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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1133856 |
審判番号 | 不服2003-8729 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-09-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-05-15 |
確定日 | 2006-03-30 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第 38713号「携帯無線端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 9月26日出願公開、特開平 7-250138〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は,平成6年3月9日の出願であって,平成15年4月8日付けで拒絶の査定がなされ,これを不服として,同年5月15日付けで本件審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。 この手続補正によれば,補正前の請求項1に記載された「リアケース本体組立体」を「リアケース組立体」に,同「マイク」を「スピーカ」に,同様に「マイクホルダ」を「スピーカホルダ」に補正し,また,携帯無線端末装置本体組立体を構成する各要素間の関係,及び携帯無線端末装置を構成する各要素間の関係を判読しやすい記述に補正したものであるが,当初明細書では「リアケース本体」と「リアケース組立体」は明確に区別されて用いられており,「リアケース本体組立体」は「リアケース組立体」の明らかな誤記であり,また,同明細書には,「スピーカホルダ」に係る詳細な記述がなされている一方で,「マイクホルダ」の記述はないことなどからして,補正前の請求項1に記載された「マイク」は「スピーカ」の明らかな誤記であり,また,同様に,「マイクホルダ」も「スピーカホルダ」の明らかな誤記であり,そして,その他の手続補正についても,実質的内容において変更はないから,これらの手続補正は,明りょうでない記載の釈明ないし誤記の訂正を目的としたものということができる。 したがって,特許法第17条の2第3項第3号ないし第4号に適合する。 以上のとおりであるから,本願の請求項1に係る発明は,この手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下,「本願発明」という。)と認める。 「組合わされたフロントケース組立体及びリアケース組立体の内部に携帯無線端末装置本体組立体が組み込まれた構成の携帯無線端末装置において, 携帯無線端末装置本体組立体は, 金属メッキを施した樹脂製のシャーシと, 該シャーシの裏面側に組み付けられた裏面側プリント板と, 該シャーシの表面側に組み付けられた表面側プリント板と, 該表面側プリント板の上に固定されたスピーカが組み込んであり金属メッキを施してあるスピーカホルダと, 該シャーシの裏面側に取り付けられ上記裏面側プリント板を覆う裏面側シールド板と, 該シャーシの表面側に取り付けられ上記表面側プリント板を覆う表面側シールド板とよりなる構成であり, 前記フロントケース組立体及び前記リアケース組立体は,前記携帯無線端末装置本体組立体を覆うように組合わされた構成としたことを特徴とする携帯無線端末装置。」 2.引用例 これに対して,原査定の拒絶の理由に引用された実願昭61-120636号(実開昭63-30055号)のマイクロフィルム(以下,「引用文献」という。)には,第1〜3図とともに,次の事項が記載されている。 (1)「(従来の技術及びその問題点) 第4図は,従来の携帯無線電話機の分解斜視図・・・従来,携帯無線電話機のシールドは,プラスチックのフロントカバー1の内側に導電塗料を塗布し,・・・しかしながら,上述したシールド構造には,フロントカバー1の内側に導電塗料を塗布したに過ぎないのでシールド性が不十分であり・・・。」(第2頁第3〜13行目) (2)「10はプラスチック製のフロントカバー,11はプラスチック製のリアカバー,12はフロントカバー10の内壁面に接触するようにプレス成型されたフロント側薄板金ケース,13はリアカバー11の内壁面に接触するようにプレス成型されたリア側薄板金ケース,14はキーボード部と制御部を有するプリント回路板,15は無線部を有するプリント回路板・・・」(第3頁第19〜第4頁第6行目) 上記摘記事項(2)中の「フロントカバー」及び「リアカバー」には通常他の部材が取り付けられているから,フロントカバー組立体及びリアカバー組立体というべきものが実質的に存在し,また,「フロント側薄板金ケース」,「リア側薄板金ケース」,「キーボード部と制御部を有するプリント回路板」及び「無線部を有するプリント回路板」は,携帯電話装置の実質的な機能を担っているから,それらをまとめて携帯電話装置本体ということができ,フロントカバー及びリアカバーが前記携帯電話装置本体を覆っていることは図面等から明らかであるから,上記摘記事項(1)(2)及び図面を総合すると,引用文献には, 「組合わされたフロントカバー組立体及びリアカバー組立体の内部に携帯電話装置本体が組み込まれた構成の携帯無線電話機において, 携帯電話装置本体は, 無線部を有するプリント回路板と, キーボード部と制御部を有するプリント回路板と, 該無線部を有するプリント回路板を覆うリア側薄板金ケースと, 該キーボード部と制御部を有するプリント回路板を覆うフロント側薄板金ケースとよりなる構成であり, 前記フロントカバー組立体及びリアカバー組立体は,前記携帯電話装置本体を覆うように組合わされた構成とした携帯無線電話機。」(以下,「引用発明」という。)が記載されている。 3.対比 本願発明と引用発明を対比すると, 引用発明中の「フロントカバー組立体」は,本願発明中の「フロントケース組立体」と実質的に同じものであり,同様に,「リアカバー組立体」は「リアケース組立体」と実質的に同じものであり,引用発明における「携帯無線電話機」は携帯無線端末装置の一種であり,「プリント回路板」と「プリント板」は実質的に同じものであり,引用発明における「リア側薄板金ケース」はその機能において本願発明中の「裏面側シールド板」に相当するのものであり,同様に「フロント側薄板金ケース」は「表面側シールド板」に相当するものであり,引用発明中の「無線部を有するプリント回路板」と本願発明中の「裏面側プリント板」を第1のプリント板と称し,同様に「キーボード部と制御部を有するプリント回路板」と本願発明中の「表面側プリント板」を第2のプリント板と称すれば, 両者は, 「組合わされたフロントケース組立体及びリアケース組立体の内部に携帯無線端末装置本体が組み込まれた構成の携帯無線端末装置において, 携帯無線端末装置本体は, 第1のプリント板と, 第2のプリント板と, 該第1のプリント板を覆う第1のシールド板と, 該第2のプリント板を覆う第2のシールド板とよりなる構成であり, 前記フロントケース組立体及び前記リアケース組立体は,前記携帯電話装置本体を覆うように組合わされた構成とした携帯無線電話機。」 の点で一致し,以下の点で相違する。 相違点1 本願発明において,「携帯無線端末装置本体」は「携帯無線端末装置本体組立体」の形で,「携帯無線端末装置」に組み込まれているのに対し,引用発明においては,最終的に「携帯無線端末装置本体」が「携帯無線端末装置」に組み込まれてはいるものの,組立体の形で,組み込まれていない。 相違点2 本願発明では,「金属メッキを施した樹脂製のシャーシ」が用いられており,その表裏面に,第1と第2のプリント板である「裏面側プリント板」と「表面側プリント板」が組み付けられているが,引用発明では,「金属メッキを施した樹脂製のシャーシ」は用いられいない。 相違点3 本願発明では,「該表面側プリント板の上に固定されたスピーカが組み込んであり金属メッキを施してあるスピーカホルダ」をその構成要素としているが,引用発明では,「スピーカ」が,何処に,どのような形態で,固定されているのか不明である。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 相違点1について 携帯無線端末装置において,「携帯無線端末装置本体」を「携帯無線端末装置本体組立体」の形で組み立てておき,最終的に,ケースに組み込んで,「携帯無線端末装置」を作成することは,例えば,原審の拒絶理由通知で示された特開平4-215500号公報の第4図,段落番号【0016】等に開示されているように,周知であり,本体の構成パーツを複数個個別作成しておき,最終的にそれらをケースに組み込むか,本願発明のように,本体を組立体の形で一旦組み立てておき,最後に本体を組立体としてケースに組み込むかは,「携帯無線端末装置」のような電子・電気装置において,組立工程の効率性,試験・検査の必要性,歩留まり等によって決められる単なる設計的事項にすぎない。 したがって,本願発明の,相違点1に係る構成に格別の創意工夫を認めることはできない。 相違点2について 2枚のプリント板をシールド性のあるシャーシの表裏面に組み付けることは,例えば,特開平4-249083号公報,実願平3-53500号(実開平5-6894号)のCD-ROM,実願昭58-172792号(実開昭60-79796号)のマイクロフィルム等にあるように,周知であり,また,金属メッキを施した樹脂製のシャーシ自体も,前記周知例の特開平4-249083号公報の段落番号【0010】にも記載されているように常套手段でしかなく,しかも,引用発明において,一方のプリント板で無線を利用していてシールドの必要性が自明である以上,この様なシャーシを用いることは当然の設計的事項でしかない。 したがって,本願発明の,相違点2に係る構成に格別の創意工夫を認めることはできない。 相違点3について 携帯無線端末装置の本体に使用されるプリント板にスピーカを取り付けることは,例えば,原審の拒絶理由通知で示された特開平4-155893号公報等に開示されているように,周知であり,また,スピーカホルダも,例えば,原審の拒絶理由通知で示された実願昭61-132432号(実開昭63-40089号)のマイクロフィルム等に開示されているように,周知である。そして,携帯無線端末装置のような高周波使用機器において,シールドが必須であることが自明である以上,金属メッキを施す程度のことは単なる設計的事項である。 したがって,本願発明の,相違点3に係る構成に格別の創意工夫を認めることはできない。 そして,本願発明の作用・効果も,引用文献に記載された発明,及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 5.むすび したがって,本願の請求項1に係る発明は,引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-01-19 |
結審通知日 | 2006-01-24 |
審決日 | 2006-02-13 |
出願番号 | 特願平6-38713 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 秀樹、稲葉 和生 |
特許庁審判長 |
山本 春樹 |
特許庁審判官 |
畑中 博幸 小林 紀和 |
発明の名称 | 携帯無線端末装置 |
代理人 | 伊東 忠彦 |