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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1138833
審判番号 不服2003-24658  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-09-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-19 
確定日 2006-06-21 
事件の表示 平成 9年特許願第 52530号「パワーモジュール用基板の製造法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 9月11日出願公開、特開平10-242330〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、平成9年2月21日の出願であって、平成15年7月4日付で拒絶理由通知がなされ、同年9月16日付で意見書及び手続補正書が提出され、平成15年7月4日付拒絶理由通知書に記載した理由によって、同年11月10日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正書が提出されたものである。

[2]平成15年12月19日付手続補正についての補正却下の決定

<補正却下の決定の結論>
平成15年12月19日付手続補正を却下する。

<理由>
[2-1]補正の内容
平成15年12月19日付手続補正は、特許請求の範囲を、
「【請求項1】セラミックス基板の両面に金属板をそれぞれ回路板と放熱板として接合する工程と、次に上記回路板に所定の回路パターンをエッチング処理により作製する工程と、次に上記回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分を0.05〜0.15mm厚にエッチング処理する工程とより成ることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造法。
【請求項2】セラミックス基板の両面に金属板をそれぞれ回路板と放熱板として接合する工程と、次に上記回路板に所定の回路パターンをエッチング処理により作製する工程と、次に上記回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分を0.05〜0.15mm厚にエッチング処理する工程と、次に上記回路パターン上にニッケルメッキを施す工程とより成ることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造法。」とする補正を含むものである。

[2-2]補正の目的
上記手続補正は、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正であるから、同条第4項各号に掲げる事項を目的とするものか否かについて以下検討する。
まず、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮という目的に該当するか否かについてみるに、補正前の請求項2の「パワーモジュール用基板の製造方法」についての補正は、補正前の、
「【請求項2】セラミックス基板の両面に金属板をそれぞれ回路板と放熱板として接合する工程と、上記回路板に所定の回路パターンをエッチング処理により作製する工程と、上記回路パターン上にニッケルメッキを施す工程と、上記回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分を0.05〜0.15mmの深さにエッチング処理する工程とより成ることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。」を、
「【請求項2】セラミックス基板の両面に金属板をそれぞれ回路板と放熱板として接合する工程と、次に上記回路板に所定の回路パターンをエッチング処理により作製する工程と、次に上記回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分を0.05〜0.15mm厚にエッチング処理する工程と、次に上記回路パターン上にニッケルメッキを施す工程とより成ることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造法。」と補正しようとするものであり、補正前の請求項2には、上記回路板に所定の回路パターンをエッチング処理により作製する工程、上記回路パターン上にニッケルメッキを施す工程、上記回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分をエッチング処理する工程の順に記載され、いずれの工程も、前工程で処理した「上記回路板」又は「上記回路パターン」を当該工程で処理するように記載されている。してみると、当該目的に合致するためには、補正後の請求項2には、補正前の上記工程順に処理するように記載されることが必要であり、更にそれが限定されなければならないところ、上記補正では、「上記回路板に所定の回路パターンをエッチング処理により作製する工程と、次に上記回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分を・・・エッチング処理する工程と、次に上記回路パターン上にニッケルメッキを施す工程とより成る」とされ、ニッケルメッキを施す工程と半導体搭載部に略対応する部分をエッチング処理する工程とが逆の順序となっており、補正前の上記工程順と異なるものである。
したがって、当該補正は、補正前の請求項2の発明特定事項を限定するものとはいえないから、特許法第17条の2第4項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮には該当しない。
次に、その他の目的要件についてみるに、上記補正は、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、及び同項第3号の誤記の訂正に該当しないことは明らかであり、また、同項第4号に掲げる、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明を目的とするものともいえない。

[2-3]むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反しているので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[3]本願発明
平成15年12月19日付手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1〜5に係る発明は、平成15年9月16日付手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1、3〜5に係る発明(以下、「本願発明1」、「本願発明3」〜「本願発明5」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】セラミックス基板の両面に金属板をそれぞれ回路板と放熱板として接合する工程と、上記回路板に所定の回路パターンをエッチング処理により作製する工程と、上記回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分を0.05〜0.15mmの深さにエッチング処理する工程とより成ることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
【請求項3】上記セラミックス基板が、Al2O3、AlN、Si3N4から選ばれる少なくとも1種のセラミックス基板であることを特徴とする請求項1または2記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
【請求項4】上記金属板が、銅またはアルミニウム板であることを特徴とする請求項1、2または3記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
【請求項5】上記接合が直接接合あるいはろう接合であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のパワーモジュール用基板の製造方法。」

[4]引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前の平成4年4月6日に頒布された刊行物である特開平4-103150号公報(以下、「引用刊行物1」という。)、同じく平成4年4月24日に頒布された刊行物である実願平2-90782号(実開平4-48624号公報)のマイクロフイルム(以下、「引用刊行物2」という。)には、夫々以下の事項が記載されている。

[4-1]引用刊行物1:特開平4-103150号公報
(1a)「セラミックス基板の表面に金属板を融着したIC実装用基板において、上記金属板の表面を凹凸状に形成したことを特徴とするIC実装用基板。」(【特許請求の範囲】)、
(1b)<産業上の利用分野>として、「本発明はIC実装用基板、詳しくはセラミックス基板の表面に金属板を融着したIC実装用基板の放熱構造の改良に関する。」(第1頁左下欄10〜13行)、
(1c)<従来の技術>として、「従来からこの種のIC実装用基板としては、DBC基板が知られている(・・・)。この基板は、第4図に示すように、所定共晶点温度にまで加熱することによりアルミナ基板41の表面に直接Cu板42を融着したものである。この場合のCu板42は均一の厚さであってその表面は平坦である。そして、このCu板42をエッチングして複数部分に分離し、その上にハンダ43付け等によって実装部品であるICチップ44が搭載される。・・・46はこのICチップ44(パワートランジスタ等搭載のチップ)と端子45とを接続するボンディングワイヤである。」(第1頁左下欄14行〜右下欄14行)、
(1d)<発明が解決しようとする課題>として、「しかしながら、このような従来のCu導体を用いたIC実装用基板にあっては、Cu導体は回路の電流密度を減少させて抵抗発熱を小さくするためにCu導体板厚が厚く、かつ、一定の厚さで形成されていたため、IC等の実装後において、熱応力の発生により、セラミックス基板にあって疲労によるわれが発生したり、あるいは実装電子部品(例えばパワーチップ)との接合部に割れや剥離が発生するという課題があった。・・・そこで、本発明は、セラミックス基板に割れが生じたり、実装電子部品とCu導体(金属板)との接合部に剥離、割れが生じることのない、すなわち熱サイクル寿命が長いIC実装用基板を提供することを目的としている。」(第1頁右下欄15行〜第2頁左上欄18行)、
(1e)<作用>として、「本発明に係るIC実装用基板にあっては、回路パターンによる応力集中部、あるいは部品実装による熱の発生部およびその熱応力発生部あるいは部品実装位置に対して、必要形状に応じて段差あるいは金属板の厚さの異なる部分を形成する。この場合、金属板をセラミックス基板の表面に融着する前、あるいは融着した後に、金属板に対して2回あるいはそれ以上の回数のエッチング加工・・・を施すことにより、該金属板の厚さを変更するものである。」(第2頁右上欄4〜17行)、
(1f)<実施例>として、第1図(A)〜(F)が示されるとともに、「アルミナ基板等のセラミックス基板11の表裏両面(表面のみ図示、以下同じ)には所定の厚さのCu板12が融着されている(第1図(A))。所定温度まで加熱してCu-Oの共晶融液によりこれらを接合したものである。そして、このCu板12に対して第1回目のエッチングを行うことにより、Cu板12の表面の所定範囲に所定深さの凹部13A,13Bを形成する(第1図(B))。・・・このCu板12の表面に上記とは異なるパターンのレジストを被着して第2回目のエッチングを行う。この結果、第1図(C)に示すように、Cu板12の凹部13Bについて溝14が形成され絶縁基板であるセラミックス基板11の一部表面が露出される。この結果、回路形成用のこのCu板12は該基板11上で絶縁分離される。したがって、凹部13Bについては階段状の凹所が形成されることとなる。・・・以上の工程により、所望形状の凹凸を有するIC実装用の基板が形成されるものである。更に、この基板に対してハンダ被着部16Bの上には端子19が、凹部13AにはICチップ17が、それぞれ固着されることとなる。・・・このようにしてICチップ17等を搭載した基板にあっては、当該ICチップ17部分等より発熱があっても、ICチップ17はCu板12の厚さが薄い凹部13Aに搭載しているため、熱拡散距離が短くなりその放熱性は向上している。・・・Cu板12の所定位置に凹部13A,13Bを形成したため、ICチップ17等の電子部品の搭載に際しての位置決めが容易になっている。」(第2頁右上欄末行〜第3頁右上欄11行)、
「また、上記実施例の金属板はCuに限られることなく、Al等でもよい。セラミックス基板としてはアルミナ基板の他にも窒化アルミニウム基板等を用いてもよい。」(第4頁左上欄17〜20行)が記載されている。

[4-2]引用刊行物2:実願平2-90782号(実開平4-48624号公報)のマイクロフイルム
(2a)「セラミック基板上に取着した導体パターン上に、半導体素子を実装した配線基板において、該導体パターン上に、該半導体素子と略同じ平面形状を持ち該半導体素子を挿入可能な凹部が設けられ、該凹部内で該半導体素子がハンダ付けされていることを特徴とする配線基板。」(実用新案登録請求の範囲)、
(2b)<作用>として、「導体パターン上に、予めそこに実装される半導体素子と略同じ平面形状の凹部が形成されているため、治具を使用しなくても、半導体素子を凹部に挿入するだけで位置決めができ、作業性が良好で、溶融ハンダの流出がなく、ハンダ付けも確実に行われる。」(第3頁17行〜第4頁2行)、
(2c)<実施例>として、第1図〜第3図が示されるとともに、「凹部2aは、例えばエッチング法により、容易に導体パターン2上に形成することができる。エッチング法で凹部2aを形成する場合、導体パターン2上に感光性樹脂のレジストを塗布し、凹部2aに対応した開口部を持つマスクパターンでこれをマスキングした状態で、表面を露光し、現像液に浸漬させた後、腐食液に入れ、そして剥離液に入れて、レジストを剥離する。なお、この凹部2aの深さは、例えば50μm〜100μmとし、ハンダ付けした際のハンダの厚さより深いのが望ましい。セラミック基板1上に取着した導体パターン2上に半導体素子3を固定する場合、先ず、半導体素子3を、ハンダ材(・・・)4を介して導体パターン2の凹部2a上に載置する。この際、凹部2aが配置の目印となって、半導体素子3を容易に位置決めして導体パターン上の定位置に載置することができる。・・・そして、基板全体を加熱し、ハンダ材4を溶融させ固化させて、半導体素子3を導体パターン2上に固定する。このとき、溶融したハンダは、凹部2aの段差によって、凹部外へ流出せずに凹部内に保持され、半導体素子3の底部が導体パターン2上に確実にハンダ付けされる。」(第4頁18行〜第6頁3行)が記載されている。

[5]対比・判断
[5-1]本願発明1について
上記摘記(1c)、(1d)によれば、引用刊行物1に記載された発明の解決しようとする課題が、従来のパワーチップ実装用のCu導体板を用いたセラミック基板で発生する熱応力によるわれや剥離が発生しないようにすることであるから、引用刊行物1におけるIC実装用基板がパワーチップ実装用であることは明らかである。
また、上記摘記(1f)における「アルミナ基板等のセラミックス基板11の表裏両面(表面のみ図示、以下同じ)には所定の厚さのCu板12が融着されている」の、表面側に融着されるCu板が回路形成用であることは、同摘記(1f)における「回路形成用のこのCu板12は該基板11上で絶縁分離される。」との記載により明らかである。
そして、上述の事項、及び上記摘記(1a)〜(1f)を総合すると、引用刊行物1には、「アルミナ基板、窒化アルミニウム基板等のセラミックス基板の表裏両面に所定厚さのCu、Al等の金属板をそれぞれ回路形成用金属板と裏面側金属板として融着する工程と、該融着した回路形成用金属板にエッチングを行い、パワーチップ等のICチップを実装するためのハンダ被着部の該金属板表面に凹部を形成するとともに回路を形成する工程とより成るパワーチップ実装用基板の製造方法」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
そこで、本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「アルミナ基板、窒化アルミニウム基板等のセラミックス基板の表裏両面」、「回路形成用金属板」、「融着する」、「回路形成用金属板にエッチングを行い、・・・回路を形成する」、「回路形成用金属板にエッチングを行い、・・・パワーチップ等のICチップを実装するためのハンダ被着部の該金属板表面に凹部を形成する」、「パワーチップ実装用基板」は、それぞれ本願発明1における「セラミックス基板の両面」、「回路板」、「接合する」、「回路板に所定の回路パターンをエッチング処理により作製する」、「回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分を・・・エッチング処理する」、「パワーモジュール用基板」に相当するので、両発明は、「セラミックス基板の両面に金属板をそれぞれ回路板と裏面側の金属板として接合する工程と、上記回路板に所定の回路パターンをエッチング処理により作製する・・・回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分をエッチング処理する工程とより成るパワーモジュール用基板の製造方法。」の点で一致し、次の点で相違する。
(イ)本願発明1では、セラミックス基板の裏面側に放熱板を接合するのに対し、引用発明では、セラミックス基板の裏面側に融着する金属板を放熱板とは表記していない点。
(ロ)セラミックス基板に接合した回路板のエッチング処理工程が、本願発明1では、回路板に所定の回路パターンを作製する工程と、その後の上記回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分を0.05〜0.15mmの深さにエッチング処理する工程とであるのに対し、引用発明では、ICチップを実装するためのハンダ被着部の凹部の深さが示されておらず、該凹部を回路形成前の金属板に形成している点。

そこでまず、上記相違点(イ)について検討するに、上記摘記(1f)の「このようにしてICチップ17等を搭載した基板にあっては、当該ICチップ17部分等より発熱があっても、ICチップ17はCu板12の厚さが薄い凹部13Aに搭載しているため、熱拡散距離が短くなりその放熱性は向上している。」との記載によれば、引用発明におけるセラミックス基板では、ICチップ等で発生した熱が回路の凹部を経て該基板へ熱拡散し、放熱されるのであるから、該熱の発生、移動に伴い、該基板の裏面側金属板への熱拡散、放熱も生じ、該裏面側金属板が放熱板として機能することは明らかである。
してみると、上記相違点(イ)は、本願発明1と引用発明との実質的な相違点を構成するものではない。
次いで、上記相違点(ロ)について検討するに、セラミックス基板上に回路パターンを形成した後、該回路パターンの所定の部分をエッチング処理して薄肉部や凹部を形成することは本願出願前周知の技術であり(例えば、特公平5-25397号公報,実施例5,第1〜3図;特開平5-166963号公報,段落【0009】参照)、また、引用刊行物2には、「凹部2aは、例えばエッチング法により、容易に導体パターン2上に形成することができる。・・・この凹部2aの深さは、例えば50μm〜100μmとし、ハンダ付けした際のハンダの厚さより深いのが望ましい。」(摘記(2c))との記載により、セラミックス基板の導体パターン上に半導体素子のハンダ付け用の凹部をエッチング法により容易に形成できること、及び該凹部を50μm〜100μm(0.05〜0.10mm)の深さとすることが望ましい旨述べられているので、引用発明における回路形成用金属板のエッチングを行う工程において、該金属板をエッチング処理して回路パターンを形成した後、該回路パターンのICチップを実装するためのハンダ被着部をエッチング処理し、該ハンダ被着部に50μm〜100μm(0.05〜0.10mm)程度の深さの凹部を形成すること、即ち、セラミックス基板に接合した回路板のエッチング処理工程を、回路板に所定の回路パターンを作製する工程と、その後の上記回路パターンの半導体搭載部に略対応する部分を0.05〜0.10mm程度の深さにエッチング処理する工程とすることは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。
そして、上記相違点(ロ)に係る本願発明1の特定事項によってもたらされる、半田流れ及びチップの位置ずれがないという効果も、引用刊行物1、2に記載された発明から当業者が普通に予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用刊行物1、2に記載された発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
[5-2]本願発明3〜5について
請求項1を引用する本願発明3〜5は、いずれも本願発明1と同じ発明特定事項を具備し、且つそれぞれ、セラミックス基板をAl2O3、AlN、Si3N4から選ばれる少なくとも1種のセラミックス基板に、金属板を銅又はアルミニウム板に、接合を直接接合あるいはろう接合に特定したものである。
しかしながら、引用発明においても、セラミックス基板はアルミナ基板、窒化アルミニウム基板等であり、金属板はCu、Al等であり、該金属板をセラミックス基板の表裏両面に融着して接合しているのであるから、請求項1を引用する本願発明3〜5と引用発明とは、上記セラミックス基板、金属板、接合の点において重複し、上記相違点(イ)(ロ)の本願発明1を本願発明3〜5と読み替えた相違点の他には、格別相違しない。
してみると、請求項1を引用する本願発明3〜5はいずれも、[5-1]で述べた本願発明1と同様、引用刊行物1、2に記載された発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[6]むすび
以上のとおり、本願発明1、3〜5は、引用刊行物1、2に記載された発明及び本願出願前周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、上記のとおり本願発明1、3〜5が特許を受けることができないため、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-05 
結審通知日 2006-04-11 
審決日 2006-04-25 
出願番号 特願平9-52530
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷部 智寿今井 拓也  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 市川 裕司
日比野 隆治
発明の名称 パワーモジュール用基板の製造法  
代理人 澤木 誠一  
代理人 澤木 紀一  

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