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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1137776
異議申立番号 異議2003-70579  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-12-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-03-03 
確定日 2006-03-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3321646号「パチンコ機」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3321646号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3321646号の請求項1〜3に係る発明についての出願は、平成2年6月8日にされた特許出願(特願平2-150854号)の一部が、特許法第44条の規定により新たな出願(特願平9-166614号)とされ、更にその一部が新たな出願(特願平11-152854号)とされたものであって、平成14年6月28日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人細江裕実により特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成17年8月5日に訂正請求がなされ、同年9月13日付で特許異議申立人より上申書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断

ア.訂正の内容
(a)訂正事項a.
特許請求の範囲を、
「【請求項1】
球貸スイッチの操作に基づく貸出球、または入賞口への入賞球に基づく賞球を排出する排出装置を制御する本体制御装置と、球貸スイッチを接続し、カードの残高を確認するリードライター制御装置とを、該両装置間で互いに交信可能に電気的に接続してなるパチンコ機であって、前記球貸スイッチの操作に基づいて前記リードライター制御装置から前記カードの残高があることを条件として送信された球貸要求信号により、前記本体制御装置は所定数の貸出球を払い出す制御を行うことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
本体制御装置は、前記球貸要求信号に基づいて貸出球を排出すると共に、前記リードライター制御装置にビジー信号を送信するようにしたことを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。
【請求項3】
球貸スイッチ及びカード取出スイッチを、パチンコ機の外枠に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパチンコ機。」
と訂正する。

(b)訂正事項b.
発明の詳細な説明中段落【0007】を
「【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1のパチンコ機の発明は、球貸スイッチの操作に基づく貸出球、または入賞口への入賞球に基づく賞球を排出する排出装置を制御する本体制御装置と、球貸スイッチを接続し、カードの残高を確認するリードライター制御装置とを、該両装置間で互いに交信可能に電気的に接続してなるパチンコ機であって、前記球貸スイッチの操作に基づいて前記リードライター制御装置から前記カードの残高があることを条件として送信された球貸要求信号により、前記本体制御装置は所定数の貸出球を払い出す制御を行うことを特徴とする。」
と訂正する。

(c)訂正事項c.
発明の詳細な説明中段落【0017】を、
「【0017】 また、リードライター制御装置5bは主要のcpuがROMに書き込まれたプログラムにより作動し、球貸スイッチ41、カードの取出スイッチ42および枠開放検出スイッチ25のオン・オフ信号の入力やカードリードライター5aからの情報を受信してカードリードライター5a、カード搬送装置39および金額の表示装置40を作動させるものである。一方また、本体制御装置37に球貸要求信号(BBコール)を送信することによって本体制御装置37からビジー信号、残金減算要求信号(残金信号)および球貸記憶減算要求信号(後述する球貸記憶数の減算を要求する信号)が返信されこれら総入力信号に基づきカードリードライター5a、カード搬送装置39および金額の表示装置40を作動させる。」
と訂正する。

(d)訂正事項d.
発明の詳細な説明中段落【0020】を、
「【0020】ステップ5では取出スイッチ42の作動を判別し、イエスであれば(作動している場合)後述するステップB1(図8)に進み、ノウ(作動していない場合)であれば次のステップ6に進み球貸スイッチ41が作動しているかを判定する。そして、ステップ6の判定がイエスであればステップ7に進み枠開放検出スイッチ25が作動しているかどうかを判定する。ガラス枠18等が閉じた状態(ノウ)であれば球貸出しの条件が整うので、球貸記憶の記憶数(球貸記憶の数値、すなわち球貸記憶数、当初は0)を加算するステップ8を通ってステップA1(図7)へ進む。なお、ステップ6において球貸スイッチ41が作動していないときおよびステップ7においてガラス枠18等が開放状態であれば球貸記憶の数値(カードに記憶された球貸可能な数、すなわち球貸記憶数)は増加しないようにされている。」
と訂正する。

(e)訂正事項e.
発明の詳細な説明中段落【0021】を、
「【0021】次に、本体制御装置37からの信号の有無と残金の有無をチェックしてBBコールを送信する手順を述べる。図7に示すステップA1ではビジー信号の受信の有無を判定する。受信していない場合(ノウ)であれば、ステップA2において球貸記憶減算要求信号の受信の有無を判定しステップA3では残金減算要求信号の受信の有無を判定する。ここで両信号が受信されていなければステップA4でカードの金額データの残高の有無を判定する。そして、残高があればステップA5において球貸記憶の有無のチェックをする。球貸記憶が有ればステップA6において再度ビジー信号を受信しているかどうかを確認し、受信していない(ノウ)のであればステップA7においてBBコールを発生させる。なお、ステップA2において球貸記憶減算要求信号が受信されていればステップA8に進み球貸記憶の数値(前記球貸記憶数)を1減算してステップA3に合流する。」
と訂正する。

(f)訂正事項f.
発明の詳細な説明中段落【0023】を、
「【0023】 図8に示すように、先ず、BBコールが発生しているかをここで判定する。発生していなければそのまま進むがもし有ればステップB2でBBコールを停止させ次に進む。ステップB3ではビジー信号を受信しているかをチェックし受けていれば待機状態になり、そうでなければステップB4で球貸記憶減算要求信号の有無を判定し無ければそのまま次へ進むが有ればステップB5で球貸記憶の数値(前記球貸記憶数)を1減算し、ステップB6で球貸記憶の数値(前記球貸記憶数)が0であることを確認し、もし記憶数が有るならばステップB7において球貸記憶の数値(前記球貸記憶数)をクリアする。次に、残金減算要求信号が受信されている場合(ステップB8)、減算処理をして(ステップB9)結果をカードに書き込み(ステップB10)、図6に示すステップ9によりカードを排出する。」
と訂正する。

(g)訂正事項g.
発明の詳細な説明中段落【0024】を、
「【0024】一方、図7に示すステップA4で残金データが0になったことを判定すると、カードに残金0のデータを書き込み(図8ステップB10)、球貸記憶の記憶数(前記球貸記憶数)が0以外であればその数値をクリアし(図示せず)、図6に示すステップ9によりカードを排出する。」
と訂正する。

(h)訂正事項h.
発明の詳細な説明中段落【0028】を、
「【0028】 なお、ステップ7はパチンコ機1を修理するためなどでガラス枠18等を開放しているときに、作業者が誤って球貸し操作を行ってしまっても球貸しがされないように回路を制御したもので、この働きは、ガラス枠18等の開放が検出された場合にはカードを排出するようをこしても良く、枠開放時に球貸出し機能を停止させるものであれば何でも良い。また、本実施例ではカードを挿入した後、カードは残額が0になるか(ステップA4参照)または取出スイッチ42が操作されるか(ステップ5参照)するまでカードリードライター5a 内に保持されたままであるが、玉貸し操作ごとに排出するようにしても良い。」
と訂正する。

イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否

上記訂正事項(a)は、訂正前明細書の記載に基き、
請求項1の「貸出球」を「球貸スイッチの操作に基づく貸出球」に、「賞球」を「入賞口への入賞球に基づく賞球」に、「球貸スイッチを接続したリードライター制御装置」を「球貸スイッチを接続し、カードの残高を確認するリードライター制御装置」に、「前記リードライター制御装置から送信された球貸要求信号」を「前記リードライター制御装置から前記カードの残高があることを条件として送信された球貸要求信号」に訂正するものであり、これらは、訂正前の請求項1の「貸出球」「賞球」「リードライター制御装置」「球貸要求信号」を更に限定したものであって、願書に最初に添付された明細書及び図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

また、上記訂正事項(b)は、上記訂正に伴い、これらと整合を図るために、発明の詳細な説明を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、上記訂正事項(c)〜(g)は、「球貸記憶数」についての、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、これらは、願書に最初に添付された明細書及び図面に記載されていた事項である。
更に、(h)は明らかな誤記の訂正である。

ウ.むすび
したがって、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項で準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立についての判断

(1)「本件発明」
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明3」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
球貸スイッチの操作に基づく貸出球、または入賞口への入賞球に基づく賞球を排出する排出装置を制御する本体制御装置と、球貸スイッチを接続し、カードの残高を確認するリードライター制御装置とを、該両装置間で互いに交信可能に電気的に接続してなるパチンコ機であって、前記球貸スイッチの操作に基づいて前記リードライター制御装置から前記カードの残高があることを条件として送信された球貸要求信号により、前記本体制御装置は所定数の貸出球を払い出す制御を行うことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
本体制御装置は、前記球貸要求信号に基づいて貸出球を排出すると共に、前記リードライター制御装置にビジー信号を送信するようにしたことを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。
【請求項3】
球貸スイッチ及びカード取出スイッチを、パチンコ機の外枠に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパチンコ機。」

(2)引用刊行物に記載された発明
第1引用例:
特開昭63-102783号公報(特許異議申立における甲第3号証)

第2引用例(周知例):
実願昭62-154146号(実開平1-59183号)のマイクロフィルム)

第3引用例:
特開平1-221187号公報(特許異議申立における甲第10号証)

第4引用例:
特開平1-280489号公報(特許異議申立における甲第1号証)

第5引用例(周知例):
特開昭61-238268号公報

第6引用例:
特開平1-121921号公報(特許異議申し立てにおける甲第11号証)

第7引用例:
特開平1-142924号公報(特許異議申し立てにおける甲第12号証)

(2-1)「第1引用例」
当審が平成17年6月1日付けで通知した取消の理由(以下「取消理由」という)で刊行物3として引用した特開昭63-102783号公報(特許異議申立における甲第3号証、以下「第1引用例」という)には、図面とともに、次の事項が記載されている。)

(記載1.)「カード挿排口とカード読取装置と金額表示器を少なくとも有する球貸機能部をパチンコ機或いはその近傍に配設し、該球貸機能部の少なくともカード読取装置と金額表示器を電気的制御装置に接続するとともに、該電気的制御装置を当該パチンコ機の球排出装置の制御装置に接続し、上記球貸機能部のカード挿排口にカードが挿入され、或いは遊技中における入賞にもとづいて上記球排出装置を作動して球を当該パチンコ機前面の受皿に排出するようにしたことを特徴とするパチンコ機のカード式球貸機構。」(第1頁左下欄「特許請求の範囲」)

(記載2.)「<従来の技術> 周知のように、従来の球貸機は、硬貨投入口と球排出装置を少なくとも有し、パチンコ機とパチンコ機との間に設置したり、或いはパチンコ機とは全く別個に設置されている。また、賞品球として遊技者にパチンコ球を払い出すための球排出装置はパチンコ機の裏側に設置されており、球貸機として遊技者にパチンコ球を貸し出すための球排出装置は球貸機の裏側に設置されており、この様に2つの球排出装置が必要であった。」(第1頁右下欄第4-13行)

(記載3.)「本発明は上記に鑑み提案されたもので、カード挿排口とカード読取装置と金額表示装置を少なくとも有する球貸機能部をパチンコ機或いはその近傍に配設し、該球貸機能部の少なくともカード読取装置と金額表示器を電気的制御装置に接続するとともに、該電気的制御装置を当該パチンコ機の球排出装置の制御装置に接続したものである」(第2頁左上欄第1-7行)

(記載4.)「各球貸機能部2の電気的制御装置(図示せず)を対応するパチンコ機の球排出装置4の制御装置(図示せず)に電気的に接続するとともに、伝送路5を介して管理室内に設置してある中央管理装置(図示せず)に電気的に接続する。 球貸機能部2は、前面に上から球貸出中表示器6、カード挿排口7、金額表示器8、アラーム表示器9、金額選択操作部10を設け、内部にはカード読取装置11と上記電気的制御装置を設け、該電気的制御装置にカード読取装置11及び上記した球貸出中表示器6,金額表示器8,アラーム表示器9,金額選択操作部10等を電気的に接続してある。」(第2頁右上欄第1-14行)

(記載5.)「遊技者がカード発行機に投入した貨幣の金額は、本実施例ではカードに書き込んだカード識別情報に対応させて中央管理装置の記憶部内に記憶されるように構成してある。したがって、遊技者がカード発行機に貨幣を投入し、所望する金額を選択釦等により選択すると、中央管理装置の記憶装置内に当該選択した金額がカード識別情報とともに記憶され、カード発行機からは上記カード識別情報が書き込まれたカード21が排出される。遊技者はこのカード21を取得して自分の好みのパチンコ機1を選択し、当該パチンコ機1の球貸機能部2のカード挿排口7にカード21を挿入する。」(第2頁左下欄第17行-右下欄第10行)

(記載6.)「電気的制御装置は、中央管理装置からのデータ要求信号が当該パチンコ機1の自局アドレスと一致すると、自局アドレスにカード21のカード識別情報を付加して中央管理装置に送る。中央管理装置は、当該パチンコ機1からの信号を受信すると、記憶装置内のカード識別情報を検索し、一致した場合にはそのカード識別情報に対応した記憶内容、即ちそのカード21の残高を読み出して上記パチンコ機1に送る。中央管理装置からそのカード21の残高を受信すると、電気的制御装置が金額表示器8にその金額を表示する。遊技者が金額表示器8の表示を確認し、金額選択操作部10を操作することにより所望する金額を選択すると、電気的制御装置が当該パチンコ機1の球排出装置4を作動して、遊技者が選択した金額に対応した数量の球を該パチンコ機1前面の受皿25に排出させる。」(第3頁左上欄第11行-右上欄第7行)

(記載7.)「この様にして遊技者の所望する金額分の球が受け皿25に排出されると、これに伴って電気的制御装置の演算手段が作動し、排出した球に相当する金額を減算し、残高を金額表示器8に表示する。また、この残高は、中央管理装置に送られ、当該カード21のカード識別情報と共に記憶装置内に記憶される。」(第3頁右上欄第18-左下欄第4行)

(記載8.)「また、上記した球排出装置4は、遊戯中に打球が入賞口に入る等して入賞態様が形成されると、電気的制御装置からの信号を受けて作動し、入賞態様に対応する数、例えば13個の球を流下し、受け皿25に賞球として排出する。この様に、本発明においては、球貸出排出と賞球排出とを1つの排出装置4で行うようにした。」(第3ページ右下欄第7-14行)

(記載9.)「また、カード挿排口7に挿入したカード21の残額が零になった場合、パンチ装置16によりカード21の情報書込部22にパンチ穴を明け、情報書込部22の解読を不能にして不正行為の防止を図ることが望ましい。」(第4頁左上欄第1-5行)
(記載10.)「遊技者がカード挿排口7にカード21を挿入すると、金額表示器8に当該カード21の残高が表示され、この金額の範囲内で金額選択操作部10を操作すると、パチンコ機1の球排出装置4が作動して、選択した金額に対応する数の球が受皿25に排出される。」(第4頁左上欄第15-20行)

(記載11.)「第11に示す第3の実施例は、パチンコ機1の前面枠37の表面左側に球貸機能部2を配設したものである。この様に、球貸機能部2をパチンコ機1自体に設けると、パチンコ機1とパチンコ機1との間隔を従来よりも縮小することができるので、パチンコ店のスペースを有効に利用することができる。」(第4頁右上欄第11-17行)

(記載12.)「本発明は、パチンコ機が有する球排出装置を作動して遊技球を受皿に排出するようにしたので、球貸用の球排出装置を別個に設ける必要がなくなり設備の合理化を図ることができるし、また借り出した球をその都度球貸機から受皿に移し替える煩雑さを解消することができる。」(第4頁左下欄第16行-右下 欄第1行)

以上の記載によれば、「第1引用例」には、次の発明(以下「引用発明」という)が開示されていると認めることが出来る。
「パチンコ機の近傍に配設した球貸機能部が球貸中表示器とカード挿排口と金額表示器とアラーム表示器と金額選択操作部とを有し、球貸機能部の内部にはカード読み取り装置と電気的制御装置を設け、該電気的制御装置にはカード読み取り装置、玉貸出中表示器、金額表示装置、アラーム表示器及び金額選択操作部が電気的に接続されており、パチンコ機の排出装置の制御装置に該電気的制御装置が接続されたパチンコ機であって、カードの残高が金額表示装置に表示され、カードの残額がゼロになった場合、情報書き込み部の解読を不能にして不正行為の防止を図り、表示された残高金額の範囲内で金額選択操作部を操作することにより所望する金額を選択すると、電気的制御装置はパチンコ機の球排出装置の制御装置を経由して排出装置を作動して、選択した金額に対応した数量の球をパチンコ機前面の受皿に排出させ、遊戯中に打球が入賞口に入る等して入賞態様が形成されると排球装置4が賞球を排出する、球貸出排出と賞球排出とを1つの排出装置で行うようにしたものであり、球貸用の球排出装置を別個に設ける必要がなくなり設備の合理化を図ることができるパチンコ機。」

(2-2)「第2引用例」
また、周知例としての実願昭62-154146号(実開平1-59183号)のマイクロフィルム(以下「第2引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(記載13.)「本考案は、プリペイドカードを媒体としてパチンコ玉の貸出しを行うカード式球貸し機に関する。」(第2頁第1、2行)

(記載14.)「カードリーダCPUは、磁気ヘッド29を作動させ、移動中のプリペイドカード50の磁気ストライプ部52より該カード発行時に発券機6を用いて予め磁気記憶させておいた発行年月日、店番号、発券番号データを読み込み(ステップS7)、これらの磁気データが正常であるか否かをデコーダ等を介して確認し(ステップS8)、異常が認められれば後に述べる返却処理(ステップS15)を実行してこのプリペイドカード50を返却する。又、磁気データに異常が認められなければ、次に、発行年月日、店番号、発券番号データをサンド制御CPUに送信する(ステップS9)。 ・・・ ・・・サンド制御CPUは、受信した発行年月日、店番号を、ステップ53で記憶した正規の年月日、店番号と比較し(ステップS57)、このプリペイドカード50が有効期限内のものであり、かつ、当該パチンコ店で発行されたものであるか否かを判別して該カード50の有効性を確認する。・・・ ・・・正常なものであれば・・・ ・・・該島コンピュータ2に送信する(ステップS59)。・・・ ・・・島コンピュータ2は、ホストコンピュータ3のポーリングシーケンスに基づいてこの発券番号をホストコンピュータ3に送信する(ステップS106)。ステップS153で発券番号を受信したホストコンピュータ3は・・・ ・・・自己のメモリを検索して、該発券番号に対応する残度数データを読み出して記憶し(ステップS156)、先程の島コンピュータ2にこの残度数を送信し(ステップS157)、ポーリングを再開する。ステップS107で残度数を受信した島コンピュータ2は、先程のサンド制御CPUにこの残度数を送信し(ステップS108)、サンド制御CPUのポーリングを再開する。・・・サンド制御CPUは、残度数表示窓44に確認された残度数を表示して(ステップS61)、カード利用者に残度数を明示し、度数選択スイッチ45〜47によって利用者がパチンコ玉貸出し度数を入力するのを待機する。」(第20頁第14行-第23頁第9行)

(記載15.)「指定された貸出し度数が残度数を超えていなければ、度数選択スイッチによって指定された貸出し度数を玉貸し回数記憶レジスタR1に記憶し(ステップS66、ステップS68、ステップS70)、又、指定された玉貸し度数が残度数を超えていれば、全残度数を玉貸し回数記憶レジスタR1に記憶してこれらの値を玉貸し回数とするので(ステップS71)、残度数が5未満であれば、度数選択スイッチ47(度数5)を押下することにより、全残度数を玉貸し回数とすることができる。」(第24頁第1-11行)

(記載16.)「第8図に示される玉払出し処理において、サンド制御CPUは、まず、玉計測部39に設けられた玉貸出しソレノイドを作動させ(ステップS201)、パチンコ玉の貸出しを開始し、玉計測部39に設けられた玉貸出し確認スイッチがONとなるまで玉貸出しソレノイドの作動状態を保持する(ステップS202)。そして、玉貸出し確認スイッチがONとなると、1度数に対応するパチンコ玉の貸出しが終了するので、玉貸出しソレノイドをOFFとして(ステップS203)、玉貸し回数記憶レジスタR1から1を減じ(ステップS204)、次にレジスタR1の値が0であるか否かを判別し(ステップS205)、0でなければ再びステップS201に復帰して1度数に対応するパチンコ玉の貸出しを実行し、ステップS205でレジスタR1の値が0となり、玉貸し回数が設定値に達するまでステップS201-ステップS202-ステップS203-ステップS204-ステップS205-ステップS201の処理を繰り返し、一連の動作として玉の貸出しを実行する。」(第26頁第13行-第27頁第13行)

(2-3)「第3引用例」
また、取消理由で刊行物10として引用した特開平1-221187号公報(特許異議申し立てにおける甲第10号証、以下「第3引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(記載17.)「本発明は、所定の遊技用情報が記憶された遊技券を利用して遊技を行なうようにしたパチンコ台を管理するためのパチンコ台管理システム、特には上記のようなパチンコ台の打止状態の管理を行なうためのパチンコ台管理システムに関する。」(第1頁右下欄第11-15行)

(記載18.)「第3図には前記発券機6の正面外観が示されている。この第3図において、22は紙幣を挿入するための挿入口、23は硬貨を投入するための投入口、24は金額表示部で、この金額表示部24は、挿入口22及び投入口23を介した投入金額の合計をデジタル表示するように構成されている。25,26,27.28は後述する遊技券29に記憶させる金額情報MDを入力するための選択ボタンで、これらには夫々例えば「500(円)」、「1000(円)」、「2000(円)」、「3000(円)」の各表示が施されている。」(第4頁左下欄第20行-右下欄第10行)

(記載19.)「第5図には、遊技制御装置5を構成する各要素及びパチンコ台1並びに球貸機35の配置関係が示されており、以下これについて説明する。
即ち、球貸機35は、2台ずつのパチンコ台1の各間に夫々と隣接するように配置された所謂台間球貸機として構成されたもので、隣接するパチンコ台1に夫々対応した遊技制御装置5によって制御されるようになっている。斯かる球貸機35には、その前面にパチンコ玉放出口36、例えば赤色LEDより成る異常表示灯・・・・・・遊技制御装置5により後述のように指令された数のパチンコ玉をパチンコ玉放出口36から放出するように構成されている。」(第7頁左上欄第13行-右上欄第11行)

(記載20.)「遊技制御装置5は、パチンコ台1の上方位置に一列状に配置されたカード挿入口39、カード返却スイッチ40a、例えば3個のセレクトスイッチ40b〜40d及び残高表示部41を有すると共に、内部には第6図に示すような回路要素が設けられている。尚、上記セレクトスイッチ40a、40b、40cには、夫々に対応して例えば「100円」「200円」「400円」の各表示が施されている。」(第7頁右上欄第12-20行)

(記載21.)「第6図において、42は打止解除手段としても機能する球貸制御回路であり、これはマイクロコンピュータを含んで構成されている。また、43はカード挿入句値39に挿入された遊技券29を挿入状態に保持したり或は返却するためのカード出し入れ装置、44は挿入された遊技券29の記憶情報を読み込むためのカードリーダ、45は上記遊技券29の記憶情報を書換えるためのカードライタ、」(第7頁左下欄第1-9行)

(記載22.)「以下においては第7図に示された遊技制御装置5の機能の大略について説明する。即ち、まずカード挿入口39に遊技券29が挿入された否かを判断し(ステップB1)、遊技券29が挿入されるまで待機する。・・・ ・・・遊技券29が挿入されたときには、遊技券29を挿入状態に保持すると共に、その遊技券29に記憶された情報を読み取る(ステップB2、B3)。・・・その遊技券を返却し(ステップB5)・・・ ・・・「NO」と判断した場合には遊技券29を返却する前記ステップB5を経てステップB1へ戻る。・・・ ・・・ステップB7で「NO」と判断した場合、つまりパチンコ台1が遊技可能な状態にある場合には、前記ステップB3で読み取った遊技券29の金額情報MDに基づいて、その情報MDに対応した残高金額を残高表示部41に表示させる(ステップB8)。次いで、上記残高金額があるか否かを判断し(ステップB9)、残高金額つまり金額情報MDが零であった場合には、前記ステップB5を経てステップB1へ戻る。」(第7頁右下欄第1行-第8頁左上欄第17行)

(記載23.)「また、カード返却スイッチ40aがオンされることなくセレクトスイッチ40b〜40dの何れかがオン操作されたときには、遊技券29に記憶された金額情報MDを所定金額分減額するように書換え(ステップB12)、玉貸機35内の図示しないパチンコ玉供給機構に対して上記減額金額に相当した数のパチンコ玉を放出するように指令を与える(ステップB13)。」(第8頁右上欄第4-11行)

(記載24.)「尚、2台の遊技制御装置5に対応した設けられた玉貸機35は、一方の遊技制御装置5からの指令によってパチンコ玉の放出を行なっているときには、他方の遊技制御装置5に対してビジー信号Sb(第6図参照)を出力するようになっており、遊技制御装置5にあっては上記ビジー信号Sbが消失するまでパチンコ玉放出指令の出力を待機するようになっている。」(第9頁左上欄第2-10行)

(2-4)「第4引用例」
また、「取消理由」で「刊行物1」として引用した特開平1-280489号公報(特許異議申立における甲第1号証)(以下「第4引用例」という)には、以下の記載がある。

(記載25.)「本発明はパチンコ遊戯装置に関し、更に詳しくはカードに付されたカード情報を基にしてパチンコ遊戯を実行するパチンコ遊戯装置に関するものである。」(第1頁右下欄第15-18行)

(記載26.)「[本発明の構成](前記問題点を解決するための手段)本発明の装置は、遊戯情報を取込んでパチンコ玉による遊戯を実行するとともに、遊戯状態に応じた遊戯状態情報を送出するパチンコ機本体を備えたパチンコ遊戯装置であって、カードに付されたカード情報を基にパチンコ機本体に送る遊戯情報を得るとともにパチンコ機本体からの遊戯状態情報を得て前記カード情報の書替えを行うカード取扱部と、前記カードから得られる遊戯情報及びパチンコ機本体からの遊戯状態情報を伝達可能な遊戯情報伝達部と、前記カード取扱部、遊戯情報伝達部及びパチンコ機本体間の情報伝達を行う制御部とを有するものである。」(第2頁右上欄第13行-左下欄第6行)

(記載27.)「(作用) 以下に上記構成の装置の作用を説明する。 この装置にカード情報が付されたカードが投入されると、カード取扱部はこのカードのカード情報を基に遊戯情報を得る。この遊戯情報は制御部によりパチンコ機本体に送られ、これにより、パチンコ機本体はパチンコ玉の貸出を始めとする各動作を実行するとともに遊戯状態に応じた遊戯状態情報を送出する。 制御部は、パチンコ機本体からの遊戯状態情報及び前記遊戯情報を遊戯情報伝達部に送る。これにより、遊戯情報伝達部から遊戯状態情報及び遊戯情報が遊戯者等に伝達される。 また、制御部はパチンコ機本体からの遊戯状態情報をカード取扱部に送る。カード取扱部は、上記遊戯状態情報を基にカード情報を書替え、以降の使用に供する。」(第2頁左下欄第7行-右下欄第3行)

(記載28.)「第1図及び第2図(a),(b)は本発明の第1の実施例装置を示すものである。同図に示すパチンコ遊戯装置1は、パチンコ機本体2と、このパチンコ機本体2の下側部に一体的に組込まれたパチンコ機操作部3とを具備している。 前記パチンコ機本体2は、第2図(a)に示すように透明ガラス板4の内部に遊戯面5を設けるとともにこの透明ガラス板4の下方にパチンコ玉収容部6を設け、このパチンコ玉収容部6にパチンコ玉を後述する動作により自動的に貸出すようになっている。 前記パチンコ機操作部3の表面は、添付した図面の第2図(b)に示すように下側に至るほど張り出す傾斜配置に形成されている。そして、このパチンコ機操作部3に操作ハンドル7、後述するカード取扱部11を構成するカード挿脱孔8及び遊戯情報伝達部12を構成する表示部9、音声発生部であるスピーカ10を配置している。」(第2頁右下欄第7行-第3ページ左上欄第5行)

(記載29.)「第2図はパチンコ遊戯装置1の全体構成を示すものである。即ち、前記したパチンコ機本体2には、パチンコ機操作部3から玉数データ等の遊戯情報を取込みこのパチンコ機本体2によるパチンコ玉の自動貸出を始めとするパチンコ遊戯を実行するとともに、パチンコ機本体2の遊戯状態に応じて故障情報、打止情報、使用玉数データ等の遊戯状態情報をパチンコ機操作部3に送出する本体駆動制御部13が設けられている。
また、前記パチンコ機操作部3は、予めパチンコ機本体2の動作制御やこのパチンコ機操作部3の各部の動作制御を行うためのプログラムを格納したプログラムメモリ14と、このプログラムメモリ14から前記プログラムを取込みこのプログラムに従って該パチンコ機操作部3の各部の制御を実行するとともに、本体駆動制御部13との間の情報伝達をも行うCPU15とから成る制御部16を有し、この制御部16に前記カード取扱部11、遊戯情報伝達部12及び操作ハンドル7を接続している。
カード取扱部11は、パチンコ遊戯のための玉数データ等の情報が予め書込まれているカードCを前記カード挿脱孔8から取込むとともに必要に応じてこのカードCをカード挿脱孔8に返却するカード駆動部17と、カード駆動部17により駆動されるカードCに対してカード情報の読取りを行い遊戯情報(玉数データ等)を得ると共に、遊戯終了時点で本体駆動部13からの遊戯状態情報を基にカードCの情報を書替えるカード読取書込部18とを具備している。」(第3ページ左上欄第6行-右上欄第15行)

(記載30.)「パチンコ遊戯を行う遊戯者が予め購入したカードCをカード挿脱孔8に挿入すると、この装置は動作を開始し、カード駆動部17はCPU15による制御の基にカードCを装置内に取込む。そして、カード読取書込部18はCPU15による制御の基にカードCに付された情報を読取り、玉数データ等の遊戯情報を得る。 この遊戯情報はCPU15を経て本体駆動制御部13に送られ、これにより、本体駆動制御部13によるパチンコ玉収容部6への自動的な玉貸出を始めとするパチンコ遊戯が開始される。 そして、遊戯者が操作ハンドル7を操作することによりこの装置におけるパチンコ遊戯が進行する。 パチンコ機本体2の本体駆動制御装部13は、パチンコ遊戯の進行に伴う遊戯状態情報、例えば玉数データ、パチンコ機本体2の故障情報、打止情報等をCPU15へ送る。」(第3ページ左下欄第5行右下欄第2行)

(記載31.)「次に、本発明の第2の実施例を第3図を参照して説明する。なお、同図に示す装置1Aにおいて第2図(a)に示す装置1と同一の機能を有するものには同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。 第3図に示す装置1Aが第2図(a)に示す装置1と異なる点は、パチンコ機操作部3Aをパチンコ機本体2とは別体のユニットとしたことである。 即ち、第2図(a)に示す装置1の操作ハンドル7を除くカード挿脱孔8,スピーカ9及び表示部10を表面に設け、且つ、第1図に示す構成を有するパチンコ機操作部3Aをパチンコ機本体2の上部に別体として配置したものである。 このような構成の装置1Aによっても既述したパチンコ遊戯装置1と同様な機能を発揮させることができる。」(第4頁左上欄第12行-右上欄第8行)

以上の記載によれば、第4引用例には、つぎの発明(以下「引用発明4」という)が記載されている。ここにおいて、第4引用例の図面は、発明の詳細な説明の記載と対応していないが、図面がむしろ全体として誤って添付されていると解しうることは当業者には明白であるから、発明の詳細な説明のみによって以下の認定は可能であり、図面の存在はこの認定を否定するものではない。

「引用発明4」
「カード情報が付されたカードが投入されるとカード情報を基に遊技情報を得るカード取扱部と、この遊技情報が制御部によりパチンコ機本体に送られるとパチンコ機本体が玉貸しを始めとする各動作を実行し、パチンコ機本体は制御部に遊技状態情報を伝達し、制御部はカード取扱部に遊技情報を送りカード取り扱い部は送られた遊技情報を基にカード情報を書き替え以降の使用に供するという動作をするパチンコ遊戯装置であって、
パチンコ機本体2及びパチンコ機本体とは別体のユニットとしたパチンコ機操作部3Aとからなり、
パチンコ機本体2には、本体駆動制御部13が設けられており、CPU15を経て遊戯情報を送られることにより、本体駆動制御部13によるパチンコ玉収容部6への自動的な玉貸出を始めとするパチンコ遊戯が開始され、本体駆動制御部13は遊戯状態に応じて使用玉数データ等の遊戯状態情報をパチンコ機操作部3に送出し本体駆動制御部13は玉数データ等をCPU15に送り、
パチンコ機操作部3は、パチンコ機本体2の制御やパチンコ機操作部3の各部の動作制御を行うためのプログラムを格納したプログラムメモリ14と、プログラムにしたがってパチンコ機操作部3の各部の制御を実行するとともに本体駆動制御部13との情報伝達をも行うCPU15とからなる制御部16を有し、この制御部16にカード取扱部11、遊戯情報伝達部12及び操作ハンドル7が接続され、カード取扱部11が得た玉数データ等の遊戯情報はCPU15を経て本体駆動制御部13に送られ、これにより、玉収容部6への自動的な玉貸出を始めとするパチンコ遊戯が開始される、パチンコ遊戯装置における制御部16。」

(2-5)「第5引用例」
また、本件発明の出願日前に公開された特開昭61-238268号公報(以下「第5引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(記載32.)「また、遊技中に精算スイッチSW2が押されると(ステップ122)・・・ ・・・カードMCが当初のカード挿入位置に達したときモータMを停止させ(ステップ135〜139)、次のパチンコ球貸出し作動のための待機状態に入る。」(第5頁右上欄第19行-右下欄第11行)

(2-6)「第6引用例」
また、「取消理由」で刊行物11として引用した特開平1-121921号公報(特許異議申し立てにおける甲第11号証、以下「第6引用例」という)には、次の事項が記載されている。

(記載33.)「従来、この種のシステムにおけるプリンタの電源断検出法においては、ホストコンピュータはビジー信号がオンのときはデータの送信は行わないが、ビジー信号がオフのときはプリンタがレディ状態にあると判断し、データの送信を行っていた。」(第1ページ右下欄第3-8行)

(2-7)「第7引用例」
また、「取消理由」で刊行物12として引用した特開平1-142924号公報(特許異議申し立てにおける甲第12号証、以下「第11引用例」という)には、次の事項が記載されている。

(記載34.)「BUSYは、プリンタ装置でデータ受信不可能状態を知らせる信号であり、BUSY中はHレベルとなる。」(第2頁左下欄最終行-右下欄第2行)

(記載35.)「ここで、一般的なパラレルインターフェイス信号のタイミングを第4図に示す。 第4図において、41は、プリンタ装置がオンライン(SELECT=Hレベル)で、データ受信可能状態(BUSY=Lレベル)をホスト装置に知らせ、・・・ ・・・プリンタ装置がデータ受信を認識してBUSYをHレベルにするまでのタイミングを示している。 42は、プリンタ装置がデータ受信処理完了後、BUSY状態を解除(BUSY=Lレベル)する」(第2頁右下欄第14行-第3頁左上欄第6行)

(3)対比・判断
3-1.「本件発明1」についての対比
「本件発明1」と「引用発明」とを対比すると、後者の「入賞口」は前者の「入賞口」に、「金額選択操作部」は「球貸スイッチ」に、「カードの残額」は「カードの残高」に、
また、後者の「排出装置」は、「選択した金額に対応した数量の球を受け皿に排出」するものであるとともに、「賞球を排出」するものであって「球貸出排出と賞球排出とを1つの排出装置で行うようにした」ものであるのだから、前者の「球貸スイッチの操作に基づく貸出球、または入賞口への入賞球に基づく賞球を排出する排出装置」に相当する。
また、後者の「排出装置の制御装置」は、球排出装置を制御するものであるのだから、前者における球排出装置を制御するものである「本体制御装置」と、「球排出装置を制御する制御装置」(以下「球排出制御装置」という)である点において一致する。
また、後者の「カードの残額」は前者の「カードの残高」に、
そして、後者における「電気的制御装置」は、金額選択操作部が電気的に接続されていて、パチンコ機の球排出装置の制御装置に接続され、球排出装置を該球排出装置の制御装置を経由して作動させるものであるのだから、前者の「リードライタ制御装置」に相当する。
またこの場合、球排出装置の制御装置に接続されていて、球排出装置を作動させるのであるから、「電気的制御装置」は「球排出装置の制御装置」に、「球貸要求信号」を送信しているといえる。
さらに、後者の「カードの残額がゼロになった場合、情報書き込み部の解読を不能にして不正行為の防止を図るものであって、表示された残高金額の範囲内で金額選択操作部を操作することにより所望する金額を選択すると、電気的制御装置がパチンコ機の球排出装置を作動して、選択した金額に対応した数量の球をパチンコ機前面の受け皿に排出させる」という点は、カード残額がゼロであると球排出はおこなわれず、残高の範囲内で球排出がおこなわれるのであるから、前者の「カード残高があることを条件として」球貸要求信号が本体制御装置に送信されて球貸が行われることに相当する。
また、後者のこの点からみて、「電気的制御装置」はカードの残額を確認する機能を有しているといえるので、前者の「リードライタ制御装置」の「カードの残高を確認する」という機能を有しているといえる。

よって、両者は、
「球貸スイッチの操作に基づく貸出球、または入賞口への入賞球に基づく賞球を排出する球排出制御装置と、球貸スイッチを接続しカードの残高を確認するリードライタ制御装置とを接続してなるパチンコ機であって、球貸スイッチの操作に基づいて、カードの残高があることを条件として球貸要求信号を球排出制御装置に送信し、球排出制御装置は所定数の貸出球を払い出す制御を行うパチンコ機」
である点において一致し、

(相違点1)「球排出制御装置」が、
「本件発明1」では「本体制御装置」であるのに対し、「引用発明」では「パチンコ機の球排出装置の制御装置」である点、

(相違点2)「リードライタ制御装置」と「排出制御装置」とが「本件発明1」においては「交信可能に接続」されているのに対し、「引用発明」においては「球貸機能部の電気的制御装置」は「パチンコ機の球排出装置の制御装置」と「電気的に接続」とされている点、

において相違する。

3-2.「本件発明1」についての判断
(相違点1について)
「本件発明1」における「本体制御装置」は、「球排出装置を制御する」ものであると請求項1には記載されている。 よってこの「本体制御装置」は「引用発明」における「パチンコ機の球排出装置の制御装置」と「球排出を制御する」ものである点において変わりはなく、玉排出制御以外の「本体」について、「本体制御装置」であることによる構成上の限定はなされていないから、「引用発明」との相違は格別のものではなく、相違点3に格別の想到困難性は認められない。

(相違点2について)
「本件発明1」における「交信可能」は、「リードライタ制御装置」から「玉貸要求信号」が「本体制御装置」に送信される旨が規定されているのみで、「交信」という用語から想定される「本体制御装置」から「リードライタ制御装置」への送信については、具体的に何が送信されるものであるかは限定していない。

これに対して、第2引用例記載のものは、サンド制御CPUが球貸出しソレノイドの作動を球貸出し確認スイッチがONとなるまで継続させ、ON信号を受けたら球貸回数記憶レジスタから1を減じている(上記(記載16.))のであるから、球排出装置からのON信号を受けているといえる。
即ち、リードライタ制御装置に相当するサンド制御CPUが、球排出装置からの信号を受けて球貸回数記憶レジスタから1を減ずる動作を行うことは、排出装置に指令を発し、排出装置から信号を受けるのであるから「本件発明1」における「交信」と格別異ならない。
更に、上記第3引用例(特開平1-221187号公報)記載のものは、上記(記載21.)、(記載22.)が示すように、遊技券の残高を読み取り書込むリードライタと球貸スイッチであるセレクトスイッチとが接続された球貸制御回路42が、遊技球排出をおこなう球貸機35に対してパチンコ玉を放出するように信号を送信していると解される。
一方玉貸機35から制御回路42へという向きの信号の送信に関してみると、上記(記載23.)によれば、球貸機35に対して球排出をするように信号を送信する球貸制御回路が2個存在し、一方の制御回路からの指令に基づきパチンコ玉の放出をおこなっているときは、他方の球貸制御回路に対してビジー信号Sbを送信するものである。
このビジー信号Sbは、球放出の指令をした球貸し制御回路への信号ではないから、信号の送信とそれに対する応答をおこなっている、とはいえない。
しかしながら、球貸制御回路42と玉貸機35とは双方向に信号が行き来する構成である、と言うことはできるのであるから、球貸制御回路42と球貸機35とは「交信可能に」接続されているということができる。
そしてこの球貸機35は、パチンコ機に設けた球排出装置ではないが、カード式の球貸制御回路からの指令に基づいて貸出球を排出することにおいて「本件発明」におけるパチンコ機に設けた排出装置と格別異ならない。
また、一般に動作を要求する装置から要求に基づいて動作する装置に要求信号を送信し、その要求に基づく動作をおこなった装置が要求した装置になんらかの信号を返信することは、広く行われている事項であり、パチンコ機分野における上記第2引用例のものもその一例である。

よってカード式の球貸装置の、球排出装置がパチンコ機に設けられているものである「引用発明」において、カードリードライタを制御する制御装置と球排出装置を制御する制御装置とを「交信可能に接続」することは、上記第2、3引用例にみられるような周知の構成であって、当業者の適宜になし得た程度の事項である。

さらに、上記「引用発明4」においても、玉払出動作を制御している本体制御装置2と、カードの読み取り書き込みを制御している制御部16とは、上記(記載30.)が示すように制御部16のCPU15から本体駆動制御部13に「遊戯情報」が送られ、本体駆動制御部13は制御部16のCPU15に「遊技の進行に伴う遊技状態情報」を送っているから、制御部16と本体駆動制御部13とは「交信可能に」接続されているといえるものであり、上記(記載31.)に示すようにパチンコ機本体2と別体のユニットとしたものも、パチンコ機操作部3Aとの関係は図面からは把握できないにしても、カード式の玉貸機機能を有するパチンコ機において、カードの取扱を制御する制御部と本体制御部とが、別体のユニットとされて互いに交信可能に接続されている点は明らかである。
「本件発明」における「交信」が交信内容の特定を避けていることから、第4引用例も、交信可能に接続しているものである。
以上のとおりであり、更に、上記各相違点によりもたらされる効果も、上記各引用例から予想される範囲内のものである。

よって、「本件発明1」は、「第1引用例」及び第2、3、4引用例に開示される周知の構成に基づいて、容易に発明をすることが出来たものである。

3-4.「本件発明2」についての対比
「本件発明2」は、「本件発明1」の発明特定事項に、更に「本体制御装置は、前記球貸要求信号に基づいて貸出球を排出すると共に、前記リードライター制御装置にビジー信号を送信する」ようにしたという事項を加えたものである。

よって、「本件発明2」と「引用発明」との一致点相違点を検討すると、上記3-3.における相違点のうち、一致点及び相違点1については上記3-3.と同様であり、

(相違点3)
「本件発明2」が、「本体制御装置」と「リードライタ制御装置」とは「交信可能に接続」され、後者から前者への信号として「球貸要求信号」を、また前者から後者への方向の信号として「ビジー信号」を特定し、「本体制御装置は、前記球貸要求信号に基づいて貸出球を排出すると共に、前記リードライター制御装置にビジー信号を送信するようにした」のに対し、
「引用発明」においては、「球貸機能部の電気的制御装置」は「パチンコ機の球排出装置の制御装置」と「電気的に接続」とされ、前者から後者への信号として「球貸要求信号」が在るとはいえるものの、「後者から前者への信号として何があるのかについては格別特定していない点、

において、さらに相違する。

3-5.「本件発明2」についての判断
相違点1については、上記3-2.と同様である。

相違点3については、
2つの制御回路間で、一方の制御回路が他方の制御回路に何らかの動作を要求する信号を送る場合における、信号を受ける側の作動状態情報の伝達を目的として、BUSY信号を用いることは周知の技術である(上記第6引用例(特開昭52-27322号公報)(記載33.)、第7引用例(特開平1-142924号公報)(記載34.、35.)等参照)。
また、球排出中に別の球排出を行うことはできないから、2台のパチンコ機のうち、球排出中である側のパチンコ機でない方のパチンコ機にビジー信号を送信して、球排出要求を出す可能性のある装置に対して排出中であるという状態情報を伝える、という点が上記第3引用例(記載24.)に示されている。
第3引用例記載のものは、ビジー信号を送信する送信先が、「本件発明2」の場合にはビジー信号の原因である球排出要求をしたパチンコ機であるのに対し、球排出要求を送信していない他方のパチンコ機であるという点で異なるものの、ビジー信号を送信する、という事項は開示されているのであるから、この記載にもとづけば、相違点3のように、球排出要求を送信した遊技制御装置に対してビジー信号を送信するように構成することに格別困難はない。

「本件発明2」における「ビジー信号」は、単に「貸出球を排出すると共に」送信される、としているに過ぎず、この「ビジー信号」をどのように利用するのかについては、格別限定はなされていないので、効果においても上記一般的状態情報伝達と格別相違しないと解される。
よって、当業者であれば、一般的周知技術であるビジー信号の送信を「引用発明」に適用して、作動状態情報の伝達を図るという程度のことは、適宜採用しうる事項である。

またこの相違による効果も、予測可能な程度のものである。

よって、「本件発明2」も、「第1引用例」及び第3、6、7引用例に開示される周知構成ならびに上記周知技術に基づいて、容易に発明をすることが出来たものである。

3-6.「本件発明3」についての対比
「本件発明3」は、「本件発明1」または「本件発明2」の発明特定事項に、更に「球貸スイッチ及びカード取出スイッチを、パチンコ機の外枠に設けた」点を追加したものである。

よって、「本件発明3」と「引用発明」との一致点相違点を検討すると、上記3-1.における一致点相違点に加え、
(相違点4)
「本件発明3」は、「球貸スイッチ及びカード取出スイッチを、パチンコ機の外枠に設けた」のに対し、
「引用発明」は「玉貸スイッチ」は「パチンコ機の近傍に配設した玉貸機能部」に設けられており、「カード取り出しスイッチ」を有するのかどうか不明な点、
において相違する。

これについては、上記(記載11.)に示すように、第1引用例には、「玉貸機能部2をパチンコ機1の前面枠37の表面左側に配設した」ものが開示されており、第1引用例の「玉貸し機能部2」には、上記(記載4.)に示すように、球貸スイッチが設けられている。
また、カード式玉貸装置においては、「カード取出スイッチ」の設置は、たとえば上記第3引用例(記載20.、23.)の「カード返却スイッチ40a」、第5引用例(記載32.)の「精算スイッチSW2」にみられるように周知であり、スイッチを設置するのであれば、操作可能などこかに設置するのは当然である。
そして、上記第1引用例の開示における玉貸し機能部2の球貸スイッチと同様に、「前面枠に取り付ける」ことは、スイッチというものが遊技者により操作されるものであることにおいて球貸スイッチもカード取出スイッチも変わらず、「前面枠」も「外枠」も、遊技者に面した側である点において変わりはなく、また共に制御回路と別個の部品であるのだから、「外枠」という設置位置としたことによる効果も格別異なるものではなく、適宜なしうる程度の事項である。

よって「本件発明3」も、「第1引用例」及び第2、3、4、5引用例に開示される周知構成ならびに上記周知技術に基づいて、容易に発明をすることが出来たものである。


4.むすび

以上のとおりであるから、「本件発明1〜3」は、上記「第1引用例」に記載された発明及び第2〜7引用例の如き周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、「本件発明1〜3」についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。

よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球貸スイッチの操作に基づく貸出球、または入賞口への入賞球に基づく賞球を排出する排出装置を制御する本体制御装置と、球貸スイッチを接続し、カードの残高を確認するリードライター制御装置とを、該両装置間で互いに交信可能に電気的に接続してなるパチンコ機であって、
前記球貸スイッチの操作に基づいて前記リードライター制御装置から前記カードの残高があることを条件として送信された球貸要求信号により、前記本体制御装置は所定数の貸出球を払い出す制御を行うことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
本体制御装置は、前記球貸要求信号に基づいて貸出球を排出すると共に、前記リードライター制御装置にビジー信号を送信するようにしたことを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。
【請求項3】
球貸スイッチ及びカード取出スイッチを、パチンコ機の外枠に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機の遊技球をカードによって貸出すことのできる、パチンコ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、パチンコ店で使用されるパチンコ機の遊技球は、店内のコーナーまたは店内に並べられているパチンコ機の間に介在されてる自動球貸機によって得られる。これらは予め、少額の紙幣、硬貨を用意しておく必要があり、換金をするため一時、遊技を中断せざるを得なかった。
【0003】
近年、上記理由などにより、プリペイド用カード等を利用したカード式の球貸機が提案されている。カード式の球貸機は、カード読取り装置と金額表示兼選択スイッチ等が備わっているもので、カードを球貸機に有するカード挿入口から挿入し、選択スイッチを操作することによって遊技球が所定数払出されるようにされている。このカード式球貸機をパチンコ機間またはパチンコ機の上方に設置することを提案したものがある(特開昭63-122482号公報参照)。
【0004】
この構成によれば球貸機の同位置に配置されたカード挿入口にカードを挿入して貸出用のスイッチを押すことによって、貸出球は樋を介してパチンコ機の受皿に排出するようにされている。ところが、このカード式球貸機のカード挿入口および操作部はパチンコ機から離れているので、カードの操作を行うときには身体を動かさねばならず遊技を中断することとなる。そこで、1台のパチンコ機専用としてカード式球貸機をパチンコ機の前面枠に配設することを提案したものがある(特開昭64-34390号公報参照)。これはカードの情報読み取りを専用にすることで遊技中カードを挿入したままにしておくことができ、煩雑な球貸し操作が省けて遊技に専念できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにパチンコ機と一体に上記カード式球貸機を設けたものでは、新台入れ替え時において、遊技性とは関係のないカードリードライターおよびその制御装置まで交換することになり改装費が割高になる。
【0006】
本発明は、カード式球貸機を組込んで一体となったパチンコ機の入れ替えにおいて、旧カードリードライターおよびその制御装置を新パチンコ機の本体制御装置と電気的に接続して再使用するようにしたパチンコ機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1のパチンコ機の発明は、球貸スイッチの操作に基づく貸出球、または入賞口への入賞球に基づく賞球を排出する排出装置を制御する本体制御装置と、球貸スイッチを接続し、カードの残高を確認するリードライター制御装置とを、該両装置間で互いに交信可能に電気的に接続してなるパチンコ機であって、前記球貸スイッチの操作に基づいて前記リードライター制御装置から前記カードの残高があることを条件として送信された球貸要求信号により、前記本体制御装置は所定数の貸出球を払い出す制御を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、本体制御装置は前記球貸要求信号に基づいて貸出球を排出すると共に、前記リードライター制御装置にビジー信号を送信するようにしたことを特徴とする。請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、球貸スイッチ及びカード取出スイッチを、パチンコ機の外枠に設けたことを特徴とする。
【0009】
上記のように構成することにより、パチンコ機の入れ替時において、旧台に組込んだカードリードライターおよびその制御装置と新台の本体制御装置を電気的に接続することにより交換作業が行え、これによって旧台のカードリードライターおよびその制御装置はそのまま再使用することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。図1,図2に示すようにパチンコ機1の前面には遊技球を乗せる上皿2および下皿3が設けられ、上皿2から流下して来る遊技球を発射する電動ハンドル4が図面上右側に取付けられ後述するカード式球貸装置5のカードリードライター5a(カード挿入部)が図面上左側に取付けられている。なお、電動ハンドル4は上面に配したタッチスイッチ4aを押さえることにより起動し側面に突設したつまみ4bを回すことによって発射力を調整するものである。また、電動ハンドル4の近くに単発発射用のスイッチ6が取付けられている。
【0011】
図3に示すように、遊技盤7上には入賞口(役物始動口を含む)8が設けられ、ここでは役物始動口8はスロット9を回転させる機構となっており、その回転を止め図柄を停止させるスイッチ10が電動ハンドル4の側に配置されている。なお、上皿2の排出口2aからは貸出球および賞球が排出され、上皿2の枠に配置した球抜きボタン11を押すことによって上皿2の遊技球が下皿3の排出口3aから出る。図中、カードリードライター5aの隣りには引出し型の灰皿ボックス12が具備されている。
【0012】
また、図2に示すように、遊技盤7、上皿2、下皿3および電動ハンドル4は前枠13に装着されており、矩形状の外枠14にはその下部前面14aにカードリードライター5aおよび灰皿ボックス12が取付けられている。ヒンジ15は外枠14の上端縁に固着したサポート15aと前枠13の上端に固着した爪側ヒンジ15bとで構成され、同様に、外枠14の下部前面14a上に固着された爪側ヒンジ15bと前枠13下端縁に固着されたサポート15aとで構成され、それぞれが結合して前枠13を横方向に回動自在に設けている。したがって、その連結は前枠13を前方に回動させ、上方に持ち上げることで容易に外せる構造となっている。
【0013】
また、前枠13にはヒンジ15と反対側側面にシリンダ錠16が設けられ、外枠14には鍵受部材17が縦方向の2箇所に取付けられており、シリンダ錠16によって前枠13およびガラス枠18を固定、あるいは開放するようにされている。なお、前枠13の周囲にはスピーカ19および表示灯20が取付けられ、後部には機構枠21が一体に構成され球寄せカバー22が装着されており、上部に上タンク23が配置されている。
【0014】
また、図4に示すように、鍵受部材17には施錠装置24が係合され、この箇所に枠開放検出スイッチ25が取付けられており、合鍵によって前枠13またはガラス枠18が開放されるとその開放状態を検出するようにされている。上タンク23からは接続樋26を介して賞球および貸出球の排出装置27が接続され排出装置27の下部に賞球樋28および球技樋29が接続されている。賞球樋28は上皿2への接続樋30と下皿流下ボックス31とに接続されている。なお、前枠13下部には電動ハンドル4によって作動する打球発射装置32が配設されており、入賞口8と連設している入賞球通路33には入賞球制御装置34および入賞検出スイッチ35が配設されている。
【0015】
ところで、前枠13の裏側には役物制御装置36および本体制御装置37が取付けられ、外枠14の裏側にはカード式球貸装置5を構成するリードライター制御装置5bおよびこの端末装置であるカードリードライター5aが取付けられている。カードリードライター5aは前面に突出してビス38止めされカードリードライター5aの正面にはカード挿入口5cが位置し内部にカード搬送装置39が組込まれ、表面には金額の表示装置40、球貸スイッチ41およびカードの取出スイッチ42が取付けられている。
【0016】
次に、本体制御装置37およびカード式球貸装置5の作動を図5ないし図8を参照して説明する。図5R>5に示すように、本体制御装置37の電気回路は役物制御装置36およびリードライター制御装置5bの電気回路と接続され、本体制御装置37およびリードライター制御装置5bは互いのcpuが信号の交換をして作動する回路とされている。そして、本体制御装置37およびリードライター制御装置5bは図6ないし図9に示すルーチンを高速に繰り返し演算実行することにより制御される。
【0017】
また、リードライター制御装置5bは主要のcpuがROMに書き込まれたプログラムにより作動し、球貸スイッチ41、カードの取出スイッチ42および枠開放検出スイッチ25のオン・オフ信号の入力やカードリードライター5aからの情報を受信してカードリードライター5a、カード搬送装置39および金額の表示装置40を作動させるものである。一方また、本体制御装置37に球貸要求信号(BBコール)を送信することによって本体制御装置37からビジー信号、残金減算要求信号(残金信号)および球貸記憶減算要求信号(後述する球貸記憶数の減算を要求する信号)が返信されこれら総入力信号に基づきカードリードライター5a、カード搬送装置39および金額の表示装置40を作動させる。
【0018】
また、本体制御装置37は主要のcpuがROMに書き込まれたプログラムにより作動し、入賞検出スイッチ35、タッチスイッチ4aおよび単発発射用のスイッチ6のオン・オフ信号の入力や排出装置27の作動状況を示す信号およびリードライター制御装置5bのBBコールを受けて打球発射装置32、スピーカ19、表示灯20および排出装置27を作動させるものである。また、BBコールを受けたとき、リードライター制御装置5bに向けてビジー信号、残金減算要求信号および球貸記憶減算要求信号を送信する。
【0019】
次に、リードライター制御装置5bの作動を図6ないし図8を参照して説明する。なお、図6ないし図8のターミナルA,B,C,D,Eは同一のものであり、結線されている。機能的には球貸準備、BBコール出力発生およびカード排出というブロックに分けることができる。図6に示すように、最初にカードリードライター5aのカード挿入口5cにカードが差し込まれているかどうかを判別する(ステップ1)。カードがなければそのまま待機状態になり挿入されていればステップ2(カードを所定の読取り位置に搬送する。)、ステップ3(データを読み取る。)およびステップ4へ進む。ステップ4ではステップ3でのセキュリティを判定し、イエスであれば次のステップ5に進みノウであればカードを排出する(ステップ9)。
【0020】
ステップ5では取出スイッチ42の作動を判別し、イエスであれば(作動している場合)後述するステップB1(図8)に進み、ノウ(作動していない場合)であれば次のステップ6に進み球貸スイッチ41が作動しているかを判定する。そして、ステップ6の判定がイエスであればステップ7に進み枠開放検出スイッチ25が作動しているかどうかを判定する。ガラス枠18等が閉じた状態(ノウ)であれば球貸出しの条件が整うので、球貸記憶の記憶数(球貸記憶の数値、すなわち球貸記憶数、当初は0)を加算するステップ8を通ってステップA1(図7)へ進む。なお、ステップ6において球貸スイッチ41が作動していないときおよびステップ7においてガラス枠18等が開放状態であれば球貸記憶の数値(カードに記憶された球貸可能な数、すなわち球貸記憶数)は増加しないようにされている。
【0021】
次に、本体制御装置37からの信号の有無と残金の有無をチェックしてBBコールを送信する手順を述べる。図7に示すステップA1ではビジー信号の受信の有無を判定する。受信していない場合(ノウ)であれば、ステップA2において球貸記憶減算要求信号の受信の有無を判定しステップA3では残金減算要求信号の受信の有無を判定する。ここで両信号が受信されていなければステップA4でカードの金額データの残高の有無を判定する。そして、残高があればステップA5において球貸記憶の有無のチェックをする。球貸記憶が有ればステップA6において再度ビジー信号を受信しているかどうかを確認し、受信していない(ノウ)のであればステップA7においてBBコールを発生させる。なお、ステップA2において球貸記憶減算要求信号が受信されていればステップA8に進み球貸記憶の数値(前記球貸記憶数)を1減算してステップA3に合流する。
【0022】
また、ステップA3において残金減算要求信号が受信されていればステップA9に進み残金データを減算したのちステップA4(ゼロになっていないことの確認がなされる。)に合流する。一方、ビジー信号が受信されている場合、すなわちステップA1においてはステップA10に進み、ステップA6においてはステップA11に進みBBコールを停止させる。以後カードが挿入されている間上記処理を繰り返す。ステップ5において判定がイエス(カードの取出スイッチが働いている状態)であれば図8に示すステップB1に進みカードの排出手順を行う。
【0023】
図8に示すように、先ず、BBコールが発生しているかをここで判定する。発生していなければそのまま進むがもし有ればステップB2でBBコールを停止させ次に進む。ステップB3ではビジー信号を受信しているかをチェックし受けていれば待機状態になり、そうでなければステップB4で球貸記憶減算要求信号の有無を判定し無ければそのまま次へ進むが有ればステップB5で球貸記憶の数値(前記球貸記憶数)を1減算し、ステップB6で球貸記憶の数値(前記球貸記憶数)が0であることを確認し、もし記憶数が有るならばステップB7において球貸記憶の数値(前記球貸記憶数)をクリアする。次に、残金減算要求信号が受信されている場合(ステップB8)、減算処理をして(ステップB9)結果をカードに書き込み(ステップB10)、図6に示すステップ9によりカードを排出する。
【0024】
一方、図7に示すステップA4で残金データが0になったことを判定すると、カードに残金0のデータを書き込み(図8ステップB10)、球貸記憶の記憶数(前記球貸記憶数)が0以外であればその数値をクリアし(図示せず)、図6に示すステップ9によりカードを排出する。
【0025】
本体制御回路においては、図9に示すようにステップC1でBBコールが受信されているかを判定する。受信されていない場合は、入賞球の有無を判定する(ステップC2)。入賞球がない場合はここで待機状態になり(ステップC1に戻る。)、入賞球がある場合は再度、BBコールの有無を判定する(ステップC3)。BBコールが無ければ賞球排出処理を行い(ステップC4)ステップC5で処理終了を検知するまで賞球排出を行う。処理終了を検知すればステップC1に戻る。
【0026】
ステップC3は賞球排出よりも貸出球排出を優先するように組まれている。BBコールを受信した場合、ステップC1またはステップC3からステップC6に進み、ビジー信号を発生させる。そして、ステップC7において貸出球排出処理を行う。ステップC8では貸出球排出処理が終了したかを判定し、継続中であればステップC7へリピートされる。排出処理終了後、ステップC9においてビジー信号を停止させ、ステップC10において球貸記憶減算要求信号を発生させる。さらにステップC11において残金減算要求信号を発生させて、BBコールおよび入賞球の待機状態(ステップC1,C2)とする。
【0027】
すなわち、パチンコ機はカードを挿入するとカードリードライター5aがカードの良否、残高、を判定し(ステップ4)、遊技者の球貸スイッチ41の操作に基づき(ステップ6)賞球および貸出球の排出装置27が作動して貸出球排出処理が行われる。この場合、上タンク23に貯留されている遊技球が貸出球となって接続樋26を流下し、排出装置27の下部の賞球樋28を通って上皿2に供給される。
【0028】
なお、ステップ7はパチンコ機1を修理するためなどでガラス枠18等を開放しているときに、作業者が誤って球貸し操作を行ってしまっても球貸しがされないように回路を制御したもので、この働きは、ガラス枠18等の開放が検出された場合にはカードを排出するようにしても良く、枠開放時に球貸出し機能を停止させるものであれば何でも良い。また、本実施例ではカードを挿入した後、カードは残額が0になるか(ステップA4参照)または取出スイッチ42が操作されるか(ステップ5参照)するまでカードリードライター5a内に保持されたままであるが、玉貸し操作ごとに排出するようにしても良い。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したものであるから、パチンコ機の旧台から新台への交換時には、旧台のリードライター制御装置を新台の本体制御装置と再接続することによりカードリードライターおよびその制御装置が再利用され、この分のコストは低減される。また、リードライター制御装置と本体制御装置とが互いに交信して貸出球の排出に機能するので、本体制御装置への制御機能の集中化を排除し、パチンコ機本体の簡素化及びコストの削減を図ることができる。また、本体制御装置は貸出球の排出時にはリードライター制御装置にビジー信号を送信するので、リードライター制御装置では本体制御装置への球貸要求信号を一時停止し、排出装置の確実な動作により機械の信頼性が向上するという効果がある。また、球貸スイッチ及びカード取出スイッチを、パチンコ機の外枠に設けたので、パチンコ機を旧台から新台へ交換しても従来の操作が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるパチンコ機の斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の分割状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ機の正面図である。
【図4】図1に示すパチンコ機の裏面図である。
【図5】図1に示すパチンコ機のカード式球貸装置と本体制御装置との結線を示すブロック図である。
【図6】図5に示すカード式球貸装置の一部フローチャートである。
【図7】図5に示すカード式球貸装置の一部フローチャートである。
【図8】図5に示すカード式球貸装置の一部フローチャートである。
【図9】図5に示す本体制御装置のフローチャートである。
【符号の説明】
1 パチンコ機
5 カード式球貸装置
5a カード挿入部
5b リードライター制御装置
27 排出装置
37 本体制御装置
41 球貸スイッチ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2006-01-11 
出願番号 特願平11-152854
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A63F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 石井 哲土屋 保光  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 塩崎 進
渡部 葉子
登録日 2002-06-28 
登録番号 特許第3321646号(P3321646)
権利者 株式会社平和
発明の名称 パチンコ機  
代理人 萼 経夫  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 小野塚 薫  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 小野塚 薫  
代理人 萼 経夫  

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