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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
管理番号 1133539
審判番号 不服2003-6936  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-24 
確定日 2006-03-22 
事件の表示 平成6年特許願第 47568号「定着ヒータ、定着装置および画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成6年11月25日出願公開、特開平6-324586〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判の請求にかかる特許願(以下、「本願」という)は、平成5年3月17日の優先権主張(日本)を伴って、平成6年3月17日に出願されたもので、平成14年11月19日付で、特許法第29条の2の規定により特許を受けられない旨の拒絶理由通知がなされ、平成15年3月14日付で、本願は、前記29条の2の規定により拒絶すべきものである旨の査定がなされたものである。
そして、平成15年4月24日付けで、特許法第121条第1項に基づき審判請求がなされ、同日付で手続補正(以下、「本件補正」という)がなされたものである。

2.平成15年4月24日付手続補正についての補正の却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成15年4月24日付の手続補正を却下する。

〔理由〕 平成15年4月24日付けの手続補正を却下する。
(1)補正後の本願発明
・本件の【請求項1】、【請求項2】に係る補正は、補正前の【請求項1】、【請求項2】の「一対の第一の導体パターン」を「少なくともそれぞれの一部が基板の裏面に設けられていて抵抗発熱体の長手方向に沿い、かつ、抵抗発熱体を挟んで互いに平行に離間して延在する平行部分を有する一対の第1導体パターン」とし、「導体パターンを橋絡して電気接続するチップサーミスタ」を「導体パターンの上記平行部分を橋絡して電気接続するチップサーミスタ」とするものであり、「第1導体パターン」、「チップサーミスタの電気接続」の形態を図面を伴い実施例として説明されているものに限定するものであるから、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・本件の【請求項4】に係る、「第2導体パターン」を「第1導体パターン」とする補正、【請求項6】に係る、「定着フィルムを界して」を「定着フィルムを介して」とし、「請求項記載の」を「請求項5記載の」とする補正は、いずれも特許法第17条の2第3項第3号で規定する誤記の訂正を目的とするものである。
また、【発明の詳細な説明】欄の補正は、上記補正と整合性をとるための補正であり、不明瞭な記載の釈明を目的とするものである。
次に、本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するか)について以下検討する。
本件補正後の請求項1ないし6に係る発明は、平成15年4月24日付の手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりのものであり、特に、請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明1」という。)は、下記のとおりである。
「【請求項1】
アルミナセラミックスの基板と;
基板の表面に設けられた抵抗発熱体と;
基板の表面および/または裏面に設けられ、抵抗発熱体に通電するように抵抗発熱体に接続された一対の第1端子と;
少なくともそれぞれの一部が基板の裏面に設けられていて抵抗発熱体の長手方向に沿い、かつ、抵抗発熱体を挟んで互いに平行に離間して延在する平行部分を有する一対の第1導体パターンと;
抵抗発熱体に対向して基板の裏面に配設され、抵抗発熱体と熱結合し、第1導体パターンの上記平行部分を橋絡して電気接続するチップサーミスタと;
基板の表面および/または裏面に設けられ、チップサーミスタに通電するために第1導体パターンに電気接続された一対の第2端子と;
チップサーミスタの少なくとも基板との対向面と基板との間に充填された空気よりも熱伝導度の高い耐熱樹脂と;
を具備していることを特徴とする定着ヒータ。」
そこで、本願補正発明1が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)先願明細書に記載された発明
拒絶査定での特許法第29条の2の拒絶の理由に引用された特願平4-353716号の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。 特開平6-186870号公報参照)には、下記ア.〜キ.が記載されている。

ア.〔特許請求の範囲、請求項1〕
「【請求項1】 基板と、該基板上に設けられた抵抗発熱体層と、上記基板の該抵抗発熱体層が設けられた側と反対側に配設された温度検知素子と、該温度検知素子の近傍に配設され、該温度検知素子の出力を取り出す一対の電極とを有するヒータにおいて、上記一対の電極は、該電極間に所定の間隙を有するように上記基板上に配設され、上記温度検知素子は、上記一対の電極上に上記間隙を覆うように配設され、上記温度検知素子及び一対の電極並びに上記基板で囲まれる領域には絶縁性物質が充填されていることを特徴とするヒータ。」、
イ.〔【産業上の利用分野】〜【発明が解決しようとする課題】欄、第1〜8段落〕
「【産業上の利用分野】本発明は、基板と、基板上に設けられた抵抗発熱体層と、温度検知素子とを有するヒータ及びこのヒータを用いた定着装置に関する。・・・
【発明が解決しようとする課題】・・・上記フィルム方式の定着装置においては、ヒータの熱容量が小さいためヒータの昇降温が速く、温度検知素子の応答時間が長いと温度リップルが大きくなる。また、基板に対する温度検知素子の接触状態が悪いと正常な温調が行われないばかりか過昇温が生じてしまう。さらに、このようなヒータを用いた定着装置では、定着ムラや光沢ムラが生じる。
この問題を解決するため、基板上に抵抗発熱層と温度検知素子の出力を取り出す電極とを設け、さらに該基板上に温度検知素子を接着し、温度検知素子の応答を速めるという提案がなされている。
しかしながら、この手法では温度検知素子の出力を取り出す電極が通常Agで作られており、これが高温環境下で空気中の水分によりイオン化し、これが電極間の電界により移動し電極間をショートさせるマイグレーションという現象を引き起こす。」、

ウ.〔【課題を解決するための手段及び作用】〜【作用】欄、第12〜15段落〕
「【課題を解決するための手段及び作用】本願第一発明によれば、上記目的は、基板と、該基板上に設けられた抵抗発熱体層と、上記基板の該抵抗発熱体層が設けられた側と反対側に配設された温度検知素子と、該温度検知素子の近傍に配設され、該温度検知素子の出力を取り出す一対の電極とを有するヒータにおいて、上記一対の電極は、該電極間に所定の間隙を有するように上記基板上に配設され、上記温度検知素子は、上記一対の電極上に上記間隙を覆うように配設され、上記温度検知素子及び一対の電極並びに上記基板で囲まれる領域には絶縁性物質が充填されていることにより達成される。・・・
【作用】本願第一発明によれば、温度検知素子が、抵抗発熱体層と反対側の基板上に一対の電極を介して配設されているので、温度検知素子の応答が速くなり、しかも、上記一対の電極と温度検知素子と基板とで囲まれる領域には、絶縁性物質が充填されているので、一対の電極間におけるイオンの移動が防止され、マイグレーションを発生させない。」、

エ.〔【実施例】ヒータ全体構成と抵抗発熱体層の説明欄、第18〜30段落〕
「【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
〈実施例1〉先ず、本発明の実施例1を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本発明の実施例1のヒータを用いた加熱定着装置の断面図である。
図1において7はエンドレスベルト状の定着フィルムであり、該定着フィルム7は左側の駆動ローラ8、右側の従動ローラ9と、この両ローラ8,9間の下方に固定支持させて配設した低熱容量線状ヒータ1との間に張設してある。・・・
ヒータ1はフィルム移動方向に交差する方向を長手方向とする低熱容量線状ヒータであり、良熱伝導性の基板2、通電抵抗発熱体層3、温度検知素子であるサーミスタ503より成る。
基板2は耐熱性・電気絶縁性・低熱容量のアルミナ基板で、厚さ1.0mm、幅10mm、長さ240mmに形成されている。
抵抗発熱体層3は基板2のフィルム摺動側の面の略中央部に、面の長手方向に沿って、Ta、銀パラジウム、酸化ルテニウム等の電気抵抗材料を幅1.0mmに塗工(スクリーン印刷等)して具備させた、線状もしくは帯状の低熱容量の層である。・・・
ヒータ1は線状もしくは帯状の抵抗発熱体層3に対してその長手方向両端部より交流電圧を通電して抵抗発熱体層を全長に亘って発熱させる。ヒータ1の温度は温度検知素子503で検知され、その検知温度に基づいてマイクロコンピュータにより所定の温度となるように通電制御される。」、

オ.〔【実施例】サーミスタ/基板間に充填される絶縁性物質の説明欄、第35〜40段落〕
「次に、図2に基づいて本実施例におけるヒータの構成について詳しく説明する。図2は基板裏面の温度検知素子であるサーミスタ装着部の拡大図である。図2に示すように、アルミナ、AlN等の高熱伝導性セラミックから成る基板2の、抵抗発熱体層3が取り付けられた側と反対側の面には、Agで作られた一対の電極120が設けられており、その電極120上にはサーミスタ503が導電性接着剤504により接着されている。導電性接着剤504は、エポキシ、シリコーン、ポリイミド樹脂、ガラス等にAg粒子を分散させたものである。
電極120は二つの電極が所定の間隙で対向するように配設されており、該間隙及びサーミスタチップ感熱部501並びに基板2で形成される領域には、エポキシ、シリコーン、ポリイミド、フッ素樹脂、ガラス等から成る絶縁性物質510を充填して電極120間でのAgイオンの移動を防ぎ、マイグレーションを防止している。
また、この絶縁性物質510の存在により基板2からサーミスタ503への熱伝導が良くなり、サーミスタ503の応答性が良くなっている。さらに、絶縁性物質510に接着性のあるものを用いることにより、サーミスタ510の基板2に対する接着強度が上り、ヒータの取り扱い時にサーミスタがより欠落しにくくなる。
以上のようなヒータにおいて、電極間距離を1.0mm、サーミスタへの印加電圧を5Vにして、80℃、95%RHの環境でマイグレーションによりショートを起こす時間を調べた結果を表1に示す。・・・
表1から判かるように、絶縁物質なしでは、1000時間以内でマイグレーションによりショートしているのに対し、絶縁物質ありでは、2000時間でもまだショートを起こさない。」、

カ.〔【実施例】一対の平行電極の太幅電極端部を橋絡するサーミスタ装着構造、図1〕
実施例1に係るサーミスタ装着部を示す斜視図面である図1には、下記のようなサーミスタ装着構造が示されている。
基板(2)表面の抵抗発熱体層の長手方向に沿い、かつ、抵抗発熱体層を挟む様な配置で、基板裏面に於いて平行に離間して延在する平行部分を有し、基板中央付近から基板長手方向の片側端部まで延びる一対の平行電極(120)と;
一対の平行電極の基板中央付近の太幅電極端部と;
抵抗発熱体層と熱結合し易い様に、抵抗発熱体層に基板を挟んで対向する配置で、基板裏面に配設され、一対の平行電極の上記太幅電極端部を橋絡して電気接続するサーミスタ(503)とからなるサーミスタ装着構造(図2斜視図)、

キ.〔【実施例】一対の平行電極の延在する平行部分を橋絡するサーミスタ装着構造、図6、図7、図8〕
実施例3〜実施例4に係るサーミスタ装着部を示す斜視図面である図6、図7、図8には、それぞれ、下記のようなサーミスタ装着構造が示されている。
基板(2)表面の抵抗発熱体層の長手方向に沿い、かつ、抵抗発熱体層を挟む様な配置で、基板裏面で平行に離間して延在する平行部分を有し、基板中央部から基板長手方向の片側端部まで延びる一対の平行電極(120)と;
抵抗発熱体層と熱結合し易い様に、抵抗発熱体層に基板を挟んで対向する配置で、基板裏面に配設され、一対の平行電極の上記平行部分を橋絡して電気接続するサーミスタ(503)とからなるサーミスタ装着構造(図6〜8)。

前記エ.の「抵抗発熱体層3は基板2のフィルム摺動側の面の略中央部に、面の長手方向に沿って・・・幅1.0mmに塗工・・・ヒータ1は線状もしくは帯状の抵抗発熱体層3に対してその長手方向両端部より交流電圧を通電して抵抗発熱体層を全長に亘って発熱させる。」との記載からみて、「抵抗発熱体層に通電する一対の通電接続端子」が、帯状の抵抗発熱体層3の長手方向両端部に存在することは、当業者に自明の事項である。

また、前記カ.ないしキ.で摘記した図1、図6、図7、図8の各々に示されるサーミスタ装着用電極、即ち、「基板裏面で平行に離間して延在する平行部分を有し、基板中央部から基板長手方向の片側端部まで延びる一対の平行電極(120)」の「基板長手方向の片側端部まで延びる一対の電極端部」が、「サーミスタに通電するために一対の平行電極に電気接続された通電接続端子」として機能することも、当業者に自明の事項である。
前記摘記事項及び図面の記載をまとめると、
先願明細書には、
「アルミナセラミックスの基板と;
基板の表面に設けられた抵抗発熱体層と;
基板の表面に設けられ、抵抗発熱体層に通電するように接続された一対の通電接続端子と;
基板の裏面に設けられていて抵抗発熱体層の長手方向に沿い、かつ、抵抗発熱体層を挟むような配置で互いに平行に離間して延在する平行部分を有する一対の平行電極と;
抵抗発熱体層に対向して基板の裏面に配設され、抵抗発熱体層と熱結合し、一対の平行電極の上記平行部分、或いは、太幅電極端部を橋絡して電気接続するサーミスタと;
基板の裏面に設けられ、サーミスタに通電するために一対の平行電極に電気接続された一対の通電接続端子と;
サーミスタの基板との対向面と基板との間に充填され、サーミスタへの熱伝導を良くする、エポキシ、シリコーン、ポリイミド、フッ素樹脂などからなる絶縁性物質と;
を具備している定着ヒータ。」
(以下、「先願明細書に記載された発明」という。)が記載されているものと認める。

(3)対比・判断
本願補正発明1と先願明細書に記載された発明を対比すると、
a.先願明細書に記載された発明の「抵抗発熱体層」、「抵抗発熱体層に通電するように接続された一対の通電接続端子」、「基板の裏面に設けられていて抵抗発熱体層の長手方向に沿い、かつ、抵抗発熱体層を挟むような配置で互いに平行に離間して延在する平行部分を有する一対の平行電極」、「一対の平行電極の平行部分を橋絡して電気接続するサーミスタ」、「サーミスタに通電するために一対の平行電極に電気接続された一対の通電接続端子」は、各々、本願補正発明1の「抵抗発熱体」、「抵抗発熱体に通電するように抵抗発熱体に接続された一対の第1端子」、「基板の裏面に設けられていて抵抗発熱体の長手方向に沿い、かつ、抵抗発熱体を挟んで互いに平行に離間して延在する平行部分を有する一対の第1導体パターン」、「第1導体パターンの平行部分を橋絡して電気接続するチップサーミスタ」、「チップサーミスタに通電するために第1導体パターンに電気接続された一対の第2端子」、に相当する。
b.先願明細書に記載された発明の「サーミスタの基板との対向面と基板との間に充填され、サーミスタへの熱伝導を良くする、エポキシ、シリコーン、ポリイミド、フッ素樹脂などからなる絶縁性物質」は、技術常識からみて、耐熱性の優れた樹脂から構成され、空気よりも熱伝導度の高いものであるから、「チップサーミスタの少なくとも基板との対向面と基板との間に充填された空気よりも熱伝導度の高い耐熱樹脂」であることが明らかである。
してみると、両者は、
「アルミナセラミックスの基板と;
基板の表面に設けられた抵抗発熱体と;
基板の表面に設けられ、抵抗発熱体に通電するように抵抗発熱体に接続された一対の第1端子と;
基板の裏面に設けられていて抵抗発熱体の長手方向に沿い、かつ、抵抗発熱体を挟んで互いに平行に離間して延在する平行部分を有する一対の第1導体パターンと;
抵抗発熱体に対向して基板の裏面に配設され、抵抗発熱体と熱結合し、第1導体パターンの上記平行部分を橋絡して電気接続するチップサーミスタと;
基板の裏面に設けられ、チップサーミスタに通電するために第1導体パターンに電気接続された一対の第2端子と;
チップサーミスタの基板との対向面と基板との間に充填された空気よりも熱伝導度の高い耐熱樹脂と;
を具備している定着ヒータ。」
である点で一致し、同一である。
なお、請求人は、上記先願の図2の記載に基づいて、先願明細書に記載のサーミスタは、電極120の先端に形成された平行部分に対して直角な接続部に接着されていると主張するが、先願明細書の特許請求の範囲には、「一対の電極上に上記間隙を覆うように配設され」と記載されているのであり、先願明細書に記載の発明のサーミスタの接続部が図2のようなものに限定されないことは明らかである。
したがって、本願補正発明1は、前記先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願補正発明1の発明者が先願明細書に記載された発明の発明者と同一ではなく、また、本願出願時に、その出願人が前記先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項で準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読みかえて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成15年4月24日付の手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項1〜6に係る発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲請求項1〜6に記載されるとおりのものと認められるところ、その請求項1の記載は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】アルミナセラミックスの基板と;
基板の表面に設けられた抵抗発熱体と;
基板の表面および/または裏面に設けられ、抵抗発熱体に通電するように抵抗発熱体に接続された一対の第一端子と;
少なくともそれぞれの一部が基板の裏面に設けられた一対の第一の導体パターンと;
抵抗発熱体に対向して基板の裏面に配設され、抵抗発熱体と熱結合し、第一の導体パターンを橋絡して電気接続するチップサーミスタと;
基板の表面および/または裏面に設けられ、チップサーミスタに通電するために第一の導体パターンに電気接続された一対の第2端子と;
チップサーミスタの少なくとも基板との対向面と基板との間に充填された空気よりも熱伝導度の高い耐熱樹脂と;
を具備したことを特徴とする定着ヒータ。」
(以下、「本願発明」という)

(2)先願明細書とその記載内容
これに対して、拒絶査定での拒絶の理由に引用された先願明細書には、上記2.(2)で示したとおりの発明が記載されている。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2.(3)で検討した本願補正発明1から「一対の第一の導体パターン」に関して、「少なくともそれぞれの一部が基板の裏面に設けられていて抵抗発熱体の長手方向に沿い、かつ、抵抗発熱体を挟んで互いに平行に離間して延在する平行部分を有する」との構成を省き、且つ「導体パターンを橋絡して電気接続するチップサーミスタ」の「橋絡箇所」に関する構成「平行部分(を橋絡して)」を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明1が、前記2.(3)に記載したとおり、先願明細書に記載されたものであるから、本願発明も、上記と同様の検討から、先願明細書に記載されたものと認められる。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができず、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-01-06 
結審通知日 2006-01-17 
審決日 2006-01-31 
出願番号 特願平6-47568
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (G03G)
P 1 8・ 161- WZ (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 祐介  
特許庁審判長 山下 喜代治
特許庁審判官 藤岡 善行
伏見 隆夫
発明の名称 定着ヒータ、定着装置および画像形成装置  
代理人 小野田 芳弘  
代理人 小野田 芳弘  

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