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審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G03G
審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G03G
管理番号 1134332
異議申立番号 異議2003-73844  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2006-02-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3465701号「複写機」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3465701号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I 手続の経緯
本件特許第3465701号の請求項1〜4に係る発明は、平成4年1月17日に出願された特許出願(特願平4-26269号)の一部を分割して新たな特許出願として出願され、平成15年8月29日に設定の登録がなされた。
本件特許公報は平成15年11月10日に発行され、発行されたその特許に対して梅沢晃より特許異議の申立があり、取消理由通知がなされ、その後指定期間内である平成17年8月9日に訂正請求書が提出され、異議申立人に対し審尋がなされたが指定期間内に応答がなされなかったものである。

II 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求は、本件特許明細書を訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、訂正の内容は次のとおりである。
(ア)特許請求の範囲、請求項1における「…前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間で前記画像読取り部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、」の記載を、
「…前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、前記画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、」と訂正する。
(イ)同じく請求項1における「…記録動作可能な位置に配置される状態で挿入可能に構成された用紙収容手段」の記載を、
「…記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段」と訂正する。
(ウ)同じく請求項1における「…前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に少なくとも隣り合う二側面で開放され、かつ、該二側面のうち一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放されている開放部を形成するように、前記支持手段を配置した」の記載を、
「…前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部を形成し、この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む少なくとも隣り合う二側面の側から前記記録紙排出部に収容された記録紙を取り出し可能に開放され、かつ、該二側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放され、前記二側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている開放部を形成するように、前記支持手段を配置した」と訂正する。
(エ)同じく請求項2における「…前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間で前記画像読取り部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、」の記載を、
「…前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、前記画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、」と訂正する。
(オ)同じく請求項2における「…記録動作可能な位置に配置される状態で挿入可能に構成された用紙収容手段」の記載を、
「…記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段」と訂正する。
(カ)同じく請求項2における「…前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に三側面で開放され、かつ、該三側面のうち一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放されている開放部とを備えること」の記載を、
「…前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部とを備え、この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む三側面で開放され、かつ、該三側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放されるとともに、前記三側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されていること」と訂正する。
(キ)明細書の段落【0005】における「【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、…複写機である。」の記載を、
「【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、用紙に画像を形成して記録紙とする画像形成部が内部に配置される記録紙作成部と、前記記録紙作成部の上方に空間を介して設けられ、原稿押さえ部にて水平に固定した状態の原稿を読み取ると共に、読み取った画像情報を電気信号に変換し前記画像形成部に供給する画像読取り部と、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、前記画像形成部の下方に設けられ、前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段とを備え、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部を形成し、この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む少なくとも隣り合う二側面の側から前記記録紙排出部に収容された記録紙を取り出し可能に開放され、かつ、該二側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放され、前記二側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている開放部を形成するように、前記支持手段を配置したことを特徴とするものである。
また、本発明の別の態様は、用紙に画像を形成して記録紙とする画像形成部が内部に配置される記録紙作成部と、前記記録紙作成部の上方に空間を介して設けられ、原稿押さえ部にて水平に固定した状態の原稿を読み取ると共に、読み取った画像情報を電気信号に変換し前記画像形成部に供給する画像読取り部と、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、前記画像作成部の下方に設けられ、前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段と、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部とを備え、この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む三側面で開放され、かつ、該三側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放されるとともに前記三側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されていることを特徴とする複写機である。」と訂正する。
(ク)明細書の段落【0014】における「直行」の記載を「直交」と訂正する。
(ケ)明細書の段落【0024】における「【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、…・・開放部を形成するようにしたので、」の記載を、
「【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、原稿固定型画像読取り部を有する複写機において、画像形成部が内部に配置された記録紙作成部の上方に支持手段で前記画像読取り部を持ち上げ支持し、記録紙作成部と画像読取り部との間に画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部を設けると共に、画像形成部の下方には前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成される用紙収容手段を設け、前記支持手段の配置を工夫することで、記録紙作成部と画像読取り部との間に少なくとも隣り合う二側面で開放され、該二側面のうち一側面については前記用紙収容手段の挿入方向側に開放され、かつ、前記二側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放される開放部を形成するようにしたので、」と訂正する。
(コ)明細書の段落【0024】における「また、本発明の別の態様によれば、…開放部を設けるようにしたので、」の記載を、
「また、本発明の別の態様によれば、原稿固定型画像読取り部を有する複写機において、画像形成部が内部に配置された記録紙作成部の上方に支持手段で原稿固定型画像読取り部を持ち上げ支持し、記録紙作成部と画像読取り部との間に画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部を設けると共に、画像形成部の下方には前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成される用紙収容手段を設け、記録紙作成部と画像読取り部との間に三側面で開放され、該三側面のうち一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放され、かつ、前記三側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている開放部を設けるようにしたので、」と訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正(ア)、(エ)は、「画像読取り部」と「記録紙載置面」の位置関係を明りょうにすると共に「支持手段」の内容を明りょうにし、併せて表現が不明りょうな「…略全域に対応した…」について明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
訂正(イ)、(オ)は、「用紙収容手段」を挿入可能な側を限定することにより明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
訂正(ウ)は、記録紙作成部と画像読取り部との間の「開放部」を「少なくとも装置前面側に開放される隣合う二側面で、かつ、装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている」態様に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正(カ)は、記録紙作成部と画像読取り部との間の「開放部」を「少なくとも装置前面側に開放される三側面で、かつ、装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている」態様に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正(キ)、(ケ)、(コ)は、訂正(ア)〜(カ)による特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との間に生じた不整合を正すものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、また訂正(ク)は、明らかな誤記を正すものであるから、誤記の訂正を目的とする訂正に該当する。
そして、上記訂正(ア)〜(カ)は、願書に添付された明細書の段落【0006】、【0007】、【0014】の記載及び図面の欄の図1、図2の記載に基づくものであるから、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
また、他の訂正も願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

3 訂正の適否に関する結論
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III 特許異議申立についての判断
1 本件特許発明
上記のように訂正が認められるから、本件の請求項1〜4に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲、請求項1〜4に記載された次のとおりものである。
「【請求項1】用紙に画像を形成して記録紙とする画像形成部が内部に配置される記録紙作成部と、
前記記録紙作成部の上方に空間を介して設けられ、原稿押さえ部にて水平に固定した状態の原稿を読み取ると共に、読み取った画像情報を電気信号に変換し前記画像形成部に供給する画像読取り部と、
前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、
前記画像形成部の下方に設けられ、前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段とを備え、
前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部を形成し、この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む少なくとも隣り合う二側面の側から前記記録紙排出部に収容された記録紙を取り出し可能に開放され、かつ、該二側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放され、前記二側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている開放部を形成するように、前記支持手段を配置したことを特徴とする複写機。
【請求項2】
用紙に画像を形成して記録紙とする画像形成部が内部に配置される記録紙作成部と、 前記記録紙作成部の上方に空間を介して設けられ、原稿押さえ部にて水平に固定した状態の原稿を読み取ると共に、読み取った画像情報を電気信号に変換し前記画像形成部に供給する画像読取り部と、
前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、
前記画像作成部の下方に設けられ、前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段と、
前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部とを備え、
この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む三側面で開放され、かつ、該三側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放されるとともに前記三側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されていることを特徴とする複写機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の複写機において、前記画像読取り部の下面と前記記録紙作成部の上面とにより開放部を形成することを特徴とする複写機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の複写機において、前記記録紙排出部は、前記記録紙作成部の上面に記録紙を排出するものであることを特徴とする複写機。」

なお、上記請求項1〜4に係る発明を、以下順に「本件発明1」、「本件発明2」…「本件発明4」という。

2 異議申立の理由の概要
異議申立人・梅沢晃は、下記の甲第1〜3号証を提出して、訂正前の本件請求項1〜4に係る発明の特許は次の理由により取り消されるべきものである旨主張している。
(i)訂正前の本件の請求項1〜4に係る発明は、甲第1、2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(ii)訂正前の本件の請求項1〜4に係る発明は、甲第3号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。


甲第1号証:特開平2-169473号公報
甲第2号証:意匠登録第805843号公報
甲第3号証:特開平4-105458号公報

当審においては、
「(1)訂正前の本件出願の請求項1〜4に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開平2-169473号公報(上記した甲第1号証。以下「刊行物1」という。)
刊行物2:意匠登録第805843号公報(上記した甲第2号証。以下「刊行物2」という。)
刊行物3:特開昭63-172172号公報(以下「刊行物3」という。)

(2)訂正前の本件の請求項1、3、4に係る発明は、その出願の日前の出願であって、その出願後に公開された特願平2-224758号(特開平4-105458号公報、申立人提出の甲第3号証を参照)の願書に最初に添付された明細書(以下「先願明細書」という。)に記載された発明と同一であると認められ、しかも、この出願の発明者が、上記「先願明細書」に記載された発明の発明者と同一であるとも、またこの出願の時において、その出願人がその出願前の出願に係る上記特許出願の出願人と同一であるとも認められないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
(3)本件出願は、明細書及び図面の記載が不備のため、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない。(記載不備の内容は下記5-3参照。)」
という趣旨の取消理由を通知した。

3 刊行物の記載事項
当審で取消理由通知に引用した刊行物1(特開平2-169473号公報)には、次の事項が記載されている。
(1a)「本発明は、読取った原稿画像データを一旦記憶した後読出して該原稿のコピーを作成する複写機能を有するとともに、原稿と記録紙の排紙トレイを共用する画像形成装置であって、」(2頁左上欄7〜11行)、
(1b)「第1図は実施例にかかるファクシミリ装置の機構を模式的に示す概略構成図である
本ファクシミリ装置は、上段に原稿読取部が、下段に画像記録部が、それぞれ配置された構成を成し、送信済原稿及び受信済原稿は、中段の排紙トレイ107に排出される。」(2頁左下欄2〜7行)、
(1c)「〈原稿読取部〉
原稿読取部は、原稿トレイ117、該原稿トレイ117上に載置された原稿123を1枚づつ給紙するための給紙ローラ118、給紙された原稿を露光する露光ランプ119、原稿画像をセルフォックレンズアレイ120を介して走査して電気信号に変換するイメージセンサ121、…用紙を排出する排出ローラ対116、等より構成される。」
(2頁左下欄8〜20行)、
(1d)「〈画像記録部〉
画像記録部は、図中矢印方向に回転可能に軸支された感光体ドラム、画像データに応じてON・OFFするレーザ光を出力するレーザ装置(半導体レーザ、ポリゴンミラー等)108a…感光体ドラムに形成される静電潜像をトナー現像する現像装置112、記録紙を収納する記録紙カセット101,カセットから記録紙を給紙する給紙ローラ102、…感光体ドラム上のトナー像を記録紙に転写するための転写チャージャ113、トナー像を転写された記録紙を感光体ドラムから分離するための分離チャージャ114、分離された記録紙を搬送する搬送ベルト104、搬送ローラ対105、106、等より構成される。」(2頁右下欄1〜20行)、
(1e)「読取部301は、画像読取部の作動(原稿画像走査、露光ランプの調光・点灯、イメージセンサの駆動、原稿の搬送等)を制御する。」(3頁右下欄11〜13行、第5図参照)、
(1f)「記録部307は、画像記録部の作動を制御する。即ち、…上記画像データに対応する画像を、記録紙上に再現してトレイ107上に排出する。」(4頁左上欄17行〜右上欄6行、第5図参照)、
(1g)「また、上記実施例では、ファクシミリ装置に関して、本発明を説明したが、それに限らず、その他の原稿と複写紙との排出トレイを共用する複写機能を備えた画像形成装置であればよい。」(5頁右下欄19行〜6頁左上欄2行)、
(1h)実施例にかかるファクシミリ装置の機構の概略を示す第1図には、以下の点が示されている。
排出された記録紙を収納できるように原稿トレイを画像記録部より上方に持ち上げて支持する部材を備えていること、原稿トレイは空間を介して画像記録部の上方に設けられる構造であること、記録紙カセット101は画像記録部の下部に設けられること、画像記録部の上部に記録紙を排出する排紙トレイを設けること(第1図参照)

同じく刊行物2(意匠登録第805843号公報)には、次の事項が記載されている。
(2a)
「意匠に係る物品 電子複写機
説明 本物品はスキャナーとプリンターを一体化したもので、通常のPPCとして使用できるほか、ホストマシン(パソコン等)に接続して画像入力機として使用できるものである。…PPCとして使用する場合には、スキャナー部の原稿カバーを開け原稿を裏向きにセットし…スタートボタンを押す。プリンターよりコピーが排紙される。」(「意匠に係る物品」、「説明」の記載欄)
(2b)「原稿の流れを示す参考図」には、以下のものが示されている。
記録紙作成部の下部に記録用紙収容手段を設け、上部に画像読取り部を設けた電子複写機であって、記録紙作成部の装置前面側の上部に空間を設け記録紙の排出口とした電子複写機(「原稿の流れを示す参考図」参照)

刊行物3(特開昭63-172172号公報)には、次の事項が記載されている。
(3a)「第1図は本発明にかかる複写機の斜視図で、この複写機は、概略、複写機本体(1)、排紙装置(2)、給紙装置(3)、及び自動原稿給送装置(以下、「ADF」という)(4)、で構成されており、下方から給紙装置(3)、排紙装置(2)、複写機本体(1)、ADF(4)の順に積層配設されている。」(1頁右下欄15〜20行)、
(3b)「以下、各装置の構成について第2図を参照して説明する。
i.複写機本体(1)
複写機本体(1)の略中央部には感光体ドラム(11)が矢印(a)方向に回転駆動可能に配設されており、その周囲には現像装置(12)の他に、第2現像装置、各種チャージャ、クリーニング装置等(図示せず)の機器が配設されている。感光体ドラム(11)の上方には、原稿台ガラス(14)に沿って矢印(b)方向にスキャン動作する露光ランプを備えた光学系(13)が配設されている。」(2頁左上欄1〜12行)、
(3c)「ii.排紙装置(2)
排紙装置(2)には外部に開放された空間である複写紙排紙部(21)が形成され、該排紙部(21)には排紙トレイ(22)が設けてあり、排紙部(21)の側部には排紙路(23)と給紙路(26)が形成されている。」(2頁右上欄13〜18行)、
(3d)「iii.給紙装置(3)
給紙装置(3)には収納ボックス(31)が第1図に示すように着脱自在に装着されており、該ボックス(31)内には複写紙(P)を積層収容した給紙トレイ(32)が装着され、」(2頁左下欄14〜18行)、
(3e)「排紙トレイ(22)に排出された複写紙(P)は、排紙部(21)に手を差し込れて取り出される。ところで、給紙トレイ(32)の複写紙(P)は、ボックス(31)を第1図に示すように引き出して補充される。」(3頁右下欄12〜16行)
4 「先願明細書」の記載事項
「先願明細書」(甲第3号証(特開平4-105458号公報)参照)には、次の事項が記載されている。
(4a)「本発明の詳細を図に示す実施例に基づいて説明する。第1図において、読取ユニット1が第1支持枠2に一体固定又は脱着可能に取付けられる。第1支持枠2はほぼL字状に形成され、読取ユニット1を取付けることにより全体でコ字状のユニットを構成し、キャスター3により移動可能に形成される。…
第1支持枠2には、図の例では第1支持枠2の平板支持部2aには第2支持枠3が固定される。第2支持枠3には読取ユニット1を除く画像記録装置が1つの装置として組込み可能である。すなわち基体ユニットの作用をする平板支持部2aに固定した第2支持枠3に作像ユニット4が脱着可能に取り付けられ、作像ユニットの下には用紙ユニット5が、…装着されてプリンタとしての装置が構成される。
第2支持枠3は記録紙を給紙カセット5から作像ユニット4を通して搬送する搬送手段、例えば搬送コンベアを内蔵する搬送ユニットとして構成されることができる。…斯くして、第1支持枠2が画像記録装置の各種の作像ユニット及び用紙ユニット、その他のユニットを作動制御する基体ユニットとして構成されることができる。
作像ユニット4の中には必要によって定着装置が内蔵されるが、…。尚排紙トレイ7も第2支持枠3に又は搬送ユニットに一体に形成されるか又は取外し可能に取付けられることができる。」(3頁左上欄9行〜左下欄11行)、
(4b)「読取ユニット1は、第3図においてケース11を有し、該ケース11に原稿を載置するコンタクトガラス12と、原稿を押さえる厚板13と、…が格納される。」(4頁左上欄10〜16行)、
(4c)「ケース41の上面には排紙トレイとして使用される凹部41aが形成される。」(5頁左上欄9〜10行)、
(4d)第1図「本発明に係る装置の全体概略斜視図」には、以下のことが示されている。
作像ユニットの上部に排紙トレイを設けること、
排紙トレイの上部空間には開放部を形成すること、
第1支持枠は読取ユニットを上方に持ち上げ支持すること(第1図参照)

5 当審の判断
5-1 特許法第29条第2項違反について
(1)本件発明1について
刊行物1には、上記摘示(1a〜1h)からみて、原稿画像データを記憶した後、読み出して記録紙上に原稿画像を形成する画像記録部を下段とし、上段に原稿を給紙して原稿画像を読み取る原稿読取部を設けた複写機であって、画像記録部の上面に排出トレイ(107)が、画像形成部の下部には記録紙カセット(101)が設けられ、画像記録部と原稿トレイの間には空間が存在する複写機が記載されていると認められる。
そこで、本件発明1(前者)と刊行物1に記載の発明(後者)とを対比すると、後者の「画像記録部」、「原稿読取部」、「原稿記録部と原稿トレイの間の空間」、「記録紙カセット」は、それぞれ前者の「記録紙作成部」、「画像読取部」、「記録紙排出部」、「用紙収容手段」に相当するから、
両者は、装置の下段に記録紙作成部を、上段に画像読取部を配置しており、記録紙作成部の上部に記録紙排出部が、下部に用紙収納手段が設けられている点で一致するが、
前者では、「前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段」を備えているのに対し、後者ではそのような支持手段を備えていない点(相違点1)で両者は少なくとも相違する。
そこで、相違点1について検討する。
刊行物1記載の複写機の発明では、「画像読取り部(原稿読取部)」の一部分である「原稿トレイ(117)」は排紙トレイ上に空間を介して支持されているものの、「画像読取り部(原稿読取部)」の中枢部にあたる「読取り機構」や「原稿移送機構」などは、「排紙トレイに繋がる本体側壁部に設けられているので(1c)、
「画像読取り部(原稿読取部)」が、その下面が記録紙作成部(画像記録部)の上面から離間するように上方に持ち上げられ支持されたものであるとはいえない。
そして、刊行物1のような複写機では原稿を移動させて読取り機構に導入しながら読み取るので(1c、1h)「原稿トレイ」に「読取り機構」を組み入れる必要は一切ないから、「画像読取り部(原稿読取部)」全体が空間を介して記録紙作成部上に支持される構造について示唆があるともいえない。
刊行物2には、記録紙作成部のすぐ上に画像読取り部が設けられることが記載され(2a、2b)、又、刊行物3には、複写機本体(1)と自動原稿給送装置(4)とが空間を介して排紙装置(3)の上方に支持された構造が記載されているが(3a〜3d、第1図)、前記した相違点1に係る構成、即ち「画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段」は記載されておらず、示唆もない。
相違点1に係る構成が上記のように刊行物1〜3の記載から容易になし得たものでない以上、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2について
刊行物1には、上記5-1(1)に記載した発明が記載されている。
本件発明2(前者)と刊行物1に記載の発明(後者)を対比すると、両者は、装置の下段に記録紙作成部を、上段に画像読取部を配置しており、記録紙作成部の上部には記録紙排出部が、下部には用紙収納手段が設けられている点で一致するが、
前者では、「前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段」を備えているのに対し、後者ではそのような支持手段を備えていない点(相違点1’)で両者は少なくとも相違する。
相違点1’は、前記した相違点1と同じであり、相違点に係る検討事項と検討結果も、前記した相違点1のものと同じである。
したがって、本件発明2は、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明3、4について
本件発明3、4は、本件発明1又は2の構成をすべて引用した上で更に技術的に限定を付したものであるので、上記5-1(1)、(2)で述べたと同様の理由により、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5-2 特許法第29条の2違反について
(1)本件発明1について
前記「先願明細書」には、記録紙に画像を形成する作像ユニット(4)と、作像ユニットの上方に空間を介して支持されており、厚板(13)で水平に固定した原稿を読み取り読み取った原稿の信号を各作像ユニットに送る読取ユニット(1)と、作像ユニットと読取ユニットの間に形成され、かつ読取ユニットの一部と対向する記録紙載置面を有する排紙トレイ(7)に、作像ユニットから排出された記録紙を収容するように、読取ユニットを上方に持ち上げて支持する第1支持枠(2)と、作像ユニットの下部に設けた用紙ユニット(5)とを備え、作像ユニットと読取ユニットの間に二側面を開放した開放部が形成されるように第1支持枠が配置されている画像記録装置が記載されていると認められる(4a〜4c)。
本件発明1(前者)と「先願明細書」記載の発明(後者)とを対比すると、
後者の「作像ユニット」、「読取ユニット」、「第1支持枠」は前者の「記録紙作成部」、「画像読取り部」、「支持手段」にそれぞれ相当するから、
両者は、装置の下段に記録紙作成部を、上段に画像読取部を配置しており、記録紙作成部の上部には記録紙排出部が、下部には用紙収納手段が設けられている点で一致するが、
前者では、「前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段」を備えているのに対し、後者ではそのような支持手段を備えていない点で両者は少なくとも相違する。
したがって、本件発明1は「先願明細書」に記載された発明と同一であるとはいえない。

(2)本件発明2について
「先願明細書」には、上記5-2(1)に記載した発明が記載されている。
本件発明2(前者)と「先願明細書」記載の発明(後者)とを対比すると、両者は、装置の下段に記録紙作成部を、上段に画像読取部を配置しており、記録紙作成部の上部には記録紙排出部が、下部には用紙収納手段が設けられている点では共通するが、
前者では、「前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段」を備えているのに対し、後者ではそのような支持手段を備えていない点で両者は少なくとも相違する。
したがって、本件発明2は、「先願明細書」に記載された発明と同一であるとはいえない。

(3)本件発明3、4について
本件発明3、4は、本件発明1又は2の構成をすべて引用した上で更に技術的に限定を付したものであるので、上記5-2(1)、(2)で述べたと同様の理由により、「先願明細書」に記載された発明と同一であるとはいえない。

5-3 特許法第36条違反について
取消理由通知において訂正前の本件明細書に記載不備があると指摘したことの概要は、以下の通りである。
(a)特許請求の範囲の「(画像読取り部と記録紙載置面とが)略全域に対応した」の具体的な意味内容が不明確である。「対応」の具体的な意味内容が不明である。また、いかなる「対応」のものまでを包含するのか「略全域」の意味内容も不明確である。
(b)上記(a)に関連して、特許請求の範囲の記載と、発明の詳細な説明欄・実施例欄との関係が不明である。特許請求の範囲でいう「(画像読取り部と記録紙載置面とが)略全域に対応した」ものは、明細書の何処に記載されているか不明である。
(c)上記(a)、(b)に関連して、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の実施例は明細書の何処に示されるのか不明である。
(d)特許請求の範囲の「支持手段」の具体的な意味内容が不明確である。また、「支持手段」の包含する範囲が不明である。
(e)特許請求の範囲の「支持手段」と、明細書の発明の詳細な説明欄の「ヒンジ」との関係も不明確である。枢軸での動作を保証する「ヒンジ」が、「画像読取り部」等の重量物を下方空間を確保しつつ上部に保持する「支持手段」である理由が不明である。明細書に添付された関連図面等には、該理由や、それを説明しうる具体的構造、部材構成が何ら具体的に示されていない。
(f)特許請求の範囲の「(隣り合う二)側面」、「(三)側面」でいう「側面」の具体的な意味内容が不明確である。また、いかなる形態のものまでを包含するのかも不明確である。
(g)上記(f)に関連して、例えば、図1で、「26の手前側面」、「20の手前側面」、「キー11を有する側面」等は含むのか否か。
また、「ヒンジ4の枢軸端面」は特許請求の範囲でいう「側面」に相当するのか否か。(h)上記(f)、(g)に関連して、特許請求の範囲の記載と、発明の詳細な説明欄・実施例欄との関係が不明である。特許請求の範囲でいう「(隣り合う)二側面で開放された」ものは、明細書の何処に記載されているか不明である。
(i)上記(f)〜(h)に関連して、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の実施例は明細書の何処に示されるのか不明である。
(j)上記(f)〜(j)に関連して、また、上記(d)、(e)にも関連して、特許請求の範囲の「側面」と「支持手段」との関係が不明である。
(k)また、特許請求の範囲でいう「開放された側面」と「支持手段」との関係も不明である。両者は、排他的関係にあるのか否か。
もし、「開放された側面」と「支持手段」とが排他的関係に無いのであるならば、特許請求の範囲で「開放」の「側面」数を規定する意味や意義は何か。
(l)上記(f)〜(k)に関連して、複写機の概略形態や全体構造、全体の側面数などを一切規定せずに、特許請求の範囲で「開放された側面」の数を規定することの意義を問う。
(m)本件の各請求項に係る発明は、その技術的な開示内容が上記5-5などで示したように不十分であるため、本件明細書の発明の詳細な説明の記載からは発明の技術的意義を理解して、追試することができず、容易に実施することができないといわざるを得ない。

以下、上記の点について検討する。
(a)の点について
訂正請求により「…画像読取り部の略全域に対応した…」の記載は「…画像読取り部の下面の略全域に対向した…」という表現に訂正されたので、この点における記載不備は解消した。
(d)、(e)の点について
特許請求の範囲、請求項1、2に記載の「支持手段」はそれを規定する表現が上記のように訂正されたので(上記II、1(ア)、(エ)参照)、その意味内容が不明りょうであるとすることはできない。又、訂正によって「支持手段」と発明の詳細な説明欄の関連する記載との関係も不明確であるとはいえなくなった。
(f)、(g)、(j)、(k)、(l)の点について
訂正請求により側面の「開放」に関する記載事項が、請求項1では「…この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む少なくとも隣り合う二側面の側から前記記録紙排出部に収容された記録紙を取り出し可能に開放され、かつ、該二側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放され、前記二側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている開放部を形成するように、前記支持手段を配置した…」という表現に、
また、請求項2では「…この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む三側面で開放され、かつ、該三側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放されるとともに前記三側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている…」という表現に訂正されたので、前記した(f)等の点における記載不備は解消した。

(b)、(c)、(h)、(i)、(m)の点について
特許請求の範囲、及び、発明の詳細な説明欄の記載は、上記のとおり訂正されたので、その対応関係が不明である等の記載不備は解消した。

IV むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠、取消理由通知の理由によっては本件の請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
複写機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】用紙に画像を形成して記録紙とする画像形成部が内部に配置される記録紙作成部と、
前記記録紙作成部の上方に空間を介して設けられ、原稿押さえ部にて水平に固定した状態の原稿を読み取ると共に、読み取った画像情報を電気信号に変換し前記画像形成部に供給する画像読取り部と、
前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、前記画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、
前記画像形成部の下方に設けられ、前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段とを備え、
前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部を形成し、この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む少なくとも隣り合う二側面の側から前記記録紙排出部に収容された記録紙を取り出し可能に開放され、かつ、該二側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放され、前記二側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている開放部を形成するように、前記支持手段を配置したことを特徴とする複写機。
【請求項2】用紙に画像を形成して記録紙とする画像形成部が内部に配置される記録紙作成部と、
前記記録紙作成部の上方に空間を介して設けられ、原稿押さえ部にて水平に固定した状態の原稿を読み取ると共に、読み取った画像情報を電気信号に変換し前記画像形成部に供給する画像読取り部と、
前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、前記画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、
前記画像作成部の下方に設けられ、前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段と、
前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部とを備え、
この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む三側面で開放され、かつ、該三側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放されるとともに、前記三側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されていることを特徴とする複写機。
【請求項3】請求項1又は請求項2に記載の複写機において、
前記画像読取り部の下面と前記記録紙作成部の上面とにより開放部を形成することを特徴とする複写機。
【請求項4】請求項1又は請求項2に記載の複写機において、
前記記録紙排出部は、前記記録紙作成部の上面に記録紙を排出するものであることを特徴とする複写機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル方式の画像形成装置に係り、特に、画像読取り部と画像形成部との間に記録紙排出部を配置した画像形成装置(主として複写機)の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるデジタル方式の画像形成装置としては、例えば電子写真方式などの記録紙作成部の上方に記録紙排出部を設け、更に、この記録紙排出部の上方に原稿移動型画像読取り部を配設した態様が既に知られている(例えば特開平3-120125号公報参照)。
この態様によれば、装置本体の側方に記録紙排出部としての排出トレイを突出配置した態様(例えば特開昭62-131668号公報参照)に比べて、装置の設置スペースを低減できるという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の画像形成装置にあっては、記録紙作成部と画像読取り部との間に設けられた記録紙排出部に記録紙を排出するようにしたため、記録紙排出部に排出された記録紙に対する取り出し作業が面倒になり易いという技術的課題が見い出された。
【0004】
本発明は以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、装置の設置スペースの低減を図りながら、記録紙排出部に排出された記録紙に対する取出し作業を容易にした画像形成装置(主として複写機)を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、用紙に画像を形成して記録紙とする画像形成部が内部に配置される記録紙作成部と、前記記録紙作成部の上方に空間を介して設けられ、原稿押さえ部にて水平に固定した状態の原稿を読み取ると共に、読み取った画像情報を電気信号に変換し前記画像形成部に供給する画像読取り部と、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、前記画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、前記画像形成部の下方に設けられ、前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段とを備え、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部を形成し、この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む少なくとも隣り合う二側面の側から前記記録紙排出部に収容された記録紙を取り出し可能に開放され、かつ、該二側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放され、前記二側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている開放部を形成するように、前記支持手段を配置したことを特徴とするものである。
また、本発明の別の態様は、用紙に画像を形成して記録紙とする画像形成部が内部に配置される記録紙作成部と、前記記録紙作成部の上方に空間を介して設けられ、原稿押さえ部にて水平に固定した状態の原稿を読み取ると共に、読み取った画像情報を電気信号に変換し前記画像形成部に供給する画像読取り部と、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成され且つ前記画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部に前記記録紙作成部から排出された記録紙を収容するように、かつ、前記画像読取り部の下面が前記記録紙作成部の上面から離間するように、前記記録紙作成部の上面と前記画像読取り部の下面との間で前記画像読取り部の全部を上方に持ち上げて支持する支持手段と、前記画像作成部の下方に設けられ、前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成された用紙収容手段と、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に排出された記録紙を取り出すための開放部とを備え、この開放部は前記画像読取り部を四側面及び上下の面からなる直方体と見立てたときの装置前面側の一側面を含む三側面で開放され、かつ、該三側面のうち装置前面側の一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放されるとともに、前記三側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されていることを特徴とする複写機である。
【0006】
このような技術的手段において、支持手段について補足すると、例えば実施の形態の【0008】における「また、前記画像読取り部2は、下部に配置される記録紙作成部10に対してヒンジ4を介して支持されており、」との記載や、図1、図2におけるように、記録紙作成部10の上面から上方にのびる凸部、画像読取り部2の下面から下方にのびる凸部、及び、前記2つの凸部を連結させるヒンジ4が、「支持手段」に相当することは明らかであり、また、図5において、画像形成装置の記録紙排出部5の両側にある上下方向に延びる部分は、画像読取り部2を記録紙作成部10から空間を隔てて上方に支持しており、「支持手段」に相当することは明らかである。
また、開放部は、前記記録紙作成部と前記画像読取り部との間に形成されていればよく、少なくとも前記用紙収容手段の挿入方向側に開放される隣り合う二側面であるか、又は、用紙収容手段の挿入方向側面を含む三側面で開放されていればよい。この場合における用紙収容手段の挿入方向は、あくまで前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態であることを条件とする。
ここでいう「前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態」とは、例えば画像読取り部が位置移動可能なものにおいては、図2や図4のように、画像読取り部が記録動作可能な位置に配置された状態であり、例えば画像読取り部が位置固定のものにおいては、図5における状態を指す。
【0007】
更に、画像形成装置の構成の簡略化を図るという観点からすれば、前記画像読取り部の下面と前記記録紙作成部の上面とにより記録紙取り出しのための開放部を形成したり、記録紙排出部として、前記記録紙作成部の上面上に記録紙を排出するようにすることが好ましい。
また、支持手段を、記録紙作成部の上面に設けるようにすれば、支持手段の小型化を図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図示される実施の形態にしたがって、本発明の画像形成装置を説明する。
図1に示されるように、本実施の形態に係る画像形成装置1は画像読取り部2と記録紙作成部10とを重ねた状態の装置として構成しており、両装置の間に記録紙排出部5を形成して、記録紙を排出させるようにしている。前記画像読取り部2では、一般の画像読取り装置の場合と同様に、装置本体の上部に原稿をセットして、原稿の画像を走査する機構が設けられており、その原稿を押圧保持させるためのプラテンカバー3が設けられている。また、前記画像読取り部2は、下部に配置される記録紙作成部10に対してヒンジ4を介して支持されており、該ヒンジ4を介して、画像読取り部2を後方に向けて揺動させることができるようにされる。
【0009】
前記画像読取り部2の下部に配置される記録紙作成部10は、装置本体のフロントフレーム12側を、ヒンジ13を介して開閉可能に構成し、該フロントフレーム12を開くことにより、内部の各デバイスに対するメンテナンスや、装置本体内の用紙搬送路40内でのジャム紙の処理を行うことができるようにされる。また、前記フロントフレーム12に給紙ユニット20を挿入するための開口15を形成し、前記開口15から給紙ユニット20を着脱できるように構成される。さらに、前記記録紙作成部10の所定の位置にコントロールパネル11を配置し、画像読取り部2と記録紙作成部10との操作の制御を行うことができる。
【0010】
前述した本実施の形態に係る画像形成装置1においては、図2および図3に示されるように、記録紙作成部10を構成することができる。
すなわち、前記記録紙作成部10の内部に配置される画像形成部では、一般のレーザプリンタの場合と同様に、感光体ドラム30に対して書き込み装置31を配置し、画像読取り部2から入力されるデジタル信号により、レーザビームを出力させ、そのレーザビームを感光体ドラム30に照射して、画像の書き込みを行うようにしている。また、前記感光体ドラム30の周囲には、電子写真方式を用いた画像形成機構の場合と同様に、帯電器38、現像装置32、および、転写コロトロン33、クリーニング装置34を配置している。そして、感光体ドラム30を帯電器38により一様に帯電させ、書き込み装置31により書き込みを行って静電潜像を形成し、その静電潜像に対して現像装置32からトナーを供給して、トナー画像を形成し、そのトナー画像を転写コロトロン33の放電により、用紙に転写させるようにする。
【0011】
前記画像形成部に向けて用紙を送るために、前記記録紙作成部10においては、装置本体の下部に給紙ユニット20を装着する方式を用いており、前記給紙ユニット20の前側にハンドル21を配置し、用紙Pを用紙収容装置22に装着する。また、前記給紙ユニット20に対して、装置本体内の用紙搬送路40の下端に位置する用紙供給口に接続される部分に、搬送ローラ装置24を配置し、給紙ローラ23により送り出された用紙Pを、装置本体の用紙搬送路40に向けて搬送させるようにする。前記用紙収容装置22から用紙Pを送り出すための給紙ローラ23は、図示を省略した支持手段と駆動機構とに接続され、用紙収容装置22を記録紙作成部10に装着した状態で、給紙ローラ23が用紙Pの端部に押圧され、用紙Pの送り出しの動作を行い得るようにされる。
【0012】
なお、前記用紙収容装置22としては、任意の構成の装置を用いることができるものであり、搬送ローラ装置24を給紙カセットに設けた機構の他に、従来の一般の給紙カセットや給紙トレイの場合のように、用紙収容装置としてのみ作用させる手段を用いることもできる。さらに、前記給紙ユニット20による給紙手段の他に、記録紙作成部10においては、装置本体のフロント部に手差しトレイ26を配置し、給紙ローラ27を用いて、用紙Pを用紙搬送路40に向けて送り込むことができる。
【0013】
更に、画像形成部の転写部位の下流側に位置する用紙搬送路40には定着装置35が設けられており、この定着装置35の更に下流側に位置する用紙搬送路40には搬送ローラ装置36と排出ローラ37とが設けられ、用紙搬送路40の上端が記録紙排出口6になっている。
本例では、搬送ローラ装置36、排出ローラ37及び記録紙排出口6が本件発明の記録紙排出手段を構成している。
【0014】
また、前記図2に示される例において、画像読取り部2と記録紙作成部10との間には、記録紙排出部5として用いる空間部が形成されており、本実施の形態では、前記記録紙排出部5が、前記画像読取り部2より突出配置されており、該記録紙排出部5に対しては、画像読取り部2と記録紙作成部10との間で、フロント側に形成されるスペースSの部分、言い換えれば、前記給紙ユニット20の挿入方向に形成された開放部から手を挿入して、記録紙を取り出すことができるようにしている。
特に、本実施の形態において、前記図1に示されるように、記録紙排出部5の部分を側部、すなわち、前記給紙ユニット20の挿入方向に直交する方向にも開口させた機構として構成する場合には、記録紙を装置本体の側部からも取り出すことができる。さらに、前記スペースSの部分は、装置本体のリヤ側からフロント側にまで通じるスペースとして構成されており、前記スペースSに対して、装置本体の左右どちらからでも手を挿入して、記録紙を取り出すことができる。
【0015】
更に、本実施の形態では、前記記録紙排出部5は、図1及び図2に示すように、記録紙載置面5aを有し、この記録紙載置面5aの記録紙排出口6側には他の部分よりも低く構成される略V字状の凹溝5bを形成したものである。
【0016】
前述したようにして、給紙部(給紙ユニット20又は手差しトレイ26)から記録紙作成部10の装置本体内の用紙搬送路40に向けて送り出される用紙Pは、感光体ドラム30からの画像転写部(転写コロトロン33)の直前部に配置されたレジローラ25により、用紙Pの先端部と感光体ドラム30に形成されるトナー画像とのタイミングを合わせて送り出される。そして、転写コロトロン33の放電により、トナー画像を用紙Pに転写し、そのトナー画像を担持する用紙Pを、定着装置35を通して定着して記録紙を作成し、搬送ローラ装置36と排出ローラ37を介して、記録紙排出口6から記録紙排出部5に向けて排出させるようにする。
【0017】
そして、記録紙排出部5に排出された記録紙は記録紙載置面5aに順次載置されるが、記録紙載置面5aのうち記録紙排出口6側に略V字状の凹溝5bが形成されているため、記録紙の排出後端部が前記凹溝5b側に自重で自然に移動し、凹溝5bに記録紙の排出後端部が揃えられた状態で、記録紙が記録紙排出部5に収容される。
このため、フロント側に形成されるスペースSの部分から手を挿入して、記録紙を簡単に取り出すことができる。
特に、本実施の形態においては、フロント側のみならず、側部にも記録紙取り出しのための開放部を形成するようにしたため、より簡単に記録紙を取り出すことも可能である。
【0018】
また、前記図3に示される記録紙作成部10では、用紙搬送路40のフロント側の部材を、フロントフレーム12に設けておき、該フロントフレーム12を装置本体から開くように構成するようにしたものである。そして、前述したように、装置本体のフロントフレーム12を開閉可能に構成することにより、用紙搬送路40内でジャムが生じた場合の処理や、画像形成装置の各機構に対するメンテナンスを行う場合等に、装置のフロント側から作業を行うことができる。さらに、記録紙作成部10の内部に配置される各構成部材を、フロント側に引き出す機構を構成することにより、それ等の部材を機外に引き出して点検等を行うこともできる。
【0019】
また、本発明の他の実施の形態では、前記図1に示されるように、記録紙を収容する記録紙排出部5に対して、フロント側と両側側部から手を挿入して、記録紙を取り出すことができるように構成することに代えて、図4に示されるような装置として構成することができる。
前記図4に示される画像形成装置1aでは、記録紙作成部10の両側の側部に立ち上がり部7、8を配置し、その一方の立ち上がり部7に記録紙排出口6を形成し、記録紙作成部10において作成された記録紙を記録紙排出部5に向けて排出させるようにする。また、記録紙作成部10の上部に支持される画像読取り部2は、前記図1に示された装置の場合と同様に、原稿を走査した情報を、デジタル情報として記録紙作成部10に向けて出力する装置として構成している。
【0020】
そして、前記図4に示される画像形成装置1aにおいても、画像読取り部2をヒンジ4を介してリヤ側に揺動させる機構を設けることや、フロントフレーム12を開閉可能に構成することができる。また、前記記録紙作成部10のフロント側に、コントロールパネル11、給紙ユニット20の挿入口15等を設けることができ、必要に応じて手差しトレイ等をフロントフレーム12に対して配置することも可能である。したがって、前記図4に示される例においても、記録紙作成部10の内部に配置される電子写真方式の各機構に対して、装置のフロント側から、メンテナンス等を行うことができるものとなる。
【0021】
また、本発明の更に他の実施の形態では、図5に示されるような画像形成装置を構成することもできる。
前記図5に示される画像形成装置1bにおいて、記録紙作成部10を含む装置本体の上部には、プラテンカバー3により原稿を押圧保持して、画像の読取りを行う画像読取り部2を配置している。また、前記画像読取り部2の下部には、記録紙排出部5の開口を設けている。さらに、装置本体の下部には、給紙ユニット20を装着して、用紙を装置本体の側部に配置した用紙搬送路を通して、感光体ドラムに形成されたトナー画像を用紙に転写し、そのトナー画像を担持する用紙を定着装置を通して定着し、記録紙排出部5に排出させるようにする。
【0022】
前記図5に示されるように、装置本体の側部に用紙搬送路と画像形成部とを配置した場合には、開閉フレーム12を開閉してジャムの処理等を行う際、前記図1または図4に示される画像形成装置のように、ジャム処理と、装置のメンテナンスとを装置の正面からのみ行うことはできないことになる。しかし、前記図5に示されるように画像形成装置1bを構成することにより、排出トレイを側部に突出させる画像形成装置に比較して、画像形成装置の占めるスペースを小さくすることができる。さらに、前記画像形成装置1bは、比較的小型に構成することができるので、複写機等の画像形成装置で、用紙搬送路にジャムが発生したり、装置に対するメンテナンスを行う場合には、該装置を移動させることも容易に行い得るものである。したがって、装置本体の側部に配置した開閉フレーム12を開いたりする場合に、若干の不便さがあっても、通常の使用状態では大きな問題とはならない。
【0023】
前記図1または図5に示されるように、画像形成装置の中央部に記録紙排出部5を配置し、該記録紙排出部5に対してフロント側から記録紙の取り出しを行い得るように構成してなる画像形成装置は、電子複写機として用いることの他に、デジタル機能を利用するレーザプリンタやファクシミリとしても用いることができる。例えば、電子複写機とファクシミリの機能を複合した装置を構成する場合には、画像読取り部2に対して原稿を自動的に送る機構を設けると、一般のファクシミリの場合と同様に、多数枚の原稿を連続して送信する機能を持たせることができる。さらに、前記複合機に対して、コンピュータ等の装置との接続機構を設ける場合には、レーザプリンタとしても使用することができる。そして、そのような多機能を持たせた画像形成装置を、コンピュータや他の装置に密接させた状態で配置した場合でも、記録紙をフロント側から取り出すことができ、装置のメンテナンスの作業も、フロント側からのみ行うことができるものとなる。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、原稿固定型画像読取り部を有する複写機において、画像形成部が内部に配置された記録紙作成部の上方に支持手段で前記画像読取り部を持ち上げ支持し、記録紙作成部と画像読取り部との間に画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部を設けると共に、画像形成部の下方には前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成される用紙収容手段を設け、前記支持手段の配置を工夫することで、記録紙作成部と画像読取り部との間に少なくとも隣り合う二側面で開放され、該二側面のうち一側面については前記用紙収容手段の挿入方向側に開放され、かつ、前記二側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放される開放部を形成するようにしたので、原稿固定型画像読取り部、記録紙作成部、記録紙排出部を形成する自由度を確保しつつ、装置設置スペースの低減を図ることができることは勿論、前記二側面で開放された開放部からの採光により、記録紙排出部に排出された記録紙の視認を容易とし、かつ、記録紙排出部からの記録紙の取り出し作業を容易に行うことができると共に、用紙を供給する給紙作業を容易に行うことができる。
また、本発明の別の態様によれば、原稿固定型画像読取り部を有する複写機において、画像形成部が内部に配置された記録紙作成部の上方に支持手段で原稿固定型画像読取り部を持ち上げ支持し、記録紙作成部と画像読取り部との間に画像読取り部の下面の略全域に対向した記録紙載置面を有する記録紙排出部を設けると共に、画像形成部の下方には前記記録紙作成部及び画像読取り部が記録動作可能な位置に配置される状態で装置前面側から挿入可能に構成される用紙収容手段を設け、記録紙作成部と画像読取り部との間に三側面で開放され、該三側面のうち一側面が前記用紙収容手段の挿入方向側に記録紙を取り出し可能に開放され、かつ、前記三側面のうち装置前面側以外の側面が奥行き方向に関して前記記録紙載置面の略全域が開放されている開放部を設けるようにしたので、画像読取り部、記録紙作成部、記録紙排出部を形成する自由度を確保しつつ、装置設置スペースの低減を図ることができることは勿論、前記三側面で開放された開放部からの採光により記録紙排出部に排出された記録紙の視認を容易とし、かつ記録紙排出部からの記録紙の取り出し作業をより容易に行うことができると共に、用紙を供給する給紙作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す側面図である。
【図3】実施の形態に係る記録紙作成部の構成を示す拡大説明図である。
【図4】本発明が適用された画像形成装置の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】本発明が適用された画像形成装置の更に別の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…画像形成装置、2…画像読取り部、4…ヒンジ、5…記録紙排出部、6…記録紙排出口、10…記録紙作成部、11…コントロールパネル、12…フロントフレーム,開閉フレーム、20…給紙ユニット、23…給紙ローラ、26…手差しトレイ、30…感光体ドラム、31…書き込み装置、32…現像装置、35…定着装置
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2006-01-20 
出願番号 特願2001-175922(P2001-175922)
審決分類 P 1 651・ 531- YA (G03G)
P 1 651・ 534- YA (G03G)
P 1 651・ 121- YA (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 紀史  
特許庁審判長 山下 喜代治
特許庁審判官 藤岡 善行
伏見 隆夫
登録日 2003-08-29 
登録番号 特許第3465701号(P3465701)
権利者 富士ゼロックス株式会社
発明の名称 複写機  
代理人 成瀬 勝夫  
代理人 成瀬 勝夫  
代理人 中村 智廣  
代理人 小泉 雅裕  
代理人 小泉 雅裕  
代理人 中村 智廣  
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