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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1145433
審判番号 不服2005-2167  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-01-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-08 
確定日 2006-10-11 
事件の表示 平成6年特許願第177746号「屈折率分布型レンズアレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成8年1月23日出願公開、特開平8-21902〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成6年7月7日に出願された特願平6-177746号の特許出願であって、原審において平成16年9月24日付の拒絶理由を通知したところ、平成16年12月2日付の意見書のみが提出され、前記拒絶理由により平成16年12月22日付で拒絶査定がなされ、その後、前記拒絶査定を不服として平成17年2月8日に拒絶査定不服審判が請求され、その請求の日から30日以内の平成17年3月8日に明細書を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成17年3月8日付の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成17年3月8日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
平成17年3月8日付の手続補正(以下、この補正を「本件補正」という。)は、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲についての
「【請求項1】 屈折率分布型レンズ素子多数本の配列体を2枚の側板にて接合挟持した屈折率分布型レンズアレイであって、側板として熱硬化性樹脂成形材料製側板を用いたことを特徴とする屈折率分布型レンズアレイ。」
の記載を、
「【請求項1】 屈折率分布型レンズ素子多数本の配列体を2枚の側板にて接合挟持し、前記側板間に前記レンズ素子を配列し、その間隙を架橋硬化型接着剤で充填した屈折率分布型レンズアレイであって、側板として熱硬化性樹脂成形材料製側板を用い、前記レンズアレイの長手方向の長さ250mmあたりのたわみ量が300μm以下であり、前記レンズアレイ単位面積あたりの重量が2.94〜5.88mg/mm2であることを特徴とする屈折率分布型レンズアレイ。
【請求項2】 前記側板同士が接触せず、前記接着剤の長手方向の両端が開放されていることを特徴とする請求項1記載の屈折率分布型レンズアレイ。」
と補正することを含むものである。

2.本件補正についての検討
(1)本件補正が、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法[第1条の規定]による改正前の特許法(以下、これを「平成6年改正前特許法」という。」)第17条の2第2項において準用する平成6年改正前特許法第17条第2項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第5号の規定によりなされた明細書についてする補正が、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした補正であるか否かについて検討する。
本件補正における請求項2についての補正は、請求項1に係る発明の屈折率分布型レンズアレイに「接着剤の長手方向の両端が開放されていること」という技術事項の限定を付加しようとするものである。
しかしながら、願書に最初に添付した明細書又は図面に、前記「接着剤の長手方向の両端が開放されていること」の技術事項が記載されていたと認めることができない。そして、前記「接着剤の長手方向の両端が開放されていること」の技術事項が、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていた技術事項からみて自明のものであるということもできない。
したがって、本件補正の請求項2についての補正における「接着剤の長手方向の両端が開放されていること」という技術事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていなかった技術事項である。

(2)本件補正が平成6年改正前特許法第17条の2第3項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第5号の規定によりなされた特許請求の範囲についてする補正が、同法第17条の2第3項の第1号ないし第4号に規定する補正の目的に該当する補正であるか否かについて検討する。
本件補正における請求項2についての補正は、本件補正前の特許請求の範囲に記載されていた請求項1の他に、本件補正により新たな請求項2を特許請求の範囲に追加しようとする補正である。
しかしながら、新たな請求項2を特許請求の範囲に追加する本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項の第1号、第3号及び第4号に規定されているところの、
第1号:第三十6条第5項第2号に規定する請求項の削除
第3号:誤記の訂正
第4号:明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)
のいずれの目的にも該当しない補正であることが明らかである。
そして、本件補正後の特許請求の範囲の請求項2に記載された補正後発明が、本件補正前の特許請求の範囲の一の請求項である請求項1に記載された補正前発明と解決しようとする課題が同一である発明の構成に欠くことができない事項の範囲内において、その補正前発明の構成に欠くことができない事項の全部又は一部を限定するものということができないから、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号に規定されているところの、
第2号:特許請求の範囲の減縮(前号に規定する一の請求項に記載された発明(第一項第四号又は第五号の規定による補正前のものに限る。以下この号において「補正前発明」という。)と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である発明の構成に欠くことができない事項の範囲内において、その補正前発明の構成に欠くことができない事項の全部又は一部を限定するものに限る。)
を目的とする補正に該当しないことも明らかである。
したがって、補正前発明と解決しようとする課題が同一であると認めることができない請求項2に記載された発明を特許請求の範囲に新たに追加する本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項の第1号ないし第4号に規定する補正の目的のいずれにも該当しない補正である。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項及び同第3項の規定に適合していないから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
上記「第2」欄に前述した理由により、平成17年3月8日付の手続補正が却下されたことにより、本願発明は、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(上記「第2」の「1.補正の内容」欄を参照)。
「屈折率分布型レンズ素子多数本の配列体を2枚の側板にて接合挟持した屈折率分布型レンズアレイであって、側板として熱硬化性樹脂成形材料製側板を用いたことを特徴とする屈折率分布型レンズアレイ。」(以下、これを「本願発明」という。)

2.引用刊行物
(1)原審における拒絶査定の理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開平4-158302号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「屈折率分布型レンズアレイ」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「2.特許請求の範囲
屈折率分布型レンズ素子が側面を密接して配列し、その両側面を2枚の側板にて接合挟持した屈折率分布型レンズアレイであつて、屈折率分布型レンズ素子を挟持する側板をサーモトロピツク液晶ポリマーあるいはサーモトロピツク液晶ポリマーを含む熱可塑性樹脂組成合物にて構成したことを特徴とした屈折率分布型レンズアレイ。」(1頁左欄4〜12行)
「〔産業上の利用分野〕本発明は、複写機、ファクシミリ等の画像読み取り装置あるいは、液晶プリンター等の画像書き込み装置などの光学系レンズとして有効に用い得る屈折率分布型レンズアレイに関するものである。」(1頁左欄14〜18行)
「〔発明が解決しようとする問題点〕屈折率分布型レンズアレイ側板にガラス繊維強化エポキシ樹脂を使用したものは、剛性、強度、形状安定性等の機械的物性では優れた性能を有しているが、一般の樹脂と比較すると比重が大きいため、近年軽量、小型化の進んだ複写機、ファクシミリ等の電子情報機器分野では、その作動特性がにぶく、更に作動特性の改良された軽量されたものの開発が強く望まれている。
〔問題点を解決するための手段〕そこで本発明者等は、上述した要望を満たし得た屈折率分布型レンズアレイを得ることを目的として検討した結果、本発明を完成したものであり、その要旨とするところは、屈折率分布型レンズ素子を側面を密接しその両側面を2枚の側板にて接合挟持した屈折率分布型レンズアレイであって、屈折率分布型レンズ素子を挟持する側板をサーモトロピック液晶ポリマー、あるいはサーモトロピック液晶ポリマーを含む熱可塑性樹脂組成物にて構成したことを特徴とした屈折率分布型レンズアレイにある。」(1頁右欄5行〜2頁左上欄5行)
「実施例1.
サーモトロピック液晶ポリマー(「ベトクラ」:日本ポリプラスチック(株)製)を一軸押出機にて溶融押出しを行い、ダイを用いて第2図に示す如き平板を得た。この平板2枚を用いこの間にエポキシ系接着剤(アラルダイト:日本チガバイキー社)に、カーボンブラックを微量混合したもので屈折率分布型レンズを一列に配列接合しレンズアレイを作製した。
この屈折率分布型レンズアレイの重量は7.53gで、たわみ量xは150μmであり、また、屈折率分布型レンズアレイのA方向の熱膨張係数は、0.1×10-5cm/cm/°Cであったことより、その剛性が高く、長さ方向の熱膨張率は極めて小さいものであることを確めた。」(3頁右上欄13行〜同頁左下欄7行)

そうすると、上記引用刊行物1における前記摘記事項及び添付図面における記載からみて、引用刊行物1には、次の発明(以下、これを「引用発明」という。)の記載が認められる。
「屈折率分布型レンズ素子が側面を密接して配列し、その両側面を2枚の側板にて接合挟持した屈折率分布型レンズアレイであつて、屈折率分布型レンズ素子を挟持する側板をサーモトロピツク液晶ポリマーあるいはサーモトロピツク液晶ポリマーを含む熱可塑性樹脂組成合物にて構成した屈折率分布型レンズアレイ」

(2)原審における拒絶査定の理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開昭55-90905号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、「投影装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「本発明は光学的な投影装置、特に物体の鏡像を投影面上に形成する投影装置に関するものである。」(3頁左上欄2〜4行)
「第21図から第27図はV字溝,丸溝等を有する溝付きブロックの溝部に各要素レンズ系をならわせ配列するものに関する。第21図(a),(b)はそれぞれV字溝,丸溝を有する溝付きブロック113,114を示す。各要素レンズ系は第22図(a)のように溝にならって配列され光軸方向の断面をとると第22図(b)となる。溝部にならって配列されるバーレンズは第22図(c)に示されるようにシート115等で押し付けられ光吸収性の接着剤等で結合される。」(18頁右下欄13行〜19頁左上欄6行)
「さて、溝付ブロック113,114に固定された要素レンズ系は一般の場合には、そのままでよいが、多数の場合にはこれを重ねて組み込む必要性がある。その際に第26図に示されるようにシート115等を介して押し合うように組むと溝付ブロック119,120の反り、ひねり等により生じたレンズ相互の偏心が是正される。また各要素レンズ系間の空隙は、光吸収性の接着剤(充填材)により埋めることが望ましい。また溝付ブロックに多段に配列するとき隣合う列が互いに半ピッチずれるいわゆる千鳥状の配列とすると、走査方向に積分される光量分布の一様性は向上する。」(19頁左下欄5行〜同頁右下欄1行)
「溝付ブロックは強度的にはアルミ等の金属が良好であるが、複写機等では感光ドラム又は帯電器との間の放電の問題よりフェノール樹脂,ポリカーボネート樹脂等のプラスチックがより望ましい。」(19頁右下欄1〜5行)

3.対比及び一致点・相違点
本願発明と前記引用発明とを対比すると、引用発明における「屈折率分布型レンズ素子が側面を密接して配列し、その両側面を2枚の側板にて接合挟持した屈折率分布型レンズアレイ」、「屈折率分布型レンズ素子を挟持する側板」及び「屈折率分布型レンズアレイ」のそれぞれが、本願発明の「屈折率分布型レンズ素子多数本の配列体を2枚の側板にて接合挟持した屈折率分布型レンズアレイ」、「側板」及び「屈折率分布型レンズアレイ」のそれぞれに相当する。
また、引用発明の「サーモトロピツク液晶ポリマーあるいはサーモトロピツク液晶ポリマーを含む熱可塑性樹脂組成合物」と本願発明の「熱硬化性樹脂成形材料」とは、いずれも「樹脂成形材料」である点で共通する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「屈折率分布型レンズ素子多数本の配列体を2枚の側板にて接合挟持した屈折率分布型レンズアレイであって、側板として樹脂成形材料製側板を用いた屈折率分布型レンズアレイ」である点で一致し、次の点で構成が相違する。
相違点:側板の構成材料である樹脂成形材料が、本願発明では「熱硬化性樹脂成形材料」であるのに対し、引用発明では「サーモトロピツク液晶ポリマーあるいはサーモトロピツク液晶ポリマーを含む熱可塑性樹脂組成合物」である点。

4.相違点についての検討
上記引用刊行物2には、V字溝,丸溝等を有する溝付きブロックの溝部にバーレンズ等の各要素レンズ系をならわせ配列するものに関して、「V字溝を有する溝付きブロック113及び丸溝を有する溝付きブロック114を、フェノール樹脂で構成すること」が記載されており、このことから各要素レンズ系をならわせ配列する溝付きブロックを熱硬化性樹脂成形材料の一つであるフェノール樹脂で構成する技術は、本件特許出願前の公知の技術であるといえる。
そうしてみると、側板を構成する樹脂成形材料として、引用発明の「サーモトロピツク液晶ポリマーあるいはサーモトロピツク液晶ポリマーを含む熱可塑性樹脂組成合物」に代えて、引用刊行物2に記載の「熱硬化性樹脂成形材料の一つであるフェノール樹脂」を採用することにより、本願発明の前記相違点に係る構成を得ることは、当業者が困難性を伴うことなく容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用刊行物2に記載された技術から予測できる範囲内のものであって、格別顕著のものということができない。

(3)まとめ
したがって、本願発明は、上記引用発明及び引用刊行物2に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用発明及び引用刊行物2に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-01 
結審通知日 2006-08-08 
審決日 2006-08-21 
出願番号 特願平6-177746
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G02B)
P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 57- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 公夫  
特許庁審判長 佐藤 昭喜
特許庁審判官 井口 猶二
瀬川 勝久
発明の名称 屈折率分布型レンズアレイ  
代理人 田村 武敏  
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