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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B |
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管理番号 | 1144175 |
審判番号 | 不服2004-616 |
総通号数 | 83 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-03-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-01-08 |
確定日 | 2006-09-21 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第229962号「車両用ナビゲーション装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 3月28日出願公開、特開平 9- 81036〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯・本願発明の認定 本願は平成7年9月7日の出願であって、平成15年12月3日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として平成16年1月8日付けで本件審判請求がされるとともに、同月28日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。 本件補正は、補正前請求項1記載の「前記出発地と前記現在地と前記目的地の位置関係を棒グラフの形で示す略図」を「前記出発地と前記現在地と前記目的地の位置関係を、前記現在地と前記目的地間にて残距離割合が示される棒グラフで表わした略図」と補正するとともに、明細書の段落【0005】において同様の補正をするものであり、明りようでない記載の釈明(特許法17条の2第4項4号該当)を目的とするものと認める。また、本件補正が願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でされたことも認める。 したがって、本件補正を却下することはできないから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。 「出発地から目的地に至る経路を設定し、この設定された経路と車両の現在地との現在地を含む地図を表示手段(7)に表示させる制御手段(6)を備えた車両用ナビゲーション装置において、 前記制御手段は、前記表示手段の前記表示を行なっている表示領域の一部に、前記出発地と前記現在地と前記目的地の位置関係を、前記現在地と前記目的地間にて残距離割合が示される棒グラフで表わした略図を表示させることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。」 第2 当審の判断 1.引用刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-251297号公報(以下「引用例」という。)には、以下のア〜キの記載又は図示がある。 ア.「地図のデータを提供する地図情報記憶部と、前記地図情報記憶部に記憶された地図情報を読み出す情報読みだし手段と、前記情報読み出し手段で読みだした地図情報を展開した地図上に出発点、通過点、目的地点の位置データよりなる行程を設定するための入力手段と、前記入力手段で入力した各点の位置データを記憶するための行程記憶手段と、前記行程記憶手段より行程図を作成するための行程図作成手段と、ユーザーの現在位置を算出するための現在位置算出手段と、前記現在位置算出手段からの出力により地図とその一部のサブビューに行程図を同時に表示する表示手段とを有することを特徴とする地図表示装置。」(【請求項1】) イ.「本発明は、自動車などで走行補助装置として用いられるナビゲーションシステムに係る地図表示装置に関するものである。」(段落【0001】) ウ.「本発明によれば、現在位置算出手段で算出された現在位置を中心にユーザーが地図の縮尺を変更することなくルート全体の把握と行程の把握を瞬時に表示することが出来る。」(段落【0010】) エ.「出発点S(28)・・・目的地点E・・・」(段落【0014】) オ.「行程図をサブビューに表示する場合は処理S18において主要道を行程図に重ねて表示するか選択させる。主要道を重ねて表示する場合、S19の処理にて主要道記憶手段19より主要道データを読み込み、サブビュー内に主要道38を表示する。次にS20に処理は移り、図7に示す本実施例の地図表示手段17のサブビュー35内に行程図及び主要道を図のように表示する(S20)。」(段落【0015】) カ.「前記算出した現在位置(S16)を行程図に合わせた位置に現在位置ポイント36として表示させる(S21)。」(段落【0016】) キ.【図7】には、地図表示領域の右上部に「サブビュー35」と図示される矩形状領域が図示され、そこには「主要道38」及び「現在位置ポイント36」並びに符号S及び符号Eが表示されることが示されている。 2.引用例記載の発明の認定 【図7】の符号S及び符号Eがそれぞれ出発点及び目的地点であることは、記載エから明らかである。 したがって、記載又は図示ア〜キを含む引用例の全記載及び図示によれば、引用例には次のような発明が記載されていると認めることができる。 「自動車などで走行補助装置として用いられるナビゲーションシステムに係る地図表示装置であって、地図のデータを提供する地図情報記憶部と、前記地図情報記憶部に記憶された地図情報を読み出す情報読みだし手段と、前記情報読み出し手段で読みだした地図情報を展開した地図上に出発点、通過点、目的地点の位置データよりなる行程を設定するための入力手段と、前記入力手段で入力した各点の位置データを記憶するための行程記憶手段と、前記行程記憶手段より行程図を作成するための行程図作成手段と、ユーザーの現在位置を算出するための現在位置算出手段と、前記現在位置算出手段からの出力により地図とその一部のサブビューに主要道、現在位置ポイント、出発点及び目的地点を含む行程図を同時に表示する表示手段とを有する地図表示装置。」(以下「引用発明」という。) 3.本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定 本願発明と引用発明が「出発地から目的地に至る経路を設定し、この設定された経路と車両の現在地との現在地を含む地図を表示手段(7)に表示させる制御手段(6)を備えた」点で一致する(引用発明の「出発点」、「目的地点」及び「行程」が本願発明の「出発地」「目的地」及び「経路」にそれぞれ相当する。)ことは明らかであり、そうである以上、引用発明を「車両用ナビゲーション装置」ということもできる。 引用発明において、サブビュー内に表示される「行程図」と本願発明の「略図」は、「前記出発地と前記現在地と前記目的地の位置関係」を表す図である点一致し、それが「前記表示手段の前記表示を行なっている表示領域の一部」に表示される点でも一致する(表示させる主体が、本願発明でいう「制御手段」であることも当然一致点である。)。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「出発地から目的地に至る経路を設定し、この設定された経路と車両の現在地との現在地を含む地図を表示手段に表示させる制御手段を備えた車両用ナビゲーション装置において、 前記制御手段は、前記表示手段の前記表示を行なっている表示領域の一部に、前記出発地と前記現在地と前記目的地の位置関係を表す図を表示させる車両用ナビゲーション装置。」である点で一致し、次の点で相違する。 〈相違点〉現在地と目的地の位置関係を表す図につき、本願発明が「前記現在地と前記目的地間にて残距離割合が示される棒グラフで表わした略図」としているのに対し、引用発明は「主要道、現在位置ポイント、出発点及び目的地点を含む行程図」としている点。 4.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断 引用発明においても、主要道、現在位置ポイント、出発点及び目的地点を含む行程図がサブビューに表示されるのだから、現在地から目的地間までの残距離割合の概略を知ることはでき、共通して走行状況を表示するものといえる。 また、本願出願当時、地図と重ねて表示する走行状況としてさまざまのものが周知である。例をあげれば、目的地までの残存距離を表示することが特開平6-174485号公報及び特開平3-127299号公報に、目的地までの距離及び現在地までの走行距離を表示することが特開平7-114697号公報及び特開平7-198401号公報に、目的地までの到達度を表示することが特開平6-290395号公報、特開平4-323685号公報、特開平4-250489号公報、特開昭62-106600号公報、特開昭62-106599号公報、特開昭61-258111号公報及び特開昭61-173112号公報にを表示すること(到達度には距離に基づく到達度と時間に基づく到達度があり、どちらも周知である。)が記載されている。 そうである以上、引用発明においてサブビューに表示する内容を、上記周知の走行状況のいずれとしても、それは設計事項の範囲内というべきである。本願発明の「前記現在地と前記目的地間にて残距離割合」とは、距離に基づく到達度と実質的に異ならず、上記のとおりそれを表示することは設計事項である。 また、到達度を表示するに当たっては、表示態様として棒グラフを採用することは地図表示又は車両用ナビゲーション装置に限らず広く行われていることであり、上記周知例の中にも棒グラフを採用したものがいくつかあるから、棒グラフを採用することも設計事項である。 結局のところ、相違点に係る本願発明の発明特定事項を採用することは設計事項であり、そのことによる格別の作用効果を認めることもできない。 したがって、本願発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第3 むすび 本願発明が特許を受けることができないから、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-07-12 |
結審通知日 | 2006-07-18 |
審決日 | 2006-08-03 |
出願番号 | 特願平7-229962 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松川 直樹 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
長島 和子 藤井 靖子 |
発明の名称 | 車両用ナビゲーション装置 |
代理人 | 碓氷 裕彦 |
代理人 | 伊藤 高順 |
代理人 | 加藤 大登 |