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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1147685
審判番号 不服2004-10547  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-20 
確定日 2006-11-24 
事件の表示 特願2002-300953「管理サーバー及び閲覧制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月27日出願公開、特開2003-178122〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.出願の経緯
本願は、平成12年9月27日に出願した特願2000-293406号の一部を平成14年10月15日に新たな特許出願としたものであって、平成16年4月13日付で拒絶の査定がなされ、同年5月20日に拒絶の査定に対する審判が請求された。
これに対し、当審において、平成18年4月28日付で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年6月29日に意見書の提出とともに明細書について手続補正がなされた。その後、同年7月14日付で最後の拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年9月19日付で意見書の提出とともに明細書について再度手続補正がなされたものである。

2.平成18年9月19日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年9月19日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正
平成18年9月19日付の手続補正書でした手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の
「【請求項1】
情報管理者端末及び商品販売者端末からの指示に応じて情報の閲覧制御を行う管理サーバーであって、
前記情報管理者端末の入力部にて、情報管理者が商品販売者に通知したいお知らせ情報の入力を可能にする入力制御手段と、
前記情報管理者端末の入力部にて、前記管理サーバーにお知らせ情報を登録させる指示の入力を可能にする登録指示制御手段と、
前記情報管理者端末の入力部からの指示に応答して、前記情報管理者端末の入力部から入力されたお知らせ情報を前記情報管理者端末の制御処理部により前記管理サーバーへと送信させる送信制御手段と、
前記送信制御手段によって送信させたお知らせ情報を蓄積する情報蓄積手段と、
前記商品販売者端末の入力部にて、起動用アイコンを選択させる指示の入力を可能にする選択指示制御手段と、
前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積手段に蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段とを備える、
ことを特徴とする管理サーバー。
【請求項2】
情報管理者端末及び商品販売者端末からの指示に応じて情報の閲覧制御を行う管理サーバーによる閲覧制御方法であって、
前記情報管理者端末の入力部にて、情報管理者が商品販売者に通知したいお知らせ情報の入力を可能にする入力制御ステップと、
前記情報管理者端末の入力部にて、前記管理サーバーにお知らせ情報を登録させる指示の入力を可能にする登録指示制御ステップと、
前記登録指示制御ステップにて入力された指示に応答して、前記入力制御ステップにて入力されたお知らせ情報を前記情報管理者端末の処理制御部により前記管理サーバーへと送信させる送信制御ステップと、
前記送信制御ステップにて送信させたお知らせ情報を前記管理サーバーにて蓄積する情報蓄積ステップと、
前記商品販売者端末の入力部にて、起動用アイコンを選択させる指示の入力を可能にする選択指示制御ステップと、
前記選択指示制御ステップにて入力された指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積ステップで蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御ステップとを備える、
ことを特徴とする閲覧制御方法。」を、
本件補正後の
「【請求項1】
情報管理者端末及び商品販売者端末からの指示に応じて情報の閲覧制御を行う管理サーバーであって、
前記情報管理者端末の入力部にて、情報管理者が商品販売者に通知したいお知らせ情報の入力を可能にする入力制御手段と、
前記情報管理者端末の入力部にて、前記管理サーバーにお知らせ情報を登録させる指示の入力を可能にする登録指示制御手段と、
前記情報管理者端末の入力部からの指示に応答して、前記情報管理者端末の入力部から入力されたお知らせ情報を前記情報管理者端末の制御処理部により前記管理サーバーへと送信させる送信制御手段と、
前記送信制御手段によって送信させたお知らせ情報を蓄積する情報蓄積手段と、
前記商品販売者端末の入力部にて、起動用アイコンを選択させる指示の入力を可能にする選択指示制御手段と、
前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積手段に蓄積されたお知らせ情報を、情報管理者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段と、
前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、スタートページにて、前記商品販売者が指定したカテゴリに合致するカテゴリに対応付けられているお知らせ情報を検索して、前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段と、
を備える、ことを特徴とする管理サーバー。
【請求項2】
情報管理者端末及び商品販売者端末からの指示に応じて情報の閲覧制御を行う管理サーバーによる閲覧制御方法であって、
前記情報管理者端末の入力部にて、情報管理者が商品販売者に通知したいお知らせ情報の入力を可能にする入力制御ステップと、
前記情報管理者端末の入力部にて、前記管理サーバーにお知らせ情報を登録させる指示の入力を可能にする登録指示制御ステップと、
前記登録指示制御ステップにて入力された指示に応答して、前記入力制御ステップにて入力されたお知らせ情報を前記情報管理者端末の処理制御部により前記管理サーバーへと送信させる送信制御ステップと、
前記送信制御ステップにて送信させたお知らせ情報を前記管理サーバーにて蓄積する情報蓄積ステップと、
前記商品販売者端末の入力部にて、起動用アイコンを選択させる指示の入力を可能にする選択指示制御ステップと、
前記選択指示制御ステップにて入力された指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積ステップで蓄積されたお知らせ情報を、情報管理者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御ステップと、
前記商品販売者端末の入力部にて、情報のカテゴリの指定の入力を可能にするカテゴリ指定制御ステップと、
前記カテゴリ指定制御ステップにて入力されたカテゴリの指定に応答して、前記管理サーバに格納されたスタートページにて、指定されたカテゴリに合致するカテゴリに対応付けられている蓄積された情報を検索して、前記商品販売者端末の表示部に表示させる検索表示制御ステップと、
を備える、ことを特徴とする閲覧制御方法。」とする補正を含むものである。

(2)補正の適否についての判断
ア. 本件補正は、最後の拒絶理由に対する補正であるから、特許法第17条の2第1項第2号に掲げる場合の補正に該当する。
なお、平成18年7月14日付の拒絶理由の<最後の拒絶理由通知とする理由、補正の制限>の「本拒絶理由通知は、平成18年4月28日付けの拒絶理由通知に対する同年6月29日付け手続補正書による補正により補正された事項についてのみ通知する、特許法第17条の2第1項第3号の最後の拒絶理由通知である。最後の拒絶理由通知に対する補正は、出願当初の明細書又は図面に記載した事項に限られ、かつ、特許法第17条の2第4項第1号乃至4号に掲げる事項を目的とするものに限られる。」との記載において、「特許法第17条の2第1項第3号」は「特許法第17条の2第1項第2号」(拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合)の誤りではあるが、最後の拒絶理由であること、特許請求の範囲についてする補正が制限されることは、審判請求人に通知されている。
本件補正による特許請求の範囲についてする補正は、特許法第17条の2第4項の規定により同項第1号の請求項の削除、同項第2号の特許請求の範囲の減縮、同項第3号の誤記の訂正、同項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに限られる。
そこで、本件補正が特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれを目的とするものであるかを検討する。
イ. 本件補正は、請求項1の「管理サーバー」に係る発明について、発明を特定するために必要な事項(以下、「発明特定事項」という。)である、本件補正前の「前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積手段に蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段」における「商品販売者により設定されたカテゴリ」を「情報管理者により設定されたカテゴリ」と変更する補正事項(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。
補正事項1は、発明特定事項を変更するものであり、特許請求の範囲を減縮するものではないから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないことは明らかである。
また、本件補正前の「商品販売者により設定されたカテゴリ」という記載は明確であるから、補正事項1は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。
また、補正事項1は、請求項の削除、誤記の訂正を目的とするものでもないことは明らかである。
ウ. 次に、本件補正は、請求項1の「管理サーバー」に係る発明について、「発明特定事項」として「前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、スタートページにて、前記商品販売者が指定したカテゴリに合致するカテゴリに対応付けられているお知らせ情報を検索して、前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段」を付加する補正事項(以下、「補正事項2」という。)を含むものであるところ、補正事項2は、特許請求の範囲の減縮を意図したものと解される。
ところで、特許法第17条の2第4項第2号には、
「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」
と規定されている。
したがって、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正は、単に特許請求の範囲を減縮するだけでは足りず、補正前の発明特定事項を限定するもの(限定的減縮)でなければならない。
そこで、補正事項2により付加する発明特定事項が、本件補正前の発明特定事項を限定するものであるか否かについて検討する。
本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1を補正したものであり、補正事項2により付加する発明特定事項には、「前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、スタートページにて、前記商品販売者が指定したカテゴリに合致するカテゴリに対応付けられているお知らせ情報を検索して、前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段」が特定されているところ、本件補正前の請求項1に記載されている発明特定事項として、「前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積手段に蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段」が特定されているが、当該「表示制御手段」に対応する発明特定事項として、本件補正後の請求項1に「前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積手段に蓄積されたお知らせ情報を、情報管理者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段」が特定されているから、補正事項2で付加する発明特定事項に対応する発明特定事項を本件補正前の請求項1に見出すことができない。
してみると、補正事項2は、本件補正前の発明特定事項を限定するものではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
また、補正事項2は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。
エ. また、本件補正は、請求項2の「閲覧制御方法」に係る発明について、発明特定事項である、本件補正前の「前記選択指示制御ステップにて入力された指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積ステップで蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御ステップ」における「商品販売者により設定されたカテゴリ」を「情報管理者により設定されたカテゴリ」と変更する補正事項(以下、「補正事項3」という。)を含むものである。
補正事項3は、発明特定事項を変更するものであり、特許請求の範囲を減縮するものではないから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないことは明らかである。
また、本件補正前の「商品販売者により設定されたカテゴリ」という記載は明確であるから、補正事項3は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。
また、補正事項3は、請求項の削除、誤記の訂正を目的とするものでもないことは明らかである。
オ. 次に、本件補正は、請求項2の「閲覧制御方法」に係る発明について、発明特定事項として、
「前記商品販売者端末の入力部にて、情報のカテゴリの指定の入力を可能にするカテゴリ指定制御ステップ」と、「前記カテゴリ指定制御ステップにて入力されたカテゴリの指定に応答して、前記管理サーバに格納されたスタートページにて、指定されたカテゴリに合致するカテゴリに対応付けられている蓄積された情報を検索して、前記商品販売者端末の表示部に表示させる検索表示制御ステップ」とを付加する補正事項(以下、「補正事項4」という。)を含むものである。
本件補正後の請求項2は、本件補正前の請求項2を補正したものであるが、補正事項4で付加する「カテゴリ指定制御ステップ」、「検索表示制御ステップ」に対応する発明特定事項を本件補正前の請求項2に見出すことができない。
してみると、補正事項4は、本件補正前の発明特定事項を限定するものではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
また、補正事項4は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。
カ. したがって、補正事項1乃至補正事項4を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項各号に掲げられた事項のいずれを目的とするものでもないから、本件補正は、特許法第17条の2第4項柱書きの規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成18年9月19日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年6月29日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「情報管理者端末及び商品販売者端末からの指示に応じて情報の閲覧制御を行う管理サーバーであって、
前記情報管理者端末の入力部にて、情報管理者が商品販売者に通知したいお知らせ情報の入力を可能にする入力制御手段と、
前記情報管理者端末の入力部にて、前記管理サーバーにお知らせ情報を登録させる指示の入力を可能にする登録指示制御手段と、
前記情報管理者端末の入力部からの指示に応答して、前記情報管理者端末の入力部から入力されたお知らせ情報を前記情報管理者端末の制御処理部により前記管理サーバーへと送信させる送信制御手段と、
前記送信制御手段によって送信させたお知らせ情報を蓄積する情報蓄積手段と、
前記商品販売者端末の入力部にて、起動用アイコンを選択させる指示の入力を可能にする選択指示制御手段と、
前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積手段に蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段とを備える、
ことを特徴とする管理サーバー。」

4.当審の拒絶の理由
当審において通知した平成18年7月14日付の拒絶理由の概略は以下のとおりである。
理由1
平成18年6月29日付手続補正書による補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
理由2
本件出願の請求項1及び2に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された刊行物(刊行物一覧参照)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[刊行物一覧]
1.桑原里恵「業務中心から担当者中心へ ワークプレイス化する営業支援
系モバイル・ソリューション」ネットワークコンピューティング,
第12巻,第4号,株式会社リックテレコム,2000年4月1日,
第26?27頁
2.「ダイエー:システム全面刷新で本業強化へ」日経コンピュータ,
第444号,日経BP社,1998年5月25日,第162?169頁
3.「Hyper GroupWeb ver2.1J」月刊ウィンドウズ NT ワールド,
株式会社アイ・ディ・ジーコミュニケーションズ,第2巻,第11号,
1997年11月1日,第218?219頁
4.山口英「ワークステーションを基盤とした情報処理教育環境:大阪大学
情報処理教育センター」,UNIX MAGAZINE,第7巻,第9号,株式会社
アスキー,1992年9月1日,第97?108頁

5.当審の判断
(1)特許法第17条の2第3項について
ア. 平成18年6月29日付手続補正書による補正
平成18年6月29日付手続補正書による補正は、
請求項1及び明細書第6段落に
「前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積手段に蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段」を追加し、
請求項2及び明細書第8段落に
「前記選択指示制御ステップにて入力された指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積ステップで蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御ステップ」を追加する補正を含むものである。

イ. 出願当初明細書等の記載
本件の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「出願当初明細書等」という。)には、スタートページ及びお知らせ情報について、下記のとおりの記載がある。
「【0050】さらに、情報管理者は、商品販売者等に通知したい情報をお知らせ情報として管理サーバー13に登録することができる。すなわち、情報管理者は、入力部22を操作して、販売促進や業務連絡に関する情報といったお知らせ情報を入力し、管理サーバー13への登録を指示する。制御処理部20は、入力部22により入力されたお知らせ情報を管理サーバー13に送る。管理サーバー13は、情報管理者端末11から送られたお知らせ情報を蓄積するとともに、WEBリンクの割付を変更することにより、お知らせ情報を情報管理者端末11及び商品販売者端末12から閲覧可能とする。
【0051】このようにして販売業務に関する各種の情報が管理サーバー13及びデータベース16に蓄積された後、例えば、商品販売者端末12が備える入力部32の操作により表示部33が表示する起動用アイコンの選択が指示されると、制御処理部30がWEBブラウザプログラム31aを実行する。そして、入力部32により入力された指示情報に基づいて、管理サーバー13に格納されているスタートページP1へのアクセスが要求されると、ログイン処理等の初期処理を実行した後、図7に例示するようなスタートページP1を表示部33に表示させて、販売業務を支援する各種の情報を提供するための処理を開始する。
【0052】図7に示すスタートページP1は、メニュー表示領域A1と、お知らせ情報表示領域A2とを備えている。
【0053】メニュー表示領域A1は、例えば、それぞれ次のページへのWEBリンクが張られた文字情報「商品検索」、「セット検索」、「見積書検索/選択」、「見積書作成」を表示する。ここで、商品販売者は、入力部32を用いてこれらの文字情報をクリックすることにより、WEBリンクが張られた次のページを表示部33に表示させることができる。
【0054】お知らせ情報表示領域A2は、管理サーバー13に蓄積されているお知らせ情報を表示するための領域であり、ログイン処理を実行後に最初に表示するWEBページにて、情報管理者が情報管理者端末11から入力したお知らせ情報を優先的に閲覧可能とする。これにより、情報管理者から商品販売者に通知したい情報をいち早く表示して、商品販売者に提供することができる。
【0055】また、お知らせ情報表示領域A2には、検索項目欄C1と、検索ボタンB1と、クリアボタンB2とが設けられ、商品販売者により設定された検索条件の下でお知らせ情報を検索した結果を表示することができる。すなわち、検索項目欄C1には、例えば、検索項目「情報提供日」、「カテゴリ」、「発信元」などが設けられ、図7に示すようなリストボックスL1からお知らせ情報のカテゴリを選択して検索することなどが可能である。」

ウ. 当審の判断
出願当初明細書等の第51段落には、商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、ログイン等の初期処理を実行した後に、図7に例示するスタートページを表示させることが記載され、第54,55段落には、スタートページにお知らせ情報を閲覧可能に表示することが記載され、スタートページに表示されたお知らせ情報表示領域において、商品販売者が「情報提供日」、「カテゴリ」、「発信元」などの検索項目のリストボックスにより検索条件を選択し、選択された検索条件をもとにお知らせ情報を検索可能であることが記載されている。
また、スタートページである図7には、お知らせ情報の一覧が表示され、お知らせ情報の一覧には、情報管理者が付与したカテゴリである「トップニュース」、「お知らせ」がお知らせ情報の表題とともに表示され、検索条件のカテゴリの検索項目であるC1は<なし>の状態である。
よって、出願当初明細書等には、スタートページにて、お知らせ情報を情報管理者が付与したカテゴリとともに一覧表示し、商品販売者がカテゴリを設定してお知らせ情報を検索可能であることは記載されているが、スタートページにて、商品販売者によりカテゴリが設定されていること、及び、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けてお知らせ情報を表示させることは記載されていない。
したがって、平成18年6月29日付手続補正により追加された「スタートページにて、前記情報蓄積手段に蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段」及び「スタートページにて、前記情報蓄積ステップで蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御ステップ」は、出願当初明細書等には、記載されていないし、出願当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえない。

エ. むすび
以上のとおり、平成18年6月29日付手続補正書による上記補正は、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないので、平成18年6月29日付手続補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。。

(2)特許法第29条第2項について
ア. 引用例の記載事項
(ア) 上記の拒絶理由に引用した「桑原里恵,業務中心から担当者中心へ ワークプレイス化する営業支援系モバイル・ソリューション,ネットワークコンピューティング,第12巻,第4号,株式会社リックテレコム,2000年4月1日,第26?27頁」(以下、「引用例1」という。)には、下記(a)乃至(e)の事項が記載されている。
(a) 「さらに、それらの機能は無機質なメニューから選択するだけではなく、場面に応じて必要ごとに自動表示されるしくみが望ましい。参照情報を表示する場合にも、いちいち表示ボタンを押すのではなく、例えば、発注入力とか受注入力の画面で特定の商品を選択すると、その商品に関する注意情報がポップアップする(図参照)。これなら、無意識のうちに情報を参照し、判断に反映することができる。」(第27頁第2欄第1?11行)
(b) 「こうしたポイントは、モバイル端末を使うかどうかとは無関係に、業務支援系システムすべてに共通するものである。しかし、モバイル端末のシステムは『使う人の道具』という意味合いが強く、業務の現場でリアルタイムに使用することを前提としているため、これに対する要求はいっそう厳しい。不要な機能が少しでもあれば、使い勝手だけではなく、業務効率自体が低下する。
このため、モバイル端末のソリューションを中心として業務支援系システムは、組織上の役割や時々の営業課題に合わせて最適化されることが多くなっている。同じ営業支援系のシステムでも、特定顧客の担当者と新規開発の担当者、あるいはその責任者では使う画面や機能が異なる。役割に応じたパーソナライズがおこなわれるわけだ。当然、誰がいつ使うのかが不明確な機能は、すべて排されることになる。」(第27頁第2欄第12行?第3欄8行)
(c) 「業務支援や参照情報の提供だけではなく、本部からのお知らせや担当者からの報告業務、関連する事務処理など。さらに、Webを使ったシステムであれば、これまでYahoo!などのポータルサイトからそれぞれに照会していたニュースや関連情報に対しても、見るべき情報のサマリーとリンク機能を用意する。少なくともユーザーとの接点であるメニューやポータル画面は、そうした必要な機能すべてにアクセスできるものに広がっていく。」(第27頁第3欄第18?29行)
(d) スーパーマーケットの営業支援システムでの担当者が使用する端末の画面において、本部からのお知らせを表示、発注画面において、品切れ、ロス率、類似製品、CM展開などの商品に関する注意情報を閲覧できること。(図面)
(e) スマートカードによる認証により、パーソナライズされた画面が表示される。(図面)

そこで、引用例1の記載事項を検討するに、まず、上記摘記事項(b)によれば、引用例1のモバイル端末は業務支援システムに用いられる端末であって、業務担当者が利用するものであり、また、上記摘記事項(a),(d)によれば、端末により、発注入力、商品の選択が行われているので、端末から情報の閲覧の指示を行っているといえるから、引用例1には「業務担当者の端末からの指示に応じて情報の閲覧を行う業務支援システム」が記載されているといえる。
また、上記摘記事項(b),(e)によれば、引用例1の業務担当者の端末は、スマートカードによる認証により担当者に合わせた画面を表示しており、また、上記摘記事項(c),(d)によれば、本部からのお知らせ情報を表示部に表示させているから、引用例1の業務支援システムの業務担当者の端末は、「スマートカードによる認証を行う認証手段」、及び、「該認証によりパーソナライズされた画面を生成し、当該画面上に、お知らせ情報を表示させる表示手段」を有しているといえる。
してみれば、引用例1には、
「業務担当者の端末を有し、当該業務担当者の端末からの指示に応じて情報の閲覧を行う業務支援システムであって、
業務担当者の端末は、
スマートカードによる認証を行う認証手段と、
該認証によりパーソナライズされた画面を生成し、当該画面上に、お知らせ情報を表示させる表示手段と、
を備える
ことを特徴とする業務管理システム。」(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認められる。

(イ)また、上記の拒絶理由に引用した「ダイエー:システム全面刷新で本業強化へ,日経コンピュータ,第444号,日経BP社,1998年5月25日,第162?169頁」(以下、「引用例2」という。)には下記(f),(g)の事項が記載されている。
(f) 本社には、WWWサーバーがあり、WWWサーバーは、職制別メニューの制御機能、営業支援機能を有する。(図5)
(g) 「店舗の情報系システムとしては現在、各店舗の店長と3?4人のマネジャに1台ずつパソコンを配備(図6)。大手コンピュータ・メーカーがダイエー用に開発した発注用携帯端末も約20台ずつ、全社で8000台配置した。この端末はWindows95を搭載しているため、パソコンとして店舗の従業員が利用し、イントラネットで接続できる。
店舗と本部間はイントラネットのDCNで結び、本部から店舗には一週間の天気予報や催事、新商品の情報や前年同日の販売実績情報などをパッケージ化して提供する。(略)
イントラネットでは「店長向け」「食品担当マネジャ向け」といった職種別に操作メニューを設定している。ユーザーがメニューを選ぶと、WWWサーバーがPOS情報のデータベースや商品画像データベースにアクセスして必要な情報を引き出し、ブラウザ上で表示する仕組みだ(図7)。」(第168頁第2欄第14行?第3欄第18行)

(ウ)また、上記の拒絶理由に引用した「Hyper GroupWeb ver2.1J,月刊ウィンドウズ NT ワールド,株式会社アイ・ディ・ジーコミュニケーションズ,第2巻,第11号,1997年11月1日,第218?219頁」(以下、「引用例3」という。)には下記(h)の事項が記載されている。
(h) 掲示板に、掲示情報の一覧がカテゴリーとともに表示され、カテゴリによる分類が可能であること。(第218頁右欄,掲示板機能,画面1)

(エ)また、上記の拒絶理由に引用した「山口英,ワークステーションを基盤とした情報処理教育環境:大阪大学情報処理教育センター,UNIX MAGAZINE,第7巻,第9号,株式会社アスキー,1992年9月1日,第97?108頁」(以下、「引用例4」という。)には下記(i)の事項が記載されている。
(i) 「掲示板
教官やセンターから利用者へのお知らせを、ログイン時に表示するものである。
センターからお知らせは、全利用者がログインしたときに表示される。センターの閉館時刻の変更や、新しいアプリケーションの導入などについて知らせるものである。
一方、教官からのお知らせは、特定の授業の受講生がログインしたときに表示されるよう設定できる。例えば、この機能を使って休講を通知する場合、その授業の受講生がログインしたときのみ掲示される。」(第106頁左欄第5?14行)

イ. 対比
そこで、本願発明と引用例1発明とを対比すると、まず、引用例1発明の「業務担当者の端末」は、本願発明の「商品販売者端末」に相当するものであり、引用例1の「業務担当者の端末を有する」「業務管理システム」と本願発明の「情報管理者端末」と「商品販売者端末」と「管理サーバ」とを合わせたものは、いずれも販売等の業務の管理を行うものであるから、「管理システム」という概念で共通する。
そうすると、引用例1発明の「業務担当者の端末を有し、当該業務担当者の端末からの指示に応じて情報の閲覧を行う業務支援システム」と本願発明の「情報管理者端末及び商品販売者端末からの指示に応じて情報の閲覧制御を行う管理サーバー」とは、いずれも「商品販売者端末からの指示に応じて情報の閲覧制御を行う管理システム」という点で共通する。
また、引用例1発明の「スマートカードによる認証を行う認証手段」は、ログイン等の初期設定を行うものと考えられるから、本願発明の「前記商品販売者端末の入力部にて、起動用アイコンを選択させる指示の入力を可能にする選択指示制御手段」とは、「前記商品販売者端末にて、起動させるための指示を行う指示手段」という点で共通する。
また、引用例1発明の「該認証によりパーソナライズされた画面を生成し、当該画面上に、お知らせ情報を表示させる表示手段」におけるパーソナライズされた画面を生成することは、初期処理であり、スタートぺージであると認められるから、引用例1発明の「該認証によりパーソナライズされた画面を生成し、当該画面上に、お知らせ情報を表示させる表示手段」と本願発明の「前記商品販売者端末の入力部からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、前記管理サーバーに格納されたスタートページにて、前記情報蓄積手段に蓄積されたお知らせ情報を、商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けて前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段」とは、いずれも「前記商品販売者端末からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、スタートページにて、お知らせ情報を前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段」という点で共通する。
してみれば、本願発明と引用例1発明とは、
「商品販売者端末からの指示に応じて情報の閲覧制御を行う管理システムであって、
前記商品販売者端末にて、起動させるための指示を行う指示手段と、
前記商品販売者端末からの指示に応答して、所定の初期処理を実行した後、スタートページにて、お知らせ情報を前記商品販売者端末の表示部に表示させる表示制御手段とを備える、
ことを特徴とする管理システム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
管理システムが、本願発明では、商品販売者端末、情報管理者端末、管理サーバーからなり、管理サーバが主体となって管理システムの各手段を制御しているのに対し、引用例1発明では、業務担当者の端末を有しているが、全体のシステムがどのようになっているのか記載がない点。
[相違点2]
お知らせ情報について、本願発明は「前記情報管理者端末の入力部にて、情報管理者が商品販売者に通知したいお知らせ情報の入力を可能にする入力制御手段と、前記情報管理者端末の入力部にて、前記管理サーバーにお知らせ情報を登録させる指示の入力を可能にする登録指示制御手段と、前記情報管理者端末の入力部からの指示に応答して、前記情報管理者端末の入力部から入力されたお知らせ情報を前記情報管理者端末の制御処理部により前記管理サーバーへと送信させる送信制御手段と、前記送信制御手段によって送信させたお知らせ情報を蓄積する情報蓄積手段」を有するのに対し、引用例1発明ではそのような記載がない点。
[相違点3]
商品販売者端末にて、起動させるための指示を行う指示手段が、本願発明では、入力部にて、起動用アイコンを選択させる指示の入力を可能にする選択指示制御手段であるのに対し、引用例1発明では、スマートカードによる認証を行う認証手段である点。
[相違点4]
お知らせ情報の表示が、本願発明では商品販売者により設定されたカテゴリに対応付けられているのに対し、引用例1発明ではそうではない点。
[相違点5]
表示制御手段により表示されるスタートページは、本願発明では管理サーバに格納されたものであるのに対し、引用例1発明ではそのような記載はなく、また、表示制御手段により表示されるお知らせ情報が、本願発明では情報蓄積手段に蓄積されたものであるのに対し、引用例1発明ではそのような記載がない点。

ウ. 当審の判断
(ア)[相違点1],[相違点2]について
引用例1には記載されていないが、引用例1発明の業務担当者の端末は、営業等の担当者が持ち歩くモバイル端末であり、発注処理、受注処理、情報の参照を行うことから考えて、通信手段で本部と接続することは当然のことと考えられ、また、引用例1発明において、本部からのお知らせは、当然、本部側で本部の端末から入力されるものと認められる。
そして、本部のサーバーと担当者の端末とをネットワークで接続し、お知らせ情報が本部のサーバから送られる構成は、引用例2の上記摘記事項(g)のように周知の構成であるから、引用例1発明において、管理システムを情報管理者端末、管理サーバーを備える構成とし、情報管理者端末から、管理サーバーへのお知らせ情報の入力、登録指示、送信を行い、管理サーバーにお知らせ情報を蓄積することは当業者が容易に想到し得た事項であり、本願発明における管理サーバーが備える「入力制御手段」、「登録指示制御手段」、「送信制御手段」、「情報蓄積手段」の各手段の技術的な構成も、端末からサーバーに情報をアップロードする際には、当然採用される周知の技術的な構成であるから、引用例1発明において、相違点1,相違点2に係る構成を得ることは当業者が容易に想到し得た事項である。
(イ)[相違点3]について
アイコンによりプログラム等を起動させることは周知技術であるから、引用例1発明において、起動アイコンを選択させることにより起動を行い、相違点3に係る構成を得ることは当業者が容易に想到し得た事項である。
(ウ)[相違点4]について
利用者に必要な情報を知らせるときに用いられる掲示板の技術において、掲示情報にカテゴリを付与し、掲示情報とカテゴリとを対応づけて表示することが引用例3の上記摘記事項(h)に記載され、また、ログイン時のスタートページにおいて必要なお知らせ情報を表示させることは引用例4の上記摘記事項(i)に記載されているように周知技術であるから、引用例1発明において、お知らせ情報を表示する際に、掲示板に関する引用例3,4に記載された周知技術を採用して、相違点4に係る構成を得ることは当業者が容易に想到し得た事項である。
(エ)[相違点5]について
スタートページが、管理サーバに格納する点については、引用例2の上記摘記事項(f),(g)に、職種別の操作メニューを本社のWWWサーバーで制御することが記載されており、また、お知らせ情報が情報蓄積手段に蓄積されたものである点については、相違点2に係る構成を採用することにより自然と導き出せる事項であるから、引用例1発明において、相違点5に係る構成を得ることは当業者が容易に想到し得た事項である。
(オ)請求人の主張について
請求人は、平成18年9月19日付の意見書において、以下のとおりの主張をしている。
「『引用例1には明記されていないが、営業担当者が持ち歩くモバイル端末であることから考えて、通信手段で本部と接続することは当然のことであると考えられ...』」と断定されています。
しかしながら、本願の出願日(親出願の出願日)である平成12年9月27日当時においては、このような事項が「当然」と言えるような状況ではなかったことは明白です。即ち、モバイル環境、特に、データ通信関係の社会基盤の環境は未だ十分でなく、審判官殿の断定は、現在のインフラ環境に基づく判断です。」
請求人の上記主張を検討すると、例えば、「中根,モバイルコンピューティングの動向と日立製作所の対応,日立評論,第78巻,第9号,日立評論社,1996年9月1日,第4?10頁」には、PDA、モバイルコンピュータなどがネットワーク接続可能であり、顧客先での在庫確認、発注業務、見積、プレゼンテーションなどの営業支援業務に使用されることが記載されている(図1,図2,図3,図4,表2)ように、モバイル端末をネットワーク接続し、営業支援業務に使用することは親出願の出願時点で周知であるから、営業担当者が持ち歩くモバイル端末が通信手段で本部と接続することが当然であるとした判断に誤りはなく、請求人の上記主張は失当である。

(カ)作用効果について
以上判断したとおり、本願発明における上記相違点1乃至5に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり、また、各相違点を総合しても本願発明は当業者が想到することが困難なものとはいえない。
そして、本願発明の作用効果も、引用例1乃至4から当業者が予測できる範囲のものである。

エ. むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、引用例1乃至4に記載された各発明に基づいて、周知技術を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、平成18年6月29日付の手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
また、本願の請求項1に係る発明は、引用例1乃至4に記載された各発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-25 
結審通知日 2006-09-26 
審決日 2006-10-10 
出願番号 特願2002-300953(P2002-300953)
審決分類 P 1 8・ 572- WZ (G06Q)
P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
P 1 8・ 55- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 達也  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 高瀬 勤
久保田 健
発明の名称 管理サーバー及び閲覧制御方法  
代理人 木村 満  

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