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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1135902
審判番号 不服2004-13192  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-06-25 
確定日 2006-05-11 
事件の表示 平成10年特許願第 90239号「永久磁石埋め込みモータ」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 9月25日出願公開、特開平10-257733〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年6月7日に出願した特願平7-140802号の一部を平成10年4月2日に新たな特許出願としたものであって、「永久磁石埋め込みモータ」に関するものと認められる。

2.原査定の理由
以下の理由1及び理由2は、平成16年4月12日付手続補正書によっても依然として解消されていない。

(理由1)
平成15年3月13日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。

当該補正は、請求項1、段落0010、0014、0020、0021、0023、0028及び図1を、原出願(特願平7-140802号)の出願当初明細書又は図面に記載された「永久磁石の両端部がロータ表面に対し近接する位置で先端が細められ」たものとするための補正と認められる。一方、本願の出願当初明細書又は図面に記載されたものは、例えば請求項1、段落0010、0014、0020、0021、0023、0028及び図1に記載されているように、「永久磁石のロータ回転時にステータ側からの磁束をロータ内部に導く側の端部を先細状に形成した」もの、あるいは、「ロータ回転時にステータ5側からの磁束をロータ3内部に導く側の端部、すなわちロータ回転方向Rの上手側の端部」を先細状に形成したものであって、両端部を先細状にすることは記載も示唆もされていない。また、当業者であれば、ロータ回転時にステータ側からの磁束をロータ内部に導く側の端部を先細状にすることに代えて両端部を先細状にすることが明らかであって、当初明細書又は図面に記載されているのと同然であると理解する合理的な理由を見いだすこともできない。
したがって、当該補正は本願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められない。

(理由2)
平成15年7月23日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。

上述の(理由1)と同様の理由により、当該補正後の請求項1及び段落0010は、出願当初明細書等に記載した事項の範囲を超える内容を含むと認められるから、当該補正は本願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められない。

3.当審の判断
(1)請求項1に対する補正について
平成16年4月12日付の手続補正書によって補正された本願明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載は次とおりである。

「高透磁率材からなるロータ本体に、ロータ円周方向にS極、N極が交互となるように複数の永久磁石を埋設して、ステータの回転磁界と永久磁石の磁界との関係で発生するマグネットトルクと、前記回転磁界による磁路がロータ本体に形成されることにより発生するリラクタンストルクとの合成トルクを利用する永久磁石埋め込みモータにおいて、上記永久磁石はロータ半径方向に間隔をおいて1極当り内外2層に分割するとともに、各永久磁石の端部がロータ表面に対して直交するように近接させて埋設し、かつステータ側のティースと対向した位置関係にある場合でも、ステータ側からの磁束をロータ内部にスムースに導けるように内外層の永久磁石における対向する端部の対向面を先端が細められた形状に形成した永久磁石埋め込みモータ。」

ところで、本願の出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1(以下「出願当初の請求項1」という)には「永久磁石のロータ回転時にステータ側からの磁束をロータ内部に導く側の端部を先細状に形成した」と記載され、また、段落【0020】には、「・・・外周側の永久磁石8a、・・・及び内周側の永久磁石8b、・・・はいずれも、ロータの求心方向へ凸形をなすほぼ円弧形状に形成され、2層関係にある外周側の永久磁石8aと内周側の永久磁石8bとは並行するように配置され、両者の間隔はロータ回転時にステータ5側からの磁束をロータ3内部に導く側の端部、すなわちロータ回転方向Rの上手側の端部9a、9bを除いてほぼ一定となっている。」と記載されている。これらの記載事項並びに本願の出願当初の図1を参照すると、出願当初の請求項1における「永久磁石のロータ回転時にステータ側からの磁束をロータ内部に導く側の端部を先細状に形成した」との記載は、「ロータ回転方向Rの上手側の端部」のみが先細状に形成されることを意味していると解することができる。
一方、これに対し、上記手続補正後の請求項1における「ステータ側のティースと対向した位置関係にある場合でも、ステータ側からの磁束をロータ内部にスムースに導けるように内外層の永久磁石における対向する端部の対向面を先端が細められた形状に形成した」との記載は、ステータ側からの磁束をロータ内部にスムースに導けるのであれば、細める形状とする端部の位置を特定しないことを意味するものと解することができる。
しかし、本願の出願当初の明細書又は図面には、「ロータ回転方向Rの上手側の端部」以外の端部を先細状に形成することについては、何らの記載も示唆もされていない。
したがって、平成16年4月12日付の手続補正書による請求項1に対してなされた補正によっても、原査定の拒絶の理由は解消していない。

なお、審判請求人は、上記手続補正後の請求項1に対して、審判請求書において、永久磁石のローターの回転方向Rの上手側(上流側)端部が先細状に形成される場合と、永久磁石のローターの回転方向Rの下手側(下流側)端部が先細状に形成される場合と、ロータ回転方向Rの上手側と下手側の両端部(上下流の両端部)が先細状に形成される場合とは、何れも物理学的には等価であり、何れの場合も、ステータ側のティースが永久磁石の端部と対向した位置関係にある場合にも、ロータ回転時に磁路Pa上を流れるステータ側からの磁束をロータ内部にスムースに導くことができるとの作用効果を奏するので、上記手続補正後の請求項1の「ステータ側のティースと対向した位置関係にある場合でも、ステータ側からの磁束をロータ内部にスムースに導けるように内外層の永久磁石における対向する端部の対向面を先端が細められた形状に形成した」という記載事項は、本願の出願当初の明細書又は図面に記載された事項から、自明に導かれる範囲の事項である旨の主張を行っている。
しかし、本願の出願当初の明細書又は図面の記載には、永久磁石のローターの回転方向Rの上手側端部が先細状に形成される場合と、永久磁石のローターの回転方向Rの下手側端部が先細状に形成される場合と、ロータ回転方向Rの上手側と下手側の両端部が先細状に形成される場合との、3つの場合における各々の磁束の流れについて記載も示唆もされていないので、上記3つの場合が物理学的に等価であることが、本願の出願当初の明細書又は図面の記載から自明であるとはいえない。したがって、出願人の上記主張を採用することはできない。

(2)段落【0010】、【0014】、【0021】、【0023】、及
び【0028】に対する補正について
平成16年4月12日付の手続補正書による補正により、本願の出願当初の明細書の段落【0010】、【0014】、【0021】、【0023】、及び【0028】には、以下のような補正がなされた。

ア 段落【0010】
「永久磁石のロータ回転時にステータ側からの磁束をロータ内部に導く側の端部を先細状に形成した」との記載が、「ステータ側のティースと対向した位置関係にある場合でも、ステータ側からの磁束をロータ内部にスムースに導けるように内外層の永久磁石における対向する端部の対向面を先端が細められた形状に形成した」との記載に変更。

イ 段落【0014】
「すなわち、上記永久磁石のロータ回転時にステータ側からの磁束をロータ内部に導く側の端部がロータ表面に対し近接する位置で先端が細められて、ロータ表面に対しほぼ直交するように埋設されてなることから、ロータの回転位置が図5に示すような位置にある場合にも、リラクタンストルク発生に有効に作用する磁路Paの磁束密度を高く維持することができる。」との記載を「すなわち、ロータの回転位置が図4に示すような位置にある場合にも、リラクタンストルク発生に有効に作用する磁路Paの磁束密度を高く維持することができる。」との記載に変更。

ウ 段落【0021】
「永久磁石8a、8bのロータ回転方向Rの上手側の端部9a、9bは、ロータ表面に近接する位置で細められて、夫々がロータ表面に対しほぼ直交するように配設されている。」との記載を「永久磁石8a、8bの端部9a、9bは、ロータ表面に近接する位置で細められて、夫々がロータ表面に対しほぼ直交するように配設されている。」との記載に変更。

エ 段落【0023】
「ロータ回転方向Rの上手側の端部9a、9bが細められた内外の永久磁石8b、8aは、」との記載を「端部9a、9bが細められた内外の永久磁石8b、8aは、」との記載に変更。

オ 段落【0028】
「永久磁石8a、8bのロータ回転方向Rの上手側の端部の側面を切欠いて、先端を細めているが、」との記載を「永久磁石8a、8bの端部の側面を切欠いて、先端を細めているが、」との記載に変更。

そして、上記「3.(1)」で述べたと同じ理由から、上記各補正は先細状に形成される「端部」の対象を広げるものであり、且つ、先細状に形成される「端部」の対象を広げた発明によって奏される作用効果を含む記載となっているので、平成16年4月12日付の手続補正書による上記各段落に対してなされた補正についてみても、原査定の拒絶の理由を解消するものとなっていない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の明細書又は図面についてした補正は、特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-08 
結審通知日 2006-03-14 
審決日 2006-03-27 
出願番号 特願平10-90239
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山村 和人  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 高木 進
高橋 学
発明の名称 永久磁石埋め込みモータ  
代理人 石原 勝  
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