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審決分類 再審 審判種別コード:43 1項3号刊行物記載  F16B
管理番号 1146410
審判番号 再審2004-95008  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許再審公報 
発行日 1993-04-20 
種別 再審 
審判請求日 2004-10-12 
確定日 2005-04-22 
事件の表示 上記当事者間の特許第3014191号の訂正無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.請求の趣旨
本件再審の請求は、無効2002-35313号事件についてした、特許第3014191号の特許を無効とする旨の平成15年3月18日付け審決(平成16年9月7日確定。以下、「原審決」という。)に対して、平成16年10月9日にその審判被請求人によって、原審決を取消す旨の審決を求めたものである。
なお、原審決については、平成15年4月28日に、その取消を求めて東京高等裁判所に出訴され、平成16年2月23日に請求を棄却する旨の判決があったが、その後上告及び上告受理の申立てがなされ、それに対して平成16年9月7日に上告棄却及び上告審として受理しない旨の決定があり、当該原審決が確定したことは明らかである。

2.請求の理由の概要
請求人は、概略、以下の理由により、原審決には特許法第171条第2項に規定する民事訴訟法第338条第1項第9号の「判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと」が明らかであると主張している。
[理由]
原審決は、先端錐部を設けた通常のねじ釘における直径について認識しておらず、軸部から先端錐部まで同一ピッチで形成された通常のねじ釘では、リード角と直径とは反比例の関係にあるといえるから、甲第1号証の請求の範囲に記載された「軸部と先端錐部との境界個所ないしはその付近から先端錐部にかけてリード角を他部分のリード角に比し急傾角に形成してなる」は、先端錐部を有したねじ釘全てに該当するものであり、何ら新規性があるものではなく「発明」とはいえない。したがって、本件特許発明は、特許法第29条第1項第3号に違反していない。

3.当審の判断
そこで、上記請求人の主張について検討する。
民事訴訟法第338条第1項第9号にいうところの判断遺脱とは、判決に影響を及ぼすべき重要な事項について、当事者が主張していたにもかかわらず、その判断をしなかった場合をいうものであり、この再審事由を準用している特許法第171条第2項によれば、この再審事由は「審決に影響を及ぼすべき重要な事項について、当事者が主張していたにもかかわらず、その判断をしなかったこと」と読み替えることになるところ、請求人が原審判で主張していたのは、「引用発明は『急傾角』であるのに対し、本件発明の軸部の先端部分に形成されたねじ山のピッチが『わずかに長く』したものである点で、両者は異なるものである」ということであり、これに対して、原審決は、「引用発明における前記『他部分のリード角に比し急傾角に形成してなる』は、本件発明における『基端側に形成されたねじ山のピッチよりわずかに長くし』に相当するということができる」と判断しているのであり、判断遺脱はないというべきである。

ところで、請求人の主張する理由は、原審決は判断の過程に誤解があり、結果として判断を誤ったとの指摘であり、原審決の取消訴訟において主張すべきものと認められるところ、実際、当該取消訴訟において、請求人は同内容の主張をし、判決は、「審決が『ねじ山のリード角と軸方向にみたピッチとは、ピッチがtan(リード角)に比例する関係にある』(審決謄本9頁最終段落〜10頁第1段落)との判断を、引用発明の先端錐部におけるねじ山のピッチを認定する際の根拠としたことに誤りはない。」、「審決の『引用発明においても、前記先端錐部にかけて形成されたネジ部におけるねじ山の軸方向にみたピッチは、他部分すなわち軸部の基端側に形成されたネジ部のねじ山のピッチより長くされているものである』(審決謄本10頁第1段落)とした認定に誤りはない。」、「引用例の記載事項は同法29条1項3号にいう発明に該当するというべきである。したがって、これと同旨の前提に立ち、引用発明との対比において本件発明の同法29条1項3号違反を判断した審決に原告ら主張の誤りはなく」と判示して、請求人の主張を棄却したのであり、請求人の主張する理由は、すべて東京高裁において判断済みの事項にすぎない。

なお、請求人は、平成17年2月16日付け(平成17年2月17日差出)で上申書を提出しているが、当該上申書の内容を検討しても、上記当審の判断を覆すべき根拠を見出すことはできない。

したがって、上述のとおり、本件請求の理由によっては、審決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったものとすることはできない。

4.むすび
以上のとおり、本件再審の請求は、特許法第171条第2項の規定に該当する事由を請求理由とするものと認めることができないから、特許法第174条第2項において準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-03 
結審通知日 2005-02-07 
審決日 2005-03-10 
出願番号 特願平3-289097
審決分類 P 5 43・ 113- X (F16B)
最終処分 審決却下  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 村本 佳史
船越 巧子
登録日 1999-12-17 
登録番号 特許第3014191号(P3014191)
発明の名称 ねじ釘  
代理人 森本 邦章  

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