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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1147864
審判番号 不服2004-9479  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-06 
確定日 2006-11-30 
事件の表示 平成 7年特許願第241898号「ページ出力装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 3月25日出願公開、特開平 9- 76597〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成7年9月20日の出願であって、平成16年3月30日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年5月6日付けで本件審判請求がされるとともに、同年6月2日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成16年6月2日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項
本件補正は特許請求の範囲の補正を含んでおり、それは次の事項からなっている。
補正事項1:補正前請求項1,2の「画像情報の各ページのサイズデータを獲得」を「画像情報の各ページのサイズデータを各ページ毎に獲得」と補正する。
補正事項2:補正前請求項1,2の「前記画像情報の各ページのサイズを前記用紙のサイズに収めるべく、拡大、縮小、回転の少なくとも1つを含む前記画像情報の各ページの処理」を「前記画像情報の各ページのサイズを前記用紙のサイズに収めるために必要な、拡大、縮小、回転若しくはこれらの組み合わせからなる処理」と補正する。
補正事項3:補正前請求項1,2の「前記判別手段で判別された各ページ毎の処理に対応した変換行列をそれぞれ生成」を「前記判別手段で判別された前記処理に対応した変換行列を各ページ毎に生成」と補正する。
補正事項4:補正前請求項1,2の「変換行列を用いて前記画像情報の各ページの処理を行って」を「前記変換行列を用いて前記画像情報の各ページ毎に前記処理を行って」と補正する。

2.補正目的
補正事項1?4が、請求項削除(特許法17条の2第4項1号)又は誤記の訂正(同項3号)の何れをも目的としないことは明らかである。
補正事項1は、一見すると特許請求の範囲の減縮を目的とするやに見えるが、補正前にも「各ページのサイズデータを獲得」とあるほか、「前記画像情報の各ページの処理を各ページ毎に判別」及び「各ページ毎の処理に対応した変換行列をそれぞれ生成」とあるのだから、各ページのサイズデータを各ページ毎に獲得していることは明らかであり、特許請求の範囲の減縮(特許法17条の2第4項2号)には該当しない。
補正事項2については、補正前の「拡大、縮小、回転の少なくとも1つを含む」には、拡大、縮小又は回転処理が単独で施される場合と、2以上の処理を組み合わせる場合が含まれ、拡大、縮小又は回転以外の処理が含まれないことを意味するわけではない。他方、補正後の「拡大、縮小、回転若しくはこれらの組み合わせからなる処理」であれば、拡大、縮小又は回転以外の処理が含まれないことになる。ところで、本願明細書には出願当初から一貫して、「1/2に縮小される変換行列が生成されるが、・・・余白を上下方向等分するため、ページイメージをY方向に(高さH-高さh’)/2、すなわち「25」の大きさだけ平行移動させる変換行列を生成する。また、回転移動に伴う平行移動処理も行う。」(段落【0043】)等の記載があり、拡大、縮小又は回転に伴う平行移動を行う旨記載されている。そうである以上、補正後の「拡大、縮小、回転若しくはこれらの組み合わせからなる処理」を文言どおり理解し、平行移動を含まない趣旨に理解すれば、新規事項追加に該当する。他方、拡大、縮小又は回転に伴う平行移動を含むとの解釈であれば、補正前にあっても拡大、縮小又は回転以外の処理として、平行移動以外のものを想定できない(処理自体としては、画像の変形等が考えられるが、用紙のサイズデータと前各ページのサイズデータの比較に基づく以上、変形等を含むと理解することができない。)から、特許請求の範囲の減縮には当たらない。
補正事項3,4が特許請求の範囲の減縮に該当しないことは明らかである。
残る補正目的は明りようでない記載の釈明(特許法17条の2第4項4号)のみであるが、補正前の記載が明りようでないと認めることはできないだけでなく、その旨の拒絶理由は通知されていない。そればかりか、上記の理由により、補正事項2に関しては、かえって明りような記載を不明りようにしている。
以上のとおりであるから、本件補正は特許法17条の2第4項の規定に違反している。

[補正の却下の決定のむすび]
本件補正は特許法17条の2第4項の規定に違反しているから、特許法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年12月24日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「画像情報を所定のサイズの用紙にページ単位で出力するページ出力装置において、
前記用紙のサイズデータを獲得する用紙サイズ獲得手段と、
前記画像情報の各ページのサイズデータを獲得するページサイズ獲得手段と、
前記用紙サイズ獲得手段で獲得した用紙のサイズデータと前記ページサイズ獲得手段で獲得した各ページのサイズデータとを比較して前記画像情報の各ページのサイズを前記用紙のサイズに収めるべく、拡大、縮小、回転の少なくとも1つを含む前記画像情報の各ページの処理を各ページ毎に判別する判別手段と、
前記判別手段で判別された各ページ毎の処理に対応した変換行列をそれぞれ生成する変換行列生成手段と、
前記変換行列生成手段で生成された前記画像情報の各ページに対応する変換行列を用いて前記画像情報の各ページの処理を行ってビットマップデータに展開処理する展開処理手段と
を具備したことを特徴とするページ出力装置。」

2.引用刊行物記載の発明の認定
原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-270097号公報(以下「引用例」という。)には、「外部から入力される印刷情報を解析して印字データをビットマップメモリに展開する展開手段と、この展開手段により展開された印字データを印字出力する印刷手段と、給紙可能な用紙サイズと前記印刷情報で指定された出力サイズとの比較結果に基づいて前記展開手段により展開された印字データを自動変倍する変倍手段とを有することを特徴とする印刷装置。」(【請求項2】。以下「引用発明」という。)との発明が記載されている。

3.本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
引用発明の「印刷情報」は本願発明の「画像情報」に相当し、「給紙可能な用紙サイズと前記印刷情報で指定された出力サイズとの比較結果に基づいて前記展開手段により展開された印字データを自動変倍する変倍手段とを有する」のであるから、引用発明を「画像情報を所定のサイズの用紙にページ単位で出力するページ出力装置」であるということができ、かつ引用発明が「用紙のサイズデータを獲得する用紙サイズ獲得手段」及び「画像情報のサイズデータを獲得するページサイズ獲得手段」を有することは明らかである(引用発明の「印刷情報で指定された出力サイズ」が本願発明の「画像情報のサイズ」に相当する。仮に、本願発明の「画像情報のサイズ」が、指定された用紙サイズではなく、画像のみのサイズを意味するとしても、引用例には「用紙サイズとビットマップメモリ23に展開されたビットイメージサイズが一致するかどうかを判定」(段落【0029】)及び「ビットマップメモリ23に展開されたビットイメージの縦,横方向の最大値から適正な変倍率(拡大率または縮小率)を算出する構成であっても良い。」(段落【0031】)との各記載があるから、実質的相違には当たらない。)。
引用例には「印字データのサイズ,印字データの出力方向の設定状態に左右されることなく、現在給紙可能な記録媒体にビットマップ展開された印字データを最適な状態で印刷出力」(段落【0006】)との記載があり、この記載を参酌すれば、引用発明の「自動変倍」とは、「前記用紙サイズ獲得手段で獲得した用紙のサイズデータと前記ページサイズ獲得手段で獲得したサイズデータとを比較して前記画像情報のサイズを前記用紙のサイズに収めるべく」拡大又は縮小を行うことである。拡大であるか縮小であるかは当然判別されるから、引用発明がそのための「判別手段」を有することは明らかである。すなわち、本願発明と引用発明とは、「前記用紙サイズ獲得手段で獲得した用紙のサイズデータと前記ページサイズ獲得手段で獲得したサイズデータとを比較して前記画像情報のサイズを前記用紙のサイズに収めるべく、拡大、縮小を含む必要な処理を判別する手段、及び判別された処理を実行する手段を有する点で一致する。
したがって、本願発明と引用発明とは、
「画像情報を所定のサイズの用紙にページ単位で出力するページ出力装置において、
前記用紙のサイズデータを獲得する用紙サイズ獲得手段と、
前記画像情報の各ページのサイズデータを獲得するページサイズ獲得手段と、
前記用紙サイズ獲得手段で獲得した用紙のサイズデータと前記ページサイズ獲得手段で獲得したサイズデータとを比較して前記画像情報のサイズを前記用紙のサイズに収めるべく、拡大、縮小を含む必要な処理を判別する手段と、
判別された処理を実行する手段を具備したページ出力装置。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉画像情報のサイズデータの獲得並びに必要な処理の判別及び実行につき、本願発明では「各ページ毎」と限定されているのに対し、引用発明にはかかる限定がない点。なお、本願請求項1には「各ページ」との文言が随所にあるが、これは相違点1に含まれるので、別途検討しない。また、相違点3では、本願発明の構成から「各ページ」に関係する構成を除外する。
〈相違点2〉必要な処理として、本願発明が「拡大、縮小、回転の少なくとも1つを含む」としているのに対し、引用発明では拡大又は縮小であって、回転を含んでいない点。
〈相違点3〉必要な処理の実行につき、本願発明が「処理に対応した変換行列をそれぞれ生成する変換行列生成手段」及び「変換行列生成手段で生成された前記画像情報に対応する変換行列を用いて前記画像情報の処理を行ってビットマップデータに展開処理する展開処理手段」を具備するのに対し、引用発明ではビットマップメモリに展開された印字データに対して必要な処理(変倍)を行う点。

4.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断
以下では、「発明を特定するための事項」という意味で「構成」との用語を用いることがある。
(1)相違点1について
審決で認定した引用発明は上記のとおりであるが、引用例には、「ホストコンピュ-タ1から1バイトのデータを読み込み受信し(1)、受信した内容が用紙サイズ指定命令かどうかを判定し(2)、YESならば用紙サイズ記憶手段として機能するRAM21bに用紙サイズ指定命令を格納紙(3)、ステップ(1)に戻り次の1バイトデータ受信処理を実行する。・・・一方、ステップ(2)の判定でNOの場合は、受信した1バートのデータが1ページの終了を示す改ページコード(FFコード)かどうかを判断し(4)、NOならば印字データであるので、文字コード/パターン変換を行いビットマップメモリ23にパターンデータを展開し(5)、ステップ(1)に戻る。」(段落【0027】?【0028】)との記載があり、【図2】によれば改ページコード(FFコード)を読み込む毎に、用紙サイズ(【図2】では「カセットサイズ」と表現されている。)と出力サイズとを比較しているから、画像情報のサイズデータ(引用例の上記記載では、用紙サイズ指定命令で指定されたサイズ)の獲得並びに必要な処理の判別及び実行は「各ページ毎」に行われている。
また、引用例の上記記載によるまでもなく、画像情報のサイズデータがページ毎に異なる場合があることは周知であり、そうである以上、画像情報のサイズデータの獲得並びに必要な処理の判別及び実行を「各ページ毎」とすることは設計事項というべきである。

(2)相違点2について
引用例には、3.で述べたとおりの「印字データのサイズ,印字データの出力方向の設定状態に左右されることなく、現在給紙可能な記録媒体にビットマップ展開された印字データを最適な状態で印刷出力」(段落【0006】)との記載があり、「現在給紙可能な記録媒体にビットマップ展開された印字データを最適な状態で印刷出力」するためには、印字データの出力方向の設定状態も考慮する必要があり、そのため「給紙可能な用紙の給紙方向と前記印刷情報で指定された印字出力方向との比較結果に基づいて展開された印字データを自動回転しながら給紙可能な記録媒体に印刷する」(【請求項3】)ことも記載されている。引用例には、拡大縮小(変倍)処理と回転処理の両方を判別する旨の記載はないけれども、「現在給紙可能な記録媒体にビットマップ展開された印字データを最適な状態で印刷出力」することを目的とする以上、両方を判別すること、すなわち引用発明における必要な処理に回転を加えることは設計事項といわなければならない。
もっとも、「給紙可能な用紙の給紙方向と前記印刷情報で指定された印字出力方向との比較結果」(【請求項3】)との記載によれば、回転処理を行うかどうかの判別基準を「前記用紙サイズ獲得手段で獲得した用紙のサイズデータと前記ページサイズ獲得手段で獲得したサイズデータとを比較」とすることは、引用例には記載されていない。しかし、「給紙可能な用紙の給紙方向と前記印刷情報で指定された印字出力方向」が一致する場合とは、「用紙サイズ獲得手段で獲得した用紙のサイズデータ」及び「ページサイズ獲得手段で獲得したサイズデータ」がどちらも縦長又はどちらも横長の場合であり、一致しない場合とは、一方が縦長で他方が横長の場合である。すなわち、「用紙サイズ獲得手段で獲得した用紙のサイズデータ」及び「ページサイズ獲得手段で獲得したサイズデータ」につき、縦横両方のサイズがわかっておれば、「給紙可能な用紙の給紙方向と前記印刷情報で指定された印字出力方向との比較」を行えるのであるから、これら2つのサイズデータとして縦横両方を獲得し、2つのサイズデータの比較により回転処理を行うかどうかを判別することも設計事項というべきである。
以上のとおりであるから、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは設計事項である。

(3)相違点3について
引用例には、「上記実施例では主として印字データをビットマップ展開し、その後実装紙サイズと指定出力サイズの比率でビットマップデータを変倍する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、実装紙サイズと指定出力サイズの比率で印字データを変倍しながらビットマップ展開させても良い。特に、印字データがアウトラインフォントやベクトルグラフィックスデータで構成される場合、それぞれのデータは最終的に座標情報に落されるので、求めた比率で座標値を比例計算することによって簡単に変倍が可能となり、しかも印字品の劣化を抑えることができる。」(段落【0033】)との記載があるから、変倍を行う場合に、ビットマップ展開してから変倍することに拘泥する必要はない。
ところで、相違点3に係る構成に関して本願明細書には、「ジョブ出力制御部1は、プリントジョブ内のページサイズ情報をもとに、プリントデータのページサイズ(幅w,高さh)を獲得する(ステップ102)。その後、ジョブ出力制御部1の判断部1aは、獲得した用紙サイズとページサイズとをもとに、処理の種類を判断する(ステップ103)。すなわち処理区分を行う。さらに、変換行列生成部1bは、この処理区分毎に、対応する変換行列を生成する(ステップ104)。」(段落【0022】)、「その後、ジョブ出力制御部1は、デコンポーズ処理のためのページバッファを獲得し(ステップ105)、入力されたプリントデータとともに、生成した変換行列及び獲得したページバッファをデコンポーザに指示する(ステップ106)。」(段落【0023】)及び「その後、指示されたデコンポーザは、プリントデータ、変換行列をもとに、指示されたページバッファを用いてデコンポーズ処理を行う(ステップ107)。その後、ジョブ出力制御部1は、デコンポーズされたページイメージをプリンタ制御部を介してプリンタからプリントアウトさせる指示を行い、プリンタからデコンポーズされたイメージデータがプリントアウトされる(ステップ108)。」(段落【0024】)との各記載があり、変換行列の具体例として3行3列の行列が段落【0039】、段落【0040】、段落【0043】、段落【0045】、段落【0048】及び段落【0050】に例示されている。
他方、本件出願前に頒布された特開平7-148990号公報(以下「周知例1」という。)には、「ジョブ制御部51′は、N-up受付部52にN-upが指示されているジョブがあるか否かを調べる(ステップ61)。ジョブ制御部51′は、N-up受付部52にN-upが指示されたジョブを受け付けていると判断した場合、変換行列生成部53に対して、指示されたN-up用の変換行列を生成するように依頼する(ステップ62)。」(段落【0024】)及び「ジョブ制御部51′は、出力する用紙の1ページ分に相当するメモリをメモリ獲得部54で獲得するように依頼する(ステップ64)。ジョブ制御部51′は、デコンポーザ41に変換行列生成部53で生成した変換行列を通知する(ステップ65)。ジョブ制御部51′は、ジョブ出力部のデコンポーザ41ないし43にジョブのデコンポーズを依頼する。依頼を受けたデコンポーザ41ないし43におけるインタプリタ55は、印刷するための記述を解釈して、イメージャ56に変換行列によって座標変換された結果を前記メモリに展開するように依頼する(ステップ66)。」(段落【0025】)との各記載があり、【図9】及び【図11】には3行3列の変換行列が図示されており、さらに【図9】には縮小だけでなく回転処理がされる旨の説明もある。
同じく特開平5-328103号公報(以下「周知例2」という。)には、「インタプレスマスタは、PDL(ページ記述言語)の一つである「インタプレス」で記述されたページイメージ情報で、これが請求項にいう「複数ページ分のページイメージ情報」にあたる。」(段落【0006】)、「オリジナルインタプレスマスタに対し、再帰処理が実行される(S4)。変換済みのインタプレスマスタ、例えば元の8ページ分が1ページ分とされた新たなインタプレスマスタが、ビットマップデータ作成装置422に供給される(S5)。」(段落【0009】)及び「2ページアップ処理は、2ページアップ処理部4211によって実行される。この処理によりインタプレスマスタの各2ページ分が1ページ分に変換される。」(段落【0010】)との各記載があり、【図12】、【図15】及び【図21】には3行3列の変換行列が図示されている。
これら周知例1,2の上記記載(図示を含む)は、本願明細書の上記記載と類似しており、しかも周知例1,2は請求人出願に係る公開公報であることを考慮すれば、縮小又は回転処理をするために、「処理に対応した変換行列をそれぞれ生成する変換行列生成手段」及び「変換行列生成手段で生成された前記画像情報に対応する変換行列を用いて前記画像情報の処理を行ってビットマップデータに展開処理する展開処理手段」を具備することは周知技術というべきである。また、周知例1,2はN-up印刷に関する文献であるから、拡大についての記載はないけれども、縮小処理はできるが拡大処理は困難であると理解することもできない(仮に、拡大処理は困難であるとすると、本願明細書にはその困難性を克服するための手段が記載されていないから、重大な記載不備があることになる。)。
そうである以上、相違点3に係る引用発明の構成に代えて上記周知技術を採用し、さらに拡大の際にも上記周知技術と同様手段を採用すること、すなわち相違点3に係る本願発明の構成に至ることは当業者にとって想到容易というべきである。
(4)本願発明の進歩性の判断
相違点1?3に係る本願発明の構成を採用することは設計事項であるか、当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-28 
結審通知日 2006-10-03 
審決日 2006-10-18 
出願番号 特願平7-241898
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B41J)
P 1 8・ 57- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石原 徹弥桐畑 幸▲廣▼畑井 順一  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 國田 正久
長島 和子
発明の名称 ページ出力装置および方法  
代理人 木村 高久  

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