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審決分類 審判 全部無効 特123条1項8号訂正、訂正請求の適否  B29C
管理番号 1135767
審判番号 無効2005-80247  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-04-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-08-15 
確定日 2006-05-01 
事件の表示 上記当事者間の特許第3044027号発明「射出成形による樹脂成形品の生産方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3044027号は、平成10年12月25日(優先権主張、平成10年 8月12日、日本)に出願されたもので、平成12年3月10日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成16年7月1日に訂正審判請求がなされ、訂正を認める旨の審決がなされ、同年8月26日に確定した。
これに対して、その請求項1〜3に係る発明の特許について審判請求人 株式会社トウ・プラスより平成17年8月15日に無効審判が請求され、同年10月28日に答弁書が提出され、平成18年2月6日に口頭審理が行われた後、請求人から同年2月17日付け及び2月27日付けで上申書が提出されたものである。

2.本件発明
本件特許第3044027号の請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1〜3」という。)は、訂正後のその特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】対向配置した雄金型と雌金型との間の空間部に、溶融した樹脂を注入孔を介して注入し、該樹脂を固化させて成形品を形成する、射出成形による樹脂成形品の生産方法であって、
前記空間部を、前記成形品の外形に適合させて複数並設した成形空間部と、該複数の成形空間部及び前記注入孔に連通するもので前記複数の成形空間部の全周を囲むと共に、複数の成形空間部の相互間に配置される補助空間部とから構成し、かつ、前記補助空間部には、該補助空間部の厚みを増すことにより該補助空間部内における前記樹脂の流動を促進する流動促進部を設けてなる第1のステップと、
溶融した樹脂を前記補助空間部に前記注入孔を介して注入する第2のステップと、
前記樹脂を前記複数の成形空間部各々に前記補助空間部を介して注入する第3のステップとを備えることを特徴とする射出成形による樹脂成形品の生産方法。
【請求項2】対向配置した雄金型と雌金型との間の空間部に、溶融した樹脂を注入孔を介して注入し、該樹脂を固化させて成形品を形成する、射出成形による樹脂成形品の生産方法であって、
前記空間部を、前記成形品の外形に適合させて複数並設した成形空間部と、該複数の成形空間部及び前記注入孔に連通するもので前記複数の成形空間部の全周を囲むと共に、複数の成形空間部の相互間に配置される補助空間部とから構成し、かつ、前記補助空間部には、該補助空間部の厚みを減らすことにより該補助空間部内における前記樹脂の流動を規制する流動規制部を設けてなる第1のステップと、
溶融した樹脂を前記補助空間部に前記注入孔を介して注入する第2のステップと、
前記樹脂を前記複数の成形空間部各々に前記補助空間部を介して注入する第3のステップとを備えることを特徴とする射出成形による樹脂成形品の生産方法。
【請求項3】前記第3のステップの後、前記補助空間部内に突出しピンを挿入し、前記成形空間部内及び前記補助空間部内において固化した樹脂を離型する第4のステップを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形による樹脂成形品の生産方法。」

3.当事者の主張
(1)請求人の主張
請求人は、「特許第3044027号の明細書の特許請求の範囲請求項1〜3に記載の発明の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その証拠方法として下記の甲第1号証ないし甲第8号証を提出しているところ、その理由の概略は以下のとおりである。
1)無効理由I
先の訂正審判請求(訂正2004-39153)に基づく訂正は、特許法第126条第1項ただし書の規定に違反してされたものであるから、その特許は、同法第123条第1項第8号に該当し、無効とすべきである。
2)無効理由II
先の訂正審判請求(訂正2004-39153)に基づく訂正は、特許法第126条第4項の規定に違反してされたものであるから、その特許は、同法第123条第1項第8号に該当し、無効とすべきである。

甲第1号証:訂正2004-39153の特許審決公報
甲第2号証:特開平4-189117号公報
甲第3号証:「射出成形用金型」21〜22頁(株式会社プラスチックス・エージ、昭和54年5月10日第3版発行)
甲第4号証:森隆著「モールダーのための射出成形品の設計-射出成形材料・射出成形機・射出金型・後加工-」58〜61頁 (株式会社三光出版社、平成1年12月20日発行)
甲第5号証:特公平6-61791号公報
甲第6号証:特開平8-164542号公報
甲第7号証:「射出金型構造解説と金型設計実用講座 図面による射出金型構造・金型実例の詳細解説と金型設計の基礎、設計上の留意点及び金型設計の実際(設計事例を中心に)」48〜51,92〜93,136〜137頁(プラスチック工業技術研究会、’84.5.23発行)
甲第8号証:「射出成形機」D-17頁(日精樹脂工業(株)訓練課、昭和52年9月25日改訂第2版発行)

(2)被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めている。

4.当審の判断
審判請求人の主張する無効理由Iは、先の訂正審判請求に基づく訂正後の請求項1に係る発明は、甲第2〜8号証から進歩性を有するものとはいえないので、先の訂正は、特許法126条第1項ただし書に定めるいずれの訂正目的にも該当せず、特許法第126条第1項ただし書の規定に違反してされたものであるというものである。
また、無効理由IIは、先の訂正審判請求に基づく訂正後の請求項1に係る発明は、甲第2〜8号証から特許性を有するものとはいえないので、先の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるから、特許法第126条第4項の規定に違反してされたものであるというものである。

しかし、審判請求人は、訂正後の発明の進歩性の有無と特許法第126条第1項又は第4項に定められた訂正要件との関係について独自の主張をするのみで、その根拠を示していない。
そして、請求項1についての訂正は、訂正前の請求項1を削除し、訂正前の請求項3に記載された発明のうち請求項2を引用して記載した部分を新たに請求項1とするものであるから、該訂正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。
したがって、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正が特許法第126条第1項ただし書又は第4項の規定に違反してされたものとすることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件請求項1〜3に係る発明の特許を無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-03 
結審通知日 2006-03-09 
審決日 2006-03-22 
出願番号 特願平10-369130
審決分類 P 1 113・ 831- Y (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 友也  
特許庁審判長 松井 佳章
特許庁審判官 野村 康秀
川端 康之
登録日 2000-03-10 
登録番号 特許第3044027号(P3044027)
発明の名称 射出成形による樹脂成形品の生産方法  
代理人 浜田 治雄  
代理人 村田 幹雄  
代理人 広川 浩司  

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