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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C08G
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 C08G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08G
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 C08G
管理番号 1149147
審判番号 不服2004-22240  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-05-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2006-12-20 
事件の表示 平成 6年特許願第267395号「ジフェニルシロキサン硬化物の製法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 5月21日出願公開、特開平 8-127657〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成6年10月31日の出願であって、平成16年4月15日付けで拒絶理由が通知され、平成16年9月22日付けで拒絶査定がなされ、平成16年10月28日に審判請求書が提出され、平成16年11月29日に手続補正書が提出され、平成18年3月3日付けで当審で審尋がなされ、平成18年5月23日に回答書が提出されたものである。

2.平成16年11月29日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年11月29日付けの手続補正を却下する。

2-1.補正事項
平成16年11月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の請求項1-9をまとめて請求項1とし、補正前の請求項10を削除したものであるが、補正後の請求項1には次の補正事項が含まれている。
(ア)補正事項1
式(1)で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーの置換基に関し、
「R4 とR5 は炭素原子数1?4のアルキル基であり、R9 とR10は炭素原子数1?4のアルキル基であり」とする補正事項
(イ)補正事項2
硬化反応の条件に関し「(イ)酸素含有ガス中で250?500℃の温度で加熱する」とする補正事項
(ウ)補正事項3
硬化反応の条件に関し「(ニ)・・・・、アミン化合物硬化触媒の存在下50?200℃の温度で加熱する」との補正事項
(エ)補正事項4
硬化反応の条件に関し「(ホ)・・・及び(iii)水酸基から選ばれる一種であり、」とする補正事項

2-2.補正の可否
(ア)補正事項1について
願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「当初明細書」という。)には、式(1)で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーの置換基R4、R5、R9、R10に関し、特許請求の範囲請求項1、段落【0019】、段落【0044】に「有機基であり、同時にフェニル基となることはなく」と記載されているのみで、炭素原子数1?4のアルキル基であることは何等記載されていない。また、当初明細書の記載から自明な事項とも認められない。
したがって、この補正事項1は、当初明細書に記載した事項の範囲内のものではない。

(イ)補正事項2について
当初明細書には硬化反応の条件に関し、「【請求項5】 前記硬化反応が酸化反応に基づくシロキサン結合形成反応であり、式(1)で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーにおいてR1 ,R2 ,R3 のうち少なくとも1つが、水素原子、直鎖状の飽和炭化水素基、分岐状の飽和炭化水素基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基及びR1 ,R2 ,R3 のうち2つの置換基が互に結合してトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基から選ばれたるシラシクロ構造を形成するものから選ばれる1種であり、R6 ,R7 ,R8 においても同様であり、R1 ,R2 ,R3 ,R6 ,R7 ,R8 の内の残りの基は、もしあれば、メチル基、フェニル基又は炭素原子数7?10のアルキル置換フェニル基であるものを、酸素含有ガス中250℃以上の温度で加熱するものである請求項1記載のジフェニルシロキサン硬化物の製造方法。」(特許請求の範囲請求項5)と記載され、段落【0027】?段落【0029】に「空気中、250℃以上の温度で加熱すること」及び「450℃以下の温度で加熱するのが望ましい」ことが記載されている。
しかしながら、当該記載は、「式(1)で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーにおいてR1 ,R2 ,R3 のうち少なくとも1つが、水素原子、直鎖状の飽和炭化水素基、分岐状の飽和炭化水素基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基及びR1 ,R2 ,R3 のうち2つの置換基が互に結合してトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基から選ばれたるシラシクロ構造を形成するものから選ばれる1種であり、R6 ,R7 ,R8 においても同様であり、R1 ,R2 ,R3 ,R6 ,R7 ,R8 の内の残りの基は、もしあれば、メチル基、フェニル基又は炭素原子数7?10のアルキル置換フェニル基であるもの」の場合の記載であり、補正後の請求項1に記載された式(1)で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーすべての場合にかかる条件で硬化することまでが記載されているものではない。
さらに、当該酸化反応の温度条件の上限が500℃であることについても何等記載されていない。
また、当初明細書の記載から自明な事項とも認められない。
したがって、この補正事項2は、当初明細書に記載した事項の範囲内のものではない。

(ウ)補正事項3について
当初明細書には、「式(1)で示されるジフェニルシロキシオリゴマーにおいて、R1 ,R2 ,R3 の内少なくとも1つがエポキシ基を含むアルキル基であり、かつR6 ,R7 ,R8 の内少なくとも1つがエポキシ基を含むアルキル基であるとき」に用いる触媒に関し、特許請求の範囲の請求項4に重合触媒と記載され、段落【0026】に「このエポキシ基を含むオリゴマーの重合にはベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ジアザシクロウンデセン等の3級アミン、フッ化ホウ素のアミンコンプレックス、あるいはHAs F6 のジフェニルヨードニウム塩を触媒として用いることができる。」と具体的な化合物が示されているが、それらの上位概念であるアミン化合物硬化触媒を用いることについては記載されていないし、当初明細書の記載から自明な事項とも認められない。
したがって、この補正事項3は、当初明細書に記載した事項の範囲内のものではない。

(エ)補正事項4について
当初明細書には、「【請求項9】 式(1)においてR1 ,R2 ,R3 の内の少なくとも1つが・・・、ヒドロキシル基を有する有機基、・・・から選ばれる一種であり、R6 ,R7 ,R8 もR1 ?R3 と同様に定義されるものであり、前記架橋剤又は鎖延長剤が上記基と反応性をするエポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアネート基及びビニル基から選ばれる官能基を1分子中に少なくとも2個有するものである請求項6に記載のジフェニルシロキサン硬化物の製造方法。」(特許請求の範囲請求項9)と記載され、段落【0040】に「ジフェニルシロキサンオリゴマーの末端官能基がヒドロキシプロピルの様なヒドロキシ基の場合には、・・・同じく、ヒドロキシ基を末端基としてもつジフェニルシロキサンオリゴマーを用い、・・」と記載されており、「ヒドロキシル基を有する有機基」として「ヒドロキシプロピル」が例示されている。
しかしながら、水酸基については記載されていない。
当初明細書に記載された「ヒドロキシル基を有する有機基」とは、有機基にヒドロキシル基(水酸基)が置換したものであって、水酸基とは異なる概念である。また、段落【0040】に「ジフェニルシロキサンオリゴマーの末端官能基がヒドロキシプロピルの様なヒドロキシ基の場合には、」と記載されているから、ヒドロキシ基は「ヒドロキシル基を有する有機基」を意味するものとして記載されており、R1 ,R2 ,R3 ,R6 ,R7 ,R8 として水酸基を示しているのではない。
なお、請求人は回答書においてこの点に関し、参考例15に記載されている「ヘキサフェニルトリシロキサン-1,2(注:5の誤記と認められる。)-ジオール」が「末端水酸基を有するポ(注:ポリの誤記と認められる。)ジフェニルシロキサン」であることからも支持されていると主張している。
しかしながら、参考例15は、単にジフェニルシロキサンオリゴマーを記載しているのみで、これが補正後の請求項1における(ホ)の硬化条件で用いられるものであることは何等示されていない。
したがって、この補正事項4は、当初明細書に記載した事項の範囲内のものではない。

さらに、補正前の特許請求の範囲には、「エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアネート基及びビニル基から選ばれる官能基を1分子中に少なくとも2個有するものである架橋剤」を用いる縮合反応に関しては、上記請求項9の記載のみであるところ、請求項9には発明を特定するために必要な事項として、水酸基を含む置換基については何等記載されていないから、発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。
したがって、この補正事項4は、特許請求の範囲を限定的に減縮するものではない。
また、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的とするものとも認められない。

2-3.まとめ
以上のとおり、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定および同法第17条の2第3項各号の規定を満たしておらず、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本件審判請求について
(1)本願発明
平成16年11月29日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項1乃至10に係る発明は、補正前の特許請求の範囲の請求項1乃至10に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】 下記式(1)で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーを、下記(i),(ii)及び(iii )から選ばれる条件下で加熱又は光照射により硬化反応を生じさせる、ジフェニルシロキサン硬化物の製造方法。
【化1】

(式中、R1 ,R2 ,R3 の内の少なくとも1つの置換基及びR6 ,R7 ,R8 の内の少なくとも1つの置換基は、水素原子又は炭素原子数2?10の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で窒素、酸素、硫黄及びケイ素から選ばれるヘテロ原子を含んでいてもよものであり(但し、フェニル基及びアルキル置換フェニル基を除く)、また、R1 ,R2 及びR3 の内2つが共同して環状の炭化水素を形成していてもよく、R6 ,R7 及びR8 についてもR1 ,R2 ,R3 と同様であり、R1 ,R2 ,R3 ,R6 ,R7 ,R8 の内の残りの基は、もしあれば、メチル基、フェニル基又は炭素原子数7?10のアルキル置換フェニル基であり;R4 とR5 は有機基であり、同時にフェニル基になることはなく、R9 とR10は有機基であり、同時にフェニル基になることはなく;1≦m≦50であり;kとnは独立に、0≦k≦3,0≦n≦3である)
(i)硬化用触媒の存在下、
(ii)重合用開始剤または重合触媒の存在下、
(iii )硬化用触媒及び重合用開始剤の不存在下。」

(2)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献9には、次の事項が記載されている。
引用文献9:特開昭51-107350号公報
ア.「(1)(a)75乃至85モル%C6H5SiO3/2単位及び15乃至25モル%CH2=CH(CH3)2SiO1/2単位を含む有機ポリシロキサン(該有機ポリシロキサンは分子当り平均少なくとも8珪素原子を有する)、
(b)式

の有機ポリシロキサン(該有機ポリシロキサンはシロキサン(a)中に存在するビニル置換基1モル当り約0.9乃至1.1モルの≡SiHを与えるのに充分な量で混合物中に存在する)、
(c)白金触媒(≡SiHとCH2=CHSi≡との付加反応を触媒活性化するのに充分な量で存在する)
の混合物から本質的に成るキュア可能な組成物。」
イ.「このキュア可能な組成物は、被覆、注型又は含浸に通常の方法いずれによつても用いることができる。このシロキサン樹脂(a)、水素-官能性液体(b)及び白金触媒(c)はいずれかの望ましい充填剤及び添加剤と一緒に混合されそしてその得られる混合物は所望の形に成型され、続いて高温、例えば100-125℃でキュアされる。」(第3頁右上欄4行?10行)

(3)対比・判断
1)引用文献9に記載された発明
引用文献9には、
「(1)(a)75乃至85モル%C6H5SiO3/2単位及び15乃至25モル%CH2=CH(CH3)2SiO1/2単位を含む有機ポリシロキサン(該有機ポリシロキサンは分子当り平均少なくとも8珪素原子を有する)、
(b)式

の有機ポリシロキサン(該有機ポリシロキサンはシロキサン(a)中に存在するビニル置換基1モル当り約0.9乃至1.1モルの≡SiHを与えるのに充分な量で混合物中に存在する)、
(c)白金触媒(≡SiHとCH2=CHSi≡との付加反応を触媒活性化するのに充分な量で存在する)
の混合物から本質的に成るキュア可能な組成物。」(摘示記載ア)が記載されているから、「(b)式
の有機ポリシロキサン(該有機ポリシロキサンはシロキサン(a)中に存在するビニル置換基1モル当り約0.9乃至1.1モルの≡SiHを与えるのに充分な量で混合物中に存在する)及び
(c)白金触媒(≡SiHとCH2=CHSi≡との付加反応を触媒活性化するのに充分な量で存在する)
の混合物を含むキュア可能な組成物。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

2)対比
引用発明の(b)の有機ポリシロキサンは、本願発明の式(1)で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーにおいて、R1 ,R2 ,R3 の内の少なくとも1つの置換基及びR6 ,R7 ,R8 の内の少なくとも1つの置換基が水素原子で、残りの基がメチル基、k=0、n=0、m=1の物に相当する。
また、本願発明は式(1)で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーに、架橋剤、鎖延長剤等を加える態様を包含するものである(特許請求の範囲請求項6-9、明細書段落【0030】?【0043】)。
そうすると、本願発明と引用文献9に記載された発明とは、以下の一致点、相違点を有する。

【一致点】
「式



で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーと白金触媒を含む組成物」

【相違点】
本願発明は、組成物を加熱又は光照射により硬化反応を生じさせるジフェニルシロキサン硬化物の製造方法であるのに対し、引用発明はキュア(硬化と同義)可能な組成物である点。

3)相違点に対する判断
そこで、上記相違点について検討する。
引用文献9には、(b)で示されるジフェニルシロキサンと白金触媒を含む組成物は100℃-125℃で硬化されることが記載されている(摘示記載イ)。
そうであるから、
「式


で示されるジフェニルシロキサンオリゴマーと白金触媒とを含む組成物」を加熱により硬化反応を生じさせ、ジフェニルシロキサン硬化物を製造することは当業者が適宜行う事項である。
また、本願発明の効果も、引用発明から予測される範囲のものである。

4)むすび
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、請求項2?10に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-18 
結審通知日 2006-07-25 
審決日 2006-08-08 
出願番号 特願平6-267395
審決分類 P 1 8・ 572- Z (C08G)
P 1 8・ 571- Z (C08G)
P 1 8・ 561- Z (C08G)
P 1 8・ 121- Z (C08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 孝泰  
特許庁審判長 一色 由美子
特許庁審判官 宮坂 初男
石井 あき子
発明の名称 ジフェニルシロキサン硬化物の製法  
代理人 西山 雅也  
代理人 石田 敬  
代理人 古賀 哲次  
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