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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F |
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管理番号 | 1147349 |
審判番号 | 不服2003-24647 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-12-19 |
確定日 | 2006-11-16 |
事件の表示 | 平成10年特許願第137081号「内照式電飾看板」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月26日出願公開、特開平11-327474〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成10年5月19日の出願であって(以下、平成10年5月19日を「本願出願日」という。)、その出願からの主だった経緯を箇条書きにすると以下のとおりである。 ・平成10年 5月19日 本願出願 ・平成15年 8月 4日付け 原審にて拒絶理由の通知 ・平成15年10月 6日付け 意見書・手続補正書の提出 ・平成15年11月12日付け 原審にて拒絶査定の通知 ・平成15年12月19日付け 本件審判請求 ・平成16年 3月23日付け 審判請求書に係る手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の【請求項1】に係る発明は、平成15年10月6日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の【請求項1】に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という。)。 「正面が開口し、内部に光源が装着されており、幅が900mmで、深さが150?200mmである箱状体と、前記箱状体の正面開口を覆う光透過性のカバーとから成る内照式電飾看板において、 前記箱状体の内面全体に、平均気泡径50μm以下の微細気泡を有し、かつ厚みが200μm以上で比重が0.7以下である熱可塑性ポリエステル発泡体シートが配置されていることを特徴とする内照式電飾看板。」 第3 当審の判断 1.引用刊行物の記載事項 原審の拒絶理由通知で引用された本願出願日前である平成2年1月31日に頒布された特開平2-29688号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「[従来技術] 従来から、蛍光灯から放出される光を用いて文字、図形等の表示を行う表示装置は広告板、案内板等の様々な用途に使われてきた。 第8図は、従来の表示装置の一例を示す概略的断面図である。 第9図は、従来の表示装置の構成を説明するための概略的説明図である。 第8図において、1は蛍光灯であり、通常、面表示を行うために複数個(本例では3個)配列される。9は表示板であり、フィルムを載せたり、一方の面に塗料やインク等で文字、図形等を描くことによって所望の表示を行うものである。なお、必要に応じて着色されたものが使われる。6は表示板9及び蛍光灯1を固定するケースである。10a、10bは蛍光体1から照射された光を反射して表示板9に照射するための反射体である。このような表示装置は、第9図に示すように、蛍光灯1から直接放出された光による表示板9上(蛍光灯1の対向面側)の照度が、蛍光灯の真上の位置(X1)と、蛍光灯から離れた蛍光灯間の中間の位置(X2)とで、その距離が異なるために、表示板9からの透過光の強さが輝度ムラとなってあらわれる。 したがって、通常上記のような構成の表示装置においては、蛍光灯1から照射された光の明るさを均一とし、且つ光源たる蛍光灯がすけて見えないようにするために、表示板9に散乱板を用いたり、表示板9の表面を加工したりする等により光の散乱をさせており、また表示板9と蛍光灯1との距離を大きくとっている。加えて表示面以外の部分に反射体10a、10bを設けて、反射光を用いて輝度ムラを抑えんとしている。」(第2頁左上欄第4行目?同頁右上欄第16行目参照。) (イ)「図面では蛍光灯直下部は反射体を設けていないが、必要に応じて、反射面4aまたは反射面4bを有する反射体もしくは平面反射体を設けてもよい。」(第4頁右上欄第8行目?同欄第12行目参照。) (ウ)第8図より、ケースの一面が開口し該開口に表示板が配され、ケース内部には蛍光灯が配され、ケース内面には反射体が配された広告板が看取できる。 2.引用刊行物に記載の発明の認定 広告板において表示板が設けられる位置が正面であることは明らかである。 したがって、上記各記載事項を含む引用例1の全記載及び図示によれば、引用例1には、下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「正面が開口し、内部に蛍光灯が装着されているケースと、前記ケースの正面開口を覆う表示板とから成る広告板において、 前記箱状体の内面に、反射体が配置されている広告板。」 3.本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定 引用発明の「広告板」は、内部に装着された蛍光灯から放出された直接及び反射された光を用いて表示板上の文字、図形等の表示を行うものであるから、引用発明の「表示板」は、光透過性を有するものであることは明らかであってケースの開口部を覆うものであるから、本願発明の「光透過性のカバー」に相当し、引用発明の「広告板」は、本願発明の「内照式電飾看板」に相当する。 引用発明の「蛍光灯」及び「ケース」は、それぞれ本願発明の「光源」及び「箱状体」に相当する。 引用発明の「反射体」と本願発明の「熱可塑性ポリエステル発泡シート」とは、反射体の限度において相当する。 したがって、本願発明と引用発明を対比すると、両者は、 「正面が開口し、内部に光源が装着されている箱状体と、前記箱状体の正面開口を覆う光透過性のカバーとから成る内照式電飾看板において、 前記箱状体の内面に、反射体が配置されている内照式電飾看板。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (1)相違点1 箱状体が、本願発明では、幅が900mmで、深さが150?200mmという特定を有するものであるのに対して、引用発明ではそのような特定がなされていない点。 (2)相違点2 反射体が、本願発明では、平均気泡径50μm以下の微細気泡を有し、かつ厚みが200μm以上で比重が0.7以下である熱可塑性ポリエステル発泡体シートという特定を有し、箱状体の内面全体に配置されるものであるのに対して、引用発明ではそのような特定がなされていない点。 4.相違点についての判断 (1)相違点2について 上記記載事項(イ)にもあるように、広告板の内面に配置する反射体を平面反射体とすることは、当業者が適宜採用し得る事項であり、また、反射体を箱状体の内面全体に配置した方が、光源からの光を有効に利用する点で有利なことは自明であるから、引用発明の反射体を平面すなわちシートとして箱状体内面全体に配置することは、当業者が適宜採用し得る設計的事項にすぎない。 また、原審の拒絶理由通知で引用された本願出願日前である1997年1月9日に頒布された国際公開第97/01117号パンフレット(以下、「引用例2」という。)には、蛍光灯などの照明器具に適用される、高い光反射率を有する平均気泡径50μm以下の微細気泡を有し、かつ厚みが200μm以上で比重が0.7以下である熱可塑性ポリエステル発泡体シートが記載されている。そして、内照式電飾広告板も照明器具の一形態であることから、引用発明の反射体として、引用例2に記載の熱可塑性ポリエステル発泡体シートを採用して、相違点2に係る本願発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。 (2)相違点1について 相違点1に係る本願発明の発明特定事項に関して、明細書では、コンビニエンスストアのファサード看板のサイズが幅900mm程度で、深さが200mm程度であること(段落【0006】参照。)と記載されているように、相違点1に係る箱状体の幅及び深さの限定は、従来から採用されてきたサイズであることから、内照式電飾看板の使用に際して適宜当業者が設定すべきものにすぎない。 5.本願発明の進歩性の判断 以上によれば、相違点1及び2に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明及び引用例2記載の発明から当業者が容易に想到し得るものであり、これら相違点1及び2に係る発明特定事項を採用したことによる格別な作用効果を認めることもできない。 したがって、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-20 |
結審通知日 | 2006-09-22 |
審決日 | 2006-10-04 |
出願番号 | 特願平10-137081 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松川 直樹 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
藤本 義仁 藤井 勲 |
発明の名称 | 内照式電飾看板 |