• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない H04N
審判 訂正 2項進歩性 訂正しない H04N
管理番号 1133623
審判番号 訂正2004-39265  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2006-05-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-11-20 
確定日 2006-03-13 
事件の表示 特許第3093286号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第3093286号発明(平成10年5月6日特許出願(優先権主張 平成9年5月9日、平成9年6月25日、平成9年7月29日(JP)日本)、平成12年7月28日設定登録)の明細書及び図面を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであって、その訂正事項は以下のとおりである(なお、アンダーラインは訂正箇所を示す)。
1.訂正事項
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1及び請求項3中の
「表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブース」を、「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブース」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1中の
「前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する、追加補正部が接続された記憶部を備え」を、「前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像であって、前記記憶部への更なる書き換えがなくなった映像に対して追加補正を行う追加補正部とが備えられ」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許請求の範囲の請求項3中の
「前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する、追加補正部が接続された記憶部を備え」を、「前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記タイマーシャッタの作動により前記映像再現手段で再現することが決定された映像であって、前記記憶部への更なる書き換えがなくなった映像に対して追加補正を行う追加補正部とが備えられ」と訂正する。
(4)訂正事項d
特許請求の範囲の請求項3中の
「当該フォトブースはタイマーシャッタを備え、そのタイマーシャッタのシャッタタイミングは当該フォトブースからの音声によって使用者がタイミングを取れるフォトブースにおいて」を「当該フォトブースはタイマーシャッタを備え、そのタイマーシャッタのシャッタタイミングは当該フォトブースからの音声によって被撮影者がタイミングを取れるフォトブースにおいて」と訂正する。
(5)訂正事項e
特許請求の範囲の請求項4中の
「表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ使用者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者に撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ使用者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い」を、「表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者に撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い」と訂正する。
(6)訂正事項f
特許請求の範囲の請求項4中の
「前記第1回目の被撮影者の撮影を行った映像と、第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成すると共に、前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行うことを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」を、「前記第1回目の被撮影者の撮影を行った映像と、第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成して表示装置に表示し、その後、被撮影者が前記表示装置に表示された合成画像を視認し、映像再現手段で再現する映像を決定することによって前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った人物映像の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」と訂正する。
(7)訂正事項g
特許請求の範囲の請求項6中の
「表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ使用者の操作によりカメラで第1回目に被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ、フォトブースからの音声によりシャッタタイミングを知らせ、使用者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い」を「表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目に被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ、フォトブースからの音声によりシャッタタイミングを知らせ、被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い」と訂正する。
(8)訂正事項h
特許請求の範囲の請求項6中の
「第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成することを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」を、「第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成して表示装置に表示し、その後、被撮影者が前記表示装置に表示された合成映像を視認し映像再現手段で再現する映像を決定することによって前記第2の映像処理部に記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った人物映像の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」と訂正する。

2.訂正事項についての判断
本件訂正審判に係る上記訂正事項aないしc、eないしhは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、また、上記訂正事項d,e,gは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、いずれも、願書に添付した明細書および図面に記載された範囲内のものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

3.訂正請求書の特許請求の範囲に記載された発明
上記のとおりであり、上記訂正事項を採用した訂正請求書の特許請求の範囲に記載された発明は以下のとおりである。
「【請求項1】 被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースにおいて、
前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像であって、前記記憶部への更なる書き換えがなくなった映像に対して追加補正を行う追加補正部とが備えられ、前記記憶部に記憶した2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。
【請求項2】 表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷に再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースにおいて、
前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部を備え、前記記憶部に記憶した2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成し、かつ、前記映像再現手段は、前記金銭投入スイッチでカウントされた金額に応じて決定される撮影映像の印刷領域の印刷に必要な長さに、前記印刷を適宜切断して、印刷枚数として所望の印刷枚数を払い出すことを特徴とするフォトブース。
【請求項3】 被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースであって、かつ、当該フォトブースはタイマーシャッタを備え、そのタイマーシャッタのシャッタタイミングは当該フォトブースからの音声によって被撮影者がタイミングを取れるフォトブースにおいて、
前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記タイマーシャッタの作動により前記映像再現手段で再現することが決定された映像であって、前記記憶部への更なる書き換えがなくなった映像に対して追加補正を行う追加補正部とが備えられ、前記記憶部に記憶した2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。
【請求項4】 表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物映像だけを切り取り第2の映像処理部で記憶し、前記第1の映像処理部に記憶した映像に、第2の映像処理部に記憶した映像を上書きし、前記第1回目の被撮影者の撮影を行った映像と、第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成して表示装置に表示し、その後、被撮影者が前記表示装置に表示された合成画像を視認し、映像再現手段で再現する映像を決定することによって前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った人物映像の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法。
【請求項5】 前記追加補正は、前記合成した場合にコントラストでの違和感が生じることを低減する補正を行うものである請求項4記載のフォトブースにおける撮影方法。
【請求項6】 表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ、フォトブースからの音声によりシャッタタイミングを知らせ、被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物映像だけを切り取り第2の映像処理部で記憶し、前記第1の映像処理部に記憶した映像に、第2の映像処理部に記憶した映像を上書きし、前記第1回目の被撮影者の撮影を行った映像と、第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成して表示装置に表示し、その後、被撮影者が前記表示装置に表示された合成映像を視認し映像再現手段で再現する映像を決定することによって前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った人物映像の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法。」

そこで、上記請求項1,3,4,6に記載された発明(以下、「本件訂正発明1」「本件訂正発明3」「本件訂正発明4」「本件訂正発明6」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

第2 訂正拒絶理由
平成17年2月2日付けで通知した訂正の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
「本件訂正発明1,3,4,6は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件訂正発明1,3,4,6は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第4項の規定に適合しない。」

第3 無効審判における甲第1ないし6号証 および参考資料1ないし17
1.甲第1号証 (特表平4-506264号公報)
甲第1号証には、自動写真撮影装置に関し、次に掲げるアないしクの事項が記載されている。
ア 上記映像が選択された上記補助的画像に重ね合わせて可視的ディスプレイ装置上に表示されるようになされており、上記映像の補助的画像に対する位置および/あるいは大きさを使用者が調整できるようになされた使用者制御装置が設けられていることを特徴とする請求項16あるいは17による撮像装置。(特許請求の範囲18)
イ 本発明によれば写真機と自動装置とを内蔵するハウジングが設けられており、上記自動装置が作動されると、ハウジングに近接する部分に位置する被写体の少なくとも1枚の写真を写真機に撮影させ、かつプリント作成出力をもたらし、この出力により作動されて上記写真のプリントを作成するプリンターが設けられている自動的写真撮影装置において、上記写真機が記憶可能電子情報の形態における画像出力をもたらす電子画像カメラであり、上記自動装置がこの電子情報を記憶し処理するための制御手段を具備しており、上記プリンターが上記の記憶され処理された電子情報に対応するプリントを作成するようになされていることを特徴とする装置が提供される。(公報第2頁右下欄3行〜15行)
ウ 上述した自動装置は、硬貨あるいは代用硬貨(あるいはその類似物)機構、すなわち写真撮影に先立って1個あるいは複数個の硬貨(あるいは硬貨類似代用品、紙幣あるいはクレジットカードなど)の挿入により作動される機構を有する。(公報第3頁右下欄2行〜6行)
エ また制御手段は、適当なデータ記憶装置を具備する適宜のコンピュータ装置を有する。この制御手段は、写真機により撮影されるべき画像を使用者に示し得る可視的ディスプレイ装置をも具備することが好ましい。この付属設備により、今の画像が適当でプリントされるべきか否かを判断することができる。あるいはこれに代えてもしくはこれに加えて、プリント前に例えば背景もしくは前景を変更し、大きさを調整(例えばパンないしズームにより)し、背景もしくは前景に対する画像位置を変え、あるいは光学的および/あるいは電子的変形により画像を変形(横方向を伸ばしもしくは縮めあるいは歪めて)してプリントされるべき画像を修正することもできる。(公報第3頁右下欄7行〜19行)
オ 上述した撮影装置はパスポートタイプの人物写真もしくは肖像写真、あるいは例えば人物写真を興味深い、もしくは娯楽的な背景もしくは前景あるいは補助的写真ないし装飾などを重ね合わせもしくは併べ合わせて成るおもしろい複合写真をもたらすために使用される。この補助的画像を電子的に記憶させて、撮影された写真とこの単一の、もしくは複数の補助的画像との組み合わせに相当するプリントを提供するために使用することができる。(公報第4頁左上欄16行〜24行)
カ 写真撮影帯域において撮影された写真は、所望の画像をもたらすために部分的に分離削除して、所望画像のみを使用して最終プリントを作成(前述したように電子的に付加される補助的画像と組合わせて)することもできる。この分離は任意適宜の方法で行われ得るが、上記写真撮影帯域に、あらかじめ定めた色度的性格の背景境界面を設け、色度キーフィルター装置によりカメラにより撮影された写真における被写体と背景境界面とを分離するのが好ましい。(公報第4頁右下欄21行〜5頁左上欄5行)
キ すなわちカメラで撮影されるのと同様の彼の映像がVDUスクリーン12(外部VDUスクリーンではなく)にそのまま示されるので、使用者は制御装置13を操作して鏡21を操作し、彼の映像をVDUスクリーン12の中央に合わせる。これによりカメラ20および照明27-29が自動的に作動され、彼の写真(頭部および肩部の肖像)が撮影される。その際若干のポーズをとる時間が与えられ、制御装置13の操作によりその映像ではなく、他の映像を撮影するように指示できる。このポーズ時間および撮影切迫は、VDUスクリーン12上に例えばカウントダウンする時計などの映像を表示して通告される。(公報第6頁右上欄13行〜24行)
ク 使用者の好む映像(選択により異なる複数の映像)が選択されると、このビデオ映像データが、すでに選択されている背景あるいは選択されてなければ通常の背景上に重ね合わせて制御装置23のメモリに記憶される。背景に関しては、カメラにより撮影される画像はブースの背部壁のクローマキイパネル8も背景として含まれることに留意され度い。しかしながら、この背景は周知の態様における電子的処理により使用者の肖像部分と分離削除され、選択された背景と置換えられる。(公報第6頁左下欄1行〜9行)

2.甲第2号証(電子情報通信学会技術研究報告「顔画像の認識・合成処理」中川雅通他 電子情報通信学会 1996.06.21)
甲第2号証には、新しいタイプのゲーム機の合成処理に関して次に掲げる事項が記載されている。
ア 椅子に座った利用者は、ディスプレイのハーフミラーに反射した映像を見ながら操作する。利用者の顔はハーフミラー越しに、もう1つの鏡を経由してビデオカメラに取り込まれる。この時、利用者自身に顔の上下左右の位置合わせをしてもらうために、ビデオカメラの出力映像はディスプレイにリアルタイムに映し出される。利用者はその映像を見ながら自分で、顔の位置をディスプレイにオーバレイ表示された枠内に移動する。(第8頁右欄下から22行〜下から14行)

3.甲第3号証 (アミューズメント産業6、vol.23、no.6、1994年6月第96-97頁 )

甲第3号証には、「ラブラブシミュレーション」についての紹介記事として、次に掲げる事項が記載されている。
二つの別々の画像の特徴を抽出し合成して新しい画像を生成するのがミソ。たとえば未来の子供の顔を表示する「ラブラブモード」の場合、まず恋人同士が自らの顔をそれぞれ、内蔵のビデオカメラで撮影してコンピューターに取り込む。(第96頁第1欄後から2行目〜第2欄6行目)

4.甲第4号証( アミューズメント通信「ゲームマシン」no.543、1997年6月15日 )
甲第4号証には、「ネオプリントS」についての紹介記事として、次に掲げる事項が記載されている。
二回撮影し二ポーズを合成する「アレンジモード」を加えたのも特徴となっている。(左下欄「安室とシールに」の記事の欄最終段落行)

5.甲第5号証(特開平7-87430号公報)
甲第5号証には、記念撮影装置に関し、次に掲げる事項が記載されている。
また、タイマ回路14の計時動作に連動して、被撮影者の注意を促すようなインフォメーション、例えば「ディスプレイにみんな写っていますか。」とか「はい撮りますよ。チーズ。」というようなインフォメーション情報を、好ましくは音声情報として出力するようにすれば、被撮影者に撮影タイミングが正確に分かり、より確実に好みのポーズで写真を撮ることができる。(公報第3頁右欄6行〜13行)

6.甲第6号証(登録実用新案第3035618号公報(1997.1.8))
甲第6号証には、画像合成装置に関し、次に掲げる事項が記載されている。
ア また、12は撮影時の手順を説明するのみならず、撮影時のガイドを上記文字表示ウインドウと同期して行うための音声を出力するスピーカである。(公報第13頁18行〜19行)
イ 操作パネル2に設けられた指示手段となる図示しない撮影開始ボタンを押した後に、撮影準備が整ったことを、文字、及び音声によって案内され、引き継いで、撮影のカウントダウンが文字、音声によって行われる。(公報第13頁26行〜29行)

7.参考資料
参考資料1:「グラフィックスとビジョン」オーム社、中嶋正之・山本正信共書、原島博監修、第116-119頁、平成8年4月
参考資料2:「テレビジョン・画像工学ハンドブック」P739、3.3効果用機器、テレビジョン学会編、オーム社、昭和55年12月30日
参考資料3:「テレビジョン・画像情報工学ハンドブック」P704、5.3.5クロマキー、テレビジョン学会編、オーム社、1990年11月30日
参考資料4:特開平7-298123号公報
参考資料5:特開平7-325932号公報
参考資料6:トリック写真実戦テクニック、土方健介、昭和57年4月28日、64-67頁
参考資料7:「C言語で学ぶ実践画像処理」オーム社、八木伸行他、平成4年8月30日、第131-133頁
参考資料8:特開平4-215390号公報
参考資料9:特開昭58-143673号公報
参考資料10:特表平7-503585号公報
参考資料11:特開平8-340521号公報
参考資料12:ディジタル写真入門、大野信外2名著、コロナ社、2000年4月10日、P118-121
参考資料13:月刊コインジャーナル、VOL20・No240、1995.12、p403
参考資料14:ゲームマシン、1997年6月15日、p12
参考資料15:Tokyoプリクラ王、1997年11月7日、p31
参考資料16:特開昭64-18389号公報
参考資料17:画像処理ハンドブック、昭晃堂、昭和62年6月、252-254頁

第4 本件各訂正発明と甲第1号証の発明との対比・検討
1.本件訂正発明1について
甲第1号証の発明は、「自動写真撮影装置」に係わるものであり、本件訂正発明1に係る「フォトブース」に一応対応する。
したがって、本件訂正発明1と甲第1号証の発明とは、次に掲げる(1)ないし(3)の事項が相当ないし一応対応する。
(1)甲第1号証の発明の「使用者」「ディスプレイ装置(VDUスクリーン)」「プリンター」「硬貨作動機構」「記憶装置」は、それぞれ本件訂正発明1の「被撮影者」「表示装置」「映像再現手段」「金銭投入スイッチ」「記憶部」に相当する。
(2)甲第1号証の発明における「ディスプレイ装置」は、カメラにより撮影されるべき画像を使用者に示し得る(前掲第5の1.甲第1号証の記載エを参照、以下同様)、換言すれば、ディスプレイ装置の表示映像を使用者自身にリアルタイムで視認させものであるから、甲第1号証の発明の「カメラ」は、本件訂正発明1における「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した」に相当する構成を備えている。
(3)甲第1号証の発明の「撮像装置」は、重ね合わせてなるおもしろい複合写真(上記甲第1号証の記載オを参照)、即ち、合成写真を得るものであるから、甲第1号証の発明は、合成映像の種類は別として、本件訂正発明1における「記憶部に記憶した撮像により得られた映像を合成回路により合成可能にする」構成を一応備えている。なお、映像を合成するために合成回路を設けることは自明の事項である。
上記対比から、本件訂正発明1と甲第1号証の発明とは、次に掲げる一致点、相違点を有する。

一致点
「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記1つのカメラにより被撮影者の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。」

相違点1
本件訂正発明1においては、カメラにより「同じ」被撮影者の「2回以上」の撮影を行い、また、2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成するのに対して、甲第1号証の発明ではそのようになされていない点。
相違点2
上記フォトブースには、本件訂正発明1においては、「記憶部に記憶した映像のうちから前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像であって、前記記憶部への更なる書き換えがなくなった映像に対して追加補正を行う追加補正部」を備えているのに対して、甲第1号証の発明ではそれを備えていない点。

上記相違点1についての検討
甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証は、本件訂正発明1と同様の技術分野に関する文献であり、2回の撮影により得られた映像を合成することが記載されており、また、撮影に関し、2回とも同じ被撮影者を撮影し、トリック写真とすることは例えば、参考資料6等で周知である。
一方、甲第1号証には、少なくとも1回の撮影を行うと記載(上記甲第1号証の記載イを参照)され、2回以上の撮影を阻害する記載もない。そうすると、甲第1号証の発明において、カメラで2回以上の撮影を行い、その撮影に際し、同一の被撮影者を2回以上撮影すること、また、2回以上の撮影により得られた映像を合成することは当業者が容易になし得るものである。

上記相違点2についての検討
画像の合成処理に際し、追加補正を行うことは引用例を挙げるまでもなく必然的な要件であり、また、最終的に合成画像をプリント出力することがフォトブースの利用目的といえ、甲第1号証の発明において、プリントすべき画像が決定されると当該画像は書き換えられない状態になるのは明らかであるから、プリント出力すべき映像、即ち、記憶部に記憶した映像のうちから前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像であって、前記記憶部への更なる書き換えがなくなった映像に対して追加補正を行うことは当業者が当然になし得ることである。

そして、これらを総合的に検討しても、当業者が容易に推考し得るものであり、また、上記相違点に基づく本件訂正発明1の効果に格別顕著なものがあるともいえない。

2.本件訂正発明3について
甲第1号証の発明は、「自動写真撮影装置」に係わるものであり、本件訂正発明3に係る「フォトブース」に一応対応する。
したがって、 本件訂正発明3と甲第1号証の発明とは、次に掲げる(1)ないし(4)の事項が相当ないし一応対応する。
(1)甲第1号証の発明の「使用者」「ディスプレイ装置(VDUスクリーン)」「プリンター」「硬貨作動機構」「記憶装置」は、それぞれ本件訂正発明3の「被撮影者」「表示装置」「映像再現手段」「金銭投入スイッチ」「記憶部」に相当する。
(2)甲第1号証の発明における「ディスプレイ装置」は、カメラにより撮影されるべき画像を使用者に示し得る(上記甲第1号証の記載エを参照)、換言すれば、ディスプレイ装置の表示映像を使用者自身にリアルタイムで視認させるものであるから、甲第1号証の発明の「カメラ」は、本件訂正発明3における「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した」に相当する構成を備えている。
(3)甲第1号証には、ポーズ時間は、VDUスクリーン12上に例えばカウントダウンする時計などの映像を表示して通告される(上記甲第1号証の記載キを参照)、即ち、タイマーシャッタ機能を有していると記載されているから、甲第1号証の発明は、音声によるかどうかは別にして、本件訂正発明3における「フォトブースはタイマーシャッタを備え、そのタイマーシャッタのシャッタタイミングは被撮影者がタイミングをとれる」に相当する構成を一応備えている。
(4)甲第1号証の発明の「撮像装置」は、重ね合わせてなるおもしろい複合写真(上記甲第1号証の記載オを参照)、即ち、合成写真を得るものであるから、甲第1号証の発明は、合成映像の種類は別として、本件訂正発明3における「記憶部に記憶した撮像により得られた映像を合成回路により合成可能にする」に相当する構成を一応備えている。
上記対比から、本件訂正発明3と甲第1号証の発明とは、次に掲げるもので一致し、下記に示す点で相違する。

一致点
「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースであって、かつ、当該フォトブースはタイマーシャッタを備え、被撮影者がタイミングを取れるフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記1つのカメラにより被撮影者の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。」

相違点1
本件訂正発明3においては、上記1つのカメラにより、「同じ」被撮影者の「2回以上」の撮影を行い、また、2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成するのに対して、甲第1号証の発明ではそのようになされていない点。
相違点2
タイマーシャッタのシャッタタイミングは、本件訂正発明3においては、「音声によって」いるのに対して、甲第1号証の発明では、時計などの映像を表示して通告される点。
相違点3
前記フォトブースには、本件訂正発明3においては、「記憶部に記憶した映像のうちから前記タイマーシャッタの作動により前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像であって、前記記憶部への更なる書き換えがなくなった映像に対して追加補正を行う追加補正部」を備えているのに対して、甲第1号証の発明ではそれを備えていない点。

上記相違点1についての検討
甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証は、本件訂正発明3と同様の技術分野に関する文献であり、2回の撮影により得られた映像を合成することが記載されており、また、撮影に関し、2回とも同じ被撮影者を撮影し、トリック写真とすることは例えば、参考資料6等で周知である。
一方、甲第1号証には、少なくとも1回の撮影を行うと記載(上記甲第1号証の記載イを参照)され、2回以上の撮影を阻害する記載もない。そうすると、甲第1号証の発明において、カメラで2回以上の撮影を行い、その撮影に際し、同じ被撮影者を2回以上撮影すること、また、2回以上の撮影により得られた映像を合成することは当業者が容易になし得るものである。

上記相違点2についての検討
甲第5号証及び甲第6号証には、被撮影者の撮影タイミングについて音声によって案内するものが記載されており、甲第1号証におけるポーズ時間の通告として甲第5号証及び甲第6号証に記載されている音声による通告とすることは当業者が容易になし得ることである。

上記相違点3についての検討
画像の合成処理に際し、追加補正を行うことは引用例を挙げるまでもなく必然的な要件であり、また、最終的に合成画像をプリント出力することがフォトブースの利用目的といえ、甲第1号証の発明において、プリントすべき画像が決定されると当該画像は書き換えられない状態になるのは明らかであるから、プリント出力すべき映像、即ち、記憶部に記憶した映像のうちから前記タイマーシャッタの作動により前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像であって、前記記憶部への更なる書き換えがなくなった映像に対して追加補正を行うことは当業者が当然になし得ることである。

そして、これらを総合的に検討しても、当業者が容易に推考し得るものであり、また、上記相違点に基づく本件訂正発明3の効果に格別顕著なものがあるともいえない。

3.本件訂正発明4について
甲第1号証の発明は、「自動写真撮影装置」に係わるものであるが、本件訂正発明4に係る「フォトブースにおける撮影方法」を対象としているといえる。
したがって、本件訂正発明4と甲第1号証の発明とは、次に掲げる(1)ないし(5)の事項が相当ないし一応対応する。
(1)甲第1号証の「表示装置」「被撮影者」「記憶装置」は、それぞれ本件訂正発明の「ディスプレイ装置(VDUスクリーン)」「使用者」「記憶部」に相当する。
(2)甲第1号証には、カメラで撮影されるのと同様の彼の映像がVDUスクリーン12にそのまま示される(上記甲第1号証の記載キを参照)、換言すれば、リアルタイムで視認されると記載されているから、甲第1号証の発明の「カメラ」は、本件訂正発明4における「表示装置に表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により被撮影者の撮影を行う」に相当する構成を備えている。
(3)甲第1号証には、写真撮影帯域において撮影された写真は、所望の画像をもたらすために部分的に分離削除して、所望画像のみを使用して最終プリントを作成(前述したように電子的に付加される補助画像と組合わせて)することもでき、この分離は上記写真撮影帯域にあらかじめ定めた色度的性格の背景境界面を設け、色度フィルター装置によりカメラにより撮影された写真における被写体と背景境界面とを分離、換言すれば、撮影された写真における被写体(人物)だけを切り取る(上記甲第1号証の記載オ、カ、クを参照)と記載されているから、甲第1号証の発明は、被撮影者の撮影映像と合成する映像の種類は別として、本件訂正発明4における「被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物像だけを切り取り、第1の映像に上書きし、前記第1の映像と被撮影者の撮影を行った映像とを合成する」に相当する構成を一応備えている。
(4)甲第1号証には、映像が補助的画像に重ね合わせてディスプレイ装置上に表示する(上記甲第1号証の記載アを参照)と記載されているから、甲第1号証の発明の「ディスプレイ装置」は、合成表示する映像の種類は別にして、本件訂正発明4における「第1の映像と、被撮影者の撮影を行った映像とを合成して、それぞれの映像を表示する」に相当する構成を一応備えている。
(5)甲第1号証には、撮影されるべき画像を使用者に示し得る可視的ディスプレイ装置をも具備し、この付属設備により、今の画像が適当でプリントされるべきか否かを判断することができる(上記甲第1号証の記載エを参照)と記載されているから、甲第1号証の発明は、本件訂正発明4の「それぞれの映像を表示装置に表示し、その後、被撮影者が前記表示装置に表示された合成画像を視認し、映像再現手段で再現する映像を決定する」に相当する構成を備えている。
上記対比から、本件訂正発明4と甲第1号証の発明とは、次に掲げるもので一致し、下記に示す点で相違する。

一致点
「表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により、カメラで被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物像だけを切り取り、第1の映像に上書きし、前記第1の映像と、被撮影者の撮影を行った映像とを合成して、それぞれの映像を表示装置に表示し、その後、被撮影者が前記表示装置に表示された合成画像を視認し、映像再現手段で再現する映像を決定することを特徴とするフォトブースにおける撮影方法。」

相違点1
被撮影者の撮影に関し、本件訂正発明4では、同一のカメラで「第1回目」と「第2回目」の撮影を行っているのに対して、甲第1号証ではそのようにしていない点。
相違点2
第1の映像が、本件訂正発明4においては、第1の映像処理部に記憶した第1回目の被撮影者の撮影映像であるのに対して、甲第1号証の発明では、予め記憶されている補助的画像である点。
相違点3
本件訂正発明4においては、(第2回目の)被撮影者の撮影映像から人物映像だけを切り取り映像処理部で記憶しているのに対して、甲第1号証の発明には、そのことが明記されていない点。
相違点4
本件訂正発明4では、「映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った人物映像の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにする」構成であるのに対して、甲第1号証の発明ではそのような構成を備えていない点。

上記相違点1についての検討
甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証は、本件訂正発明4と同様の技術分野に関する文献であり、2回の撮影により得られた映像を合成することが記載されており、また、2回の撮影に関し、被撮影者を同一とするトリック撮影は例えば、参考資料6等で周知である。
一方、甲第1号証には、少なくとも1回の撮影を行うと記載(上記甲第1号証の記載イを参照)され、2回の撮影を阻害する記載もない。そうすると、甲第1号証の発明において、カメラで2回の撮影を行い、被撮影者を2回撮影することは当業者が容易になし得るものである。
なお、最初の撮影を第1回目とし、後の撮影を第2回目とすることは2回の撮影映像を区別するための便宜的な取り決めにすぎないものである。

上記相違点2についての検討
上記相違点1で検討したように本件訂正発明4が、被撮影者を2回撮影し、合成する構成を採用したことに伴い、その合成すべき映像として甲第1号証の発明の補助的映像に代えてカメラで撮影し、記憶した映像とすることは当業者が当然になし得る設計的事項である。

上記相違点3についての検討
一般にクロマキー合成において、置換処理を行うために画像を記憶装置に一旦記憶すること、その際、上書きすべき切り抜き画像データを記憶することは周知の技術事項(必要なら、無効審判の参考資料3,5,16,17等参照)であるから、甲第1号証の発明において、(第2回目の)被撮影者の映像について人物映像のみを記憶装置に一旦記憶させることは当業者が適宜なし得る設計的事項である。

上記相違点4についての検討
画像の合成処理に際し、追加補正を行うことは引用例を挙げるまでもなく必然的な要件であり、また、最終的に合成画像をプリント出力することがフォトブースの利用目的といえ、甲第1号証の発明において、プリントすべき画像が決定されると当該画像は書き換えられない状態になるのは明らかであるから、プリント出力すべき画像、即ち、映像処理部の記憶部へ更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行うことは当業者が当然になし得ることである。
なお、追加補正の処理時間をどの程度にするかは追加補正の処理方法に伴う設計的事項である。

そして、これらを総合的に検討しても、当業者が容易に推考し得るものであり、上記相違点に基づく本件訂正発明4の効果に格別顕著なものがあるともいえない。

4.本件訂正発明6について
甲第1号証の発明は、「自動写真撮影装置」に係わるものであるが、本件訂正発明6に係る「フォトブースにおける撮影方法」を対象としているといえる。
したがって、 本件訂正発明6と甲第1号証の発明とは、次に掲げる(1)ないし(4)の事項が相当ないし一応対応する。
(1)甲第1号証の「表示装置」「被撮影者」「記憶装置」は、それぞれ本件訂正発明6の「ディスプレイ装置(VDUスクリーン)」「使用者」「映像処理部」に相当する。
(2)甲第1号証には、カメラで撮影されるのと同様の彼の映像がVDUスクリーン12にそのまま示される(上記甲第1号証の記載キを参照)、即ち、リアルタイムで視認されると記載されているから、甲第1号証の発明の「カメラ」は、本件訂正発明6における「表示装置に表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により被撮影者の撮影を行う」に相当する構成を備えている。
(3)甲第1号証には、ポーズ時間は、VDUスクリーン12上に例えばカウントダウンする時計などの映像を表示して通告される(上記甲第1号証の記載キを参照)、即ち、タイマーシャッタ機構を有していると記載されているから、甲第1号証の発明は、音声によるかどうかは別にして、本件訂正発明6における「フォトブースからのシャッタタイミングを知らせ」に対応する構成を一応備えている。
(4)甲第1号証には、写真撮影帯域において撮影された写真は、所望の画像をもたらすために部分的に分離削除して、所望画像のみを使用して最終プリントを作成(前述したように電子的に付加される補助画像と組合わせて)することもでき、この分離は上記写真撮影帯域にあらかじめ定めた色度的性格の背景境界面を設け、色度フィルター装置によりカメラにより撮影された写真における被写体と背景境界面とを分離、換言すれば、撮影された写真における被写体(人物)だけを切り取る(上記甲第1号証の記載オ、カ、クを参照)と記載されているから、甲第1号証の発明は、合成映像の種類は別として、本件訂正発明4における「被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物像だけを切り取り、第1の映像に上書きし、前記第1の映像と被撮影者の撮影を行った映像とを合成する」に相当する構成を一応備えている。
(5)甲第1号証には、撮影されるべき画像を使用者に示し得る可視的ディスプレイ装置をも具備し、この付属設備により、今の画像が適当でプリントされるべきか否かを判断することができる(上記甲第1号証の記載エを参照)と記載されているから、甲第1号証の発明は、本件訂正発明6の「それぞれの映像を表示装置に表示し、その後、被撮影者が前記表示装置に表示された合成画像を視認し、映像再現手段で再現する映像を決定する」に相当する構成を備えている。
上記対比から、本件訂正発明6と甲第1号証の発明とは、次に掲げるもので一致し、下記に示す点で相違する。

一致点
「表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ、シャッタタイミングを知らせ、被撮影者の操作により、カメラで被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物映像だけを切り取り、第1の映像に、上書きし、前記第1の映像と、被撮影者の撮影を行った映像とを合成して表示装置に表示し、その後、被撮影者が前記表示装置に表示された合成映像を視認し映像再現手段で再現する映像を決定するフォトブースにおける撮影方法。」

相違点1
被撮影者の撮影に関して、本件訂正発明6においては、同一のカメラにより、「第1回目」と「第2回目」の撮影を行うのに対して、甲第1号証の発明ではそのようになされていない点。
相違点2
本件訂正発明6では、上記第1の映像は、カメラで撮影された被撮影者の第1回目の撮影映像を一旦記憶した映像処理部の映像であるのに対して、甲第1号証では、補助的画像である点。
相違点3
タイマーシャッタのシャッタタイミングは、本件訂正発明6においては、「音声によって知らせて」いるのに対して、甲第1号証の発明では、時計などの映像を表示して通告される点。
相違点4
本件訂正発明6においては、(第2回目の)撮影映像から人物映像だけを切り取り第2の映像処理部で記憶するのに対して、甲第1号証の発明では、そのことが明記されていない点。
相違点5
本件訂正発明6においては、「映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った人物映像の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにしているのに対して、甲第1号証の発明ではそのようにされていない点。

上記相違点1についての検討
甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証は、本件訂正発明6と同様の技術分野に関する文献であり、2回の撮影により得られた映像を合成することが記載されており、また、2回の撮影に関し、被撮影者を同一とするトリック撮影は例えば、参考資料6等で周知である。
一方、甲第1号証には、少なくとも1回の撮影を行うと記載(上記甲第1号証の記載イを参照)され、2回の撮影を阻害する記載もない。そうすると、甲第1号証の発明において、カメラで2回の撮影を行い、被撮影者を2回撮影することは当業者が容易になし得るものである。
なお、最初の撮影を第1回目とし、後の撮影を第2回目とすることは2回の撮影映像を区別するための便宜的な取り決めにすぎないものである。

上記相違点2についての検討
上記相違点1で検討したように本件訂正発明6が、被撮影者を2回撮影し、合成する構成を採用したことにより、その合成に際し、甲第1号証の発明の補助的映像に代えてカメラで撮影し、記憶した映像とすることは当業者が当然になし得る設計的事項である。

上記相違点3についての検討
甲第5号証及び甲第6号証には、被撮影者の撮影タイミングについて音声によって案内するものが記載されており、甲第1号証におけるポーズ時間の通告として甲第5号証及び甲第6号証に記載されている音声による通告とすることは当業者が容易になし得ることである。

上記相違点4についての検討
一般にクロマキー合成において、置換処理を行うために画像を記憶装置に一旦記憶すること、その際、上書きすべき切り抜き画像データを記憶することは周知の技術的事項(必要なら、参考資料3,5,16,17等参照)であるから、甲第1号証の発明において、(第2回目の)被撮影者の映像について人物映像のみを記憶装置に一旦記憶させることは当業者が適宜なし得る設計的事項である。

上記相違点5についての検討
画像の合成処理に際し、追加補正を行うことは引用例を挙げるまでもなく必然的な要件であり、また、最終的に合成画像をプリント出力することがフォトブースの利用目的といえ、甲第1号証の発明において、プリントすべき画像が決定されると当該画像は書き換えられない状態になるのは明らかであるから、プリント出力すべき画像、即ち、映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行うことは当業者が当然になし得ることである。
なお、追加補正の処理時間をどの程度にするかは追加補正の処理方法に伴う設計的事項である。

そして、これらを総合的に検討しても、当業者が容易に推考し得るものであり、上記相違点に基づく本件訂正発明6の効果に格別顕著なものがあるともいえない。

5.意見書における請求人の主張
請求人は、平成17年3月9日付け意見書において、以下の点を主張している。
(1)無効審判における甲号証及び参考資料に記載の「補正」と、本件訂正発明の「追加補正」とは、異なる概念である。
(2)甲第1号証には、「プリントすべき画像が決定されると、プリント出力される」という技術思想しか開示されておらず、「書き換えられない状態になる」という点の開示や示唆はない。
(3)甲号証及び参考資料には、「更なる書き換えが無くなった映像」に対し追加補正を行うという記載・示唆がなく、本件訂正発明では、「映像再現手段で再現することが決定された映像」に対し追加補正を行う。
しかしながら、
(1)については、いずれも補正には相違なく、また、本件特許明細書の段落【0088】【0091】を参酌しても、追加補正とは、輪郭補正、色補正であるから、甲号証及び参考資料のものと格別変わりないものといえるし、(2)については、刊行物1には、「肖像と背景もしくは前景画像との複合画像が決定されてから・・・さらに他の背景複合画像のプリントを要求し、あるいは例えば肖像の引伸ばしプリントを要求することができる。」(6頁右下欄22行ないし7頁左上欄3行)という記載からして、刊行物1のものは、肖像の方は決定のままで背景のみが変更されるものと解されるし、決定された肖像に対して引伸ばしプリントが要求できるものと解されるから、結局、合成時には(肖像は)決定のまま書き換えられない状態といえ、また、(3)については、合成時に適宜補正することは、常套であり技術常識といえる。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正発明1,3,4,6は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件訂正発明1,3,4,6は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第4項の規定に適合しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-05-10 
結審通知日 2005-05-12 
審決日 2005-05-25 
出願番号 特願平10-545485
審決分類 P 1 41・ 121- Z (H04N)
P 1 41・ 856- Z (H04N)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 藤内 光武
西谷 憲人
登録日 2000-07-28 
登録番号 特許第3093286号(P3093286)
発明の名称 フォトブース及び撮影方法  
代理人 岩永 和久  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ