• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
管理番号 1146404
異議申立番号 異議2003-72540  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-05-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-10-17 
確定日 2006-09-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3398196号「静電潜像現像用トナー」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3398196号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 I 手続の経緯
特許第3398196号の請求項1に係る発明は、平成5年10月18日に出願され、平成15年2月14日に特許の設定登録がなされ、その後、江波戸昌美より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成17年2月22日に特許異議意見書及び訂正請求書が提出され、これに対して異議申立人から回答書が提出され、特許権者から特許異議上申書が提出されたものである。

II 訂正の適否についての判断
本件訂正請求は、本件特許明細書を訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、訂正の内容は次のとおりである。
1 訂正事項
(a)特許請求の範囲の請求項1における「・・・フィッシャートロプシュワックスを1〜5重量%配合し、かつポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の低分子量ポリオレフィンワックスを配合することを特徴とする静電潜像現像用トナー。」の記載を、
「・・・フィッシャートロプシュワックスを1〜5重量%とポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の低分子量ポリオレフィンワックスとからなるワックスを配合してなるトナー成分を溶融混練した後、粉砕、分級してなる粉砕トナーであって、該トナーを用いて画像を形成したトナー像をクリーナーパッドを付けない加熱定着ローラに接触させて紙に定着する方式に使用されることを特徴とする静電潜像現像用トナー。」と訂正する。
(b)明細書の段落【0007】における「・・・低分子量ポリオレフィンワックスを配合することにより、・・・」を、「・・・低分子量ポリオレフィンワックスとからなるワックスを配合してなるトナー成分を溶融混練した後、粉砕、分級してなる粉砕トナーであって、該トナーを用いて画像を形成したトナー像をクリーナーパッドを付けない加熱定着ローラに接触させて紙に定着する方式に使用されることにより、・・・」と訂正する。
(c)明細書の段落【0014】における「また、ポリエステル系樹脂の軟化点は110〜150℃が好ましく、より好ましくは120〜140℃である。」を、「また、ポリエステル系樹脂の軟化点は120〜140℃である。」と訂正する。
(d)明細書の段落【0026】の「表1」に記載の実施例1〜3を削除し、実施例4び実施例5をそれぞれ実施例1及び実施例2に繰り上げる。
(e)明細書の段落【0026】の「表1」下欄に記載の「A1:サゾール社製のフィッシャートロプシュワックス」、「H1:サゾール社製のフィッシャートロプシュワックス」の記載を削除する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正(a)は、静電潜像現像用トナーを、「トナー成分を溶融混練した後、粉砕、分級してなる粉砕トナー」であるものに限定し、かつ「トナーを用いて画像を形成したトナー像をクリーナーパッドを付けない加熱定着ローラに接触させて紙に定着する方式に使用される」ものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正(b)は、訂正(a)による特許請求の範囲の減縮に伴ない、特許請求の範囲と発明の詳細な説明との間に生じた不整合を正すものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
訂正(c)、(d)は、特許請求の範囲と一致していなかった発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして、訂正(a)において、ワックス成分に係る訂正は、願書に添付した明細書の段落【0018】、【0026】の記載に基づくものであり、トナーの製法を規定する訂正は、段落【0022】の記載に基づくものであり、また、定着方式を規定する訂正は、段落【0002】、【0006】、【0024】の記載に基づくものであり、いずれも願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内のものである。その他の訂正も願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内のものである。
また、上記の各訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

3 訂正の適否についての結論
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III 特許異議申立についての判断
1 本件特許発明
上記のように訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明は、上記訂正請求に添付された訂正明細書の特許請求の範囲、請求項1に記載された次のとおりものである。
「【請求項1】 軟化点が120℃を超え140℃以内となるポリエステル系樹脂を主バインダー成分とし、融点が該ポリエステル系樹脂の軟化点よりも低い90〜110℃のフィッシャートロプシュワックスを1〜5重量%とポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の低分子量ポリオレフィンワックスとからなるワックスを配合してなるトナー成分を溶融混練した後、粉砕、分級してなる粉砕トナーであって、該トナーを用いて画像を形成したトナー像をクリーナーパッドを付けない加熱定着ローラに接触させて紙に定着する方式に使用されることを特徴とする静電潜像現像用トナー。」(以下「本件発明」という。)

2 取消理由の概要
当審において通知した取消理由の1は、本件出願の請求項1に係る発明は、その本件出願前日本国内において頒布された下記の刊行物1〜5に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることがでないというものである。

刊行物1 特開平3-139663号公報(異議申立人提出の甲第2号証)
刊行物2 特開平3-2874号公報(同じく甲第1号証)
刊行物3 特開昭59-45455号公報(同じく甲第3号証)
刊行物4 特開平5-88412号公報(同じく甲第4号証)
刊行物5 特開平4-153659号公報(同じく甲第6号証)

3 引用刊行物の記載事項
取消理由で引用した刊行物1(特開平3-139663号公報)には、次の事項が記載されている。
(1a)「加熱定着用トナーにおいて、トナーバインダーとしてフローテスターにおける流出開始温度が75℃〜105℃の範囲であり、軟化点が90℃〜150℃の範囲である熱可塑性樹脂を用い、数平均分子量が(Mn)が1.0×103以下、重量平均分子量(Mw)が2.5×103以下、Mn/Mw3.0以下、融点(mp)が60〜120℃の範囲である離型剤を少なくとも一種以上含有してなることを特徴とする加熱定着用トナー。」(特許請求の範囲の請求項1)、
(1b)「本発明の加熱定着用トナーの構成上の一つの特徴は、トナーバインダーとして・・・軟化点が90〜150℃の範囲である熱可塑性樹脂を用いたトナーを使用することにより、より低消費電力、低温度でトナーを記録材に加熱定着することができることである。・・・軟化点が90℃未満の場合、・・・定着部材へのオフセットが顕著となり、離型剤の添加効果が著しく減少する。逆に軟化点が150℃を上回る場合、オフセットは改善されるが低温定着を達成できず、トナーの記録材への定着にかかる消費電力も増大する。」(2頁左下欄16行〜右下欄17行)、
(1c)「本発明に用いられるトナーバインダーとしては、例えば、・・・スチレン又はその置換体の重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、・・・などを単独あるいは混合して用いられる。」(3頁左下欄9行〜右下欄3行)、
(1d)「本発明に使用されるトナー中には、・・・融点mpが60〜120℃の範囲である離型剤を少なくとも一種以上、トナーに対して0.1〜20重量%の添加量で用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィン、パラフィンワックス、又は・・・スチレン誘導体あるいは、不飽和脂肪酸エステルによりグラフト変性されたポリオレフィンワックス等が挙げられる。」(3頁右下欄9〜19行)、
(1e)「本発明に使用されるトナーは、・・・数平均分子量Mnが1.0×103以下、重量平均分子量Mwが2.5×103以下、Mn/Mw3.0以下、融点mpが60〜120℃の範囲である離型剤以外に融点120℃を上回る上記構成材料と同様な離型剤を一種以上混合してもよい。」(4頁右下欄8〜13行)、
(1f)「実施例1 フローテスターによる流出開始点88.5℃、軟化点115℃であるポリエステル(Tg57.0℃)100重量部、カーボンブラック4重量部、負荷電制御剤2重量部、グラフト成分としてスチレン、2-エチルヘキシルアクリレートを使用した数平均分子量Mn5.3×102、重量平均分子量Mw8.0×102、Mn/Mw=1.5、融点mpが95℃であるグラフト変性ポリエチレンワックス3重量部を混合した後、2軸混練押出し機によって溶融混練した後、冷却し気流式粉砕機で粉砕し、風力分級器により分級し、平均粒径約12μmの黒色微粉末(非磁性トナー)を得た。このトナー100重量部に対して疎水性シリカ粉末0.8重量部添加混合してトナーAを得た。・・・
このトナーAの未定着画像をNP-6850(キャノン(株)製複写機)の定着器を取りはずした改造機を用いて得た。記録材としては、市販の複写機用紙・・・を用いた。未定着画像の定着試験は、上ローラーとしてテフロン、下ローラーとしてシリコンゴムを用いた温度可変の熱ローラー外部定着機を用い、・・・100℃〜230℃の温度範囲で5℃おきに温調し行った。
・・・また、オフセット試験については、画像及びローラーの観察をもって評価した。その結果定着開始温度は115℃と低く非オフセット領域110℃〜155℃となり、低温定着を達成した。(表-1参照)」(5頁右上欄1行〜左下欄16行)、
(1g)「実施例3 フローテスターによる流出開始点95.0℃、軟化点134℃であるスチレン-ブチルアクリレート共重合体(Tg56.0℃)100重量部、磁性体80重量部、正電荷制御剤2重量部、数平均分子量Mn5.0×102、重量平均分子量Mw7.4×102、Mn/Mw=1.48、融点mp.86℃のフィッシャートロプシュ法で合成された直鎖パラフィンワックスを混合した後、2軸混練押出し機によって溶融混練した後、冷却し気流式粉砕機で粉砕し、風力分級器により分級し、平均粒径約8μmの黒色微粉末(磁性トナー)を得た。このトナー100重量部に対して疎水性シリカ粉末0.6重量部添加混合してトナーEを得た。・・・記録材は、実施例1と同様のものを使用し、定着試験も同様にして行った。その結果、定着開始温度は130℃、非オフセット領域120℃〜220℃となり低温定着を達成した。(表-1参照)」(6頁左上欄17行〜右上欄17行)、
(1h)「実施例4 離型剤として、トナーEで使用した直鎖パラフィンワックス2重量部と融点128℃ポリエチレンワックス1重量部とした以外は実施例3と同様にトナーを得た。このトナー100重量部に対して疎水性シリカ粉末0.6重量部を添加混合してトナーFを得た。
このトナーFを使用し実施例1と同様に得た未定着画像により定着試験を行った。その結果、定着開始温度は130℃、非オフセット領域125℃〜220℃となり低温定着を達成した。(表-1参照)」(6頁右上欄19行〜左下欄10行)、
(1i)7頁の表-1の「定着試験結果」には、実施例1(トナーA使用)の「定着開始温度」は115℃、「非オフセット温度領域℃」は110〜155、「定着温度領域℃」は40、「ブロッキング性」は○であること、実施例3(トナーE使用)の「定着開始温度」は130℃、「非オフセット温度領域℃」は120〜220、「定着温度領域℃」は90、「ブロッキング性」○であること、実施例4(トナーF使用)の「定着開始温度」は130℃、「非オフセット温度領域℃」は125〜220、「定着温度領域℃」は90、「ブロッキング性」は○であること。
これらの記載によれば、刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。
「軟化点が90℃〜150℃の範囲である、ポリエステル、スチレン-ブチルアクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂をバインダーとして用い、離型剤として、融点が該熱可塑性樹脂よりも低いワックスを少なくとも一種以上含有してなるトナー成分を、溶融混練した後、粉砕、分級してなる加熱定着トナー。」

同じく刊行物2(特開平3-2874号公報)には、次の事項が記載されている。
(2a)「少なくとも定着用ポリエステル樹脂および極性基を有するワックスからなる芯粒子および該芯粒子を被覆する樹脂被覆層からなる熱ロール定着用トナーであって、・・・軟化点がポリエステル樹脂>極性ワックス・・・であることを特徴とする熱定着用トナー。」(特許請求の範囲)、
(2b)樹脂の合成(II)には、Tm:126℃のポリエステルを合成したこと(5頁左上欄13行〜右上欄5行)、樹脂の合成(III)には、Tm:130℃のポリエステルを合成したこと(5頁右上欄7〜19行)、
(2c)芯粒子bの製造例には、樹脂(II):100重量部、フッシャトロプシュワックス;サゾールワックスA1(サゾール社製)(融点110℃、AV28):3重量部、銅フタロシアニンブルー:5重量%を混合し、加熱混練し、冷却後粉砕して芯粒子bを得たこと(6頁左上欄2〜10行)。

同じく刊行物3(特開昭59-45455号公報)には、次の事項が記載されている。
(3a)「(1)ポリエステル系樹脂、低分子量のポリビニル系ワックスおよびファーネスカーボンブラックを含有することを特徴とする電子写真用現像剤。
(2)ポリエステル系樹脂は、その酸価が5〜30であることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の電子写真用現像剤。
(3)ポリエステル系樹脂は、・・・その軟化点が80〜150℃であり、・・・ゲル含有率が10〜90%であることを特徴とする特許請求の範囲第2項に記載の電子写真用現像剤。
(4)ポリビニル系ワックスが、ポリエチレンおよびポリプロピレンよりなる群から選ばれることを特徴とする特許請求の範囲第1項から第3項までのいずれかに記載の電子写真用現像剤。」(特許請求の範囲第1〜4項)、
(3b)「実施例1 次に示す所定量の材料を予備混合した後、・・・混練物を粉砕、分級して、平均粒子径12μの電子写真現像剤を得た。
ポリエステル樹脂 88重量部
(・・・軟化点:135℃、ゲルコンテント:60%)
ポリプロピレンワックス 4重量部
(ハイマー660P:三洋化成社製、分子量:約3500)
カーボン 8重量部
・・・
疎水性シリカ 1重量部」
(3頁右下欄10行〜4頁左上欄3行)。

同じく刊行物5(特開平4-153659号公報)には、次の事項が記載されている。
(5a)「(1)・・・スチレン-アクリル共重合体を主成分とする結着樹脂と着色剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、フィッシャートロプシュワックス及びポリプロピレンを含有させたことを特徴とする静電荷像現像用トナー。」(特許請求の範囲1)、
(5b)「本発明で使用するフィッシャートロプシュワックスは、・・・融点が95〜100℃の範囲のものが適している。トナー中の含有量Aは0.1〜5.0重量%、特に0.5〜3.0重量%が好ましい。」(2頁右下欄3〜7行)、
(5c)「従来の、低分子量ポリプロピレンの添加は、離型性を向上させる効果はあるものの、こすりによる画像欠陥を防止することができず、フィッシャートロプシユワックスの添加は、こすり強度に対し、著しい効果があるものの、離型性向上の効果は不十分である。離型性向上のために、フィッシャートロプシユワックスを多く用いることも考えられるが、添加量の増加にともないカーボンの分散性を著しく低下させる。・・・
そこで、本発明者等は、鋭意努力した結果、離型性を向上させ、耐こすり強度を付与することを可能にし、かつ、上記帯電に悪さをしない静電荷現像用トナーを見いだした。即ち、本発明は、・・・上記フィッシャートロプシュワックスを含有させることにより、該ワックスの硬さと分子の直鎖性により、定着像表面の摩擦を減少させ、こすり定着性を著しく向上させ、さらに、該ワックスのみでは低温及び高温域でオフセットが発生し易く、しごき定着性が十分に得られないという欠点を、上記ポリプロピレンを添加することにより、こすり定着性を損なうことなく、耐オフセット性及びしごき定着性を向上させることができた。」(3頁左下欄9行〜4頁左上欄1行)
(5d)「実施例1
スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体 100重量部
・・・
低分子量ポリプロピレン 5重量部
(三洋化成社製ビスコール660P)
フィッシャートロプッシュワックス 2重量部
(サゾール公社製H1-N6)
ニグロシン染料 1重量部
(オリエント社製ボントロンN-03)
上記成分を・・・溶融混練し、冷却後、ジェットミルにより微粉砕を行い、・・・平均粒径11μmのトナーを得た。」(4頁左上欄6行〜右上欄3行)。

4 対比、判断
本件発明と刊行物1に記載の発明とを対比すると、刊行物1に記載の発明の「加熱定着トナー」は、本件発明の「静電潜像現像用トナー」に相当し、該トナーは、加熱定着ローラで熱定着試験が行われているから、加熱定着ローラに接触させて紙に定着する方式に使用されるトナーであることは明らかである。
したがって、両者は、
「ポリエステル系樹脂を主バインダー成分とし、融点が該ポリエステル系樹脂の軟化点よりも低いワックスを配合してなるトナー成分を溶融混練した後、粉砕、分級してなる粉砕トナーであって、該トナーを用いて画像を形成したトナー像を加熱定着ローラに接触させて紙に定着する方式に使用される静電潜像現像用トナー。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1:ポリエステル系樹脂の軟化点が、本件発明では、「120℃を超え140℃以内」であるのに対し、刊行物1に記載の発明では「90℃〜150℃の範囲」とされているものの、具体的に実施例に示されたポリエステル系樹脂の軟化点は115℃のみである点。
相違点2:ワックスが、本件発明では、融点が90〜110℃のフィッシャートロプシュワックスを1〜5重量%と、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の低分子量ポリオレフィンワックスとからなる低分子量ポリオレフィンワックスを併用したものであるのに対し、刊行物1に記載の発明では、この特定のワックスの組み合わせについて示されていない点。
相違点3:トナー像の定着に用いる加熱定着ローラが、本件発明では、トナー像の定着に用いる加熱定着ローラがクリーナーパッドを付けないものであるのに対し、刊行物1の実施例発明では加熱定着ローラがこのような構成のものであることは示されていない点。

以下上記相違点について検討する。
(1)相違点1について検討すると、トナーを構成するポリエステル樹脂として軟化点が120℃を超え140℃以内のものは、刊行物2、3に記載されているように普通に用いられている。そして、刊行物1の加熱定着実験結果を示す表-1には、トナー樹脂の軟化点により、定着開始温度が変わることが記載され、加熱定着装置の定着温度等に応じて、軟化点が90℃〜150℃のポリエステル樹脂を適宜使用できることが示されており、相違点1は実質的な差異ではない。

(2)相違点2について検討すると、刊行物1には、離型剤は一種以上使用できることが記載され(1a、1d)、実施例4には、フィッシャートロプシュワックス(融点86℃)とポリエチレンワックス(融点128℃)を併用した例が示されている。また、刊行物5には、融点が95〜100℃の範囲のフィッシャートロプシュワックスとポリプロピレンワックスとを併用することにより、オフセット性が向上し、耐摩擦性もすぐれたものとなることが示されている。
刊行物1の実施例4、刊行物5に記載のバインダー成分はポリエステル系樹脂ではなく、スチレン-アクリル系共重合体であるが、刊行物1には、離型剤は、熱可塑性樹脂の種類によらず、一種以上添加できることが記載されているのであるから、ポリエステル系樹脂に対する離型剤として、フィッシャートロプシュワックスと、ポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスとを併用することは、刊行物1に開示されているといえる。
また、刊行物2には、バインダーとしてポリエステル系樹脂を用いるトナーにおいて、融点がバインダーの軟化点より低いワックスを使用することが記載され、実施例には、軟化点が126℃であるポリエステル系樹脂に対し、融点が110℃のフィッシャートロプシュワックスを配合することが記載されており、軟化点が120℃を超え140℃以内であるポリエステル系樹脂バインダーに使用するワックスとして、融点がバインダーの軟化点より低い融点90〜110℃のフィッシャートロプシュワックスを用いることは当業者が容易になしうることである。
なお、本件明細書には、「ポリエステル系樹脂に対してフィッシャートロプシュ法によるワックスが特異的に効果を発揮することを見い出した。」(段落【0015】、「フィッシャートロプシュワックスは、ポリエステル系樹脂を主成分とするトナー中に配合されて粘度低下剤としての効果を発揮し、定着時に容易に溶融して溶融開始剤の役割を果すとともに離型剤としても機能し、定着性の改善効果およびオフセット防止効果が得られる。また、ポリエステル系樹脂中への分散性が良好なため、ドラムフィルミングの発生がない。」(段落【0016】)と記載されているが、ポリエステル系樹脂に対してフィッシャートロプシュワックスを添加することは刊行物2に記載のように従来から行われており、上記明細書記載の効果は、従来公知のポリエステル系樹脂とフィッシャートロプシュワックスを含有するトナー成分の作用効果を確認したにすぎない。
フィッシャートロプシュワックスの含有量についてみると、刊行物1には、ワックス(離型剤)の添加量は0.1〜20重量%とすることが記載されている(1d)。また、刊行物5には、トナー中の着色剤の分散性を考慮して、フィッシャートロプシュワックスの含有量は0.1〜5.0重量%とすることが記載されている。さらに、トナーの電気的特性、定着性等を考慮してワックス量を好適範囲にすることは技術常識であり、フィッシャートロプシュワックスと低分子量ポリオレフィンワックスを併用する場合、刊行物1の「トナーに対して0.1〜20重量%の添加量」の記載を基に、併用する低分子量ポリオレフィンワックスの種類や量、上記した着色剤の分散性やトナーの定着性等を考慮して、フィッシャートロプシュワックスの配合量を1〜5重量%の範囲に設定することは当業者が適宜なし得ることである。

(3)相違点3について検討すると、従来から電子写真装置は小型化、軽量化が求められており、トナー像の定着に用いる加熱定着ローラに補助的な装置を設けないようにすることは周知の課題である(例えば、特開平4-316074号公報の段落【0003】、【0004】の記載、特開平4-188153号公報の2頁右上欄〜3頁の記載参照。)。
そして、刊行物1に記載の加熱定着用トナーにおいては、定着試験において、フッ素系樹脂を用いた上ローラーとシリコンゴムを用いた下ローラーを備えたクリナーパッドのない熱ローラ外部定着機を用い、ローラーを観察してオフセットの評価したこと、その結果を示す表-1には、実施例1、3、4はいずれも一定の温度範囲においてオフセットが発生しないことが示されているから、軟化点が120℃を超え140℃以内となるポリエステル系樹脂を主バインダー成分とし、融点が該ポリエステル系樹脂の軟化点よりも低い90〜110℃のフィッシャートロプシュワックスを1〜5重量%と、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の低分子量ポリオレフィンワックスとからなるワックスを配合した静電潜像現像用トナーも、一定の温度範囲内においてはオフセットが発生しないことことは容易に予測でき、トナーが耐オフセット性に優れたものであるなら加熱定着ローラにクリーナーパッドを設ける必要性がないことは明らかであるから、このような静電潜像現像用トナーを、加熱定着ローラにクリーナーパッドを設けないものに使用することは、当業者が容易になし得ることである。

そして、本件発明の作用効果は、刊行物1ないし3及び刊行物5に記載された発明から予測できる程度のものであって格別顕著であるとはいえない。
したがって、本件発明は、刊行物1ないし3及び刊行物5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

IV むすび
以上のとおりであるから、 本件の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件請求項1に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
静電潜像現像用トナー
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】軟化点が120℃を超え140℃以内となるポリエステル系樹脂を主バインダー成分とし、融点が該ポリエステル系樹脂の軟化点よりも低い90〜110℃のフィッシャートロプシュワックスを1〜5重量%とポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の低分子量ポリオレフィンワックスとからなるワックスを配合してなるトナー成分を溶融混練した後、粉砕、分級してなる粉砕トナーであって、該トナーを用いて画像を形成したトナー像をクリーナーパッドを付けない加熱定着ローラに接触させて紙に定着する方式に使用されることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複写機、レーザープリンタ等で採用されている電子写真法、静電記録法、静電印刷法等の現像プロセスにおいて用いられる静電潜像現像用トナーに関し、特に、熱ローラ型定着装置を使用するシステムにおけるトナーの定着性能の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法においては、一般に、感光体上に形成した静電潜像をトナーにより現像して可視像とし、これを紙に転写したのち熱や圧力などでトナーを定着している。トナーの定着法としては、熱ローラ定着法が現在主流を占めている。熱ローラ定着法は、画像を形成したトナーと定着ローラとを加熱、加圧下に接触させてトナーを紙に定着する方式であり、高速機対応の観点から低温定着が要望されている。
【0003】
一方、トナーの主成分であるバインダー樹脂としては、種々のものが提案されており、例えば特公昭46-12680号公報、特開昭48-81540号公報、同50-75043号公報、特公昭52-22996号公報、特開昭54-86342号公報には、ポリエステル系樹脂をバインダーとするトナーが報告されている。ポリエステル系樹脂のような縮合系の樹脂は、低分子量のものを容易に得ることができ、低温定着性に適したトナー用のバインダー樹脂として好適である。また、ポリエステル系樹脂は、スチレン等のビニル系樹脂に比較して、溶融した際に転写紙等の支持体に対する“濡れ”が良く、ほぼ等しい軟化点をもつビニル系樹脂を含有するトナーに比較して、低い温度で十分な定着を行なうことができる。さらに、ポリエステル系樹脂は、それ自体が適当な摩擦帯電性を有し、電荷制御剤を必ずしも必要とせず、トナーの製造が非常に容易であるという利点を有する。
【0004】
しかし一方において、ポリエステル系樹脂を主成分とするトナーは、定着ローラにトナーの一部が付着、残存し、この付着トナーが後に送られてくる転写紙に付着して本来の非画像部を汚すという“オフセット”の問題を生じる。このオフセット対策としては、定着ローラにクリーナー(オイル)を供給して離型性を改善する方法があるが、これは装置の複雑化およびメンテナンスの繁雑化を招く。また、トナー中にポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を配合し、トナー自体の離型性を改善する試みもなされている。
【0005】
しかしながら、ポリプロピレンワックスは融点が高いため、ポリエステル樹脂系トナーが具えている低温定着性を十分に生かすことができない。また、ポリエチレンワックスは融点が100〜120℃であるが、定着改良効果が不十分であり、また、ポリエステル系樹脂との相溶性が悪いため、ドラムフィルミングが発生しやすい。さらに、融点が105℃以下の一般のワックスの場合は、定着性の改良効果はあるものの、高温オフセットやドラムフィルミングが発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、ポリエステル系樹脂が有する低軟化温度、転写紙への濡れ特性および帯電特性を生かしつつ、高温オフセットおよび感光体のドラムフィルミングを防止して、低温定着ならびにクリーナーレス化を実現するのは従来困難であり、これらの要求をバランス良く設計することは非常に難かしかった。例えば、バインダー設計のみで解決することは容易ではなく、かなり複雑な樹脂設計が課せられる。また、ワックスについても特殊な変性処理が要求される。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、軟化点が120℃を超え140℃以内となるポリエステル系樹脂を主バインダー成分とし、融点が該ポリエステル系樹脂の軟化点よりも低い90〜110℃のフィッシャートロプシュワックスを1〜5重量%とポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の低分子量ポリオレフィンワックスとからなるワックスを配合してなるトナー成分を溶融混練した後、紛砕、分級してなる紛砕トナーであって、該トナーを用いて画像を形成したトナー像をクリーナーパッドを付けない加熱定着ローラに接触させて紙に定着する方式に使用されることにより、上記問題点を解決したものである。なお、フィッシャートロプシュワックスをトナーに利用することについては、低分子量重合体成分と高分子量重合体成分とを混合してなるスチレン-アクリル共重合体をバインダーとするトナーに、フィッシャートロプシュワックスをポリプロピレンと共に配合することが特開平4-153659号公報に報告されている。しかし、これはバインダー系が本発明と全く異なり、その作用効果も本発明と相違し、本発明とは技術思想的に別異の発明である。
【0008】
【発明の実施態様】
本発明のトナーは、ポリエステル系樹脂を主バインダー成分とする。ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られ、用いられる各成分の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0009】
2価または3価以上のアルコール成分としては、以下のものが例示される。
1)ジオール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど。
【0010】
2)ビスフェノール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類など。
【0011】
3)3価以上のアルコール類;ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンなど。2価または3価以上のカルボン酸類としては、2価または3価カルボン酸、この酸無水物またはこの低級アルキルエステルが用いられ、カルボン酸として以下のものが例示される。
【0012】
4)2価カルボン酸;マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn-ブチルコハク酸、n-ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキルまたはアルケニルコハク酸など。
【0013】
5)3価以上のカルボン酸;1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸など。これらカルボン酸の酸無水物または低級アルキルエステルも使用できる。
【0014】
また、ポリエステル系樹脂の軟化点は120〜140℃である。さらに、ポリエステル系樹脂とともに他のバインダー樹脂を併用することもできる。これら他のバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン-アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラールなどが用いられる。
【0015】
ポリエステル系樹脂は、一般に分子間凝集力が高く、スチレン-アクリル系樹脂に比較して保存安定性と定着特性とのバランスが取りやすい。しかしながら、消費電力の低減および高速化を図るべく低温での優れた定着性能を実現、維持することはやはり容易ではなく、総合的バランスを考慮した場合、ポリエステル系樹脂単体でのトナー設計には限界があった。そこで、定着特性とオフセットバランスとを考慮した助剤を検討した結果、ポリエステル系樹脂に対してフィッシャートロプシュ法によるワックスが特異的に効果を発揮することを見い出した。
【0016】
フィッシャートロプシュワックスは、石炭を原料とし、一酸化炭素の接触水素化により得られるワックス類であり、特に融点が90〜110℃の低融点ワックスが好ましい。フィッシャートロプシュワックスは、ポリエステル系樹脂を主成分とするトナー中に配合されて粘度低下剤としての効果を発揮し、定着時に容易に溶融して溶融開始剤の役割を果すとともに離型剤としても機能し、定着性の改善効果およびオフセット防止効果が得られる。また、ポリエステル系樹脂中への分散性が良好なため、ドラムフィルミングの発生がない。
【0017】
フィッシャートロプシュワックスは、本発明のトナー中に1〜5重量%配合され、好ましくは1〜4重量%である。この配合量が1重量%未満では低温定着性および耐オフセット性を改善できず、一方、5重量%を超えるとドラムフィルミングが発生する。フィッシャートロプシュワックスは、南アフリカ共和国のサゾール社から入手することができる。
【0018】
本発明のトナー中には、フィッシャートロプシュワックス以外の他のワックス類を主として離型剤として併用することができ、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の低分子量ポリオレフィンワックス、テフロン系のワックスなどが使用できる。
【0019】
本発明のトナーは、さらにトナーとしての常用成分、例えば染顔料、磁性剤、荷電制御剤などを配合することができる。本発明のトナーによって感光体上に形成されたトナー像は、熱ロール定着装置により好適に紙などの転写材に転写、定着される。この場合、定着温度は120〜190℃が好適であり、好ましくは130〜180℃である。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステル系樹脂を主バインダー成分とするトナーにフィッシャートロプシュワックスを配合することにより、低い定着温度でも良好な定着性を得ることができ、消費電力の低下および装置の高速化が可能となる。また、オフセット、特に高温オフセットの発生を防止でき、クリーナーレスの定着を実現しうる。さらに、ドラムフィルミングの発生も防止でき、全体性能のバランスも良好である。
【0021】
【実施例】
ポリエステル樹脂 91重量部
ワックス(詳細は表中に記載) 4重量部
磁性粉 5重量部
荷電制御剤 1重量部
カーボンブラック 5重量部
【0022】
上記各成分を溶融混練した後、粉砕、分級して平均粒径8μmの粉体を得た。この粉体にシリカ(SiO2)を0.8%外添、混合し表面に付着させて本発明のトナーを作製した。ここでポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA、テレフタレ酸、アルケニルコハク酸、無水トリメリット酸を共縮合させたビスフェノール系ポリエステル系樹脂を用いた。このトナーとキャリアとを混合して現像剤とし、京セラ製レーザープリンタを用い、直径25mm、線速25mm/secの定着用熱ローラによりソリッド画像およびハーフ画像を定着して定着性を評価し、併せて耐オフセット性およびドラムフィルミングを評価してその結果を表1に示した。
【0023】
これらの評価方法は、以下の通りである。
(1)定着性
定着温度を120℃または140℃に設定し、スイッチOFFの状態で10分間冷却した後、電源ONし、定着パターンを連続5枚連紙し、測定用画像を得る。この画像を、綿布で包んだ黄銅製の1kgの荷重をかけて、10往復擦る。この操作の前後の画像濃度をマクベス反射計で測定し、その濃度の比率を求めて定着性とする。紙は、ギルバートボンド紙を用いた。
【0024】
(2)耐オフセット性
クリーナーパッドを付けない定着ローラに、用紙上部のみにトナー画像を有する転写紙を圧接させ、トナーを融着させて定着する。その際、転写紙下部の白紙部分にオフセット汚れが発生するか否かを観察する。
○:オフセット発生なし
△:定着ローラ1周期目に発生する
×:定着ローラ2周期以降にも発生する
【0025】
(3)ドラムフィルミングの評価
2ドットの画像パターンを1cm中で線状に印字し、10000枚プリント後の画像パターンから評価した。ドラムフィルミングが発生すると、ソリッド部に白ヌケが発生する。
○:白ヌケが発生する
×:白ヌケが発生しない
【0026】
【表1】

(1)定着性はスラッシュの前がソリッド画像を、後がハーフ画像を示す。
(2)ワックスの略号は、以下の通りである。
A3:サゾール社製のフィッシャートロプシュワックス
TS-200:三洋化成(株)製のポリプロピレンワックス
4202E:三井石油化学(株)製のポリエチレンワックス
151P:三洋化成(株)製のポリエチレンワックス
320MP:三井石油化学(株)製のポリエチレンワックス
アマイドS:花王(株)製のアマイド系ワックス
ニカアマイドS:日本化成(株)製のアマイド系ワックス
AP-95:日本化成(株)製のアマイド系ワックス
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-07-08 
出願番号 特願平5-284559
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G03G)
最終処分 取消  
前審関与審査官 菅野 芳男  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 伏見 隆夫
秋月 美紀子
登録日 2003-02-14 
登録番号 特許第3398196号(P3398196)
権利者 京セラ株式会社
発明の名称 静電潜像現像用トナー  
代理人 高橋 昌久  
代理人 松本 廣  
代理人 高橋 昌久  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ