• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60L
管理番号 1149824
審判番号 不服2003-20403  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-20 
確定日 2007-01-23 
事件の表示 平成 5年特許願第320728号「電気駆動システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 9月30日出願公開、特開平 6-276609、請求項の数(11)〕についてした平成17年9月12日付けの審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成18年(行ケ)第10033号、平成18年12月19日判決言渡)があったので、更に審理の結果、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成 5年12月21日(パリ条約による優先権主張 1992年12月23日 (US)アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1ないし11に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】 直流リンク電圧を交流出力電力に変換する電力インバータと、
当該駆動システムに入力直流電圧を送出するように、エネルギ貯蔵装置を前記電力インバータに接続する手段と、
該接続する手段と前記インバータとの間に接続されている双方向直流-直流変換器であって、該直流-直流変換器は、前記入力直流電圧を所定の率だけ昇圧しており、前記直流リンク電圧が前記入力直流電圧及び前記エネルギ貯蔵装置のパラメータと実質的に無関係になるように、前記直流リンク電圧を前記エネルギ貯蔵装置から送出された前記入力直流電圧から減結合している、双方向直流-直流変換器と、
所定のトルクの包絡値を用いて効率を最大にするように当該電気駆動システムの動作を制御することにより、前記入力直流電圧を制御する制御手段とを備えた電気駆動システム。
【請求項2】 前記エネルギ貯蔵装置は、並列接続されたモジュールを有している蓄電池を含んでいる請求項1に記載の電気駆動システム。
【請求項3】 前記直流-直流変換器は、突き合わせ昇圧形変換器を含んでいる請求項1に記載の電気駆動システム。
【請求項4】 前記制御手段は、ルックアップテーブルとしてメモリに記憶されている直流リンク電圧対モータ速度データ及びその結果得られる所定のトルクの包絡値を用いている請求項1に記載の電気駆動システム。
【請求項5】 直流リンク電圧を交流出力電圧に変換する電力インバータと、
当該駆動システムに入力直流電圧を送出するように、複数のエネルギ貯蔵装置
の各々を前記電力インバータに接続する手段と、
該接続する手段の各々と前記インバータとの間に接続されている双方向直流-直流変換器であって、該直流-直流変換器の各々は、前記エネルギ貯蔵装置の各々の前記入力直流電圧を所定の率だけ昇圧しており、前記直流リンク電圧がそれぞれの前記入力直流電圧及びそれぞれの前記エネルギ貯蔵装置のパラメータと実質的に無関係になるように、前記直流リンク電圧をそれぞれの前記エネルギ貯蔵装置から送出された前記入力直流電圧から減結合している、双方向直流-直流変換器と、
所定のトルクの包絡値を用いて効率を最大にするように当該電気駆動システムの動作を制御することにより、前記エネルギ貯蔵装置の各々から供給された前記入力直流電圧を制御する制御手段とを備えた電気駆動システム。
【請求項6】 前記エネルギ貯蔵装置の少なくとも1つは、蓄電池を含んでいる請求項5に記載の電気駆動システム。
【請求項7】 前記エネルギ貯蔵装置の少なくとも1つは、ウルトラキャパシタを含んでいる請求項5に記載の電気駆動システム。
【請求項8】 前記エネルギ貯蔵装置の少なくとも1つは、超導電磁気エネルギ貯蔵装置を含んでいる請求項5に記載の電気駆動システム。
【請求項9】 前記制御手段は、直流-直流変換器の各々に付設されているそれぞれ別個の制御装置を含んでいる請求項5に記載の電気駆動システム。
【請求項10】 前記直流-直流変換器の各々は、突き合わせ昇圧形変換器を含んでいる請求項5に記載の電気駆動システム。
【請求項11】 前記制御手段は、ルックアップテーブルとしてメモリに記憶されている直流リンク電圧対モータ速度データ及びその結果得られる所定のトルクの包絡値を用いている請求項5に記載の電気駆動システム。」

2.前審決の概要
これに対して、前審決の理由の概要は、次のとおりである。
本願の請求項1に係る発明は、引用刊行物1(特開昭64-16205号公報),引用刊行物2(特開平2-250667号公報),引用刊行物3(特開昭62-225105号公報)に記載された発明(以下「引用発明1」ないし「引用発明3」という。)及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。

3.前審決に対する取消訴訟における原告(本件審判請求人)の主張の概要
これに対し原告は、取消事由2、即ち、前審決における、相違点(ロ)の判断誤りについて、効率を最大にするように電気駆動システムの動作を制御するために、入力直流電圧を制御することは周知の事項であるとした判断が誤りであるとして、概略次のように主張した。
「本件出願の特許請求の範囲に記載された事項の記述方法によれば、『入力直流電圧』は、インバータに供給される電圧を含まないように解釈されるべきものである。すなわち、本件出願の請求項1の第1項目は、……と記述されている。これらの記述事項は、エネルギ貯蔵装置から直流-直流変換器に供給される電圧を『入力直流電圧』と……呼ぶことを明瞭に定義している。換言すれば、入力直流電圧は、インバータの前に配置された直流-直流変換器により、直流リンク電圧に変換される。よって、入力直流電圧の如何なる制御もインバータに入力される前の段階で行われていなければならないものであり、これが本件出願の請求項1にかかる発明の構成である。」(原告準備書面(1)10頁23行?11頁8行)

4.判示事項の概要
取消事由2に関する裁判所の判断は、概略次のとおりである。
「引用刊行物3(甲5)には、インバータ回路をトルク曲線を用いて制御することにより、インバータ回路から出力される電流を制御する技術が開示されているにとどまり、インバータ回路に入力される直流電圧を制御する構成は示されておらず(……)、ましてや、トルク曲線を用いてインバータ回路に入力される直流電圧を制御することについての記載や示唆もない。また、引用発明1は、電池5から供給される直流側電圧を変換してインバータ回路8に入力される電圧が所定の端子電圧になるようにする双方向直流-直流変換器の構成を有しているものの、引用刊行物1(甲3)にも、トルク曲線を用いて上記直流側電圧ないし端子電圧を制御することについての記載や示唆もない。
そして、周知事項Aは『電力を扱う装置において、インバータ部の制御によって効率を高めようとすること』、周知事項Bは『効率を最大にするように電気駆動システムの動作を制御するために、入力直流電圧を制御すること』であり、周知事項A,Bは、効率を高めたり、又は効率を最大にするための対象を『インバータ部』又は『入力直流電圧』とすることを示すものにすぎず、その制御のためにトルク曲線を用いることを直接示すものではない。また、周知事項Aを記載した甲6ないし8においては、効率を高めるため、トルク曲線を用いてインバータ部からの出力電流又は出力電圧を制御する技術が開示されているが、トルク曲線を用いた制御の対象はインバータ部であり、トルク曲線を用いてインバータ部に入力される直流電圧を制御することについての記載や示唆はなく、一方、周知事項Bを記載した甲9、乙1,2においては効率を良くするため、インバータ部に入力される直流電圧を制御する技術が開示されているが、その制御の方法としてトルク曲線を用いることについての記載や示唆もない(……)。したがって、引用発明1に引用発明3と周知事項A,Bを組み合わせても、電気駆動システムの効率を高めるためトルク曲線を用いて行う制御の対象を電池ないしエネルギ貯蔵装置から供給される直流電圧とするという技術思想を容易に導き出すことができるものではない。
そうすると、引用発明1に引用発明3及び周知事項A,Bを適用して、当業者が引用発明1の『双方向直流-直流変換器』に『電池5』から入力される直流電圧をトルク曲線を用いて制御し、相違点(ロ)の係る本願発明の構成とすることが容易にできたものとは認められないから、引用発明1において、相違点(ロ)に係る本願発明の構成とすることは容易想到であるとした審決の判断は誤りである。」

5.むすび
以上の判示に従い、本願については、原査定の理由及び証拠によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-23 
結審通知日 2005-08-30 
審決日 2007-01-10 
出願番号 特願平5-320728
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B60L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤本 信男  
特許庁審判長 田良島 潔
特許庁審判官 高木 進
田中 秀夫
発明の名称 電気駆動システム  
代理人 伊藤 信和  
代理人 松本 研一  
代理人 小倉 博  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ