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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正しない H01M
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない H01M
管理番号 1149527
審判番号 訂正2004-39202  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-09-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-08-24 
確定日 2007-01-18 
事件の表示 特許第3235669号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.審判請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第3235669号〔平成4年1月17日出願(優先日:平成3年12月20日、米国)、平成13年9月28日設定登録〕の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに、すなわち、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の旧請求項1?25のうち、旧請求項3、4、12、13、17、21、25を削除し、残りの旧請求項1、2、5?11、14?16、18?20、22?24を新請求項1?18に訂正しようとするものであるところ、新請求項1、4は、それぞれ、次のとおりである。
「【請求項1】 a)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し、そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの、直径が0.005?50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;b)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し、そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの、直径が0.005?50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;上記第二ポリマー組成物は超高分子量ポリエチレンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合し、かつ引き伸ばされ、その長さおよび幅寸法を維持することができる引き伸ばされた単一シート状製品を与え、そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く、周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方、80℃?150℃の変換温度で、上記第一ポリマー組成物は、シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが、上記第二ポリマー組成物は、該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの、電池用セパレータ。」
「【請求項4】a)不活性な第一ポリマーと、加工温度の該第一ポリマーに対して混和性を示す第一抽出可能材料と、から成る第一ポリマー組成物を生じさせ;b)不活性な第二ポリマーと、加工温度の該第二ポリマーに対して混和性を示す第二抽出可能材料と、から成る第二ポリマー組成物を生じさせ;上記第一および第二抽出可能材料は共通の溶媒に混和性を示し;c)該第一ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と、該第二ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と、を有する初期のシート状製品を生じさせ;d)該初期シート状製品を該共通溶媒に接触させることで、そこから該第一および第二抽出可能材料を本質的に除去し;そしてe)該初期シート状製品を引き伸ばし;f) 1)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し、そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの、直径が0.005?50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;2)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し、そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの、直径が0.005?50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;該不活性な第二ポリマーが超高分子量ポリエチレンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合して、その長さおよび幅寸法を維持することができる単一シート状製品を与え、そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く、周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方、80℃?150℃の変換温度で、上記第一ポリマー組成物は、シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが、上記第二ポリマー組成物は、該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの、最終的シート状製品を回収する、ことから成る微孔性多層シート状製品の製造方法。」

2.訂正拒絶理由の概要
平成16年10月6日付けの訂正拒絶理由の概要は、次のとおりである。
訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?18に記載された発明のうち、少なくとも請求項1、4に記載された発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明1」、「本件訂正発明4」という)は、本件特許の出願前に頒布された刊行物1、2又は1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件訂正は、平成6年改正法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年改正法による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しない。

3.引用刊行物とその記載事項
(1)刊行物1:特開平2-77108号公報
・摘示1-A:「(1)融点が158℃以上の第1のポリオレフィン系多孔質層と、該第1のポリオレフィン系多孔質層に積層された融点が110℃から150℃の第2のポリオレフィン系多孔質層とを有し、全層の平均空孔率が50%から85%、全層の平均空孔径が0.01μmから5μmである、多孔質ポリオレフィン系積層体から成る電解液セパレータ。」(特許請求の範囲第1項)
・摘示1-B:「この発明は、電解コンデンサ、リチウム電池、バッテリー等に用いられる電解液セパレータに関する。」(第1頁右下欄第2?4行)
・摘示1-C:「この発明の目的は、従来の電解液セパレータよりも有意にショート発生率が低く、かつ電解液セパレータとして優れた等価直列抵抗、耐熱性及び機械強度を有する電解液セパレータを提供することである。」(第2頁左上欄第1?5行)
・摘示1-D:「本願発明者らは、鋭意研究の結果、融点が158℃以上の第1のポリオレフィン多孔質層と、融点が110℃から150℃の第2のポリオレフィン多孔質層とを積層して電解液セパレータとして用いると、電極上の微細導電物質がセパレータを突き破って反対極に移動してショートが発生しても、その際発生する熱によって比較的融点の低い第2のポリオレフィン多孔質層が融解されてショートによって形成された孔が自動的に閉塞封止され、セパレータが全破壊に至る確率を低減することができることを見出しこの発明を完成した。」(第2頁左上欄第7?17行)
・摘示1-E:「この発明の電解液セパレータでは、融点が158℃以上の第1のポリオレフィン系多孔質層(以下A層という)と、融点が110℃から150℃の第2のポリオレフィン系多孔質層(以下B層という)とが積層されている。
A層の融点は158℃以上であり、好ましくは160℃以上である。A層の融点が158℃未満の場合には高温下においてB層を支持する機能が低下し、セパレータの耐熱性が低下する。・・・A層を構成するポリオレフィンとしてはポリプロピレン、ポリ4-メチルペンテン1、・・・等が好ましく、この中でも耐熱性、耐寒性がバランスしている点でポリプロピレンが特に好ましく、・・・」(第2頁右上欄第6行?左下欄第2行)
・摘示1-F:「B層の融点が110℃未満の場合には耐熱性が低下し、正常な作動中に融解するおそれがあり、一方、150℃を超えるとショートが発生しても形成された孔が閉塞封止されにくくなる。」(第2頁左下欄第8?12行)
・摘示1-G:「A層とB層の積層一体化は・・・共押出し法又は点融着法等により行なうことができる。」(第2頁右下欄第3?6行)
・摘示1-H:「セパレータ全層の厚みは、・・・10μmから70μmが好ましく、・・・。
セパレータ全層の厚みに対するB層の厚みの割合は、・・・20%から60%が好ましく、・・・」(第2頁右下欄第18行?第3頁左上欄第4行)
・摘示1-I:「この発明の電解液セパレータを構成するA層及びB層は、層を構成するポリオレフィン樹脂100重量部に、ジシクロヘキシルフタレート(DCHP)又はトリフェニルフォスフェイト(TPP)のような塩化ビニル等の可塑剤として使用されているフタル酸又はリン酸エステル等の有機固体80重量部から240重量部、好ましくは100重量部から200重量部を配合し、溶融押出した後、トリクロルメタン、トリクロルエタン、アセトン、・・・等の有機固体の良溶媒を用いて、上記有機固体の添加量の95%以上、好ましくは98%以上を抽出することにより製造することができる。」(第3頁左上欄第6?19行)
・摘示1-J:「この発明の電解液セパレータを構成するポリオレフィン系多孔質層(A層及びB層)は、それぞれポリオレフィンのみから成っていることが好ましいが、上記した融点、平均空孔率及び平均空孔径がこの発明の範囲内に入るならば、微量の不純物を含んでいても差支えなく、また、例えば熱安定剤、酸化防止剤、滑り剤、帯電防止剤等の添加剤やオレフィン以外のモノマーを微量配合しても差支えない。特許請求の範囲でいう「ポリオレフィン系多孔質層」とはこのような不純物等を含んだポリオレフィン多孔質層をも包含する意味で用いている。」(第3頁左下欄第2?13行)
・摘示1-K:「実施例1
A層樹脂としてポリプロピレンホモポリマー(PP、融点161℃)100重量部とジシクロヘキシルフタレート(DCHP)150重量部とのブレンド物及び、B層樹脂としてエチレンプロピレンコポリマー(EPC、融点145℃)100重量部とDCHP150重量部とのブレンド物をそれぞれ別の押出機より溶融押出しし、Tダイ内で積層しA層/B層から成る溶融シートを成形し、・・・引き続きこのシートを50℃の1-1-1-トリクロロエタン溶媒槽中で抽出を行ない、乾燥後、130℃にて3.5倍に延伸し、微孔性フィルムを得た。」(第4頁左下欄第3?16行)
・摘示1-L:「A層とB層とを一体化して積層する場合には、・・・A層とB層とを共押出しし、その後に上記抽出を行なうことによっても積層一体化を行なうことができる。積層の前又は後に、該ポリオレフィンのガラス転移点以上、融点-10℃以下の温度で1.5倍から6倍に延伸すると機械特製及び電気特性共に良好になるので好ましい。さらに、通常のポリオレフィンフィルムと同様、ポリオレフィンの溶融結晶化温度以上、融点-5℃以下の温度範囲で熱固定することが好ましい。」(第3頁右上欄第2?14行)
(2)刊行物2:特開昭62-10857号公報
・摘示2-A:「1.(a)少なくとも1枚の、あらかじめ決定した長さおよび幅ならびに10ミル(0.025cm)未満の厚さを有する微細孔性シートの形状の第1種層であって、上記シートがシート製品の構成成分である場合に、約80℃乃至150℃の温度においてあらかじめ決定した長さおよび幅の寸法を実質的に保ちつつ、実質的に無孔性の膜状シートに変成することが可能であるもの、および
(b)少なくとも1枚の、あらかじめ決定した長さおよび幅、ならびに10ミル(0.025cm)未満の厚さの、平均孔径約0.005乃至約5ミクロンの細孔を有する微細孔性シートの形状の第2種層であって、上記細孔が上記シートの全体積の少なくとも約25パーセントを占め、上記シートが蓄電池に組み込まれている場合に、常温乃至上記第1種層の変成温度より少なくとも約10℃高い温度において上記微細孔構造ならびに上記のあらかじめ決定した長さ、幅および厚さを実質的に保つことが可能であるもの
よりなる、ことを特徴とする少なくとも2層を有するシート製品。
2.上記第2種層が、形状においても寸法においても、常温乃至上記第1種層の変成温度より約20℃高い温度において安定であり、かつ、・・・電解抵抗率の増加を示す特許請求の範囲第1項記載のシート製品。
・・・(中略)・・・
4.第1種層および第2種層がそれぞれ重合体組成物より形成され、常温乃至約150℃の範囲の温度において第1種層の組成物の粘性が第2種層の組成物の粘性と実質的に同等であるか、またはより小さい特許請求の範囲第2項記載のシート製品。」(特許請求の範囲第1、2、4項)
・摘示2-B:「24.a)5乃至30重量パーセントの第1種のポリオレフィン、約10乃至60重量パーセントの上記ポリオレフィン用の第1種の可塑剤および30乃至75重量パーセントの第1種の粒状充填剤よりなる第1種の実質的に均一な混合物であって;上記第1種の可塑剤が第1種のポリオレフィン、第2種のポリオフレィン(「ポリオレフィン」の誤記と認める。)および第2種の充填剤に関して実質的に非溶媒である物質に可溶であり;上記第1種の充填剤が第1種のポリオレフィン、第2種のポリオレフィンおよび第2種の充填剤に関して非溶媒である物質に可溶であるものを形成し、
b)約5乃至30重量パーセントの第2種のポリオレフィン、約10乃至60重量パーセントの上記ポリオレフィン用の第2種の可塑剤および約30乃至75重量パーセント第2種の粒状充填剤よりなる第2種の実質的に均一な混合物であって;上記第2種のポリオレフィンが少なくとも100,000の重量平均分子量を有する高密度ポリオレフィンより選択されたものであり;上記第2種の可塑剤が第2種のポリオレフィンおよび第2種の充填剤に関して実質的に非溶媒である物質に可溶であり;上記第2種の充填剤が0.01cm未満の粒径、1グラムあたり約10乃至950平方米の表面積および少なくとも約0.07cc/gmの細孔容積を有するものを形成し、
c)第1種の実質的に均一な混合物から厚さ10ミル(0.025cm)未満の第1種シートを形成し、
d)第2種の実質的に均一な混合物より厚さ10ミル(0.025cm)未満の第2種シートを形成し、
e)第1種シートにより構成される少なくとも1個の層と、第2種シートにより構成される少なくとも1個の層とを有する多層シートであって、各層が多層シート材料上の他の層に結合し、他の層と実質的に同一の拡がりを有し、他の層と重なり合っているものを形成し、
f)上記多層シート材料から内部の実質的に全ての第1種および第2種の可塑剤ならびに実質的に全ての第1種の充填剤を抽出してシート製品とすることよりなる電池用セパレータとして有用なシート製品を形成する方法。
・・・(中略)・・・
26.第1種および第2種の可塑剤が通常の物質に可溶であること、および上記多層シート製品を上記通常の物質と接触させて第1種および第2種の可塑剤を同時にそこから抽出することを特徴とする特許請求の範囲第24項記載の方法。
27.上記多層シートが第1種シート材料の1層と第2種のシート材料の1層とにより構成され、かつ上記第1種および第2種のシートが共押出しにより同時に形成される特許請求の範囲第24項記載の方法。」(特許請求の範囲の範囲第24、26、27項)
・摘示2-C:「本発明は電池のセパレータ、特にリチウム電池の過熱および熱的暴走の発生(・・・)を防ぐたのセパレータとして有用なシート製品に関するものである。」(第5頁右上欄第14?17行)
・摘示2-D:「本発明を記述するために本件明細書および特許請求の範囲で用いるある種の用語を明確にする目的で以下に用語を定義する。
・・・(中略)・・・
“シート製品(sheet product)”は、(a)少なくとも1個の、約80℃乃至150℃で選択したあらかじめ設定した温度において実質的に非細孔性膜に変成することの可能な層;および(b)少なくとも1個の、常温乃至層(a)の上記変成温度より少なくとも約10℃高い温度において寸法および細孔性を保つことの可能な層から形成され、全ての層が結合されて、長さおよび幅の寸法を保持することのできる一体構造を形成している多層構造体を定義するのに用いる。
・・・(中略)・・・
“重合体組成物”の語は、実質的に均一に内部に分布した他の物質、たとえば可塑剤、酸化防止剤、固体粒状充填剤等を含有していてもよい重合体を表わすのに用いる。
・・・(中略)・・・
“粘性”の語は重合体組成物の流動に抵抗する能力を表わすのに用いる。粘性は流動性の反対の意味を表わす。」(第6頁右下欄第11行?第7頁右上欄第18行)
・摘示2-E:「第1種層の細孔は、通常は約0.005乃至約5ミクロンの平均孔径を有し、また、この細孔は、通常はシートの全体積の少なくとも約10体積パーセント、好ましくは少なくとも約25体積パーセントを占めるであろう。」(第7頁左下欄第19行?右下欄第5行)
・摘示2-F:「第1種層を形成するために用いる重合体組成物は粒状充填剤を実質的に含有しないものであるべきである。」(第8頁左下欄第7?9行)
・摘示2-G:「第1種および第2種の重合体組成物はどちらも、固体物質である低温および中程度の温度では極めて高い粘度を示すものと理解される。この程度の温度では、どちらの固体組成物も顕著な流動性を全く示さないような実質的に同等な(無限大の値に近づく)粘度を有する。しかし、約80℃またはより高温の本件シート製品への応用を指向するような、あらかじめ設定された温度においては、第1種の重合体組成物から形成された層は粘度が十分に変化(減少)して、または弾性エネルギーを解放して(・・・)、流動性と細孔円に崩落する可能性とを示すことのできるものでなければならない。この温度が第1種の組成物の変成温度である。この変成温度において、第2種の重合体組成物は十分な高粘度を維持し、したがって、その弾性エネルギーを保持する即ち、実質的に流動性を示さないものでなければならない。
・・・(中略)・・・
本発明の多層シート製品の各シートの形成に有用な重合体組成物は・・・たとえばポリオレフィン、・・・等から選択することができる。・・・
好ましい種類の重合体は、接触することになる他の電池構成成分に関して不活性であることにより、ポリオレフィンである。」(第8頁右下欄第6行?第9頁右上欄第8行)
・摘示2-H:「第2種のポレフィン(「ポリオレフィン」の誤記と認める。)は少なくとも100,000の大きな重量平均分子量を有するべきであり、100,000乃至2,000,000の重量平均分子量を有するポリオレフィンから選択することができる。第2種のポリオレフィンは単独重合体たとえばポリエチレンもしくはポリプロピレンから、またはオレフィン性炭化水素単量体、たとえばエチレン、プロピレン、ブテン等の混合物から、もしくは、少なくとも90重量パーセントのオレフィン性炭化水素単量体と他のオレフィン性単量体、たとえば・・・との混合物より形成した共重合体から選択することができる。」(第9頁左下欄第14行?右下欄第7行)
・摘示2-I:「多層充填シート材料を用いて出発する場合には、シート製品は多層シート材料を抽出にかけて、各層からある種の成分を抽出することにより形成する。第1種および第2種のシートから可塑剤を除去し、さらに第1種シートから充填剤を除去する。抽出すべき成分の性質に応じて特定の抽出法および媒体(または混合媒体)を用いる。」(第12頁左下欄第13?末行)
(3)刊行物3:特開平2-129238号公報
・摘示3-A:「(1)自発的に接着し、かつ、接着前と実質的に同じ気孔率を有する少なくとも2層の微孔質ポリオレフィン層から成ることを特徴とする多層、微孔質ポリオレフィンシート物質。
・・・(中略)・・・
(7)多層、微孔質ポリオレフィンシート物質の製造方法であって、
(a)ポリオレフィンと、ブレンドの溶融温度で該ポリマーと混和性であるが冷却すると相分離を起こす添加剤とを溶融混合し、該溶液から層を形成し、該層を非平衡相分離を起こす速度で、かつ温度まで冷却し、そして、該層を凝固するまで冷却することによって少なくとも2層の微孔質ポリオレフィン層を形成し;
(b)前記のポリオレフィンを膨潤させうる溶剤を使用して各層から前記の添加剤を抽出し、そして該溶剤湿潤層を接触させるか、または該溶剤湿潤層を接触させ、そして該接触層から前記の添加剤を抽出し;そして
(c)該接触層を乾燥させて前記の溶剤を除去して該接触層間を接着させる
諸工程から成ることを特徴とする前記の方法。」(特許請求の範囲の請求項1,7)
・摘示3-B:「本発明において有用なポリオレフィンには、好ましくはエチレンおよびプロピレンのポリマーのみならず1-オクテン、1-ブテン、1-メチル-4-ペンテン、スチレンなどのポリマーおよび重合して結晶性および非晶質セグメントを含むことができる2種以上のかようなオレフィンのコポリマーおよび・・・が含まれる。」(第4頁左上欄第17行?右上欄第7行)
・摘示3-C:「本発明の微孔質ラミネートシートは、テープ、ピンホールのない包装、バッテリーセパレーター、傷用包帯、およびフィルターのような広い範囲の用途に有用である。」(第6頁右上欄第16?19行)
・摘示3-D:「実施例1
約0.07のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレン(・・・)約26重量%および約74重量%の鉱油(・・・)の組成物を使用し、・・・厚さ0.3mmシートの物質を製造した。」(第6頁左下欄末行?右下欄第10行)
・摘示3-E:「前記のシート物質の延伸をさらに含む請求項7の方法。」(特許請求の範囲の請求項8)

4.対比・判断
4-1.本件訂正発明1について
(1)刊行物1を主引例として
(1-1)刊行物1記載の発明
刊行物1には、摘示1-Aの構成を具備した電解液セパレータが記載され、該電解液セパレータは、摘示1-Bからみて、電池用セパレータと云えるし、第2ポリオレフィン系多孔質層(以下、「B層」ということがある。)は、摘示1-D、1-Fからみて、正常作動中には融解しないが、ショートが発生する際の発熱により融解して、ショートにより形成された孔を自動的に閉塞封止するようにされたものであり、第1ポリオレフィン系多孔質層(以下、「A層」ということがある。)は、摘示1-Eからみて、高温下において、B層を支持する機能とセパレータの耐熱性を保持するものであり、A層とB層は、摘示1-I、1-Jからみて、それぞれポリオレフィンのみから成っていることが好ましいが、熱安定剤等の添加剤やオレフィン以外のモノマーを微量配合しても差支えないものであって、それぞれの層を構成するポリオレフィン樹脂(又はその組成物)にフタル酸又はリン酸エステル等の有機固体を配合し、溶融押出した後、トリクロルメタン、トリクロルエタン、アセトン等の有機固体の良溶媒を用いて、上記有機固体の添加量の95%以上、好ましくは98%以上を抽出することにより製造され、かつ、摘示1-G、1-Lからみて、共押出し法等により積層一体化し、積層の前又は後に延伸、熱固定されたものであり、摘示1-Hからみて、セパレータ全層の好ましい厚みは、10?70μmで、B層の好ましい厚みは、セパレータ全層の厚みの20?60%であるから、刊行物1には、
「融点が158℃以上の第1のポリオレフィン系多孔質層と、該第1のポリオレフィン系多孔質層に積層された融点が110℃から150℃の第2のポリオレフィン系多孔質層とを有し、全層の平均空孔率が50%から85%、全層の平均空孔径が0.01μmから5μmである、多孔質ポリオレフィン系積層体から成る電池用セパレータであって、第2のポリオレフィン系多孔質層は、正常作動中には融解しないが、ショートが発生する際の発熱により融解して、ショートにより形成された孔を自動的に閉塞封止するようにされたものであり、第1のポリオレフィン系多孔質層は、高温下において、第2のポリオレフィン系多孔質層を支持する機能とセパレータの耐熱性を保持するものであり、第1と第2のポリオレフィン系多孔質層は、それぞれポリオレフィンのみから成っていることが好ましいが、熱安定剤等の添加剤やオレフィン以外のモノマーを微量配合しても差支えないものであって、それぞれの層を構成するポリオレフィン樹脂(又はその組成物)にフタル酸又はリン酸エステル等の有機固体を配合し、溶融押出した後、トリクロルメタン、トリクロルエタン、アセトン等の有機固体の良溶媒を用いて、上記有機固体の添加量の95%以上、好ましくは98%以上を抽出することにより製造され、かつ、共押出し法等により積層一体化し、積層の前又は後に延伸、熱固定されたものであり、セパレータ全層の厚みは、10?70μmであり、第2のポリオレフィン系多孔質層の厚みは、セパレータ全層の厚みの20?60%であるところの、電池用セパレータ。」の発明が記載されていると認められる。

(1-2)本件訂正発明1と刊行物1記載の発明との対比
本件訂正発明1(前者)と刊行物1記載の発明(後者)とを対比する。
(ア)後者の第1のポリオレフィン系多孔質層(A層)及び第2のポリオレフィン系多孔質層(B層)は、それぞれポリオレフィンのみから成っていることが好ましく、熱安定剤等の添加剤やオレフィン以外のモノマーを微量配合しても差支えないものであることからみて、どちらも、充填剤を含まないポリオレフィン組成物からなるものと云える。また、A層及びB層を構成する第1及び第2のポリオレフィン組成物は、どちらも、融点が70℃より高いから、周囲温度から70℃の温度で固体状態で、粘度が極めて高いと云える。
(イ)後者における「融点が110?150℃の第2のポリオレフィン系多孔質層(B層)」は、正常作動中には融解しないが、ショートが発生する際の発熱により110?150℃の融点以上の温度で融解し、ショートにより形成された孔を自動的に閉塞封止するようにされたものであるところ、充填剤を含まない第2のポリオレフィン組成物は、そのような多孔質層を構成するものであるから、前者における、80℃?150℃の変換温度でシート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すところの、「本質的に充填されていない第一ポリマー組成物」に相当し、後者における「第2のポリオレフィン系多孔質層(B層)」は、前者における「微孔性シートの形態の第一層」に相当する。また、両者は、シートを本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示す変換温度の数値範囲において重複すると云える。
(ウ)後者における「融点が158℃以上の第1のポリオレフィン系多孔質層(A層)」は、高温下において、第2のポリオレフィン系多孔質層を支持する機能とセパレータの耐熱性を保持するものであるところ、充填剤を含まない第1のポリオレフィン組成物は、そのような多孔質層を構成するものであるから、前者における、80℃?150℃の変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持している「本質的に充填されていない第二ポリマー組成物」に相当し、後者における「第1のポリオレフィン系多孔質層(A層)」は、前者における「微孔性シートの形態の第二層」に相当する。また、後者における第1ポリオレフィン組成物は、その融点が158℃以上であるから、「80℃?150℃の変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持している」ポリオレフィン組成物を包含していると云える。
(エ)後者におけるセパレータ全層の厚みは、10?70μmであり、第2のポリオレフィン系多孔質層の厚みは、セパレータ全層の厚みの20?60%であるから、前者の「微孔性シートの形態の少なくとも1つの第一層」と後者における「第2ポリオレフィン系多孔質層」とは、厚さが2μm(10μm×20%、0.0002cm)?42μm(70μm×60%、0.0042cm)である点で一致し、また、前者の「微孔性シートの形態の少なくとも1つの第二層」と後者における「第1ポリオレフィン系多孔質層」とは、厚さが4μm(10μm×40%、0.0004cm)?56μm(70μm×80%、0.0056cm)である点で一致する。
(オ)電池用セパレータや、該セパレータを構成する各層が、電極の大きさ等に応じて予め決められた長さ及び幅を有することは、通常のことであるから、後者における電池用セパレータ、及び、第1、第2のポリオレフィン系多孔質層は、予め決められた長さ及び幅を有すると云える。
(カ)後者における「有機固体」、「トリクロルメタン、トリクロルエタン、アセトン等の有機固体の良溶媒」、「延伸」は、それぞれ、前者における「抽出可能材料」、「溶媒」、「引き伸ば」すことに相当する。

以上の(ア)?(カ)の事項を考慮すると、両者は、
「a)予め決められた長さおよび幅そして0.0002?0.0042cmの厚さを有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の1つの第一層;b)予め決められた長さおよび幅そして0.0004?0.0056cmの厚さを有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の1つの第二層;から成る2つの層を有し;上記第二ポリマー組成物はポリオレフィンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合し、かつ引き伸ばされ、その長さおよび幅寸法を維持することができる引き伸ばされた単一シート状製品を与え、そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く、周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方、所定の数値範囲の変換温度で、上記第一ポリマー組成物は、シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが、上記第二ポリマー組成物は、該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの、電池用セパレータ。」である点で一致し、変換温度の数値範囲で重複するが、次の点で相違する。
相違点(1):
第二ポリマー組成物のポリオレフィンが、本件訂正発明1においては、「超高分子量ポリエチレン」であるのに対し、刊行物1記載の発明においては、「超高分子量ポリエチレン」であることが規定されていない点。
相違点(2):
本件訂正発明1においては、「微孔性シートの形態の第一層」と「微孔性シートの形態の第二層」が、どちらも、シートの少なくとも20容積%を占めるところの、直径が0.005?50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有するのに対し、刊行物1記載の発明においては、各層の空孔率と平均孔サイズが明りょうでなく、全層の平均空孔率が50%から85%、全層の平均空孔径が0.01μmから5μmである点。

(1-3)相違点についての検討
(i)相違点(1)について
(i-1)本件明細書における第二ポリマーに関する記載について
本件明細書には、第二ポリマー(乃至第二ポリマー組成物)とそのポリオレフィンに関し、次のような記載が存在する。
・摘示A:「第一および第二ポリマー組成物の両方共、それらが固体状材料であるところの、低および中間温度では、非常に高い粘度を示すと理解される。これらの温度(例えば周囲温度から約70℃)では、両方の固体状組成物は、それらがいかなる著しい流れも生じないように、本質的に同じ(無限値に近づく)粘度を有する。・・・変換温度で、該第二ポリマー組成物は、充分に高い粘度を有し、従ってその弾性エネルギーを維持する必要がある、即ち本質的に流れを示さない必要がある。
本発明の多層シート状製品の各々の層を形成させるに有益なポリマー状組成物は、微孔性シートを生じ得る公知の種類のポリマー、例えばポリオレフィン類、・・・、ポリカーボネート類など、から選択され得る。この多層シート状製品の第一および第二シートを製造するために用いられるポリマー類は、好適には、上述した特性を与えるに最良の同じ種類のポリマー状材料から選択される。
好適な種類のポリマー類は、それらが接触する他の電池構成要素に関してそれらが不活性であるため、ポリオレフィン類である。この説明の残りの部分は、本シート状材料そしてそれから製造されたセパレータを製造するためポリオレフィン組成物を用いたところの、好適な具体例の組み合わせによって、本発明を説明する。通常は望ましくない長さおよび幅の収縮特性を示すところの、充填されていない微孔性ポリオレフィン組成物から成る少なくとも1つの第一層と共に、より高い粘度プロファイルのポリオレフィン組成物から成る少なくとも1つの第二ポリマーを有する製品を製造したとき、予想外に、低い変換温度を有するが、高い寸法安定性を示しそれを維持する製品が得られることを見い出した。例えば、ポリマー類は、ポリオレフィン類、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、エチレン-メタアクリレート共重合体など、およびそれらの混合物から選択され得る。この第一層を形成する好適なポリオレフィンは、ポリオレフィンワックス、・・・、である。・・・これらのポリオレフィン類は、100,000?約5,000,000から成る重量平均分子量を有するべきであり、好適には該第一ポリマーは、約100,000?約1,000,000から成る低い重量平均分子量のポリマーであり、そして好適には、該第二ポリマーは、超高(約2,000,000以上)分子量のポリオレフィン(例えばポリエチレン)を含む、より高い重量平均分子量を有するものとする。」(段落【0022】?【0024】)
・摘示B:「第二層を形成している好適なポリマー類は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、エチレン-メタアクリレート共重合体などから選択されるポリオレフィン類である。この第二ポリマーは、該第一ポリマーの変換温度よりも少なくとも10℃高い、好適には少なくとも20℃高い融点を有するように選択される。この第二ポリマー類は、好適には、該第一ポリマーのそれよりも高い重量平均分子量を有し、そして100,000?2,000,000以上、最も好適には200,000?5,000,000から選択される。」(段落【0026】)
・摘示C:「この第一ポリマー/第二ポリマーの組み合わせは、この第二層に対して該第一層が有意に低い温度流動性プロファイルを示すように選択されるべきである。例えば、適切な組み合わせは、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン;ポリエチレン/ポリプロピレン/狭い分子量のポリエチレン/広い分子量のポリエチレン;エチレン-ブテン共重合体(5:1?20:1)/ポリエチレン;エチレン-ヘキセン共重合体(5:1?20:1)/ポリエチレン;エチレン-ヘキセン共重合体(5:1?20:1)/ポリプロピレンなどである。」(段落【0027】)
・摘示D:「本発明のシート状製品を形成している各々の層のポリマー状構成要素は、該第一層のポリマー状構成要素が、該第二層のために選択されたものよりも有意に低い温度-流動性プロファイルを有するように考慮して、選択される必要がある。2番目として、この第一および第二ポリマー類は、それによって製造された第一および第二層が互いに接着し得る相溶性を示す必要がある。3番目として、この第一および第二ポリマー類は、この得られるシート状製品の使用が意図されている電池環境に対して不活性である必要がある。4番目として、この第二ポリマー組成物は、シートを形成させるために用いられる該第一ポリマー組成物の変換温度よりも少なくとも10℃、好適には少なくとも20℃高い温度に及んで、その高い粘度-流動性プロファイルを維持できる必要がある。従って、これらのポリマー類は、数多くの、フィルムを生じさせるポリマー状材料から選択され得るが、これらは上記基準に合致する必要がある。例えば、狭い分子量を有する高密度ポリエチレン(第一ポリマーとして)/幅広い分子量分布を有する高密度ポリエチレン(第二ポリマーとして)の組み合わせ;低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレンの組み合わせ;ポリエチレン/ポリプロピレンの組み合わせなどが、該初期シート状製品を製造するために用いられ得る。加うるに、このポリマーはホモポリマーであってもよいが、各々は、例えばエチレン-ブテン共重合体/ポリエチレン;エチレン-ヘキセン共重合体/ポリエチレン、エチレン-ブテン共重合体/ポリプロピレンなどの共重合体から選択されてもよい。この好適な材料は、第一ポリマーとしてのエチレン-ブテンの共重合体またはエチレン-ヘキセン共重合体の使用である。この第一ポリマーの選択は、このシート状製品の特別な転移温度によって決定される。低転移温度(80℃?110℃)のシート状製品が望まれている場合、この第一ポリマーは、狭い分子量分布を有するエチレン-ブテンもしくはエチレン-ヘキセンの共重合体から選択され得る。好適な第二ポリマーは、高密度ポリエチレンもしくは主にアイソタクティック(>80%)なポリプロピレンから選択される。」(段落【0035】)

(i-2)第二ポリマーに必要とされる性質について
本件明細書の上記(i-1)の記載からすると、本件発明1における「第二ポリマー(乃至第二ポリマー組成物)」は、
(a)固体状態である低及び中間温度では、いかなる著しい流れも生じないように非常に高い粘度を示すものである(摘示A参照)、
(b)変換温度で、充分に高い粘度を有し、本質的に流れを示さない(摘示A参照)、
(c)第一ポリマーの変換温度よりも少なくとも10℃高い融点を有する(摘示B参照)、
(d)接触する他の電池構成要素に関して不活性である(摘示A、D参照)、
(e)第一ポリマーと接着し得る相溶性を示す(第一ポリマーと同じ種類である)(摘示A、D参照)、
などの性質を必要とされていることが認められる。

(i-3)第二ポリマーに超高分子量ポリエチレンを用いる技術的意義について
本件明細書には、第二ポリマーに必要とされる性質については、前示のように記載されているが、「第二ポリマー(乃至第二ポリマー組成物)」を「超高分子量ポリエチレンから成る」と限定した技術的意義については、特に記載されておらず、単に、摘示Aのように、
「好適には、該第二ポリマーは、超高(約2,000,000以上)分子量のポリオレフィン(例えばポリエチレン)を含む、より高い重量平均分子量を有するものとする。」(段落【0024】)
と記載され、また、ポリマーの種類を問わずに、「超高分子量」について、摘示Bのように、
「好適には、該第一ポリマーのそれよりも高い重量平均分子量を有し、そして100,000?2,000,000以上、最も好適には200,000?5,000,000から選択される。」(段落【0026】)
と記載されているだけである。
そして、他方、摘示Dのように、
「好適な第二ポリマーは、高密度ポリエチレンもしくは主にアイソタクティック(>80%)なポリプロピレンから選択される。」(段落【0035】)
と記載されていることや、超高分子量ポリエチレンを用いた実施例が全く存在しないことを考慮すると、本件明細書の記載に基づく限りにおいて、超高分子量ポリエチレンは、「第二ポリマー(乃至第二ポリマー組成物)」として例示された他のポリマーに比べ、格別に顕著な技術的意義を有するものとは認められない。

(i-4)相違点(1)についての判断について
以上の(i-2)、(i-3)を考慮し、前記相違点(1)について検討するに、「第二ポリマー(乃至第二ポリマー組成物)」として必要とされる前記(a)?(e)の性質は、前記一致点等として、刊行物1発明の第二ポリマー組成物のポリオレフィンが具備するものであるし〔なお、前記(d)の性質を実質的に具備することについては、後記4-2.(1-3)の(i)参照〕、刊行物2にも、第二ポリマーが具備するものとして記載されている(摘示2-D、2-G、後記(2-1)参照)。そして、ポリオレフィンとして、超高分子量ポリエチレンは、本件特許の出願前において周知のものであるし、刊行物2には、第二ポリマーを100,000乃至2,000,000の重量平均分子量を有するポリオレフィンから選択することが記載され(摘示2-H参照)、前記(a)?(e)の性質を具備する第二ポリマーとして超高分子量ポリエチレンを包含する超高分子量ポリオレフィンを用いることが実質的に記載されていると云える。また、電池用セパレータに超高分子量ポリエチレンを用いることも、本件特許の出願前において周知のことである(例えば、特開昭63-273651号公報、特開昭60-255107号公報、特開昭60-242035号公報、特開平2-251545号公報、特開平3-105851号公報参照)。しかも、ポリマーの分子量が高ければ、溶融粘度が高くなることは周知のことであるし〔例えば、「新版 プラスチック材料読本」桜内雄二郎著、(株)工業調査会(1989年5月20日新版第2版発行)第131頁参照〕、超高分子量ポリエチレンは、溶融粘度が極めて高く、流動性が非常に低いことも周知のことであるから(例えば、特開昭59-215833号公報第1頁、特開平2-30514号公報第1頁右下欄?第2頁左上欄参照)、超高分子量ポリエチレンは、前記(c)?(e)の性質を満足するだけでなく、前記(a)(b)の性質の点でより望ましい材料であることは、当業者に自明のことと云える。さらに、ポリマーの分子量が高ければ、機械的強度が高くなることも周知のことであるし、超高分子量ポリエチレンが汎用のポリエチレンに比べ、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性、引張強度等に優れていることも周知のことである(例えば、前記「新版 プラスチック材料読本」第131頁、第133?134頁、特開昭59-215833号公報第1頁、特開平2-30514号公報第1頁右下欄?第2頁左上欄参照)。してみると、超高分子量ポリエチレンが前示の如き各種の性質においてより望ましい材料であることは、本件特許の出願前において周知のことと云えるから、刊行物1記載の電池用セパレータの発明において、第二ポリマー組成物のポリオレフィンを前記周知乃至刊行物2に記載の「超高分子量ポリエチレン」とすることは、当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。

(ii)相違点(2)について
刊行物1には、「微孔性シートの形態の第一層」と「微孔性シートの形態の第二層」に相当するA層とB層の各層単独の空孔率、平均孔サイズについて直接に記載するところはないが、実施例の欄には、A層とB層とを形成するポリマー100重量部に対して抽出可能材料(空孔形成成分)としてのジシクロヘキシルフタレート(DCHP)の配合量を同じ150重量部とする旨が記載されていることなどからみて(摘示1-K参照)、刊行物1記載の発明は、A層、B層共に、空孔率50?85%、平均空孔径0.01?5μmとする場合を包含していると認められる。してみると、本件訂正発明1と刊行物1記載の発明とは、「微孔性シートの形態の第一層」と「微孔性シートの形態の第二層」の空孔率が50?85%である点で一致し、平均孔サイズが0.01?5μmである点でも一致するから、前記相違点は、実質的な相違であるとは云えない。
また、刊行物2には、電池用セパレータを構成する「微孔性シートの形態の第一層」の空孔率を少なくとも約10容積%(好ましくは少なくとも約25容量%)、平均孔サイズを約0.005?5μmとし、「微孔性シートの形態の第二層」の空孔率を少なくとも約25容積%、平均孔サイズを約0.005?5μmとする旨が記載されているから(摘示2-A、2-E等、及び、後記(2-1)参照)、前記相違点が実質的な相違であるとしても、当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。

(1-4)刊行物1を主引例とした場合のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、刊行物1,2に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)刊行物2を主引例として
(2-1)刊行物2記載の発明
刊行物2には、摘示2-Aの構成を具備するシート製品が記載され、摘示2-Cからみて、該シート製品は、電池用セパレータとして有用なものであり、摘示2-Dからみて、シート製品は、全ての層が結合されて、長さ及び幅の寸法を保持することのできる一体構造を形成している多層構造体であり、第1種層は、摘示2-Eからみて、平均孔径約0.005乃至約5ミクロンの細孔を有し、その細孔が第1種シートの全体積の少なくとも約10体積パーセント、好ましくは少なくとも約25体積パーセントを占めており、第1種層を形成するために用いる重合体組成物は、摘示2-Fからみて、粒状充填剤を実質的に含有しないものであり、また、摘示2-G、2-Hからみて、第1種および第2種の重合体組成物はどちらも、ポリオレフィンとすることができ、かつ、固体物質である低温および中程度の温度では顕著な流動性を全く示さないような実質的に同等な(無限大の値に近づく)粘度を有するが、約80℃またはより高温の変成温度では、第1種の重合体組成物から形成された層は粘度が十分に減少して、細孔円に崩落する可能性を示すことのできるものであるが、第2種の重合体組成物は十分な高粘度を維持し、実質的に流動性を示さないものであって、第2種のポリオレフィンについては、2,000,000の重量平均分子量を有するポリオレフィンとすることができ、さらに、摘示2-Iからみて、シート製品は、多層シート材料から可塑剤や充填剤を抽出除去して形成されるから、刊行物2には、
「(a)少なくとも1枚の、あらかじめ決定した長さおよび幅ならびに10ミル(0.025cm)未満の厚さ、平均孔径約0.005乃至約5ミクロンの細孔を有し、その細孔が第1種シートの全体積の少なくとも約10体積パーセント、好ましくは少なくとも約25体積パーセントを占める微細孔性シートの形状の第1種層であって、上記シートがシート製品の構成成分である場合に、約80℃乃至150℃の温度においてあらかじめ決定した長さおよび幅の寸法を実質的に保ちつつ、実質的に無孔性の膜状シートに変成することが可能であるもの、および(b)少なくとも1枚の、あらかじめ決定した長さおよび幅、ならびに10ミル(0.025cm)未満の厚さの、平均孔径約0.005乃至約5ミクロンの細孔を有する微細孔性シートの形状の第2種層であって、上記細孔が上記シートの全体積の少なくとも約25パーセントを占め、上記シートが蓄電池に組み込まれている場合に、常温乃至上記第1種層の変成温度より少なくとも約10℃高い温度において上記微細孔構造ならびに上記のあらかじめ決定した長さ、幅および厚さを実質的に保つことが可能であるものよりなる、ことを特徴とする少なくとも2層を有するシート製品である電池用セパレータであって、第1種層を形成するために用いる重合体組成物は、粒状充填剤を実質的に含有しないものであり、第2種層の重合体組成物は、2,000,000の重量平均分子量を有するポリオレフィンであり、全ての層が結合されて、長さ及び幅の寸法を保持することのできる一体構造を形成している多層構造体であり、第1種および第2種の重合体組成物はどちらも、固体物質である低温および中程度の温度では顕著な流動性を全く示さないような実質的に同等な(無限大の値に近づく)粘度を有し、約80℃またはより高温の変成温度では、第1種の重合体組成物から形成された層は粘度が十分に減少して、細孔円に崩落する可能性を示すことのできるものであり、第2種の重合体組成物は十分な高粘度を維持し、実質的に流動性を示さないものであり、シート製品は多層シート材料から可塑剤や充填剤を媒体により抽出除去して形成されるものである電池用セパレータ。」の発明が記載されていると認められる。

(2-2)本件訂正発明1と刊行物2記載の発明との対比
本件訂正発明1(前者)と刊行物2記載の発明(後者)とを対比する。
(ア)後者における「第1種層」は、前者における「第一層」に、後者における「第2種層」は、前者における「第二層」に、後者における「微細孔性シート」は、前者における「微孔性シート」に、後者における「体積パーセント」は、前者における「容量%」に、後者における「平均孔径」は、前者における「平均孔サイズ」に、後者における「第1種の重合体組成物」は、前者における「第一ポリマー組成物」に、後者における「第2種の重合体組成物」は、前者における「第二ポリマー組成物」に、後者における「変成温度」は、前者における「変換温度」に、後者における「可塑剤や充填剤」は、前者における「抽出可能材料」に、後者における「媒体」は、前者における「溶剤」に、それぞれ相当する(以下、後者における用語の代わりに、それに相当する前者の用語を使用することがある)。
(イ)後者において、「第1種および第2種の重合体組成物はどちらも、固体物質である低温および中程度の温度では顕著な流動性を全く示さないような実質的に同等な(無限大の値に近づく)粘度を有」することからみて、後者においても、「第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く、周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである」と云える。
(ウ)後者において、第1種層は、「シート製品の構成成分である場合に、約80℃乃至150℃の温度においてあらかじめ決定した長さおよび幅の寸法を実質的に保ちつつ、実質的に無孔性の膜状シートに変成することが可能であるもの」で、第2種層は、「常温乃至上記第1種層の変成温度より少なくとも約10℃高い温度において上記微細孔構造ならびに上記のあらかじめ決定した長さ、幅および厚さを実質的に保つことが可能であるもの」であり、「約80℃またはより高温の変成温度では、第1種の重合体組成物から形成された層は粘度が十分に減少して、細孔円に崩落する可能性を示すことのできるものであり、第2種の重合体組成物は十分な高粘度を維持し、実質的に流動性を示さないもの」であるから、後者においても、「80℃?150℃の変換温度で、上記第一ポリマー組成物は、シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが、上記第二ポリマー組成物は、該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持している」と云える。
(エ)後者における「2,000,000の重量平均分子量を有するポリオレフィン」は、「超高分子量ポリオレフィン」と云える。

以上の(ア)?(エ)の事項を考慮すると、両者は、
「a)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し、そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの、直径が0.005?5ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;b)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し、そしてこのシートの少なくとも25容積%を占めるところの、直径が0.005?5ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シートの形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;上記第二ポリマー組成物は超高分子量ポリオレフィンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合して、その長さおよび幅寸法を維持することができる単一シート状製品を与え、そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く、周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方、80℃?150℃の変換温度で、上記第一ポリマー組成物は、シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが、上記第二ポリマー組成物は、該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの、電池用セパレータ。」である点で一致するが、次の点で相違する。
相違点(1):
第二ポリマー組成物の超高分子量ポリオレフィンが、本件訂正発明1においては、「超高分子量ポリエチレン」であるのに対し、刊行物2記載の発明においては、「超高分子量ポリエチレン」であることが規定されていない点。
相違点(2):
本件訂正発明1においては、第一及び第二層は、引き伸ばされ、シート状製品も引き伸ばされたものであるのに対し、刊行物2記載の発明においては、そのような引き伸ばしについて規定されていない点。
相違点(3):
第二層の微孔性シートが、本件訂正発明1においては、「本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る」のに対し、刊行物2記載の発明においては、「本質的に充填されていないポリマー組成物から成る」ことが規定されていない点。

(2-3)相違点についての検討
(i)相違点(1)について
本件訂正発明1における「第二ポリマーに必要とされる性質」、「第二ポリマーに超高分子量ポリエチレンを用いる技術的意義」については、前記(1-3)の(i-2)(i-3)で述べたとおりであり、また、周知の超高分子量ポリエチレンが各種の性質においてより望ましい材料であることも、前記(1-3)の(i-4)で述べたとおりである。
してみれば、刊行物2記載の電池用セパレータの発明において、第二ポリマー組成物の超高分子量ポリオレフィンを周知の「超高分子量ポリエチレン」とすることは、当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。
(ii)相違点(2)について
電池用セパレータを引き伸ばされたもの、すなわち、延伸されたものとすることは、刊行物1、3に記載されているし(摘示1-L、3-E参照)、電池用セパレータ等に用いる超高分子量ポリエチレンのシートを延伸されたものとすることも、本件特許の出願前において周知のことであるから(例えば、前記(1-3)の(i-4)で例示した刊行物参照)、刊行物2記載の電池用セパレータの発明において、第一及び第二層、そして、シート状製品を引き伸ばされたものとすることは、当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。
(iii)相違点(3)について
刊行物2記載の発明における重合体組成物は、実質的に均一に内部に分布した他の物質、たとえば可塑剤、酸化防止剤、固体粒状充填剤等を含有していてもよいものであり(摘示2-D参照)、充填剤を含有することが必須であるとは云えない。また、刊行物1,3に記載される電池用セパレータの第一層及び第二層を構成するポリマー組成物は、どちらも充填剤を含まないものである。
そもそも重合体組成物における充填剤は、増量してコストの低下を図るなどの目的で必要に応じて適宜含有されるものであり(例えば、特開昭63-273651号公報第3頁右上欄第15?18行、特開平3-105851号公報第4頁左下欄第7?13行、前記「新版 プラスチック材料読本」第66?67頁、第270?271頁参照)、また、繊維以外の充填剤は、それが加えられたポリエチレン等の熱可塑性樹脂の機械的強度等の性能を劣化させることも周知である(前記「新版 プラスチック材料読本」第66?67頁、第270?271頁参照)。
そして、刊行物2記載の発明において、仮に、充填剤が第二ポリマー組成物に必要とされる前記(a)(b)の性質の向上に資するものであるとしても、前示のとおり、超高分子量ポリエチレンは、それ自身、前記(a)(b)の性質の点でより望ましい材料であることが明らかであるから、充填剤を含有させなくても前記(a)(b)等の性質が得られることは、当業者が容易に予測できることと云える。
してみれば、刊行物2記載の電池用セパレータの発明において、第二層の微孔性シートを構成する第二ポリマー組成物を本質的に充填されていないものとすることは、刊行物1、3の記載や周知事項に基づき当業者が容易に想到し得たものと云うべきである。

(2-4)刊行物2を主引例とした場合のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、刊行物1?3に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4-2.本件訂正発明4について
(1)刊行物1を主引例として
(1-1)刊行物1記載の発明
刊行物1には、摘示1-Aの構成を具備した電解液セパレータが記載され、該電解液セパレータは、摘示1-Bからみて、電池用セパレータと云えるし、第2ポリオレフィン系多孔質層(以下、「B層」ということがある。)は、摘示1-D、1-Fからみて、正常作動中には融解しないが、ショートが発生する際の発熱により融解して、ショートにより形成された孔を自動的に閉塞封止するようにされたものであり、第1ポリオレフィン系多孔質層(以下、「A層」ということがある。)は、摘示1-Eからみて、高温下において、A層を支持する機能とセパレータの耐熱性を保持するものであり、A層とB層は、摘示1-Jからみて、それぞれポリオレフィンのみから成っていることが好ましいが、熱安定剤等の添加剤やオレフィン以外のモノマーを微量配合しても差支えないものであって、かつ、摘示1-G、1-Lからみて、共押出し法等により積層一体化し、積層の前又は後に延伸、熱固定されたものであり、摘示1-Hからみて、セパレータ全層の好ましい厚みは、10?70μmで、B層の好ましい厚みは、セパレータ全層の厚みの20?60%であり、該電解液セパレータは、摘示1-Iに記載された方法で製造されるから、刊行物1には、
「融点が158℃以上の第1のポリオレフィン系多孔質層と、該第1のポリオレフィン系多孔質層に積層された融点が110℃から150℃の第2のポリオレフィン系多孔質層とを有し、全層の平均空孔率が50%から85%、全層の平均空孔径が0.01μmから5μmである、多孔質ポリオレフィン系積層体から成る電池用セパレータであって、第2のポリオレフィン系多孔質層は、正常作動中には融解しないが、ショートが発生する際の発熱により融解して、ショートにより形成された孔を自動的に閉塞封止するようにされたものであり、第1のポリオレフィン系多孔質層は、高温下において、第2のポリオレフィン系多孔質層を支持する機能とセパレータの耐熱性を保持するものであり、第1と第2のポリオレフィン系多孔質層は、それぞれポリオレフィンのみから成っていることが好ましいが、熱安定剤等の添加剤やオレフィン以外のモノマーを微量配合しても差支えないものであって、かつ、共押出し法等により積層一体化し、積層の前又は後に延伸、熱固定されたものであり、セパレータ全層の厚みは、10?70μmであり、第2のポリオレフィン系多孔質層の厚みは、セパレータ全層の厚みの20?60%であるところの、電池用セパレータの製造方法であって、A層及びB層のそれぞれの層を構成するポリオレフィン樹脂(又はその組成物)にフタル酸又はリン酸エステル等の有機固体を配合し、溶融押出した後、トリクロルメタン、トリクロルエタン、アセトン等の有機固体の良溶媒を用いて、上記有機固体の添加量の95%以上、好ましくは98%以上を抽出することからなる電池用セパレータの製造方法。」の発明が記載されていると認められる。

(1-2)本件訂正発明4と刊行物1記載の発明との対比
本件訂正発明4(前者)と刊行物1記載の発明(後者)とを対比する。
(キ)後者において、A層、B層の層を構成する「ポリオレフィン樹脂(又はその組成物)」と「フタル酸又はリン酸エステル等の有機固体」の配合物は、溶融押出しされ、A層となる配合物の層とB層となる配合物の層を含む初期のシート状製品を形成した後、有機固体の良溶媒を用いて、上記有機固体の添加量の95%以上、好ましくは98%以上が抽出され、A層とB層の多孔質層が製造されると云えるから、後者における「フタル酸又はリン酸エステル等の有機固体」は、前者における「第一抽出可能材料」、「第二抽出可能材料」に相当し、加工温度のポリオレフィン樹脂(又はその組成物)に対して混和性を示し、溶媒に混和性を示すと云えるし、また、後者における「B層となる配合物の層」は、前者における「第一ポリマー組成物から成る層」に、後者における「A層となる配合物の層」は、前者における「第二ポリマー組成物から成る層」に、それぞれ相当する。

前記4-1.の(1-2)で述べた(ア)?(カ)の事項及び上記(キ)の事項を考慮すると、両者は、
「a)第一ポリマーと、加工温度の該第一ポリマーに対して混和性を示す第一抽出可能材料と、から成る第一ポリマー組成物を生じさせ;b)第二ポリマーと、加工温度の該第二ポリマーに対して混和性を示す第二抽出可能材料と、から成る第二ポリマー組成物を生じさせ;上記第一および第二抽出可能材料は溶媒に混和性を示し;c)該第一ポリマー組成物から成る1つの層と、該第二ポリマー組成物から成る1つの層と、を有する初期のシート状製品を生じさせ;d)該初期シート状製品を該溶媒に接触させることで、そこから該第一および第二抽出可能材料を本質的に除去し;そしてe)該初期シート状製品を引き伸ばし;f) 1)予め決められた長さおよび幅そして0.0002?0.0042cmの厚さを有する微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の1つの第一層;2)予め決められた長さおよび幅そして0.0004?0.0056cmの厚さを有する微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の1つの第二層;から成る2つの層を有し;該第二ポリマーがポリオレフィンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合して、その長さおよび幅寸法を維持することができる単一シート状製品を与え、そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く、周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方、所定の数値範囲の変換温度で、上記第一ポリマー組成物は、シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが、上記第二ポリマー組成物は、該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの、最終的シート状製品を回収する、ことから成る微孔性多層シート状製品の製造方法。」である点で一致し、変換温度の数値範囲で重複するが、次の点で相違する。
相違点(1):
本件訂正発明4においては、第一ポリマーと第2ポリマーは、不活性であるのに対し、刊行物1記載の発明においては、そのような規定がなされていない点。
相違点(2):
本件訂正発明4においては、第一、第二の抽出可能材料に混和性を示す溶媒が共通のものであり、そのような共通の溶媒により第一及び第二の抽出可能材料を初期シート状製品から除去するのに対し、刊行物1記載の発明においては、第一、第二の抽出可能材料に混和性を示す溶媒が共通のものであるのか否かや、そのような共通の溶媒により第一及び第二の抽出可能材料を初期シート状製品から除去するのか否かが明りょうでない点。
相違点(3):
本件訂正発明4においては、「微孔性シートの形態の第一層」と「微孔性シートの形態の第二層」が、どちらも、「シートの少なくとも20容積%を占めるところの、直径が0.005?50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する」のに対し、刊行物1記載の発明においては、各層の空孔率と平均孔サイズが明りょうでなく、全層の平均空孔率が50%から85%、全層の平均空孔径が0.01μmから5μmである点。
相違点(4):
第二ポリマー組成物のポリオレフィンが、本件訂正発明4においては、「超高分子量ポリエチレン」であるのに対し、刊行物1記載の発明においては、「超高分子量ポリエチレン」であることが規定されていない点。

(1-3)相違点についての検討
(i)相違点(1)について
本件明細書の「好適な種類のポリマー類は、それらが接触する他の電池構成要素に関してそれらが不活性であるため、・・・」(段落【0024】)、「ポリマーマトリックスは、特に電解質組成物に関して電池内で遭遇する条件下で不活性なポリマー類から選択される必要がある。」(段落【0033】)等の記載からみて、本件訂正発明4の「不活性な第一ポリマー」、「不活性な第二ポリマー」における「不活性」は、ポリマーが接触する電解液等の他の電池構成要素に対するものと認められるところ、セパレータは、電池作動期間において正負電極間のショートを防ぐための耐久性を必要とされるものであることからして、それに用いるポリマーとして電解液等の他の電池構成要素に対して不活性なものを用いることは当然のことであるし、また、刊行物1記載の発明は、該ポリマーとして本件明細書(段落【0024】等)に好適なものとして記載されているポリオレフィンを用いているから、この点は、実質的な相違とは云えない。
(ii)相違点(2)について
刊行物1には、実施例として、第一、第二の抽出可能材料(有機固体)であるジシクロヘキシルフタレート(DCHP)を共通の溶媒である1-1-1-トリクロロエタンを用いて抽出除去することが記載されているから(摘示1-K参照)、第一、第二の抽出可能材料に混和性を示す溶媒を共通のものとし、そのような共通の溶媒により第一及び第二の抽出可能材料を初期シート状製品から除去することも刊行物1に記載された発明の範囲内のことであって、この点は実質的な相違とは云えない。
(iii)相違点(3)について
この相違点は、前記4-1.(1-3)(ii)で述べたとおり、実質的な相違とは云えないか、実質的な相違であるとしても、当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。
(iv)相違点(4)について
この相違点は、前記4-1.(1-3)(i)で述べたと同様の理由で、当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。

(1-4)刊行物1を主引例とした場合のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明4は、刊行物1,2に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)刊行物2を主引例として
(2-1)刊行物2記載の発明
刊行物2には、摘示2-Bの構成を具備する電池用セパレータとして有用なシート製品の製造方法が記載され、該シート製品は、摘示2-Aに記載されたものであり、摘示2-Dからみて、シート製品は、全ての層が結合されて、長さ及び幅の寸法を保持することのできる一体構造を形成している多層構造体であり、第1種層は、摘示2-Eからみて、平均孔径約0.005乃至約5ミクロンの細孔を有し、その細孔が第1種シートの全体積の少なくとも約10体積パーセント、好ましくは少なくとも約25体積パーセントを占めており、第1種層を形成するために用いる重合体組成物は、摘示2-Fからみて、粒状充填剤を実質的に含有しないものであり、また、摘示2-G、2-Hからみて、第1種および第2種の重合体組成物はどちらも、固体物質である低温および中程度の温度では顕著な流動性を全く示さないような実質的に同等な(無限大の値に近づく)粘度を有するが、約80℃またはより高温の変成温度では、第1種の重合体組成物から形成された層は粘度が十分に減少して、細孔円に崩落する可能性を示すことのできるものであるが、第2種の重合体組成物は十分な高粘度を維持し、実質的に流動性を示さないものであり、第1種および第2種の重合体組成物のポリオレフィンは、他の電池構成成分に関して不活性であり、また、第2種の重合体組成物のポリオレフィンは、2,000,000の重量平均分子量を有するポリオレフィンとすることができるから、刊行物2には、
「a)5乃至30重量パーセントの不活性な第1種のポリオレフィン、約10乃至60重量パーセントの上記ポリオレフィン用の第1種の可塑剤および30乃至75重量パーセントの第1種の粒状充填剤よりなる第1種の実質的に均一な混合物であって;上記第1種の可塑剤が第1種のポリオレフィン、第2種のポリオレフィン及び第2種の充填剤に関して実質的に非溶媒である物質に可溶であり;上記第1種の充填剤が第1種のポリオレフィン、第2種のポリオレフィンおよび第2種の充填剤に関して非溶媒である物質に可溶であるものを形成し、
b)約5乃至30重量パーセントの不活性な第2種のポリオレフィン、約10乃至60重量パーセントの上記ポリオレフィン用の第2種の可塑剤および約30乃至75重量パーセントの第2種の粒状充填剤よりなる第2種の実質的に均一な混合物であって;上記2種のポリオレフィンが少なくとも100,000の重量平均分子量を有する高密度ポリオレフィンより選択されたものであり;上記第2種の可塑剤が第2種のポリオレフィンおよび第2種の充填剤に関して実質的に非溶媒である物質に可溶であり;上記第2種の充填剤が0.01cm未満の粒径、1グラムあたり約10乃至950平方米の表面積および少なくとも約0.07cc/gmの細孔容積を有するものを形成し、
c)第1種の実質的に均一な混合物から厚さ10ミル(0.025cm)未満の第1種シートを形成し、
d)第2種の実質的に均一な混合物より厚さ10ミル(0.025cm)未満の第2種シートを形成し、
e)第1種シートにより構成される少なくとも1個の層と、第2種シートにより構成される少なくとも1個の層とを有する多層シートであって、各層が多層シート材料上の他の層に結合し、他の層と実質的に同一の拡がりを有し、他の層と重なり合っているものを形成し、
f)上記多層シート材料から内部の実質的に全ての第1種および第2種の可塑剤ならびに実質的に全ての第1種の充填剤を抽出してシート製品とすることよりなる電池用セパレータとして有用なシート製品を形成する方法であって、
該シート製品は、(a)少なくとも1枚の、あらかじめ決定した長さおよび幅ならびに10ミル(0.025cm)未満の厚さ、平均孔径約0.005乃至約5ミクロンの細孔を有し、その細孔が第1種シートの全体積の少なくとも約10体積パーセント、好ましくは少なくとも約25体積パーセントを占める微細孔性シートの形状の第1種層であって、上記シートがシート製品の構成成分である場合に、約80℃乃至150℃の温度においてあらかじめ決定した長さおよび幅の寸法を実質的に保ちつつ、実質的に無孔性の膜状シートに変成することが可能であるもの、および(b)少なくとも1枚の、あらかじめ決定した長さおよび幅、ならびに10ミル(0.025cm)未満の厚さの、平均孔径約0.005乃至約5ミクロンの細孔を有する微細孔性シートの形状の第2種層であって、上記細孔が上記シートの全体積の少なくとも約25パーセントを占め、上記シートが蓄電池に組み込まれている場合に、常温乃至上記第1種層の変成温度より少なくとも約10℃高い温度において上記微細孔構造ならびに上記のあらかじめ決定した長さ、幅および厚さを実質的に保つことが可能であるものよりなる、ことを特徴とする少なくとも2層を有する電池用セパレータであって、第1種層を形成するために用いる重合体組成物は、粒状充填剤を実質的に含有しないものであり、第2種の重合体組成物のポリオレフィンは、2,000,000の重量平均分子量を有するポリオレフィンであり、全ての層が結合されて、長さ及び幅の寸法を保持することのできる一体構造を形成している多層構造体であり、第1種および第2種の重合体組成物はどちらも、固体物質である低温および中程度の温度では顕著な流動性を全く示さないような実質的に同等な(無限大の値に近づく)粘度を有し、約80℃またはより高温の変成温度では、第1種の重合体組成物から形成された層は粘度が十分に減少して、細孔円に崩落する可能性を示すことのできるものであり、第2種の重合体組成物は十分な高粘度を維持し、実質的に流動性を示さないものであるところの、シート製品の製造方法。」の発明が記載されていると認められる。

(2-2)本件訂正発明4と刊行物2記載の発明との対比
本件訂正発明4(前者)と刊行物2記載の発明(後者)とを対比する。
(オ)後者における「第1種のポリオレフィン」は、前者における「第一ポリマー」に、後者における「第2種のポリオレフィン」は、前者における「第二ポリマー」に、後者における「第1種の可塑剤」と「第1種の粒状充填剤」は、前者における「第一抽出可能材料」に、後者における「第2種の可塑剤」は、前者における「第二抽出可能材料」に、後者における「第1種の実質的に均一な混合物」は、前者における「(初期のシート状製品の層を形成する)第一ポリマー組成物」に、後者における「第2種の実質的に均一な混合物」は、前者における「(初期のシート状製品の層を形成する)第二ポリマー組成物」に、後者における「第1種シートにより構成される少なくとも1個の層」は、前者における「第一ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層」に、後者における「第2種シートにより構成される少なくとも1個の層」は、前者における「第二ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層」に、後者における「シート製品」は、前者における「シート状製品」に、それぞれ相当する。

前記4-1.の(2-2)で述べた(ア)?(エ)の事項及び上記(オ)の事項を考慮すると、両者は、
「a)不活性な第一ポリマーと、加工温度の該第一ポリマーに対して混和性を示す第一抽出可能材料と、から成る第一ポリマー組成物を生じさせ;b)不活性な第二ポリマーと、加工温度の該第二ポリマーに対して混和性を示す第二抽出可能材料と、から成る第二ポリマー組成物を生じさせ;上記第一および第二抽出可能材料は溶媒に混和性を示し;c)該第一ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と、該第二ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と、を有する初期のシート状製品を生じさせ;d)該初期シート状製品を該溶媒に接触させることで、そこから該第一および第二抽出可能材料を本質的に除去し;そして f) 1)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し、そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの、直径が0.005?5ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは、本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;2)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し、そしてこのシートの少なくとも25容積%を占めるところの、直径が0.005?5ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シートの形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;該不活性な第二ポリマーが超高分子量ポリオレフィンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合して、その長さおよび幅寸法を維持することができる単一シート状製品を与え、そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く、周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方、80℃?150℃の変換温度で、上記第一ポリマー組成物は、シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが、上記第二ポリマー組成物は、該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの、最終的シート状製品を回収する、ことから成る微孔性多層シート状製品の製造方法。」である点で一致するが、次の点で相違する。
相違点(1):
第二ポリマー組成物の超高分子量ポリオレフィンが、本件訂正発明4においては、「超高分子量ポリエチレン」であるのに対し、刊行物2記載の発明においては、超高分子量ポリエチレン」であることが規定されていない点。
相違点(2):
本件訂正発明4においては、初期シート状製品を引き伸ばすのに対し、刊行物2記載の発明においては、そのような引き伸ばしについて規定されていない点。
相違点(3):
本件訂正発明4においては、第二層の微孔性シートが、本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成り、また、第一、第二の抽出可能材料に混和性を示す溶媒が共通のものであり、そのような共通の溶媒により第一及び第二の抽出可能材料を初期シート状製品から除去するのに対し、刊行物2記載の発明においては、第二層の微孔性シートが、充填剤を含む第二ポリマー組成物から成り、また、第一、第二の抽出可能材料に混和性を示す溶媒が共通のものでるのか否かや、そのような共通の溶媒により第一及び第二の抽出可能材料を初期シート状製品から除去するか否かが明りょうでない点。

(2-3)相違点についての検討
(i)相違点(1)(2)について
相違点(1)(2)は、前記4-1.(2-3)の(i)(ii)で述べたと同様の理由で、当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。
(ii)相違点(3)について
相違点(3)のうち、電池用セパレータの第二層の微孔性シートを構成する第二ポリマー組成物を本質的に充填されていないものとすることは、前記4-1.(2-3)の(iii)で述べたと同様の理由で、当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。
そして、刊行物2には、第一、第二の抽出可能材料である可塑剤を可塑剤が可溶である通常の物質(溶媒)で同時に抽出することが記載されているし(摘示2-Bの第26項参照)、刊行物1には、実施例として、第一、第二の抽出可能材料(有機固体)であるジシクロヘキシルフタレート(DCHP)を共通の溶媒である1-1-1-トリクロロエタンを用いて抽出除去することが記載されているから(摘示1-K参照)、第一、第二の抽出可能材料(及び該充填剤)に混和性を示す溶媒を共通のものとし、そのような共通の溶媒により第一、第二の抽出可能材料(及び該充填剤)を初期シート状製品から除去することは、当業者が容易に想到し得たものと云うべきである。

(2-4)刊行物2を主引例とした場合のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明4は、刊行物1?3に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?18に記載された発明のうち、少なくとも請求項1,4に記載された発明は、本件特許の出願前に頒布された刊行物1,2又は1?3に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件訂正は、平成6年改正法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年改正法による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-16 
結審通知日 2005-03-17 
審決日 2005-03-29 
出願番号 特願平4-25844
審決分類 P 1 41・ 856- Z (H01M)
P 1 41・ 121- Z (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三宅 正之  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 酒井 美知子
中村 朝幸
吉水 純子
綿谷 晶廣
登録日 2001-09-28 
登録番号 特許第3235669号(P3235669)
発明の名称 電池用セパレータおよびその製造方法  
代理人 有原 幸一  
代理人 奥山 尚一  
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