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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 G02B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B |
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管理番号 | 1147932 |
審判番号 | 不服2004-2304 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-10-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-02-05 |
確定日 | 2006-11-27 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第 49171号「水平表示型バーチャル・リアリティシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年10月13日出願公開、特開平 7-261118〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成6年3月18日の出願であって、平成15年12月16日付で拒絶査定がなされ、これに対し平成16年2月5日付で拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年3月5日付で特許法第17条の2第1項第3号の規定による手続補正がなされたものである。 2.平成16年3月5日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年3月5日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の内容 本件補正は、補正前の請求項1を、以下のように補正することを含むものである。 「【請求項1】 映像を立体再生する手段と、立体再生される映像を表示する水平表示型モニタと、左右のレンズが所定周期で切り替えられる3次元メガネと、立体再生映像に同期して3次元メガネの左右のレンズを所定周期で切り替え駆動するための3次元アダプタとを備え、前記3次元メガネにより前記水平表示型モニタを上方より観察することによって、前方提示型システムのような前後関係による奥行き感としての知覚よりも実際の高さの視感が得られ自然な姿勢での作業を可能にして観察者の負担を低減できるようにしたことを特徴とする水平表示型バーチャル・リアリティシステム。」 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、水平表示型バーチャル・リアリティシステムについて、「前方提示型システムのような前後関係による奥行き感としての知覚よりも実際の高さの視感が得られ自然な姿勢での作業を可能にして観察者の負担を低減できる」との限定を行うものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)先願明細書記載の発明 原査定の理由に引用された特願平5-328721号(特開平7-184115号公報参照)の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0009】 また本発明の他の目的は、観察者の3次元位置から見える画像を表示することで観察者そのものがその仮想の画像内に入り込んで自然な演技や動作を行うことが可能な画像表示装置を提供することにある。」 (イ)「【0076】(第8実施例)いままでの例では投影した画像は平面的なものとして観察者にはみえてしまう。観察者が特殊な眼鏡やゴーグルなどをつけられる場合は、図24のように投影画像を立体画像とすることでさらに臨場感をもりあげられる。また、図25に示すように左右の目に別の画像を見せるシステムをつかって、複数の観察者にそれぞれ別の画像を提供できれば、複数観察者のシステムとすることもできる。このゴーグルはたとえば液晶シャッタをつかって時間的に分割して画像をより分けたり、色を使ってより分けたりすることで、両目に違う画像を見せることができる装置である。これにより観察者と自由に動きながら仮想の立体像を見ることができる。」 (ウ)「【0080】また図27は可動式の平面ディスプレイを使った場合である。このディスプレイは、観察者からみてもっとも高画質となるように向きが観察者の位置に応じて自動的に変わる。また当然表示されている画像も観察者からみたように変換されている。この図では仮想物体として自動車のフロントサスペンションを表示している。このような複雑な立体では、いろいろな角度から見ないとなかなか全体がわからないが、観察者は、仮想物体の見たい部分が見えるように移動しながら観察することができる。表示装置の可動範囲と観察者の位置計測範囲があれば後ろに回り込むことも下に潜り込むこともできる。また必要に応じて仮想物体の倍率を変化させることもできるし、動画表示であるから、この場合のような動くものであれば動かした画像を表示できるためホログラムでは実現できない表現が可能である。 ・・・ 【0082】また、観察者がゴーグルや立体眼鏡を装着できる場合や、立体表示できる表示器をつかえば、表示自体も両眼視による立体とすることができる。」 (3)対比 本願補正発明と先願明細書に記載された発明(以下、「先願発明」という。)を対比する。 (a)先願発明の「平面ディスプレイ」は、立体表示が可能なモニタである点で、本願補正発明の「水平表示型モニタ」と一致する。 (b)摘記(イ)の「・・・左右の目に別の画像を見せるシステムをつかって、・・・」の記載、及び摘記(ウ)の「【0082】また、観察者がゴーグルや立体眼鏡を装着できる場合や、立体表示できる表示器をつかえば、表示自体も両眼視による立体とすることができる。」の記載からみて、画像を立体再生する手段を有することは明らかであるから、先願発明は本願補正発明の「映像を立体再生する手段」との技術的事項を有する。 (c)摘記(イ)の「・・・左右の目に別の画像を見せるシステムをつかって、複数の観察者にそれぞれ別の画像を提供できれば、複数観察者のシステムとすることもできる。このゴーグルはたとえば液晶シャッタをつかって時間的に分割して画像をより分けたり、色を使ってより分けたりすることで、両目に違う画像を見せることができる装置である。これにより・・・仮想の立体像を見ることができる。」の記載、及び摘記(ウ)の「・・・観察者がゴーグルや立体眼鏡を装着できる場合・・・表示自体も両眼視による立体とすることができる。」の記載からみて、「ゴーグルや立体眼鏡」は、本願補正発明の「左右のレンズが所定周期で切り替えられる3次元メガネ」に相当する。そして、先願発明は液晶シャッタをつかって両目に違う画像を見せるにあたって、何らかの装置を用いることは明らかであるので、先願発明は「立体再生映像に同期して3次元メガネの左右のレンズを所定周期で切り替え駆動するための3次元アダプタ」との技術的事項を有するということができる。 したがって、両者は、 「映像を立体再生する手段と、立体再生される映像を表示するモニタと、左右のレンズが所定周期で切り替えられる3次元メガネと、立体再生映像に同期して3次元メガネの左右のレンズを所定周期で切り替え駆動するための3次元アダプタとを備えた表示型バーチャル・リアリティシステム。」 である点で一致し、次の点で一応相違する。 相違点: 本願補正発明が、水平表示型モニタを用いて、「水平表示型モニタを上方より観察することによって、前方提示型システムのような前後関係による奥行き感としての知覚よりも実際の高さの視感が得られ自然な姿勢での作業を可能にして観察者の負担を低減できるようにした」のに対し、先願発明のモニタは可動式であるとともに、上方より観察することによる効果を示していない点。 (4)判断 上記相違点につき検討すると、先願発明のモニタは、摘記(ウ)の「・・・観察者は、仮想物体の見たい部分が見えるように移動しながら観察することができる。表示装置の可動範囲と観察者の位置計測範囲があれば後ろに回り込むことも下に潜り込むこともできる。・・・」なる記載からみて、かなり大きな角度範囲で可動すると解される。また、仮想物体の見たい部分を観察するというその使用形態に照らせば、当該仮想物体を上方から観察することも当然に含むということができるから、その可動範囲には水平位置を含んでいると理解することができる。 そして、先願発明において、モニタを水平位置にして仮想物体を観察した場合には、本願補正発明と同様、3次元メガネにより水平表示型モニタを上方より観察することになるから、「前方提示型システムのような前後関係による奥行き感としての知覚よりも実際の高さの視感が得られ自然な姿勢での作業を可能にして観察者の負担を低減できるようにした」という効果を奏すると解するのが相当である。 したがって、本願補正発明は、先願明細書に記載された発明と実質的に同一であり、しかも、本願補正発明の発明者がその出願前の特許出願に係る上記発明をした者と同一ではなく、また本願補正発明の出願の時において、その出願人が上記発明の出願人とも同一でもないので、本願補正発明は特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成16年3月5日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成15年11月28日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、請求項1に係る発明は次のものである。 「【請求項1】 映像を立体再生する手段と、立体再生される映像を表示する水平に設置した水平表示型モニタと、左右のレンズが所定周期で切り替えられる3次元メガネと、立体再生映像に同期して3次元メガネの左右のレンズを所定周期で切り替え駆動するための3次元アダプタとを備え、前記3次元メガネにより前記水平表示型モニタを上方から見下ろす形で観察し立体提示するようにしたことを特徴とする水平表示型バーチャル・リアリティシステム。 」(以下、「本願発明」という。) (2)先願明細書記載の発明 原査定の理由に引用された特願平5-328721号(特開平7-184115号)の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)には、上記2.(2)先願明細書記載の発明において摘記した事項が記載されている。 (3)対比・判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、水平表示型バーチャル・リアリティシステムについて、「前方提示型システムのような前後関係による奥行き感としての知覚よりも実際の高さの視感が得られ自然な姿勢での作業を可能にして観察者の負担を低減できる」との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件の全てを含む本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、上記先願明細書記載の発明と同一であるから、本願発明も、同様の理由により、上記先願明細書記載の発明と同一である。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者がその出願前の特許出願に係る上記発明をした者と同一ではなく、また本願発明の出願の時において、その出願人が上記発明の出願人とも同一でもないので、本願発明は特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-19 |
結審通知日 | 2006-09-26 |
審決日 | 2006-10-10 |
出願番号 | 特願平6-49171 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G02B)
P 1 8・ 161- Z (G02B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 三橋 健二 |
特許庁審判長 |
向後 晋一 |
特許庁審判官 |
吉田 禎治 井上 博之 |
発明の名称 | 水平表示型バーチャル・リアリティシステム |