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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G06T
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06T
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06T
管理番号 1144731
審判番号 不服2005-10774  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-04-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-09 
確定日 2006-10-02 
事件の表示 平成 6年特許願第246996号「情報信号の属性検出方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 4月 2日出願公開、特開平 8- 87599〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年9月16日の出願であって、平成17年4月25日付で拒絶査定がされ、これに対し、同年6月9日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年6月29日付で手続補正がなされたものである。

2.平成17年6月29日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年6月29日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1) 本件補正
平成17年6月29日付の手続補正は、平成17年1月17日付手続補正書で補正された特許請求の範囲(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)について、次のとおり(以下、「補正後の特許請求の範囲」という。)補正すること(以下、「本件補正」という。)を含むものである。

(補正前の特許請求の範囲)
「【請求項1】
情報信号を分割した複数のブロックにそれぞれ対応付けられた前記情報信号内の相似領域を示す符号を入力し、あるブロックに属する被写像点から該被写像点が属するブロックに対応する相似領域への写像点の写像を前記ブロック毎に定義し、前記情報信号についての属性検出位置を前記被写像点の初期位置として、前記写像を前回の写像点を新たな被写像点として逐次的に反復し、この際の前記写像点の動きから前記情報信号の前記属性検出位置の属性を決定することを特徴とする情報信号の属性検出方法。
【請求項2】
前記情報信号は各画素が画素値を有する画像信号であり、前記被写像点を該画像信号の画面内の位置と画素値方向で定義し、前記属性検出位置を初期位置とする被写像点の画素値成分が前記写像の反復によって発散しないような初期位置での画素値成分を前記属性検出位置の画素値として決定することを特徴とする請求項1に記載の情報信号の属性検出方法。
【請求項3】
情報信号を分割した複数のブロックにそれぞれ対応付けられた前記情報信号内の相似領域を示す符号を入力し、あるブロックに属する被写像点を該被写像点が属するブロックに対応する相似領域内の写像点へ写像する操作を、属性検出位置を前記被写像点の初期位置とし前回の写像点を新たな被写像点として遂次的に反復する写像手段と、
この写像手段により前記写像が反復される際の前記写像点の位置情報から前記情報信号の前記属性検出位置の属性を決定する属性決定手段
とを有することを特徴とする情報信号の属性検出装置。
【請求項4】
前記情報信号は、各画素が画素値を有する画像信号であり、前記被写像点は該画像信号の画面内の位置と画素値方向で定義され、前記属性決定手段は、前記写像手段によって前記属性検出位置を初期位置とする前記被写像点の画素値成分が発散しないような初期位置での画素値成分を前記属性検出位置の画素値として決定する特徴とする請求項3記載の情報信号の属性検出装置。」

(補正後の特許請求の範囲)
「【請求項1】
画像信号を分割した複数のブロックの各々の前記画像信号内での位置と、前記各ブロックに対応付けられた前記画像信号内の相似領域の前記画像信号内での位置と、を含むデータを入力し、
前記画像信号内の属性検出位置を被写像点の初期位置に設定するとともに、前回の写像点の位置を新たな被写像点の位置に設定しながら反復的に、前記被写像点が属する前記ブロックに対応付けられた前記相似領域内で当該被写像点に対応する位置にある写像点を求め、
前記被写像点の動きから前記画像信号の前記属性検出位置の属性を決定する、
情報信号の属性検出方法。
【請求項2】
前記画像信号は各画素が画素値を有する画像信号であり、
前記データは、前記ブロックごとに当該ブロックに属する画素と当該ブロックに対応する相似領域に属する画素との間で画素値を変換するための変換パラメータを有し、
前記属性検出位置の画素値の初期値を変えながら、前記被写像点の動きに応じた前記変換パラメータを用いて反復的に前記被写像点の画素値を前記被写像点の属するブロックに対応する相似領域の画素値に変換しても発散しない前記初期値を求めることにより、前記属性検出位置の画素値を決定する、
請求項1に記載の情報信号の属性検出方法。
【請求項3】
前記画像信号は各画素が画素値を有する画像信号であり、
前記データは、前記ブロックごとに当該ブロックに属する画素と当該ブロックに対応する相似領域に属する画素との間で画素値を変換するための変換パラメータを有し、
前記被写像点の最終位置の画素値に任意の初期値を設定し、前記被写像点の動きに応じた前記変換パラメータを用いて前記写像点が前記属性検出位置に戻るまで反復的に、前記写像点の画素値を当該写像点の属する相似領域に対応するブロックの画素値に変換することにより、前記属性検出位置の画素値を決定する、
請求項1に記載の情報信号の属性検出方法。
【請求項4】
画像信号を分割した複数のブロックの各々の前記画像信号内での位置と、前記複数のブロックの各々に対応付けられた前記画像信号内の相似領域の前記画像信号内での位置と、
を含むデータを入力する入力手段、
前記画像信号内の属性検出位置を被写像点の初期位置に設定するとともに、前回の写像点の位置を新たな被写像点の位置に設定しながら反復的に、前記被写像点が属する前記ブロックに対応付けられた前記相似領域内で当該被写像点に対応する位置にある写像点を求める写像手段、および、
前記被写像点の動きから前記画像信号の前記属性検出位置の属性を決定する属性決定手段、
を有する情報信号の属性検出装置。
【請求項5】
前記画像信号は各画素が画素値を有する画像信号であり、
前記データは、前記ブロックごとに当該ブロックに属する画素と当該ブロックに対応する相似領域に属する画素との間で画素値を変換するための変換パラメータを有し、
前記属性決定手段は、前記属性検出位置の画素値の初期値を変えながら、前記被写像点の動きに応じた前記変換パラメータを用いて反復的に、前記被写像点の画素値を前記被写像点の属するブロックに対応する相似領域の画素値に変換しても発散しない前記初期値を求めることにより、前記属性検出位置の画素値を決定する、
請求項4に記載の情報信号の属性検出装置。
【請求項6】
前記画像信号は各画素が画素値を有する画像信号であり、
前記データは、前記ブロックごとに当該ブロックに属する画素と当該ブロックに対応する相似領域に属する画素との間で画素値を変換するための変換パラメータを有し、
前記属性決定手段は、前記被写像点の最終位置の画素値に任意の初期値を設定し、前記被写像点の動きに応じた前記変換パラメータを用いて前記写像点が前記属性検出位置に戻るまで反復的に、前記写像点の画素値を当該写像点の属する相似領域に対応するブロックの画素値に変換することにより、前記属性検出位置の画素値を決定する、
請求項4に記載の情報信号の属性検出装置。」

(2) 請求人の主張
請求人は、本件補正について、審判請求書で次のように主張している。
「今回の補正は願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内でなされ、新規事項を追加するものではありません。よって、今回の補正は特許法17条の2第3項の要件を満たした適法な補正です。
また、今回の補正は、審査官が不明確と指摘した事項を明瞭にする目的の補正およびこれに付随する語句の補正です。すなわち、拒絶査定不服審判請求日後30日以内の補正に関する制限を規定する特許法17条の2第4項第3号の『誤記の訂正』および同項第4号の『不明瞭な記載の釈明』を目的とする補正です。
旧請求項2の記載を明瞭化する過程で単一の請求項で表現することによりかえって不明瞭になってしまう可能性が生じたため、旧請求項2が含む下位の概念を複数の請求項に分けました(請求項2、3)。そのため、今回の補正によって請求項数が増加していますが、今回の補正は上述した目的でなされたものですので、特許法第17条の2第4項の要件を満たした適法な補正です。
仮に、特許法第17条の2第4項第2号に該当する補正であったとしても、請求項2および請求項3は、単体ではもちろんのこと、これら二つの論理和に相当する内容であっても、旧請求項2の内容を超えるものではありません。すなわち、請求項2および請求項3に関する補正は、実質的には減縮する補正に相当します。よって、この補正は、審査・審理の範囲を拡大させず、これまでになされた審査の結果を有効に活用して審査・審理を行うことが可能でありますので、特許法第17条の2第4項第2号の趣旨に照らしても適法な補正です。」(なお、本件出願は、平成6年改正前特許法が適用となるので、上記主張のうち、「特許法17条の2第3項」、「特許法17条の2第4項」については、それぞれ「特許法17条の2第2項」、「特許法17条の2第3項」と読み替えた。)

(3) 特許法17条の2第3項4号について
本件補正が、特許法17条の2第3項4号(明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。))に規定される事項を目的とするものであるか否かについて検討する。
拒絶査定の備考欄には、特許請求の範囲の記載の不備について、次のとおり指摘されている。
「出願人は、第1の実施例(段落0058〜0071及び図1〜7)の記載に沿って補正したので、拒絶理由は解消した旨主張している。
しかしながら、補正後の請求項1〜4の発明は、どのような構成データを用い、その構成の何を用いてどのように属性が決定されるのかが、明確でない。(『情報信号を分割した複数のブロックにそれぞれ対応付けられた前記情報信号内の相似領域を示す符号』、『情報信号』、『属性検出位置』、『初期位置』の関係が明確でない。)」
ここで、具体的に指摘されている内容(「情報信号を分割した複数のブロックにそれぞれ対応付けられた前記情報信号内の相似領域を示す符号」、「情報信号」、「属性検出位置」、「初期位置」)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に対する指摘であると認められる。
したがって、本件補正において、補正前の特許請求の範囲の請求項2を、補正後の特許請求の範囲の請求項2及び3とする補正は、当該指摘とは無関係な補正であり、特許法17条の2第3項4号に規定される事項を目的とする補正には該当しない。

(4) 特許法17条の2第3項2号について
次に、本件補正が、特許法17条の2第3項2号(以下、単に「2号」という。)に掲げる事項である、特許請求の範囲の減縮(前号に規定する一の請求項に記載された発明(第一項第四号又は第五号の規定による補正前のものに限る。以下この号において「補正前発明」という。)と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である発明の構成に欠くことができない事項の範囲内において、その補正前発明の構成に欠くことができない事項の全部又は一部を限定するものに限る。)を目的とするものであるか否かについて検討する。
一つの請求項に記載された発明を複数の請求項に分割して、新たな請求項を追加する態様による補正は、たとえそれが全体として一つの請求項に記載された発明特定事項を限定する趣旨でされたものであるとしても、2号の定める「特許請求の範囲の減縮」には当たらないというべきであり、2号の定める「特許請求の範囲の減縮」は、補正前後の請求項に係る発明が一対一の対応関係にあることを必要とすると解するのが相当である、とした判決が存在する。(知財高裁 平成17年(行ケ)第10192号(平成17年4月25日))
したがって、本件補正において、補正前の特許請求の範囲の請求項2を、補正後の特許請求の範囲の請求項2及び3とする補正は、一つの請求項を分割して実質的に複数の新しい請求項を追加するものであるから、上記判決を踏まえると、特許法17条の2第3項2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当しないというべきである。

(5) むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成6年改正前特許法17条の2第3項の規定に違反するので、同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1) 本願発明
平成17年6月29日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年1月17日付手続補正書により補正された、前記「2.(1)(補正前の特許請求の範囲)【請求項1】」に記載されたとおりのものである。

(2) 原審における拒絶査定の理由の概要
原審における拒絶査定の理由の概要は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条5項2号に規定する要件を満たしていない、というものであって、その理由として以下のものを示している。

「出願人は、第1の実施例(段落0058〜0071及び図1〜7)の記載に沿って補正したので、拒絶理由は解消した旨主張している。
しかしながら、補正後の請求項1〜4の発明は、どのような構成データを用い、その構成の何を用いてどのように属性が決定されるのかが、明確でない。(『情報信号を分割した複数のブロックにそれぞれ対応付けられた前記情報信号内の相似領域を示す符号』、『情報信号』、『属性検出位置』、『初期位置』の関係が明確でない。)」

(3) 当審の判断
本願発明の「情報信号を分割した複数のブロックにそれぞれ対応付けられた前記情報信号内の相似領域を示す符号」、「情報信号」とは、どのようなデータを意味するのか明確でなく、「属性検出位置の属性を決定する」とされているが、「属性検出位置」及び「属性」とは、いかなるものなのか明らかでない。また、これらの相互関係が、不明確である。
したがって、本願発明は、発明の構成に欠くことができない事項が記載されていない。

(4) むすび
以上のとおりであるから、本願は、平成6年改正前特許法36条5項2号に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-28 
結審通知日 2006-08-01 
審決日 2006-08-21 
出願番号 特願平6-246996
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06T)
P 1 8・ 534- Z (G06T)
P 1 8・ 574- Z (G06T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小池 正彦梅本 達雄  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 鈴木 明
岡本 俊威
発明の名称 情報信号の属性検出方法および装置  
代理人 堀口 浩  
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