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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1140379
審判番号 不服2004-18546  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-12-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-08 
確定日 2006-07-20 
事件の表示 特願2001-197738「ディスク基板の処理方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月13日出願公開、特開2002-358695〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年6月29日(優先権主張 平成13年3月28日)の出願であって、平成13年9月10日付けで手続補正がなされ、その後拒絶理由通知に応答して平成16年7月16日付けで手続補正がなされたが、平成16年8月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月8日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものであり、その後前置報告がなされ、審尋に応答して回答がなされた。

2.平成16年9月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年9月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、少なくとも、特許請求の範囲を次のように補正するものである。
「【請求項1】
光ディスク用のディスク基板の処理方法において、
金型から取り出された直後における90°Cよりも高い温度の、又は固化する前の成形ディスク基板の内周部の非情報記録面域をディスク受台に支承させて、前記ディスク基板が上下に波打つことのない3,000rpm以上の所定回転速度で高速回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減させながら短時間で冷却し、前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下した後に、又は前記成形ディスク基板が固化した後に前記回転を停止させて前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項2】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下したときのそのディスク基板の反り量を測定し、その反り量に基づいて前記回転の回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを調整して前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項3】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
前記成形ディスク基板の回転前又は回転中にその温度を測定し、その温度に基づいて前記回転の回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを調整して前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項4】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に、前記成形ディスク基板の温度を測定し、
その温度に基づいて前記成形ディスク基板を冷却又は加熱して前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項5】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下したときのそのディスク基板の反り量を測定し、その反り量に基づいて前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に冷却又は加熱の調整をして前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項6】
光ディスク用のディスク基板の処理装置において、
金型から取り出された直後における90°Cよりも高い温度の、又は固化する前の成形ディスク基板を移載する搬送手段と、
該搬送手段より搬送された前記成形ディスク基板を受け取るディスク受台であって、前記成形ディスク基板の情報記録面域の内周に達しない直径を有するディスク受台と、
前記成形ディスク基板の情報記録面域の内周に達しない部分を前記ディスク受台に支承させて、前記ディスク基板が上下に波打つことのない3,000rpm以上の所定回転速度で高速回転し、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減させながら短時間で冷却し、前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下した後に、又は前記成形ディスク基板が固化した後に前記回転を停止する回転駆動装置と、
を備えていることを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項7】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を移載する搬送手段と、該搬送手段より搬送された前記成形ディスク基板を受け取るディスク受台と、前記成形ディスク基板が90°Cよりも高い温度にあるとき前記ディスク受台を高速回転させて成形ディスク基板を高速回転させる回転駆動装置とを備えているディスク基板の処理装置において、
前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下したときのそのディスク基板の反り量を測定する反り測定手段と、
その反り量を解析してその大きさに対応する前記成形ディスク基板の回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを求め、前記回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを制御する制御信号を前記回転駆動装置に与えるデータ変換・制御手段と、
を備えたことを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項8】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を移載する搬送手段と、該搬送手段より搬送された前記成形ディスク基板を受け取るディスク受台と、前記成形ディスク基板が90°Cよりも高い温度にあるとき前記ディスク受台を高速回転させて成形ディスク基板を高速回転させる回転駆動装置とを備えているディスク基板の処理装置において、
前記成形ディスク基板の回転中にその温度を測定する温度測定手段と、
その測定温度と、予め求めた温度と回転数、回転時間、回転の上昇速度との関係を示すデータベースとから、前記成形ディスク基板の回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを制御する制御信号を前記回転駆動装置に与えるデータ変換・制御手段と、
を備えたことを特徴とするディスク基板の処理装置。」

(2)補正の適否
本件補正は、特許法第17条の2第1項第3号において準用する同法第121条第1項の審判を請求する場合において、その審判の請求の日から30日以内にするときになされたものであるところ、同法第17条の2第4項において、同条第1項第3号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正は、同項第1号乃至第4号に掲げる事項(請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明)を目的とするものに限るとされているので、その規定に違反するか検討する。

本件補正前の特許請求の範囲の記載は、平成16年7月16日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜19に記載された事項により特定される次のとおりである。
「【請求項1】
光ディスク用のディスク基板の処理方法において、
金型から取り出された直後における90°Cよりも高い温度の、又は固化する前の成形ディスク基板を、室温中で、3,000rpm以上の所定回転速度で高速回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減させながら短時間で冷却し、
前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下した後に、又は前記成形ディスク基板が固化した後に前記回転を停止させて前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項2】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下したときのそのディスク基板の反り量を測定し、その反り量に基づいて前記回転の回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを調整して前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項3】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
前記成形ディスク基板の回転前又は回転中にその温度を測定し、その温度に基づいて前記回転の回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを調整して前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項4】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に、前記成形ディスク基板の温度を測定し、
その温度に基づいて前記成形ディスク基板を冷却又は加熱して前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項5】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下したときのそのディスク基板の反り量を測定し、その反り量に基づいて前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に冷却又は加熱の調整をして前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項6】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
90°C以下の気流を、前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に前記成形ディスク基板の中央穴側から前記成形ディスクの両面に沿って放射外方向に吹き出して前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記両面に沿って流れる気流の風速又は温度をそれぞれ調整することを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項8】
請求項4又は請求項5において、
前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に前記成形ディスク基板の中央部の上方から90°C以下の気流を吹き出し、前記成形ディスク基板の面を放射外方向に前記気流を流すことを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項9】
請求項4ないし請求項8のいずれかにおいて、
前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に前記成形ディスク基板の外周面から気流を吸引することを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項10】
光ディスク用のディスク基板の処理装置において、
金型から取り出された直後における90°Cよりも高い温度の、又は固化する前の成形ディスク基板を移載する搬送手段と、
該搬送手段より搬送された前記成形ディスク基板を受けとるディスク受台と、
室温中で、3,000rpm以上の所定回転速度で高速回転し、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減させながら短時間で冷却し、前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下した後に、又は前記成形ディスク基板が固化した後に前記回転を停止する回転駆動装置と、
を備えていることを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項11】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を移載する搬送手段と、該搬送手段より搬送された前記成形ディスク基板を受けとるディスク受台と、前記成形ディスク基板が90°Cよりも高い温度にあるとき前記ディスク受台を高速回転させて成形ディスク基板を高速回転させる回転駆動装置とを備えているディスク基板の処理装置において、
前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下したときのそのディスク基板の反り量を測定する反り測定手段と、
その反り量を解析してその大きさに対応する前記成形ディスク基板の回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを求め、前記回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを制御する制御信号を前記回転駆動装置に与えるデータ変換・制御手段と、
を備えたことを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項12】
金型から取り出された直後における成形ディスク基板を移載する搬送手段と、該搬送手段より搬送された前記成形ディスク基板を受けとるディスク受台と、前記成形ディスク基板が90°Cよりも高い温度にあるとき前記ディスク受台を高速回転させて成形ディスク基板を高速回転させる回転駆動装置とを備えているディスク基板の処理装置において、
前記成形ディスク基板の回転中にその温度を測定する温度測定手段と、
その測定温度と、予め求めた温度と回転数、回転時間、回転の上昇速度との関係を示すデータベースとから、前記成形ディスク基板の回転数、回転時間、回転の上昇速度のいずれか又は組み合わせを制御する制御信号を前記回転駆動装置に与えるデータ変換・制御手段と、
を備えたことを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項13】
請求項10ないし請求項12のいずれかにおいて、
前記成形ディスク基板を冷却する冷却手段又は加熱する加熱手段を備えたことを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記反り測定手段は、前記成形ディスク基板の温度が90°C以下に低下したときのそのディスク基板の反り量を測定し、
前記冷却手段又は加熱手段は、前記反り量に基づいて成形ディスク基板を冷却又は加熱して、成形ディスク基板の温度の調整を行うことを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項15】
請求項13において、
前記温度測定手段は、前記成形ディスク基板の温度が90°C以下にあるときのそのディスク基板の温度を測定し、
前記冷却手段又は加熱手段は、その温度に基づいて前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に冷却又は加熱して、成形ディスク基板の温度の調整を行うことを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項16】
請求項13ないし請求項15のいずれかにおいて、
前記冷却手段は90°C以下の気流を吹き出し、
前記気流は、回転軸部材に設けられた気流路を通して前記成形ディスクの両面に沿って放射外方向に吹き出されることを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記気流は、その風速又は温度がそれぞれ調整されることを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項18】
請求項13ないし請求項17のいずれかにおいて、
前記冷却手段又は加熱手段は、前記成形ディスク基板の直径よりも大きな径の円形状吸引口を有し、
この円形状吸引口は前記成形ディスク基板の外周面に沿って位置し、
前記成形ディスク基板の外周面から気流を吸引することを特徴とするディスク基板の処理装置。
【請求項19】
請求項13ないし請求項18のいずれかにおいて、
前記冷却手段は90°C以下の気流を吹き出し、
前記冷却手段又は加熱手段は、前記成形ディスク基板を吸着保持し得る吸着保持手段で構成されることを特徴とするディスク基板の処理装置。」

ところで、本件補正に関し、審判請求理由(「【本願発明が特許される理由】1.本願発明の関する概要の説明」の項参照)において請求人は、(補正前の)請求項6〜9と請求項13〜19を削除し、請求項1の発明を減縮し、元の請求項10を新たな請求項6とし同様に発明を減縮した旨を主張している。
なるほど、補正前後の記載を対比すると、補正前の請求項6〜9と請求項13〜19は削除され、補正後の請求項1と請求項6は補正前の請求項1と請求項10にそれぞれ対応し、補正後の請求項2〜5と請求項7〜8はそれぞれ補正前の請求項2〜5と請求項11〜12そのものと認められる。
しかしながら、補正後の請求項1に関し、補正前の請求項1に係る発明に、「の内周部の非情報記録面域をディスク受台に支承させて、前記ディスク基板が上下に波打つことのない」との構成を追加する点では減縮に相当する可能性があるとしても、補正前の請求項1に係る発明から「室温中で、」との必須の構成を削除するものであるから、その必須の構成を削除する点で明らかに補正前の発明を拡張するもの乃至実質変更するものというべきであって、減縮を目的とするものとは認められない。
なお、該「室温中で、」との構成は、平成16年7月16日付け意見書(「II.本件出願人の意見 (1)補正後の請求項1の発明について」の項を参照)において、拒絶理由通知に示された引用文献に対し、「(本発明は基板を室温で高速回転されることによって急速に冷却する)」ことや、「室温中でディスク基板に反りが生じないようにディスク基板を処理する点についても皆無であります。」などと主張している如く、必須の構成として出願人が主張していたものであることが明らかであることに留意すべきである。

よって、他の点について論及するまでもなく、少なくとも請求項1に係る発明に関する補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、同法第17条の2第4項の他の各号に掲げる事項(請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明)を目的とするものにも該当しないことは明らかである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成16年9月8日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜19にかかる発明は、平成16年7月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1〜19に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち請求項6に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。
【請求項6】「 金型から取り出された直後における成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
90°C以下の気流を、前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に前記成形ディスク基板の中央穴側から前記成形ディスクの両面に沿って放射外方向に吹き出して前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。」

(1)引用例
原査定の拒絶理由に引用された特開平9-97456号公報(以下、引用例という。)には、図面とともに、次のことが記載されている。なお、下線は、便宜的に当審で付与した。
(i)「【請求項1】 光記録媒体のディスクを冷却するに際し、冷却風をディスクの内周側から外周側に向けて流すことを特徴とする光記録媒体の製造方法。
【請求項2】 光記録媒体のディスク面と冷却風との間にディスク周方向の相対回転速度を付与しながら冷却風によりディスクを冷却することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
・・・(中略)・・・
【請求項4】 ディスク両面を冷却風により冷却する、請求項1ないし3のいずれかに記載の光記録媒体の製造方法。
・・・(中略)・・・
【請求項6】 前記光記録媒体が、成形後の基板、該基板上に成膜された媒体、さらにアニールを施した媒体のいずれかである、請求項1ないし5のいずれかに記載の光記録媒体の製造方法。
【請求項8】 連続的に成形される光記録媒体のプラスチック基板を、成形直後に、基板を重力の加速度または運動の加速度の方向に対して平行な方向に保持しながら基板の最高温部位の温度が70℃以下になるまで一次冷却し、その後目標温度まで二次冷却することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
【請求項9】 光記録媒体のディスクの内周側から外周側に向けて冷却風を流す手段を有していることを特徴とする光記録媒体の製造装置。
【請求項10】 光記録媒体のディスク面上に冷却風を供給する手段とともに、ディスクを回転させる手段を有していることを特徴とする光記録媒体の製造装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】、【請求項2】、【請求項4】、【請求項6】、【請求項8】〜【請求項10】参照)、及び、
(ii)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のように、基板あるいはディスクを、単にファン等でディスク面に冷却風を吹き付ける冷却方法では、均一に冷却することが困難な場合がある。たとえば、成形後の基板は、一般に内周側がより高温に、外周側がより低温になっている。このような温度勾配のある状態で、単に基板上方から冷却風を吹き付けるだけでは、基板全体にわたって均一に冷却することは難しい。冷却が均一でないと、所定温度以下にまで冷却成形された基板に歪が残り、面反り等の特性を悪化させ、高速回転状態で使用される光記録媒体の性能を低下させる原因となる。
【0005】また、成形後の基板をたて置き集合式容器に収納した状態で冷却する方法においては、通常基板間隔が5mm程度とそれ程大きくないので、基板間に熱がこもり、20〜30枚程度配列されている基板のうち、配列方向の端の方に位置する基板と中央部に位置する基板とでは、冷却条件が異なってくる。そのため面反り等のレベルの異なる基板が作製され、その分機械特性がばらついてしまう。」(段落【0004】〜【0005】参照)こと、
(iii)「【0021】また、ディスクを回転させるか、あるいはディスクは静止しているが旋回する冷却風を供給することにより、冷却対象となるディスク面と冷却風との間にはディスク周方向の相対回転速度成分が生じるので、径方向のみならず、ディスク周方向についても均一な冷却が可能となる。また、前述のような冷却方法によって1枚ずつ冷却すれば、各基板が実質的に同じ条件で冷却されて基板間の機械特性のばらつきが大幅に低減される。さらにはディスクを回転させる場合、ディスクの上、下面から均等に空気の抵抗を受けるため、遠心力によりディスクを平坦にしようとする力が働く。この結果基板の反り等も改善されつつ、冷却されるという効果もある。
【0022】さらに、連続的に成形される基板を、成形機から取り出した直後に重力の加速度または運動の加速度に対して平行な方向、たとえば実質的に鉛直姿勢に保持して一旦空冷することにより、成形直後の軟らかい基板であっても両面から容易に略均一に空冷することができる。そしてこの空冷によってある程度温度が低下した基板を、1枚ずつ、たとえば前述のような冷却方法によって冷却することにより、確実に所定温度以下まで均一に冷却することが可能となる。1枚ずつの冷却であるから、従来のたて置き集合式容器に多数の基板を収納した場合に熱がこもるという問題が生じることもなく、各基板が実質的に同じ条件で冷却されて、基板間の機械特性のばらつきが大幅に低減される。」(段落【0021】〜【0022】参照)こと、
(iv)「【0023】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。図1および図2は、本発明の一実施態様に係る光記録媒体の製造装置を示しており、とくに本発明を基板成形後の基板冷却工程に適用した場合を示している。
【0024】図において、1は、プラスチック、たとえばポリカーボネートからなる光記録媒体用の基板で、成形(たとえば射出成形)直後のものを示している。成形された基板1は、その中心部において、基板支持体2に支持されている。基板1の支持姿勢は、図示の如き水平支持であってもよいし、垂直状態に支持してもよい。
【0025】基板支持体2には、冷却風(矢印)を基板1の内周側から外周側に向けて吹き出す冷却風吹出口3a、3bが設けられている。本実施態様では、冷却風吹出口3a、3bは、基板1の上面側と下面側との両面側に設けられており、それぞれ、周方向に複数配設されている。片面冷却のみ要求される場合には、冷却風吹出口を片面に対して設ければよい。
【0026】各冷却風吹出口3a、3bには、基板支持体2中に穿設された送気孔4を通して、冷却用気体圧送手段5から冷却用気体が送給され、各冷却風吹出口3a、3bから冷却風として基板1の両面に径方向外側に向けて吹き出される。また基板支持体2の基板支持面2aには、図示を省略したが、ディスクを真空吸着保持するための吸着孔が設けられており、吸着孔には減圧源、または真空源が接続されている。
【0027】冷却用気体としては、とくに限定されないが、たとえば空気や不活性ガス、あるいはこれらの混合気体を用いることができる。基板1がプラスチックの場合、吸湿しやすいので、冷却風の湿度を十分に低くしておくことが好ましい。好ましくは湿度60%以下、より好ましくは40%以下に保っておく。また、光記録媒体は、製造のいずれの段階においても異物を極力少なく保つ必要があることから、冷却風中の異物(粒子)も極力少ない方が好ましい。たとえば、0.5μm以上の粒子の混入率が100,000個/m3以下の気体であることが好ましい。この粒子の混入率は、パーティクルカウンタで容易に測定できる。
【0028】上記のように構成された装置においては、基板1は、成形された後、冷却風吹出口3a、3bから吹き出される冷却風によって冷却される。冷却風は図2に示すように基板1の径方向に流れるので、たとえ基板1の径方向において温度むらや温度勾配がある場合にあっても、上記流れによって、それらが是正されつつ冷却され、均一な冷却が可能となる。
【0029】とくに、成形直後の基板1は、通常、内周側が高温サイド、外周側が低温サイドの温度勾配をもっているので、これが是正されるように、つまり高温側から効率よく冷却される。したがって、内外周部位が、温度および冷却過程が均一化されるように冷却され、冷却後の基板1の面反り等が小さく抑えられ、基板1内における機械特性のばらつきが抑制される。
【0030】さらに、本実施態様では、上記の均一冷却が基板1の両面において行われるので、基板両面とも均一にかつ効率よく冷却されることになり、一層均一な機械特性が得られる。
【0031】図3ないし図5は、本発明の別の実施態様に係る光記録媒体の製造装置を示している。図3に示す実施態様においては、図1に示した装置に、基板1を回転させるため、基板支持体2に回転駆動手段6を連結したものである。基板1を回転させることにより、冷却風吹出口3a、3bから径方向外側に向けて吹き出された冷却風は、基板面に対し相対的に旋回されることになり、径方向のみならず、周方向においても均一冷却が可能となる。
【0032】この旋回方向に流れる冷却風による均一冷却は、単に基板を回転させるだけでも可能である。たとえば図4に示すように、基板10の片面あるいは両面に対向させて冷却風を供給するファン11を設け、基板10を回転駆動手段12により回転させるようにすれば、基板面に向けて吹き付けられる冷却風に基板周方向に相対回転速度を付与することができ、少なくとも基板周方向における冷却が均一化される。」(段落【0023】〜【0032】参照)こと、
(v)「【0040】上記方法の効果を確認するために、次のような試験を行った。平均分子量が15000のポリカーボネートのオプチカルグレードを使用し、直径120mm、肉厚0.6mmの光記録媒体基板を、75tの射出成形機で、シリンダー温度350℃、金型温度130℃、成形サイクル25秒の条件で射出成形した。得られた基板の機械特性を測定したところ、表1のようになった。
【0041】
【表1】

【0042】以上のように、従来の方法(比較例1)に比べ本発明の方法(実施例1〜4)はいずれもディスクの面反りが小さく、かつ、ばらつきが小さかった本発明の方法(実施例1〜4)はいずれもディスクの面反りが小さく、かつ、ばらつきが小さかった。また、実施例1および2においては、ディスクを個別に冷却するためタクトタイムが短くできる。また、実施例3および4では二次冷却を利用することにより、面反りの出やすい成形直後の状態で個別に内周から外周に向けて送風しながら冷却し、しかる後に別途室温近くの目標温度(30℃)に冷却するためさらにタクトが早く、しかも、面反りを小さくできた。なお、一次冷却後のディスクの最高温部位の温度は70℃であった。この程度まで一次冷却しておくと、その後の反りの発生がきわめて小さく、二次冷却を集合式で行っても面反りを小さくできる。
【0043】なお、上記図1〜図5に示した各実施態様では、基板成形後に該成形基板を冷却する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、光記録媒体製造工程において基板やディスクの冷却を要する全ての工程に適用可能である。たとえば、基板上に記録層等の成膜が行われたディスクの冷却、さらには、その後の工程でディスクのアニールを行った後の冷却、等にも適用できる。」(段落【0040】〜【0043】参照)こと。

これらの記載によれば、引用例には、次の発明(以下「引用例発明」という。)が記載されていると認められる。
「光記録媒体の成形直後の軟らかいディスク基板を冷却するに際し、ディスクを回転させると共に、基板の中心部において支持する基板支持体の冷却風吹出口から、ディスク両面に冷却風をディスクの内周側から外周側に向けて流し、基板の最高温部位の温度が70℃以下になるまで冷却する光記録媒体の製造方法。」

(2)対比、判断
そこで、本願発明と引用例発明とを対比する。
(a)引用例発明の「光記録媒体の製造方法」は、ディスク基板の冷却方法を規定するものでもあるから、本願発明の「ディスク基板の処理方法」に相当する。
(b)引用例発明の「光記録媒体の成形直後の軟らかいディスク基板を冷却するに際し、」は、具体的には射出成形機を用い金型温度130℃で射出成形する際の成形直後のディスク基板を冷却処理するものである(摘示(v)参照)から、本願発明の「金型から取り出された直後における成形ディスク基板・・・・・(中略)・・・の温度を低下させるディスク基板の処理方法において、」に相当する。
(c)引用例発明の「ディスクを回転させると共に、基板の中心部において支持する基板支持体の冷却風吹出口から、ディスク両面に冷却風をディスクの内周側から外周側に向けて流し、」は、該「冷却風をディスクの内周側から外周側に向けて流し」とは中央穴側から放射外方向に吹き出すことに他ならないから、また、本願発明の「回転前又は回転中に」が選択肢であって「回転中に」の選択肢を採用できることを考慮すると、本願発明の「前記成形ディスク基板の回転中に前記成形ディスク基板の中央穴側から前記成形ディスクの両面に沿って放射外方向に吹き出して」に相当する。

してみると、両発明は、少なくとも、次の点で一致している。
「金型から取り出された直後における成形ディスク基板の温度を低下させるディスク基板の処理方法において、
前記成形ディスク基板の回転中に前記成形ディスク基板の中央穴側から前記成形ディスクの両面に沿って放射外方向に吹き出して前記ディスク基板を得ることを特徴とするディスク基板の処理方法。」
ところが、本願発明では、更に次の(A)、(B)の点を規定しているのに対し、引用例発明ではそのような表現では特定されていない。
(A)「90°C以下の気流を」吹き出すと規定されている点。
(B)「成形ディスク基板を高速で回転させ、その高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させる」と規定されている点。

そこで、これらの点について検討する。
(A)の点について
引用例発明において、冷却風によって「基板の最高温部位の温度が70℃以下になるまで冷却する」ためには、金型温度が130℃との温度のものを成形から取り出した直後のものであることを勘案し、少なくともその冷却風の気流温度が70℃よりも低いことが必要であると認められる。
そうであれば、引用例発明において、「90°C以下の気流を」吹き出すことは当然に行われているものと解するのが相当である。
よって、(A)の点は、単なる表現上の有無にすぎず実質的な相違点ではない、乃至は当業者が容易に採用し得る程度のことと認められる。

(B)の点について
本願発明の構成を文言解釈すれば、(イ)高速回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減させることと(ロ)基板の温度を低下させることは、選択肢であると解するしかない((イ)のみ、(ロ)のみ、(イ)且つ(ロ)の三通り)。
そうであるところ、既に検討した如く、引用例発明では(ロ)の選択肢は明示されているから、その点では一致している。
仮に(イ)且つ(ロ)であるとしても、引用例には、「さらにはディスクを回転させる場合、ディスクの上、下面から均等に空気の抵抗を受けるため、遠心力によりディスクを平坦にしようとする力が働く。この結果基板の反り等も改善されつつ、冷却されるという効果もある。」(摘示(iii)の段落【0021】参照)と説明されているのであるから、ディスクを平坦にしようとする遠心力が働く程度の回転力が採用され、基板の反りも改善されると明記されているのであり、遠心力で基板の反りを低減させることも明示されているという他ないのである。
ただ、引用例には、その回転が高速であるか否かの用語は記載されていない。
しかしながら、本願発明の高速(高速で回転、高速回転)は相対的な表現にすぎず、その判断基準が示されていないところ、引用例発明においても、本願発明で目的とされる作用と同じ作用である遠心力の働きにより、ディスクを平坦化し、基板の反りを改善するのであるから、その目的・作用において両発明に実質的な差異がないことを勘案すると、「高速」の表現の有無は、単に表現上の差異にすぎず実質的な相違であるとは認められない。 ちなみに、引用例発明の実施例に示された面反りの最大角は、回転を併用する実施例2において2.3mradであって、即ち、0.13°(注:1rad≒57°)であるから、本願明細書段落【0034】で問題なしと説明されている反り角度0.2度以下を十分に満たしている。
ところで、本願明細書段落【0030】には、高速回転とは3,000rpm以上であるような記載もあるけれども、特許請求の範囲において定義されているわけではない。 むしろ、例えば請求項1では明確に3,000rpm以上との規定がなされているのに対し、請求項6に係る本願発明では何ら規定されていないのであるから、発明を広くするためにその説明に拘束されないようにあえて規定していないと解するのが相当であるという他ないのである。

そして、本願発明の作用効果も引用例から当業者が予測できる範囲のものと認められる。
したがって、本願発明は、引用例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)原査定の適法性について
本願発明に関し、出願人は、平成16年7月16日付け意見書(II.本件出願人の意見 (6)補正後の請求項6の発明について の項を参照)において、『補正後の請求項6の発明は、「金型から取り出された直後における成形ディスク」に限定していますので、理由Aは解消しており、その発明の構成要件は理由B、理由Cの対象になっていない補正前の請求項10の発明に相当しますので、拒絶の理由はすべて解消したものと確信しております。』と主張している。
これに対し、原査定では次のように記載されている。
『この出願については、平成16年 5月13日付け拒絶理由通知書に記載した理由B、Cによって、拒絶をすべきものである。(当審注:理由B,Cとは、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、また同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとの理由を指す。)
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討したが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせない。
備考
・請求項6,7,9について
出願人は意見書の(6)において補正後の請求項6は理由B、理由Cの対象になっていない補正前の請求項10の発明に相当すると主張しているが、補正前の請求項10が補正前の請求項8又は請求項9を引用する発明であるにもかかわらず、補正後の請求項6は補正前の請求項8又は請求項9の構成を含んでおらず、補正後の請求項6が補正前の請求項10に相当するとは認められない。よって出願人の主張は正しくない。
ここで当該請求項6と先の引用文献1を比較すると、どちらも成形直後のディスクを高速回転させ、ディスクの両面に中心側から外側に向かって冷却風を流しており、実質的に同一である。また、冷却風に関しても程度はともかく風速や温度を調整しているものと認められるし、外周面側から気流を吸引する程度の構成は設計的な微差にすぎない。
以上より、依然として理由B、Cが解消していない。
・・・(後略)。』

そこで、更に検討する。
補正前の請求項10とその項に引用される請求項8,9は、次のとおりである(平成13年9月10日付け手続補正書では、処理方法に関する請求項1〜13は補正されていないため、当初明細書の請求項8〜10を参照、以下の請求項1,5についても同様。)。
「【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかにおいて、
前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に、前記成形ディスク基板の温度を測定し、その温度に基づいて前記成形ディスク基板を冷却又は加熱することを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、
前記成形ディスク基板の温度が90℃以下に低下したときのそのディスク基板の反り量を測定し、その反り量に基づいて前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に冷却又は加熱の調整を行うことを特徴とするディスク基板の処理方法。
【請求項10】 請求項8又は請求項9において、
90℃以下の気流、又は90℃よりも高い温度の気流を、前記成形ディスク基板の回転前又は回転中に前記成形ディスク基板の中央穴側から前記成形ディスクの両面に沿って放射外方向に吹き出すことを特徴とするディスク基板の処理方法。」

本願発明は、前記請求項8,9に規定される「基板の温度を測定し」乃至「基板の反り量を測定し」て処理を行うことの構成は有していないことが明らかであるから、本願発明が補正前の請求項10の発明に相当しないことは明らかである。
そして、補正前のいずれの請求項にも本願発明で特定する構成のみを規定する項はないところ、拒絶理由の対象となった補正前の請求項1と請求項5には、
「【請求項1】 射出成形された成形ディスク基板を高速で回転させ、その回転による遠心力で前記成形ディスク基板の反りを低減、及び/又はその温度を低下させることを特徴とするディスク基板の処理方法。」と、
「【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、
前記成形ディスク基板の回転前又は回転中にその成形ディスク基板を冷却又は加熱することを特徴とするディスク基板の処理方法。」
と記載されていて、これらは本願発明の上位概念の発明であることが認められる。
即ち、本願発明は、その請求項5(引用している請求項1の技術を含む)に係る発明に対し、成形ディスク基板について「金型から取り出された直後における成形ディスク基板」との技術的限定を付し、且つ、成形ディスク基板の回転前又は回転中に冷却する技術について「90°C以下の気流を、」「前記成形ディスク基板の中央穴側から前記成形ディスクの両面に沿って放射外方向に吹き出し」との技術的限定を付したものと認められる。
前記請求項1と請求項5に係る発明に対しては、引用文献1-3を用いて拒絶の理由が示されていたのであるから、本願発明とは直接の関係がない前記請求項10に対して拒絶の理由が示されていなくとも、本願発明に対しては、拒絶理由が適法に通知され、拒絶査定も適法になされていると言う他ないのである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。それ故、本願は、他の請求項について論及するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-19 
結審通知日 2006-05-23 
審決日 2006-06-06 
出願番号 特願2001-197738(P2001-197738)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 572- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橘 均憲  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 相馬 多美子
川上 美秀
発明の名称 ディスク基板の処理方法及び装置  
代理人 泉 和人  

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