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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1135087 |
審判番号 | 不服2004-1721 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-09-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-01-23 |
確定日 | 2006-04-13 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第 58277号「再生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 9月19日出願公開、特開平 7-244967〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯の概要 本願は、平成6年3月4日の出願であって、平成15年6月6日付け拒絶理由通知に対して、平成15年8月5日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成15年12月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年1月23日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、平成16年2月13日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成16年2月13日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成16年2月13日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)を却下する。 〔理由〕 本件手続補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲については、本件手続補正前に、 「 【請求項1】 複数の記録媒体がそれぞれ所定の収納位置に収納される収納部と、 記録媒体を再生する再生手段と、 上記複数の記録媒体を順次再生する操作命令を入力するリレーリピート再生操作手段と、 上記リレーリピート再生操作手段が操作された際には、上記収納部に収納されている複数の記録媒体を順次再生させ、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより上記収納部に収納されている全ての記録媒体を再生するように上記再生手段を制御する制御手段と を備えた再生装置。 【請求項2】 上記制御手段は、上記リレーリピート再生操作手段が操作された際には、上記収納部に収納されている複数の記録媒体に亘って当該複数の記録媒体に記録されているデータをランダムな順序で再生させ、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより、上記収納部に収納されている全ての記録媒体に記録されているデータを再生するように上記再生手段を制御することを特徴とする請求項1記載の再生装置。 【請求項3】 上記制御手段は、上記リレーリピート再生手段が操作された際には、上記収納部に収納されている複数の記録媒体を順次再生させ、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより上記収納部に収納されている全ての記録媒体を再生し、全ての記録媒体の再生が完了した場合には、最初に再生した記録媒体から再生を再開し上記全ての記録媒体の再生を実行させることを特徴とする請求項1記載の再生装置。」 とあったものを、 「 【請求項1】 複数の記録媒体がそれぞれ所定の収納位置に収納される収納部と、 記録媒体を再生する再生手段と、 上記複数の記録媒体を順次再生する操作命令を入力するリレーリピート再生操作手段と、 上記リレーリピート再生操作手段が操作された際には、上記収納部に収納されている複数の記録媒体を順次再生させ、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより上記収納部に収納されている全ての記録媒体を再生し、全ての記録媒体の再生が完了した場合には、最初に再生した記録媒体から再生を再開し上記全ての記録媒体の再生を再度実行させるように上記再生手段を制御する制御手段と を備えた再生装置。 【請求項2】 上記制御手段は、上記リレーリピート再生操作手段が操作された際には、上記収納部に収納されている複数の記録媒体に亘って当該複数の記録媒体に記録されているデータをランダムな順序で再生させ、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより、上記収納部に収納されている全ての記録媒体に記録されているデータを再生するように上記再生手段を制御することを特徴とする請求項1記載の再生装置。 【請求項3】 上記記録媒体には、複数の楽曲データが記録され、 上記制御手段は、上記リレーリピート再生操作手段が操作された際には、上記収納部に収納されている複数の記録媒体を順次再生させ、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより上記収納部に収納されている全ての記録媒体に記録された全ての楽曲データを再生し、全ての楽曲データの再生が完了した場合には、最初に再生した楽曲データから再生を再開し上記全ての楽曲データの再生を再度実行させるするように上記再生手段を制御することを特徴とする請求項1記載の再生装置。」 と補正しようとするものである。 ここで、本件手続補正前の請求項3に記載される「リレーリピート再生手段」は、当該請求項3で引用する請求項1には対応する記載がない(「リレーリピート再生操作手段」の記載はあるが、「リレーリピート再生手段」の記載はない。)ので明細書の記載内容全体から判断すると、「リレーリピート再生操作手段」の誤記であると認められる。 すると、本件手続補正は、請求項1において、本件手続補正前の請求項3に記載されていた「全ての記録媒体の再生が完了した場合には、最初に再生した記録媒体から再生を再開し上記全ての記録媒体の再生を実行させる」旨の内容を「・・・の再生を再度実行させる」と一部の語句をあらためて追加しようとするものであるから、請求項2においても、請求項1を引用するものである以上、請求項1と同じ内容を追加するものである。 しかしながら、願書に最初に添付した明細書又は図面には、「複数の記録媒体に記録されているデータをランダムな順序で再生させ」(請求項2)るものであって、かつ、「全ての記録媒体の再生が完了した場合には、最初に再生した記録媒体から再生を再開し上記全ての記録媒体の再生を再度実行させる」(請求項1)ようなものの説明はなく、また、そのようなものが記載されているも同然であると認めることもできない。 したがって、本件手続補正は、特許法第17条の2第2項の規定によって準用する同法第17条第2項の規定に違反するものであるから、同法159条第1項の規定で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成16年2月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜3に係る発明は、平成15年8月5日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりのものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「2.〔理由〕」に本件手続補正前の請求項1として掲げた次のとおりのものである。 「複数の記録媒体がそれぞれ所定の収納位置に収納される収納部と、 記録媒体を再生する再生手段と、 上記複数の記録媒体を順次再生する操作命令を入力するリレーリピート再生操作手段と、 上記リレーリピート再生操作手段が操作された際には、上記収納部に収納されている複数の記録媒体を順次再生させ、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより上記収納部に収納されている全ての記録媒体を再生するように上記再生手段を制御する制御手段と を備えた再生装置。」 (2)引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-341971号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (a) 「【0002】 【産業上の利用分野】本発明は再生装置に関し、例えば車載用のオーデイオ装置に適用し得る。」 (b) 「【0008】さらにマガジンを単位としたリピートモード(以下リピート2のモードと呼ぶ)においては、マガジンに収納した複数枚のコンパクトデイスクについて、順次循環的に再生動作を繰り返す。」 (c) 「【0024】ここでコンパクトデイスクプレイヤ4、6、8においては、10枚のコンパクトデイスク22A、22B、……、22Jをマガジンに収納し得るようになされ、シリアルバスBUSを介して入力される制御データCOMに基づいて、当該コンパクトデイスク22A〜22Jを選択的に再生し得るようになされている。 【0025】すなわちコンパクトデイスクプレイヤ4、6、8においては、マイクロコンピユータ構成の制御回路24に制御データCOMを入力し、当該制御回路24で再生ユニツト26及びデイスク交換ユニツト28を制御する。デイスク交換ユニツト28は、制御回路24の出力信号に基づいて動作を切り換え、コンパクトデイスク22を搬送する。 【0026】これによりデイスク交換ユニツト28は、マガジンに収納されたコンパクトデイスク22を選択的に所定の再生位置にセツトすると共に、当該コンパクトデイスク22の再生が終了すると所定の収納位置に収納する。 【0027】再生ユニツト26は、コンパクトデイスク22が再生位置にセツトされると、光ピツクアツプ(図示せず)を駆動し、当該コンパクトデイスク22を再生する。これにより当該コンパクトデイスクプレイヤ4、6、8においては、ヘツダユニツト2の操作に応動して所望のコンパクトデイスク22を再生し得るようになされている。さらにコンパクトデイスクプレイヤ4、6、8は、それぞれ再生中のコンパクトデイスク22の識別データ、トラツクデータ等をシリアルバスBUSを介して出力し、これによりヘツダユニツト2において、それぞれ各コンパクトデイスクプレイヤ4、6、8の動作を確認し得るようになされている。」 (d) 「【0043】すなわちシヤツフルモード選択の操作子36H〜36Jが押圧操作されると、制御回路40は、ステツプSP1からステツプSP2に移り、コンパクトデイスクプレイヤ4、6、8、セレクタ16、18に制御データCOMを出力し、当該オーデイオ装置1全体の動作モードを再生モードに立ち上げる。」 (e) 「【0051】ここで制御回路40は、操作子36Iが押圧操作されたか否か判断することにより、ユーザがマガジン内シヤツフル(すなわちユーザが選択したコンパクトデイスクプレイヤについて選曲作業を繰り返すモードでなる)を選択したか否か判断する。 【0052】ここで肯定結果が得られると、制御回路40は、ユーザの選択したコンパクトデイスクプレイヤを再生モードに立ち上げた後、ステツプSP9に移つて当該コンパクトデイスクプレイヤがシングルプレイヤか否か判断する。すなわち当該オーデイオ装置1においては、マガジンをセツトし得るようになされたコンパクトデイスクプレイヤの他にも、いわゆるシングルプレイヤと呼ばれるコンパクトデイスクプレイヤを接続し得るようになされている。 【0053】従つて当該シングルプレイヤには1枚のコンパクトデイスクしか収納されていないことにより、オーデイオ装置1においては、このようなシングルプレイヤが選択された場合、マガジン内シヤツフルが困難になる。このため制御回路40においては、ステツプSP9において肯定結果が得られると、ステツプSP4に移り、当該シングルプレイヤにセツトされたコンパクトデイスクについて、デイスク内シヤツフルの動作を実行する。 【0054】これにより当該オーデイオ装置1においては、ユーザが誤つてシングルプレイヤを選択してマガジン内シヤツフルを選択した場合でも、ユーザに誤りを意識させることなく再生動作を繰り返し得、当該オーデイオ装置1の使い勝手を向上するようになされている。 【0055】これに対してステツプSP9において否定結果が得られると、制御装置40は、ステツプSP10に移り、ここでユーザの選択したコンパクトデイスクプレイヤについて、当該コンパクトデイスクプレイヤのマガジンからランダムにコンパクトデイスクを選択する。 さらに制御回路40は、選択したコンパクトデイスクプレイヤが再生モードに設定されていない場合、当該コンパクトデイスクプレイヤに制御信号を出力して再生モードに設定する。 【0056】さらに制御回路40は、当該コンパクトデイスクプレイヤにおいて、選択されたコンパクトデイスクが再生位置にセツトされていない場合、制御データCOMを出力して当該コンパクトデイスクを再生位置にセツトする。 【0057】続いて制御回路40は、ステツプSP4に移り、ここで選択したコンパクトデイスクについて、選曲作業を実行する。これにより制御回路40においては、操作子36Iが押圧操作された場合、ステツプSP3-SP8-SP9-SP10-SP4-SP5-SP6-SP7-SP3の処理ループを繰り返し、これによりユーザが指定したコンパクトデイスクプレイヤについて、ランダムにコンパクトデイスクを選択し、選択したコンパクトデイスクについて選曲作業を実行する。 【0058】さらに制御回路40は、この一連の動作で選択された曲を再生した後続く一連の選曲作業を繰り返し、これによりデイスク内シヤツフルの機能を実現することができる。 【0059】これに対してステツプSP8において否定結果が得られると、制御回路40はステツプSP11に移つて当該オーデイオ装置1のコンパクトデイスクプレイヤ4、6、8をランダムに選択した後、ステツプSP9に移る。これにより制御回路40においては、操作子36Jが押圧操作された場合、ステツプSP3-SP8-SP11-SP9-SP10-SP4-SP5-SP6-SP7-SP3の処理ループを繰り返し、これによりコンパクトデイスクプレイヤをランダムに選択した後、選択したコンパクトデイスクプレイヤについて、ランダムにコンパクトデイスクを選択し、さらに選択したコンパクトデイスクについて選曲作業を実行する。 【0060】さらに制御回路40は、この一連の動作で選択された曲を再生すると共に当該一連の選曲作業を繰り返し、かくしてコンパクトデイスクプレイヤ4、6、8全体としてシヤツフル機能を実現することができる。 【0061】従つてユーザにおいては、このように操作子36Jを押圧操作することにより、各コンパクトデイスクプレイヤにどのようなコンパクトデイスクを収納したのかを意識することなく、さらにはコンパクトデイスクプレイヤが複数台接続されていることを意識することなく、当該オーデイオ装置1を操作し得、その分当該オーデイオ装置1の使い勝手を向上することができる。」 (f) 「【0066】これに対して操作子36Iが押圧操作されると、オーデイオ装置1においては、制御回路40がステツプSP3-SP8-SP9-SP4-SP5-SP6-SP7-SP3の処理手順を順次実行することにより、ユーザの選択したコンパクトデイスクプレイヤについて、当該コンパクトデイスクプレイヤのマガジンからランダムにコンパクトデイスクが選択される。さらにオーデイオ装置1においては、選択したコンパクトデイスクが再生位置にセツトされた後、当該コンパクトデイスクについてランダムに選曲された曲が再生される。 【0067】これによりオーデイオ装置1においては、この一連の動作を繰り返し実行して、ユーザの選択したマガジンのコンパクトデイスクについて、シヤツフルモードを実現し得、当該オーデイオ装置の使い勝手を向上することができる。 【0068】これに対して操作子36Jが押圧操作されると、オーデイオ装置1においては、制御回路40がステツプSP3-SP8-SP11-SP9-SP4-SP5-SP6-SP7-SP3の処理手順を順次実行することにより、コンパクトデイスクプレイヤ4、6、8の中からランダムのコンパクトデイスクプレイヤが選択された後、当該コンパクトデイスクプレイヤのマガジンからランダムにコンパクトデイスクが選択される。さらにオーデイオ装置1においては、選択したコンパクトデイスクが再生位置にセツトされた後、当該コンパクトデイスクについてランダムに選曲された曲が再生される。 【0069】これによりオーデイオ装置1においては、この一連の動作を繰り返し実行して、コンパクトデイスクプレイヤ4、6、8全体としてランダムに選曲及び再生動作を繰り返し得、オーデイオ装置1全体として使い勝手を向上することができる。」 上記の摘記した引用例記載事項によれば、引用例には、結局、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「複数のコンパクトデイスク(22A、22B、……、22J)を収納するマガジンと、再生ユニット(26)と、ディスク交換ユニット(28)と、再生ユニット(26)及びディスク交換ユニット(28)を制御する制御回路(24)を有する複数のコンパクトデイスクプレイヤ(4、6、8)と、 操作子(36I)と、 操作子(36J)と、 操作子(36I)が押圧操作されると、ユーザが選択したコンパクトデイスクプレイヤについて、当該コンパクトデイスクプレイヤのマガジンからランダムにコンパクトデイスクが選択され、選択されたコンパクトデイスクが再生位置にセツトされた後、当該コンパクトデイスクについてランダムに選曲された曲が再生されるという一連の動作が繰り返されるような処理手順を順次実行し、操作子(36J)が押圧操作されると、複数のコンパクトデイスクプレイヤ(4、6、8)の中からランダムにコンパクトデイスクプレイヤが選択された後、当該コンパクトデイスクプレイヤのマガジンからランダムにコンパクトデイスクが選択され、選択されたコンパクトデイスクが再生位置にセツトされた後、当該コンパクトデイスクについてランダムに選曲された曲が再生されるという一連の動作が繰り返されるような処理手順を順次実行する制御回路(40)と を備えた再生装置。」 (3)対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明における、複数のコンパクトデイスクプレイヤ(4、6、8)を含む再生装置全体、または、そのうちの一個のコンパクトデイスクプレイヤ(4)に関する部分が、本願発明における「再生装置」に相当するものである。 引用発明における「マガジン」は、本願発明における「収納部」に相当する。 引用発明における「再生ユニット(26)」及び「ディスク交換ユニット(28)」は、あわせて本願発明における「再生手段」に相当する。 引用発明における「操作子(36I)」または「操作子(36J)」は、複数の記録媒体を順次再生する操作命令を入力する手段という限りで、本願発明における「リレーリピート再生操作手段」のうちの「リレー」「再生操作手段」に相当するものである。 引用発明における「制御回路(24)」及び「制御回路(40)」は、上記「リレー」「再生操作手段」が操作された際には、収納部に収納されている複数の記録媒体を順次再生させ、再生手段を制御するという限りで、あわせて本願発明における「制御手段」に相当するものである。 すると、本願発明と引用発明は、次の点で一致する。 <一致点> 「複数の記録媒体がそれぞれ所定の収納位置に収納される収納部と、 記録媒体を再生する再生手段と、 上記複数の記録媒体を順次再生する操作命令を入力するリレー再生操作手段と、 上記リレー再生操作手段が操作された際には、上記収納部に収納されている複数の記録媒体を順次再生させ、上記再生手段を制御する制御手段と を備えた再生装置。」 一方、次の各点で相違する。 (相違点1) リレー再生操作手段について、本願発明は、さらにリピートさせるものであるのに対し、引用発明は、リピートさせることの記載はない点。 (相違点2) 制御手段について、本願発明は、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより収納部に収納されている全ての記録媒体を再生するように再生手段を制御するものであるのに対し、引用発明は、未収納の記録媒体があった場合についての記載はない点。 (4)当審の判断 そこで、上記各相違点についてそれぞれ検討する。 (相違点1について) リピートモードについては、引用例の【0008】(従来技術の説明)にも記載されているように、複数枚のコンパクトディスクについて、循環的に再生動作を繰り返すようなモードは、本願出願前に当業者に周知のものであるから、引用発明において、操作子(36I)または操作子(36J)の役割として、リレー再生(マガジン内または全マガジン)の指示に加えてリピート動作の指示も併有させ、当該操作子をリレーリピート再生操作手段とすることは、当業者が容易になし得る程度のことと認められる。 (相違点2について) 複数の記録媒体を連続して再生することが可能な再生装置において、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより、再生すべき記録媒体のうち収納部に収納されている全ての記録媒体を再生するように再生手段を制御することは、例えば、拒絶査定時に引用された、特開昭58-164056号公報にもあるように、本願出願前に当業者の周知技術であるから、引用発明においてリレー再生操作手段が操作された際も同様に、記録媒体が未収納の収納位置を検出した場合には当該記録媒体が未収納の収納位置を飛ばし他の収納位置の記録媒体を再生させることにより、収納部に収納されている全ての記録媒体を再生するように再生手段を制御するようにすることは、当業者が容易になし得ることと認められる。 (5)むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-02-09 |
結審通知日 | 2006-02-14 |
審決日 | 2006-03-02 |
出願番号 | 特願平6-58277 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
P 1 8・ 561- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山崎 達也 |
特許庁審判長 |
片岡 栄一 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 中村 豊 |
発明の名称 | 再生装置 |
代理人 | 鈴木 伸夫 |
代理人 | 脇 篤夫 |