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審決分類 |
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04N 審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1150758 |
審判番号 | 不服2005-6929 |
総通号数 | 87 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-02-16 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-04-18 |
確定日 | 2007-02-06 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第179213号「画像通信装置及びシステム、並びに画像受信装置及び受信画像データの処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 2月16日出願公開、特開平 8- 46973、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.経緯 (1)手続 本願は、平成6年7月29日の出願であって、平成17年3月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年4月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月18日付けで手続補正がなされたものである。 (2)査定 原査定の理由は、概略、下記のとおりである。 記 〈理由A〉 本願の請求項1から13までに係る発明は、下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記 刊行物1:特開平6-197337号公報 刊行物2:特開平6-38206号公報 刊行物3:特開平2-94886号公報 〈理由B〉 この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備と認められるから、特許法36条第4項、第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項1、8には、「1画面中の送信すべき第1の所要領域」と記載されているが、如何なるものをして「送信すべき」とするのかが不明である。 また、請求項1、8に記載の「静止画像」と、「1画面」及び「第1の所要領域」との対応が不明であり、そのため該請求項の記載からだけでは、領域指定手段による指定に基づいて、動画像と静止画像とを如何にして組み合わせるのかが不明である。(1画面中の第1の所要領域を静止画像として指定して、第1の所要領域(静止画像)中の第2の所要領域に動画像を組み合わせるのではないのか。) (2)請求項2、8の記載からだけでは、第2の所要領域の動画像に如何なる「処理」をするために、復号された画像データから動画像を抽出するのかが不明である。 (3)請求項14、15に記載の「所定の画像データを含むデータ」が如何にして生成された如何なるデータであるのかが不明であり(例えば、音声と画像が多重されたデータ、複数の種類の画像が多重されたデータ、静止画像と動画像が合成されたデータ等)、そのため、「1画面中の前記データの所要領域に対する前記所定の画像データの領域情報」も不明であり、また、所定の画像データに如何なる「処理」をするために、如何にして「画像データ」を抽出するのかも技術的に全く不明である。 (4)上記の理由により、請求項1、2、8、14、15に記載のものが、明細書に記載の課題を解決し、作用効果を奏し得ることが、発明の詳細な説明の記載から把握できない。 よって、本願の明細書及び図面は、当業者が請求項1、2、8、14、15に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。また、特許請求の範囲に記載された事項を当業者が正確に理解できない。 2.審判請求時の補正の適合性 平成17年5月18日付けの手続補正(本件補正)は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項及び第3項、並びに特許法第17条の2第5項(同項で準用する第126条第5項)の各規定に適合する。詳細は、以下のとおりである。 (1)補正の内容 本件補正は、次のような請求項の補正を含むものである。 (a)補正事項1 請求項1について、 「1画面中の送信すべき第1の所要領域」(補正前)とあるのを「1画面中の画像が送信される第1の所要領域」(補正後)と、 「前記領域指定手段による指定に基づいて動画像と静止画像とを組み合わせる組み合せ手段」(補正前)とあるのを「前記領域指定手段による指定に基づいて前記第2の所要領域の動画像と、前記第2の所要領域を除く前記第1の所要領域の静止画像とを組み合わせる組み合せ手段」(補正後)と、 「前記符号化手段によって符号化された画像データおよび前記領域指定手段によって指定された前記第1の所要領域に対する第2の所要領域の領域情報を他の画像通信装置に送信する送信手段」(補正前)とあるのを「前記符号化手段によって符号化された画像データと、前記領域指定手段によって指定された前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第1の所要領域内の動画像の領域の位置を示す前記第2の所要領域の領域位置情報とを他の画像通信装置に送信する送信手段」(補正後)と、それぞれ補正する。 (b)補正事項2 請求項2について、 「符号化された画像データおよび前記第1の所要領域に対する第2の所要領域の領域情報を受信する受信手段」(補正前)とあるのを「符号化された画像データと、前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第2の所要領域の領域位置情報とを受信する受信手段」(補正後)と、 「前記第1の所要領域に対する第2の所要領域の領域情報に基づいて、前記第2の所要領域の動画像を処理するために、前記復号手段により復号された画像データから動画像を抽出する抽出手段」(補正前)とあるのを「前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第2の所要領域の領域位置情報に基づいて、前記第2の所要領域の動画像を表示処理するために、前記復号手段により復号された画像データから動画像を抽出する抽出手段」(補正後)と、それぞれ補正する。 (c)補正事項3 請求項8について、 「1画面中の送信すべき第1の所要領域と、動画像領域として前記第1の所要領域中の所望の第2の所要領域とを指定する領域指定手段」(補正前)とあるのを「1画面中の画像が送信される第1の所要領域と、動画像領域として前記第1の所要領域中の所望の第2の所要領域とを指定する領域指定手段」(補正後)と、 「前記領域指定手段による指定に基づいて動画像と静止画像とを組み合わせる組み合せ手段」(補正前)とあるのを「前記領域指定手段による指定に基づいて前記第2の所要領域の動画像と、前記第2の所要領域を除く前記第1の所要領域の静止画像とを組み合わせる組み合せ手段」(補正後)と、 「前記符号化手段により符号化した画像データおよび前記領域指定手段によって指定された前記第1の所要領域に対する第2の所要領域の領域情報を他の画像通信端末に送信する送信手段」(補正前)とあるのを「前記符号化手段によって符号化された画像データと、前記領域指定手段によって指定された前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第1の所要領域内の動画像の領域の位置を示す前記第2の所要領域の領域位置情報とを他の画像通信装置に送信する送信手段」(補正後)と、 「前記符号化された画像データおよび前記第1の所要領域に対する第2の所要領域の領域情報を受信する受信手段」(補正前)とあるのを「前記符号化された画像データと、前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第2の所要領域の領域位置情報とを受信する受信手段」(補正後)と、 「前記第1の所要領域に対する第2の所要領域の領域情報に基づいて、前記第2の所要領域の動画像を処理するために、前記復号手段により復号された画像データから動画像を抽出する抽出手段」(補正前)とあるのを「前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第2の所要領域の領域位置情報に基づいて、前記第2の所要領域の動画像を表示処理するために、前記復号手段により復号された画像データから動画像を抽出する抽出手段」(補正後)と、それぞれ補正する。 (d)補正事項4 請求項14,15を削除する。 (2)補正の適否 (2-1)補正の範囲(第17条の2第2項) 上記補正事項1から3は、願書に最初に添付した明細書及び図面(段落【0086】?【0091】及び図10)の記載に基づくものであり、本件補正は、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてする補正である。 (2-2)補正の目的(第17条の2第3項) 上記各補正事項は、特許請求の範囲についてする補正である。 補正事項1は、補正前に記載のあった「第1の所要領域」、「組み合わせ手段」及び「送信手段」の内容を限定するものであり、しかも補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。 補正事項2は、補正前に記載のあった「受信手段」及び「抽出手段」の内容を限定するものであり、しかも補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。 補正事項3は、補正前に記載のあった「第1の所要領域」、「組み合わせ手段」、「送信手段」、「受信手段」及び「抽出手段」の内容を限定するものであり、しかも補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。 補正事項4は、請求項の削除に該当する。 (2-3)独立特許要件(第17条の2第5項) 補正事項1から補正事項3までは、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるので、以下、その独立特許要件について検討する。 (a)補正後発明 補正後の請求項1から請求項13までに係る発明(以下、補正後各発明という。)は、下記のとおりのものである。 記(補正後各発明) 【請求項1】 1画面中の画像が送信される第1の所要領域と、動画像領域として前記第1の所要領域中の所望の第2の所要領域とを指定する領域指定手段と、 前記領域指定手段による指定に基づいて前記第2の所要領域の動画像と、前記第2の所要領域を除く前記第1の所要領域の静止画像とを組み合わせる組み合せ手段と、 前記組み合せ手段により組み合わされた画像データを符号化する符号化手段と、 前記符号化手段によって符号化された画像データと、前記領域指定手段によって指定された前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第1の所要領域内の動画像の領域の位置を示す前記第2の所要領域の領域位置情報とを他の画像通信装置に送信する送信手段とを有することを特徴とする画像通信装置。 【請求項2】 符号化された画像データと、前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第2の所要領域の領域位置情報とを受信する受信手段と、 前記受信手段により受信した画像データを復号する復号手段と、 前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第2の所要領域の領域位置情報に基づいて、前記第2の所要領域の動画像を表示処理するために、前記復号手段により復号された画像データから動画像を抽出する抽出手段とを更に有することを特徴とする請求項1記載の画像通信装置。 【請求項3】 前記符号化手段は画像データをブロック単位で符号化し、前記領域指定手段は前記ブロック単位で領域を指定することを特徴とする請求項1記載の画像通信装置。 【請求項4】 前記組み合せ手段は前記領域指定手段により少なくとも2領域が指定された場合に、それぞれ異なる動画像を組み合わせることを特徴とする請求項1記載の画像通信装置。 【請求項5】 前記静止画像は前記動画像の一部であることを特徴とする請求項1記載の画像通信装置。 【請求項6】 前記符号化手段はフレーム間差分による符号化を行うことを特徴とする請求項1記載の画像通信装置。 【請求項7】 音声処理を行う音声処理部と、 前記音声処理部で処理された音声データを符号化する音声符号化部と、 前記音声符号化部で符号化された音声データを送信する音声送信手段とを更に有することを特徴とする請求項2記載の画像通信装置。 【請求項8】 第1の画像通信装置は、 1画面中の画像が送信される第1の所要領域と、動画像領域として前記第1の所要領域中の所望の第2の所要領域とを指定する領域指定手段と、 前記領域指定手段による指定に基づいて前記第2の所要領域の動画像と、前記第2の所要領域を除く前記第1の所要領域の静止画像とを組み合わせる組み合せ手段と、 前記組み合せ手段により組み合わされた画像データを符号化する符号化手段と、 前記符号化手段によって符号化された画像データと、前記領域指定手段によって指定された前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第1の所要領域内の動画像の領域の位置を示す前記第2の所要領域の領域位置情報とを他の画像通信装置に送信する送信手段とを有し、 第2の画像通信装置は、 前記符号化された画像データと、前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第2の所要領域の領域位置情報とを受信する受信手段と、 前記受信手段により受信した画像データを復号する復号手段と、 前記第1の所要領域の領域位置情報および前記第2の所要領域の領域位置情報に基づいて、前記第2の所要領域の動画像を表示処理するために、前記復号手段により復号された画像データから動画像を抽出する抽出手段とを有することを特徴とする画像通信システム。 【請求項9】 前記符号化手段は画像データをブロック単位で符号化し、前記領域指定手段は前記ブロック単位で領域を指定することを特徴とする請求項8記載の画像通信システム。 【請求項10】 前記組み合せ手段は前記領域指定手段により少なくとも2領域が指定された場合に、それぞれ異なる動画像を組み合わせることを特徴とする請求項8記載の画像通信システム。 【請求項11】 前記静止画像は前記動画像の一部であることを特徴とする請求項8記載の画像通信システム。 【請求項12】 前記符号化手段はフレーム間差分による符号化を行うことを特徴とする請求項8記載の画像通信システム。 【請求項13】 前記第1の画像通信装置は、 音声データを入力して音声処理をおこなう音声入力部と、 前記音声入力部で入力された音声データを符号化する音声符号化部と、 前記音声符号化部で符号化された音声データを送信する音声送信手段とを更に有し、 前記第2の画像通信装置は、 前記音声符号化部で符号化された音声データを受信する音声受信手段と、 前記音声受信手段で受信した音声データを復号する音声復号部と、 前記音声復号部で復号された音声データを処理して出力する音声出力部とを更に有することを特徴とする請求項8記載の画像通信システム。 (b)補正後各発明が備える主要構成 (b1)査定で引用された各刊行物のいずれにも、補正後各発明が備える下記の主要構成は記載されていない。また、各刊行物を組み合わせても、同主要構成を導くことはできない。 記(主要構成) 1画面中の画像が送信される第1の所要領域と、動画像領域として前記第1の所要領域中の所望の第2の所要領域とを指定し、前記第2の所要領域の動画像と、前記第2の所要領域を除く前記第1の所要領域の静止画像とを組み合わせて符号化し、該符号化された画像データと、第1の所要領域の領域位置情報および第1の所要領域内の動画像の領域の位置を示す第2の所要領域の領域位置情報とを送信すること。 (b2)そして、補正後各発明は、上記主要構成を備えることにより、「符号化の際の画像フォーマットが固定であっても、その画像サイズより小さなサイズに最小の画像ブロックを単位として動画像をはめ込み、それ以外の領域には静止画像を埋め込んでという様に、動画像と静止画像とを組み合わせて符号化することができる。更に、符号化データを送信し、受信側ではその動画像領域のみを抜き取ってモニタに表示することで、任意のサイズで動画像を符号化して送信することが可能となる。従って、用途や状況に応じて画像サイズを変化させて、最適な符号化処理を実行させることが可能となり、最適な画質で画像通信が行える」(段落【0096】)等の明細書に記載の顕著な効果を奏するものと認められる。また、受信端末側において、再生されるデータ領域に対する所定の画像データの領域の位置情報を受信端末側に送信しているので、受信端末側においてデータが画面上のどの位置に表示されたとしても所定の画像データを容易に抽出することができ、さらに、送信される画像に対する動画像の座標の相対関係を把握できる等の顕著な効果を奏することも明らかである(審判請求理由補充書4頁)。 (b3)以上によれば、補正後各発明は、査定で引用された各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 (c)引用刊行物の記載等 各刊行物の記載について見ておく。 (c1)刊行物1(特開平6-197337号公報) 刊行物1には、「画像伝送装置」(発明の名称)に関し、図面と共に以下に掲げる事項が記載されている。 「この発明の一実施例を図に基づいて説明する。図1において1はA/D変換器、2はD/A変換器、3は送信フレームメモリ、4は受信フレームメモリ、9は描画制御部、12、13がゲート回路、5は符号化器(CODER)、6は復号化器(DECODER)、7は多重・分離部、8はラインインターフェース部、10は入力ビデオ信号を親子画面に多重するピクチャーイクチャー(PinP)回路を内蔵した画面合成分離部、11は映像の切換え/表示、エリア別符号化パラメータなどを制御するシステム制御部である。 なお、送信フレームメモリ3と受信フレームメモリ4は8×8画素又は16×16画素等のメモリブロック(MB)と呼ばれる処理単位で構成されているものとする。 図2は本発明の一実施例による多重表示画面の例を示す説明図である。図において(a)はパソコン等グラフィック描画情報を低速データ情報として多重伝送し、動画と多重表示する場合の例である。(b)はPinPで多重した動画と静止画を一括伝送し表示する例である。(c)は監視映像の動きの激しいエリアを指定して、エリア別符号化を行う例である。」(段落【0015】、【0016】) 「次に動作について説明する。図2の(a)の場合を図5に示す。送信側のシステム制御部11は、まず、動画とすべきエリアを指定し、そのエリア内部とエリア外部における符号化のパラメータを設定する。例えば、PinPの小画面とそれ以外の部分でパラメータを変えて設定する。このエリア指定は送信フレームメモリ3のメモリブロック(MB)ごとに行われ、符号化器5はメモリブロックごとに設定されたパラメータに従って符号化を行なう。 また、受信側システム制御部11は同様にメモリブロック(MB)を用いてエリア指定を行い、指定されたエリア内部と外部のメモリブロック(MB)に対して、復号するためのパラメータをそれぞれ別個に設定する。例えば、PinPの小画面とそれ以外の部分でパラメータを変えて設定する。DECODER6はメモリブロック(MB)によって、指定エリアに対して設定されたパラメータに従って、受信した符号を復号する。」(段落【0019】、【0020】) 上記記載によれば、刊行物1には、動画とすべきエリアを指定し、そのエリア内部とエリア外部における符号化のパラメータを変えて符号化を行うことは記載されているものの、そのエリア指定情報を送信することについて記載がないばかりでなく、送信する第1の所要領域が可変に指定できるとともに、その第1の所要領域の領域位置情報および第1の所要領域内の動画像の領域の位置を示す第2の所要領域の領域位置情報の双方を、符号化された画像データとともに送信することは記載がなく示唆もない。 (c2)刊行物2(特開平6-38206号公報) 刊行物2には、「複数映像共用装置および方法」(発明の名称)に関し、図面と共に以下に掲げる事項が記載されている。 「ユーザA側の映像通信端末101において、ビデオカメラ107はユーザAの机上を、ビデオカメラ108はユーザAの顔を撮影するように設置される。前記ビデオカメラ107によって撮影された映像201、および前記ビデオカメラ108によって撮影された映像202は、映像はめ込み装置104へ入力され、映像205を生成する。つぎに前記映像205は、半透明合成装置103に入力されると共に、映像/音声CODEC105に入力され、NCU106,ネットワーク119を介してユーザBの映像通信端末110へ伝送される。」(段落【0014】) 「制御装置722は、映像はめ込み装置704によって縮小した複数の映像を任意の領域にはめ込むように、および半透明合成装置703によって任意の複数の領域に関してそれぞれ独立の比率で半透明状に合成するように、それらの領域の座標や大きさ等の定義情報および合成比率を領域発生装置720および半透明合成装置703に指示してこれらの装置および映像はめ込み装置704を制御するとともに、それらの領域の座標や大きさ等の定義情報および合成比率を、ネットワーク719を介して接続したユーザB側の映像通信端末710にNCU706によって出力する。なお、領域の座標や大きさ等の定義情報および合成比率は、制御装置722で保持したものを出力してもよいし、領域発生装置720および半透明合成装置703で保持されているものを制御装置722が読み出して出力してもよい。制御装置722は、また、ネットワーク719を介しNCU706を通し上記と同様にして他の映像通信端末710から出力された映像をはめ込む領域および独立の比率で半透明状に合成する領域の座標や大きさ等の定義情報および合成比率を受信し、これらにしたがって映像をはめ込み、かつ半透明状の合成を行うように領域発生装置720や半透明合成装置703および映像はめ込み装置704を制御する。」(段落【0060】) 上記記載によれば、刊行物2には、机上映像に顔映像を縮小してはめ込んだ映像が符号化され送信されるとともに、縮小した複数の映像を嵌め込む領域の座標や大きさ等の情報もネットワークを介して他の映像通信端末に送信することは記載されているものの、送信する第1の所要領域が可変に指定できるとともに、その第1の所要領域の領域位置情報および第1の所要領域内の動画像の領域の位置を示す第2の所要領域の領域位置情報の双方を、符号化された画像データとともに送信することは記載がなく示唆もない。 (c3)刊行物3(特開平2-94886号公報) 刊行物3には、「映像信号の符号化・復号化方法およびその装置」(発明の名称)に関し、図面と共に以下に掲げる事項が記載されている。 「第1図はこの発明の第1の実施例を示す符号化・復号化装置のブロック図である。この符号化・復号化装置は、大別して符号化装置200及び復号化装置300からなる。 先ず、符号化装置200について説明する。ビデオ・カメラ20は、テレビ会議の参加者を撮像することにより、得た映像信号をディジタル化回路21に入力する。 第3図は、ビデオ・カメラ20の撮像領域と、符号化領域との関係を示す。第3図において、Aにより示す240ライン×320画素の領域が実際にビデオ・カメラ20が撮像した画像の範囲、即ち撮像領域である。また、Bにより示す120ライン×160画素の領域が符号化されるべき画像の範囲、即ち符号化領域であり、撮像領域Aよりも狭く設定されている。ここで、符号領域Bとして、撮像領域Aのほぼ中央に設定されているが、この設定撮像領域Aの範囲内で同一寸法の他の位置でもよい。第3図では、垂直方向に20ライン、水平方向に20画素の単位で符号化領域の設定位置を選択することにより、63通り設定位置を示し、符号化領域Bの左上端の位置をそれぞれ1?63の番号により示す。以下、これらの番号を領域番号という。 第1図の説明に戻る。ディジタル化回路21は、ビデオ・カメラ20から撮像領域Aのすべてを含む映像信号をディジタル化して現フレーム・メモリ22にデータとして書き込み、また書き込みタイミング発生回路23に供給する。 現フレーム・メモリ22は符号化領域Bに対応した領域を有し、ディジタル化回路21から入力される符号化領域Bのデータを次に説明する書き込みアドレス制御回路24の書き込みアドレス信号により書き込みをし、また符号化のためのデータとして読み出し、符号化回路25に供給している。・・・(中略)・・・符号化回路25は、現フレーム・メモリ22からのデータを高能率符号化し、圧縮されたデータとなり、どの符号化領域のデータであるかを表示する領域番号と共に、ディジタル回線28を介して伝送し、かつ復号化して局部復号値のデータを得る。」(公報5頁左下欄5行?6頁左上欄14行) 上記記載によれば、刊行物3には、撮像領域よりも狭く設定された符号化領域のデータを符号化し、どの符号化領域のデータであるかを表示する領域番号と共に伝送することは記載されているものの、第2の所要領域の動画像と、第2の領域を除く第1の所要領域の静止画像の画像データを組み合わせて符号化した画像データを送信するものではなく、補正後各発明とは前提が異なる。しかも、送信する第1の所要領域が可変に指定できるとともに、その第1の所要領域の領域位置情報および第1の所要領域内の動画像の領域の位置を示す第2の所要領域の領域位置情報の双方を、符号化された画像データとともに送信することは記載がなく示唆もない。 (d)前置審査報告 (d1)前置報告書では、「引用文献1(特に、段落【0015】-【0031】)には、ブロック単位で動画像領域を指定して静止画像に動画像を組み合わせ、該組み合わせた画像データをブロック単位で符号化して送信する技術が記載されている。引用文献2(特に、段落【0059】、【0060】)には、ある映像上の複数の領域に任意の映像を合成して符号化する際に、該映像上の領域の座標及び大きさの情報、すなわち位置情報を他の端末に出力する技術が記載されている。引用文献3(特に、第5頁左下欄第5行目-第6頁右上欄第7行目)には、撮像領域から符号化する領域を設定して該符号化領域の画像データを符号化し、符号化した画像データと共に符号化領域の設定位置を示す番号、すなわち位置情報を伝送する技術が記載されている。」と、各刊行物の記載箇所を、それぞれ挙げているが、上記「(c)引用刊行物の記載等」で検討したように、それら記載箇所のいずれにも補正後各発明の上記主要構成について記載も示唆もない。また、各刊行物を組み合わせても同主要構成を導くことはできない。 (d2)なお、「請求項1、8に記載の「1画面」が、発明の詳細な説明の何れの記載に対応し、また、如何なるものを意味するのかについて検討すべきと考えられる。」と報告するが、この点について、本願明細書の段落【0086】に、「まず、送信端末が符号化する指定領域を、(x0,y0)と(x1,y1)を結んだ線分を対角線にもつ四角形(以下、[(x0, y0),(x1,y1)]と表記する)として設定し、その指定領域に特定画像データ又は静止画像データを書き込む。」との記載があり、この[(x0, y0),(x1,y1)]として設定される指定領域が「第1の所要領域」に相当し、続いて同段落には、「次にその符号化する指定領域内で、動画像をはめ込む指定領域を[(x2,y2),(x3,y3)]として設定し、その指定領域に、カメラから入力した動画像データをはめ込む。」との記載があり、この[(x2,y2),(x3,y3)]として設定される指定領域が「第2の所要領域」に相当することを考慮すると、その「第1の所要領域」が設定される「1画面」が格別不明瞭ともいえない。 (e)その他の理由 また、他に、補正後各発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 (f)小括(独立特許要件) 以上、補正後各発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 (2-4)まとめ(適否) 以上、本件補正は、上記各規定に適合する。 3.本願発明 本願の請求項1から請求項13に係る発明は、本願明細書及び図面(平成16年2月3日付け及び平成17年5月18日付け手続補正書により補正された明細書及び図面)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1から請求項13までに記載した事項により特定されるとおりのものである(上記補正後各発明と同じ、以下「本願各発明」という。)。 4.査定の検討 (a)理由Aについて 本願各発明は、補正後各発明の独立特許要件についてした上記判断での理由と同じ理由により、査定で引用された各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 (b)理由Bについて 査定のおいて不明瞭であるとした点は、本件補正を経て明確になっており、明細書及び図面の記載が明確でないとすることはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1から請求項13までに係る発明が上記各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、明細書及び図面の記載が明確でないという原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。 また、他に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2007-01-23 |
出願番号 | 特願平6-179213 |
審決分類 |
P
1
8・
531-
WY
(H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N) P 1 8・ 534- WY (H04N) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石川 亮、長谷川 素直 |
特許庁審判長 |
原 光明 |
特許庁審判官 |
益戸 宏 南 義明 |
発明の名称 | 画像通信装置及びシステム、並びに画像受信装置及び受信画像データの処理方法 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 木村 秀二 |