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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01M 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01M |
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管理番号 | 1142857 |
審判番号 | 不服2004-26085 |
総通号数 | 82 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-11-16 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-12-22 |
確定日 | 2006-08-31 |
事件の表示 | 特願2000-139152「非水電解質二次電池用の正極活物質及び非水電解質二次電池、並びにその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月16日出願公開、特開2001-319652〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は、平成12年5月11日の出願であって、平成16年11月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月22日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、特許法第17条の2第1項第3号の規定による手続補正がなされたものである。 II.平成16年12月22日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年12月22日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成16年12月22日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成16年10月25日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された 「【請求項1】 一般式LiCoxAyBzO2(式中、AはAlを表し、BはMg又はCaから選ばれる少なくとも1種を表し、x,y,zは、それぞれ0.9≦x<1、0.001≦y≦0.05、0.001≦z≦0.05の範囲の数である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有することを特徴とする非水電解質二次電池用の正極活物質。 【請求項2】 一般式LiCoxAyBzO2(式中、AはCrを表し、BはMgを表し、x,y,zは、それぞれ0.9≦x<1、0.001≦y≦0.05、0.001≦z≦0.05の範囲の数である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有することを特徴とする非水電解質二次電池用の正極活物質。 【請求項3】 正極と、負極と、正極と負極との間に介在される非水電解質とを備え、上記正極は、正極活物質として、一般式LiCoxAyBzO2(式中、AはAlを表し、BはMg又はCaから選ばれる少なくとも1種を表し、x,y,zは、それぞれ0.9≦x<1、0.001≦y≦0.05、0.001≦z≦0.05の範囲の数である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有することを特徴とする非水電解質二次電池。 【請求項4】 正極と、負極と、正極と負極との間に介在される非水電解質とを備え、上記正極は、正極活物質として、一般式LiCoxAyBzO2(式中、AはCrを表し、BはMgを表し、x,y,zは、それぞれ0.9≦x<1、0.001≦y≦0.05、0.001≦z≦0.05の範囲の数である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有することを特徴とする非水電解質二次電池。」を、 「【請求項1】 正極と、負極と、正極と負極との間に介在される非水電解質とを備え、上記正極は、正極活物質として、一般式LiCoxAyBzO2(式中、AはAlを表し、BはMg又はCaから選ばれる少なくとも1種を表し、x,y,zは、それぞれ0.9≦x<1、0.001≦y≦0.05、0.001≦z≦0.05の範囲の数である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有し、上記負極は、負極活物質と樹脂材料よりなる結着剤を含有することを特徴とする非水電解質二次電池。 【請求項2】 上記負極活物質が人造黒鉛であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。 【請求項3】 正極と、負極と、正極と負極との間に介在される非水電解質とを備え、上記正極は、正極活物質として、一般式LiCoxAyBzO2(式中、AはCrを表し、BはMgを表し、x,y,zは、それぞれ0.9≦x<1、0.001≦y≦0.05、0.001≦z≦0.05の範囲の数である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有し、上記負極は、負極活物質と樹脂材料よりなる結着剤を含有することを特徴とする非水電解質二次電池。 【請求項4】 上記負極活物質が人造黒鉛であることを特徴とする請求項3記載の非水電解質二次電池。」 と補正する事項を含むものである。 2.補正の適否の判断 上記請求項1〜4についての補正は、補正前の請求項3の特定事項である「負極」について限定を加えて新請求項1,2とし、補正前の請求項4の特定事項である「負極」について限定を加えて新請求項3,4とするものであって、新請求項2,4に対応する限定の対象となるべき請求項は補正前に存在しないから、新請求項2,4についての補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当せず、請求項を増加させるものである。また、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当しないことも明らかである。 3.まとめ 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであって、同法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 III.本願についての当審の判断 1.本願発明 平成16年12月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1〜8」という。)は、同年10月25日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1〜4に係る発明は「II.1.」に記載したとおりのものである。 2.原査定の理由の概要 原審の拒絶査定の理由の概要は、本願の請求項1〜4に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である特表平11-513181号公報に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3.刊行物の記載事項 原審の拒絶理由に引用した刊行物(以下「引用刊行物」という。)に記載された事項はつぎのとおりである。 (ア)「1.一般式LixMyAmDzOt[式中、0.8≦x≦1.2、0<z≦0.3、1.8≦t≦4.2、(0.8-m-z)≦y≦(2.2-m-z)、0<m≦0.3であり、Mはニッケル、コバルト、マンガン及び鉄から選択される少なくとも1種の遷移金属であり、Aはマグネシウム及びカルシウムから選択される元素であり、DはMと異なり、周期表の4b〜5a族の元素から選択される少なくとも1種の元素である]の電気化学的活物質を含む充電式リチウム電池陽極。 2.Dがチタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム及び錫から選択される少なくとも1種の金属である請求項1に記載の電極。 ・・・ 8.(m+z)≦0.2である請求項1から7のいずれか一項に記載の電極。 」(特許請求の範囲1,2,8) (イ)「本発明は充電式リチウム電池電極、より詳細には前記電極に含まれる電気化学的活物質に関する。 一般式LixMyOtの遷移金属リチウム酸化物はリチウム電池で使用可能な活物質として知られているが、その性能は改善の余地がある。・・・本発明の目的は、特に周囲温度よりも高い温度でサイクル中に安定した高い初期比容量をもつ電気化学的活物質を提案することである。」(第4頁第3〜23行) (ウ)「Dは周期表の4b〜5a族の元素から選択される少なくとも1種の元素であり、周期表(HANDBOOK of CHEMISTRY and PHYSICS,第46版)の4b〜5a族の元素とは、Ti、Zr等〜Sb、Biの範囲に含まれる元素を意味する。 好ましくは、Dはチタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム及び錫から選択される少なくとも1種の金属である。」(第5頁第3〜10行) (エ)「第1の実施態様によると、前記混合物はほぼ等モル混合物であり、即ちリチウム(nLi)、遷移金属M(nM)、Aにより表される元素(nA)及びDにより表される元素(nD)のモル数は、関係式nLi/(nM+nA+nD)≒1を満たす。この混合物は例えばLiNiO2、LiCoO2、LiFeO2、LiMnO2等から誘導されるLixMAmDzO2型の構造をとる。」(第6頁第6〜11行) (オ)「実施例3 ドーパント元素5モル%を含む一般式LixNi0.95D0.05O2の従来技術材料を調製した。・・・ 調製した材料IIIa〜IIIgは夫々ドーパント元素DとしてAl、Sn、Ti、Mn、Fe、Cr及びGeを含む。 ・・・ 実施例6 マグネシウム5モル%とチタン5モル%を含む一般式LixNi0.90Mg0.05Ti0.05O2の本発明による材料VIを調製した。・・・ 実施例7 マグネシウム5モル%と錫5モル%を含む一般式LixNi0.90Mg0.05Sn0.05O2の本発明による材料VIIを調製した。・・・ 実施例8 材料の比容量に及ぼすドーパントの効果を試験した。このために、夫々上記のように調製した材料と、炭素粉末と、電極の機械的耐性を確保するポリマー結合剤を含む電極を作製した。 電極を「ボタン」型電池に各々配置した。電解質は容積比1/1/3のプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びジメチルカーボネートの混合物PC/EC/DMCに濃度1Mのヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6を加えたものを使用した。対極は金属リチウムとした。第1サイクルは周囲温度(25℃)で・・・実施した。初期充電時の充電容量Ccと、最初の放電で可逆的に放電された容量Cdを測定した。式R(%)=Cc/Cd×100により比Rを計算し、効率Rを決定した。結果を下表Iに示す。 表1(略)・・・ 実施例9 サイクル中の材料の容量の安定性に及ぼすドーパントの効果を試験した。このために、実施例8に記載したように電極を作製した。・・・ サイクルは老化を促進するように60℃の温度で実施した以外は、実施例8に記載したと同様の条件で実施した。最初のサイクルの放電容量C1と25サイクル後の放電容量C25を測定した。次に、式P(%)=(C1-C25)/C1×100により容量損失Pを計算した。 結果を下表IIに示す。 表2(略) ドーパントを加えなかった参照材料I及びIIの容量損失は約30〜35%であるが、Sn、Ti、Cd、Cu等のドーパントを加えると、容量損失は10%〜25%まで低下することが認められる。 本発明による材料VI及びVIIの容量損失は約5%である。」(第7頁第23行〜第12頁第1行) 4.判断 4-1.本願発明1に対して (1)引用発明 上記引用刊行物の(ア)には、請求項2を引用する請求項8として、「一般式LixMyAmDzOt」の電気化学的活物質を含む充電式リチウム電池陽極に関し、Mが「ニッケル、コバルト」等から選択される遷移金属であり、Aが「マグネシウム及びカルシウム」から選択される元素であり、Dが「チタン、・・・クロム、・・・アルミニウム、・・・錫」等の周期表の4b〜5a族の元素から選択される少なくとも1種の金属であり、0.8≦x≦1.2、0.6≦y≦2.0、0<z≦0.3、1.8≦t≦4.2、0<m≦0.3であるものが記載されており、(ウ)には、「周期表(HANDBOOK of CHEMISTRY and PHYSICS,第46版)の4b〜5a族の元素とは、Ti、Zr等〜Sb、Biの範囲に含まれる元素を意味する」と記載されており、(エ)には、「リチウム(nLi)、遷移金属M(nM)、Aにより表される元素(nA)及びDにより表される元素(nD)のモル数は、関係式nLi/(nM+nA+nD)≒1を満たす。この混合物は例えばLiNiO2、LiCoO2・・・等から誘導されるLixMAmDzO2型の構造をとる」と記載され(ここで、「LixMAmDzO2型の構造」は、「LixMyAmDzO2型の構造」の明らかな誤記と認める。)、(オ)には、上記一般式の材料例として「LixNi0.90Mg0.05Ti0.05O2」(材料VI)、「LixNi0.90Mg0.05Sn0.05O2」(材料VII)が記載されている。 以上の記載から、Liと(M+A+D)とのモル比が1である場合の材料VI、VIIについて、引用刊行物には下記の発明が記載されているといえる。 「一般式LiMyDzAmO2(式中、Mは遷移金属であるNiを表し、Dは周期表の4b〜5a族の元素であるTi、Zr等〜Sb、Biの範囲に含まれるTi又はSnを表し、AはMgを表し、y,z,mは、それぞれy=0.90、z=0.05、m=0.05である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有する充電式リチウム電池用の陽極活物質。」(以下、この発明を「引用発明」という。) (2)対比 本願発明1(前者)と引用発明(後者)とを対比すると、後者の一般式の「M」は遷移金属である点で前者の「Co」に対応し、後者の「D」は「周期表の4b〜5a族の元素であるTi、Zr等〜Sb、Biの範囲に含まれる元素」である点で前者の「A」に対応し、後者の「A」はMg又はCaから選択される点で前者の「B」に相当し、後者の「y」、「z」、「m」はそれぞれ前者の「x」、「y」、「z」に対応し、後者の「充電式リチウム電池用の陽極活物質」は前者の「非水電解質二次電池用の正極活物質」に相当するから、両者は、 「一般式LiMxAyBzO2(式中、Mは遷移金属の1種、Aは周期表の4b〜5a族の元素であるTi、Zr等〜Sb、Biの範囲に含まれる元素の1種、BはMg又はCaから選ばれる少なくとも1種を表し、x=0.9、y=0.05、z=0.05である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有することを特徴とする非水電解質二次電池用の正極活物質。」である点で一致し、下記の点で相違する。 相違点1:前者は、一般式「LiMxAyBzO2」の「Mx」が「Cox(0.9≦x<1)」であるのに対して、後者は「Ni0.90」である点。 相違点2:前者は、一般式「LiMxAyBzO2」の「Ay」が「Aly(0.001≦y≦0.05)」であるのに対して、後者は「Ti0.05又はSn0.05」である点。 (3)判断 (i)相違点1について 引用刊行物の(イ)には、「一般式LixMyOtの遷移金属リチウム酸化物はリチウム電池で使用可能な活物質として知られているが、その性能は改善の余地がある。・・・本発明の目的は、特に周囲温度よりも高い温度でサイクル中に安定した高い初期比容量をもつ電気化学的活物質を提案することである。」と記載されている。また、同(エ)には、「LixMyAmDzO2型の構造」は「LiNiO2、LiCoO2等から誘導」され、「nLi/(nM+nA+nD)≒1」であること、すなわち、「M」である「Ni」や「Co」は「A」と「D」とで置換されてLiと等しいモル数となることが記載されている。 これらの記載によると、引用発明は、遷移金属リチウム酸化物の性能、特に高温安定性を向上させるために、「LiNiO2」の「Ni」の一部を「A」及び「D」で置換する点に技術的意義を有するものといえる。 してみると、同じ遷移金属リチウム酸化物である「LiCoO2」についても、高温安定性を向上させるために、「LiCoO2」の「Co」の一部を「A」や「D」と引用発明と同程度のモル数で置換して「LiCo0.9A0.05D0.05Ot」としてみること、すなわち、引用発明の一般式「LixMyAmDzOt」の「M」である「Ni」を同じく遷移金属である「Co」と置き換えて、そのモル数「x」を「0.9≦x<1」程度としてみることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。 (ii)相違点2について 引用刊行物には、一般式「LixMyAmDzOt」において、「D」として「Al」又は「Cr」を選択し、「A(Mg又はCa)」と組み合わせた材料は具体的には示されていない。 しかしながら、引用刊行物の(ア)、(ウ)には、「D」の選択肢として「チタン」、「錫」とともに「クロム」、「アルミニウム」が記載されているのであり、(オ)には引用発明の従来技術材料(実施例3)に、「D」として「Al」(材料IIIa)、又は「Cr」(材料IIIf)を選択したものが「Ti」(材料IIIc)、又は「Sn」(材料IIIb)を選択したものとともに具体的に記載されている。そして、「D」と「A」とを組み合わせた具体的な材料である実施例6(材料VI)、実施例7(材料VII)は、「D」として従来技術材料(実施例3)に列記された「Ti」又は「Sn」を選択したものである。 してみると、引用発明における一般式「LixMyAmDzOt」の「M」である「Ni」を「Co」に置き換える場合に(その置換容易性については上記(i)に示したとおり)、その高温安定性を向上するために、「D」として「周期表の4b〜5a族の元素であるTi、Zr等〜Sb、Biの範囲に含まれる元素」中の特に(オ)に具体的に記載された元素について検討し、「Ti」や「Sn」と同等に列記された「Al」を選択するとともに、その添加量を引用刊行物の(ア)に記載される範囲や(オ)の実施例3,6,7に記載の添加量(0.05モル)を参酌して「Aly(0.001≦y≦0.05)」程度とすることは、当業者が格別の困難性なくなし得る設計的事項にすぎないといえる。 4-2.本願発明2〜4に対して 本願発明2は、一般式「LiCoxAyBzO2」の式中、「A」を「Cr」とし、「B」を「Mg」と限定する以外は本願発明1とその特定事項を共通とする発明である。 そして、引用発明の一般式「LixMyAmDzOt」の「D」として「Cr」を選択し、その添加のモル数を「0.001以上0.05以下」とすることの推考容易性は、「4.4-1.(3)(ii)」に示す「D」として「Al」を選択する場合と同様であるから、本願発明2も、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本願発明3,4は、それぞれ本願発明1,2の正極活物質を含有する正極を有する非水電解質二次電池に係る発明であるが、引用刊行物の(オ)の実施例8についての記載によると、引用発明の正極活物質を含有する正極を有する非水電解質二次電池に係る発明も引用刊行物に記載されているといえるから、本願発明3,4も引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.補足 審判請求人は、前置報告書を利用した審尋に対する平成17年12月28日付け回答書において、特許請求の範囲を原査定において拒絶の対象とされていない請求項5〜8に限定したい旨、回答している。 しかしながら、審尋は拒絶理由通知ではないから、補正ができるのは原査定が維持できず、新たに拒絶理由が通知された場合に限られる。しかも、拒絶査定時の請求項5〜8に係る発明(本願発明5〜8)は、本願発明1〜4に係る正極活物質(又は正極)、若しくはその上位概念に相当する正極活物質(又は正極)を「炭酸マグネシウム(又は炭酸カルシウム)」を用いて製造する発明であるといえるところ、非水電解質電池の正極活物質の製造において、マグネシウム原料に「炭酸マグネシウム」を用いることは周知であるから(特開平7-226201号公報【0008】、特開平8-31421号公報【0011】参照)、本願発明5〜8が一見して特許可能であることが明白であるともいえない。 したがって、迅速な審理に資するため、新たな補正の機会を与えなかった。 6.むすび 以上のとおり、本願発明1〜4は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-06-28 |
結審通知日 | 2006-07-04 |
審決日 | 2006-07-18 |
出願番号 | 特願2000-139152(P2000-139152) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(H01M)
P 1 8・ 121- Z (H01M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高木 正博 |
特許庁審判長 |
吉水 純子 |
特許庁審判官 |
高木 康晴 平塚 義三 |
発明の名称 | 非水電解質二次電池用の正極活物質及び非水電解質二次電池、並びにその製造方法 |
代理人 | 伊賀 誠司 |
代理人 | 田村 榮一 |
代理人 | 小池 晃 |