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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て不成立) H04N
管理番号 1143224
判定請求番号 判定2006-60020  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2004-04-08 
種別 判定 
判定請求日 2006-04-15 
確定日 2006-09-04 
事件の表示 上記当事者間の特許第3569522号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面文献及びその説明書に示す「表示装置」は、特許第3569522号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1.請求の趣旨
本件求めは、イ号書面文献(製品カタログ等)およびその説明書(判定請求書等)に示す「黒挿入駆動技術を搭載した型式番号VT32XD1およびVT23XD1の液晶テレビ」は、 特許第3569522号の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

2.本件発明
本件特許(第3569522号、名称:表示装置、請求項の数:3)に係る発明は、願書に添付した明細書及び図面(「本件明細書」という)の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された下記のとおりのものと認める。請求項1に係る発明を、以下、「本件発明」といい、便宜上、各構成要件((1)〜(4))に分説する。

【請求項1】
(1)LCDを備え、
(2)前記LCDに異なる画像を順次表示する場合において
(3)前記LCDに1フィールドあるいは1フレーム分の映像信号を入力する毎に、前記LCDに全画面黒表示を行わせるための全画面黒信号を入力することを特徴とする
(4)表示装置。
【請求項2】
前記LCDにおける前記全画面黒信号の入力時の画面走査時の周波数を、前記映像信号のそれよりも高くするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記LCDにおいて、前記映像信号の入力と前記全画面黒信号の入力との間に入力信号が無い期間を設けたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

3.イ号物件
(3-1)請求人
請求人が判定を求めているイ号物件は、次のとおりである。
〈イ号製品〉
液晶テレビ(型式番号VT32XD1およびVT23XD1)
〈イ号構成〉
(a)LCDを備え、
(b)前記LCDに動画像を順次表示する場合において、
(c)前記LCDに1フレーム分の映像信号を入力する毎に、
前記映像フレーム間に一旦、黒を挿入することを特徴とする
(d)表示装置。

なお、請求人は、(c)に関連して、被請求人の主張するイ号構成(f)は、「前記LCDで入力された信号の現在のフレームから次のフレームの間に黒信号用の信号を入力するためのフレームを挿入する(フレーム間の周期を短くする、すなわち操作周波数を高くすることと等価の作業である)。すなわち、時間軸を圧縮した映像信号を入力する毎に、前記1フレーム分のLCDの画像の表示時間内に黒信号を入力して、画面全体を黒表示する。」と修正されるべきであると主張する。(弁駁書10頁15行〜20行)

(3-2)被請求人
被請求人が判定を求めているイ号物件は、次のとおりである。
〈イ号製品〉
液晶テレビ(型式番号VT32XD1およびVT23XD1)
〈イ号構成〉
(a)LCDを備え、
(e)前記LCDに動画像を表示する場合において、
(f)前記LCDに1フレーム分の映像信号を入力する毎に、前記1フレーム分のLCDの画像の表示期間内に、部分的に黒信号を入力して画面の一部を黒表示するとともに、この黒表示された領域を画面の全体に渡って移動させる
(d)表示装置。

(3-3)当審
イ号物件は、判定請求書の記載(10頁1行〜25行)、判定請求書に添付し提出した「製品カタログ」(証拠1)、同じく添付して提出した「イ号物件に関して請求人が集めた被請求人の「黒挿入技術」に関する資料」(証拠2)および弁駁書に添付して提出した「製品カタログ(FORIS.TV.2006 SUMMER(2006年5月))」(甲第20号証)等の各記載からみて、下記のとおりとする。

〈イ号製品〉
液晶テレビ(型式番号VT32XD1およびVT23XD1)
〈イ号構成〉
(a)LCDを備え、
(b)前記LCDに動画像を表示する場合において、
(c)前記LCDに1フレーム分の映像信号を入力する毎に、
前記映像フレーム間に一旦、黒を挿入することを特徴とする
(d)表示装置。

なお、イ号構成(c)につき前記のとおり議論があるが、ひとまず、請求人が求めるとおりとしておき、先に検討を進める。

4.本件発明との対比
(1)構成要件(2)
イ号構成(b)と構成要件(2)との対比において、イ号物件が「動画像を表示する」のに対して本件発明が「異なる画像を順次表示する」という相違が認められる。「動画像を表示する」(イ号)が「異なる画像」(本件)に含まれると言えるかにつき検討をする。
本件発明の「異なる画像」は何と何とが異なるとするのか、請求項1の記載だけではその技術的意義を一義的に導き出すことができない。明確を期すため本件明細書の記載を参酌する。

(1-1)本件明細書の記事
本件明細書には下記の記事が認められる。
〈技術分野〉
「本発明は、眼鏡を必要としない立体映像表示装置に関するものである。」(段落0001)
〈背景技術〉
「図32は例えば特開平6-205446号公開に示された従来の立体映像表示装置を上方から見た原理図であり、このものは映像表示装置として背面照射型の液晶表示板(LCD)などの透過型映像表示板を用い、このLCDをはさんで観察者とは反対側に複数の線状光源を配置して構成されている。図において、1は透過型映像表示板、45は複数の線状光源で、透過型映像表示板1に照射して観察者の左眼EYE1、右眼EYE2に選択的に投影するように点燈する線状光源LL1,LL2で構成されている。図33は映像表示領域の時間変化を示すもので、(a)は左眼用および右眼用映像の映像R、L、および映像R、Lをフィールド単位で切り換えた映像入力、(b)、(c)は(a)の映像入力による画面上の映像表示領域の時間変化を示すもので、(b)は映像表示装置がCRTの場合、(c)は映像表示装置がLCDの場合である。」(段落0004)
「以上のように、透過型映像表示板1に表示する左眼用の映像と右眼用の映像、および、線状光源45の左眼用の光源と右眼用の光源を、時分割的に切り換えるようにしたことで、左右両眼にそれぞれ方向像が分離投影され、立体映像として観察できる。また、図32では線状光源が照射する方向数を2とした従来例について説明したが、方向数が3以上の場合は透過型映像表示板1の1画素毎に対応して線状光源44をLL1、LL2、LL3、・・・と複数配置することで、ある時点についての方向像が透過型映像表示板1に表示されたときに、対応する1種類の線状光源のみが点燈することで、3以上の方向像でも分離投影されるので、観察位置を移動すると立体映像の回り込みが表現できる。」(段落0006)
〈発明が解決しようとする課題〉
「図32について説明した従来の立体映像表示装置は、透過型映像表示板に照射する線状光源を、透過型映像表示板に使用するLCDの画素より微細な構造にする必要があるという問題点があった。」(段落0008)
「また、線状光源による照射では、投影する方向像の数を左右にしか増加できないので、観察者が上下、または前後に移動した場合の立体映像の変化を表現できないという問題点があった。」(段落0009)
「また、透過型映像表示板に表示する映像をフィールド毎に異なる方向像とせず同一映像の繰り返しと線状光源の同時照射によって通常の2次元映像表示をする場合でも、観察位置が立体表示と同様に1カ所しかないという問題点があった。」(段落0014)
「また、図33(a)に示すようなフィールド毎に時分割した映像入力による映像は、(b)に示すようにCRTに表示した場合、表示面を走査している瞬間だけ走査点で光るだけなので、どの瞬間をとっても映像Rー1と映像Lー1は時間的に分離しているが、(c)に示すように透過型映像表示板としてLCDに表示した場合、表示面上の画素は次にこの画素が走査されるまで表示を続けるので、斜線領域全てで映像R-1と映像L-1の表示が継続するため時間的に分離されていないという問題点があった。」(段落0016)
〈目的〉
「本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的は、簡単な構成の光源で、透過型映像表示板が時分割して表示する方向像を観察者の左右両眼に投影することで立体映像を表示する立体映像表示装置を得るものである。」(段落0017)
「また、簡単な構成の光源で、透過型映像表示板が時分割して表示する左右方向に3以上の方向像を投影する立体映像表示装置を得るものである。」(段落0018)
「また、観察者の位置が左右、上下および前後方向に移動しても、観察位置に追従して常に立体映像を表示できる立体映像表示装置を得るものである。」(段落0021)
「また、通常の2次元映像表示に切り換えた場合に、広い範囲で観察できる立体映像表示装置を得るものである。」(段落0027)
「また、時分割した方向像を表示する透過型映像表示板にLCDを使用しても、時分割した方向像を時間的に分離して表示することができる立体映像表示装置を得るものである。」(段落0031)
〈課題を解決するための手段〉
「この発明の表示装置は、LCDを備え、前記LCDに異なる画像を順次表示する場合において、前記LCDに1フィールドあるいは1フレーム分の映像信号を入力する毎に、前記LCDに全画面黒表示を行わせるための全画面黒信号を入力する。」(段落0032)
〈発明の効果〉
「この発明の表示装置によれば、どの任意の時間で前後の映像が一部分でも同時に表示されることが無く、前後の映像を時間的に分離して表示することができる。」(段落0033)
〈実施例1〉
「図1は本発明の実施例1における立体映像表示装置を上方から見た原理図である。図において、1は透過型映像表示板、2は透過型映像表示板1の背面に配置した透過型映像表示板1の表示面より大きい凸レンズ板で、oは凸レンズ板中心、FLは焦点である。3は透過型映像表示板1に時分割して表示された2つの方向像を観察者の左右両眼へ選択的に照射して立体映像を表示するために透過型映像表示板1を境に観察者のいる空間から反対側の空間に配置された発光面上の任意の部分領域で発光する分割光源、4は透過型映像表示板1に表示する2つの方向像の信号を出力する左右映像信号源で、4R、4Lはそれぞれ映像R、Lを出力する右眼映像、左眼映像信号源である。5は透過型映像表示板1に表示する左右両眼用の方向像を時間交互に切り換える時分割回路、6は透過型映像表示板1に表示する左右両眼用の方向像の時間交互の切り換えに対応して分割光源3を左右2分割した領域3R、3Lで交互に発光するように制御する分割制御回路である。」(段落0034)
「図2は実施例1の動作を説明するための光路図であり、観察位置における透過型映像表示板1上の各位置を照らすバックライトの光路を示す。」(段落0034)
「次に、図1ないし図2を参照して動作について説明する。・・・すなわち、分割光源3の領域3Lが発光しているとき、凸レンズ板2全面が発光して見える観察位置は、点a、b、c、dの実線で囲まれた線Lを含む斜線範囲内になり、この範囲外では分割光源3の領域3Lから発っする光は見えず、凸レンズ板2は暗い。同様に、分割光源3の領域3Rが発光しているとき、凸レンズ板2全面が発光して見える観察位置は、点線で囲まれた線Rを含む斜線範囲内になる。透過型映像表示板1はそれ自体発光せず透過光を制御して映像を表示するので、バックライトがない状態では画像は見えない。そのため、凸レンズ板2全面が発光して見える状態がバックライトのある状態に対応するので、領域3Lが発光しているときは線Lを含む斜線領域内から見た場合だけ、また領域3Rが発光しているときは線Rを含む斜線領域内ら見た場合だけ透過型映像表示板1の映像を観察することができる。そこで、映像R、Lを時分割回路5で高速に切り換えて透過型映像表示板1に表示して、それに対応して分割制御回路6で分割光源3の左右発光領域3R、3Lを高速に切り換えることで、左眼を線Lを含む斜線領域内のどの位置からでも、また右眼を線Rを含む斜線領域内のどの位置からでも透過型映像表示板1を見れば、映像R、Lを左右眼別々に視差角の異なる方向像として見ることができる。」(段落0035)
〈実施例15〉
「図17は本発明の実施例15における立体映像表示装置を上方から見た原理図である。図において、26は分割光源3を全面で発光させる全面発光回路、27は立体(3次元)表示と、2次元表示を切り換える平面表示変更回路である。図17の例では、映像R、Lを時間交互の切り換えと分割光源3の分割制御による立体(3次元)表示を、片眼用映像の表示と分割光源3の全面発光回路26による2次元表示に平面表示変更回路27によって選択できる。この結果、通常の立体でない映像を広い範囲で観察できる。」(段落0059)
〈実施例22〉
「図24は本発明の実施例22における立体映像表示装置を上方から見た原理図であり、いわば、透過型映像表示板1をLCDで構成した場合の入力信号を、映像信号の片フィールド毎に全画面を黒表示するようにしたものを示している。図において、41は全画面黒表示切換回路、42は全画面黒表示信号源である。図25は本発明のこの実施例22の動作を説明する表示領域の時間変化を示す図であり、(a)は映像R、L、および映像R、Lを片フィールド毎に全画面を黒表示させてフレーム単位で切り換えた映像入力、(b)は(a)の映像入力によって画面上に表示された領域の時間変化を示すものである。」(段落0066)
「図24に示すように、映像R、Lは、全画面黒表示切換回路41で片フィールドを全画面黒表示信号源42と切り換え、時分割回路5でフレーム切り換え透過型映像表示板1に入力される。ここで、図25(a)に示すように映像RとLはあらかじめフィールド1とフィールド2が逆にされていて、映像入力は映像R、L両方でフィールド1だけを表示するようにする。このとき画面上に表示された領域は(b)に示すように、1フィールド目に映像R-1が入力されると1ライン目から262.5ライン目まで表示され、次に2フィールド目に全画面黒信号が入力されて1ライン目から262.5ライン目まで映像R-1が消去される。次の3フィールド目に映像L-1のフィールド1が入力されて1ライン目から262.5ライン目まで表示され、次の4フィールド目に全画面黒信号が入力されて1ライン目から262.5ライン目まで映像L-1が消去され、以下これを繰り返す。この結果、透過型映像表示板1の同一画素に次の信号が来るまで表示を継続するLCDを用いても、どの任意の時間で両画面が一部分でも同時に表示されることがなく、映像R、Lの全画面を時間分離することができる。」(段落0067)
〈実施例23〉
「図26は本発明の実施例23の動作を説明する表示領域の時間変化を示す図であり、詳しくは、表示する透過型映像表示板1のLCDのフィールド2を表示する画素がフィールド1と同じ映像を同時に表示するようにした場合の表示領域の時間変化を示している。上記実施例22では左右映像R、Lの全画面を時間分離できても、LCDの画素を半分しか使用してないので水平縞になるが、フィールド2の画素も表示するのでLCDの全画素を用いて水平縞のない表示ができる。」(段落0068)
〈実施例24〉
「図27は本発明の実施例24の動作を説明する表示領域の時間変化を示す図であり、透過型映像表示板1をLCDで構成した場合の入力信号を、映像信号のフレーム表示毎に全画面を黒表示するようにしている。」(段落0069)

(1-2)本件明細書の記載の要点
本件明細書の記載の要点は、以下のとおりである。
(a)本発明の目的は、透過型映像表示板が時分割して表示する方向像を観察者の左右両眼に投影する立体映像表示装置に関して、左右方向に3以上の方向像を投影することができ、また、観察者の位置が左右、上下および前後方向に移動しても、観察者の位置に追従して常に立体映像を表示することができ、また、通常の2次元映像表示に切り換えた場合に、広い範囲で観察でき、また、透過型映像表示板にLCDを使用しても、時分割した方向像を時間的に分離して表示することができる立体映像表示装置を得ることにあること。(段落0018、段落0021、段落0027、段落0031)
(b)本発明の表示装置は、LCDに異なる画像を順次表示する場合において、LCDに1フィールドあるいは1フレーム分の映像信号を入力する毎に、LCDに全画面黒表示を行わせるための全画面黒信号を入力するとの手段を備えること。(段落0032)
(c)本発明の表示装置によれば、どの任意の時間で前後の映像が一部分でも同時に表示されることが無く、前後の映像を時間的に分離して表示することができるとの効果を得ること。(段落0033)
(d)実施例1とする例(図1)において、1は透過型映像表示板、2は凸レンズ板、oは凸レンズ板中心、FLは焦点、3は透過型映像表示板1を境に観察者のいる空間から反対側の空間に配置された発光面上の任意の部分領域で発光する分割光源であること。
分割光源3の発光領域3Lが発光しているときは線Lを含む斜線領域内から見た場合だけ、また発光領域3Rが発光しているときは線Rを含む斜線領域内から見た場合だけ透過型映像表示板1の映像を観察することができるので、映像R、Lを高速に切り換えて表示し、それに対応して分割光源3の左右発光領域3R、3Lを高速に切り換えることで、左眼を線Lを含む斜線領域内のどの位置からでも、また右眼を線Rを含む斜線領域内のどの位置からでも、映像R、Lを左右眼別々に視差角の異なる方向像として見ることができること。(段落0034、段落0035)
(e)実施例15とする例(図17)において、4は透過型映像表示板1に表示する2つの方向像の信号を出力する左右映像信号源で、4R、4Lはそれぞれ映像R、Lを出力する右眼映像、左眼映像信号源である。5は透過型映像表示板1に表示する左右両眼用の方向像を時間交互に切り換える時分割回路、6は透過型映像表示板1に表示する左右両眼用の方向像の時間交互の切り換えに対応して分割光源3を左右2分割した領域3R、3Lで交互に発光するように制御する分割制御回路であること。(段落0034)
立体(3次元)表示と平面(2次元)表示を切り換える平面表示変更回路27を備えること。
立体表示の場合には、平面表示変更回路27により時分割回路5と分割制御回路6の側が選択され、分割光源3を分割制御すると同時に映像R、Lを時間交互に切り換えて表示板1に入力して立体表示をし、平面表示の場合には、平面表示変更回路27により片眼用映像(右眼映像4R)と全面発光回路26の側が選択され、分割光源3を全面で発光させると同時に専ら右眼映像Rを表示板1に入力して平面表示をすること。
通常の立体でない映像を広い範囲で観察できること。(以上、段落0059)
(f)実施例22〜実施例24とする各例(図24、図25、図26、図27)において、4は透過型映像表示板1に表示する2つの方向像の信号を出力する左右映像信号源で、4R、4Lはそれぞれ映像R、Lを出力する右眼映像、左眼映像信号源である。5は透過型映像表示板1に表示する左右両眼用の方向像を時間交互に切り換える時分割回路、6は透過型映像表示板1に表示する左右両眼用の方向像の時間交互の切り換えに対応して分割光源3を左右2分割した領域3R、3Lで交互に発光するように制御する分割制御回路であること。(段落0034)
映像R、L(映像RとLはあらかじめフィールド1とフィールド2が逆にされている)の片フィールドを、全画面黒表示切換回路41で全画面黒表示信号源42と切り換え、時分割回路5でフレーム切り換え透過型映像表示板1に入力すること。このとき、1フィールド目(1ライン目から262.5ライン目まで)に映像R-1のフィールド1が入力され、次に2フィールド目(1ライン目から262.5ライン目まで)に全画面黒信号が入力されて映像R-1が消去され、次に3フィールド目に映像L-1のフィールド1が入力され、次に4フィールド目に全画面黒信号が入力されて映像L-1が消去され、以下これを繰り返すこと。この結果、どの時間をとっても両画面は一部分なりとも同時に表示されることがなく、映像R、Lの全画面を時間分離できること。(段落0067)
(g)図25には、「右眼用映像R-1」(フィールド)、「黒信号」(フィールド)、「左眼用映像L-1」(フィールド)、黒信号(フィールド)、「右眼用映像R-1」(フィールド)、「黒信号」(フィールド)、「左眼用映像L-1」(フィールド)、・・・の順のように、図27には、「右眼用映像R-1・右眼用映像R-2」(フレーム)、「黒信号」(フレーム)、「左眼用映像L-1・左眼用映像L-2」(フレーム)、「黒信号」(フレーム)、「右眼用映像R-1・右眼用映像R-2」(フレーム)、「黒信号」(フレーム)、「左眼用映像L-1・左眼用映像L-2」(フレーム)の順のように、 それぞれ、黒信号を挟んで右眼用信号(フィールド単位又はフレーム単位)と左眼用信号(フィールド単位又はフレーム単位)が時間的に交互に表示することが見て取れること。

(1-3)充足性
(a)本件発明は「異なる画像を順次表示する場合において、・・・全画面黒信号を入力する」ので、「異なる画像を順次表示する」を解釈する際には「全画面黒信号を入力する」構成も併せ考慮しなければならない。これには「全画面黒信号を入力する」構成を備える実施例(22〜27)を参照すべきであり、以下、実施例22を代表して参照する。
本件発明(実施例22)は、実質、立体映像表示装置に関するものであり、その「異なる画像」とは、右眼用映像信号源4Rと左眼用映像信号源4Lからそれぞれ出力される2つの方向像(右眼用映像Rと左眼用映像L)のことであり、「順次表示する」とは、2つの方向像を時分割回路5により時間的に交互に切り換えて透過型映像表示板1に交互に表示することであることが認められる。すなわち、「異なる画像」とは「(異なる映像信号源から出力される方向の)異なる画像」であり、「順次表示する」とはこのような「(方向の)異なる画像」を「時間的に交互に表示する」ことであることが認められる。
イ号製品は、製品カタログ(証拠1、甲第20号証)などによれば、搭載する液晶パネルに対してテレビ放送、DVDビデオなど複数の映像信号源から映像信号を入力するものの、いずれか一つの映像信号源から継続して入力するものであり複数の映像信号源からの映像信号を切り換えるなどして「順次表示する」するものではない。イ号製品は単一の映像信号源から映像信号を入力するものであり、イ号構成(b)「動画像を表示する」とは、単一の映像信号源から所定の時間間隔(フレーム(証拠2)、32msec(甲第20号証))毎に入力される「経時的に変化する一連の画像」を入力順序そのままに表示することであることが認められる。
イ号物件の「(単一の映像信号源からの)経時的に変化する一連の画像」を表示することが、本件発明の「(異なる映像信号源から出力される方向の)異なる画像」を「時間的に交互に表示する」ことに当たらないことは明らかである。したがって、イ号構成(b)「動画像を表示する」は構成要件(2)「異なる画像を順次表示する」には含まれない。
(b)2つの方向像(右眼用映像R、左眼用映像L)の一つ一つを見れば「経時的に変化する一連の画像」であり、その限度において「異なる画像」と言うこともできるが、本件では、2つの方向像を交互に表示板1に入力することから、「LCDに・・・順次表示する」段階での「異なる画像」は、もはや「経時的に変化する一連の画像」ではあり得ない。結果、構成要件(2)を「LCDに異なる画像(経時的に変化する一連の画像)を順次表示する」と解釈することはできない。
実施例15の平面表示の態様では表示板1に専ら右眼用映像Rを入力するところ、右眼用映像Rが「経時的に変化する一連の画像」であることは前記のとおりであり、「LCDに異なる画像(経時的に変化する一連の画像)を順次表示する」と言うこともできる。しかし、平面表示の態様において「全画面黒信号を入力すること」は記載されておらず、「異なる画像を順次表示する場合において、・・・全画面黒信号を入力する」ものではない。
(c)本件発明では「異なる画像」をLCDに順次表示し光学的配置(図1)を配置したときは、「異なる画像」を左右眼別々に異なる方向像として見ることができる。これに対して、イ号物件では「動画像」を液晶パネルに表示し上記の光学的配置を配置したとしても、「動画像」を左右眼別々に異なる方向像として見ることはできない。機能上の差異も認められる。
(d)以上、イ号構成(b)は構成要件(2)に含まれない。したがって、イ号物件は本件発明の技術的範囲に属するとすることはできない。

(1-4)請求人の主張
(A)表示の両用
〈主張〉
(a)本件発明は立体表示と平面表示を両用する表示装置であり、立体表示に限定するとの文言はどこにもない。(請求書4頁1行〜2行、8頁34行〜35行、38行〜39行)
(b)「異なる画像」とは立体映像と平面映像の両方の画像を一体として物である。「異なる」という文言に関し、「異なる・・・あるものが他のものと同じでない。」(広辞苑)と記述されており、連続する画像信号が時間的に変化しているもの全般、立体画像・平面画像の両方の画像を示すものとして、本件特許のアイデンティティを明確にして、又、本件特許の柔軟性を示すために、象徴的に示した。(請求書7頁42行〜8頁3行)
(c)「異なる」という文言を本件明細書の2箇所で定義付けしている。すなわち、段落0014の「異なる」は、立体映像と平面映像の両方の映像を一体として説明している。段落0032において、「異なる画像」と云う文言で、本件発明の技術的範囲である立体映像と平面映像とを共用して表示する事を明確に示している。(請求書8頁7行、5頁24行〜27行、5頁2行〜3行)
(d)立体映像といえども表示板に表示される映像は平面映像である(映像の内容が違うにすぎない)。立体映像は平面映像を包摂しており、立体映像表示装置についてされた特許の内容が、そのまま、平面映像表示装置にも適用されることは自明である。本件発明が立体映像と平面映像の両方を表示する事を技術的範囲として明確にしている以上、説明はなくても、平面映像に対しても黒画像信号を入力することは自明である。(請求書8頁10行〜20行、35行〜37行)
〈当審〉
(a)主張の要約
上記主張は下記のとおり要約できるところ、以下のとおり採用できない。
記(主張の要約)
「異なる画像」とは「時間的に変化している連続する画像信号」の全般を言い、「異なる画像を順次表示する」とはこの「時間的に変化している連続する画像信号」を「連続する順序」どおりに表示することを言う。立体映像も個々の映像は平面映像であり(包摂)、立体映像と平面映像の両方に、それぞれ、「異なる画像」が存在する。
本件発明は立体映像と平面映像の両方を表示するものであり、そして、立体映像と平面映像の両方に「異なる画像」が存在することから、「異なる画像」を立体映像に限定して解釈することは誤りである。
本件明細書には平面映像に対して黒画面信号を入力することにつき記載はないが、本件発明が立体映像と平面映像の両方を表示するものであり、立体映像も個々の平面映像からなる以上、平面映像に対しても黒画面信号を入力することは自明である。
(b)平面表示(実施例15)
実施例15は、平面表示変更回路27により、立体表示の場合には、時分割回路5と分割制御回路6の側を選択し、分割光源3を分割制御すると同時に映像R、Lを時間交互に切り換えて入力して立体表示をし、平面表示の場合には、片眼用映像(右眼映像4R)と全面発光回路26の側を選択し、分割光源3を全面発光させると同時に専ら右眼映像Rを入力して平面表示をするものであり(段落0059、図17)、これにより、段落0014に記載した問題点を解消し、段落0027に記載した効果を得ることが認められる。
(c)文言「異なる」(段落0014、段落0032)
段落0014の記載「透過型映像表示板に表示する映像をフィールド毎に異なる方向像とせず同一映像の繰り返しと線状光源の同時照射によって通常の2次元映像表示をする場合でも、」は、「透過型映像表示板に表示する映像を、フィールド毎に異なる方向像とする3次元映像表示とせず、同一映像の繰り返しと線状光源の同時照射によって通常の2次元映像表示をする場合でも、」と解釈するのが自然である。すなわち、段落0014では、左右の各「像」を撮影した「方向」が互いに「異なる」ことを「異なる」との文言により示している。そして、実施例15では右眼映像4R、左眼映像4Lおよび時分割回路5からなる回路構成がこのことに対応する。
本件において「異なる」は、立体表示における文言として、しかも、像の方向が異なることを意味する文言として使用されていることは明らかであり、このことからも、右眼映像および左眼映像のことを「異なる画像」と言うことが認められる。
段落0032の記載は請求項1の記載と同じであり、「異なる画像」について請求項1の記載以上の情報を提供するものではない。
(d)全画面黒信号(実施例(22〜27))
本件発明の「全画面黒信号を入力すること」を備える実施例(22〜27)はいずれも、右眼映像信号源4R、左面映像信号源4Lおよび全画面黒表示信号源42を、時分割回路5および全画面黒表示切換回路41(実施例26にあっては、更に走査停止回路43)により切り換えて表示板1に入力して立体映像を表示するものである一方、これらの実施例が平面表示(実施例15の平面表示変更回路27および全面発光回路26)を併用することについては一切記載されていない。
「全画面黒信号を入力すること」との協働の観点からみて、本件発明の「異なる画像」は平面表示とは無関係である。
(e)平面表示と全画面黒信号
(e1)本件は、立体表示の新規配置(図1)を提示する一方、段落0014に記載した問題点(装置要素の構成・配置に因る問題点)に対処した実施例15(平面表示機能の付加)と、段落0016に記載した問題点(LCDの応答特性に因る問題点)に対処した実施例(22〜27、黒表示機能の付加)を、さらに提示したものである。すなわち、各実施例は個別の問題点に対処して各機能(平面表示、黒表示)を付加したものである。2つの機能を同時に付加することは、本件明細書の記載からみて、自明の事項であるとは言えない。
(e2)仮に、実施例22(図24)に平面表示機能(実施例15)を追加したとしても、平面表示の際、右眼映像信号Rが平面表示変更回路27を経由して表示板1に入力されるだけで、全画面黒42が平面表示に関与することはない。平面表示において黒信号を入力する構成には至らない。
(e3)立体映像と平面映像の両方を表示する表示装置について、立体映像に対して黒画像信号を入力することが記載(特許)されているからと言って、平面映像に対しても黒画像信号を入力することが自明である(特許されている)とは言えない。
(f)まとめ
以上、本件発明の「表示装置」が立体表示と平面表示を両用するとしても、立体映像と平面映像のそれぞれについて(両方を一体として)「異なる画像」が説明されているとは言えず、表示の両用は「異なる画像」を立体表示に限定して解釈することを否定するものでない。

(B)分割出願の趣旨(拒絶理由通知書の示唆)
〈主張〉
(a)特許発明の技術的範囲に画定には特許の成立過程(出願経緯、審査過程)も考慮されるべきである。(請求書3頁18行〜20行)
(b)本件発明は、原出願の拒絶理由通知書(甲第6号証)の「e.請求項22〜26に係る発明は、LCDを用いた(但し、クレーム中では規定されていない)場合にも、方向像を時間的に分離する発明である。」の記載に着目し、審査官は、本発明を立体表示と通常表示とが出来る表示装置の発明であり、又、LCDを用いる発明である事を認識しているという当然の解釈で、請求項22〜26を再構築して、発明の名称を「表示装置」(立体映像という文言を外して、立体表示と平面表示の両方を包括した表示装置)として分割出願したものである。原出願(請求項8)も立体表示と平面表示を両用する「表示装置」について特許されている。(請求書3頁27行〜4頁8行、5頁下から10行〜6頁9行)
(c)本件発明の技術的範囲を「立体映像表示装置」に限定するなら、それは、特許庁が指摘した「非単一性」(通知書の趣旨)に矛盾することになる。本件発明の技術的範囲を「立体映像表示装置」に限定することは、本件特許の成立過程を無視した議論であり、許されない。(弁駁書6頁22行〜24行、30行〜34行)
〈当審〉
(a)通知書は、原出願の請求項1〜27が、(a)透過型映像表示装置よりも大きい凸レンズ板を用いることにより部分光源を面光源にする発明、(b)観察者が立体表示不可能な位置にいるときは表示を行わない立体映像表示装置の発明、(c)立体映像表示と通常表示の切替が可能な表示装置の発明、(d)倍速走査によりフリッカを低減する発明、(e)LCDを用いた場合にも方向像を時間的に分離する発明にそれぞれ分類されるとした上で、各分類の間で主要部及び解決すべき課題が異なるとしたものである。分類(e)が「立体映像表示装置」ではなく一般の「表示装置」に係る発明である点をもってその他の分類と異なるとしたものではない。
(b)通知書が「方向像を時間的に分離する発明である」とした原出願の請求項22の記載は、「【請求項22】左眼用および右眼用に対応して透過型映像表示板の表示を時間交互または順次に切り換える立体映像表示装置において、前記左眼用および右眼用の両信号の片フィールドを全画面黒表示信号にしてから1フレーム毎に交互に切り換えて前記透過型映像表示板に入力するようにしたことを特徴とする立体映像表示装置。」である。そうすると、通知書の「方向像」は「左眼用および右眼用の両信号」であると解すべきである。
通知書の上記記述は、請求項22〜26に係る発明は「左眼用および右眼用の両信号」を「時間的に分離する発明である」との趣旨に解すべきであり、画像一般について「時間的に分離する発明である」ことを指摘したものであると断定することはできない。
(c)通知書は、特許法第37条の規定に違反する理由を指摘したのに止まるのであり、分割出願をすれば特許となることを示唆するような記述があるわけではない。
(d)主張は、採用できない。

(C)特許メモ(甲第12号証)
〈主張〉
(a)特許メモの「左右視差画像等の異なる画像を順次表示する場合において、・・・先行文献は、発見できなかった。」との記載中の「等」は「その外にも類似の物事があることを暗示する」(広辞苑)の意味であるから、審査官は、左右視差画像(立体映像)だけでなく平面映像も「異なる画像」として認識していたことは明白である。
(b)特許メモの「次のフレーム」、「今のフレーム」および「異なる画像を順次表示する」の語句によれば、審査官は、「異なる」とは、フレーム(フィールド)の前後関係の変化として認識している事を示している。(以上、請求書7頁17行〜34行)
〈当審〉
(a)請求人の論に立てば、立体映像と平面映像とを同列(類似の物事)に置きこれらを「異なる画像」と言うことになる。そうすると、立体画像と平面画像とを順次表示することとなり本件の内容と整合しない。採用できない。
むしろ、特許メモの「LCDのよう(な)・・・表示装置で、左右視差画像等の異なる画像を順次表示する場合において、順次表示される異なる画像を分離して視覚できるように、1フレーム毎に全画面黒画像信号を入力する先行文献は、発見できなかった。」との記述によれば、「異なる画像」が「左右視差画像」(左右映像信号)であることを要件の一つとする発明について特許査定をしたこと(先行文献は発見できなかったこと)が窺える。
(b)「次のフレーム」、「今のフレーム」などの文言は、LCDのような表示装置の動作を記述し特定するために用いたものであり、「異なる画像」と直接関係するものではない。
(c)主張は、採用できない。

(D)イ号物件の外部端子
〈主張〉
イ号物件は外部入力端子を有している。「左右画像」が外部入力されても表示しない、「左右画像」の外部入力を禁止するなどの証明がない限り、イ号物件が「動画像のみを表示する」とは言えない。(弁駁書8頁40行〜9頁8行)
〈当審〉
イ号物件が「左右画像」を表示することが先に示されない限り、構成要件の充足性を議論することはできない。採用できない。

(2)構成要件(3)
イ号構成(b)が構成要件(2)に含まれず、前記のとおり、イ号物件は本件発明の技術的範囲に属するとすることができない以上、これ以上の対比検討を要しない。しかし、構成要件(3)について議論があるので、以下、これについて見ておく。

(2-1)充足性
構成要件(3)の要部は「1フィールド(1フレーム)分の映像信号を入力する毎に、全画面黒信号を入力する」にあり、具体的には、図25(a)、図27(a)、図28(a)および図30(a)に示された信号系列「映像入力」がこれに対応する。
これにより、「どの任意の時間で前後の映像が一部分でも同時に表示されることが無く、前後の映像を時間的に分離して表示することができる」(段落0033)ものである。
これに対して各証拠および各甲号証(弁駁書による提出分も含む)のいずれにも、イ号製品が上記構成要件(3)に対応しもしくは相当するような構成を備えることを窺わせる記載は見あたらない。構成要件(3)に対応するイ号構成の特定を待つまでもなく、イ号物件は構成要件(3)を具えてはいない。

(2-2)請求人の主張
〈主張〉
製品カタログ(甲第20号証)の23頁の「OCBパネル+黒挿入」と題する図を参照すれば、イ号製品の「黒挿入技術」は、現在のフレームから次のフレームの間に黒信号用のフレームを挿入し、フレーム間の周期を短くすることと等価であるから(すなわち、時間軸を圧縮した映像信号を入力する毎に、1フレーム分のLCD画像の表示時間内に黒信号を入力して、画面全体を黒表示するから)、この「現在のフレームから次のフレームの間に黒信号用のフレームを挿入する」過程は、構成要件(3)に相当する。(弁駁書10頁13行〜21行)
〈当審〉
(a)イ号物件が、「現在のフレームから次のフレームの間に黒信号用のフレームを挿入する」ような過程を備えるとか、さらには「フレーム周期を短くする(時間軸を圧縮する)」とか、そのような事実を示す材料の提出があるわけではない。
(b)図は、1つの画素(1つのライン)の表示期間(32msec)において実際の表示期間と非表示期間(黒挿入)との関係を規定したものであることが認められる。
他方、請求人のいう「現在のフレームから次のフレームの間に黒信号用のフレームを挿入する」は、信号系列において映像信号(1フレーム分)と黒信号(1フレーム分)との関係を規定するものでありこの関係は「フレーム周期を短くする(時間軸を圧縮する)」としても変わるものではない。表示期間内における非表示期間(黒挿入)と、信号系列における黒信号(1フレーム分)とを同列に論ずることはできない。等価であるということもできない。
(c)主張は、採用できない。

(3)請求項2および請求項3に係る発明との対比
請求項2および請求項3に係る発明は請求項1を引用する発明であるので、イ号構成(b)は、同様に、請求項2および請求項3に係る発明の構成要件(構成要件(2))に含まれない。

(4)まとめ(対比)
以上によれば、イ号物件は、少なくとも、「LCDに異なる画像を順次表示する」との構成要件を具えておらず、本件特許の請求項1から請求項3までに係る発明の技術的範囲のいずれにも属しない。

5.むすび
以上、イ号物件は、本件特許の請求項1から請求項3までに係る発明の技術的範囲のいずれにも属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2006-08-23 
出願番号 特願2003-344634(P2003-344634)
審決分類 P 1 2・ 9- ZB (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊東 和重  
特許庁審判長 新宮 佳典
特許庁審判官 原 光明
乾 雅浩
登録日 2004-06-25 
登録番号 特許第3569522号(P3569522)
発明の名称 表示装置  
代理人 戸高 弘幸  
代理人 杉谷 勉  

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