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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H04N
管理番号 1133718
審判番号 無効2004-80062  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-12-10 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-06-01 
確定日 2006-03-30 
事件の表示 上記当事者間の特許第3239105号「電源分離可能型増幅装置」の特許無効審判事件についてされた平成17年 2月 9日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の決定(平成17年(行ケ)第10166号平成17年5月31日言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 特許第3239105号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1 手続の経緯
平成10年5月22日 出願
平成13年10月5日 設定登録(特許第3239105号)
平成16年6月1日 無効審判請求(請求人)
同年8月11日 答弁書(被請求人)
同年12月10日 口頭審理
平成17年2月21日(送達) 特許無効審決
同年3月23日(出訴日) 審決取消訴訟
同年5月31日 決定(審決取消)
同年6月24日 訂正請求

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
「特許第3239105号の明細書を、本書に添付した訂正明細書の通り訂正することを求める」旨の訂正請求書における請求の趣旨によれば、訂正事項は以下のとおりである。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「ケース」とあるのを、「電源部を着脱可能に内蔵し得るケース」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「上記ケースに設けられ、上記第1の入出力端子に入力される高周波信号を増幅して上記第2の入出力端子に出力する増幅部」とあるのを、「上記ケースに固定して設けられ、上記第1の入出力端子に入力される高周波信号を増幅して上記第2の入出力端子に出力する増幅部」と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「この電源部が上記ケースに装着された状態で該電源部と上記ケースとの間を結合し、上記電源部から出力される直流電圧を上記増幅部に供給するコネクタ」とあるのを、「この電源部が上記ケース内に装着された状態で該電源部と上記ケースとの間を結合し、かつ、電源部が上記ケース内に装着された状態で、上記交流電源に接続される上記電源部から出力される直流電圧を、上記ケース内に固定して設けられている上記増幅部に供給するコネクタ」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「・・・とを具備し、」に続いて、「上記ケース内に上記電源部が装着された状態では、上記コネクタを介して上記増幅部に直流電圧を供給し、上記第1の入出力端子から入力される高周波信号を上記増幅部で増幅して上記ケースの屋内機器接続用の第2の入出力端子より出力し、」を付加する。
オ.訂正事項e
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「第2の入力端子」とあるのを、「第2の入出力端子」と訂正する。
カ.訂正事項f
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「第3の入力端子」とあるのを、「第3の入出力端子」と訂正する。
キ.訂正事項g
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「上記電源部の第4の入出力端子」とあるのを、「上記電源部の屋内機器接続用の第4の入出力端子」と訂正する。
ク.訂正事項h
明細書段落【0008】の記載について、
「【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電源分離可能増幅装置は、電源部を着脱可能に内蔵し得るケースと、このケースに設けられたCATV網接続用の第1の入出力端子と、上記ケースに設けられた屋内機器接続用の第2の入出力端子と、上記ケースに固定して設けられ、上記第1の入出力端子に入力される高周波信号を増幅して上記第2の入出力端子に出力する増幅部と、上記ケース内に着脱可能に設けられ、商用交流電源から直流電圧を得る電源部と、この電源部が上記ケース内に装着された状態で該電源部と上記ケースとの間を結合し、かつ、電源部が上記ケース内に装着された状態で、上記交流電源に接続される上記電源部から出力される直流電圧を、上記ケース内に固定して設けられている上記増幅部に供給するコネクタと、上記電源部に設けられた電源電圧出力用の第3の入出力端子と、上記電源部に設けられた屋内機器接続用の第4の入出力端子とを具備し、上記ケース内に上記電源部が装着された状態では、上記コネクタを介して上記増幅部に直流電圧を供給し、上記第1の入出力端子から入力される高周波信号を上記増幅部で増幅して上記ケースの屋内機器接続用の第2の入出力端子より出力し、上記ケースから上記電源部を取り外した状態では該電源部の第3の入出力端子から出力される直流電圧をケーブルを介して上記増幅部の第2の入出力端子に入力し、信号出力ラインに重畳させて増幅部に供給すると共に、上記増幅部の第2の入出力端子から上記ケーブルを介して電源部の第3の入出力端子に入力される高周波信号を取り出し上記電源部の屋内機器接続用の第4の入出力端子より出力することを特徴とする。また、上記増幅部は、第2の入出力端子に入力される上り信号を選択して第1の入出力端子に伝送するバンドパスフィルタと、このバンドパスフィルタにより伝送される上り信号をカットするカットスイッチとを備えたことを特徴とする。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aないしgは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正事項hは、上記訂正事項aないしgと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

3 本件発明
上記の如く、本件訂正が認められるので、本件特許第3239105号の請求項1,2に係る発明(以下、「本件特許発明1」「本件特許発明2」ともいう)は、訂正請求書に添付された訂正明細書の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載の次のとおりのものである。
「【請求項1】電源部を着脱可能に内蔵し得るケースと、このケースに設けられたCATV網接続用の第1の入出力端子と、上記ケースに設けられた屋内機器接続用の第2の入出力端子と、上記ケースに固定して設けられ、上記第1の入出力端子に入力される高周波信号を増幅して上記第2の入出力端子に出力する増幅部と、
上記ケース内に着脱可能に設けられ、商用交流電源から直流電圧を得る電源部と、この電源部が上記ケース内に装着された状態で該電源部と上記ケースとの間を結合し、かつ、電源部が上記ケース内に装着された状態で、上記交流電源に接続される上記電源部から出力される直流電圧を、上記ケース内に固定して設けられている上記増幅部に供給するコネクタと、上記電源部に設けられた電源電圧出力用の第3の入出力端子と、上記電源部に設けられた屋内機器接続用の第4の入出力端子とを具備し、
上記ケース内に上記電源部が装着された状態では、上記コネクタを介して上記増幅部に直流電圧を供給し、上記第1の入出力端子から入力される高周波信号を上記増幅部で増幅して上記ケースの屋内機器接続用の第2の入出力端子より出力し、上記ケースから上記電源部を取り外した状態では該電源部の第3の入出力端子から出力される直流電圧をケーブルを介して上記増幅部の第2の入出力端子に入力し、信号出力ラインに重畳させて増幅部に供給すると共に、上記増幅部の第2の入出力端子から上記ケーブルを介して電源部の第3の入出力端子に入力される高周波信号を取り出し上記電源部の屋内機器接続用の第4の入出力端子より出力することを特徴とする電源分離可能型増幅装置。
【請求項2】 上記増幅部は、第2の入出力端子に入力される上り信号を選択して第1の入出力端子に伝送するバンドパスフィルタと、このバンドパスフィルタにより伝送される上り信号をカットするカットスイッチとを備えたことを特徴とする請求項1記載の電源分離可能型増幅装置。」

4 請求人の主張
(1)請求人の主張の概要
請求人は、本件発明の特許を無効とする、との審決を求め、その理由として、本件特許発明1,2は、本件出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は無効とされるべきであると主張し、その証拠として甲第2号証ないし甲第7号証を提出している。

(2)証拠方法
甲第2号証 特開平7-74665号公報
甲第3号証 実願昭55-77499号(実開昭57-2741号)のマイクロフィルム
甲第4号証 特開平2-37409号公報
甲第5号証 特開平7-104895号公報
甲第6号証 特開平7-74559号公報
甲第7号証 特開平10-93605号公報

(3)請求人の主張の具体的要点
請求人主張の具体的要点は以下のとおりである。
本件発明のCATV網は双方向であり、端子は入出力端子であり、ケース内に設けられ電源部は着脱可能であり、電源部が上記ケースに装着された状態で該電源部と上記ケースとの間を結合し、上記電源部が第3及び第4の端子を有しケースから上記電源部を取り外した状態で屋内電源部として使用されるのに対し、甲第2号証の記載の発明は、一方向のCATV網である点、および、ケース内に設けられる電源部は着脱可能ではなく、屋内電源部はケース内の電源部とは異なる電源部である点で相違する。
しかしながら、双方向CATVは甲第6、7号証に示されるように周知であり、双方向CATVを対象とすると端子は入出力端子となるのは明らかであるし、甲第2号証の電源部と屋内電源部は排他的に使用されるものであるところ、甲第3号証には増幅部と電源部が結合分離が可能な一つの電源部が記載されており、また、甲第4,5号証にあるように、電源部をケース内に着脱可能に設けケース内でコネクタを介して直流電圧を供給する点は周知であり、部品を共通化し部品数を少なくすることは一般的な課題であるから、屋内電源部をケース内で着脱可能な構成とし、ケース内にコネクタを介して結合分離可能な構造とする点に格別なものは存在しない。

5 被請求人の主張
(1)被請求人の主張の概要
被請求人は、請求人主張の理由は何等、十分な証拠や根拠に基づくものではなく、本件特許は維持されるべきものである旨主張している。

(2)被請求人の主張の具体的要点
被請求人の主張の具体的要点は以下のとおりである。
甲第2号証は、目的・構成および効果の異なる「交流・直流電源兼用型増幅器」を開示するのみであり、その電源部はブースタのケース内に設けられてはいるものの着脱可能でなく、内蔵固定式の電源にすぎない。そのため、コネクタを必要とするものでもない。本件発明の第3,4の入出力端子は電源部に設けられたものであって、別個に設けられた他の電源でなくケース内に着脱可能な電源部に備えられるべきものであり、本件発明の特徴である、電源が着脱(分離)可能である電源分離型増幅装置の構造により、煩雑な在庫管理を無くしコストの低減を図る効果は、甲第2号証にはない。
甲第3号証に記載のものは、増幅部と電源部とが機構的に結合分離可能な構造であって、増幅装置のケース内に電源部を着脱可能に設けたものではない。甲第3号証の構造を甲第2号証の構造に適用しても、屋内電源部がブースタに対して連結分離が可能な構造が得られるに過ぎない。電源供給に関しても、その外部においてケーブル(給電線)を介して電気的に接合する構成が得られるだけである。
甲第4、5号証に記載のものは、共に、「コンピュータ用電源装置」あるいは「電子機器」であり、CATVシステムの受信機の増幅装置とは全く異なるものであり、使用形態に対応してバッテリが取り外し可能な構造を開示するに過ぎない。
甲第6,7号証に記載のものは、(請求項2の発明の如く)増幅部において、バンドパスフィルタやカットスイッチを備えているわけではない。

6 甲各号証の記載
(1)甲第2号証(以下、「刊行物2」という)には、以下の点が記載されている。
ア 「この模様を図4及び図5を参照しながら説明する。図4にはブースタ102を屋外に設置する場合が示されており、図5にはブースタ108を屋内に設置する場合が示されている。図4に示すようにブースタ102を屋外に設置すると、一般に屋外にはコンセントを設けていないため、何らかの手段を用いてブースタ102に電源を供給しなければならない。そこで、屋内から電源をブースタ102に供給することが考えられた。
すなわち、次のようにして電源を供給している。CATV線路100から挿入されている分岐器101により分岐された信号は保安器103を介して、ブースタ102に供給される。このブースタ102により増幅された信号は引き込み線路104を伝って屋内に引き込まれ電源部105に入力される。この電源部105はAC100Vの商用電源が入力されて、降圧された交流電源(例えば、AC30V)を上記引き込み線路104を介してブースタ102に供給している。」(段落【0004】ないし【0005】、図4,5)
イ 「ブースタ108内に設けられている電源回路は供給されたAC100Vを降圧及び整流・平滑して、ブースタ108内に設けられた増幅器に供給するようにしている。」(段落【0008】、図5)
ウ 「【発明が解決しようとする課題】図4及び図5に示されているように、ブースタを屋外に設置する場合と屋内に設置する場合とでは電源の供給方法が異なるために、それぞれの電源方式を有するブースタを製品として揃えておかなければならず、異なる仕様書が必要となったり、部品点数が増加したりすることによりコストの上昇を招くと云う問題点があった。そこで、本発明は交流電源でも直流電源でも使用可能な交流・直流電源兼用型増幅器を提供することを目的としている。」(段落【0009】、図4,5)
エ 「【実施例】本発明の交流・直流電源兼用型増幅器である第1実施例のブースタの構成を図1に示す。この図に示すブースタ20において、8はCATV線路からの信号が入力される入力端子であり、この入力端子8から入力された信号は結合コンデンサC1 を介して増幅器1に入力され、増幅器1により増幅されて結合コンデンサC2 を介して出力端子9から出力されるようになされている。この増幅器1には電源ラインから電源が供給されている。」(段落【0012】、図1)
オ 「まず、このブースタ20を屋内に設置した場合の説明を行う。ブースタ20を屋内に設置した場合は、商用電源AC100Vがトランス3に印加され、このトランス3により変圧されて2次側に降圧された低い交流電圧が出力される。この交流電圧は全波整流器4により全波整流され、コンデンサC4により平滑される。さらに、このコンデンサC4 の両端の電圧がレギュレータ5により安定化されて電源ラインを介して増幅器1に供給される。」(段落【0013】、図1)
カ 「次に、このブースタ20を屋外に設置した場合を説明する。ブースタ20を屋外に設置した場合は、屋内に設けられているコンセントから電源部10に供給されたAC100Vの商用交流電源は、電源部10内において、降圧された後に整流・平滑されて直流電圧に変換されてからライン11を介してブースタ20の出力端子9に供給されている。この出力端子9に供給された直流電圧はチョークコイル6を介してリレー2のリレーコイル21に印加される。すると、リレーコイル21はこの直流電圧により付勢されるようになり、リレー2の接点22が閉じるようになる。従って、出力端子9に印加された直流電圧が、この接点22を介してレギュレータ5に供給され安定化されてから増幅器1に供給されるようになる。この場合、レギュレータ5の入力側に接続された直流電圧は、全波整流器4により遮断されてトランス3に印加されることはない。」(段落【0014】、図1)
キ 「なお、前記ライン11は出力端子9から出力される増幅された信号が伝送されるライン11であり、信号は電源部10をスルーしてTV等へ供給される。また、ホームターミナルを介してTVへ信号を供給するようにしても良い。」(段落【0015】、図1)
ク 「以上の説明では、本願発明はCATV用の増幅器に関するものとして説明してきたが、本発明はこれに限るものではなく屋外や屋内に設置される一般の増幅器に応用することができるものである。また、図1に示すブースタ20に信号を供給する線路や信号を出力する線路には同軸ケーブルを用いるのが好適である。」(段落【0024】、図1)

(2)甲第3号証(以下、「刊行物3」という)には、以下の点が記載されている。
ア 「本考案はテレビ受信用ブースタ装置に関する。遠距離受信等において、テレビ放送波の電界強度が弱い場合は、テレビ受信用ブースタを用いてテレビ信号を増幅し、所定の受信画像を得ることが一般的である。この場合の受信システムを第1図に示す。テレビ受信用ブースタの増幅部1は、テレビ信号を増幅する機能を有しており、受信アンテナ4の直下に設置される。一方、テレビ受信用ブースタの電源部2は増幅部1を動作させるための電力を供給するもので、屋内に設置される。前記増幅部1と電源部2とは第2の給電線3で電気的に接続されており、この第2の給電線3には増幅されたテレビ信号と、増幅部1を動作させるための電源部2からの電圧とが重畳している。テレビ受信アンテナ4で得たテレビ信号は、第1の給電線5を通って増幅部1に入る。さらにテレビ信号は増幅部1で所定の利得を得て第2の給電線3を通って電源部2に入り、第3の給電線6を通ってテレビ受信機7に入る。」(2頁11行ないし3頁9行、第1図)
イ 「電源部2は商用交流電源を用いる」(4頁10行)
ウ 「以下、やや強い受信信号を、テレビ受信用ブースタを用いて分配損失を補って受信するようにした受信システムの実施例を第2図に示し説明する。テレビ受信アンテナ9からの受信信号は、第1の給電線10を通って屋内に設置したテレビ受信用ブースタ11に入る。ここでテレビ信号は所定の利得を得て第2の給電線12を通って分配器13に入る。この分配器13で受信信号を分配し、それぞれの給電線14,15,16,17を通って各テレビ受信機18,19,20,21へテレビ信号を供給する。テレビ受信用ブースタ11は商用電源を、所定の利得を得るための増幅部の電力源としている。(中略)第2図の実施例のようにブースタの増幅部と電源部は区分けする必要はなく一つの筐体内に構成でき」(5頁9行ないし6頁7行、第2図)
エ 「従来から2種類のテレビ受信用ブースタがあることを説明した。(中略)本考案は上記点に鑑み、(中略)二種類のテレビ受信ブースタを一つで対応できるテレビ受信用ブースタを提供しようとするものである。」(6頁10行ないし20行)
オ 「第3図に本考案の具体例の外観図を示す。増幅部22と電源部23とは別々の筐体であり、増幅部22と電源部23とは機構的な結合分離が容易な構造を有している。この電源部23と増幅部22との結合は、さらに別個に設けた結合具を用いて結合するようにしても良いし、またいずれか一方に凹部を、他方に凸部をおのおの設けて、この凹凸部をスライド嵌合させるようにしても良い。また、増幅部22は防水構造を施し、電源部23と増幅部22との電気的接続は給電線(中略)で行なえるような構造としている。」(7頁1行ないし12行、第3図)

(3)甲第4号証(以下、「刊行物4」という)には、以下の点が記載されている。
ア 「本発明は本体に電気的な供給を可能とした第1の位置と非供給とした第2の位置を移動できる電源部を備え、この電源部を必要に応じて、ACアダプタータイプ、電池タイプに交換をできるようにするとともに、上記第1の位置に正しく電源部を保持するロック手段を準備する」(2頁左上欄9行ないし14行)
イ 「装着に際して、ACアダプター6のガイド溝10を本体1のガイド15(第3図)に合致させて開口部4の奥へ押圧、挿入する。この状態が第1図である。この装着された第1の位置は端子板11a、11bを本体1に固着した電極板16a、16bに接触すると同時に、接触の信頼性を保持するために本体1上の突起ガイド18をACアダプター6側の凹溝19に嵌合させて、挿入方向と直交する方向の位置ズレを防ぐように構成している。また、本体1上の窓21から先端をイジェクトばね20を押圧した状態にするとともに、ACアダプター6を第1の位置に確実に保持するため、ロックボタン14の操作によって、スライド板13をACアダプター6の外側に突出させ得る。この突出によって、スライド板13は本体1の左右に設けられた窓22の中に挿入されるようになっており、ACアダプター6は確実に本体1からの排出を防止される。」(2頁右下欄1行ないし18行、第1,3図)

(4)甲第5号証(以下、「刊行物5」という)には、以下の点が記載されている。
ア 「本発明は携帯型パーソナルコンピュータの如く、着脱交換可能な電池ユニットまたはACアダプタを内蔵する電子機器に係り、特に外部の電池ユニットやACアダプタからも電源供給が可能な電子機器に関する。」(段落【0001】)
イ 「図1は本発明を適用した電子機器の一実施例を示す斜視図である。図において、符号1は携帯型の電子機器本体、2は電子機器本体1に設けられたキーボード、3は表示部、4は機器本体側面に設けた直流電源供給用入力ジャック、5は機器本体の適所に設けた凹所としての電源収納部である。この電源収納部5には、(中略)内蔵ACアダプタ7が着脱交換可能に収納される。また、上記(中略)内蔵ACアダプタ7は、接続アタッチメント8にも接続可能である。接続アタッチメント8は直流電源供給用入力ジャック4に嵌合するプラグ9の付いた電源コード10を備えている。
電池ユニット6の一つの使用法は、図に矢印で示すように、(中略)内蔵ACアダプタ7は、外形形状、寸法、電極構造ともに全く電池ユニット6と同一であり、且つ出力直流電圧も同じで、その一つの使用法は、電池ユニット6の代りに電源収納部5に収納し、接続アタッチメント8を使用せずに電子機器本体1に直流電源を供給することである。つまり、ACアダプタ7はプラグ付ACコード11を備え、外部から供給を受けたAC電源電圧を、ACアダプタの内部で所定出力電圧に変換し、後述する出力電極を電子機器本体1の入力電極に接触させることにより機器本体に電源を供給する。」(段落【0009】ないし【0010】、図1)
ウ 「図4は本発明の他の実施例の要部を示す斜視図である。図に示すように、電池ユニット6の電極13とACアダプタ7の電極14は位置及び構造共に同一である。接続アタッチメント8の収納凹所8aの内壁にも電極15を備え、電池ユニット6またはACアダプタ7を接続アタッチメント8に装着した時、電極13または電極14が夫々電極15に接触する。」(段落【0013】、図4)

(5)甲第6号証(以下、「刊行物6」という)には、以下の点が記載されている。
「本発明は、(中略)双方向増幅器に関するものであり、特に双方向CATVに適用して好適なものである。」(段落【0001】)

(6)甲第7号証(以下、「刊行物7」という)には、以下の点が記載されている。
ア 「この発明は、例えば双方向CATV(中略)システム(中略)のようにツリー状もしくはスター状に構成されたケーブル・ネットワークシステムに係わり、特に上り伝送路における雑音流入を抑圧して良質な伝送環境での通信サービスを提供するシステムと、このシステムで使用される伝送路開閉装置、加入者装置、アダプタ装置および流合雑音監視分析装置に関する。」(段落【0001】)
イ 「この発明は、双方向伝送路中に伝送路開閉装置を設置し、この伝送路開閉装置により、加入者装置から送信された上り信号の通過期間に上記双方向伝送路の上り伝送路を導通状態に設定するとともに、その他の期間に上記上り伝送路を遮断状態に設定するようにしたものである。」(段落【0038】)
ウ 「図23は、この実施形態に係わるS-GSUの構成を示す回路ブロック図である。S-GSU450は、第1および第2の周波数帯域分離回路452,453と、ゲート・スイッチ457と、送信信号検出回路458と,遅延回路455と、増幅器456とを備えている。
このうち第1および第2の周波数帯域分離回路452,453は、それぞれ下り方向の周波数帯域Hと上り方向の周波数帯域Lとを分離するためのフィルタ452a,452bおよび453a,453bを有し、コネクタ451,454に接続されている。
ゲート・スイッチ457は、上記第2の周波数分離回路453と第1の周波数分離回路452との間の上り信号路中に介在設置してある。このゲート・スイッチ457の開閉状態は、送信信号検出回路458から出力されるスイッチ制御信号により制御される。送信信号検出回路458は、N-STB33またはN-MDM35から送信された上り送信信号を検出するもので、上り送信信号が検出されている期間にスイッチ制御信号を発生して上記ゲート・スイッチ457に供給する。」(段落【0159】ないし【0161】、図23)
エ 「S-GSU450の設置に当たって商用AC電源などからの電力供給が必要となり、工事コストも高くなることは否めない。」(段落【0164】、図23)

7 本件特許発明1についての当審の判断
(1)本件特許発明1と刊行物2に記載された発明(以下、「刊行物2発明」という)とを対比すると、
上記6(1)エおよび図1によれば、刊行物2発明のCATV(網)用のブースタ20は、CATV(網)からのTV信号を入力端子8が入力し、入力信号を増幅器1が増幅し、出力端子9から高周波信号を出力しており、該ブースタは図4,5にもあるように、ケースを有し、該ケースに上記入力端子、出力端子、増幅器が固定して設置してあることは技術常識といえる。また、上記各端子は入出力端子として機能することも技術常識(双方向CATVシステム。刊行物6,7参照)といえるから、刊行物2発明と本件特許発明1とは、「ケースと、このケースに設けられたCATV網接続用の第1の入出力端子と、上記ケースに設けられた第2の入出力端子と、上記ケースに固定して設けられ、上記第1の入出力端子に入力される高周波信号を増幅して上記第2の入出力端子に出力する増幅部」を有する点で実質的に一致している。
また、上記6(1)カ、キ、クおよび図1によれば、刊行物2発明は、電源部は商用交流電源を整流・平滑して直流電圧に変換し、増幅器にライン11(本件特許発明における「ケーブル」に相当(上記6(1)ク参照))を介して供給するものであって、高周波信号を入力するとともに直流電圧を出力するものといえ、入出力を端子を介しておこなうことは普通であり技術常識といえるから、上記出力のための入出力端子(本件特許発明1の第3の入出力端子」に対応)を有しているといえ、そこから入力した信号は、本件特許発明1と同様に、電源部ケース内において電源部をスルーして入出力端子より出力するものといえる。してみると、刊行物2発明と本件特許発明1とは、「商用交流電源から直流電圧を得る電源部と、上記電源部に設けられた電源電圧出力用の第3の入出力端子と、上記電源部に設けられた屋内機器接続用の第4の入出力端子とを具備」する点で一致し、ケースと電源部は分離した状態であるからケースから取り外した状態に等しいといえるので、「上記ケースから上記電源部を取り外した状態では該電源部の第3の入出力端子から出力される直流電圧をケーブルを介して上記増幅部の第2の入出力端子に入力し、信号出力ラインに重畳させて増幅部に供給すると共に、上記増幅部の第2の入出力端子から上記ケーブルを介して電源部の第3の入出力端子に入力される高周波信号を取り出し上記電源部の屋内機器接続用の第4の入出力端子より出力する」点で一致している。
そして、刊行物2発明の「増幅器」は、本件特許発明1の「増幅装置」に相当する。

(2)したがって、両者は、「ケースと、このケースに設けられたCATV網接続用の第1の入出力端子と、上記ケースに設けられた第2の入出力端子と、上記ケースに固定して設けられ、上記第1の入出力端子に入力される高周波信号を増幅して上記第2の入出力端子に出力する増幅部と、商用交流電源から直流電圧を得る電源部と、上記電源部に設けられた電源電圧出力用の第3の入出力端子と、上記電源部に設けられた屋内機器接続用の第4の入出力端子とを具備し、上記ケースから上記電源部を取り外した状態では該電源部の第3の入出力端子から出力される直流電圧をケーブルを介して上記増幅部の第2の入出力端子に入力し、信号出力ラインに重畳させて増幅部に供給すると共に、上記増幅部の第2の入出力端子から上記ケーブルを介して電源部の第3の入出力端子に入力される高周波信号を取り出し上記電源部の屋内機器接続用の第4の入出力端子より出力することを特徴とする増幅装置。」で一致し、以下の点で相違する。
(ア)本件特許発明1の増幅装置は、ケースが「電源部を着脱可能に内蔵し得(る)」、かつ電源部が「ケース内に着脱可能に設けられ」る「電源分離可能型」の増幅装置であり、「この電源部が上記ケース内に装着された状態で該電源部と上記ケースとの間を結合し、かつ、電源部が上記ケース内に装着された状態で、上記交流電源に接続される上記電源部から出力される直流電圧を、上記ケース内に固定して設けられている上記増幅部に供給するコネクタ」を具備し、「上記ケース内に上記電源部が装着された状態では、上記コネクタを介して上記増幅部に直流電圧を供給し、上記第1の入出力端子から入力される高周波信号を上記増幅部で増幅して上記ケースの屋内機器接続用の第2の入出力端子より出力(し、)」するのに対し、刊行物2の増幅装置は、電源10とこれとは別に内部電源部(トランス3,整流器4及び平滑コンデンサC4)を備える構成であり「電源分離可能型」の増幅装置とは言えず、したがって、「ケース内に電源部が装着された状態」を想定しておらず、その状態において、上記「コネクタを介した直流電圧の供給」及び「高周波信号を第2の入出力端子から屋内機器に対して出力するもの(第2の入出力端子を屋内機器接続用とするもの)」でない点。

(3)相違点(ア)についての検討
a そもそも、電源装置はあらゆる電子機器において使用されるものであり、その意味では、普遍的な性格を有する機器である。したがって、増幅器などの各種電子機器における電源装置に関する技術事項を、刊行物2記載のようなCATV用増幅器の電源に採用することも格別な工夫を要するものとはいえない。
このことは、上記6(1)クにあるように、刊行物2において、電源装置がCATV用の増幅器に限るものではなく一般の増幅器に応用可能である旨の示唆があることからも言える。
そして、本件特許発明1の電源部も増幅装置という電子機器の電源装置として機能するものであるから、本件特許発明1及び刊行物2,5における電源装置も、電子機器の電源装置として共通する技術といえ必ずしも異なる技術分野ともいえない。
b 一方、上記6(4)ア、イ、ウによれば、刊行物5には、電子機器の電源装置(ACアダプタ)を、電子機器に内蔵されて電極を介して直流電圧を供給する状態と電子機器に(電極と)コードを介して直流電圧を供給する状態とで兼用するという技術事項が記載され、本件特許発明1の「コネクタ」に対応する「出力電極を電子機器本体1の入力電極に接触させる」(上記6(4)イ参照)点も記載されている。
また、上記6(2)アないしオによれば、刊行物3には、一つの電源部を、増幅部と結合して使用したり増幅部と分離したりして使用するTV信号用のブースタが記載されており、本件特許発明1と同種のものにおいても、電源を兼用する点について知られているものといえる。
c 以上の点、及び、刊行物2のものにおいてもブースタを屋外に設置する場合と屋内に設置する場合とでは電源の供給方法が異なるために、異なる仕様書が必要となったり、部品点数が増加したりすることによりコストの上昇を招くと云う問題点が認識されている点(上記6(1)ウ参照)、および、内蔵された状態の電源から増幅部に直流電圧を供給する点について刊行物2に記載(上記6(1)ア、イ、オ参照)されていることを勘案すれば、刊行物2発明の増幅器、電源の信号および直流電圧が重畳する点を考慮して、刊行物2発明の、内蔵して直流電圧を供給する電源装置を、同刊行物の、ケーブルを介して外部から直流電圧を供給する電源部10で代用することは、当業者が容易に推考し得たものといえる。
してみれば、相違点(ア)の、ケースが「電源部を着脱可能に内蔵し得」、かつ電源部が「ケース内に着脱可能に設けられ」る「電源分離可能型」の増幅装置であり、「この電源部が上記ケース内に装着された状態で該電源部と上記ケースとの間を結合し、かつ、電源部が上記ケース内に装着された状態で、上記交流電源に接続される上記電源部から出力される直流電圧を、上記ケース内に固定して設けられている上記増幅部に供給するコネクタ」を具備し、「上記ケース内に上記電源部が装着された状態では、上記コネクタを介して上記増幅部に直流電圧を供給し、上記第1の入出力端子から入力される高周波信号を上記増幅部で増幅して上記ケースの屋内機器接続用の第2の入出力端子より出力」するものとすることは、当業者が容易に推考しえたものといえ、また、本件特許発明1の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。
d 被請求人は、甲第2号証(注:刊行物2)は、目的・構成および効果の異なる「交流・直流電源兼用型増幅器」を開示するのみであり、その電源部はブースタのケース内に設けられてはいるものの着脱可能でなく、内蔵固定式の電源にすぎない。そのため、コネクタを必要とするものでもない。本件発明の第3,4の入出力端子は電源部に設けられたものであって、別個に設けられた他の電源でなくケース内に着脱可能な電源部に備えられるべきものであり、本件発明の特徴である、電源が着脱(分離)可能である電源分離型増幅装置の構造により、煩雑な在庫管理を無くしコストの低減を図る効果は甲第2号証にはないと主張しているが、上記で検討したとおりであり、被請求人の上記主張を採用することができない。
また、被請求人は、甲第4、5号証(注:刊行物4,5)に記載のものは、共に、「コンピュータ用電源装置」あるいは「電子機器」であり、CATVシステムの受信機の増幅装置とは全く異なるものであり、使用形態に対応してバッテリが取り外し可能な構造を開示するに過ぎず、高周波信号と直流電圧を重畳して通すケーブルを具備しない旨主張しているが、上記で検討したとおりであって、電源装置の汎用性を考慮すれば、両者に関連がまったくないものともいえない。そして、刊行物2発明においては、高周波信号と直流電圧を重畳して通すラインを具備しているのであり、一方、内蔵状態においては、電源経路は周知の経路となるにすぎない。被請求人の上記主張を採用することができない。

8 本件特許発明2についての当審の判断
本件特許発明2は、本件特許発明1に「上記増幅部は、第2の入出力端子に入力される上り信号を選択して第1の入出力端子に伝送するバンドパスフィルタと、このバンドパスフィルタにより伝送される上り信号をカットするカットスイッチとを備えた」点を付加するものである。
本件特許発明2と刊行物2発明とを対比すると、上記7を参酌すれば、
両者は、「ケースと、このケースに設けられたCATV網接続用の第1の入出力端子と、上記ケースに設けられた第2の入出力端子と、上記ケースに固定して設けられ、上記第1の入出力端子に入力される高周波信号を増幅して上記第2の入出力端子に出力する増幅部と、商用交流電源から直流電圧を得る電源部と、上記電源部に設けられた電源電圧出力用の第3の入出力端子と、上記電源部に設けられた屋内機器接続用の第4の入出力端子とを具備し、上記ケースから上記電源部を取り外した状態では該電源部の第3の入出力端子から出力される直流電圧をケーブルを介して上記増幅部の第2の入出力端子に入力し、信号出力ラインに重畳させて増幅部に供給すると共に、上記増幅部の第2の入出力端子から上記ケーブルを介して電源部の第3の入出力端子に入力される高周波信号を取り出し上記電源部の屋内機器接続用の第4の入出力端子より出力することを特徴とする増幅装置。」で一致し、以下の点で相違するといえる。
(ア)本件特許発明1の増幅装置は、ケースが「電源部を着脱可能に内蔵し得(る)」、かつ電源部が「ケース内に着脱可能に設けられ」る「電源分離可能型」の増幅装置であり、「この電源部が上記ケース内に装着された状態で該電源部と上記ケースとの間を結合し、かつ、電源部が上記ケース内に装着された状態で、上記交流電源に接続される上記電源部から出力される直流電圧を、上記ケース内に固定して設けられている上記増幅部に供給するコネクタ」を具備し、「上記ケース内に上記電源部が装着された状態では、上記コネクタを介して上記増幅部に直流電圧を供給し、上記第1の入出力端子から入力される高周波信号を上記増幅部で増幅して上記ケースの屋内機器接続用の第2の入出力端子より出力(し、)」するのに対し、刊行物2の増幅装置は、電源10とこれとは別に内部電源部(トランス3,整流器4及び平滑コンデンサC4)を備える構成であり「電源分離可能型」の増幅装置とは言えず、したがって、「ケース内に電源部が装着された状態」を想定しておらず、その状態において、上記「コネクタを介した直流電圧の供給」及び「高周波信号を第2の入出力端子から屋内機器に対して出力するもの(第2の入出力端子を屋内機器接続用とするもの)」でない点。
(イ)増幅部について、本件特許発明2が、「上記増幅部は、第2の入出力端子に入力される上り信号を選択して第1の入出力端子に伝送するバンドパスフィルタと、このバンドパスフィルタにより伝送される上り信号をカットするカットスイッチとを備えた」ものであるのに対し、刊行物2発明はそのようなものでない点。
そこで相違点について検討すると、相違点(ア)については、上記7で検討したとおりであり、当業者にとって容易に推考できたものといえる。
相違点(イ)については、上記6(6)イ、ウ、エによれば、刊行物7には、電源を要する増幅器、バンドパスフィルタ、上り信号をカットするカットスイッチとを備えた双方向CATV機器が記載されているのであるから、バンドパスフィルタおよび上り信号をカットするカットスイッチを有する双方向CATV用の増幅器とすることも当業者にとって容易に推考できたものといえる。
この点、被請求人は、甲第6,7号証(注:刊行物6,7)に記載のものは、(請求項2の発明の如く)増幅部において、バンドパスフィルタやカットスイッチを備えているわけではないと主張している。しかしながら、上記で検討したごとくであって、被請求人の上記主張を採用することができない。
そして、これらを総合的に考慮しても当業者にとって格別のものとはいえず、また本件特許発明2の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。
してみると、本件特許発明2は甲各号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものといえる。

9 むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明1,2は、甲各号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-01-26 
結審通知日 2006-02-01 
審決日 2005-02-09 
出願番号 特願平10-141347
審決分類 P 1 113・ 121- Z (H04N)
最終処分 成立  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 清水 正一
新宮 佳典
登録日 2001-10-05 
登録番号 特許第3239105号(P3239105)
発明の名称 電源分離可能型増幅装置  
代理人 武山 吉孝  
代理人 祖父江 榮一  
代理人 鈴木 隆盛  
代理人 小川 勝男  
代理人 高橋 英生  
代理人 佐々木 孝  
代理人 浅見 保男  

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