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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03F
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G03F
管理番号 1150447
審判番号 不服2005-4172  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-02-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-10 
確定日 2007-01-11 
事件の表示 平成8年特許願第224446号「プリント配線板基板用パターン描画装置及び製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年2月20日出願公開、特開平10-48835〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成8年8月6日に出願された特願平8-224446号の特許出願であって、原審において平成16年11月9日付の拒絶理由を通知したところ、平成17年1月12日付の意見書及び明細書を補正する手続補正書が提出され、前記拒絶理由により平成17年2月2日付で拒絶査定がなされ、その後、前記拒絶査定を不服として平成17年3月10日に拒絶査定不服審判が請求され、その請求の日から30日以内の平成17年4月8日に明細書を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成17年4月8日付の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成17年4月8日付の手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成17年4月8日付の手続補正(以下、この補正を「本件補正」という。)は、平成17年1月12日付の手続補正に基づく明細書の特許請求の範囲についての
「【請求項1】 露光用レーザーと、前記露光用レーザとは別に基板を光学的に測定する画像測定装置と、プリント配線板を載置して位置を変位させるテーブルとを有するプリント配線板基板上の感光性樹脂にパターンのデータを描画露光するプリント配線板基板用パターン描画露光装置において、
基板上の基準マークの位置に関するデータを保持するデータ保持手段と、
前記画像測定装置により基板上の前記基準マークを測定する測定手段と、
前記測定手段にて測定された基準マークの位置に基づき、前記データ保持手段に保持されている基準マークの位置とのずれを算出するずれ算出手段と、
前記ずれ算出手段にて算出されたずれ量を補正するよう前記露光用レーザー及び前記テーブルを制御して、前記基板上に塗布された感光性樹脂を感光させる制御手段と、を備えたことを特徴とするプリント配線板基板用パターン描画露光装置。
【請求項2】 前記制御手段が、基板上に塗布された感光性樹脂の感光を製品の各ピース単体で行うことを特徴とする請求項1のプリント配線板基板用パターン描画露光装置。
【請求項3】 前記基準マークが、下層のバイアホール形成用の孔から露出する内層導体パッドであることを特徴とする請求項1または2のプリント配線板基板用パターン描画露光装置。
【請求項4】 露光用レーザーと、前記露光用レーザとは別に基板を光学的に測定する画像測定装置と、プリント配線板を載置して位置を変位させるテーブルとによりプリント配線板基板上の感光性樹脂層にパターンのデータを描画露光するプリント配線板の製造方法において、
基準マークの位置に関する情報を含むデータを保持するステップと、
画像測定装置により前記基板の基準マークを測定するステップと、
測定された基準マークの位置に基づき、保持してある基準マークの位置とのずれを算出するステップと、
算出されたずれ量を補正するよう露光用レーザー及び基板を載置するテーブルを制御し、前記基板上に塗布された感光性樹脂を前記パターンのデータに基づき感光させるステップと、を備えることを技術的特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】 露光用レーザーと、前記露光用レーザとは別に基板を光学的に測定する画像測定装置と、プリント配線板を載置して位置を変位させるテーブルとによりプリント配線板基板上の感光性樹脂層に所定のパターンを描画露光するプリント配線板の製造方法において、
2点以上の基準マークの位置に関する情報を含むデータを保持するステップと、画像測定装置により前記基板の2点以上の基準マークを測定するステップと、測定された基準マークの位置に基づき、保持してある基準マークの位置とのずれ量及び基板の収縮量を算出するステップと、算出されたずれ量及び基板の収縮量を補正するよう露光用レーザー及び基板を載置するテーブルを制御し、前記基板上に塗布された感光性樹脂を感光させるステップと、を備えることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項6】 基板上に塗布された感光性樹脂の感光を製品の各ピース単体で行うことを特徴とする請求項4又は5のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】 前記基準マークとしてバイアホールの形成される配線パッドを用いることを特徴とする請求項4又は5のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】 前記基準マークは感光樹脂層の下層にあることを特徴とする請求項4又は5のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】 前記基準マークが、下層のバイアホール形成用の孔から露出する内層導体パッドであることを特徴とする請求項4または5のプリント配線板基板用パターン描画露光装置。
【請求項10】 感光性樹脂が絶縁層であることを特徴とする請求項4?9のいずれかのプリント配線板の製造方法。
【請求項11】 感光性樹脂がレジスト層であることを特徴とする請求項4?9のいずれかのプリント配線板の製造方法。」
の記載を、
「【請求項1】 露光用レーザーと、前記露光用レーザとは別であって、基準マークである感光性樹脂絶縁層下のバイアホールが接続する配線パッドを光学的に測定する画像測定装置と、プリント配線板を載置して位置を変位させるX-Yテーブルとによりプリント配線板基板上の感光性樹脂層にパターンのデータを描画露光するプリント配線板の製造方法において、
基準マークの位置に関する情報を含むデータを保持するステップと、
画像測定装置により前記基板の基準マークを測定するステップと、
測定された基準マークの位置に基づき、保持してある基準マークの位置とのずれを算出するステップと、
算出されたずれ量を補正するよう露光用レーザー及び基板を載置するX-Yテーブルを制御し、前記基板上に塗布された感光性樹脂層を前記パターンのデータに基づきバイアホール非形成領域にレーザ照射して感光させるステップと、
現像してバイアホールとなる開口を形成するステップと、
バイアホール形成後に、基板を水銀灯で露光するステップと、
加熱処理するステップと、
を備えることを技術的特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】 露光用レーザーと、前記露光用レーザとは別であって、基準マークを光学的に測定する画像測定装置と、プリント配線板を載置して位置を変位させるX-Yテーブルとによりプリント配線板基板上の感光性樹脂層にパターンのデータを描画露光するプリント配線板の製造方法において、
基準マークの位置に関する情報を含むデータを保持するステップと、
画像測定装置により前記基板の基準マークを測定するステップと、
測定された基準マークの位置に基づき、保持してある基準マークの位置とのずれを算出するステップと、
算出されたずれ量を補正するよう露光用レーザー及び基板を載置するテーブルを制御し、前記基板上に塗布された感光性樹脂層を前記パターンのデータに基づきレジスト層の形成部分にレーザ照射して感光させるステップと、
現像して基板上に導体回路パターン部の抜けたメッキ用レジストを形成するステップと、
前記メッキレジスト形成後に、基板を水銀灯で露光するステップと、
を備えることを技術的特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項3】 前記基準マークが2点以上であり、該2点以上の前記基準マークの位置に関するデータを保持することを特徴とする請求項1又は2のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】 基板上に塗布された感光性樹脂の感光を製品の各ピース単体で行うことを特徴とする請求項1又は2のプリント配線板の製造方法。」
と補正することを含むものである。

2 本件補正についての検討
(1)本件補正が特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第4号の規定によりなされた特許請求の範囲についてする補正が、同法第17条の2第4項の第1号ないし第4号に規定する補正の目的に該当する補正であるか否かについて検討する。

(2)本件補正の内容
ア 本件補正における特許請求の範囲に記載されている請求項1(これを「新請求項1」という。以下同じ。)についての補正は、本件補正前の特許請求の範囲の「感光性樹脂が絶縁層であることを特徴とする請求項4?9のいずれかのプリント配線板の製造方法。」が記載されている請求項10(これを「旧請求項10」という。以下同じ。)を、新請求項1としたものに相当するか、
或いは、旧請求項4の発明特定事項を、旧請求項7、旧請求項8及び請求項10にそれぞれ記載されている発明特定事項により限定したものに相当する。

イ 新請求項2についての補正は、「感光性樹脂がレジスト層であることを特徴とする請求項4?9のいずれかのプリント配線板の製造方法。」が記載されている旧請求項11を、新請求項2としたものに相当するか、
或いは、旧請求項5の「2点以上の基準マークの位置に関する情報を含むデータを保持するステップ」、「画像測定装置により前記基板の2点以上の基準マークを測定するステップ」、「保持してある基準マークの位置とのずれ量及び基板の収縮量を算出するステップ」及び「算出されたずれ量及び基板の収縮量を補正するよう露光用レーザー及び基板を載置するテーブルを制御し」の各発明特定事項から、それぞれ「2点以上の」、「2点以上の」、「及び基板の収縮量」及び「及び基板の収縮量」の文言を削除した上で、さらに「前記パターンのデータに基づきレジスト層の形成部分にレーザ照射して」、「現像して基板上に導体回路パターン部の抜けたメッキ用レジストを形成するステップ」及び「前記メッキレジスト形成後に、基板を水銀灯で露光するステップ」の各発明特定事項を付加し、さらに「テーブル」を「X-Yテーブル」に限定したものに相当する。

ウ 新請求項3についての補正は、旧請求項5の発明特定事項のうちの「2点以上の基準マークの位置に関する情報を含むデータを保持するステップ」の点のみを抽出して、旧請求項5に記載されていた残余の「露光用レーザーと、前記露光用レーザとは別に基板を光学的に測定する画像測定装置と、プリント配線板を載置して位置を変位させるテーブルとによりプリント配線板基板上の感光性樹脂層に所定のパターンを描画露光するプリント配線板の製造方法において、画像測定装置により前記基板の2点以上の基準マークを測定するステップと、測定された基準マークの位置に基づき、保持してある基準マークの位置とのずれ量及び基板の収縮量を算出するステップと、算出されたずれ量及び基板の収縮量を補正するよう露光用レーザー及び基板を載置するテーブルを制御し、前記基板上に塗布された感光性樹脂を感光させるステップと、を備えることを特徴とするプリント配線板の製造方法。」の発明特定事項を削除したものに相当する。

エ 新請求項4についての補正は、旧請求項6を繰り上げて請求項の番号を6から4に変更したものに相当する。

(3)当審の判断
ア そこで、上記の本件補正の内容に関し、「補正前の当該請求項に記載された発明」と「その補正後の当該請求項に記載される発明」という、本件補正の前・後の当該請求項の間の対応関係の有無について考察すると、新請求項1は、旧請求項4に1対1で対応し、また、新請求項4は、旧請求項6に1対1で対応する関係にあることが明らかである。
しかして、新請求項2及び新請求項3についての補正では、新請求項1に対応する旧請求項4及び新請求項4に対応する旧請求項6を除いた残余のいずれの旧請求項の請求項と1対1で対応する関係を有するか否かを一瞥で判断できるような補正の内容とはなっていないので、さらに考察する。
そうすると、新請求項2についての補正が、仮に旧請求項11に基づく補正であって、新請求項2が旧請求項11に1対1で対応する関係を有するとしたとしても、新請求項3についての補正においては、その補正の結果としての新請求項3の記載が、本件補正の前・後において当該請求項同士が有する1対1の対応に関係づけられるべき旧請求項5の記載から、複数の発明特定事項を削除する内容の補正となっている。
したがって、本件補正前と本件補正後の請求項同士の対応関係を如何に合理的に解釈したとしても、結局のところ、本件補正における少なくとも新請求項3についての補正は、旧請求項5に対して、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正ではなく、逆に特許請求の範囲の拡張を目的とする補正となっている。

イ まとめ
そうすると、本件補正のうちの少なくとも新請求項3についての補正は、特許法第17条の2第4項の第1号、第2号、第3号及び第4号に規定されているところの、
第1号:第三十6条第5項に規定する請求項の削除
第2号:特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
第3号:誤記の訂正
第4号:明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)
のいずれの目的にも該当しない補正であることが明らかである。
したがって、本件補正のうちの少なくとも新請求項3についての補正は、特許法第17条の2第4項の第1号ないし第4号に規定する補正の目的のいずれにも該当しない補正である。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合していない補正を含んでいるから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

なお、特許法第17条の2第4項についての補正の目的違反の判断に関しては、知的財産高等裁判所第3部の平成17年4月25日言い渡しの平成17年(行ケ)第10192号審決取消請求事件の確定判決文を参照されたい。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記「第2」欄に前述した理由により、平成17年4月8日付の手続補正が却下されたことにより、本願発明は、平成17年1月12日付の手続補正に基づく明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項11に記載されたとおりのものであるところ、特にその請求項1に係る発明は次のとおりのものである(上記「第2」の「1 補正の内容」欄を参照)。
「【請求項1】 露光用レーザーと、前記露光用レーザとは別に基板を光学的に測定する画像測定装置と、プリント配線板を載置して位置を変位させるテーブルとを有するプリント配線板基板上の感光性樹脂にパターンのデータを描画露光するプリント配線板基板用パターン描画露光装置において、
基板上の基準マークの位置に関するデータを保持するデータ保持手段と、
前記画像測定装置により基板上の前記基準マークを測定する測定手段と、
前記測定手段にて測定された基準マークの位置に基づき、前記データ保持手段に保持されている基準マークの位置とのずれを算出するずれ算出手段と、
前記ずれ算出手段にて算出されたずれ量を補正するよう前記露光用レーザー及び前記テーブルを制御して、前記基板上に塗布された感光性樹脂を感光させる制御手段と、を備えたことを特徴とするプリント配線板基板用パターン描画露光装置。」(以下、これを「本願発明1」という。)

2 引用刊行物
(1)原審における拒絶査定の理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開平7-130634号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「露光装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】 本発明は、例えばプリント基板などの処理基板上に形成した感光性材料製のレジスト層を、所定のパターンに加工する際の露光工程で使用される露光装置に関する。」
「【0010】【発明が解決しようとする課題】 近年、プリント基板の導体パターンの高精度・高密度化が急速に進んでおり、数100mmに対して数μmといった誤差でも問題となるケースが発生することがある。例えば、スルホールランドを含むパターンを形成する場合、予め形成されたスルホールに対し、スルホールランドがセンタ/センタで形成されていないと、後にスルホール欠損といった不良の発生原因となる。特に、近年のようにスルホールランド径が、スルホールの穴径に対して僅かな量(数10μm)だけしか大きくない場合あるいは両者が同径の場合には不良の発生率が高くなる。
【0011】 ここで、導体パターンの高精度・高密度化の要求に対応するのに最も重要な要件となるのは、露光工程での寸法精度やパターン等との合致精度を高めることである。しかし、パターン形成工程においてエッチングレジスト形成の露光の対象となる積層基板は、事前に研摩,加熱,メッキならびに穴明け等の各種の加工工程を経ており形状的な伸縮や歪が数%の単位で生じている。このため、最終のエッチング仕上がりのプリント基板として良好な完成品を得るには、上記した形状的な伸縮や歪の影響を補正する必要があり、従来では、フォトツールの形状を、積層基板の伸縮や歪に合わせて予め変形させるいった補正法を採用している。また、ダイレクトイメージャを利用する露光法では、コントローラに入力する露光用データを、積層基板の伸縮や歪を考慮して作製している。
【0012】 ところが、積層基板の変形は単なる線形の歪等ではなく、基板上の各部位によって微妙な差異があり、しかも、各基板ごとに歪の状態が異なっており、このため、上記した対策では充分な結果が得られていない。すなわち、フォトツールを積層基板の歪に応じて非線形に変形させることや、非線形の歪に対応した露光用データを事前に作成することは実質的に不可能で、また、露光ごとに各基板のそれぞれの歪に合わせた補正を行うことは事実上不可能で、従って、現状では、パターンの急速な高密度・高精度化の要求に対応できなくなりつつある。
【0013】 なお、導体パターン形成工程以外にも、プリント基板作製の際には、レジスト形成、各種フォトツールの作製ならびに印刷工程等において、各工程でそれぞれ異なる補正を必要とすることも少なくないが、この場合でも平均値的な大まかな線形補正しか手段はなかった。
【0014】 本発明はそのよう事情に鑑みてなされたもので、露光対象基板の線形/非線形の歪に応じた補正が可能な露光装置の提供を所期の目的とする。
【0015】【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するため、本発明の露光装置は、光源からの光を露光対象物に導いて照射するとともに、その照射位置を移動する走査部と、この走査部の駆動制御を行う制御部を備え、その制御部は、入力された露光用データを記憶する記憶手段と、入力された測定データを用いて露光用データを補正する演算処理手段を有し、この補正後のデータに基づいて走査部の光走査を制御するように構成されていることによって特徴づけられる。
【0016】【作用】 例えば、蓄積した露光用データを基にして補正なしの状態で基板(ダミー)の露光を行い、その基板に形成されたパターンの形状を測定し、この測定値でもって露光用データを補正することで、基板に非線形な歪があっても、その歪の影響を除去できる。
【0017】【実施例】 本発明の実施例を、以下、図面に基づいて説明する。図1は本発明実施例の構成を示すブロック図である。
【0018】 まず、この例の露光装置は、光学系がフラットベッド型レーザプロッタを称される装置と基本的に同様な構造で、レーザ発振器1と、露光テーブル2と、レーザ発振器1の出力光の進行路上に配置されたポリゴンミラー3と、露光テーブル2の上方に配置され、ポリゴンミラー3でX方向に振られる光を、露光対象物(印刷用製版フィルムF)の表面上に導く45度ミラー4を備えている。なお、露光テーブル2はY方向に移動する数値制御方式のテーブルで、この露光テーブル2、レーザ発振器1およびポリゴンミラー3はコントローラ5によって駆動制御される。
【0019】 コントローラ5には、後述する動作を行うためのデータ処理などの各種のプログラムが内蔵されており、また、露光用データなどを入力するためのキーボード5a、露光用データ記憶装置5bおよび補正済データ記憶装置5cがそれぞれ接続されている。」
「【0028】 図3は本発明の他の実施例の構成を示すブロック図である。
この例の露光装置が、先の図1に示した実施例のものと相違する点は、ポリゴンミラー3と45度ミラー4との間の光路上に、ハーフミラーを利用したビームスプリッタ6を配置し、このスプリッタ6により取り出された光を光検出器7で検出して、その検出値をコントローラ15に入力する構成にあり、また、コントローラ15には露光用データ記憶装置15b,参照データ記憶装置15cおよび画像記憶装置15dを接続しており、さらに、コントローラ15に内蔵の各種演算処理プログラムを、先の実施例とは異なるものを使用する点が相違している。さらには、レーザ発振器11として、出力強度が可変で、後述するようにレジストを感光させない微弱なレーザ光を出力できるものを使用している。
【0029】 次に、この例の動作を、多層基板のパターンエッチングレジスト形成を例にとって説明する。まず、この種のエッチングレジスト形成において最も重要な点は、多層基板に既に形成されているスルホールのセンタに、これから露光形成するスルホールランドのセンタを精度よく一致させることである。この目的のため、この例の装置では、露光用データの他に、穴位置情報(ドリルデータ)を参照データとして与え、このデータと実際の穴位置(測定データ)とを照合して補正テーブルを作成し、露光用データを再マッピングを行うように構成している。その処理動作を、以下、図3を参照しつつ説明する。
【0030】 キーボード15aの操作により、多層基板S1の穴明けに使用したドリルデータ(穴位置と穴径のデータ)を参照データ記憶装置15cに格納するとともに、露光用のパターンデータを露光用データ記憶装置15bに格納する。次いで、穴明け済で、全面に感光性エッチングレジストを形成した多層基板S1を、露光テーブル2上にセットする。このとき、露光テーブル2は、基板S1をセットしやすいように、45度ミラー4下方の実際の露光位置から大きく外れた部位に配置しておく。
【0031】 さて、露光動作を開始すると、コントローラ15は、露光テーブル2をY方向の奥の位置まで移動した後、レーザ発振器11の出力光強度を多層基板S1に形成したレジストを感光させない強度まで落とした状態で、ポリゴンミラー3および露光テーブル2を駆動制御して、多層基板S1の全面を微弱なレーザ光で走査する。
【0032】 このレーザ光走査において、レーザ発振器11から出た光は、ポリゴンミラー3と45度ミラー4で反射され基板S1に当たった後、その基板S1表面で反射される。この反射光は45度ミラー4を経た後に、その一部がビームスプリッタ6によって取り出されて光検出器7に入射して電気信号に変換される。そして、光検出器7の出力信号がコントローラ15に導かれ、画像記憶装置15dに格納される。なお、光検出器7の出力信号は、適当な信号処理を施して2値化して格納する。
【0033】 ここで、多層基板S1からの反射光は、基板上の穴の部分でその強度が大きく変化するので、光検出器7の出力信号に基づく画像データと、ポリゴンミラー3や露光テーブル2などの相対的な位置関係から、穴位置と穴径を割り出すことができ、その演算処理がコントローラ15で実行される。
【0034】 そして、コントローラ15は、演算処理により得られた穴位置と穴径と、先に格納済のドリルデータ(設計データ)とを比較照合して補正テーブルを作成し、そのテーブルを用いて露光用データ記憶装置15bに格納したデータを補正しつつ、この補正後のデータに基づいて、レーザ発振器11、露光テーブル2およびポリゴンミラー3の駆動制御を行って実際の露光処理を行う。ただし、この実際の露光を行う際には、レーザ発振器11の出力光強度をレジストの露光が可能な強さにまで上げておく。
【0035】 なお、この例では、再マッピングの処理において微弱なレーザ光の走査により測定データを採取しているが、これに代えて、レーザ光以外でレジストを感光しない光は出射する光源を光学系に配置して、測定データ採取時にはその光源からの光を走査するといった構成を採用してもよい。」
「【0041】 一方、図3の例の装置は、
丸1複数の物の露光を行う際に、その各露光対象物の形状寸法の変化が個々に相違する場合
丸2露光対象物が正確な位置決めを必要をする場合
に有効な装置で、多層基板のパターン形成用エッチングレジスト形成や、位置精度を必要とする高密度・高精度ソルダレジストの形成に適した装置である。
【0042】【発明の効果】 以上説明したように、本発明の露光装置は、基本的にダイレクトイメージャと同様な手法を採用し、実際の露光を行う前にダミーの光走査により得た測定データで露光データを補正して、その補正後のデータに基づいて露光を行うように構成しているので、露光対象物に場所によって異なる線形/非線形の歪がある場合でも正確な露光が行うことができ、また、後工程で発生する線形/非線形の歪を補正するために事前に露光用データ(画像)を歪ませた状態での露光も可能になる。さらに、複数の露光対象物の処理を行うにあたり、各対象物の個々の歪量が異なっている場合であっても、その各対象物に応じて補正をダイナミックに変更しつつ露光を行うことができる。
【0043】 従って、本発明の露光装置を、例えばプリント基板製造工程に適用すれば、従来では不可能であった細やかな補正が可能となり、これにより、パターンとレジストの合致精度が大幅に向上する結果、高精度・高密度のプリント基板の製造が可能になる。また、露光工程やこれに付随する工程の工数およびコストの削減ならびに不良発生率の低減等の効果も達成できる。」

そうすると、上記引用刊行物1における前記摘記事項及び添付図面における記載からみて、引用刊行物1には、次の発明(以下、これを「引用発明」という。)の記載が認められる。
「多層基板S1に既に形成されているスルホールのセンタに露光形成するスルホールランドのセンタを精度よく一致させるために露光用パターンデータの再マッピングを行うようにして、補正後の露光用パターンデータに基づいて走査部の光走査を制御するように構成されている露光装置において、
前記露光装置は、レーザ発振器11からの光を多層基板S1に導いて照射するとともに、その照射位置を移動する走査部と、前記走査部の駆動制御を行う各種演算処理プログラムを内蔵するコントローラ15と、前記レーザ発振器11からの光以外の光源の光を走査して測定データを採取する構成を備え、
前記コントローラ15は、露光用パターンデータを記憶する露光用データ記憶装置15bと、多層基板S1の穴明けに使用したドリルデータ(穴位置情報)を記憶する参照データ記憶装置15cと、基板上の穴位置の測定データを記憶する画像記憶装置15dと、前記基板上の穴位置の測定データを用いて露光用パターンデータを補正する演算処理手段と、補正後の露光用パターンデータに基づいてレーザ発振器11、露光テーブル2およびポリゴンミラー3を駆動制御する制御手段とを有し、
前記測定データを採取する構成は、前記基板S1表面で反射される反射光を光検出器7で検出して、その検出値をコントローラ15に入力する構成とし、
キーボード15aの操作により、前記ドリルデータ(穴位置情報)を参照データ記憶装置15cに格納するとともに、露光用パターンデータを露光用データ記憶装置15bに格納し、次いで、穴明け済で全面に感光性エッチングレジストを形成した多層基板S1を、露光テーブル2上にセットして、露光動作を開始すると、コントローラ15は、露光テーブル2をY方向の奥の位置まで移動した後、前記測定データを採取する構成の光源の光で走査部を駆動制御して、多層基板S1の全面を走査すると、前記光源の基板S1表面で反射される反射光が、光検出器7に入射して電気信号に変換される際に、多層基板S1からの反射光は、基板上の穴の部分でその強度が大きく変化することにより、光検出器7の出力信号に基づく画像データと、ポリゴンミラー3や露光テーブル2などの相対的な位置関係から、基板上の穴位置を割り出す演算処理がコントローラ15で実行されて、基板上の穴位置の測定データが画像記憶装置15dに格納され、
コントローラ15は、演算処理により得られた実際の穴位置(測定データ)と、参照データとして先に参照データ記憶装置15cに格納済のドリルデータ(穴位置情報)とを比較照合して、補正用のデータテーブルを露光を行う毎に基板S1を直接測定して作成し、その補正用のデータテーブルを用いて露光用データ記憶装置15bに格納してある露光用パターンデータを補正しつつ、補正後の露光用パターンデータに基づいて、レーザ発振器11、露光テーブル2およびポリゴンミラー3の駆動制御を行ない、レーザ発振器11の出力光強度をレジストの露光が可能な強さで実際の露光処理を行うようにした露光装置」

(2)原審における拒絶査定の理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開昭61-263222号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、「レーザ走査型描画装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「1.レーザビームを、所定の描画パターン情報に基づいて光学系により走査させ感光性基板上に所定のパターンを描画露光する装置において、上記描画パターン情報を座標変換して上記光学系の駆動系に与える手段を設けたことを特徴とするレーザ走査型描画装置。
2.前記基板上に既に形成されているパターンの位置情報に基づいて前記座標変換を行なうことにより描画位置の誤差を補正する特許請求の範囲第1項記載の描画装置。
3.前記基板上に予め設定された複数のキーパターンの位置を前記描画露光の前に光学的に計測することにより前記既成パターンの位置を検出する特許請求の範囲第2項記載の描画装置。
4.前記キーパターンが段差構造をしている特許請求の範囲第3項記載の描画装置。
5.前記キーパターンの位置を計測する手段が、前記段差構造の端部からの散乱光を検出するものである特許請求の範囲第4項記載の描画装置。
6.前記キーパターンの位置を、前記描画露光のための光路と同一の光路を介して計測する特許請求の範囲第3項記載の描画装置。
7.前記キーパターン位置計測のための光源として前記描画露光のためのレーザを兼用する特許請求の範囲第3項記載の描画装置。
8.前記レーザビームの光路中に、ビームサイズを可変する可変アパーチャーを設けた特許請求の範囲第1項記載の描画装置。
9.前記描画露光を同一基板で何回も繰り返して行なう場合、前記各描画露光工程における前記キーパターンを同一位置に設定する特許請求の範囲第3項記載の描画方法。」(1頁左欄5行?同頁右欄16行の特許請求の範囲の記載)
「[発明の属する分野]
本発明は、大規模集積回路等の微細パターンを半導体基板等の上にレーザビームを用いて描画露光するための描画装置に関する。」(1頁右欄19行?2頁左上欄1行)
「[本発明の目的]
本発明は、前述のような問題点を除去して、超高精度で位置合せを行ないながら、超微細パターンを形成する装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、前記超微細パターンにさまざまな変更を加えて描画することを可能とすることである。
[実施例]
第1図は、本発明の一実施例に係るレーザ走査型描画装置の構成を示す。同図において、1は441.6nmの波長の連続光を出すHe-Cdレーザ発振器、2はシャッタ、3はビームエクスパンダ、4と6はそれぞれX、Y方向のスキャニングミラーで、図中の矢印のついた軸を中心に回転する。また5は凸レンズで、スキャニングミラー4と6とを光学的に共役関係としている。7は高解像力を得るための高NA(開口数)のf-θレンズで、その前側焦点位置はスキャニングミラー6に一致している。8はレーザビームの径を変化させるための可変アパーチャ、9は偏光ビームスプリッタである。10は中央部は遮光し、周辺部は透過性のストッパ、11は集光レンズ、12は光ディテクタ、13は描画露光しようとする半導体のウエハ、14はそれをのせているステージである。15は装置全体の動作を制御するためのコンピュータで、シャッタ2ないしステージ14等の各部はインターフェイスを介してこのコンピュータに接続されている。また、16は低反射率のハーフミラー、17はレーザ発生器1から出射されるレーザ光量を検出するための光ディテクタである。
第2図はウエハ13上に設ける複数のキーパターンK1?K9の位置の例で、第3図は第2図の各キーパターンにおける段差構造の端部散乱光検出の説明図である。
前述のようにウエハ面上にLSI等の回路を形成していく場合、一般に各種のパターンを何回もくり返して露光し食刻していくので、2回目以降の露光では、前工程の段差構造の上に感光性樹脂のフォトレジストが塗布されたものの上に露光することになる。この段差構造のうち例えば第2図のような位置の9点にキーパターンK1?K9を設定する。このキーパターンは実際の素子パターンの中から適当に選んでも良いし、あるいは予めキーパターン専用の段差構造を作っておいても良い。後者の場合、所望位置に所望形状のキーパターンを形成することができるため、キーパターンに使われた基板上の領域は無駄になるが、段差構造の形状を最適化でき、また後述のように各工程において位置を一定化できるので、補正計算ソフトの負荷を軽減できるという利点がある。また、第2図における外枠は1回のビーム走査範囲の単位であり、f-θレンズ7の性能とウエハサイズとの兼ね合いで、ウエハ全面をカバーすることもあれば、ウエハを何分割かした1部分だけになることもある。
このようにキーパターンを何か所か設けた後、まず、これらのキーパターン位置の計測を行なう。」(2頁右上欄12行?3頁左上欄8行)
「このようにしてキーパターンK1?K9の位置を計測した後、これから描画露光しようとするパターンのキーパターンに重なるべき部分(これを前述のように次工程のキーパターンにして、キーパターンの位置が一定となるようにしておくと、補正計算ソフトの負荷を軽減できる)と、キーパターンとのずれ量が最小になるよう最小自乗法等の手法によって前記描画露光しようとするパターンのデータをコンピュータ15により座標変換し、変形させる。その変形されたデータに基づいてビーム走査させながらシャッタ2を開閉することによってパターンの描画露光を行なう。これもコンピュータ15により制御される。この場合のビーム走査方法は、パターンの形状にかかわらず露光面全面を平行線状に走査するいわゆるラスク走査によっても、あるいはパターンのある部分だけにビーム描画を行なういわゆるベクタ走査によってもよい。」(3頁左しら欄12行?同頁右下欄9行)

3 対比
本願発明1と前記引用発明とを比較すると、引用発明における「レーザ発振器11」は本願発明1における「露光用レーザー」に相当する。以下同様にして、引用発明の「前記レーザ発振器11からの光以外の光源の光を走査して測定データを採取する構成」は本願発明1の「前記露光用レーザとは別に基板を光学的に測定する画像測定装置」に、「多層基板S1」は「プリント配線板」に、「多層基板S1が上にセットされY方向に移動する露光テーブル2」は「プリント配線板を載置して位置を変位させるテーブル」に、「感光性エッチングレジスト」は「感光性樹脂」に、「多層基板S1に既に形成されているスルホールのセンタに露光形成するスルホールランドのセンタを精度よく一致させるために露光用パターンデータの再マッピングを行うようにして、補正後の露光用パターンデータに基づいて走査部の光走査を制御するように構成されている露光装置」は「プリント配線板基板上の感光性樹脂にパターンのデータを描画露光するプリント配線板基板用パターン描画露光装置」に、そして「補正後の露光用パターンデータに基づいてレーザ発振器11、露光テーブル2およびポリゴンミラー3を駆動制御する制御手段」は「前記ずれ算出手段にて算出されたずれ量を補正するよう前記露光用レーザー及び前記テーブルを制御して、前記基板上に塗布された感光性樹脂を感光させる制御手段」に、それぞれ相当する。
ところで、本願発明1と前記引用発明とにおいては、比較照合時の基準とすべき位置情報を、本願発明1が「基板上の基準マークの位置」としているのに対して、引用発明は「ドリルデータ(穴位置情報)」又は「基板上の穴位置」としている点で、補正時の比較照合の対象である位置情報の形態が相違しているが、両者はいずれも「基板上の位置情報」である点で共通する。
そうすると、引用発明における「多層基板S1の穴明けに使用したドリルデータ(穴位置情報)を記憶する参照データ記憶装置15c」は本願発明1における「基板上の基準マークの位置に関するデータを保持するデータ保持手段」に対応する。以下同様にして、引用発明の「測定データを採取する構成、光検出器7及び前記光検出器7の出力信号に基づく画像データとポリゴンミラー3や露光テーブル2などの相対的な位置関係から基板上の穴位置を割り出す演算処理手段」は本願発明1の「前記画像測定装置により基板上の前記基準マークを測定する測定手段」に、「基板上の穴位置の測定データ」は「前記測定手段にて測定された基準マークの位置」に、「多層基板S1の穴明けに使用したドリルデータ(穴位置情報)」は「前記データ保持手段に保持されている基準マークの位置」に、そして「前記基板上の穴位置の測定データを用いて露光用パターンデータを補正する演算処理手段」は「前記測定手段にて測定された基準マークの位置に基づき、前記データ保持手段に保持されている基準マークの位置とのずれを算出するずれ算出手段」に、それぞれ対応しているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、
「露光用レーザーと、
前記露光用レーザとは別に基板を光学的に測定する画像測定装置と、
プリント配線板を載置して位置を変位させるテーブルと
を有するプリント配線板基板上の感光性樹脂にパターンのデータを描画露光するプリント配線板基板用パターン描画露光装置において、
基板上の位置情報に関するデータを保持するデータ保持手段と、
前記画像測定装置により基板上の前記位置情報を測定する測定手段と、
前記測定手段にて測定された位置情報に基づき、前記データ保持手段に保持されている位置情報とのずれを算出するずれ算出手段と、
前記ずれ算出手段にて算出されたずれ量を補正するよう前記露光用レーザー及び前記テーブルを制御して、前記基板上に塗布された感光性樹脂を感光させる制御手段と、
を備えたプリント配線板基板用パターン描画露光装置」
である点で一致し、次の点で構成が相違する。
相違点1:基板上の位置情報が、本願発明1では「基板上の基準マークの位置」であるのに対し、引用発明では「ドリルデータ(穴位置情報)」である点。

4 相違点についての検討
(1)相違点1について
上記引用刊行物2には、基板上の位置情報に関して、「基板上に予め設定された複数のキーパターンの位置を前記描画露光の前に光学的に計測することにより前記既成パターンの位置を検出する」ことが記載されているように、比較照合時の基準とすべき位置情報を、「基板上に予め設定されたキーパターンの位置」とすることは、本件特許出願時の周知技術である。
そうしてみると、基板上の位置情報として、引用発明の「ドリルデータ(穴位置情報)」に代えて、周知技術の「基板上に予め設定されたキーパターンの位置」のような「基板上の基準マークの位置」とすることにより、本願発明1の前記相違点1に係る構成とすることは、当業者が困難性を伴うことなく容易に想到し得たことである。

そして、本願発明1の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものであって、格別顕著のものということができない。

(2)まとめ
したがって、本願発明1は、上記引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明1は、上記引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明1が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-01 
結審通知日 2006-11-13 
審決日 2006-11-28 
出願番号 特願平8-224446
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03F)
P 1 8・ 57- Z (G03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多田 達也  
特許庁審判長 佐藤 昭喜
特許庁審判官 森内 正明
柏崎 正男
発明の名称 プリント配線板の製造方法  
代理人 田下 明人  

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