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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08L 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 C08L 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 C08L 審判 全部申し立て 発明同一 C08L |
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管理番号 | 1134318 |
異議申立番号 | 異議2003-73158 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-07-16 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-22 |
確定日 | 2006-01-16 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3419575号「ポリ乳酸組成物及びその成型品」の請求項1,2に係る特許に対する特許異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3419575号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3419575号の請求項1ないし2に係る発明は,平成6年12月28日に出願され,平成15年4月18日にその特許権の設定登録がなされた後,異議申立人 東レ株式会社(以下,「申立人東レ」という。)より請求項1ないし2に係る特許に対して特許異議の申立てがなされ,平成16年11月24日付けで取消理由通知がなされ,指定期間内である平成17年2月1日に特許異議意見書の提出および訂正請求がなされたものである。 なお,本件特許については,特許権者のうちカネボウ株式会社の持分が申立人東レに移転され,その後,申立人東レより,平成17年8月3日付けで特許異議申立取下書が提出されたが,これについては,特許法120条の3第1項の規定により認められないものとして,平成17年9月26日付けで却下理由通知がなされた後,平成17年11月17日付け決定をもって手続却下された。 2.訂正の適否についての判断 2.1 訂正事項 特許請求の範囲の請求項1において 「乳酸を主成分とする重合体に、以下の(a)(b)の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を所定の混合率で混合したことを特徴とする、分解性が抑制されたポリ乳酸組成物。 (a)分子量150以上のパラフィン、混合率0.1〜4重量% (但し、0.3重量%以下を除く) (b)炭素数10以上の脂肪族カルボン酸のアミド、混合率0.1〜4重量%(但し、1.0重量%以下を除く)」を 「乳酸を主成分とする重合体に、分子量150以上のパラフィンを、0.1〜4重量%(但し、0.3重量%以下を除く)の混合率で混合したことを特徴とする、分解性が抑制されたポリ乳酸組成物。」 と訂正する。 2.2 訂正の目的の適否,新規事項の有無および拡張・変更の存否 前記訂正事項は,請求項1における添加混合物の選択肢を限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とし,願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であって,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 2.3 まとめ 以上のとおりであるから,前記訂正は,特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる,特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書,第2項及び第3項の規定に適合するので,当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 3.1 本件発明 平成17年2月1日付け訂正請求による訂正後の請求項1ないし2に係る発明(以下,各々「本件発明1」ないし「本件発明2」という。)は,訂正明細書の特許請求の範囲請求項1ないし2に記載された,次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 乳酸を主成分とする重合体に、分子量150以上のパラフィンを、0.1〜4重量%(但し、0.3重量%以下を除く)の混合率で混合したことを特徴とする、分解性が抑制されたポリ乳酸組成物。 【請求項2】 請求項1記載の組成物からなる成型品。」 3.2 特許異議の申立ての理由 申立人東レが主張する理由の概要は,次のとおりである。 (理由1)訂正前の請求項1ないし2に係る発明は,その出願日前の出願であって,その出願後に出願公開された,特願平6-105232号の願書に最初に添付した明細書(甲第1号証),または,特願平6-160314号の願書に最初に添付した明細書(甲第2号証として提出された,特開平8-27363号公報参照)に記載された発明と同一であるから,特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものである。 (理由2)訂正前の請求項1ないし2に係る発明は,その出願前に頒布された刊行物(甲第3号証)に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 (理由3)訂正前の請求項1に係る発明は,「(b)炭素数10以上の脂肪族カルボン酸のアミド、混合率0.1〜4重量%(但し、1.0重量%以下を除く)」であるとする実施例が何ら記載されていないために,当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されておらず,または,特許を受けようとする発明が明確でないから,特許法第36条第4項,第5項又は第6項の規定に違反して特許されたものである。 3.3 当審が通知した取消理由 当審が通知した取消理由の概要は,次のとおりである。 (理由4)訂正前の請求項1ないし2に係る発明は,その出願日前の出願であって,その出願後に特許法第41条第2項の規定により出願公開されたものとみなされた,特願平6-105232号の願書に最初に添付した明細書(甲第1号証参照。以下,「甲1基礎明細書」という。)に記載された発明〔出願公開された優先権主張を伴う特願平7-108450号の願書に最初に添付した明細書(特開平8-34913号公報参照。以下,「甲1公開明細書」という。)に記載された発明〕と同一であるから,特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものである。 (理由5)訂正前の請求項1に係る発明は,「(b)炭素数10以上の脂肪族カルボン酸のアミド、混合率0.1〜4重量%(但し、1.0重量%以下を除く)」であるとする実施例が何ら記載されていないために,当業者が容易に実施できる程度に発明の詳細な説明が記載されておらず,または,特許請求の範囲において,特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものでないから,特許法第36条第4項又は第5項及び第6項の規定に違反して特許されたものである。 3.4 特許異議の申立ておよび取消理由に対する判断 (1)理由1,理由4(特許法第29条の2関係) (1-1)甲1基礎明細書(特願平6-105232号明細書)には,乳酸系ポリマー80〜95重量%と可塑剤5〜20重量%の混合物100重量部に,滑剤0.1〜2重量部を配合したことを特徴とする組成物,および,滑剤が脂肪酸アミドであることが記載されている。 そして,甲1公開明細書(特願平7-108450号明細書)は,甲第1号証を優先権主張の基礎とするものであって,その出願公開に係る特開平8-34913号公報を参照して,甲第1号証の前記摘示と同じ事項が記載されている。 しかしながら,甲1基礎明細書ないし甲1公開明細書には,ポリ乳酸組成物にパラフィンを混合したものについては,何も記載されていないので,「分子量150以上のパラフィンを、0.1〜4重量%(但し、0.3重量%以下を除く)の混合率で混合」なる事項を欠くものである。 そうすると,本件発明1,および,本件発明1に係る組成物からなる成型品である本件発明2は,いずれも,甲1基礎明細書ないし甲1公開明細書に記載された発明と同一ではないから,その発明者ないし出願人について検討するまでもなく,特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものということはできない。 (1-2)特願平6-160314号の願書に最初に添付した明細書(特開平8-27363号公報参照。以下,「甲2明細書」という。)には,ポリ乳酸または乳酸とヒドロキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性ポリマー組成物100重量部に脂肪酸,脂肪酸アミド,または脂肪酸と脂肪酸アミドの混合物を0.051〜1.0重量部配合したことを特徴とする生分解性乳酸系ポリマー組成物が記載されているが,ポリ乳酸組成物にパラフィンを混合したものについては,何も記載されていないので,「分子量 150以上のパラフィンを、0.1〜4重量%(但し、0.3重量%以下を除く)の混合率で混合」なる事項を欠くものである。 そうすると,本件発明1,および,本件発明1に係る組成物からなる成型品である本件発明2は,いずれも,甲2明細書に記載された発明と同一ではないから,その発明者ないし出願人について検討するまでもなく,特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものということはできない。 (2)理由2(特許法第29条第2項関係) 甲第3号証(特開平6-299054号公報)には,ポリ乳酸または乳酸とヒドロキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性ポリマー組成物からなるペレット100重量部に,高級脂肪酸のビスアミド,および高級脂肪酸の金属塩0.001〜0.05重量部を添加することが記載されているが,ポリ乳酸組成物にパラフィンを混合したものについては,記載も示唆もされていないので,「分子量150以上のパラフィンを、0.1〜4重量%(但し、0.3重量%以下を除く)の混合率で混合」なる事項を欠くものである。 そして,本件発明1ないし2は,明細書表1に示されるように,ポリ乳酸組成物にパラフィンを添加混合したものは,比較例のものに比べると,土中埋没時の強度の半減期が長くなっており,分解速度が抑制されている(段落【0019】〜【0022】)という効果を奏するものであって,しかも,当該効果は甲第3号証からは予測困難なものである。 よって,本件発明1,および,本件発明1に係る組成物からなる成型品である本件発明2は,いずれも,甲第3号証に記載された発明でないのは勿論のこと,同号証に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)理由3,理由5(特許法第36条第4項又は第5項及び第6項関係) 平成17年2月1日付け訂正請求により,請求項1における添加混合物の選択肢は限定されて,炭素数10以上の脂肪族カルボン酸のアミド、混合率0.1〜4重量%(但し、1.0重量%以下を除く)が削除されたので,理由3および理由5は解消した。よって,本件特許明細書に所論の記載不備はない。 4.むすび 以上のとおりであるから,申立人東レによる申立ての理由,証拠方法および当審が通知した取消理由によっては,本件発明1ないし2に係る特許を取り消すことはできない。 また,他に本件発明1ないし2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ポリ乳酸組成物及びその成型品 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】乳酸を主成分とする重合体に、分子量150以上のパラフィンを、0.1〜4重量%(但し、0.3重量%以下を除く)の混合率で混合したことを特徴とする、分解性が抑制されたポリ乳酸組成物。 【請求項2】請求項1記載の組成物からなる成型品。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、改良されたポリ乳酸組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 生分解性又は自然環境下で分解するポリマーが、環境保護の見地から注目されている。乳酸を主成分とする重合体は、分解性、耐熱性、溶融成型性、強度などに優れ、主原料の乳酸も農産物より得られるので資源的にも有利で、最も優れた分解性ポリマーの一つと期待される。 【0003】 一般に、分解性ポリマーは、目的や用途によって分解速度や寿命の異なるものが必要とされる。従って、分解速度を広範囲に変えられるような、分解性ポリマーが好ましい。しかし、従来の分解性ポリマーの分解性は限られており、更に広範囲且つ自由に分解性を変えられるものが望まれている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 乳酸を主成分とする重合体では、一般に第3成分の混合や共重合による結晶性の低下、親水成分の共重合や混合による親水化などにより、分解性を増進することが出来る。他方、分解性の低減には、ポリマーの純度や結晶性の向上が有効である。 【0005】 しかし、例えば、第2成分を共重合して、成型品の衝撃強度や強靭性を改良したものは、結晶性が低下するため、分解性の高い(短寿命の)ものしか得られないという問題が生じ、分解性の抑制が必要となる場合がある。また、未変性(高純度)のポリ乳酸においても、用途によっては更に低分解性のものが必要とされることがある。 【0006】 本発明の目的は、乳酸を主成分とし、抑制された分解性を有する新規な重合体組成物を提供するにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本件発明者は、鋭意検討した結果、乳酸を主成分とする重合体に、パラフィン、アミドなどの疎水性物質を少量混合することにより、組成物およびその成型品の分解速度を抑制することを見出だし、本発明をなすに至った。 【0008】 すなわち、本発明は、乳酸を主成分とする重合体に、以下の(a)(b)の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を所定の混合率で混合したことを特徴とする、分解性が抑制されたポリ乳酸組成物である。 (a)分子量150以上のパラフィン、混合率0.1〜4重量%(但し、0.3重量%以下を除く) (b)炭素数10以上の脂肪族カルボン酸のアミド、混合率0.1〜4重量%(但し、1.0重量%以下を除く) 【0009】 本発明において、乳酸を主成分とする重合体とは、重合体中の乳酸由来の成分が50重量%以上、特に70重量%以上のもので、例えばポリL-乳酸ホモポリマー、ポリD-乳酸ホモポリマー、ポリL/D-乳酸共重合体及びそれらのポリ乳酸に第3成分を50重量%以下、特に30%以下共重合したものを包含する。ポリ乳酸に第3成分を共重合すると、重合体の結晶性が低下し、融点や耐熱性が低下するが、衝撃強度、強靭性、染色性、分解性などが増大する傾向があり、目的・用途に応じて共重合成分や共重合比率が選ばれる。一般に共重合比率は0.1〜50重合%、特に0.3〜30%が多く用いられ、1〜20%が最も多く用いられる。共重合する第3成分としては、例えばポリエチレングリコールなどのポリエーテル、ポリヘキサンアジペートやポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル、ポリエチレンイソフタレートなどの芳香族ポリエステル及び、ビドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸、ジオールなどのエステル結合形成性の単量体があげられる。 【0010】 本発明に用いるパラフィンは分子量150以上、好ましくは200〜1,000未満である。 【0011】 本発明に用いる高級脂肪族カルボン酸は、炭素数10以上のもので、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸などが好適である。同様に、それらの例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ヘキサノールなどとのエステルやアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレレジアミンなどとのアミドも好適である。ジカルボン酸とジアミンの反応で生成するポリアミドも分子量20,000以下が好ましく、10,000以下が特に好ましい。 【0012】 本発明に用いる高級脂肪族カルボン酸の金属塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などの塩が好ましく、カルシウム、マグネシウム、亜鉛の塩が特に好ましい。 【0013】 乳酸を主成分とする重合体への上記疎水性物質の混合率は、0.1〜4重量%であり、0.3〜3重量%が好ましく、0.6〜2重量%が最も好ましい。混合率が大き過ぎると重合体の物性の劣化が顕著となり、少な過ぎると分解速度抑制効果が不足するからである。 【0014】 乳酸を主成分とする重合体に対して、上記疎水性物質を混合(添加)するには、反応性の少ないパラフィンでは、重合原料や重合中の反応系に混合、攪拌することが出来る。一方、重合後や紡糸、製膜、成形時に、例えば溶融混合する方法は、上記のすべての疎水性物質に適用出来る。混合装置としては、通常の攪拌機の他、スクリュウ押出機、2軸混練押出機、静止混合機、ギアポンプなどが適用可能である。 【0015】 溶融混合の場合、上記疎水性物質に随伴する水が、乳酸を主成分とする重合体を加水分解する傾向があるので、疎水性物質は充分乾燥・脱水して添加・混合することが望ましい。添加物中の水分は100ppm以下、特に50ppm以下が好ましく、10ppm以下が最も好ましい。 【0016】 乳酸を主成分とする重合体の分子量は、5〜50万、特に8〜30万が好ましい。また上記の疎水性物質以外にも、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、その他の添加剤を含有させることが出来る。 【0017】 上記疎水性化合物を混合した本発明組成物の成型品は、疎水性化合物がポリマー内を拡散し、1部は表面に浸出し成型品に撥水性を与え、その結果ポリ乳酸の分解性が抑制される。一般に分子量が小さいものは拡散速度が早い傾向がある。分解抑制の効果の持久性を高めるためには、拡散速度の異なる2種以上のものを併用することが好ましい。例えば、パラフィンとポリエチレン、パラフィンと変性ポリエチレン、脂肪族アルコール又はその誘導体とポリエチレン又は変性ポリエチレン、脂肪族カルボン酸又はその誘導体とポリエチレン又は変性ポリエチレンなどの組合せが好ましい。同様に、分子量が300以上、好ましくは500以上異なるものの組合せが好ましい。 【0018】 本発明は、乳酸を主成分とする重合体に、パラフィン、高級脂肪族カルボン酸のアミドなどの疎水性物質を少量混合して、組成物およびその成型品の結晶性等の物性を損なうことなく分解速度を抑制するものである。 【0019】 【実施例】 本発明において、部及び%は特に断らない限り重量部、重量%である。以下の実施例において、乳酸を主成分とする重合体の分子量は、試料のクロロホルム0.1%溶液のGPC(ポリスチレン標準試料により較正)高分子物(分子量500以下を除く)の分散の重量平均値とする。 【0020】 光学純度99.9%以上のL-ラクチドに対して、分子量8,600のポリエチレングリコール2.5%、重合触媒オクチル酸錫0.2%、酸化防止剤イルガノックス1010を0.2%、分解抑制剤として分子量380のパラフィン0.5%、ビニルアルコールを5%共重合した分子量6,000の変性ポリエチレン0.5%を混合して2軸混練機に供給し、190℃で15分間重合し、孔径2mmのノズルより押出して冷却、切断してチップを得た。このチップを金属製のタンクに入れ、2気圧の窒素中、140℃で10時間加熱した後、徐々に減圧し1Torrで48時間加熱・固相重合して得たポリマーを、200℃のスクリュウ押出機で溶融し、孔径0.2mm、温度195℃のオリフィスより紡出し、空気中で冷却後オイリングして800m/minの速度で巻取り、次に延伸温度70℃で4.0倍延伸し、緊張下120℃で熱処理して、繊度150デニール/48フィラメントの延伸糸Y5を得た。 【0021】 ほヾ同様にして、但し分解抑制剤として、ステアリン酸アミド1.0%、分子量380のパラフィン1.0%を夫々重合工程の末期に添加混合し、延伸糸Y5と同様にして延伸糸Y6、Y8を得た。同じく、分解抑制剤を用いないで得た延伸糸をY9とする。延伸糸の土中埋没時の強度の半減期を表1に示す。表1に見るように、分解抑制剤を混合したものは、比較例(Y9)に比べて半減期が長くなっており、分解速度が抑制されている。 【0022】 【表1】 【0023】 【発明の効果】 本発明の組成物及びそれから得られる各種製品は、分解性が抑制されており、より長寿命が必要とされる用途に好適に用いられる。例えば、本発明組成物から製造されるフィルム、繊維、各種成型品は、より長寿命となり、衣料、非衣料、包装材、容器、機械部品、家具部品、建築材料、工業製品の部材、農業用品、林業用品、園芸用品、医療用品、衛生用品などに好ましく用いられる。また、本発明による製品は、成型性、成型時の流動性、成型時の型離れ性に優れ、表面摩擦係数が低く、より柔軟な製品を得ることが出来る。 【0024】 上記の効果は、一般に前記疎水性化合物の添加率が高い程顕著となるが、添加率が多過ぎるとポリマーの結晶性、耐熱性、耐久性、安定性などが劣化するので、前記の適切な範囲で用いることが好ましい。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2005-12-21 |
出願番号 | 特願平6-327439 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(C08L)
P 1 651・ 531- YA (C08L) P 1 651・ 534- YA (C08L) P 1 651・ 161- YA (C08L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 森川 聡 |
特許庁審判長 |
宮坂 初男 |
特許庁審判官 |
石井 あき子 平塚 政宏 |
登録日 | 2003-04-18 |
登録番号 | 特許第3419575号(P3419575) |
権利者 | 東レ株式会社 トヨタ自動車株式会社 |
発明の名称 | ポリ乳酸組成物及びその成型品 |
代理人 | 平木 祐輔 |
代理人 | 石井 貞次 |
代理人 | 石井 貞次 |
代理人 | 平木 祐輔 |
代理人 | 大屋 憲一 |
代理人 | 大屋 憲一 |
代理人 | 藤田 節 |
代理人 | 藤田 節 |