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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1140997
審判番号 不服2004-5833  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-24 
確定日 2006-08-02 
事件の表示 平成 7年特許願第173651号「導光体」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 1月28日出願公開、特開平 9- 26574〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年7月10日の出願であって、平成16年2月12日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年3月24日付で拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに平成16年4月23日付で特許法第17条の2第1項第3号の規定による手続補正がなされたものである。

2.平成16年4月23日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年4月23日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を下記のように補正することを含むものである。
「【請求項1】 端面から入射される光を反射により被照明体に導く導光体であって、前記被照明体と相対向する導光体の液晶部側の表面と反対の表面に、該面から肉厚方向に窪む断面形状が所定Rの円弧に形成された微小凹部からなる反射面を形成し、前記微小凹部が形成する反射面は、該反射面から前記被照明体に対し垂直に向けられる光投射方向とのなす角度θが臨界角θ0より大きく90度より小さくなるようにし、前記所定Rの円弧の法線とのなす角が臨界角θ0となるポイントから前記円弧の中心までの深さの範囲にあるようにして、前記導光体中を全反射により進行してくる方向の光を前記反射面に導いて該反射面から前記被照明体の方向に垂直に出射するように構成したことを特徴とする導光体。」

(2)当審の判断
上記補正における「該反射面から前記被照明体に対し垂直に向けられる光投射方向とのなす角度θが臨界角θ0より大きく90度より小さくなるように」の補正事項は、補正前の請求項1の「該反射面の法線と該反射面から前記被照明体に対し垂直に向けられる光投射方向とのなす角度θが臨界角θ0より大きく90度より小さくなるように」を上記のように補正したものである。
ところが、上記のとおり「該反射面の法線と」の記載が削除されたために、『角度θ』の意味が不明瞭になり、あるいは、その意味が、補正前は、「反射面の法線と被照明体に対し垂直に向けられる光投射方向とのなす角度」であったものが、「反射面と被照明体に対し垂直に向けられる光投射方向とのなす角度」と解することができるものとなった。
以上のとおり、上記補正事項は、請求項の記載事項を削除すると共に、それにより他の記載事項を不明りょうにするものであるから、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないので、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反してなされたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年4月23日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成16年1月8日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は次のものである。
「【請求項1】端面から入射される光を反射により被照明体に導く導光体であって、前記被照明体と相対向する導光体の表面と反対の表面に該面から肉厚方向に窪む微小凹部からなる反射面を形成し、前記微小凹部が形成する反射面は、該反射面の法線と該反射面から前記被照明体に対し垂直に向けられる光投射方向とのなす角度θが臨界角θ0より大きく90度より小さくなるように構成され、前記導光体中を全反射により進行してくる方向の光を前記反射面に導いて該反射面から前記被照明体の方向に垂直に出射するように構成したことを特徴とする導光体。」(以下、「本願発明」という。)

(2)刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用した刊行物1:特開平4-278922号公報には、下記の事項が記載されている。
「【請求項1】視野方向より光拡散板、透明導光板および反射板を順次積層し、透明導光板の少なくとも片面にエンボス模様状に円錐形ドットの凹所を備え、少なくとも一端縁にリフレクターに包囲された線状光源を有することを特徴とする面状光源装置。
・・・
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、線状光源から光を受けて比較的広い面積にわたり均一に照明を行うエッジライト型面状光源装置に関し、特に透過型液晶表示装置の裏面照明用として用いられる輝度が高く輝度分布にムラの少ない面状光源装置に係わるものである。
・・・
【0014】また円錐形ドットの斜面が導光板表面となす角度θについても特に制限されないが、例えば入射光が導光板の厚み方向に垂直に直進する平行光線とし、導光板としてポリメタアクリレート(臨界角42°10’)を使用した場合には、θを48°以下に設定すると、円錐斜面に到達した入射光は全反射により導光板の系外へ出射し視野方向に対し発光する。さらにドットの形状についても円錐形に限られるものではなく、類似の形状、例えば図2の(e)、(f)に示すように、斜面形状が直線でなく外に向かって凸状、・・・であってもよい。
・・・
【0021】
【発明の効果】以上のように、本発明の線状光源から導光板に入射した光は、導光板と反射板との間に存在する導光板よりも屈折率の小さい空気層のために、各円錐形ドットの斜面もしくは辺において、その入射角により透過もしくは全反射を繰返しつつ、円錐形ドットの斜面を利用して線状光源に平行方向においても導光板内を効率よく散乱しながら進み、かつ反射は導光板への塗料印刷法に比べ、インクによる光吸収ロスが少ないために、従来よりも比較的薄い導光板にて同等以上の面輝度を均一な明るさで得ることができる。」
また、【図1】(c)の記載から、端面から入射される光を反射により視野方向にある透過型液晶表示装置に導く導光板2において、該導光板2の視野方向と反対側の表面に、該面から肉厚方向に窪む円錐形ドット6の微小凹部が形成され、光源5側からの光を該微小凹部で形成される反射面で反射して視野方向へ出射することが見て取れる。

(3)対比
本願発明と上記刊行物1記載の発明(以下、「引用発明」という。)とを対比する。
(ア)刊行物1の「導光板2」、「視野方向にある透過型液晶表示装置」、「導光板2の視野方向と反対側の表面」は、それぞれ本願発明の「導光体」、「被照明体」、「導光体の表面と反対の表面」に相当する。
(イ)刊行物1では、「臨界角42°10’の場合に、円錐形ドットの斜面が導光板表面となす角度θを48°以下に設定すると、円錐斜面に到達した入射光は全反射により導光板の系外へ出射し視野方向に対し発光する」(前掲【0014】参照。)のであるから、
刊行物1において、
a)「円錐形ドットの斜面」が反射面を形成していること、
b)「円錐形ドットの斜面が導光板表面となす角度θを48°」とすると、反射面の法線と該反射面から前記被照明体に対し垂直に向けられる光投射方向とのなす角度が48°となり、この48°は臨界角42°10’より大きく90度より小さいこと、
は明らかである。
よって、刊行物1において、「臨界角42°10’の場合に、円錐形ドットの斜面が導光板表面となす角度θを48°に設定」したものは、本願発明の「該反射面の法線と該反射面から前記被照明体に対し垂直に向けられる光投射方向とのなす角度θが臨界角θ0より大きく90度より小さくなるように構成され」たものに含まれる。
(ウ)刊行物1では、「線状光源から導光板に入射した光は、導光板と反射板との間に存在する導光板よりも屈折率の小さい空気層のために、各円錐形ドットの斜面もしくは辺において、その入射角により透過もしくは全反射を繰返し」(前掲【0021】参照。)、「円錐斜面に到達した入射光は全反射により導光板の系外へ出射し視野方向に対し発光する」(前掲【0014】参照。)のであるから、反射面に導びかれた光のなかには、本願発明と同様に、「該反射面から透過型液晶表示装置(被照明体)の方向に垂直に出射する」光があることは当業者に明らかである。

してみると、刊行物1には、本願発明の技術的事項が実質的に全て記載されているから、本願発明は引用発明と同一である。

なお、意見書等において、請求人は、上記刊行物1と本願発明の相違点について言及しており、その中で特許法第29条第1項第3号の同一性を含めて検討していることは明らかである。

(4)むすび
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-22 
結審通知日 2006-05-30 
審決日 2006-06-12 
出願番号 特願平7-173651
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
P 1 8・ 572- Z (G02F)
P 1 8・ 113- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 裕之  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 瀧本 十良三
鈴木 俊光
発明の名称 導光体  
代理人 門間 正一  

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