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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) H04N
管理番号 1136741
審判番号 無効2003-35324  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2006-07-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-08-08 
確定日 2006-03-13 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3093286号発明「フォトブース及び撮影方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3093286号の請求項1、3、4、6に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
出願日 平成10年5月6日(優先権主張平成9年5月9日、平成9年6月25日、平成9年7月29日、日本国)
(特願平10-545485号)
特許査定 平成12年7月18日
登録 平成12年7月28日
(特許第3093286号)
異議申し立て 平成13年4月2日
訂正請求 平成13年10月9日
異議決定 平成13年10月11日
無効審判請求 平成15年8月8日
(無効2003-35324号)
答弁書 平成15年10月27日
訂正請求 平成15年10月27日
弁駁書 平成16年1月26日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成16年3月11日
口頭審理陳述要領書(被請求人)平成16年3月11日
口頭審理 平成16年3月11日
上申書(請求人) 平成16年3月23日
上申書(被請求人) 平成16年3月23日
上申書(請求人) 平成16年4月19日

第2 当事者の求めた審判
1.請求人の主張
審判請求人は、審判請求書において、特許第3093286号の明細書の請求項1,3,4及び6に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めることを請求の主旨とし、本件発明1,3,4,6の特許を無効とすべき理由として、以下、次のように主張する。
(1)無効理由1
本件発明1,3,4及び6に係る特許発明は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、これらの特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
そして、請求人は、次の証拠方法を提出している。
甲第1号証:特表平4-506264号公報
甲第2号証:電子情報通信学会技術研究報告「顔画像の認識・合成処理」中川雅通他 電子情報通信学会 1996.06.21
甲第3号証:アミューズメント産業6、vol.23、no.6、1994年6月第96-97頁
甲第4号証:アミューズメント通信「ゲームマシン」no.543、1997年6月15日
甲第5号証:特開平7-87430号公報
甲第6号証:登録実用新案第3035618号公報(1997.1.8)
参考資料1:「グラフィックスとビジョン」オーム社、中嶋正之・山本正信共書、原島博監修、第116-119頁、平成8年4月
参考資料2:「テレビジョン・画像工学ハンドブック」P739、3.3効果用機器、テレビジョン学会編、オーム社、昭和55年12月30日
参考文献3:「テレビジョン・画像情報工学ハンドブック」P704、5.3.5クロマキー、テレビジョン学会編、オーム社、1990年11月30日
参考資料4:特開平7-298123号公報
参考資料5:特開平7-325932号公報
参考資料6:トリック写真実戦テクニック、土方健介、昭和57年4月28日、64-67頁
参考資料7:「C言語で学ぶ実践画像処理」オーム社、八木伸行他、平成4年8月30日、第131-133頁
参考資料8:特開平4-215390号公報
参考資料9:特開昭58-143673号公報
参考資料10:特表平7-503585号公報
参考資料11:特開平8-340521号公報
参考資料12:ディジタル写真入門、大野信外2名著、コロナ社、2000年4月10日、P118-121
参考文献13:月刊コインジャーナル、VOL20・No240、1995.12、p403
参考文献14:ゲームマシン、1997年6月15日、p12
参考文献15:Tokyoプリクラ王、1997年11月7日、p31
参考資料16:特開昭64-18389号公報
参考資料17:画像処理ハンドブック、昭晃堂、昭和62年6月、252-254頁

(2)無効理由2
本件特許の請求項1、請求項4及び請求項6に係る特許発明は、明確でなく、特許法第36条第6項第1号及び第2号の要件を満たしていないので、この特許は特許法第123条第1項第4項の規定により、無効とすべきである。

2.被請求人の主張
被請求人は、本件特許の請求項1、請求項3、請求項4及び請求項6に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に該当せず、また、請求項1、請求項4及び請求項6の記載は、同法第36条第6項第1号及び第2号の要件を満たすものである。従って、本件特許のいずれの請求項についても無効とされるべきものではなく、有効なものである旨主張する。

第3 被請求人が請求した訂正
1.訂正の内容
被請求人が請求した訂正は、以下のとおりのものである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1及び請求項3中の「表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブース」を「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブース」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1中の「前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する、追加補正部が接続された記憶部を備え」を「前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行う追加補正部とを備え」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許請求の範囲の請求項3中の「前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部を備え」を「前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記タイマーシャッタの作動により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行う追加補正部を備え」と訂正する。
(4)訂正事項d
特許請求の範囲の請求項3中の
「当該フォトブースはタイマーシャッタを備え、そのタイマーシャッタのシャッタタイミングは当該フォトブースからの音声によって使用者がタイミングを取れるフォトブースにおいて」を「当該フォトブースはタイマーシャッタを備え、そのタイマーシャッタのシャッタタイミングは当該フォトブースからの音声によって被撮影者がタイミングを取れるフォトブースにおいて 」と訂正する。
(5)訂正事項e
特許請求の範囲の請求項4中の「表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ使用者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ使用者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い」を「表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い」と訂正する。
(6)訂正事項f
特許請求の範囲の請求項4中の「前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行うことを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」を「被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った背景の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」と訂正する。
(7)訂正事項g
特許請求の範囲の請求項6中の「表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ使用者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ、フォトブースからの音声によりシャッタタイミングを知らせ、使用者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い」を「表示装置に表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ、フォトブースからの音声によりシャッタタイミングを知らせ、被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い」と訂正する。
なお、当該訂正において、「表示装置の…」なる記載が「表示装置に…」に訂正されているが、被請求人が提出した訂正請求書における「(4)訂正の趣旨(二重下線は今回の訂正個所を示す)」及び請求項6に係る発明の技術的内容からみて、当該箇所の訂正は明らかに誤りであるものと認められるから、「表示装置に…」は、「表示装置の…」の明らかな誤記といえる。
(8)訂正事項h
特許請求の範囲の請求項6中の「第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成することを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」を「第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成すると共に、前記音声によるシャッタタイミングに基づいて、被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った背景の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
(1)訂正に係る被請求人の主張
請求項1についての訂正は、特許明細書の段落番号[0061][0063][0072][0085]の記載に基づく限定をし、さらに、特許明細書の段落番号[0087]〜[0089]の記載に基づく限定をしたものであって、いずれも特許請求の範囲の減縮に該当し、かつ、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、請求項3についての訂正は、特許明細書の段落番号[0061][0063][0072][0085]の記載に基づく限定をし、さらに、特許明細書の段落番号[0061][0063]の記載に基づく限定をしたものであるから、いずれも特許請求の範囲の減縮に該当し、かつ、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、また、請求項4についての訂正は、特許明細書の段落番号[0034]の記載に基づいて明りょうでない記載を釈明をするとともに、特許明細書の段落番号[0061][0063][0072][0085]の記載に基づく限定をし、さらに、特許明細書の段落番号[0087]〜[0089]の記載に基づく限定をしたものであるから、明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮に該当し、かつ、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、そして、請求項6についての訂正は、特許明細書の段落番号[0034]の記載に基づいて明りょうでない記載を釈明をするとともに、特許明細書の段落番号[0061][0063][0072][0085]の記載に基づく限定をし、さらに、特許明細書の段落番号[0087]〜[0089]の記載に基づく限定をしたものであるから、明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮に該当し、かつ、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない旨主張している。

(2)訂正に係る請求人の主張
請求項4についての訂正は、「第2回目の被撮影者の撮影を行い」と「第2回目の撮影映像を固定する」との関係が不明であって、減縮を目的とするものとは言えず、「表示し」と「固定する」とは同時の関係にあるが明細書に基づかない訂正であり、「合成し」と「追加補正する」との時間的前後関係は明細書に基づかない訂正であり、また、請求項6についての訂正は、請求項4の訂正と同様に、「第2回目の撮影映像を固定し」と追加し、訂正するものであるから、適法な訂正でない旨主張している。

(3)当審の判断
(3-1)訂正事項a〜cについて
上記訂正事項a〜cは、特許請求の範囲の減縮に該当し、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3-2)訂正事項dについて
上記訂正事項dは、明りょうでない記載の釈明に該当し、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3-3)訂正事項e、gについて
上記訂正事項e、gは、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当し、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3-4)訂正事項fについて
訂正事項fは、「前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行うことを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」を「被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った背景の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法」とするものである。
特許明細書の段落【0063】には、「第1回目の撮影映像が終了すると第2回目の撮影画面10に移る。この第2回目の撮影画面10には、前記前景と第1回目の撮影で固定された映像とが合成されて…このように先に固定された映像を…表示画面G1上でこれから固定しようとする…第1[2]回目の撮影映像を固定するかを決定する」と記載され、「撮影」と「固定」とは区別し得る技術事項である。また、被請求人提出の上申書によれば、「固定」とは、表示装置に表示された合成画像を視認しながら映像再現手段で再現する映像を決定することによって記憶部への更なる書き換えがなくなった状態といえるから、フォトブースにおいては「撮影」と「固定」とを区別できる技術的事項であり、「第2回目の被撮影者の撮影を行い」と「第2回目の撮影映像を固定する」との関係が不明瞭であるとの請求人の主張は認められない。
また、「表示する」と「固定する」との関係に関しては「第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成して、それぞれの映像を表示装置に表示する」と共に、「被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、…追加補正を行い、」とする訂正であり、「表示する」と「固定する」との同時を関係付けるものではない。
さらに、請求人は、「合成し」と「追加補正する」との時間的前後関係について、特許明細書の段落【0088】の記載を引用しているが、当該記載箇所には、「…該画像は、第2映像処理回路30から、合成回路50へ送られ、第1回目の撮影映像と合成されて、表示される」を内容とする記載はなく、当該記載箇所をその根拠とする請求人の主張も認められない。
以上のとおりであるから、上記訂正事項fは、特許請求の範囲の減縮に該当し、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3-5)訂正事項hについて
上記訂正事項hは上記訂正事項fと同様の理由により、特許請求の範囲の減縮に該当し、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第134条第2項ただし書および第134条第5項において準用する第126条第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第4 訂正後の本件各発明
被請求人が請求した訂正は認められ、上記のとおり訂正後の明細書の記載を不備であるとする格段の事情は認められないので、平成15年10月27日付け訂正請求書による訂正後の請求項1,3,4,6に係る発明は、同請求書に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行う追加補正部とを備え、前記記憶部に記憶した2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。
【請求項3】被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースであって、かつ、当該フォトブースはタイマーシャッタを備え、そのタイマーシャッタのシャッタタイミングは当該フォトブースからの音声によって被撮影者がタイミングを取れるフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記タイマーシャッタの作動により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行う追加補正部とを備え、前記記憶部に記憶した2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。
【請求項4】表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物像だけを切り取り第2の映像処理部で記憶し、前記第1の映像処理部に記憶した映像に、第2の映像処理部に記憶した映像を上書きし、前記第1回目の被撮影者の撮影を行った映像と、第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成して、それぞれの映像を表示装置に表示すると共に、被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った背景の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法。
【請求項6】表示装置に[の]表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ、フォトブースからの音声によりシャッタタイミングを知らせ、被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物像だけを切り取り第2の映像処理部で記憶し、前記第1の映像処理部に記憶した映像に、第2の映像処理部に記憶した映像を上書きし、前記第1回目の被撮影者の撮影を行った映像と、第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成すると共に、前記音声によるシャッタタイミングに基づいて、被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った背景の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法。」(以下それぞれ「本件訂正発明1」、「本件訂正発明3」、「本件訂正発明4」、「本件訂正発明6」という。)
なお、特許請求の範囲の記載について検討しておく。
被請求人の口頭審理陳述要領書によれば、本件訂正発明1及び本件訂正発明3に係る「被撮影者が自ら動いている間」とは、被撮影者が「動いている間」及び「動いていない間」も含む概念であると陳述している。そうすると、「被撮影者が自ら動いている間」とは、被撮影者が「動いている」状態を特定したものではない。

第5 甲第1ないし6号証
1.甲第1号証
甲第1号証には、自動写真撮影装置に関し、次に掲げるアないしクの事項が記載されている。
ア 上記映像が選択された上記補助的画像に重ね合わせて可視的ディスプレイ装置上に表示されるようになされており、上記映像の補助的画像に対する位置および/あるいは大きさを使用者が調整できるようになされた使用者制御装置が設けられていることを特徴とする請求項16あるいは17による撮像装置。(特許請求の範囲18)
イ 本発明によれば写真機と自動装置とを内蔵するハウジングが設けられており、上記自動装置が作動されると、ハウジングに近接する部分に位置する被写体の少なくとも1枚の写真を写真機に撮影させ、かつプリント作成出力をもたらし、この出力により作動されて上記写真のプリントを作成するプリンターが設けられている自動的写真撮影装置において、上記写真機が記憶可能電子情報の形態における画像出力をもたらす電子画像カメラであり、上記自動装置がこの電子情報を記憶し処理するための制御手段を具備しており、上記プリンターが上記の記憶され処理された電子情報に対応するプリントを作成するようになされていることを特徴とする装置が提供される。(公報第2頁右下欄3行〜15行)
ウ 上述した自動装置は、硬貨あるいは代用硬貨(あるいはその類似物)機構、すなわち写真撮影に先立って1個あるいは複数個の硬貨(あるいは硬貨類似代用品、紙幣あるいはクレジットカードなど)の挿入により作動される機構を有する。(公報第3頁右下欄2行〜6行)
エ また制御手段は、適当なデータ記憶装置を具備する適宜のコンピュータ装置を有する。この制御手段は、写真機により撮影されるべき画像を使用者に示し得る可視的ディスプレイ装置をも具備することが好ましい。この付属設備により、今の画像が適当でプリントされるべきか否かを判断することができる。あるいはこれに代えてもしくはこれに加えて、プリント前に例えば背景もしくは前景を変更し、大きさを調整(例えばパンないしズームにより)し、背景もしくは前景に対する画像位置を変え、あるいは光学的および/あるいは電子的変形により画像を変形(横方向を伸ばしもしくは縮めあるいは歪めて)してプリントされるべき画像を修正することもできる。(公報第3頁右下欄7行〜19行)
オ 上述した撮影装置はパスポートタイプの人物写真もしくは肖像写真、あるいは例えば人物写真を興味深い、もしくは娯楽的な背景もしくは前景あるいは補助的写真ないし装飾などを重ね合わせもしくは併べ合わせて成るおもしろい複合写真をもたらすために使用される。この補助的画像を電子的に記憶させて、撮影された写真とこの単一の、もしくは複数の補助的画像との組み合わせに相当するプリントを提供するために使用することができる。(公報第4頁左上欄16行〜24行)
カ 写真撮影帯域において撮影された写真は、所望の画像をもたらすために部分的に分離削除して、所望画像のみを使用して最終プリントを作成(前述したように電子的に付加される補助的画像と組合わせて)することもできる。この分離は任意適宜の方法で行われ得るが、上記写真撮影帯域に、あらかじめ定めた色度的性格の背景境界面を設け、色度キーフィルター装置によりカメラにより撮影された写真における被写体と背景境界面とを分離するのが好ましい。(公報第4頁右下欄21行〜5頁左上欄5行)
キ すなわちカメラで撮影されるのと同様の彼の映像がVDUスクリーン12(外部VDUスクリーンではなく)にそのまま示されるので、使用者は制御装置13を操作して鏡21を操作し、彼の映像をVDUスクリーン12の中央に合わせる。これによりカメラ20および照明27-29が自動的に作動され、彼の写真(頭部および肩部の肖像)が撮影される。その際若干のポーズをとる時間が与えられ、制御装置13の操作によりその映像ではなく、他の映像を撮影するように指示できる。このポーズ時間および撮影切迫は、VDUスクリーン12上に例えばカウントダウンする時計などの映像を表示して通告される。(公報第6頁右上欄13行〜24行)
ク 使用者の好む映像(選択により異なる複数の映像)が選択されると、このビデオ映像データが、すでに選択されている背景あるいは選択されてなければ通常の背景上に重ね合わせて制御装置23のメモリに記憶される。背景に関しては、カメラにより撮影される画像はブースの背部壁のクローマキイパネル8も背景として含まれることに留意され度い。しかしながら、この背景は周知の態様における電子的処理により使用者の肖像部分と分離削除され、選択された背景と置換えられる。(公報第6頁左下欄1行〜9行)
2.甲第2号証
甲第2号証には、新しいタイプのゲーム機の合成処理に関して次に掲げる事項が記載されている。
ア 椅子に座った利用者は、ディスプレイのハーフミラーに反射した映像を見ながら操作する。利用者の顔はハーフミラー越しに、もう1つの鏡を経由してビデオカメラに取り込まれる。この時、利用者自身に顔の上下左右の位置合わせをしてもらうために、ビデオカメラの出力映像はディスプレイにリアルタイムに映し出される。利用者はその映像を見ながら自分で、顔の位置をディスプレイにオーバレイ表示された枠内に移動する。(第8頁右欄下から22行〜下から14行)
3.甲第3号証
甲第3号証には、「ラブラブシミュレーション」についての紹介記事として、次に掲げる事項が記載されている。
二つの別々の画像の特徴を抽出し合成して新しい画像を生成するのがミソ。たとえば未来の子供の顔を表示する「ラブラブモード」の場合、まず恋人同士が自らの顔をそれぞれ、内蔵のビデオカメラで撮影してコンピューターに取り込む。(第96頁第1欄後から2行目〜第2欄6行目)
4.甲第4号証
甲第4号証には、「ネオプリントS」についての紹介記事として、次に掲げる事項が記載されている。
二回撮影し二ポーズを合成する「アレンジモード」を加えたのも特徴となっている。(左下欄「安室とシールに」の記事の欄最終段落行)
5.甲第5号証
甲第5号証には、記念撮影装置に関し、次に掲げる事項が記載されている。
また、タイマ回路14の計時動作に連動して、被撮影者の注意を促すようなインフォメーション、例えば「ディスプレイにみんな写っていますか。」とか「はい撮りますよ。チーズ。」というようなインフォメーション情報を、好ましくは音声情報として出力するようにすれば、被撮影者に撮影タイミングが正確に分かり、より確実に好みのポーズで写真を撮ることができる。(公報第3頁右欄6行〜13行)
6.甲第6号証
甲第6号証には、画像合成装置に関し、次に掲げる事項が記載されている。
ア また、12は撮影時の手順を説明するのみならず、撮影時のガイドを上記文字表示ウインドウと同期して行うための音声を出力するスピーカである。(公報第13頁18行〜19行)
イ 操作パネル2に設けられた指示手段となる図示しない撮影開始ボタンを押した後に、撮影準備が整ったことを、文字、及び音声によって案内され、引き継いで、撮影のカウントダウンが文字、音声によって行われる。(公報第13頁26行〜29行)

第6 本件各訂正発明と甲第1号証の発明との対比・検討
1.本件訂正発明1について
甲第1号証の発明は、「自動写真撮影装置」に係わるものであり、本件訂正発明1に係る「フォトブース」に一応対応する。
したがって、本件訂正発明1と甲第1号証の発明とは、次に掲げる(1)ないし(3)の事項が相当ないし一応対応する。
(1)甲第1号証の発明の「使用者」「ディスプレイ装置(VDUスクリーン)」「プリンター」「硬貨作動機構」「記憶装置」は、それぞれ本件訂正発明1の「被撮影者」「表示装置」「映像再現手段」「金銭投入スイッチ」「記憶部」に相当する。
(2)甲第1号証の発明における「ディスプレイ装置」は、カメラにより撮影されるべき画像を使用者に示し得る(前掲第5の1.甲第1号証の記載エを参照、以下同様)、換言すれば、ディスプレイ装置の表示映像を使用者自身にリアルタイムで視認させものであるから、甲第1号証の発明の「カメラ」は、本件訂正発明1における「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した」に相当する構成を備えている。
(3)甲第1号証の発明の「撮像装置」は、重ね合わせてなるおもしろい複合写真(上記甲第1号証の記載オを参照)、即ち、合成写真を得るものであるから、甲第1号証の発明は、合成映像の種類は別として、本件訂正発明1における「記憶部に記憶した撮像により得られた映像を合成回路により合成可能にする」構成を一応備えている。なお、映像を合成するために合成回路を設けることは自明の事項である。
上記対比から、本件訂正発明1と甲第1号証の発明とは、次に掲げる一致点、相違点を有する。

一致点
「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記1つのカメラにより被撮影者の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。」

相違点1
本件訂正発明1においては、カメラにより「同じ」被撮影者の「2回以上」の撮影を行い、また、2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成するのに対して、甲第1号証の発明ではそのようになされていない点。
相違点2
上記フォトブースには、本件訂正発明1においては、「記憶部に記憶した映像のうちから前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行う追加補正部」を備えているのに対して、甲第1号証の発明ではそれを備えていない点。

上記相違点1についての検討
甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証は、本件訂正発明1と同様の技術分野に関する文献であり、2回の撮影により得られた映像を合成することが記載されており、また、撮影に関し、2回とも同じ被撮影者を撮影し、トリック写真とすることは例えば、参考資料6等で周知である。
一方、甲第1号証には、少なくとも1回の撮影を行うと記載(上記甲第1号証の記載イを参照)され、2回以上の撮影を阻害する記載もない。そうすると、甲第1号証の発明において、カメラで2回以上の撮影を行い、その撮影に際し、同一の被撮影者を2回以上撮影すること、また、2回以上の撮影により得られた映像を合成することは当業者が容易になし得るものである。

上記相違点2についての検討
被請求人も認めているように画像の合成処理に際し、追加補正を行うことは引用例を挙げるまでもなく必然的な要件であること、また、最終的に合成画像をプリント出力することがフォトブースの利用目的といえるから、プリント出力すべき映像、即ち、記憶部に記憶した映像のうちから前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行うことは当業者が当然になし得ることである。

そして、これらを総合的に検討しても、当業者が容易に推考し得るものであり、また、上記相違点に基づく本件訂正発明1の効果に格別顕著なものがあるともいえない。

2.本件訂正発明3について
甲第1号証の発明は、「自動写真撮影装置」に係わるものであり、本件訂正発明3に係る「フォトブース」に一応対応する。
したがって、 本件訂正発明3と甲第1号証の発明とは、次に掲げる(1)ないし(4)の事項が相当ないし一応対応する。
(1)甲第1号証の発明の「使用者」「ディスプレイ装置(VDUスクリーン)」「プリンター」「硬貨作動機構」「記憶装置」は、それぞれ本件訂正発明3の「被撮影者」「表示装置」「映像再現手段」「金銭投入スイッチ」「記憶部」に相当する。
(2)甲第1号証の発明における「ディスプレイ装置」は、カメラにより撮影されるべき画像を使用者に示し得る(上記甲第1号証の記載エを参照)、換言すれば、ディスプレイ装置の表示映像を使用者自身にリアルタイムで視認させるものであるから、甲第1号証の発明の「カメラ」は、本件訂正発明3における「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した」に相当する構成を備えている。
(3)甲第1号証には、ポーズ時間は、VDUスクリーン12上に例えばカウントダウンする時計などの映像を表示して通告される(上記甲第1号証の記載キを参照)、即ち、タイマーシャッタ機能を有していると記載されているから、甲第1号証の発明は、音声によるかどうかは別にして、本件訂正発明3における「フォトブースはタイマーシャッタを備え、そのタイマーシャッタのシャッタタイミングは被撮影者がタイミングをとれる」に相当する構成を一応備えている。
(4)甲第1号証の発明の「撮像装置」は、重ね合わせてなるおもしろい複合写真(上記甲第1号証の記載オを参照)、即ち、合成写真を得るものであるから、甲第1号証の発明は、合成映像の種類は別として、本件訂正発明3における「記憶部に記憶した撮像により得られた映像を合成回路により合成可能にする」に相当する構成を一応備えている。
上記対比から、本件訂正発明3と甲第1号証の発明とは、次に掲げるもので一致し、下記に示す点で相違する。

一致点
「被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースであって、かつ、当該フォトブースはタイマーシャッタを備え、被撮影者がタイミングを取れるフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記1つのカメラにより被撮影者の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。」

相違点1
本件訂正発明3においては、上記1つのカメラにより、「同じ」被撮影者の「2回以上」の撮影を行い、また、2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成するのに対して、甲第1号証の発明ではそのようになされていない点。
相違点2
タイマーシャッタのシャッタタイミングは、本件訂正発明3においは、「音声によって」いるのに対して、甲第1号証の発明では、時計などの映像を表示して通告される点。
相違点3
前記フォトブースには、本件発明1においては、「記憶部に記憶した映像のうちから前記タイマーシャッタの作動により前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行う追加補正部」を備えているのに対して、甲第1号証の発明ではそれを備えていない点。

上記相違点1についての検討
甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証は、本件訂正発明3と同様の技術分野に関する文献であり、2回の撮影により得られた映像を合成することが記載されており、また、撮影に関し、2回とも同じ被撮影者を撮影し、トリック写真とすることは例えば、参考資料6等で周知である。
一方、甲第1号証には、少なくとも1回の撮影を行うと記載(上記甲第1号証の記載イを参照)され、2回以上の撮影を阻害する記載もない。そうすると、甲第1号証の発明において、カメラで2回以上の撮影を行い、その撮影に際し、同じ被撮影者を2回以上撮影すること、また、2回以上の撮影により得られた映像を合成することは当業者が容易になし得るものである。

上記相違点2についての検討
甲第5号証及び甲第6号証には、被撮影者の撮影タイミングについて音声によって案内するものが記載されており、甲第1号証におけるポーズ時間の通告として甲第5号証及び甲第6号証に記載されている音声による通告とすることは当業者が容易になし得ることである。

上記相違点3についての検討
被請求人も認めているように画像の合成処理に際し、追加補正を行うことは引用例を挙げるまでもなく必然的な要件であること、また、最終的に合成画像をプリント出力することがフォトブースの利用目的といえるから、プリント出力すべき映像、即ち、記憶部に記憶した映像のうちから前記タイマーシャッタの作動により前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行うことは当業者が当然になし得ることである。
そして、これらを総合的に検討しても、当業者が容易に推考し得るものであり、また、上記相違点に基づく本件訂正発明3の効果に格別顕著なものがあるともいえない。

3.本件訂正発明4について
甲第1号証の発明は、「自動写真撮影装置」に係わるものであるが、本件訂正発明4に係る「フォトブースにおける撮影方法」を対象としているといえる。
したがって、本件訂正発明4と甲第1号証の発明とは、次に掲げる(1)ないし(5)の事項が相当ないし一応対応する。
(1)甲第1号証の「表示装置」「被撮影者」「記憶装置」は、それぞれ本件訂正発明の「ディスプレイ装置(VDUスクリーン)」「使用者」「記憶部」に相当する。
(2)甲第1号証には、カメラで撮影されるのと同様の彼の映像がVDUスクリーン12にそのまま示される(上記甲第1号証の記載キを参照)、換言すれば、リアルタイムで視認されると記載されているから、甲第1号証の発明の「カメラ」は、本件訂正発明4における「表示装置に表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により被撮影者の撮影を行う」に相当する構成を備えている。
(3)甲第1号証には、写真撮影帯域において撮影された写真は、所望の画像をもたらすために部分的に分離削除して、所望画像のみを使用して最終プリントを作成(前述したように電子的に付加される補助画像と組合わせて)することもでき、この分離は上記写真撮影帯域にあらかじめ定めた色度的性格の背景境界面を設け、色度フィルター装置によりカメラにより撮影された写真における被写体と背景境界面とを分離、換言すれば、撮影された写真における被写体(人物)だけを切り取る(上記甲第1号証の記載オ、カ、クを参照)と記載されているから、甲第1号証の発明は、被撮影者の撮影映像と合成する映像の種類は別として、本件訂正発明4における「被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物像だけを切り取り、第1の映像に上書きし、前記第1の映像と被撮影者の撮影を行った映像とを合成する」に相当する構成を一応備えている。
(4)甲第1号証には、映像が補助的画像に重ね合わせてディスプレイ装置上に表示する(上記甲第1号証の記載アを参照)と記載されているから、甲第1号証の発明の「ディスプレイ装置」は、合成表示する映像の種類は別にして、本件訂正発明における「第1の映像と、被撮影者の撮影を行った映像とを合成して、それぞれの映像を表示する」に相当する構成を一応備えている。
(5)甲第1号証には、撮影されるべき画像を使用者に示し得る可視的ディスプレイ装置をも具備し、この付属設備により、今の画像が適当でプリントされるべきか否かを判断することができる(上記甲第1号証の記載エを参照)と記載されている。
一方、「固定」とは、表示装置に表示された合成画像を視認しながら映像再現手段で再現する映像を決定することによって記憶部への更なる書き換えがなくなった状態である(被請求人提出の上申書参照)。そうすると、甲第1号証の発明においても、プリントすべき画像が決定されると当該画像は書き換えられない状態になるのは明らかであるから、甲第1号証の発明は、本件訂正発明4の「被撮影者が撮影映像を固定し」に相当する構成を備えている。
上記対比から、本件訂正発明4と甲第1号証の発明とは、次に掲げるもので一致し、下記に示す点で相違する。

一致点
「表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により、カメラで被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物像だけを切り取り、第1の映像に上書きし、前記第1の映像と、被撮影者の撮影を行った映像とを合成して、それぞれの映像を表示装置に表示すると共に、被撮影者が撮影映像を固定することを特徴とするフォトブースにおける撮影方法。」

相違点1
被撮影者の撮影に関し、本件訂正発明4では、同一のカメラで「第1回目」と「第2回目」の撮影を行っているのに対して、甲第1号証ではそのようにしていない点。
相違点2
第1の映像が、本件訂正発明4においては、第1の映像処理部に記憶した第1回目の被撮影者の撮影映像であるのに対して、甲第1号証の発明では、予め記憶されている補助的画像である点。
相違点3
本件訂正発明4においては、(第2回目の)被撮影者の撮影映像から人物映像だけを切り取り映像処理部で記憶しているのに対して、甲第1号証の発明には、そのことが明記されていない点。
相違点4
本件訂正発明4では、「映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った背景の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにする」構成であるのに対して、甲第1号証の発明ではそのような構成を備えていない点。

上記相違点1についての検討
甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証は、本件訂正発明4と同様の技術分野に関する文献であり、2回の撮影により得られた映像を合成することが記載されており、また、2回の撮影に関し、被撮影者を同一とするトリック撮影は例えば、参考資料6等で周知である。
一方、甲第1号証には、少なくとも1回の撮影を行うと記載(上記甲第1号証の記載イを参照)され、2回の撮影を阻害する記載もない。そうすると、甲第1号証の発明において、カメラで2回の撮影を行い、被撮影者を2回撮影することは当業者が容易になし得るものである。
なお、最初の撮影を第1回目とし、後の撮影を第2回目とすることは2回の撮影映像を区別するための便宜的な取り決めにすぎないものである。

上記相違点2についての検討
上記相違点1で検討したように本件訂正発明4が、被撮影者を2回撮影し、合成する構成を採用したことに伴い、その合成すべき映像として甲第1号証の発明の補助的映像に代えてカメラで撮影し、記憶した映像とすることは当業者が当然になし得る設計的事項である。

上記相違点3についての検討
一般にクロマキー合成において、置換処理を行うために画像を記憶装置に一旦記憶すること、その際、上書きすべき切り抜き画像データを記憶することは周知の技術事項(必要なら、参考文献3,5,16,17等参照)であるから、甲第1号証の発明において、(第2回目の)被撮影者の映像について人物像のみを記憶装置に一旦記憶させることは当業者が適宜なし得る設計的事項である。

上記相違点4についての検討
被請求人も認めているように画像の合成処理に際し、追加補正を行うことは引用例を挙げるまでもなく必然的な要件であること、また、最終的に合成画像をプリント出力することがフォトブースの利用目的といえるから、甲第1号証において、プリント出力すべき画像、即ち、映像処理部の記憶部へ更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行うことは当業者が当然になし得ることである。
なお、追加補正の処理時間をどの程度にするかは追加補正の処理方法に伴う設計的事項である。

そして、これらを総合的に検討しても、当業者が容易に推考し得るものであり、上記相違点に基づく本件訂正発明4の効果に格別顕著なものがあるともいえない。

4.本件訂正発明6について
甲第1号証の発明は、「自動写真撮影装置」に係わるものであるが、本件訂正発明6に係る「フォトブースにおける撮影方法」を対象としているといえる。
したがって、 本件訂正発明6と甲第1号証の発明とは、次に掲げる(1)ないし(4)の事項が相当ないし一応対応する。
(1)甲第1号証の「表示装置」「被撮影者」「記憶装置」は、それぞれ本件訂正発明6の「ディスプレイ装置(VDUスクリーン)」「使用者」「映像処理部」に相当する。
(2)甲第1号証には、カメラで撮影されるのと同様の彼の映像がVDUスクリーン12にそのまま示される(上記甲第1号証の記載キを参照)、即ち、リアルタイムで視認されると記載されているから、甲第1号証の発明の「カメラ」は、本件訂正発明6における「表示装置に表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により被撮影者の撮影を行う」に相当する構成を備えている。
(3)甲第1号証には、ポーズ時間は、VDUスクリーン12上に例えばカウントダウンする時計などの映像を表示して通告される(上記甲第1号証の記載キを参照)、即ち、タイマーシャッタ機構を有していると記載されているから、甲第1号証の発明は、音声によるかどうかは別にして、本件訂正発明6における「フォトブースからのシャッタタイミングを知らせ」に対応する構成を一応備えている。
(4)甲第1号証には、写真撮影帯域において撮影された写真は、所望の画像をもたらすために部分的に分離削除して、所望画像のみを使用して最終プリントを作成(前述したように電子的に付加される補助画像と組合わせて)することもでき、この分離は上記写真撮影帯域にあらかじめ定めた色度的性格の背景境界面を設け、色度フィルター装置によりカメラにより撮影された写真における被写体と背景境界面とを分離、換言すれば、撮影された写真における被写体(人物)だけを切り取る(上記甲第1号証の記載オ、カ、クを参照)と記載されているから、甲第1号証の発明は、合成映像の種類は別として、本件訂正発明4における「被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物像だけを切り取り、第1の映像に上書きし、前記第1の映像と被撮影者の撮影を行った映像とを合成する」に相当する構成を一応備えている。
(5)甲第1号証には、撮影されるべき画像を使用者に示し得る可視的ディスプレイ装置をも具備し、この付属設備により、今の画像が適当でプリントされるべきか否かを判断することができる(上記甲第1号証の記載エを参照)と記載されている。
一方、「固定」とは、表示装置に表示された合成画像を視認しながら映像再現手段で再現する映像を決定することによって記憶部への更なる書き換えがなくなった状態である(被請求人提出の上申書参照)。そうすると、甲第1号証の発明においても、プリントすべき画像が決定されると当該画像は書き換えられない状態になるのは明らかであるから、甲第1号証の発明は、本件訂正発明4の「被撮影者が撮影映像を固定し」に相当する構成を備えている。
上記対比から、本件訂正発明6と甲第1号証の発明とは、次に掲げるもので一致し、下記に示す点で相違する。

一致点
「表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ、シャッタタイミングを知らせ、被撮影者の操作により、カメラで被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物映像だけを切り取り、第1の映像に、上書きし、前記第1の映像と、被撮影者の撮影を行った映像とを合成すると共に、前記シャッタタイミングに基づいて、被撮影者が撮影映像を固定することを特徴とするフォトブースにおける撮影方法。」

相違点1
被撮影者の撮影に関して、本件訂正発明6においては、同一のカメラにより、「第1回目」と「第2回目」の撮影を行うのに対して、甲第1号証の発明ではそのようになされていない点。
相違点2
本件訂正発明6では、上記第1の映像は、カメラで撮影された被撮影者の第1回目の撮影映像を一旦記憶した映像処理部の映像であるのに対して、甲第1号証では、補助的画像である点。
相違点3
タイマーシャッタのシャッタタイミングは、本件訂正発明6においては、「音声によって知らせて」いるのに対して、甲第1号証の発明では、時計などの映像を表示して通告される点。
相違点4
本件訂正発明6においては、(第2回目の)撮影映像から人物映像だけを切り取り第2の映像処理部で記憶するのに対して、甲第1号証の発明では、そのことが明記されていない点。
相違点5
本件訂正発明6においては、「映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った背景の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにしているのに対して、甲第1号証の発明ではそのようにされていない点。

上記相違点1についての検討
甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証は、本件訂正発明6と同様の技術分野に関する文献であり、2回の撮影により得られた映像を合成することが記載されており、また、2回の撮影に関し、被撮影者を同一とするトリック撮影は例えば、参考資料6等で周知である。
一方、甲第1号証には、少なくとも1回の撮影を行うと記載(上記甲第1号証の記載イを参照)され、2回の撮影を阻害する記載もない。そうすると、甲第1号証の発明において、カメラで2回の撮影を行い、被撮影者を2回撮影することは当業者が容易になし得るものである。
なお、最初の撮影を第1回目とし、後の撮影を第2回目とすることは2回の撮影映像を区別するための便宜的な取り決めにすぎないものである。

上記相違点2についての検討
上記相違点1で検討したように本件訂正発明6が、被撮影者を2回撮影し、合成する構成を採用したことにより、その合成に際し、甲第1号証の発明の補助的映像に代えてカメラで撮影し、記憶した映像とすることは当業者が当然になし得る設計的事項である。

上記相違点3についての検討
甲第5号証及び甲第6号証には、被撮影者の撮影タイミングについて音声によって案内するものが記載されており、甲第1号証におけるポーズ時間の通告として甲第5号証及び甲第6号証に記載されている音声による通告とすることは当業者が容易になし得ることである。

上記相違点4についての検討
一般にクロマキー合成において、置換処理を行うために画像を記憶装置に一旦記憶すること、その際、上書きすべき切り抜き画像データを記憶することは周知の技術的事項(必要なら、参考文献3,5,16,17等参照)であるから、甲第1号証の発明において、(第2回目の)被撮影者の映像について人物像のみを記憶装置に一旦記憶させることは当業者が適宜なし得る設計的事項である。

上記相違点5についての検討
被請求人も認めているように画像の合成処理に際し、追加補正を行うことは引用例を挙げるまでもなく必然的な要件であること、また、最終的に合成画像をプリント出力することがフォトブースの利用目的といえるから、プリント出力すべき画像、即ち、映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行うことは当業者が当然になし得ることである。
なお、追加補正の処理時間をどの程度にするかは追加補正の処理方法に伴う設計的事項である。

そして、これらを総合的に検討しても、当業者が容易に推考し得るものであり、上記相違点に基づく本件訂正発明6の効果に格別顕著なものがあるともいえない。

第6 被請求人の主張の検討
被請求人は、平成16年3月11日付口頭審理陳述要領書において、上記無効理由1に対して、概略次のとおり主張している。
本審決で係争対象となっている特許発明では「表示画面上に表示される映像については、敢えて追加補正を行わずに表示し、他方再現(シール印刷)する映像に対しては追加補正を行った後に印刷する」ように構成されています。これは、シール上でアミューズメント性に富んだ映像を再現することを目的としたフォトブースでは、顧客を満足させる観点から要求される事項に鑑みると、「被撮影者(以下、「使用者」と称することもある)が最終的に獲得する再現映像がシール上できれいな状態で表示することは副次的な要素にすぎない」ことを意味し、それゆえに上記係争対象特許発明では「複数回撮影を行った後に、そのうちの特定の映像(換言すると、使用者がシール印刷に採用することを決定した映像)に対して追加補正を行って当該特定映像をきれいな状態として、最終的にかかる追加補正された映像を印刷することによって、表示画面上の映像にぶれが生じていたとしても、シール上に印刷された映像は、きれいな状態で補正されたものとなって再現される」。
言い換えれば、表示画面上に表示される全ての映像に対して厳密又は精密な補正を行おうとすると「リアルタイムで補正を行って表示する必要が生じ、これを達成するためには、高速で映像処理を行うことが余儀なくされる」、これに対し、本件係争対象特許発明では「使用者が印刷により再現したい映像として採用したもの、即ち記憶部への更なる書き換えがなくなった時点の映像を追加補正の対象としているので、かかる追加補正を行うのに十分な映像処理時間を確保でき、その結果簡略化した計算処理であっても違和感のないきれいな再現映像を提供できる」。

そこで、上記被請求人の主張について検討する。
1.本件訂正発明1及び本件訂正発明3について
本件訂正発明1及び本件訂正発明3に係る構成を検討すると、表示装置の表示映像に関し、「表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ」と規定されているにすぎず、被請求人が主張する「表示画面上に表示される映像に対して高速で映像処理を行うこと」即ち、後での追加補正を必要とする映像処理(実施例ではリアルタイムでの切り取り処理を行い、表示装置に表示させる)を限定するものはないので、結局、被請求人の主張は、特許請求の範囲の記載に基づかない主張であり、採用することはできない。

2.本件訂正発明4および本件訂正発明6について
本件訂正発明4及び本件訂正発明6に係る構成を検討すると、表示装置の表示映像に関し、「第2回目の被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物像だけを切り取り第2の映像処理部で記憶し、前記第1の映像処理部に記憶した映像に、第2の映像処理部に記憶した映像を上書きし、前記第1回目の被撮影者の撮影を行った映像と、第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成して、それぞれの映像を表示装置に表示すると共に、被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、」と記載されているにすぎず(固定とは、被撮影者が表示装置に表示された合成画像を視認して映像再現手段で再現する映像を決定するもの(被請求人の口頭審理陳述要領書))、後での追加補正を必要とする映像処理(実施例では、リアルタイムでの切り取り処理を行い、表示装置に表示させる)を限定するものではないので、結局、被請求人の主張は、特許請求の範囲の記載に基づかない主張であり、採用することができない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、他の無効理由について検討するまでもなく、本件訂正発明1,3,4,6は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件訂正発明1,3,4,6は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号の規定に該当するから、その特許は無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
フォトブース及び撮影方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記被撮影者により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行う追加補正部とを備え、前記記憶部に記憶した2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。
【請求項2】表示装置の表示映像を被撮影者に視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷に再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部を備え、前記記憶部に記憶した2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能にし、かつ、前記映像再現手段は、前記金銭投入スイッチでカウントされた金額に応じて決定される撮影映像の印刷領域の印刷に必要な長さに、被印刷物を適宜切断して、印刷枚数として所望の印刷枚数を払い出すことを特徴とするフォトブース。
【請求項3】被撮影者が自ら動いている間、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ前記被撮影者を撮影可能に配置した1つのカメラと、前記表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースであって、かつ、当該フォトブースはタイマーシャッタを備え、そのタイマーシャッタのシャッタタイミングは当該フォトブースからの音声によって被撮影者がタイミングを取れるフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記1つのカメラにより同じ被撮影者の2回以上の撮影を行い、前記1つのカメラにより撮影した映像を一旦記憶する記憶部と、この記憶部に記憶した映像のうちから前記タイマーシャッタの作動により前記映像再現手段で再現することが決定された映像に対して追加補正を行う追加補正部とを備え、前記記憶部に記憶した2回以上の撮影により得られた映像を合成回路により合成可能に構成することを特徴とするフォトブース。
【請求項4】表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物映像だけを切り取り第2の映像処理部で記憶し、前記第1の映像処理部に記憶した映像に、第2の映像処理部に記憶した映像を上書きし、前記第1回目の被撮影者の撮影を行った映像と、第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成して、それぞれの映像を表示装置に表示すると共に、被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った背景の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法。
【請求項5】前記追加補正は、前記合成した場合にコントラストでの違和感が生じることを低減する補正を行うものである請求項4記載のフォトブースにおける撮影方法。
【請求項6】表示装置に表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ被撮影者の操作によりカメラで第1回目の被撮影者の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に、表示装置の表示映像を被撮影者自身にリアルタイムで視認させつつ、フォトブースからの音声によりシャッタタイミングを知らせ、被撮影者の操作により、前記第1回目の撮影を行ったカメラと同一のカメラで第2回目の被撮影者の撮影を行い、撮影した映像から人物映像だけを切り取り第2の映像処理部で記憶し、前記第1の映像処理部に記憶した映像に、第2の映像処理部に記憶した映像を上書きし、前記第1回目の被撮影者の撮影を行った映像と、第2回目の被撮影者の撮影を行った映像とを合成すると共に、前記音声によるシャッタタイミングに基づいて、被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、前記第2の映像処理部の記憶部への更なる書き換えがなくなってから、当該記憶部に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行い、それによって先に行った背景の切り取りの処理時間に比べて長い処理時間を取れるようにすることを特徴とするフォトブースにおける撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自らの顔などを、内蔵するカメラで撮影し、この撮影した映像と予め用意された前景や背景或は前記カメラで撮影した映像との合成映像をシール紙やスタンプ面あるいはレーザ加工表面に表現するフォトブース及びフォトブースにおける写真撮影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のフォトブースとしては、国際公開番号WO90/10251(特表平4-506264号)が知られている。
【0003】
この発明は、硬貨あるい代用硬貨の挿入により作動し、そのフォトブースに備えられたカメラで撮影された映像と、背景又は前景あるいは補助的写真と重ね合わせた複合写真を得ることが開示されている。
【0004】
前記プリンタのプリントは、プリント紙上にデジタル画像データがカラードットで表現される。
【0005】
上述した娯楽的なフォトブースは、そのプリント紙をハーフカットされたシール紙を採用し、前記背景又は前景あるいは補助的写真に有名なキャラクタや遊び心を擽るような面白いフレームとすることにより、若者を中心に近年人気が広がっている。
【0006】
一方で、このような人気の上昇に伴い、様々なフォトブースが市場に供給されているが、それぞれのフォトブース間での差別化を取るために各供給メーカは上述したようなフォトブースに独自のアイデアを盛り込みオリジナリテイ性を追求するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記課題に鑑み、上述したフォトブースに全く新しいアイデアを盛り込むことを目的としている。
【0008】
以上説明したように、従来から知られているフォトブースに対し、他のフォトブースとは差別化が行える全く新しいフォトブースを提供するために、本発明では、以下のような構成を採用している。
【0009】
すなわち、本発明は、カメラと、このカメラからの撮影映像を表示する表示装置と、当該表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースにおいて、前記フォトブースには、前記カメラで2回以上撮影した映像をそれぞれ別個に記憶する映像処理部を備え、当該映像処理部で記憶した映像を合成する合成回路とを有することを特徴とする。
【0010】
つまり、この発明では、上述した差別化を図れるフォトブースを提供するため、以下のような使用目的に合致したフォトブースを提供しようとするものである。具体的には、証明写真撮影機としてよりもアミューズメントとしての様相が大きくなって来た最近のフォトブースでは、従来の証明写真と利用されるものと異なり複数人で撮影する場合が多く、前記カメラで撮影できる狭い撮影領域に複数人が写るように立って撮影を行うことがある。しかしながら、全ての人が撮影の瞬間に自分の好みのポーズが撮れていることは希で、再度金銭を投入して撮り直しを行うか、ある程度のポーズで我慢するしかなかった。フォトブースによっては数回の撮り直しを行えるものもあるが、数回内で全ての人が好みのポーズを取ることは難しい。この難しい理由としては、撮影される複数人が同一のシャッタチャンスに揃って好みのポーズを取る必要があるためである。
【0011】
また、従来のフォトブースでは、当該ブースに予め用意されている前景又は背景を使用しないで、自分の気に入った柄のカーテンをカメラに対しての背景として他の人に持ってもらい、その柄を背景にして撮影するなどの遊び方も良く行われるが、前述したように背景に好みの柄を持ってこようとすると、他人の助けが必要となってしまい、いわゆる自立型の映像合成装置としての役割を果たせない問題がある。
【0012】
上述した発明では、カメラと、このカメラからの撮影映像を表示する表示装置と、当該表示映像を印刷または印面などに再現する映像再現手段とからなり金銭投入スイッチにより作動するフォトブースシステムにおいて、前記フォトブースには、前記カメラで2回以上撮影した映像をそれぞれ別個に記憶する映像処理部を備え、当該映像処理部で記憶した映像を合成する合成回路とを有するものであるから、(1)例えば、2人以上で撮影する場合には、複数人が同一のシャッタチャンスを逃さずにポーズを取る必要がなく、それぞれが別々のシャッタチャンスで好みのポーズ作り撮影を行え、合成することができる。
(2)また、例えば、2回とも同じ人物を撮影した場合には、一つの映像の中に同じ人物が2人入ったファンタジックな映像を得ることができる。さらに、背景として好みの柄のカーテンを手で持って撮影し、その柄を背景とした自分の映像と合成し、従来のフォトブースでは2人以上必要であった撮影を一人で撮影することができるといったメリットがある。
【0013】
さらに、別の発明では、前記映像処理部の少なくとも1つには、背景除去コントローラを有し、この背景除去コントローラによって、前記カメラで撮影した映像から背景を切り取り人物映像のみを残し記憶するように構成することを特徴としている。
【0014】
フォトブースシステムの少なくとも1つには、背景除去コントローラによって背景を除去された人物映像だけが記憶されるから、他のフォトブースシステムで記憶された映像を合成する場合、他のフォトブースシステムで撮影された映像を背景として人物映像が溶け込んだ映像を作成することができる。また、背景を除去された人物映像を他の映像に上書きする簡単な制御で合成映像が作成可能となる。
【0015】
さらに、別の発明では上述した発明に加え、前記フォトブースには、ロジック映像発生部を設け、このロジック映像発生部には予め用意された前景又は背景電子情報が記憶されていることを特徴としている。この構成により、この前景又は背景電子情報を合成した2つ以上の映像に、例えば「愛してる」「結婚記念」とかのタイトル文字や撮影日時などを更に合成することが可能となる。
【0016】
また、前記合成回路は、前記複数の映像処理部に記憶されたそれぞれの映像と、前記ロジック映像発生部から選択された背景又は前景の映像電子情報とを定められた優先順位で合成することを特徴としている。前記合成回路は、前記複数の映像処理部に記憶されたそれぞれの映像と、前記ロジック映像発生部から選択された背景又は前景の映像電子情報とを定められた優先順位で合成するようにしているから、素人が優先順位を誤って前述した背景を除去した人物映像の上に背景を上書きしてしまうなどの操作誤りを防止することができうる。
【0017】
加えて他の発明では、金銭投入スイッチへの金銭投入により作動し、使用者の操作によりカメラで第1回目の撮影を行い、この撮影した映像を第1の映像処理部で一旦記憶し、次に使用者の操作により前記カメラで第2回目の撮影を行い、撮影した映像から人物映像だけを切り取り、第2の映像処理部で切り取った人物映像を記憶し、前記第1の映像処理部に記憶した映像に、第2の映像処理部に記憶した映像を上書きして合成する写真撮影方法を提供するものである。この発明によれば、2回の撮影によって得られた映像をその場で合成することが可能となる。
【0018】
また別の発明では、金銭投入スイッチへの金銭投入により起動し、3つ以上の映像合成を開始する自立型の映像合成装置における映像合成方法において、前記3つ以上の映像を固定する各段階では、先に固定した映像とカメラで撮影している映像とをリアルタイムで合成しながら表示装置で表示させ、その表示映像をシャッタボタン又はシャッタタイマにより固定することを特徴とするものである。
【0019】
次に、差別化を図る目的として、本発明者は、印刷枚数として所望の印刷枚数を払い出すフォトブースを提案している。
【0020】
一般に、上述したフォトブースは、4×4の16分割で各ブロックに撮影した映像を印刷するようにしている。つまり、4ブロックだけの合成映像を印刷するとか、24ブロックの印刷を行えるように切り替えが可能で、その切り替えに応じてカット紙の大きさを変更できるようなフォトブースは存在しなかった。
【0021】
このような主な要因としては、一般的にこの種のフォトブースに使用される印刷手段として昇華型サーマルヘッドを用いたものが多いことが上げられると考えられる。詳細理由については、第17、18図を参照して以下に説明する。
【0022】
サーマルヘッドTを用いた昇華型のカラープリント方式の場合、イエロー、マジェンダ、シアンの3色を繰り返し連続して配置したインクリボンRが使用される。前記インクリボンの幅W1は、シール紙Uの幅Wより大きく且つ、それぞれの色のインクリボンRに占める長さL1は、シール紙Uの長さLより長く設定されている。この理由は、前記シール紙UにインクリボンRを覆うように配置し、サーマルヘッドTで前記インクリボンRに付着する顔料を昇華させ、その昇華した顔料をシール紙Uの前記受像層U1の表面に付着させることにより印刷を行うため、その印刷の範囲がインクリボンRでシール紙Uを覆える範囲に限られてしまうためである。また、インクリボンRに占める各色の長さL1を予め極めて長く設定しておけば、シール紙Uの長さLが多少長くなっても対応することが可能であることは明らかであるが、前記長さL1を長くしすぎると、サーマルヘッドTのカラー印刷がイエロ、マジェンダ、シアンの3色のインクリボンRを巻き取りながら印刷を行う関係から、インクリボンRの巻き取りに時間がかかり、印刷スピードを遅くしてしまう他、インクリボンRの使用効率が悪くなるなどの問題がある。
【0023】
したがって、従来のフォトブースで印刷可能なシール紙Uの最大の大きさが、インクリボンRの幅W1や各色の長さL1によって、一義的に定まってしまう。このように一義的に定まってしまうことから、1枚のシール紙Uに印刷できるブロックF数以上の合成映像を印刷したものが必要な場合は、コインを再度投入して同じ操作を繰り返し、もう一枚のシール紙Uを得なければならない。この場合、20ブロックの合成映像が必要であった時には、2枚のシール紙Uで32ブロックの合成映像を得なければならないことになるから12ブロックの合成映像が無駄になってしまう問題が起こり得る。
【0024】
前述したシール紙Uは、第17図し示すようにシール基材層U3と受像層U1とはハクリ自在に構成され、しかも、受像層U1はシール基材層U3に対して複数のブロックFごとに別々に剥がせるように構成されている。
【0025】
このハクリ自在を可能とするためにブロックFの周囲にはハーフカットU5が施されている。前記複数のブロックFには、前記合成映像がそれぞれ印刷される。
【0026】
また、上述した昇華型のプリンタを用いたものの他、このようなフォトブースに類似した装置として、カメラで撮影したネガを印画紙に焼き付けたものを得る、いわゆる写真を作成する自己証明写真撮影装置などが存在するが、このような自己証明写真撮影装置においても必要な数の写真を、その自己証明写真撮影装置を使用する人の必要性に応じて得ることができるような装置は存在しない。
【0027】
以上のような問題点に鑑み、使用者の必要な枚数だけを、払い出す機能をフォトブースに加えることにより、他のフォトブースとの差別化が図れるのではないかと考えなされたのが以下の発明である。
【0028】
【課題を解決するための手段】
この発明は、一つの筐体内に金銭カウント手段と、撮影手段及び印刷手段とを備え、前記撮影手段により撮影した撮影映像を被印刷物に前記印刷手段で印刷するフォトブースにおいて、前記被印刷物は、一定の幅を有しロール状に巻き取られた状態で前記筐体内に収納され、前記金銭カウント手段でカウントされた金額に応じて決定される撮影映像の印刷領域の印刷に必要な長さに、前記ロール状に巻き取られた状態から切断手段により適宜切断するようにしてなることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、被印刷物を効率的に切り出すことが可能となり、被印刷物として高価なシール紙などを採用した場合でも、無駄にシール紙を費やすことが低減できる効果がある。
【0030】
つまり、金銭カウンタに投入されたコインや紙幣などの金銭によって、印刷領域の印刷に必要なだけの被印刷物を切断手段により切断し切り出すことが可能となる。
【0031】
このように印刷する領域により自由に長さを変更することが可能であるから、今まで知られているフォトブースのように、メーカ側が定めた大きさの印刷領域に印刷するような押し付け的なプレーではなく、顔だけであれば顔だけの映像を再現したり、全身を撮影した映像をシール紙等の被印刷物に印刷することが可能となる。
【0032】
この場合、フォトブースのコントロールパネルの操作レバーや操作ボタンを使用者が操作して、全身モードや顔だけモードに切り替えることが可能なように構成することが考えられる。このようなモードの選択操作により、間接的に印刷サイズを使用者が容易に決定することが可能となる。
【0033】
また、別の発明では、一つの筐体内に金銭カウント手段と、撮影手段及び印刷手段とを備え、前記撮影手段により撮影した撮影映像を被印刷物に前記印刷手段で印刷するフォトブースにおいて、前記被印刷物は、一定の幅を有しロール状に巻き取られた状態で前記筐体内に収納され、前記ロール状の被印刷物から順次繰り出される被印刷物に前記印刷手段が撮影映像を印刷する一方、前記被印刷物に印刷する撮影映像の長さは、前記金銭カウント手段でカウントされた金額に応じて決定され、前記印刷手段による印刷が終了すると、その被印刷物に印刷された領域を切断手段によって適宜切断することを特徴とする。
【0034】
この構成によるフォトブースによれば、金銭カウンタに投入された金額、又は顔だけモードや全身モードを被撮影者である使用者が操作レバーや操作ボタンにより選択し、これにより決定された撮影映像を被印刷物にまず印刷し、当該印刷した被印刷物の部位だけを切り出すことが可能となる。したがって、被印刷物を効率的に切り出すことが可能となり、被印刷物として高価なシール紙などを採用した場合でも、無駄にシール紙を費やすことが低減できる効果がある。
【0035】
さらに他の発明では、前記被印刷物には撮影映像を複数印刷し、前記複数印刷される撮影映像は、前記被印刷物に対しその幅方向にm(m≧1)個づつ前記金銭カウント手段によってカウントされた金額に応じて、その長さ方向にn(n≧1)回繰り返し印刷が施されることを特徴とする。この発明によれば、前記被印刷物に撮影映像を複数印刷し、前記複数印刷される撮影映像が、前記被印刷物に対しその幅方向にm個づつ前記金銭カウント手段によってカウントされた金額に応じて、その長さ方向にn回繰り返し印刷が施されるように構成されているから、そのフォトブースで撮影した撮影映像を印刷する使用者(プレーヤ)は、投入する金額に応じて必要な数の撮影映像を最小単位m個で得ることができるようにすることができる。
【0036】
また、差別化を図る目的として、本発明者は、印刷する大きさを使用者の判断により変更可能なフォトブースを提案している。
【0037】
つまり、従来のシール作成機において作成されるシールは、紙性のシールであったのでTシャツ等の布地に貼ると剥がれ易く、洗濯に耐えることができないものである。しかも、1枚のシールの複数の領域に印刷される各シールサイズは、全て同じ大きさのものか、或いは、予め定められた複数の異なるサイズのものが所定のレイアウトで印刷され、得られるシールサイズを使用者が選択できるシール作成機は存在しなかった。前述した、予め定められた異なるサイズとは、シール作成機側で運転免許証サイズや履歴書サイズなどの複数の大きさのものである。
【0038】
このような一枚のシールに印刷されるシールのサイズは、予め一義的に装置側で定められたもので、使用者主導型で好みのサイズを決定できるまでには至っていない。
【0039】
このようにシール作成機が、一定の大きさ、つまりシール作成機の装置側の印刷物しか出力しないものである。
【0040】
これは、シール作成機が街角に置かれる証明写真システムを手本として考え出されたことに起因すると考えられるが、アイロンプリントシールの場合は、このように定められたサイズのアイロンプリントシールを印刷したのでは、使用者の好みや転写する布等の大きさ(サイズ)に十分対応できない問題がある。
【0041】
つまりアイロンプリントシール作成機では、印刷するサイズ領域(大きさ)が大小様々なものに対応させることもさながら、同じTシャツ用であっても、そのTシャツに貼る図柄の大きさは使用者の好みで様々であるから、これらにある程度対応できることが重要な課題である。しかしながら、上記従来のシール作成機では、その用途の違いから使用者の好みの印刷出力サイズがシール作成機に内蔵するプリンタの出力最大サイズより大きくなることへの配慮は全く行われていないし、使用者が印刷される大きさを認識できるような構成は取られていない。
【0042】
また、従来のアイロンプリントシールには、カメラで撮影するなどして得られた映像などを、その場でアイロンプリントシール原紙に印刷してアイロンプリントシールを作成するようなアイロンプリントシール作成機も存在しない。
【0043】
以上のような課題を解決するため、この発明は、使用者が投入した料金を料金検知手段で検知することにより作動し、使用者の操作により図柄を印刷したアイロンプリントシールを払い出すアイロンプリントシール作成機において、前記アイロンプリントシール作成機は、図柄を印刷するためのプリンタヘッドと、当該プリンタヘッドでアイロンプリントシールに印刷するための前記図柄の電子情報を一旦記憶するメモリとを含み、前記メモリとプリンタヘッドとの間には、前記メモリで記憶した電子情報を、アイロンプリントシール原紙に印刷する大きさに応じて適宜分割して前記プリンタヘッドに出力する分割手段を備えてなることを特徴とする。
【0044】
この構成によれば、使用者の好みに合った、アイロンプリントシール作成機に内蔵したプリンタの最大印刷サイズに左右されることなく、様々なサイズ領域での印刷に対応することができる。
【0045】
したがって、アイロンプリントシールを熱圧着する対象の布地が爪やハンカチなどの比較的小さいものから、Tシャツやテーブルクロスなどの大きなものまで対応することが可能となる。
【0046】
また、別の発明では、使用者が投入した料金を料金検知手段で検知することにより作動し、使用者の操作により図柄を印刷したアイロンプリントシールを作成するアイロンプリントシール作成機において、前記アイロンプリントシール作成機は、図柄を印刷するためのプリンタヘッドと、当該プリンタヘッドで印刷するための前記図柄の電子情報を一旦記憶するメモリと、前記印刷する大きさを使用者が決定するためのサイズ決定手段とを含み、前記メモリとプリンタヘッドとの間には、前記サイズ決定手段で決定された印刷する大きさに応じて、前記メモリで記憶した電子情報を拡大又は縮小して前記プリンタヘッドに出力する印刷サイズ変更手段を備えてなることを特徴とする。
【0047】
この構成により、印刷出力するアイロンプリントシールのサイズが使用者自身のサイズ決定手段の操作によって決定されるので、熱圧着したい布のサイズや、図柄と布のサイズを考慮した使用者の好みに合ったアイロンプリントシールを、サイズ選択手段による自らの選択により得ることができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態1を第1図乃至第3図に基づいて以下に説明する。
【0049】
第3図は、この映像合成装置の概略外観図を示し、図においてAは縦長(横620cm、奥行き580cm、高さ185cm)の筐体であり、その前面の中央部には使用者としての被撮影者がフォトブースシステムを操作するための操作部Bが設けられ、その上方には撮影を行うための撮影ウインドウCが設けられ、さらに前記操作部Bの下方(高さ約50cm)には、撮影された映像が紙等に印刷された状態のシートを取り出すための取り出し口Dが設けられている。印刷される被印刷物としては、台紙の上に剥離自在に設けられるシール紙を使用する事が好ましい。また、このシール紙の上に複数の映像を印刷する場合には、印刷された複数の映像が単独且つ容易に剥離できるようにハーフカットされたシール紙を用いると良い。
【0050】
また、この実施の態様では、映像を再現する手段としての映像再現手段として紙等に印刷するいわゆるビデオプリンタを用いたが、このようなプリンタPに換え、スタンプの印面にネガ又はポジ状に撮影した映像を再現できる映像再現手段を採用することもできる。
【0051】
前記スタンプの印面に映像を再現する方法としての一例を第4図を基に説明する。Sはスタンプ本体であり、このスタンプ本体Sにはインクを含浸させたインク層S1が設けられ、このインク層S1は樹脂シートS2で被覆されている。前記樹脂シートS2は複数の小孔が形成されており、この樹脂シートS2の外部に露出している部分が印面S2-1となる。この印面S2-1に端面に発熱ドットを形成した端面サーマルヘッドT‘を押し当て、前記印面S2-1に設けられた小孔を埋めることにより映像を再現する。つまり、加工完了後にそのスタンプを紙などに押印すると、小孔を埋められた部位はインクが出ず、他の部位からはインクが浸み出して映像が再現されることになる。また、他の映像再現手段としては、木材や金属プレートに直接映像を彫刻するような手段を採用することもできる。
【0052】
上記筐体Aの内部の最下方には、フォトブースを行うための基板ユニットEが収納されている。そして、その基板ユニットEの上方にはプリンタPが設けられ、そのプリンタPの上に表示装置Gが、その表示画面G1を上方に向くように配置されている。
【0053】
,,はハーフミラーであって、このハーフミラー,,によって前記表示画面G1に表示される前撮影ウインドウC側に反射するように斜めに配置されている。一方、前記ハーフミラー,,を挟んで撮影ウインドウCの背面側にはCCDカメラやビデオカメラ等のカメラが配置され、撮影ウインドウCの前面に立つ撮影者の映像が前記ハーフミラーを通過し、カメラで撮影される。この時、被撮影者の像は、ハーフミラー,,を通過してカメラで撮影される他、その一部が前記表示画面G1側に反射されるが、被撮影者側には反射されない。被撮影者が撮影ウインドウCで視認できるのは、ハーフミラー,,によって被撮影者側に反射される表示画面G1の表示映像のみである。前記表示装置Gとしては、この形態で採用しているブラウン管方式のCRTの他、プラズマディスプレーや液晶などが使用可能である。
【0054】
第2図に示すのは、本形態に示すフォトブースのフロー図である。後述する金銭投入スイッチに所定の金銭投入2されるまでは、前記表示画面G1にはタイトル画面1が表示されている。タイトル画面1には、このフォトブースで行えるゲームプレー内容などがデモンストレーションされ、使用者がこのゲームを行うことを促す。
【0055】
金銭投入2が行われると、カラー選択画面3が前記表示画面G1に表示され、モノクロ化した撮影するかカラー撮影を行うかをこのカラー選択画面3で選択する。
【0056】
カラー選択画面3での選択が終わると、次にモード選択画面4が前記表示画面G1に表示される。モード選択画面4で選択するのは、カメラJで撮影した映像を背景として使用する第1のモードと、予め用意された背景を使用する第2のモードを選択する画面である。
【0057】
次に第1のモードを選択した場合には、前景映像選択画面5が表示される。この前景映像選択画面5には、予め用意された複数の前景映像が前記表示画面G1に縮小された状態で複数映し出され、使用者がこの前景選択画面5を見ながら所望の前景映像を選択する。
【0058】
そして、この前景映像の選択が終了すると、この文字等のメッセージ選択画面6が表示される。このメッセージは予め定められたメッセージが用意されており、その用意された複数のメッセージの中から所望のメッセージを操作部Bによって使用者が選択する。
【0059】
メッセージを選択し終わると、前述した前景映像及びメッセージが合成されて表示画面G1に映し出され、使用者は操作部Bを操作して前景映像のどこの位置に選択したメッセージを位置させるかを決定するメッセージ位置確認画面7が表示される。メーセージ位置確認画面7を見ながら使用者がメッセージ位置を決定すると、前記選択した前景映像とメッセージとが合成され、この合成映像が前景として固定される。
【0060】
前景の選択が終了すると、後に2回のカメラJでの撮影を行い、1回目に撮影した映像が背景になり、2回目に撮影した映像が前景になることを説明する説明画面8が表示される。この表示はタイマーにより一定時間を経過すると第1回の撮影画面9が表示される。
【0061】
第1回の撮影画面9には、前記前景が映し出され、表示画面G1上でカメラJで撮影される映像とリアルタイムで合成される。このように、先に固定した前景を表示画面G1で表示させることにより、使用者はカメラJに対し自ら動いてどの位置に第1回目の撮影映像を固定するかを決定する。この決定は、使用者の意志ではなく、この形態ではタイマーシャッタを用いて行われるようにしている。勿論、本発明がタイマーシャッタに限定されるものではなく、前記操作部Bを操作してシャッタを切る構成としても良いが、このようにタイマーシャッタを用いることにより、不用意に長いプレー時間となったり、使用者が緊張した顔とならず自然なポーズで撮影されるといった効果がある。特に、この手の遊技機製品としては、プレー時間は重要な解決課題であり、如何に使用者が扱い易く簡単に短時間でプレーできるかによって製品価値が変化する。
【0062】
また、カメラJで撮影するのは、前述した使用者でなく、他の気に入った柄のカーテンを写すこともできる。気に入った柄のカーテンを撮影した場合には、この柄が後述する第2回目の撮影映像と前記前景とを合成する背景となる。
【0063】
第1回目の撮影映像が終了すると第2回目の撮影画面10に移る。この第2回目の撮影画面10には、前記前景と第1回目の撮影で固定された映像とが合成されて前記表示画面G1に表示される一方、この同一表示画面G1上の合成映像にカメラJで撮される映像が、撮影された人物の像だけが切り取られてリアルタイムで合成される。このように先に固定された映像を表示画面G1上に表示し、表示画面G1上でこれから固定しようとする背景を切り取った人物画像をリアルタイムで合成表示することにより、前述したと同様に被撮影者はカメラJに対し自ら動いてどの位置に第2回目の撮影映像を固定するかを決定することができる。この決定も前記第1回目の撮影と同様にタイマーシャッタで行われ、そのシャッタタイミングは音声「ハイチーズ」で使用者がタイミングを取れるようにしている。
【0064】
この第2回目の撮影が終了すると、この撮影した映像は、前記前景と背景との間に挿入される中間映像をして固定され、表示画面G1には、これから印刷される映像が表示される撮影映像確認画面11が表示され、音声で表示される映像を印刷して良いかどうかを決定させることを促す。
【0065】
使用者はこの撮影映像確認画面11を見て印刷了解を操作部Bで決定すると印刷が開始され、印刷中を示す印刷画面12が表示され、印刷までのカウントダウンを表示する。
【0066】
印刷が終了すると、前記タイトル画面に戻り、次の金銭投入を待つ。
【0067】
以上のように、前景、背景とその間に挿入される映像は、後述する合成回路50により制御部51に予め用意されたプログラムによって定められる優先順位で合成が行われる。
【0068】
以上が第1のモードが選択された場合の流れであり、次に第2のモードが選択された場合の流れを説明する。
【0069】
第2のモードと第1のモードとの違いは、第1のモードで第1回目の撮影で得られた映像を背景としたが、これに換え第2のモードでは、予め用意された背景を使用者に選択させ、選択された映像を背景とする点で相違する。
【0070】
前記モード選択画面4を見て使用者が第2のモードを選択すると、複数の背景が縮小されて表示画面G1に映し出される背景選択画面13が表示される。使用者は、背景選択画面13を見ながら所望の背景を選択する。
【0071】
背景の選択が終了すると、前記前景映像選択画面5が表示される。この前景映像選択画面5からメッセージ位置確認画面7までの流れは、前述した第1のモードと同じである。
【0072】
メッセージ位置確認画面7を見ながらのメッセージ位置の固定が終了すると、撮影画面14が表示される。この撮影画面14には、前記第2回目の撮影画面10と同様に、先に選択固定した背景及び前景と、カメラJで撮影されている映像とがリアルタイムで合成され表示画面G1に表示される。使用者は、ハーフミラー,,を介して撮影ウインドウ越しに表示画面G1の映像を視認できる。この表示画面G1の映像を見ながら、前景及び背景に対し被撮影者が自ら動いて最も気に入る合成位置を決め、音声等により知らされるシャッタタイミングに合わせてポーズを取り撮影を行う。撮影が終了すると、前記撮影映像確認画面11が表示され、以下は前述した第1のモードと同じ流れが進行する。
【0073】
前述した第2図においては、第1のモードにおいて、第1回目の撮影が背景の撮影、第2回目の撮影が背景を切り取られた人物映像の撮影を行うと説明したが、この形態に限らず、先に背景を切り取られた人物映像の撮影を行っても良い。
【0074】
また前述した両モードにおける前景映像及びメッセージの選択や撮影の順番は、この形態の順番にこの発明が限定されることなく、順番を入れ替えてもこの発明の所定の目的が達成できることは言うまでもない。
【0075】
第1図に示すのは、上記フォトブースのブロック図であり、上記第3図と同一符号のものは同様の構成を示している。
【0076】
カメラJで撮影される映像は、A/Dコンバータ15を介して、前記第1の撮影画面9を作成するための映像を一旦記憶する第1の映像処理部20に接続される一方、第2の撮影画面10を作成するための映像を一旦記憶する第2の映像処理部30と接続されている。前記A/Dコンバータは、カメラから得られてアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。
【0077】
40はロジック映像発生部であって、前述した予め用意された前景や背景がこのロジック映像発生部40から供給される。
【0078】
前記第1の映像処理部20、第2の映像処理部30、ロジック映像発生部40から供給される映像は、合成回路50に集められ制御部51の制御の基に合成が行われる。
【0079】
52は金銭投入スイッチとしてのコインセレクタ、53は合成回路50から供給されるカラー映像を操作部Bの操作によりモノクロ化することを制御部51から命令された場合に、色調を変換するためのモノクロ制御部であり、合成回路50とプリンタPとの間に設けられている。また、合成回路50と表示装置Gとの間には、D/Aコンバータ54が設けられている。このD/Aコンバータは、この形態で使用する表示装置Gがアナログ信号を受けて映像を表示する装置を使用していることから必要となるもので、表示装置Gがデジタル信号を受けて映像を表示できるものを使用する場合は必要とならない。
【0080】
次に、第1図に示す各構成について更に詳述する。前記ロジック映像発生部40は、複数の前景映像及びメッセージを形成するための多種映像電子情報を記憶したキャラクタROM41と、このキャラクタROM41の映像電子情報を基に、前記操作部Bの操作により制御部51を介して伝達される選択された前景映像等を作成するコントローラ42と、この作成された映像を一旦記憶する第3の記憶部43とから構成されている。
【0081】
前記第2の映像処理部30は、カメラJで撮影された映像をA/Dコンバータ15によりA/D変換し、この変換した映像電子情報から人物映像だけを残し背景を切り取る背景除去コントローラ31と、この背景除去コントローラ31によって切り取られた人物映像の電子情報のみを記憶する第2の記憶部32とから構成されている。
【0082】
前記背景除去コントローラ31によって行われる背景除去は、一般的に周知なクロマキー法を用い、このクロマキー法を行うために、第3図の背景カーテンKのカメラJでの撮影される面はブルー色としている。このようにブルー色としたのは、クロマキー法が色調の変化を検出して切り取りを行う方法であり、一般的に知られるように人間の肌色と最も色調が明確に検出できるのがブルーと言われているからで、このブルー色に限らずクロマキー法により人物映像を切り取ることができれば他の色に変更しても良いのは勿論である。
【0083】
また、第2の記憶部32に人物映像のみを記憶させるというのは、背景の電子情報を第2の記憶部32に有していないということではなく、背景として撮影されるブルー色を透明色に置き換えると説明することもできる。
【0084】
つまり、第2の記憶部32に記憶した映像電子情報を合成回路50により背景に上書きする場合に、ブルー色で撮影された部分は透明であるから、該透明の部分で前記背景が優先され、その背景に透明が上書きされないように制御される。
【0085】
第2の記憶部32には、フィールドメモリを採用しており、前記背景コントローラ31によって一画面(第2の記憶部32のメモリ領域)を1/60秒でブルーの単色背景部位を切り取りながらラスタ走査順各ピクセルごとに書き込まれると共に、書き込まれた前記ピクセルごとの映像電子情報は一画面分を1/60秒で合成回路50に送られ、他の背景や前景と合成されて前記表示画面G1に表示される。このように1/60秒で背景の切り取りを行うようにしているのは、前述したように先に固定した背景や前景に被撮影者が自ら動いて位置決めを行わせるようにしているため、リアルタイムで背景を切り取り表示させる必要があるからである。
【0086】
しかしながら、このような人間の目で見て違和感のない画面の書き換えを行う1/60とか1/50秒とかの短時間では、違和感なく背景を切り取ることは非常に難しい。すなわち、1/50とか1/60秒とかのリアルタイムで違和感なく背景を切り取るためには、その切り取りに複雑な計算を要するため、非常に処理速度の早い高価な計算機を必要とするなど問題がある。したがって、リアルタイムで表示画面G1に表示させるため、短時間で処理を終了させようと前述した複雑な計算の幾つかを簡略化した計算で間に合わせるしかない。しかしながら、このような簡略化した計算処理での背景抜きを行った場合には、抜き取られた人物映像の輪郭がギザギザで、明らかに背景を抜いた人物映像を他の背景等に合成したことが人目で明らかに分かってしまう問題がある。
【0087】
そこで、本形態の更に好ましい例として、図1の点線で示す追加補正部33を設けること良い。この追加補正部は第2の記憶部32と入力側と出力側にそれぞれ接続され、被撮影者が第2回目の撮影映像を固定し、第2の記憶部32への更なる書き換えがなくなってから、第2の記憶部32に記憶された映像電子情報に基づき追加補正を行う。
【0088】
この追加補正は、先に行った背景の切り取りの処理時間1/60秒に比べて十分長い処理時間を取ることができるから、人物映像の輪郭のギザギザの違和感を少なくする。あるいは、隣接するピクセルの色調を比較し、誤って前述した背景抜き時に抜いてしまった可能性のあるピクセルを色補正する。この補正は隣り合うピクセルを考慮して補間処理を行うなどの追加処理を行い、再度、前記2の記憶部32に戻し記憶させる。
【0089】
つまり、この好ましい例では、前記背景除去コントローラ31で簡単な計算による背景抜きを行い表示画面G1にリアルタイムで表示させ、使用者に対し切り取られた人物映像の位置決めを行わせ、位置決めが終了した後に、前記第2の記憶部32の映像電子情報を基に追加補正部33により更なる計算を施す追加補正を行い、第2の記憶部32に戻すようにしている。この第2の記憶部32に記憶される電子情報は、画面G1に表示しても違和感の少ない背景抜きした人物映像に処理されている。また、53はプリンタコントローラであって、前記制御部51の命令により、合成回路から送られる映像データをプリンタで再現するための制御を行う。
【0090】
このように背景除去コントローラ31によってカメラJで撮影した映像から人物映像を簡単な計算で仮抜きした映像でリアルタイムに画面G1に表示させるようにしているから、背景や前景に被撮影者たる使用者が自ら動いて位置合わせすることが可能で、且つ、追加補正部33により仮抜きした人物映像を追加補正するようにしているから、最終的にプリンタなどの映像再現手段で印刷物などに再現される場合には、違和感の少ない人物映像をして再現されるといったメリットがある。
【0091】
前記背景除去コントローラ31で行う簡略化された計算とは、ラスタ走査順に隣り合うピクセル色との比較を行い、カーテンKの色であるブルーから人物の顔の色(肌色)との色調の変化を見ながら人物映像の輪郭を抽出し、背景を切り取るといった計算が考えられる。また、違和感のないような追加補正を行うとは、前述した補正のほか、輪郭のぼかしや輪郭の強調、合成回路50で合成する前景や背景とのコントラストと比較し、合成した場合にコントラストでの違和感が生じることを低減する補正を行うなどが考えられる。
【0092】
前記第1の記憶部20は、カメラJで撮影した第1回目の撮影映像を記憶する第1の記憶部21のみから構成されている。しかしながらこのような構成に限らず前記背景除去コントローラ31を設けて、ここでも他の被撮影者の人物映像だけを切り取り前記第1の記憶部21に記憶させ、前記ロジック映像発生回路40から抽出した背景に、第1の記憶部21と第2の記憶部32に記憶された2人の人物映像を重ね書きした合成映像を作成できるように構成することも可能である。
【0093】
(実施の形態2)
第5図乃至第10図に従って本発明の実施の形態2について以下に説明する。前述した実施の形態1と略同一の構成については、同一の符号を付して表している。第5図に示すのが本発明のフォトブースAの正面図であり、このフォトブースAは、遊技場や、観光地などに設置される。第6図に示すのは、フォトブースAの内部の制御ブロック図である。第7図は、一定の幅を有しロール状に巻き取られた状態でフォトブースA内に収納されるシール紙Aを順次繰り出し、切断から印刷を行う状態を模式的に示した斜視図で、第8図は第7図の平面図である。そして、第9図は、第7図及び第8図のように切断されたシール紙Uを印刷出力した状態を示す模式図である。第10図はフォトブースAの印刷出力までの流れを示すフロー図である。
【0094】
第5図において、Aはフォトブースであって、このフォトブースAには、フォトブースAの内部に、金銭カウント手段52と、撮影手段J、及び印刷手段P、並びに切断手段20とを主な構成として備えている。
【0095】
金銭カウント手段52は、第1図に示すようにフォトブースAの正面にコイン投入口52Aと、コイン排出口52Bとを備えており、前記コイン投入口52Aに所定金額以上のコインが投入されると、撮影(ゲームプレーとも言う)が開始される。所定金額とは、このフォトブースAでは、最小単位の印刷枚数を印刷するに必要な金額のことで、この所定金額以下では撮影は開始されない。詳しくは、第9図に沿って後述する。
【0096】
前記金銭カウント手段52は、後述する印刷手段P及び切断手段60に接続され、金銭カウント手段52のコイン投入口52Aに投入されたコイン数に応じて前記印刷手段Pはその制御部P1が印刷ブロックFの数を決定すると共に、前記切断手段60は、決定された前記複数の印刷ブロックFの印刷領域Nとして必要なシール紙Uの長さL分だけロール状に収納されたシール紙Uから繰り出し切断する。
前記撮影手段Jは、CCDカメラで構成され、第5図において手前側に立った被撮影者を撮影し、この撮影した撮影映像の電子データは合成手段65を介して印刷手段Pに転送される。
【0097】
この態様1では、CCDカメラを採用しているが、これに限らずビデオカメラなど適宜採用することが可能である。
【0098】
前記合成手段65は本発明の必須の構成ではないが、この合成手段65を撮影手段Jと印刷手段Pの間に介在させることにより、後述する前背景画像と画像合成することが可能になる。
【0099】
前記合成手段65は、撮影手段Jにより撮影された撮影映像を電子データとして一旦記憶するフレームメモリ66と、前背景となる複数種の合成画像を予め用意する記憶部68とから構成され、前記合成画像をフォトブースAの正面に配置された画面G1を見ながら、同正面に設けられる操作部6を被撮影者が操作することによって好みの合成画像が選択可能で、且つ選択した合成画像と前記フレームメモリ66に記憶された電子データとを合成部67で合成することができる。
【0100】
前記画面G1の表示装置Gとしては、液晶やCRT又はプラズマディスプレー、乃至はLEDディスプレーなどの画像を表示できるものであれば何でも適応可能である。
【0101】
前記印刷手段Pは、前記合成部67で合成された画像の電子データを一旦記憶するフレームメモリP2と、このフレームメモリP2の電子データに基づきシール紙Uに印刷する印刷部P3と、当該印刷部P3による印刷を制御する制御部P1とから構成されている。
【0102】
前記合成手段65により記憶部68に予め用意された前景や背景を撮影手段Jで撮影された映像とを合成しない場合は、前記フレームメモリP2には、撮影手段Jにより撮影した撮影映像だけが書き込まれ、印刷部P3で印刷するようにすることができる。
【0103】
前記印刷部P3としては、ライン型のインクジェットなどインクリボン等を介さず直接シール紙Uに印刷可能なものであれば適宜採用することができる。
【0104】
前記切断手段60は、シール紙の長さ方向に所定間隔で設けられた複数の認識マークU2を認識するセンサ61と、このセンサ61により検知した認識マークU2の数をカウントし、金銭カウント手段52から転送された金額に応じてシール紙Uの長さLを決定し切断する切断部62とから構成されている。
【0105】
前記シール紙Uの長さLは、前記印刷部P3での印刷可能な長さになるように、予め設定されている。つまり、印刷部P3で印刷する印刷領域Nの長さが20センチメートル必要な時は、少し余裕をもって21センチメートルの長さLで切断するようにしている。前記認識マークA1としては、この形態2では黒色のマークをシール紙Uに一定間隔で設けるように構成しているが、これに限らず穴を一定間隔に穿つようにするなど任意である。
【0106】
上述したフォトブースAのコイン投入から印刷までのフローを示したのが図10である。前述したように金銭カウント手段52にコインが投入されると、被撮影者の操作部Bの操作により、前背景画像の選択が行われる。そして、被撮影者の撮影手段Jによる撮影が行われ、その撮影映像と選択された前背景画像とが合成部67で合成される。また、コイン投入に連動して切断手段60は、ロール状に巻き取り収納されたシール紙Uをセンサ61で認識マークU2数をカウントしながら繰り出し、その投入された金銭の額に応じて、予め設定された認識マークU2のカウント数を数えて切断部62で切断を行う(第7図、第8図参照)。
【0107】
印刷手段Pで印刷する印刷領域Nに必要な長さLに切断されたシール紙は切断手段Pに図示しない搬送手段により送られ、印刷部P3によって前記フレームメモリP2に記憶した電子データを印刷する。
【0108】
第9図に示すように、本発明の形態2では、2ブロックFを最小単位として、印刷することができるようにしている。第9図において、Nは印刷領域を示す。
【0109】
2ブロックを最小単位として印刷できるように、前記フレームメモリP2には2ブロックの映像情報が電子データとして記憶するようにしており、このフレームメモリP2に記憶された電子データを全て印刷すると、2ブロックFの印刷が終了できるようにている。
【0110】
したがって、被撮影者は、印刷する最小単位として2ブロックFの印刷を行うことが可能で、この最小単位の印刷に必要な投入コイン数を例えば200円とすると、100円追加投入するごとに2ブロックFずつ印刷領域Nを増やすことが可能となる。この場合、図5の4ブロックF印刷は、300円、8ブロック印刷は500円を金銭カウント手段3にコイン投入する必要がある。又、上述した各ブロックFには、同じ映像を印刷することもできるし、それぞれ異なる前景または背景を合成した異なる映像を印刷することもできる。さらに長さL方向の複数ブロックを使用して、ユーザ(被撮影者)の全身映像を映すようにしてもよい。
【0111】
(実施の形態3)
第11図乃至第14図に示すのは前記フォトブースAの形態3である。この形態3が、形態2と最も異なる点は、シール紙Uに合成画像を印刷手段Pにより印刷した後、切断手段60により切断するようにしている点である。つまり形態2では金銭カウント手段52から転送される投入された金額に応じて切断長さLを決定していたが、この形態3では、印刷手段Pの印刷終了を受けて切断手段60によりシール紙Uを切断するようにしている。形態2のフローに対応する形態3のフローを示したのが第12図である。
【0112】
このように、印刷終了を切断手段60が印刷手段Pから受けて切断を行う方式にすることを示したが、この他には、センサ61によって最終の印刷された映像情報を自動検出して切断する方式でも良い。最終の印刷であるか否かは、印刷する映像情報の長さ方向のピッチ(印刷ブロックFと次の印刷ブロックFとの長さ方向の間隙)を一定に定めておき、このピッチ内に次の印刷された映像が存在しない時に、最終の印刷であることを認識し、切断するように構成する。
【0113】
また、第11図において形態2と同一の構成は同一の符号を付しており、同一の機能等を有するものについては説明を省略する。
【0114】
形態3では、4ブロックの映像情報の電子データを一括してフレームメモリP2に記憶し、最小単位(1回分)の印刷を4ブロックとしている。第11図に示したのは、最小単位を繰り返し4回印刷したものを例示している。
【0115】
(実施の形態4)
第15図及び第16図に示すのが形態4である。この形態4は、フレームメモリP2に記憶した映像情報の電子データを縦又は横に引き延ばし、ワイドモードで印刷できるように構成したもので、第15図及び第16図に同一符号を付したものは同一の構成を示し、同一の機能等を有するものは説明を省略している。
【0116】
この形態4でフレームメモリP2に記憶される映像情報の電子データは、1ブロックとし、第16図に示すように最小印刷単位を1ブロックとしている。第16図にワイドモードで示したのは、フレームメモリ12に記憶した1ブロックの映像情報の電子データを一方向に拡大したもので、一方向への拡大の手法としては、公知の画像処理における補間処理などを制御部P1で行うことにより達成できる。
【0117】
このワイドモードを選択する場合は、金銭カウント手段3に投入される金額に応じてワイドモードの印刷領域Nが直接決定されるか、操作部Bの操作によって同一の前記金額で2ブロックかワイドモードかが選択可能で、操作部Bでワイドモードを選択することにより間接的に印刷領域Nが決定される場合が考えられるが、本発明はいずれの方法を採用することも可能で、又いずれの方法に限定されるものでもない。形態4では前者のように、金銭カウント手段52に投入された金額によってワイドモードの印刷領域Nが決定され、その印刷領域を印刷するに必要な長さLのシール紙が切断により得られるようにしている。
【0118】
なお、上記形態2乃至4においては、被印刷物としてシール紙Uを例示して説明したがこれに限らず、普通紙や、特殊な紙(例えば、サーマルヘッドで印刷する感熱紙や、サーマルヘッドの温度によってインクリボンを使わず前述したカラー発色する紙とは、例えばマイクロカプセルを紙の表面に層状に配置し用いたものが知られている)など適宜適応することが可能である。
【0119】
また、形態2では幅方向にm=3ブロック、形態3ではm=4ブロック、形態4ではm=2ブロックとしたが、前記ブロック数は、1個以上であれば幅方向にいくつ並べたものでも設定可能である。また、長さ方向のブロック数(n)についても、1個以上であれば金銭カウント手段52に投入された金額により適宜数増加するように設定するように構成することができる。
【0120】
(実施の形態5)
この発明の一実施の形態5を第19図乃至第23図に基づいて以下に説明する。
【0121】
第19図に示すのは、本発明のフォトブースの一例としてアイロンプリントシール作成機に適用した実施の形態5を示すブロック図である。
【0122】
前記アイロンプリントシール作成機は、人物を作成するためのカメラJと、カメラJで撮影された映像を電子情報として記憶する第1のメモリ66と、予め用意された前景や背景やタイトル文字などの図柄の電子イメージ情報を記憶する電子イメージ記憶手段68と、前記第1のメモリ66に記憶された電子情報、及び前記電子イメージ記憶手段68に記憶された電子イメージ情報とが合成回路67により合成され、合成された電子情報はプリンタPに出力されアイロンプリントシール原紙70(印刷済みのアイロンプリントシールは71として図に表している)に印刷されるように構成されている。
【0123】
前記プリンタPは、合成回路67で合成された図柄等の電子情報を記憶する第2のメモリP2と、当該第2のメモリP2に一旦記憶された図柄等の電子情報を、サイズ決定手段75を使用者が操作することにより決定された大きさ(サイズ領域)でアイロンプリントシール原紙30に印刷するため分割処理を行う分割手段P5と、分割された電子情報を印刷するプリンタヘッドTとを主な構成としている。この形態では、プリンタPの内部に前記分割手段P5を備える構造として説明したが、本発明はこれに限定されず、分割手段P5は、前記第2のメモリP2とプリンタヘッドTとの間にあれば、プリンタPに内蔵される必要はない。
【0124】
次に、第20図に示すように、第2のメモリP2に日の丸の絵の電子情報が記憶されている例で、前記分割手段P5の働きについて説明する。この第2のメモリP2に記憶された絵の電子情報をA乃至Dの4分割し、その4分割した第2のメモリP2のA乃至Dの領域から分割手段P5が順次電子情報を読み出す。4分割にする場合の第2のメモリP2からの読み出し順序等の取り決めは、分割手段P5が有するプログラムによって予め取り決められている。勿論、印刷するサイズ領域及びプリンタヘッドTの最大印刷サイズに鑑み、4分割に限らず2分割、8分割、16分割にすることも可能である。
【0125】
第2のメモリP2に記憶した電子情報を、1フレームにつき4分割するか、16分割するかはアイロンプリントシール作成機の使用者が、サイズ決定手段75によって好みのサイズを決定すると、前記分割手段P5がそれに合わせて分割数を決定する。勿論、サイズ決定手段75により決定されたサイズが分割することなく前記プリンタヘッドTで印刷できる場合は、前記分割手段P5が第2のメモリP2の電子情報を分割することなく1枚に印刷される。
【0126】
また、第2のメモリP2の電子情報を縮小して印刷する場合は、前述したシール作成機と同様に、第2のメモリP2の電子情報を間引きしながら読み出し、プリントヘッドTに送って印刷することにより縮小されたアイロンプリントシールを得ることができる。縮小した場合の余白を利用して、縮小した印刷を繰り返し行っても良い。縮小して印刷する用紙を写し絵として使用できるものとすれば、爪に貼るネイルアート的な使用方法を取ることも可能である。
【0127】
さらに、前記第2のメモリP2と後述するCRT等の表示装置Gとを接続し、印刷する前の合成図柄を表示装置Gに表示させ、使用者がどのような合成図柄が印刷されるのかを確認できるようにすると良い。
【0128】
上述したアイロンシール作成機の全体正面から見た状態は、前述した第5図と同様である。以下主として第5図を参照しつつ説明する。
【0129】
前記コインセレクタ52は、前述したカメラJや合成部67及びプリンタPを制御するCPU等の図示しない制御装置に接続されており、コインセレクタ52の硬貨投入口52Aに硬貨が投入されないと、アイロンプリンタシール原紙への印刷等が一切行えないようにしている。つまり、コインセレクタ52に所定の料金が投入されて初めてアイロンプリントシール作成機が作動し、アイロンプリントシール原紙への印刷が行えるようになる。
【0130】
印刷が行われるとアイロンプリントシール31は、前記払い出し口Dから払い出されるが、前記払い出し口Dがアイロンプリントシール作成機の設置場所等の関係から制限されるため、A0サイズに対応できるといったようにすると設置場所が制限されるため、余り大きいサイズに対応することができないばかりか、大きいサイズに対応できるようにできたとしても、縮小したアイロンプリントシールを得る場合には、不用意に大きなアイロンプリントシール原紙に印刷しなければならない不都合が生じる。本実施の形態では、前述したような分割手段P5を設けているから、印刷するプリンタPは汎用的なA4やB4用のプリンタヘッドTを使用することができるから、前述したような問題は生じ難い。
【0131】
15は、デジタルカメラで撮影した映像をメモリカードに記憶し、そのメモリカードから電子情報を読みとるための読み取り手段である。詳しくは、以下の実施の形態の変形例で説明する。
【0132】
第21図に示すのは、この実施の形態に例示したアイロンプリントシール作成機の動作フロー図を示し、このフロー図に基づきゲームの流れを以下に説明する。
【0133】
まず使用者がコインセレクタ52の硬貨投入口52Aから硬貨を投入する(コイン入力)。コインセレクタ52への硬貨の投入が検知されると、前記図示しない制御部は、表示装置Gに対し図柄モードの選択画面を表示し、使用者に規定図柄を主とした図柄のアイロンプリントシールを作成する規定図柄モードか、或いは自らの映像をカメラ1で撮影して、この撮影した自分の絵を主とした図柄のアイロンプリントシールを作成する撮影画像モードのいずれをプレーするかを選択する(図柄モードの選択)。この選択は前記制御部に接続された操作手段を使用者が操作して行われる。
【0134】
規定図柄モードを使用者が選択すると、どの規定図柄の取り込みを行うかを使用者に選択させるための画面が表示装置Gに表示される(規定図柄の取り込み)。この画面には、複数の規定図柄を縮小して複数表示させ、縮小された規定図柄から第23図の操作手段Bを操作して使用者が、どの規定図柄を取り込むかが決定される。この規定図柄は、第19図における電子イメージ情報68から読み出される。
【0135】
次に、使用者が表示装置Gに表示された規定図柄を選択し、その選択した図柄を画面上のどの位置に配置するかを前記操作手段Bにより操作する(規定図柄の選択/位置決定)。
【0136】
規定図柄の選択及び選択した規定図柄の位置が使用者によって決定されると、前記第19図における第2のメモリP2に書き込みを行う(取り込み)。
【0137】
そして、「誕生日おめでとう」とかの定型のメッセージや、その場で入力できる不定形のメッセージを使用者が前記操作手段Bにより入力を行うと、前記第2のメモリP2に挿入して書き込まれる(定型/不定形メッセージの入力)。
【0138】
更に、前記第2のメモリP2に書き込まれた電子情報を、どの大きさのサイズ領域に印刷するかを選択する画面が表示装置Gに表示される。この表示装置Gを見ながら前記サイズ決定手段75を使用者が操作してアイロンプリントシール原紙に印刷する大きさを決定する(アイロンプリント分割方法の選択)。表示装置Gに表示して選択される方法は様々であるが、1分割、2分割、4分割、といった分割数を選択させるようにしてもよい。このように分割数を選択させる場合には、「2分割の場合は2つを合わせるとB4サイズのアイロンプリントシールが得ることができます」などのメッセージで印刷されるアイロンプリントシールの大きさを使用者に認識させるようにすることが必要である。この形態では、10cm×10cm、30cm×30cm、といったように複数のサイズ群から使用者が選択できるように構成している。
【0139】
前記複数サイズ群から選択させるこの形態の場合において、前記サイズ決定手段75により決定された印刷サイズが、アイロンプリントシール作成機に内蔵するプリンタでは一回の印刷が不可能な場合、分割手段P5が第2のメモリP2に記憶する電子情報を分割してプリンタヘッドP3でアイロンプリントシール原紙30に印刷させる。分割して出力する場合には、音声又は表示装置Gにて1回の印刷ができないので、「複数分割して印刷します」との明示を行い、分割印刷をすることへの了解を促すようにしている。
【0140】
上述したステップを経て選択された印刷サイズでプリントヘッドP3により印刷を行う(印刷)。
【0141】
次に撮影画像モードを選択した場合について説明する。撮影画像モードが選択されると、第19図における図柄等の電子イメージ情報68から背景/フレーム図柄画像を取り込み、前記表示装置Gに縮小して配置する(背景/フレーム図柄画像取り込み)。ここで表示される背景やフレームは、後に撮影する人物映像等の映像と合成される。前記フレームとは、シール作成機等でも用いられている枠のことで、ハート型やリボンの形状のフレームで撮影した人物映像を取り囲んで飾り付けを行うものである。
【0142】
表示装置Gに複数の背景やフレームが表示されると、その表示された背景やフレームから第5図のボタンスイッチ等の操作手段Bを操作して、どの背景やフレームを使用するかを使用者により選択が行える(背景/フレーム選択)。
【0143】
背景/フレームの選択が終了すると、カメラJで使用者を撮影する(撮影モード)。撮影した映像は電子情報として第1のメモリ66に書き込まれ、この電子情報と、さきほど選択した背景/フレームとの合成を合成回路67で行う。前記撮影した映像は、第1のメモリ66に書き込まれる際に図示しない背景抜き回路(いわゆるクロマキーを使用したブルーバック回路)で人物映像だけを切り抜いた(背景は透明として扱う)電子情報に変換されている。したがって、合成回路4では、背景の上に人物映像を優先した重ね書きをし、更にその上からフレームの重ね書きを行った電子情報を第2のメモリP2に書き込む。書き込んでから後の流れは、前述した規定図柄モードを選択した場合と同様である。
【0144】
第24図、第25図に基づいてこの実施の形態の変形例について説明する。この変形例は、前述した実施の形態での図柄等の電子イメージ情報68に換え、デジタルカメラ等で撮影した映像を電子情報として記憶するメモリカード等を読み取る読み取り手段15を設けた点、及び当該読み取った電子情報を一旦記憶する第3のメモリ16を備える点、並びに前述した分割手段P5に換え、サイズ決定手段75によって決定された印刷するサイズ領域の大きさに拡大/縮小する印刷サイズ変更手段14を設けている点で相違する。前記読み取り手段15は、前述したようなメモリーカードの読み取りを行えるものの他、フロッピーに記憶された電子情報を読み取れるような読み取り装置に変更することも可能である。
【0145】
また、他の読み取り手段15としては、先に説明した電子情報を記憶するメモリーカード等の記憶媒体を読み取るものに限らず、第2のカメラを採用し、「ぬいぐるみ」や自らが描いた風景画、或いはキーホルダなどの外観を撮影(読み取る)するように構成することも可能である。そして、前記読み取り手段15で読み取られた映像は、一旦、第3のメモリ16に記憶される。
【0146】
更に、前述した第21図のフロー図におけるサイズ決定手段75により選択させる画面には、先の形態と同様に、使用者が最終的に印刷されるアイロンプリントシールの大きさが認識できるように選択ができるような方法を採用している。つまり、最終的に印刷される大きさが認識できる方法とは、「どのサイズで印刷しますか?」との音声メッセージと共に、使用者がサイズ決定手段を用いてA5を入力するとA5サイズで印刷されるとか、縦サイズ/横サイズ寸法を直接にサイズ決定手段75により入力させるなど任意に設けることができる。また、アイロンプリントシールを貼る対象物(例えばTシャツ用、テーブルクロス用、ハンカチ用、ネイルアート用)を表示画面5を見ながら選択できるようにすることもできる。
【0147】
なお、前記サイズ決定手段75の使用者による選択方法は、前記操作手段Bを兼用して決定することができるように構成してある。
【0148】
前記サイズ決定手段Bにより印刷されるサイズが決定されると、そのサイズ領域に応じた図柄が、第25図に示すように、プリンタヘッドP3により印刷される。第26図に示すのは、印刷された図柄を例示した図である。第27図は、第26図と同様に印刷された図柄を例示した図であり、第26図に示した図柄を複数分割して印刷した例を示す。第27図に示すように、縮小印刷する場合は、余った領域を有効利用する印刷を行えるように構成することが好ましい。
【0149】
第28図に示すのは、前記印刷サイズ変更手段14の拡大又は縮小動作の一例を示す図である。
【0150】
前記第2のメモリP2に記憶された電子情報は、分割手段14によって1行づつプリンタヘッドP3に出力され、この出力された1行づつの電子情報をライン型のサーマルヘッドTにより、アイロンプリントシール原紙30に印刷される。印刷されたものがアイロンプリントシール31である。
【0151】
前記第2のメモリP2に記憶された電子情報を1対1で印刷する場合(1対1モード)、プリンタヘッドP2に内蔵されたラインメモリP6には、1行の電子情報が印刷サイズ変更手段14を介してそのまま出力され、この出力された電子情報をサーマルヘッドTにより印刷する。
【0152】
また、前記第2のメモリP2に記憶された電子情報を縮小で印刷する場合(縮小モード)、第2のメモリP2の1行目の電子情報を印刷サイズ変更手段14により間引きする変更を施し、ラインメモリ13Bに出力され、この出力された電子情報をサーマルヘッド13Aにより印刷する。
【0153】
さらに、前記第2のメモリP2に記憶された電子情報を拡大で印刷する場合(拡大モード)、第2のメモリP2の1行の電子情報を、印刷サイズ変更手段14がピクセルごとの電子情報を一つおきに出力すると同時に、歯抜けとなる間の電子情報は、補間処理により新たな電子情報を作成してラインメモリP6に出力する。そして、ラインメモリP6に記憶(ラッチ)された電子情報をサーマルヘッドTにより印刷する。
【0154】
前記プリンタヘッドP3には、ラインメモリP6を内蔵する構成のものを採用したが、これはライン型のサーマルヘッドTを使用し、1ライン(行)単位で一挙に印刷するために必要なのものであって、本発明には必ずしも必要となるものではない。例えば、Tにシリアルヘッドを採用し、1ドットごとの電子情報を印刷サイズ変更手段14から受け取って、ドット単位で印刷するようにすればラインメモリP6を必要としない。
【0155】
この発明におけるプリンタヘッドPとは、第1乃至第3のメモリから前記分割手段P5又は印刷サイズ変更手段14を介して電子情報を受け取り、アイロンプリントシール原紙30に前記電子情報を印刷(再現)できるものであれば、サーマルヘッドであろうとインクジェットであろうと何でも採用することができる。
【0156】
さらに、第28図を参考とし、第20図を再度参照しつつ、前記分割手段12の分割方法について追加的な説明をする。第28図において符号14が前述した実施の形態の場合の分割手段12に該当する。そして、分割手段P5は第2のメモリP2の行方向の各ピクセルアドレスをカウントするカウンタと、列方向の各ピクセルアドレスをカウントするカウンタとを備えている。
【0157】
ここで、前記メモリP2の行数をm行、列数をn列とすると、4分割の場合は、まず第28図のラインメモリP6に対して1行目のn/2列までの電子情報を出力する。そして、次に2行目の先頭アドレスからn/2までの電子情報を出力し、これをm/2行めまで繰り返し行う。(第20図のaの印刷終了)
次に、未だ印刷されていない1行目のn/2列を先頭にして電子情報を読み出し、n列までの電子情報をラインメモリ13Bに出力する。そしてm/2行まで各行でのn/2列を先頭アドレスとして1/2行単位で、ラインメモリP6に電子情報を出力し、サーマルヘッドTで印刷する(第20図のbの印刷終了)。m/2行までの印刷が終了すると、m/2行の1列目からn/2列までの電子情報を印刷し、これをm行まで繰り返す(第20図のcの印刷終了)。
【0158】
m行目での印刷が終了すると、m/2行のn/2列を先頭にn列までの電子情報を1単位としてラインメモリP6に出力し、同様にn/2列を先頭としてm行までこれを繰り返して印刷を行う(第20図のdの印刷終了)。
【0159】
前述した分割の方法では、4分割されたa乃至dのアイロンプリントシール31を合体させて所定の図柄を得ることができるようにしているが、その合体の際に必要となる「合体しろ(スペース)」を設けることもできる。合体しろを設けることにより、合体させたことを他人に悟られにくい図柄を簡単に得ることができるメリットが生じる。
【0160】
合体しろ設け方は様々考えられるが、先に示したn行m列の電子情報を再現する場合を例にとって説明すると、4分割の場合の例えば図2のBの図柄を得ようとする場合、先頭の列アドレスをn/2とするのではなく、n/2-,,として,,ピクセル戻ってダブリ印刷を行うようにすれば簡単に対応することができる。このような制御は、分割手段12のプログラムを変更することにより行うことができる。
【0161】
産業上の利用可能性
以上のように、本発明は、予め記憶させた前景や背景などのフレーム絵柄と、その場で撮影した映像とを合成するフォトブースシステムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係わるフォトブースのブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるフォトブースのフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態1によるフォトブースの側面断面図である。
【図4】本発明の説明図であり、スタンプ本体への映像再現状態を説明するための断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2他を説明するために使用されるフォトブースの正面図である。
【図6】実施の形態2によるフォトブースの制御ブロック図である。
【図7】シール紙を切断及び印刷する状態を模式的に示した斜視図である。
【図8】第7図の平面図である。
【図9】様々な印刷形態を示す模式図である。
【図10】実施の形態2のフロー図である。
【図11】実施の形態3のフォトブースのブロック図である。
【図12】実施の形態3のフロー図である。
【図13】シール紙を切断及び印刷する状態を模式的に示した斜視図である。
【図14】第13図の平面図である。
【図15】実施の形態4のフォトブースの制御ブロック図である。
【図16】様々な印刷形態を示す模式図である。
【図17】従来から知られているシール紙の平面図及びその側面図である。
【図18】従来の印刷方式を説明するための説明図である。
【図19】実施の形態5のフォトブースのブロック図である。
【図20】分割手段の働きを説明する説明図である。
【図21】実施の形態5におけるフォトブースのフロー図である。
【図22】フォトブースにおいて縮小印刷する場合の説明図である。
【図23】フォトブースにおいて拡大印刷する場合の説明図である。
【図24】実施の形態5の変形例を示すブロック図である。
【図25】実施の形態5の変形例の動作接メイズである。
【図26】アイロンプリントシール原紙に画像/映像が印刷された状態を示す説明図である。
【図27】アイロンプリントシール原紙に画像/映像が印刷された状態を示す説明図である。
【図28】印刷サイズ変更手段による拡大又は縮小動作の一例を示す説明図である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2004-07-28 
結審通知日 2004-07-29 
審決日 2004-08-12 
出願番号 特願平10-545485
審決分類 P 1 122・ 121- ZA (H04N)
最終処分 成立  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 藤内 光武
小松 正
登録日 2000-07-28 
登録番号 特許第3093286号(P3093286)
発明の名称 フォトブース及び撮影方法  
代理人 岩永 和久  
代理人 青木 篤  
代理人 鶴田 準一  
代理人 島田 哲郎  
代理人 岩永 和久  
代理人 西山 雅也  
代理人 島田 哲郎  
代理人 青木 篤  
代理人 水谷 好男  
代理人 鶴田 準一  
代理人 水谷 好男  
代理人 西山 雅也  

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