• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B29C
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B29C
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 B29C
審判 査定不服 特29条の2 取り消して特許、登録 B29C
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 B29C
管理番号 1136833
審判番号 不服2002-18239  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-19 
確定日 2006-06-06 
事件の表示 平成6年特許願第152273号「合成樹脂枠体付き窓体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成7年3月14日出願公開、特開平7-68620号、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成6年7月4日(優先権主張平成5年7月2日)の出願であって、平成14年7月29日付け手続補正書により補正され、その後、拒絶査定がなされた。
これに対し、平成14年9月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成14年10月21日付け手続補正書による手続補正がなされたものである。

II.平成14年10月21日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年10月21日付けの手続補正書による手続補正を却下する。
[理由]
(1)特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項の規定について
(1―1)検討
平成14年10月21日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲請求項1を、「窓用板状体の周縁部に沿って窓用板状体の少なくとも片面上に合成樹脂材料をダイより所定の形状で押出すことによって合成樹脂枠体の成形体を成形し、この合成樹脂枠体の成形体を固化させ、窓用板状体と合成樹脂枠体とを一体化する合成樹脂枠体付き窓体の製造方法において、前記合成樹脂材料として、粘度が剪断速度10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズである熱可塑性の合成樹脂材料を用い、ダイより押出す際に、前記合成樹脂材料を加熱して軟化させた状態で押出して窓用板状体の周縁部に成形体を成形し、次いで冷却手段によって冷却して固化させることを特徴とする合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。」とする補正事項(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。
そして、補正事項1によると、本願請求項1に係る発明は、「粘度が剪断速度10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズである熱可塑性の合成樹脂材料を用い、ダイより押出す際に、前記合成樹脂材料を加熱して軟化させた状態で押出」すとの発明特定事項を含むことになる。
補正事項1に関する記載として、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)には、次の事項が記載されている。

a)「【請求項2】
ダイから押出す軟化した合成樹脂材料の粘度が、剪断速度が10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズであることを特徴とする請求項1の合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。」(特許請求の範囲請求項2)
b)「合成樹脂材料は、押出し成形後に冷却固化するまでの間、窓用板状体の周縁部に所定の形状を保持していなければならない。そのため、ダイより押出される合成樹脂材料の粘度は、上記温度で、剪断速度が10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズであることが好ましい。」(段落【0038】)
c)「その周縁部を図4に示す形状のダイ1に嵌合し、図1に示す方法によってガラス板の周縁部をダイ1に沿って1m/分の速度で移動させながら、180℃の軟化したポリ塩化ビニル樹脂(剪断速度が10/秒で25,000ポイズ)を押出すことにより、・・・(中略)・・・ガラス板を得た。」(段落【0042】)
d)「この際、ガラス板の上辺部31から側辺部にかけて、まず、180℃の軟化したポリ塩化ビニル樹脂(剪断速度が10/秒で30,000ポイズ)を押出して、図10(a)に示す断面形状のポリ塩化ビニル樹脂枠体の成形体をガラス板の上辺部31に成形し、」(段落【0045】)
ところで、補正事項1に規定の「剪断速度が10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズ」の粘度は、上記請求項1には、「窓用板状体の周縁部に沿って窓用板状体の少なくとも片面上に合成樹脂材料をダイより所定の形状で押出すことによって合成樹脂枠体の成形体を成形し、この合成樹脂枠体の成形体を固化させ、窓用板状体と合成樹脂枠体とを一体化する合成樹脂枠体付き窓体の製造方法において、前記合成樹脂材料として、粘度が剪断速度10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズである熱可塑性の合成樹脂材料を用い、ダイより押出す際に、前記合成樹脂材料を加熱して軟化させた状態で押出して窓用板状体の周縁部に成形体を成形し、次いで冷却手段によって冷却して固化させることを」と記載されていることからみて、次の2つの場合のいずれかの状態での「合成樹脂材料」に係る粘度と解することが相当である。
ア)上記「窓用板状体の周縁部に沿って窓用板状体の少なくとも片面上に合成樹脂材料をダイより所定の形状で押出すこと」との記載からみて、ダイより押し出す状態での合成樹脂材料の粘度。
イ)上記「前記合成樹脂材料として、粘度が剪断速度10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズである熱可塑性の合成樹脂材料を用い」との記載からみて、加熱して軟化させた状態となる前のいわゆる原料の状態での合成樹脂材料の粘度。
そこで、上記ア及びイ)の状態の各場合について、新規事項の有無を検討する。
ア)の場合について
ダイより押し出す状態の合成樹脂材料の粘度については上記事項a)ないしd)のいずれにも記載されているものといえる。
しかしながら、上記粘度を有する「前記合成樹脂材料」を、(さらに)「加熱して軟化させた状態で押出して窓用板状体の周縁部に成形体を成形し、次いで冷却手段によって冷却して固化させる」点については、当初明細書には記載されておらず、当初明細書又は図面から自明な事項ともいえない。
イ)の場合について
上記事項a)ないしd)の合成樹脂材料に関する記載は、いずれも軟化状態での合成樹脂についての記載であることは明らかであり、いわゆる原料の状態での合成樹脂材料の粘度が「剪断速度が10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズ」の粘度であるとの点については、当初明細書には記載されておらず、当初明細書又は図面から自明な事項ともいえない。
したがって、いずれにしても、補正事項1は、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
上記のことから、補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第2項において準用する特許法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。

(2)特許法第17条の2第3項の規定について
(2-1)補正事項1に係る上記請求項1の「合成樹脂材料」の「粘度」は、上記(1-1)で検討したア)及びイ)の両方の意味を有しており不明りょうとなっている。
したがって、補正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当せず、また、請求項の削除、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当せず、補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の各号に規定のいずれの事項を目的とするものでない。
(3)むすび
以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第2項において準用する特許法第17条第2項及び特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

III.本願発明について
(1)本願発明
平成14年10月21日付け手続補正書による手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、「本願発明1ないし5」という。)は、平成14年7月29日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲請求項1ないし5に記載された次のとおりのものである。

(本願発明1)
「【請求項1】
窓用板状体の周縁部に沿って窓用板状体の少なくとも片面上に合成樹脂材料をダイより所定の形状で押出すことによって合成樹脂枠体の成形体を成形し、この合成樹脂枠体の成形体を固化させ、窓用板状体と合成樹脂枠体とを一体化する合成樹脂枠体付き窓体の製造方法において、前記合成樹脂材料として熱可塑性の合成樹脂材料を用い、ダイより押出す際に、前記合成樹脂材料を加熱して軟化させ合成樹脂材料の粘度が、剪断速度が10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズである状態で押出して窓用板状体の周縁部に成形体を成形し、次いで冷却して固化させることを特徴とする合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。」
(本願発明2)
「【請求項2】
合成樹脂材料が、軟質塩化ビニル系樹脂材料、オレフィン系樹脂材料およびスチレン系樹脂材料から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。」
(本願発明3)
「【請求項3】
ダイの合成樹脂材料を押出す部分の形状を連続的に変化させ、窓用板状体の周縁部に成形される成形体の断面形状を連続的に変化させる工程を含む請求項1または2に記載の合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。」
(本願発明4)
「【請求項4】
ダイの内側にスライドコアを備え、合成樹脂材料を押出す際に前記スライドコアを移動させることによって、窓用板状体の周縁部に成形される成形体の断面形状を連続的に変化させる請求項3に記載の合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。」
(本願発明5)
「【請求項5】
ダイの合成樹脂材料を押出す部分の形状の変化に合わせて合成樹脂材料の押出し量を連続的に制御する請求項3または4に記載の合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。」

(2)原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりであると認める。

平成14年8月14日付け拒絶査定では、平成14年5月23日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものであるとされており、次のような旨の備考が記載されている。

【備考】
本願発明1ないし5は、下記の1)ないし7)の刊行物(以下、「刊行物1ないし7」という。)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明である。
また、押出成形品を製造する際の条件として、形状の保持や押出が困難にならないよう適切なものに選択することは、当業者が通常行うことである(必要により下記9)の刊行物(以下、刊行物9)という)参照)との旨の付記がある。

上記平成14年5月23日付け拒絶理由通知書には、次のa.ないしc.の旨の理由が記載されている。

a.平成13年4月5日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲請求項1ないし3に係る発明は、刊行物1ないし7に記載された発明である。
b.該請求項1ないし6に係る発明は、刊行物1ないし7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
c.該請求項1ないし3に係る発明は、下記の8)に係る出願(以下、「出願8」という。)の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一である。


引用された刊行物等:
1)特開平04-151225号公報
2)特開平04-261822号公報
3)特開平05-000438号公報
4)特開平05-154890号公報
5)特開平03-001922号公報
6)特開平05-024433号公報
7)特開昭57-158481号公報
8)特願平04-239854号(特開平06-087146号公報参照)
9)特開平02-194044号公報

(3)引用刊行物等の記載
(3-1)刊行物1
刊行物1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3-1-1)「ガラスウインドの周辺に樹脂成形品を取付ける加工方法において、押出ノズルを固定し、ガラスウインドを回転させてガラスウインドの外周縁に樹脂成形品を取付けることを特徴とするガラス周縁部における樹脂成形品の成形方法。」(特許請求の範囲)
(3-1-2)「この発明は、自動車の・・・(中略)・・・各種のガラスウインドの周辺に樹脂モール等の樹脂成形品を取付けるガラス周縁部における樹脂成形品の成形方法に関するものである。」(第1頁左下欄第12〜16行)
(3-2)刊行物2
刊行物2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3-2-1)「パネルの周縁部に枠体が装着されてなる枠体付きパネルを製造する方法であって、押出し成形用ダイ装置の口金に形成された押出口に対し、その側方開口部から前記パネルの周縁部の一部分を差し込んで、そのパネルの周縁部と前記口金の押出口との間に前記枠体の断面形状に対応する成形空間を構成し、次に前記ダイ装置の材料給送路から給送される枠体材料を前記成形空間を経て押出口から押出しながら、前記パネルと前記ダイ装置とをパネル周縁部に沿って相対的に移動させることで、前記パネルの周縁部に沿って連結する均一断面の枠体を形成すると同時に前記パネル周縁部に前記枠体を接合して一体化することを特徴とする枠体付きパネルの製造方法。」(特許請求の範囲請求項2)
(3-2-2)「従来、車両用ウインドガラスのようなパネルの周縁部に装着される枠体は、合成樹脂、ゴム等によって一直線上に押出し成形されるものがある。そして、直線上に押出し成形された枠体は、パネルの各コーナ部において屈曲されながらパネルの周縁部に嵌込まれて接着される。前記したように枠体が一直線上に押出し成形されるものにあっては、パネルの周縁部に対し枠体を嵌込んで接着する作業に多くの手間を必要とするばかりでなく、パネルのコーナ部やその近傍において、枠体に「しわ」や「浮上り」が生じ、見栄えが損なわれるという問題点があった。・・・(中略)・・・パネルの周縁部に対し、枠体を装着する煩しさを解消すために、例えば特開昭63-15716号公報に開示されたものが知られている。これにおいては、射出成形用の一対の金型内にパネルをセットした後、両金型を型締めする。そして、両金型内において、パネルの周縁部に形成されたキャビティに樹脂、ゴム等の枠体材料を射出することで、パネルの周縁部に枠体が形成される。」(段落【0002】〜【0003】)
(3-2-3)「この発明の一実施例の枠体付きパネルを・・・(中略)・・・説明する。この実施例においては枠体付きパネルが車両のフロント用モールディング付きウインドガラスである場合を例示するものである。・・・(中略)・・・モールディング5は、合成樹脂、ゴム等よりなり、ウインドガラス3周縁部に沿って連続しかつ同ウインドガラス3の周縁部に押出し成形されると同時に前記接着剤4によって接合されている。そしてモールディング5はウインドガラス3の周縁に沿って枠状をなしかつ均一断面に形成されている。」(段落【0012】)
(3-3)刊行物3
刊行物3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3-3-1)「パネルと、前記パネルの周縁部に沿って連続しかつ同パネル周縁部に押出し成形されると同時に接合される均一断面の枠体と、を一体に備えていることを特徴とする枠体付きパネル。」(特許請求の範囲請求項1)
(3-3-2)「従来、車両用ウインドガラスのようなパネルの周縁部に装着される枠体は、合成樹脂、ゴム等によって一直線上に押出し成形されるものがある。そして、直線上に押出し成形された枠体は、パネルの各コーナ部において屈曲されながらパネルの周縁部に嵌込まれて接着される。 前記したように枠体が一直線上に押出し成形されるものにあっては、パネルの周縁部に対し枠体を嵌込んで接着する作業に多くの手間を必要とするばかりでなく、パネルのコーナ部やその近傍において、枠体に「しわ」や「浮上り」が生じ、見栄えが損なわれるという問題点があった。・・・(中略)・・・パネルの周縁部に対し、枠体を装着する煩しさを解消すために、例えば特開昭63-15716号公報に開示されたものが知られている。これにおいては、射出成形用の一対の金型内にパネルをセットした後、両金型を型締めする。そして、両金型内において、パネルの周縁部に形成されたキャビティに樹脂、ゴム等の枠体材料を射出することで、パネルの周縁部に枠体が形成される。」(段落【0002】〜【0003】)
(3-3-3)「前記ウインドガラス3の周縁部には、その接着剤4の塗布部分において、枠体としてのモールディング5が接合されて一体化されている。モールディング5は、合成樹脂、ゴム等よりなり、ウインドガラス3周縁部に沿って連続しかつ同ウインドガラス3の周縁部に押出し成形されると同時に前記接着剤4によって接合されている。そしてモールディング5はウインドガラス3の周縁に沿って枠状をなしかつ均一断面に形成されている。」(段落【0009】)
(3-4)刊行物4
刊行物4には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3-4-1)「長さ方向で押出断面形状が連続して変化するウェザストリップの製造方法において、押出機先端の押出用口金の製品開孔を通じて成形体を押出すにあたり、ウェザストリップの断面形状変化に伴う背圧変化を、前記製品開孔と離れて背圧調整用開孔を設け、該背圧調整用開孔の形状および開孔面積を製品開孔の変化部と同形、同面積となし、互いに連動させ、同量逆変化せしめることにより一定に保持せしめることを特徴とするウェザストリップの製造方法。」(特許請求の範囲請求項1)
(3-4-2)「本発明方法により自動車用ウェザストリップは既知の如く、一方の押出機よりソリッドのエラストマー材(ゴム)を送出し、他方の押出機より発泡性エラストマー材(ゴム)を送出し・・・(中略)・・・長さ方向に連続して押し出されつつ、途中で断面形状が変化するウェザストリップを製造することができる。」(段落【0009】)
(3-5)刊行物5
刊行物5には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3-5-1)「本発明は長手方向に少なくとも横断面の一部を相似変形させた押出異形品、特に自動車のウエザーストリップを連続的に製造する方法に関するものである。」(第1頁左下欄第20行〜右下欄第3行)
(3-6)刊行物6
刊行物6には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3-6-1)「ウインドウガラスのアッパー側から両サイド側にかけての周縁部に沿って装着されるアッパーモールディング及びサイドモールディングを押出成形するものであって、
ウインドウガラスと車体パネルの窓枠開口部との隙間内に挿入される脚部を押出成形するための開口部と、少なくともウインドウガラス側に弾接される装飾部を押出成形するための開口部を備えてなるダイを用いて、モールディングの押出を行うようにした自動車用ウインドウモールディングの製造方法において、
サイドモールディングを成形する際には、前記ダイにおける装飾部に対応する押出開口部の開口面積を拡張して、装飾部の肉厚を膨肉化させつつ押出を行い、
かつサイドモールディングの長手方向略中央部よりも上方側を成形する際において、前記装飾部に対応する押出開口部の開口面積拡張領域内に、他のダイを進入させることによって、装飾部の膨肉厚肉部の側壁に雨水受け溝を凹設するように押出を行うようにしたことを特徴とする自動車用ウインドウモールディングの製造方法。」(特許請求の範囲請求項2)
(3-6-2)「図2ないし図6に示された第1実施例におけるウインドウモールディング2は、ゴム、合成樹脂等の弾性材料を後述する成形装置によって長尺帯状に一体に押出成形してなるものであり、」(段落【0010】)
(3-7)
刊行物7には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3-7-1)
「板硝子の周辺部に合成樹脂製のモールあるいはガスケットを形成する方法において、板硝子を型内に配置し、該板硝子の周辺部表面および型内面により形成されたキャビティー空間に固化しうる合成樹脂あるいはその原料を注入し、合成樹脂の固化後該板硝子を該型より取り出すことを特徴とする板硝子の周辺部に合成樹脂製のモールあるいはガスケットを形成する方法。」(特許請求の範囲請求項1)
(3-7-2)「自動車などの車両用の板硝子あるいは建築用板硝子の周辺部に装飾あるいはシール等を目的として合成樹脂製のモールやガスケット(以下両者をモールと総称する)を取り付けることは通常行なわれている。この合成樹脂製モールの板硝子への取り付けは通常あらかじめ成形したモールを使用し、これを板硝子の周辺部へ接着、はめ込み等の手段で取り付ける方法で行なわれている。しかしながら、この従来の方法は・・・(中略)・・・煩雑な方法であるとともに経済性も充分でない。また、複雑な形状を有するモールや表面に凹凸模様などを形成したモールは従来の押圧成形などによるモールの成形方法では製造困難であった。」(第1頁右下欄第5〜20行)
(3-7-3)「本発明において、固化しうる合成樹脂あるいはその原料における固化しうるとは、流動状態から非流動状態となりうるものをいい、合成樹脂原料の場合非流動状態化したときは合成樹脂となっているものをいう。熱可塑性樹脂の場合加熱溶融により流動可能な状態となり、冷却により非流動状態となる。熱硬化性樹脂は未硬化状態において液体〜固体であり、固体のものは加熱等により流動状態となり、いわゆる硬化あるいは架橋反応により非流動状態となる。・・・(中略)・・・本発明における固化とは、これらの流動状態でキャビティー空間に注入された合成樹脂やその原料がキャビティー空間内で非流動状態になる状態の変化をいうものとする。」(第4頁右下欄第1〜17行)
(3-7-4)「特に、比較的低圧で合成樹脂やその原料を射出できるRIM方法やLIM方法が好ましい。」(第5頁左上欄第1〜3行)
(3-8)出願8
出願8に係る出願公開された明細書(特開平06-087146号公報参照、以下、「先願明細書」という。))には次の事項が記載されている。
(3-8-1)「その周縁が直線状部およびコーナー曲線状部から成るパネルの周縁表面と端面を含む周縁部に、所期の枠体が装着されてなる枠体付きパネルを、押出成形によって製造する方法において、押出成形用ダイ装置の口金に形成した押出口および該装置のダイ本体に対し、その側方開口部から前記パネルの周縁部の一部分を差し込んで囲むようにし、そのパネルの周縁部と前記口金の押出口との間に前記枠体の断面形状に対する成形空間および前記ダイ本体に対するキャビティ空間を構成し、次いで、前記ダイ装置のダイ本体内の材料給送路を流路して材料給送路でもあるキャビティ空間から給送される枠体材料を、前記成形空間を経て押出口から押出しながら、前記パネルと前記ダイ装置とを前記パネル周縁部に沿って相対的に移動する、その移動速度を前記コーナー曲線状部で前記直線状部における速度より遅くするよう制御しながら移動させることで、前記パネルの周縁部に沿って連装する所期の均一状断面形状の枠体を形成すると同時に、前記パネルの周縁部に該枠体を固着一体化することを特徴とする枠体付きパネルの製造方法。」(特許請求の範囲請求項1)
(3-8-2)「図2に示すように、前記ウインドガラス2の周縁部56の表裏両面57、58および端面59に樹脂系接着剤等でなるプライマ4を処理した後、塩ビ系あるいはウレタン系等の合成樹脂またはゴム等よりなる所期の形状の均一状断面でかつ枠体状をなす前記モールディング3を、該ウインドガラス2周縁60の表裏両面57、58と端面59を含む周縁部56に押出成形によって連続して接着と同時一体成形することで成した、前記図1においてIーI視したモール付き自動車用窓ガラス1の部分拡大側断面図である。」(段落【0020】)
(3-9)
刊行物9には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3-9-1)「(1)主としてシンジオタクチック構造を有し、かつ300℃、剪断速度10/秒の条件で測定した溶融粘度が103ポアズ以上106ポアズ未満のスチレン系重合体又はそれを含有する組成物からなり、前記スチレン系重合体部の結晶化度が15%以上であることを特徴とする押出成形用材料。
(2)主としてシンジオタクチック構造を有し、かつ300℃、剪断速度10/秒の条件で測定した溶融粘度が103ポアズ以上106ポアズ未満のスチレン系重合体又はそれを含有する組成物を溶融押出後、空冷することを特徴とする請求項1記載の押出成形用材料の製造方法。」(特許請求の範囲請求項1,2)
(3-9-2)「本発明は・・・(中略)・・・詳しくは糸、不織布、フィルム、シート、チューブ、棒、ボルト等、各種の成形品を成形するために有用な押出成形用材料、その製造方法及び成形品の製造方法に関する。」(第1頁右下欄第14〜18行)
(3-9-3)「本発明に言う主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とは、・・・(中略)・・・を指称する。・・・(中略)・・・。これらの重合体のうち、300℃、剪断速度10/秒の条件で測定した溶融粘度が103ポアズ以上106ポアズ未満のものが、本発明に用いられる。ここで103ポアズ未満では成形材料としてのペレットの形状にしにくくなり、106ポアズ以上では溶融押出が困難となる。」(第3頁左上欄第7行〜右上欄第19行)
(3-9-4)「本発明により成形品を製造するには、上記のようにして得られた押出成形用材料(ペレット)を用いて押出成形をするのであるが、本発明において押出成形とは、連続的あるいは半連続的に押し出される射出成形をも含む。・・・(中略)・・・。これらの成形において、ダイ出口の剪断応力を5×106dyne/cm2以下、好ましくは5×103〜3×106dyne/cm2にして成形する。剪断応力が5×106dyne/cm2を超えると、メルトフラクチャーの発生により表面の膚荒れ等の外観不良が起こり、好ましくない。剪断応力は、成形材料の分子量、押出温度、押出量、押出ダイの形状等によって適宜調節することができる。」(第6頁左上欄10行〜右上欄第5行参照)
(3-9-6)「実施例1 ・・・(中略)・・・。このペレットを用いて、シート成形を行った。・・・。ダイ出口の樹脂温度を310℃で押出した。・・・(中略)・・・実施例2 実施例1で得られたペレットを用いて、ストランドを押出した。・・・(中略)・・・。ダイ出口の樹脂温度を310℃で押出した。・・・。」(第7頁左上欄第7行〜左下欄第2行)

(4)対比・判断
(4-1)本願発明1
(4-1-1)特許法第29条第1項及び第2項の規定について
刊行物1には、「ガラスウインドの周辺に樹脂成形品を取付ける加工方法において、押出ノズルを固定し、ガラスウインドを回転させてガラスウインドの外周縁に樹脂成形品を取付けること」が記載されており、刊行物2には、「パネルの周縁部に枠体が装着されてなる枠体付きパネルを製造する方法ガラスウインドの周辺に樹脂成形品を取り付ける加工方法」が記載され、さらに、上記枠体付きパネルの例として、「車両のフロント用モールディング付きウインドガラス」が挙げられている。刊行物3には、「パネルと、前記パネルの周縁部に沿って連続しかつ同パネル周縁部に押出し成形されると同時に接合される均一断面の枠体と、を一体に備えていることを特徴とする枠体付きパネル。」に関する事項が記載され、また上記パネルの例として、「ウインドガラス」が挙げられており、上記枠体付きパネルのパネル周縁部に上記枠体を押し出し成形することについても実質的に記載されているといえるから、刊行物1ないし3のいずれにも、本願発明1の構成要件のうち、「窓用板状体の周縁部に沿って窓用板状体の少なくとも片面上に合成樹脂材料をダイより所定の形状で押出すことによって合成樹脂枠体の成形体を成形し、この合成樹脂枠体の成形体を固化させ、窓用板状体と合成樹脂枠体とを一体化する合成樹脂枠体付き窓体の製造方法」において、「合成樹脂材料」を用い、「合成樹脂材料」を「押出して窓用板状体の周縁部に成形体を成形」する「合成樹脂枠体付き窓体の製造方法」に相当する製造方法が記載されているものといえる。
しかしながら、刊行物1ないし3には、本願発明1の構成要件のうち、少なくとも、合成樹脂材料の種類、粘度、押出しの態様に関して、「合成樹脂材料として熱可塑性の合成樹脂材料を用い、ダイより押出す際に、合成樹脂材料の粘度が、剪断速度が10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズである状態で押出」す点については、記載はなく、その点の示唆も見いだせない。
また、刊行物4ないし6、さらに、上記拒絶査定において、上記備考の記載に関連して挙げられた刊行物9にも、上記本願発明1の上記の点について、記載はなく、その点の示唆も見いだせない。
刊行物7には、板硝子の周辺部に形成するモール等の成形用材料として、熱可塑性樹脂を用いることが記載されている。
しかしながら、刊行物7に記載の板硝子の周辺部に形成するモール等の成形に用いられれている成形法は、刊行物1ないし3に記載された成形方法である押出し成形法とは異なる射出成形法の一種であるRIM方法又はLIM方法であり、かつ、複雑な形状を有するモールや表面に凹凸模様などを形成したモールの形成が困難な従来の押圧成形と区別されるものであるとされている。
そして、刊行物1ないし3における押出し成形法と刊行物7に記載の熱可塑性樹脂を用いる射出成形方法の一種であるRIM方法又はLIM方法とでは、合成樹脂の硬化或いは固化に関する成形の原理が全く異なり、前者では、合成樹脂の硬化のために加熱することが要求されているのに対して、後者では、樹脂の固化のために冷却することが要求されるものであるから、熱可塑性樹脂を用いて、加熱した流動状態でキャビティ内に合成樹脂を導入し、その後、キャビティ内の温度を熱可塑性樹脂が固化する温度にする必要がある刊行物7のような射出成形法の技術を刊行物1ないし3に記載のような押出し成形法に適用することは、当業者であっても困難なことといえ、まして、その際に、熱可塑性樹脂の粘度が「剪断速度が10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズ」である状態を満足するように押出すことが容易に成し得ることとはいえない。
上記のことから、本願発明1は、刊行物1ないし7に記載された発明でなく、刊行物1ないし7に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(4-1-2)特許法第29条の2の規定について
先願明細書には、「パネルの周縁部と前記口金の押出口との間に前記枠体の断面形状に対する成形空間および前記ダイ本体に対するキャビティ空間を構成し、次いで、前記ダイ装置のダイ本体内の材料給送路を流路して材料給送路でもあるキャビティ空間から給送される枠体材料を、前記成形空間を経て押出口から押出しながら、前記パネルと前記ダイ装置とを前記パネル周縁部に沿って相対的に移動する」ことが記載されており、このことに関連して、上記パネルとして「ウインドガラス」が、上記枠体材料として「塩ビ系あるいはウレタン系等の合成樹脂」が記載されているが、押出成形する際の枠体材料の粘度についての記載及び「成形体を成形」し、「次い」で「冷却して固化させる」ことについての記載はなく、それらのことが先願明細書又は図面の記載からみて、自明のことともいえない。
したがって、本願発明1が、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。
(4-2)本願発明2ないし5
本願発明2ないし5は、本願発明1を引用するものであり、本願発明1の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する。
すると、本願発明2ないし5は、本願発明1に対して、上記(4-1)で検討したと同様の理由により、刊行物1ないし7に記載された発明であるとすることも、刊行物1ないし7に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとすることも、先願明細書又は図面に記載された発明と同一の発明とすることもできないといえる。

(5)むすび
以上のとおりであるから、原査定を維持することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2006-05-23 
出願番号 特願平6-152273
審決分類 P 1 8・ 572- WY (B29C)
P 1 8・ 121- WY (B29C)
P 1 8・ 561- WY (B29C)
P 1 8・ 113- WY (B29C)
P 1 8・ 16- WY (B29C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 保倉 行雄  
特許庁審判長 増山 剛
特許庁審判官 澤村 茂実
鴨野 研一
発明の名称 合成樹脂枠体付き窓体の製造方法  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ