書の請求項1〜13に係る発明(訂正後の本件発明1〜8)は、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
【理由-2】特許明細書の請求項6及び11〜13に係る発明の特許は、特許法第36条第5項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
したがって、特許明細書の請求項1〜13に係る発明の特許は取り消されるべきものである。
甲第1号証:特開平4-160030号公報
甲第2号証:特開平1-160844号公報
甲第3号証:米国特許第5116787号明細書
(翻訳文として対応日本公報である特開平5-193980号公報添付)
参考資料1:平成15年12月22日、日本電気硝子株式会社、技術部第一グループ 三和晋吉作成による「実験成績証明書」
参考資料2:特開平6-263473号公報(本件の公開公報)
IV-2.平成16年8月26日付け取消理由通知の取消理由
上記取消理由通知の取消理由は、異議申立の上記理由-1及び理由-2に加え、本件明細書の請求項1〜13に係る発明の特許は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり(その他の取消理由)、したがって、特許明細書の請求項1〜13に係る発明の特許は取り消されるべきものである、というものである。

V.証拠の記載内容
V-A.甲第1号証(特開平4-160030号公報)には、以下のことが記載されている。
(A-1)「(1)SiO2、B2O3、Al2O3、MgO、CaO、SrO、およびBaOを合量で95モル%以上含有し、モル%表示による各成分の含有量が、
SiO2 62%以上68%以下
B2O3 8%以上12%未満
Al2O3 9%以上13%以下
MgO 1%以上5%以下
CaO 3%以上7%以下
SrO 1%以上3%未満
BaO 1%以上3%未満
SrO+BaO 2%以上5%以下
であることを特徴とする液晶ディスプレイ基板用ガラス。」(第1頁左下欄第5〜18行、特許請求の範囲第1項)
(A-2)「したがって本発明の目的は、P-Siの線膨張係数と近似する線膨張係数を有し、かつ、P-SiTFT形の液晶ディスプレイの基板として使用可能な歪点、P-SiTFTの成形過程で多用される弗酸および硝酸に対する良好な耐性、実用的な溶融性、および実用的な成形性を有し、P-SiTFT形の汎用液晶ディスプレイの基板として好適な、液晶ディスプレイ基板用ガラスを提供することにある。」(第2頁左下欄第9〜17行)
(A-3)「ガラスの成分およびその含有量、ならびに各成分の合量を上述のように規定することにより、P-Siの線膨張係数と近似する線膨張係数を有し、かつP-SiTFT形の液晶ディスプレイの基板として使用可能な歪点を有するガラス、すなわち、100〜300℃における平均線膨張係数が34×10-7〜39×10-7deg-1・cm-1で、歪点が630℃以上であるガラスを得ることができる。そしてこのガラスは、溶融性および成形性にも優れたガラスである。」(第3頁右上欄第17行〜左下欄第6行)
(A-4)「以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
〈中 略〉
得られたガラスの100〜300℃における平均線膨張係数(以下、α100〜300という)、歪点、および1500℃における粘度を表-1に示す。
また、得られたガラスの耐弗酸性および耐硝酸性を以下の要領で評価した。
・耐弗酸性
得られたガラスを研磨して得た試料を25℃の5%HF水溶液に3時間浸漬し、乾燥後、試料の重量減を単位面積、単位時間当りの量に換算して、その耐弗酸性を評価した。
・耐硝酸性
耐弗酸性の評価の場合と同様にして得た試料を80℃の30%HNO3水溶液に3時間浸漬し、乾燥後、試料の重量減を単位面積、単位時間当りの量に換算して、その耐硝酸性を評価した。
さらに、得られたガラス約100gを容量100ccの白金坩堝に入れ、この白金製坩堝に白金製の蓋をして1100℃で24時間放置し、放置後のガラス内部における結晶(失透)発生の有無を顕微鏡観察して、その耐失透性を評価した。この顕微鏡観察結果も表-1に示す。
実施例2〜5
〈中 略〉
得られた各ガラスのα100〜300、歪点、および1500℃における粘度を表-1に示す。
また得られたガラスの耐弗酸性および耐硝酸性を実施例1と同様にして評価した。このときの各換算値も表-1に示す。
さらに、得られた各ガラスの耐失透性を実施例1と同様にして評価した。このときの各顕微鏡観察結果も表-1に示す。」(第4頁左上欄第19行〜右下欄第9行)
(A-5)「表-1
実施例1
組成(モル%)
SiO264.7、B2O310.9、Al2O311.4、MgO2.7、CaO5.7、SrO1.9、BaO2.3、SrO+BaO4.2、As2O30.4
α100〜300(×10-7deg-1・cm-1):37、歪点(℃):655、1500℃における粘度(ポイズ):<103、耐弗酸性(mg/cm2・hr):9、耐硝酸性(×10-2mg/cm2・hr):7、耐失透性:内部失透なし
実施例2
組成(モル%)
SiO263.9、B2O310.0、Al2O311.5、MgO2.2、CaO5.3、SrO2.6、BaO2.3、SrO+BaO4.9、ZnO1.7、As2O30.4、Sb2O30.1
α100〜300(×10-7deg-1・cm-1):39、歪点(℃):640、1500℃における粘度(ポイズ):<103、耐弗酸性(mg/cm2・hr):10、耐硝酸性(×10-2mg/cm2・hr):12、耐失透性:内部失透なし
実施例3
組成(モル%)
SiO266.9、B2O39.4、Al2O310.0、MgO3.1、CaO5.3、SrO2.4、BaO2.4、SrO+BaO4.8、PbO0.5、As2O30.5
α100〜300(×10-7deg-1・cm-1):37、歪点(℃):635、1500℃における粘度(ポイズ):<103、耐弗酸性(mg/cm2・hr):9、耐硝酸性(×10-2mg/cm2・hr):10、耐失透性:内部失透なし」旨(第5頁下段)
実施例4
組成(モル%)
SiO264.6、B2O311.0、Al2O311.8、MgO2.2、CaO5.3、SrO2.4、BaO1.6、SrO+BaO4.0、La2O30.4、As2O30.7
α100〜300(×10-7deg-1・cm-1):38、歪点(℃):660、1500℃における粘度(ポイズ):<103、耐弗酸性(mg/cm2・hr):9、耐硝酸性(×10-2mg/cm2・hr):8、耐失透性:内部失透なし
実施例5
組成(モル%)
SiO265.8、B2O310.7、Al2O39.9、MgO3.9、CaO4.0、SrO2.3、BaO2.4、SrO+BaO4.7、ZrO20.5、As2O30.5
α100〜300(×10-7deg-1・cm-1):36、歪点(℃):650、1500℃における粘度(ポイズ):<103、耐弗酸性(mg/cm2・hr):7、耐硝酸性(×10-2mg/cm2・hr):4、耐失透性:内部失透なし」旨(第5頁下段)

V-B.甲第2号証(特開平1-160844号公報)には、以下のことが記載されている。
(B-1)「(1)カチオン百分率で、約52-58%のSiO2、12.5-18%のAl2O3、20-23%のB2O3、0-4%のMgO、0-6%のCaO、0-6%のSrO、1-9%のBaO、8-12%のMgO+CaO+SrO+BaO、0-3%のZnO、及び0-1%の清澄剤から実質的になることを特徴とするガラス組成物。
(2)625℃を超える歪点、25〜300℃の範囲において約20〜60×10-7/℃の範囲にある熱膨張の平均直線係数、約1050℃を超えない内部液相線温度、及び5%HCl中95℃で24時間の期間に約10mg/cm2を超えない重量損失を示す十分な化学的耐久性を有する特許請求の範囲第1項記載のガラス。
(3)〈中 略〉
(4)630℃を超える歪点、約38〜43×10-7/℃の範囲にある熱膨張係数、約1042℃以下の液相線温度、及び液相時の粘度が1.3×105ポイズを超える特許請求の範囲第3項記載のガラス。」(第1頁左下欄第5行〜右下欄第7行、特許請求の範囲第1〜4項)
(B-2)「薄膜トランジスタ配列技術に用いられるLCD表示装置用に使用され、単一のガラスに併有されなければならないガラスの種々の要件は、以下のように要約される。
〈中 略〉
(4)ガラスは高品質シートの形に低コストで製造可能でなければならず、従って、必要な表面仕上げを達成するために、広範囲に亙る研削及び艶出しが必要であってはならない。
この最後の要件は、オーバーフローダウンドローシート製造工程等のような本質的に仕上られたガラスシートを製造可能なシートガラス製造工程が使用されなければならないということを意味する。このことは、逆にガラスが液相線において高粘度であることが要求され、安定な長期間のオーバーフローダウンドローシートを形成するための最小液相線粘度は現在、約3×105ポイズであるべきであると考えられている。
現在、液晶表示装置の製造に使用されている市販のガラスは、コーニングコード7059である。・・・膨張率を有し、液相線温度において106ポイズを幾分超える粘度を示すものである。このガラスの高液相線粘度は、オーバーフローダウンドローシート処理によるそれからのガラスシートの製造を容易にする。」(第3頁右上欄第8行〜右下欄第5行)
(B-3)「組成物のこの範囲内においては、歪点が約630℃を超え、熱膨張係数が38-43×10-7/℃の間にあり、液相線温度が1020℃より下であり、且つ、液相線における粘度が106ポイズを超え、更に優れた化学的耐久性を示すガラスが容易に提供される。」(第7頁右下欄第14〜末行)

V-C.甲第3号証(米国特許5116787号明細書)には、以下のことが記載されている。
(C-1)「1.多結晶質シリコン薄膜トランジスタを帯びる透明ガラス基体を含むフラットパネル表示装置において、前記ガラスが、655℃より高い歪み点、1075℃より低い液相温度、白金および高温耐火性セラミック材料に接触したときの失透に対する長期安定性、および1.5×105ポアズより大きい液相粘度を示し、実質的にアルカリ金属酸化物とMgOを含まず、酸化物基準のモルパーセントで表わして、
SiO2 63-68 BaO 4.5-10
Al2O3 7.5-11 CaO+SrO+BaO 14-26
CaO 9.5-16 B2O3 1-7
SrO 0-5
から実質的になる、フラットパネル表示装置。」旨(第8欄第6〜22行、クレーム1)

VI.当審の判断
VI-1.理由-1について
VI-1-1.本件発明1
訂正後の本件請求項1及び本件明細書の記載(特に、段落0002〜0017の記載)によれば、本件発明1は、ガラスの組成として、「酸化物基準のモルパーセントで表して、66.1-68.5%のSiO2、10.7-11.5%のAl2O3、7.03-9.7%のB2O3、1.2-4.79%のMgO、4.85-5.2%のCaO、1.2-2.42%のSrO、2.42-4.5%のBaO、および11.8-15.34%のMgO+CaO+SrO+BaO」との構成(以下、必要に応じて、「本件特定ガラス組成」という)を備え、かつ、ガラスの物性として「650℃より高い歪点、0°-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、および5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失を示すと共に、液相線温度での粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きい」(以下、必要に応じて、「本件特定ガラス物性」という)との構成を一体に備えることにより、その余の構成と相俟って、液晶ディスプレーの基板、ないしは、フラットパネルディスプレーの基板に用いたときに有用な効果を奏するというものである。
これに対して、甲第1号証には、その前記摘示(A-1)〜(A-4)によれば、「モル表示でSiO2が62%以上68%以下、B2O3が8%以上12%未満、Al2O3が9%以上13%以下、MgOが1%以上5%以下、CaOが3%以上7%以下、SrOが1%以上3%未満、及び、BaOが1%以上3%未満の組成であって、100〜300℃における平均線膨張係数が34×10-7〜39×10-7deg-1・cm-1で歪点が630℃以上であり、かつ、P-SiTFTの成形過程で多用される弗酸および硝酸に対する良好な耐性、実用的な溶融性、実用的な成形性、及び耐失透性を有するガラス」に関する発明(以下、必要に応じて、「甲第1号証発明」という)が記載されるものの、そこでは、上記「本件特定ガラス組成」を備えたガラスが具体的に示されないばかりか、上記「本件特定ガラス物性」の4つの物性の全てを同時に備えたガラスが具体的に示されないものである。
ちなみに、甲第1号証発明につき、その実施例1〜5の記載〔前記摘示(A-5)参照〕をみても、その実施例1ではSiO264.7モル%、B2O310.9モル%及びCaO5.7モル%である点で、同実施例2ではSiO263.9モル%、B2O310.0モル%、CaO5.3モル%、SrO2.6モル%及びBaO2.3モル%である点で、同実施例3ではAl2O310.0モル%、CaO5.3モル%及びBaO2.4モル%である点で、同実施例4ではSiO264.6モル%、B2O311.0モル%、Al2O311.8モル%、CaO5.3モル%及びBaO1.6モル%である点で、更に、同実施例5ではSiO265.8モル%、B2O310.7モル%、Al2O39.9モル%、CaO4.0モル%及びBaO2.4モル%である点で、上記の「本件特定ガラス組成」を満たし得ないものである。
また、甲第1号証発明の実施例1〜5に記載のガラスは、平成12年11月22日提出の意見書によれば、5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の重量損失が実施例1では3.09±1.4mg/cm2である点で、また、液相線温度での粘度が同実施例2では117,000±112,000ポアズであり、同実施例3では300,000±49,500ポアズであり、同実施例4では213,000±127,000ポアズでありそして同実施例5では24,300±1,950ポアズである点で、上記の「本件特定ガラス物性」の4つの物性を同時に満たし得ないものである。
そして、甲第1号証発明では、ガラスの線膨張係数、歪点、弗酸および硝酸に対する良好な耐性、耐失透性につき配慮しているとしても、そのガラスにつき上記の「本件特定ガラス物性」の物性を同時に実現するところの技術的手段、すなわち、「650℃より高い歪点、0℃-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、および5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失を示すと共に、液相線温度での粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きい」とする物性を同時に実現するところの技術的手段が具体的に教示されない。
そうであれば、甲第1号証発明のガラスにおいて「本件特定ガラス組成」を採択し且つ「本件特定ガラス物性」を採択して本件発明1の構成のようにすることが当業者といえども容易になし得るとはいえない。
次に、甲第2及び3号証の記載を順次みる。
甲第2号証には、その(B-1)及び(B-2)によれば、LCD表示装置用に使用されるガラスにつき、「630℃を超える歪点、約38〜43×10-7/℃の範囲にある熱膨張係数、5%HCl中95℃で24時間の期間に約10mg/cm2を超えない重量損失及び液相時の粘度が1.3×105ポイズを超える」ものを提供することが記載され、そして、ガラスにつき示されるそこでの実施例及び従来例をみると、熱膨脹率が実質上32-40×10-7/℃の例、液相線粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きい例、又は、5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の重量損失が2mg/cm2を未満の例がいくつか散見される。しかし、甲第2号証においては、「本件特定ガラス物性」の4つの物性を同時に満たす例が示されるものではなく、また、他に、「本件特定ガラス物性」を実現するところの技術的手段が教示されるものでもない。そうであれば、甲第2号証の記載をみても、甲第1号証発明において、「本件特定ガラス組成」を採択し且つ「本件特定ガラス物性」を採択して本件発明1の構成のようにすることが当業者の容易になし得るものではない。
甲第3号証には、フラットパネル表示装置に用いるガラス基体につき記載され、ガラスにつき示されるその実施例及び従来例では、歪点が650℃より高い例、熱膨脹率が実質上32-40×10-7/℃の例、液相線粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きい例、又は、5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の重量損失が2mg/cm2を未満の例がいくつか散見される。しかし、甲第3号証においては、「本件特定ガラス物性」の4つの物性を同時に満たす例が示されるものではなく、また、他に、「本件特定ガラス物性」を実現するところの技術的手段が教示されるものでもない。そうであれば、甲第3号証の記載をみても、甲第1号証発明において、「本件特定ガラス組成」を採択し且つ「本件特定ガラス物性」を採択して本件発明1の構成のようにすることが当業者の容易になし得るものではない。
以上のとおり、甲第1号証発明に甲第2号証及び甲第3号証の記載を併せてみても、本件発明1の構成のようにするところの技術的手段が示されず、したがって、本件発明1は甲第1〜3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとすることができない。

VI-1-2.本件発明2〜8
本件発明2〜5は、本件請求項1を直接又は間接的に引用するものであって本件発明1の構成の全て具備するものであり、また、本件発明6〜8はそのガラスに関し上記「本件特定ガラス組成」及び「本件特定ガラス物性」に関する構成を実質上全て具備するものである。
したがって、VI-1-1.で説示した理由と同じ理由により、本件発明2〜8は甲第1〜3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとすることができない。

VI-2.理由-2について
ここでの異議申立人の主張は、特許明細書の請求項6及び11〜13に係る発明が発明の詳細な説明の項に記載したものであるとはいえないというものである。
しかし、前記訂正請求により、特許明細書の請求項6及び11〜13は削除され、その結果、取り消すべき請求項がもはや存在しないことになったものであるから、この理由についてはこれ以上審及しない。

VI-2.取消理由通知のその他の取消理由
平成16年8月26日付け取消理由通知のその他の取消理由は、具体的には、特許明細書の本件請求項1〜13に係る発明は、実施例に記載されるガラス以外のガラスを用いる態様を含み、その態様を含む本件請求項1〜13に係る発明については、発明の詳細な説明の項に当業者が容易にその実施をすることができる程度に発明が記載されていないというものである。
しかし、前記訂正請求により、請求項1〜8に係る発明のガラスが、実質上、実施例の範囲のものに限定されたものであり、その結果、当該取消理由通知で根拠とした事実がもはや存在しないことになったものであるから、この理由についてはこれ以上審及しない。

VII. まとめ
特許異議申立の理由及び証拠によっては、訂正後の本件請求項1〜8に係る発明の特許を取り消すことができない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
高液相線粘度ガラスおよびそれを用いた基板
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、66.1-68.5%のSiO2、10.7-11.5%のAl2O3、7.03-9.7%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1.2-4.79%のMgO、4.85-5.2%のCaO、1.2-2.42%のSrO、2.42-4.5%のBaO、および11.8-15.34%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になり、比率Al2O3:B2O3>1である組成範囲を有し、650℃より高い歪点、0°-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、および5重量%のHCl水溶液中への24時間に亘る浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失を示すと共に、液相線温度での粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きいことを特徴とするガラス。
【請求項2】前記ガラスが、1675℃より低い温度で約20Pa.s(200ポアズ)の溶融粘度を示すことを特徴とする請求項1記載のガラス。
【請求項3】前記ガラスの液相線温度が1125℃以下であることを特徴とする請求項1記載のガラス。
【請求項4】請求項1から3いずれか1項記載のガラスを用いたフラットパネルディスプレー用の基板。
【請求項5】「チップ-オン-ガラス」技術を利用してシリコンチップをガラス上に直接搭載できることを特徴とする、請求項1から3いずれか1項記載のガラスを用いたフラットパネルディスプレー用の基板。
【請求項6】アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、66.1-68.5%のSiO2、10.7-11.5%のAl2O3、7.03-9.7%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、0-3%のNb2O5、0-3%のY2O3、1.2-4.79%のMgO、4.85-5.2%のCaO、1.2-2.42%のSrO、2.42-4.5%のBaO、および11.8-15.34%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になる組成範囲を有し、650℃より高い歪点、0°-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、および5重量%のHCl水溶液への24時間に亘る浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失を示すと共に、標準液相線法により測定した液相線温度を用いてファルチャーの式で計算した液相線温度での粘度が60,000Pa.s(600,000ポアズ)より大きいフラットで透明なガラスから成るフラットパネルディススプレー用の基板。
【請求項7】前記ガラスの液相線温度が1125℃以下であることを特徴とする請求項6記載の基板。
【請求項8】前記ガラスが、1675℃より低い温度で約20Pa.s(200ポアズ)の溶融粘度を示すことを特徴とする請求項6または7項記載の基板。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は液相線温度で高粘度を示すガラス組成物の製造に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、フラットパネルディスプレーの基板に用いるのに特に適する化学特性および物理特性を示すガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレー(LCD)は照明の外部光源に依存する受動的なディスプレーである。液晶ディスプレーは、セグメントタイプのディスプレーとして、または2つの基本構造からなるものとして製造される。2つのマトリックスタイプの基板のニーズ(透明であることとディスプレーの処理中に露出される化学条件に耐えられること以外)は異なる。第1のタイプは、液晶材料の限界特性に依存する固有マトリックスアドレスタイプ(intrinsic matrix addressed)である。第2のタイプは、外部マトリックス(extrinsic matrix addressed)または活性マトリックス(AM)アドレスタイプ(active matrix addressed)であり、ダイオード、金属-絶縁体-金属(MIM)デバイス、または薄膜トランジスタ(TFT)の配列が各ピクセルに電気スイッチを提供している。どちらの場合においても、2枚のガラスシートがディスプレーの構造を形成している。2枚のシート間の間隔は、約5-10μmの臨界ギャップ寸法である。
【0003】
固有アドレスタイプのLCD(intrinsically addressed LCDs)は、350℃以下の温度での薄膜蒸着技術と、続いての写真平板パターニング(patterning)を用いて製造する。結果として、基板の必要条件は、セグメントタイプのディスプレーとしばしば同じである。障壁層を有するソーダ石灰石英ガラスは、ほとんどのニーズに適することが分かった。固有アドレスタイプのLCDの高性能バージョンの、スーパーツイストネマティック(STN)タイプには、ギャップ寸法を一定に保持する目的のために極めて精密な平面度を必要とするさらなる要件が加わる。この要件のために、それらのディスプレーに使用するソーダ石灰石英ガラスは、研磨しなければならないか、または研磨なく使用できるコード7059として(ニューヨーク州、コーニングのコーニング社により)市販されている、精密成形されたバリウムアルミノホウケイ酸塩ガラスでなければならない。
【0004】
外部アドレスタイプのLCD(extrinsecally addressed LCDS)はさらに、2つの範疇、すなわち、1つはMIMまたは非晶質ケイ素(a-Si)デバイスに基づくLCD、もう1つは多結晶性ケイ素(poly-Si)デバイスに細分できる。MIMまたはa-Siタイプの基板の必要条件は、STN用途に類似している。コーニングコード7059シートガラスは、非常に低いナトリウム含有量、すなわち、0.1重量%未満のNa2O、寸法精密性、および商業的有効性のために好ましい基板である。しかしながら、poly-Siから形成したデバイスは、a-Si TFTを用いたデバイスよりも高い温度で加工される。600°-800℃(ガラスの歪点より25℃低いとみなす)の使用温度に耐えられる基板が求められる。必要とされる実際の温度は、TFTの製造に用いられる個々の工程により決まる。蒸着ゲート誘電体を有するそれらのTFTは600°-650℃を必要とし、一方熱酸化物を有するTFTは約800℃を必要とする。a-Siおよびpoly-Si工程の両方が、連続の写真平板パターンの正確なアラインメントを必要とし、それは、基板の熱収縮が低く保持されることを必要とするからである。それらの温度により、処理中のシートの熱変形を避けるために、ソーダ石灰石英ガラスおよびコーニングコード7059ガラスより高い歪点を示すガラスの使用が必要となってきた。理解されるように、歪点が低ければ低いほど、この寸法変化は大きくなる。このようにして、600℃より高い温度、好ましくは650℃より高い温度でのデバイス処理中に、熱変形が最少とされるように、高い歪点を示すガラスを開発する多くの研究が行なわれている。
【0005】
米国特許第4,824,808号(ダンボー、Jr.)は、LCDの基板のニーズを完全に満たすためにガラスが有していなければならないと考えられる4つの特性を記載している。
【0006】
第1に、ガラスは、基板からのアルカリ金属がトランジスターマトリックス中に移行するようなことを避けるために、意図的に加えられるアルカリ金属酸化物を実質的に含んではならない。
【0007】
第2に、ガラス基板は、TFTマトリックス蒸着工程(TFT matrix deposition process)中に用いられる試薬に耐えられるように、十分な化学的耐久性を有していなければならない。
【0008】
第3に、TFT配列に示されるガラスとケイ素の間の膨脹の不整合は、基板の処理温度が上がっても、比較的低含有量に保持されなければならない。
【0009】
第4に、ガラスは、低コストで高品質の薄いシート状に製造できるようでなければならない、すなわち、必要な表面仕上げを確保するために大規模なすりおよび研磨を必要としてはならない。
【0010】
米国特許第3,338,696号(ドカーティー)および米国特許第3,682,609号(ドカーティー)に記載のオーバーフローダウンドロー(overflow downdraw)シート製造工程のような、実質的に仕上げを施したガラスシートを製造できるシートガラス製造工程を必要とするので、この最後の必要条件を満たすのは最も困難である。その工程には、液相線温度での非常に高い粘度と、溶融温度と形成温度での失透に対する、例えば30日の長期安定性を示すガラスを必要とする。
【0011】
前出のコーニングコード7059は、LCDの製造に現在用いられている。そのガラスは、重量パーセントで、約50%のSiO2、約15%のB2O3、約10%のAl2O3、および約24%のBaOから実質的になり、名目上アルカリ金属酸化物を含まず、約46×10-7/℃の線熱膨脹係数(25°-300℃)および液相線温度での600,000ポアズ(6×104Pa・s)を超える粘度を示す。ガラスの高液相線粘度(high liquidus viscosity)により、オーバーフローダウンドローシート処理技術によりそのガラスをシートに引くことができるが、比較的低い歪点(〜593℃)は、a-Siデバイスのみを処理するのに適しており、poly-Siデバイスには適していない。
【0012】
前出の米国特許第4,824,808号のガラスは、poly-Siデバイスの製造に使用するための必要条件を満たすように設計されており、この必要条件には、オーバーフローダウンドローシート処理技術によりシートに形成できること、およびケイ素の線熱膨張係数によく整合するような、約36.5×10-7/℃(25°-300℃)という低い線熱膨張係数を有することが含まれ、これにより、シリコンチップを直接ガラスにシールできるが、そのガラスの歪点は650℃より低い。
【0013】
米国特許第4,409,337号(ダンボー、Jr.)のガラスはまた、LCD基板のために考えられたが、失透に対する長期安定性は、オーバーフローダウンドローシート処理技術に使用するには不十分であると思われた。
【0014】
米国特許第5,116,787号(ダンボー、Jr.)のガラスは、実質的にアルカリ金属酸化物とMgOを含まず、655℃以上の歪点と液相線温度で1.5×105ポアズ(1.5×104Pa・s)より大きな粘度を示す。このガラスはオーバーフローダウンドローシート処理技術用に設計されているけれども、失透に対する長期安定性は、その工程に用いたときに最低限度のものであることが分かり、製造中にガラスにいくらかの結晶が形成された。また、線熱膨張係数(25°-300℃)は一般的に40代後半から50代前半×10-7/℃の範囲にあり、ケイ素の線熱膨張係数(〜35×10-7/℃)と整合させるには高過ぎる。
【0015】
米国特許第5,116,788号(ダンボー、Jr.)は、高歪点、すなわち675℃より高い歪点を示すが、液相線温度において、オーバーフローダウンドローシート処理技術を用いて形成したときに失透するような比較的低い粘度、すなわち、20,000-200,000ポアズ(2,000-20,000Pa・s)を有する他のガラスを開示している。
【0016】
最後に、米国特許第5,116,789号(ダンボー、Jr.)は、675℃より高い歪点を示すが、高すぎてケイ素との高温整合を達成できない、45-62×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数(25°-300℃)を示す他のガラス組成について記載している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
「チップ-オン-ガラス」(COG)と呼ばれる液晶技術における最近の進歩により、熱膨脹においてケイ素とよく整合する基板ガラスに対応するニーズがさらに強調されてきた。したがって、最初のLCDデバイスでは、ドライバーチップを基板ガラス上には搭載していない。代わりに、シリコンチップを離して搭載し、コンプライアント(compliant)または柔軟な配線でLCD基板回路部品に接続していた。LCDデバイス技術が改良されデバイスが大きくなったので、コストと不確かな信頼性のために、これらの柔軟な取付物が受け入れられなくなった。この状況により、シリコンチップのテープ自動接着(Tape Automatic Bonding:TAB)へと導かれた。この工程においては、シリコンチップとチップへの電気接続手段を担体テープ上に搭載し、その副集成部品をLCD基板に直接搭載し、その後LCD回路部品への接続を完了させた。TABはコストを減少させると共に、信頼性を改善し、約200μmのピッチまで導体の許容密度を増大せしめた。これらは全て重要な要素である。しかしながら、COGはさらに上記3つの要素に関してTABを上回る改良を提供する。このように、LCDデバイスのサイズと品質の要件が増加するので、集積回路シリコンチップの使用に依存するそれらのデバイスのためにCOGが必要とされる。このために、基体ガラスは、ケイ素の線熱膨脹係数とよく整合する線熱膨脹係数を示さなければならない。すなわち、そのガラスは、32-46×10-7/℃、最も好ましくは32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数(0°-300℃)を示さなければならない。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、0°-300℃の温度範囲に亘る32-40×10-7/℃の範囲の線熱膨脹係数、650℃より高い歪点、1200℃以下の液相線温度、約200,000ポアズ(20,000Pa・s)より大きい液相線粘度、95℃での5重量%のHCl水溶液中への24時間の浸漬後の2mg/cm2未満の重量損失、溶融温度と形成温度での失透に対する長期安定性、および1675℃未満での約200ポアズ(20Pa・s)の溶融粘度を示すガラスの発見に基づくものであり、このガラスは実質的にアルカリ金属酸化物を含まず、酸化物基準のモルパーセントで表して、64-70%のSiO2、9.5-14%のAl2O3、5-10%のB2O3、0-5%のTiO2、0-5%のTa2O5、0-5%のNb2O5、0-3%のY2O3、0-5%のMgO、3-13%のCaO、0-5.5%のSrO、2-7%のBaO、および10-20%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になる。ガラスの電気特性に有害な影響があるため、アルカリ金属酸化物は最も好ましくは本発明のガラス中にまったく含まない。
【0019】
LCD基板ガラスをpoly-Siデバイスに用いるために望ましい特性を示すガラスを確保するために、それらガラスの組成の範囲への執着が、極めて重要であることが分かった。説明すると:
SiO2の含有量が64%より低い場合、歪点が低すぎて、酸の攻撃に対するガラスの耐性が不十分となる。一方で、SiO2の濃度が70%を超える場合、ガラスは通例のガラス溶融温度で溶融するのが困難となる。
【0020】
Al2O3の含有量は、最小液相線温度を得るのに重要である。すなわち、Al2O3の濃度が9.5%より低くなるかまたは14%を超える場合、液相線温度は1200℃を超え得る。
【0021】
B2O3は、ガラスの粘度特性を改良する傾向があり、B2O3の含有量が5%未満である場合、液相線温度は高すぎてしまう。10%より高いB2O3の含有量では、酸の攻撃に対する耐性が犠牲になり、歪点が低すぎてしまう。
【0022】
アルカリ土類金属酸化物はガラスの溶融特性と物理特性を修正する。しかしながら、その合計が20%を超えると、線熱膨脹係数が高すぎてしまう。SrOとBaOは、MgOまたはCaOよりも熱膨脹を上昇せしめる。それゆえ、個々に7%を超えない。CaOはまた、SrOまたはBaOより鈍い割合で、熱膨脹を上昇せしめるので、その合計は、13%を超えるべきではない。MgOは、少ない添加量で液相線温度に有益な効果を及ぼすが、5%より大きな濃度では、液相線温度は上昇するように思われる。
【0023】
ガラスの熱膨張係数を低下せしめるのにTiO2を含有することが有用である。Ta2O5の存在は、ガラスの熱膨張係数を低下せしめるだけでなく、その化学的耐久性を著しく改良する。Nb2O5とY2O3は、ガラスの熱膨張係数を減少せしめ、その液相線温度を低下せしめるように思われる。
【0024】
好ましいガラスにおいて、Al2O3の含有量は、B2O3の含有量を超え、最も好ましいガラスにおいては、組成は、モルパーセントで表して、65-69%のSiO2、10-12%のAl2O3、7-10%のB2O3、0-3%のTiO2、0-3%のTa2O5、1-5%のMgO、3-9%のCaO、1-3%のSrO、2-5%のBaO、および11-16%のMgO+CaO+SrO+BaOから実質的になり、比率Al2O3:B2O3>1である。そのガラスは、32-40×10-7/℃の線熱膨張(0°-300℃)、1125℃以下の液相線温度、およびその液相線温度での600,000ポアズ(60,000Pa・s)より大きい粘度を示す。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0026】
表Iは、本発明の組成パラメータを説明する、酸化物基準の重量部で表した多くのガラス組成を記載している。個々の成分の合計が100に近いので、全ての目的に関して、記載した値は重量パーセントを示すものと考えてさしつかえない。実際のバッチ成分は、酸化物、または他のバッチ成分とともに溶融されたときに、適切な比率で所望の酸化物に転化される他の化合物のいずれの材料からなっていてもよい。例えば、SrCO3およびCaCO3は、それぞれSrOとCaOの供給源を提供し得る。
【0027】
バッチ成分を配合し、均質な溶融物の製造を補助するためにともに完全にタンブル混合し、白金るつぼに装填した。蓋を乗せた後、るつぼを1600°-1650℃の温度で運転している炉に移した。不純物と脈理のないガラスの製造を確実にするために、2段階溶融方法を用いた。第1の段階において、バッチを約16時間に亘り溶融し、撹拌し、次いで微細な流れとして水浴中に注ぎ入れた。この工程は、ガラス業界において「ドリゲージング」と称する。第2の工程において、ドリゲージングから細かく粉砕したガラス粒子を約4時間に亘り1600°-1650℃で再溶融し、この溶融物を両方向(時計回りと反時計回り)に撹拌し、その後溶融物をスチール板上に注いで、約18”×6”×0.5”(〜45.7×15.2×1.3cm)の寸法を有するガラススラブを作成し、それらのスラブを約730℃で運転しているアニーラーにただちに移した。
【0028】
上述した記載は実験室の溶融方法を示したものであるが、本発明のガラスは、大規模の、商業的なガラス溶融装置および成形装置を用いて、溶融および成形でせきることを理解しなければならない。このように、このガラスは、オーバーフローダウンドローシート処理技術を用いて薄いシートに引けるように特別に設計したものである。ここに記載した実験のガラスに関して、それぞれ約0-1%および0-0.5%のヒ素および/またはアンチモンを各バッチに加えて、清澄剤としての通常の機能を果たせしめた。ガラス中に残っている少量の残留物は、ガラスの特性には実質的に影響しない。
【0029】
表Iはまた、ガラス業界に慣例の技術により、ガラスについて測定したいくつかの化学特性と物理特性も列記している。このようにして、×10-7/℃で示した、0°-300℃の温度範囲に亘る線熱膨張係数(Exp.)、および℃で示した、軟化点(S.P.)、アニール点(A.P.)、および歪点(St.P.)を、繊維伸び率(fiber elongation)により測定した。HCl中の耐久性(Dru.)は、5重量%のHCl水溶液の浴中に95℃で24時間に亘り浸漬した後の重量損失(mg/cm2)を測定することにより求めた。
【0030】
ガラスの液相線温度を2つの異なる方法により測定した。標準液相法(standard liquidus method;Liq.)は、粉砕したガラス粒子を白金ボートに置き、このボートを温度勾配の領域を有する炉中に置き、このボートを適切な温度領域で24時間に亘り加熱し、結晶がガラスの内部で現れる最高温度を顕微鏡検査により測定することにより構成されている。「メルトバック液相線(meltback liquidus)」(M.Liq.)と呼ばれる第2の方法は、24時間に亘り1000℃の温度に保持することにより予備結晶化せしめられたガラス試料を白金ボート中に置き、このボートを勾配炉中の適温領域で24時間に亘り加熱し、次いで顕微鏡検査によりガラスの内部に結晶が観察されない最低温度を測定することからなる。一般的に、これらの2つの技術により測定した液相線温度は、50℃より大きくは異ならず、「メルトバック液相線」は典型的に標準液相線温度より高い。
【0031】
表IAは、酸化物基準のモルパーセントで示した表Iと同一のガラス組成を列挙し、その中で、清澄剤の含有量は、最終ガラス中での存在が小さく、ガラスの全体的な特性には実質的な影響を及ぼさないので、省略した。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
実施例5は、高含有量のCaOおよび低含有量のSiO2を有するガラスがいかに高熱膨脹係数となり得るかを示している。
【0036】
表IIはまた、再度酸化物基準の重量部で示した、より深く特徴付けられたガラス組成の第2の群を記載している。ここでも、個々の成分の合計が100に近いので、全ての目的に関して、列挙した値は重量パーセントを示すものと考えてさしつかえない。そして、表Iに記載した組成と同様に、実際のバッチ成分は、酸化物、またはともに溶融せしめられたときに、適切な比率で所望の酸化物に転化される他の化合物のいずれの材料からなっていてもよい。
【0037】
バッチ成分を配合し、ともに混合し、溶融して、表Iのガラスに概説した実験方法によりガラススラブに造型した。
【0038】
表IIはまた、表Iのガラスには行なわなかった2つの追加の測定値とともにいくつかのガラスに行なった化学特性と物理特性の測定値を列挙している。第1には、溶融温度[℃で示したMelt](ガラスの溶融物が200ポアズ[20Pa・s]の粘度を示した温度と定義した)を加え、これは高温粘度データに適合したファルチャーの式(Fulcher equation)を用いて計算した。第2には、ファルチャーの式の係数を用いて計算した、×100,000ポアズ(10,000Pa・s)で表した液相線粘度(Visc)を加えた。記載した液相線温度は、標準液相線法(Liq)により測定した。最後に、表Iのガラス組成と同様に、ガラスの清澄は、ガラスバッチ中にヒ素および/またはアンチモンを含有せしめることにより行なった。
【0039】
表IIAは酸化物基準のモルパーセントで表した表IIと同一のガラス組成を列挙しており、その中で、清澄剤による少量の残留物はガラスの全体的な特性には実質的に影響しないので、清澄剤の濃度は省略した。実施例16は実施例6の実験再溶融物である。
【0040】
【表4】

【0041】
【表5】

【0042】
【表6】

【0043】
【表7】

【0044】
【表8】

【0045】
【表9】

【0046】
【表10】

【0047】
【表11】

【0048】
【表12】

【0049】
【表13】

【0050】
実施例28-31は、本発明の範囲に近いが、いくぶん外れている組成を有するガラスを例示している。したがって、実施例28ではSiO2とBaOの濃度は高すぎる。実施例29ではSiO2の含有量は低く、MgOの含有量は高すぎる。実施例30ではSiO2の含有量は低すぎる。実施例31ではSiO2の量は低すぎ、CaOの量は高すぎる。
【0051】
実施例16、21、22、25、26および27は明らかに本件特許請求の範囲に入る好ましい組成を構成し、化学特性、物理特性、および溶融特性の全体的な組合せに基づいて、実施例21が最も好ましいものである。その他の実施例はデータが完備されていないだけのものも含めて参考例とする。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-11-24 
出願番号 特願平6-5599
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C03C)
P 1 651・ 534- YA (C03C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 仁志  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 佐藤 修
野田 直人
登録日 2003-08-29 
登録番号 特許第3465238号(P3465238)
権利者 コーニング・インコーポレーテッド
発明の名称 高液相線粘度ガラスおよびそれを用いた基板  
代理人 山本 格介  
代理人 柳田 征史  
代理人 池田 憲保  
代理人 佐久間 剛  
代理人 柳田 征史  
代理人 佐久間 剛  

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