ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25B |
---|---|
管理番号 | 1144531 |
審判番号 | 不服2005-7072 |
総通号数 | 83 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-11-16 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-04-21 |
確定日 | 2006-10-05 |
事件の表示 | 平成10年特許願第375278号「可燃性冷媒を用いた空気調和装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月16日出願公開、特開平11-316067〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成10年12月15日(優先権主張:平成9年12月16日)の出願であつて、その請求項8に係る発明は、平成17年4月21日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項8に記載されたとおりの次のものと認められる(以下、「本願発明」という。)。 「室内機と室外機とを接続する空気調和装置用接続配管において、ガス側接続配管の内径を7.13mm〜7.29mmとし、液側接続配管の内径を前記ガス側接続配管の内径に対して66.6%以下としたことを特徴とする空気調和装置用接続配管。」 なお、上記平成17年4月21日付けの手続補正は、特許法第17条の2第1項第4号の規定によりなされたものであり、同条第4項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものであって、適法になされたものである。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用した特開平9-280589号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 ・「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、冷媒に可燃性冷媒を用いた冷凍サイクルを有するスプリット型空気調和機に関するものである。」 ・「【0012】 【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参考に説明する。 【0013】(実施例1)本実施例では冷媒としてプロパンを用いており図1は、本実施例のスプリット型空気調和機の室内ユニットの背面図である。1は室内ユニット本体、2は長手方向に伸ばしたとき本体1より300mm長い補助配管である。 【0014】図2は、本実施例のスプリット型空気調和機を左配管に設置したときの据え付け構成図である。3は室外ユニット、4は室内ユニット1と室外ユニット3をつなぐ内外接続配管、5は空気調和機を据え付ける家の壁である。」 したがって、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用例発明」という。)。 「室内ユニットと室外ユニットとを接続する空気調和機用接続配管」 3.対比 本願発明と引用例発明とを対比すると、引用例発明の「室内ユニット」は本願発明の「室内機」に相当し、以下同様に、「室外ユニット」は「室外機」に、また、「空気調和機」は「空気調和装置」にそれぞれ相当するから、両者は、 「室内機と室外機とを接続する空気調和装置用接続配管」 の点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 本願発明では、「ガス側接続配管の内径を7.13mm〜7.29mmとした」のに対して、引用例発明では、そのような限定がない点。 [相違点2] 本願発明では、「液側接続配管の内径を前記ガス側接続配管の内径に対して66.6%以下とした」のに対して、引用例発明では、そのような限定がない点。 4.相違点についての判断 相違点1について 上記「ガス側接続配管の内径を7.13mm〜7.29mmとした」のは次の理由による。すなわち、冷媒としてR22を用いる場合とR290を用いる場合とにおいて、R290を用いる場合には、ガス側接続配管の内径を、R22を用いる場合の90〜92%とすると、封入冷媒量が少なくなっても、両者の圧力損失がほぼ等しくなることから、R22を用いた場合に従来から用いられている3分管(7.92mm)に、上記90〜92%を適用したことによる(7.13mm=7.92mm*90%,7.29mm=7.92mm*92%)。(本願明細書の第0026段落ないし第0030段落を参照。) しかし、上記90〜92%は、ガス側接続配管の内径が0.6mm程度の場合の測定結果に基づくものであり、この測定結果が、十倍以上太い3分管(7.92mm)にそのまま適用できるとは考えられない(3分管(7.92mm)程度の内径のガス側接続配管を用いて圧力損失を測定すべきである。)。 また、R22を用いた場合に従来から用いられているガス側接続配管は、3分管の外に4分管があるが、上記90〜92%は、3分管のみに適用されており、4分管(11.1mm)には適用されていない。4分管に適用すると、ガス側接続配管の内径は、当然に、3分管に適用した場合と異なり、9.99mm〜10.2mmとなる(9.99mm=11.1mm*90%,10.2mm=11.1mm*92%)。 更に、上記90〜92%は、冷媒にR290を用いることが前提となるが、本願発明は、R290を用いることを構成要件にしていない。加えて、空気調和機の空調能力により、ガス側接続配管の内径は異なるものである。 したがって、本願発明において、「ガス側接続配管の内径を7.13mm〜7.29mmとした」ことに、技術的意義が認められない。よって、本願発明において、前記「ガス側接続配管の内径を7.13mm〜7.29mmとした」ことは、単なる設計事項である。 相違点2について、 液側接続配管の内径をガス側接続配管の内径より小さくすることは、従来周知の技術である(例えば、実願昭57-75860号(実開昭58-177765号)マイクロフィルムの第5頁、特開平9-137956号公報の第0004段落を参照。)。 また、上記特開平9-137956号公報の第0004段落には、液側接続配管の内径をガス側接続配管の内径に対して66.6%とした点が記載されている。 更に、液側接続配管の内径をガス側接続配管の内径に対して66.6%とした理由は、単に、液側接続配管を2分管とし、ガス側接続配管の内径を7.13mmとした場合には、その比が66.6%となるが、その場合には47%の冷媒量減少効果が得られるというものであり、また、ガス側接続配管の内径を7.29mmとした場合には、その比が65.2%となり、しかも、同じ冷媒量減少効果が得られるにもかかわらず、この値を採用していない。 加えて、本願発明は、可燃性冷媒であるR290を用いることを構成要件にしていない。 したがって、上記「液側接続配管の内径を前記ガス側接続配管の内径に対して66.6%以下とした」ことに、臨界的意義が認められず、空気調和機を製造するに当たって、冷媒の種類や空気調和機の空調能力等を考慮することにより、当業者が適宜なし得たことである。 そして、本願発明の作用効果も、引用例の記載及び従来周知の技術から当業者が予測できた範囲内のものである。 5.むすび 本願発明は、引用例に記載された発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-08-02 |
結審通知日 | 2006-08-08 |
審決日 | 2006-08-21 |
出願番号 | 特願平10-375278 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F25B)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 谷口 耕之助、篠原 将之 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
東 勝之 長浜 義憲 |
発明の名称 | 可燃性冷媒を用いた空気調和装置 |
代理人 | 阿部 伸一 |
代理人 | 辻田 幸史 |
代理人 | 清水 善廣 |