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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G06F
審判 査定不服 産業上利用性 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G06F
審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G06F
管理番号 1137620
審判番号 不服2004-6958  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-01-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-07 
確定日 2006-06-26 
事件の表示 特願2001-198535「着色液の生産出荷システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月17日出願公開、特開2003- 16150、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
・出願日:平成13年6月29日
・拒絶理由通知:平成15年9月11日付け
・補正書の提出日:15年11月19日
・拒絶理由通知:平成15年12月9日付け
・補正書の提出日:平成16年1月27日
・補正却下の決定(平成16年1月27日付けの補正を却下):平成16年3月5日付け
・拒絶査定日(平成15年12月9日付けの拒絶理由通知に記載した理由による):平成16年3月5日 付け
・審判請求日:平成16年4月7日

2.平成16年3月5日付け補正却下の決定について
【結論】
平成16年3月5日付け補正却下の決定を取り消す。
【理由】
(1)補正却下の決定理由は、概略、次のとおりである。
平成16年1月27日付けの補正により補正された請求項1は、発明の拡張又は変更に相当し、限定的減縮とは言えない。
したがって、この補正は、特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下する。

(2)補正却下の決定の適否
ア.まず、補正却下の対象となった平成16年1月27日付けの補正(以下「第2回目の補正」という。)の応答の対象となった平成15年12月9日付け拒絶理由通知(以下「第2回目の拒絶理由通知」という。)が、特許法第17条の2第1項第3号に記載される「拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知」(以下「最後の拒絶理由通知」という。)であるか否かを検討する。

イ.「第2回目の拒絶理由通知」は、平成15年11月19日付けの補正(以下「第1回目の補正」という。)により補正された各請求項を対象とし、請求項1ないし4には、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨が、請求項4には、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから特許を受けることができない旨が、各々通知されているものである。

ウ.「第2回目の拒絶理由通知」の対象となる「第1回目の補正」により補正された請求項1ないし3は、当初明細書の請求項1ないし3を引用していた請求項4を独立形式としたものであり、「第1回目の補正」により補正された請求項4は、当初明細書の請求項5が繰り上がったものである。

エ.ここで、当初明細書を対象とした、平成15年9月11日付け拒絶理由通知(以下「最初の拒絶理由通知」という。)は、概略、請求項1ないし3に記載されたものは、自然法則を利用した技術的思想の創作とは認められないので、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない、また、請求項1ないし3に記載されたものは特許法第29条第1項柱書でいう発明に該当しないことが明らかであるから、当該請求項に記載のものについては新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない、というものである。すなわち、「最初の拒絶理由通知」においては、当初明細書の請求項1ないし3に対しての理由は記載されているものの、当初明細書の請求項4、5に対しては記載されていないものである。
したがって、「第2回目の拒絶理由通知」の対象である当該請求項1ないし4に相当する当初明細書の請求項4、5に対しては、「最初の拒絶理由通知」にはなんら理由が記載されておらず、拒絶の理由を指摘していないといえる。

オ.したがって、当該請求項1ないし4に対する「第2回目の拒絶理由通知」における拒絶理由は、当初明細書の請求項4、5に存在していた拒絶理由であって、最初の拒絶理由通知をする時に審査官が指摘しなければならないものであったがその時点では発見できなかった拒絶理由に当たるものと認められる。
したがって、「第2回目の拒絶理由通知」は、最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するものとは認められないので最後の拒絶理由通知とすることはできないものである。

カ.また、「第2回目の拒絶理由通知」には最後の拒絶理由通知である旨は記載されておらず、形式的にも最後の拒絶理由通知として取り扱うべきものではない。

キ.ゆえに、「第2回目の補正」は、特許法第17条の2第4項の規定の適用対象ではないものと認められる。

(3)むすび
したがって、「第2回目の補正」に対する補正却下の理由は、根拠のないものであるから、平成16年3月5日付け補正却下の決定は理由がなく、取り消されるべきものである。

3.原査定の理由
原査定の理由は、概略、次のとおりである。
ア.下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(ア)請求項1-4の「前記各生産拠点の生産能力を知得可能な生産状況データを取得する生産状況データ取得手段」は不明確である。生産状況データが何を示しているのか不明である。生産能力と生産状況は本来異なる概念である。また、「知得可能」が何を示しているのか不明確である。

(イ)請求項1-4の「前記受注データと前記生産状況データとに基づいて、前記受注データに応じた前記着色液を生産可能な前記生産拠点または前記生産拠点の組合せを、納品先に距離的または時間的に近い順に1または2以上選択し、若しくは、前記受注データに応じた前記着色液を生産可能であって、納品先を含む所定エリア内に存在する前記生産拠点または前記生産拠点の組合せを、1または2以上選択する生産拠点選択手段」は不明確である。「受注データ、生産状況データとに基づいて」と距離的時間的近さ及び所定エリア内の生産拠点の組合せを選択することとの関係が不明確である。

(ウ)請求項1-4の「前記サーバシステムが、前記受注データに対応した着色液を生産するための原料の配合データを決定する配合データ決定手段」は不明確である。配合データをどのように決定しているのか不明確である。(配合データベースが必要ではないか?)

イ.請求項4は主体が明確でなく、人間の動作(特に生産拠点選択、確定手段)がある場合はコンピュータは単なる道具にすぎず、また、仮にコンピュータの動作である場合、コンピュータのハードウエア資源をどのように用いて具体的に実現された技術的手段であるのかを特定するものではないので、この請求項4に記載された事項に基づいて把握される発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作とは認められなく、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

4.当審の判断
ア.について
(ア)について
「前記各生産拠点の生産能力を知得可能な生産状況データを取得する生産状況データ取得手段」が削除され、また、生産状況データについては「前記サーバシステムには、各生産拠点の品種別生産残数と着色液の原料の在庫数量とを含む生産状況データと、単位数量あたりの品種別生産所要時間とが記憶され、」と「第2回目の補正」により補正されたので、指摘された理由は解消された。

(イ)について
「 各生産拠点から納品先が属する各地域までの距離または所要時間の少なくとも一方が格納された地図データベースと、」「を備え、」
「 前記サーバシステムには、各生産拠点の品種別生産残数と着色液の原料の在庫数量とを含む生産状況データと、単位数量あたりの品種別生産所要時間とが記憶され、」
「 前記サーバシステムが、前記ユーザ端末から、製品コード、カラー番号、数量(以下、受注数量と言う。)、受取希望日時、及び、納品先住所のデータを含む着色液の受注データを取得する受注データ取得手段と、
前記サーバシステムが、前記納品先住所のデータを参照して納品先を含む所定のエリア内の生産拠点を選択し、または、前記地図データベースに格納されている距離または所要時間と前記納品先住所のデータとを参照して納品先に距離的にまたは時間的に近い順に生産拠点を選択し、選択した生産拠点の前記在庫数量と前記受注数量とに基づいて、前記受注データに応じた着色液を生産するにあたって在庫に不足が無いか否かを判断し、在庫に不足が無い生産拠点があった場合に、当該生産拠点の前記品種別生産残数と前記受注数量と前記品種別生産所要時間とに基づいて、当該生産拠点に前記受注データに応じた着色液の生産を割り当てた場合の生産完了予定日時を算出し、前記生産完了予定日時と当該生産拠点における所定の出荷スケジュールと前記地図データベースに格納されている距離または所要時間とに基づいて、配送予定日時を算出し、前記配送予定日時が前記受取希望日時を経過しなければ、当該生産拠点を前記受注データに応じた着色液を一括生産可能な生産拠点として選択する生産拠点選択手段と、」と「第2回目の補正」により補正されたので、指摘された理由は解消された。

(ウ)について
「 製品コード及びカラー番号毎に着色液の標準配合データが格納された配合データベースと、
を備え、」
「 前記サーバシステムが、前記受注データに対応した着色液の製品コード及びカラー番号により前記配合データベースを検索して、前記受注データに対応した着色液の前記標準配合データを取得し、前記標準配合データに基づいて、前記受注データに対応した着色液を生産するための原料の配合データを決定する配合データ決定手段と、」と「第2回目の補正」により補正されたので、指摘された理由は解消された。

イ.について
請求項4は、「着色液のユーザ側に設けられたユーザ端末から、アクセス可能であると共に、着色液を生産する複数の生産拠点にそれぞれ設けられた複数の生産拠点端末から、アクセス可能であって、各色についての色相、彩度、及び、明度を表すデータとカラー番号とを含むカラーデータを格納したカラーデータベースと、各生産拠点から納品先が属する各地域までの距離または所要時間の少なくとも一方が格納された地図データベースと
を備え、各生産拠点の品種別生産残数と着色液の原料の在庫数量とを含む生産状況データと、単位数量あたりの品種別生産所要時間とが記憶されたコンピュータを、
前記コンピュータが、前記ユーザ端末に色についての検索条件の入力画面を表示するためのデータを送信し、前記入力画面において入力された検索条件に合致する色についての前記カラーデータを前記カラーデータベースから取得し、取得した前記カラーデータに基づいて、前記検索条件に合致する色を前記ユーザ端末に表示するカラー検索手段、
前記コンピュータが、前記ユーザ端末から、製品コード、カラー番号、受注数量、受取希望日時、及び、納品先住所のデータを含む着色液の受注データを取得する受注データ取得手段、
前記コンピュータが、前記納品先住所のデータを参照して納品先を含む所定のエリア内の生産拠点を選択し、または、前記地図データベースに格納されている距離または所要時間と前記納品先住所のデータとを参照して納品先に距離的にまたは時間的に近い順に生産拠点を選択し、選択した生産拠点の前記在庫数量と前記受注数量とに基づいて、前記受注データに応じた着色液を生産するにあたって在庫に不足が無いか否かを判断し、在庫に不足が無い生産拠点があった場合に、当該生産拠点の前記品種別生産残数と前記受注数量と前記品種別生産所要時間とに基づいて、当該生産拠点に前記受注データに応じた着色液の生産を割り当てた場合の生産完了予定日時を算出し、前記生産完了予定日時と当該生産拠点における所定の出荷スケジュールと前記地図データベースに格納されている距離または所要時間とに基づいて、配送予定日時を算出し、前記配送予定日時が前記受取希望日時を経過しなければ、当該生産拠点を前記受注データに応じた着色液を一括生産可能な生産拠点として選択する生産拠点選択手段、
前記コンピュータが、前記一括生産可能な生産拠点として選択した前記生産拠点についての情報を前記ユーザ端末に表示し、前記生産拠点の確定を促す生産拠点確定手段、
前記コンピュータが、前記受注データに対応した着色液を生産するための原料の配合データを、確定された前記生産拠点の前記生産拠点端末に送信する配合データ送信手段、
として機能させるためのプログラム。」と「第2回目の補正」により補正されたので、指摘された理由は解消された。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願については、原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2006-06-02 
出願番号 特願2001-198535(P2001-198535)
審決分類 P 1 8・ 537- WYA (G06F)
P 1 8・ 14- WYA (G06F)
P 1 8・ 572- WYA (G06F)
P 1 8・ 56- WYA (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 岡本 俊威
青柳 光代
発明の名称 着色液の生産出荷システム  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 江間 路子  

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