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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23K
管理番号 1151665
異議申立番号 異議2003-72681  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-01-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-06 
確定日 2006-12-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3402763号「養魚用配合飼料」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3402763号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3402763号の請求項1ないし3に係る発明は、平成6年6月28日に特許出願したものであり、平成15年2月28日にその特許権の設定登録がなされ、その後、ヌトレコ・アクアカルチャー・リサーチ・センター・エーエス、青山琢、及び坂本飼料株式会社・マリンネット株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成17年7月8日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである(下線部が訂正個所である)。
訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 未精製魚油を添加したことを特徴とする体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料。
【請求項2】 魚油が多穫性赤身魚類から採取されたものである請求項1記載の体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料。
【請求項3】 体表面にウロコを有する魚類に、請求項1または2の養魚用配合飼料を給与して、ウロコの剥がれを防止する方法。」の記載を、
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料。
【請求項2】 体表面にウロコを有する魚類に、請求項1の養魚用配合飼料を給与して、ウロコの剥がれを防止する方法。」と訂正する。

訂正事項b
特許明細書の段落【0008】の記載を
「【発明の内容】
上記のような状況下に、本発明者らは、多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を、魚類のエネルギー源用の油脂分として使用して養魚用配合飼料に添加して魚類に給与してみたところ、予想外にもウロコの剥がれを大幅に低減することができ、外見および生育状態の極めて良好な商品価値の高い養殖魚を得ることができ、かかる知見に基づいて本発明を完成した。」
と訂正する。

訂正事項c
特許明細書の段落【0009】の記載を
「すなわち、本発明は、
(1) 多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料である。
そして、本発明は、
(2) 体表面にウロコを有する魚類に、前記(1)の養魚用配合飼料を給与して、ウロコの剥がれを防止する方法である。」と訂正する。

訂正事項d
特許明細書の段落【0011】の記載を 「そして、本発明では、イワシ等の多穫性赤身魚類の組織から採取した上記の工程(a)で得られた原油、または工程(a)で得られる原油から不溶性夾雑物および水を除去しただけの工程(b)で得られる粗油を養魚用配合飼料中に添加する。その場合に、工程(a)における原油の採取方法、工程(b)における粗油中に含まれる不溶性夾雑物および水の除去方法などは特に制限されず、上記した工程(a)および工程(b)として従来から採用されているいずれの方法で採取したものであってもよい。また、工程(b)の後に、水を加えて水溶性夾雑物を除去する工程を付加して得られた油を用いてもよい。いずれにしろ、本発明でいう未精製魚油とは、多穫性赤身魚類の組織から採取したままの原油、或いは原油から採取夾雑物や水などを物理的手段により除去しただけで脱ガムや脱酸などの化学的処理を施してないものをいう。
また、本発明の目的の達成のために、本発明では未精製魚油として、イワシ、アジ、サバ、サンマなどの多穫性赤身魚類から採取されたものを用いる(以下、本発明で用いる「多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油」を単に「未精製魚油」ということがある)。

訂正事項e
特許明細書の段落【0014】の記載を
「そして本発明では、多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しないこと以外の点では、配合飼料を構成する原料の種類、配合飼料の組成や製法などは何ら制限されず、魚類の種類や月令などに応じて従来から既知の養魚用配合飼料のいずれをも使用することができるが、特に未精製魚油と共に他の精製油脂類を含有すると、未精製魚油の前記欠点が緩和されるので好ましい。限定されるものではないが、本発明の養魚用配合飼料は、例えば、魚粉、骨粉、フェザーミール、カキ殻、スキムミルク、チキンミール、肉骨粉、フィッシュソリュブル、甲殻類ソリュブル、大豆粕、綿実粕、トウモロコシ、小麦粉、小麦胚芽、米糠、食塩、ビタミン類、ミネラル類、ビール酵母、精製油脂類(但し米ヌカ油を除く)、抗酸化剤などのうちの1種または2種を用いて製造することができる。

訂正事項f
特許明細書の段落【0015】の記載を
「多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない本発明の配合飼料は、サケ類、マス類、タイ類、コイ、フナ、スズキ、ボラなどの体表面に比較的大きなウロコを有していてウロコの剥がれを生じ易い魚類に給与するのに適しており、特にサケ類、マス類などに適している。魚類への配合飼料の給与方法は特に制限されず、魚類の種類や月令などに応じてそれぞれの魚類に対して従来から採用されている方法で給与すればよい。ウロコの剥がれにくい養殖魚を生産するには、所定の期間に亙って多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない本発明の配合飼料を継続して給与するのが望ましい。」と訂正する。

訂正事項g
特許明細書の段落【0022】の記載を
「【発明の効果】
本発明の飼料を体表面にウロコを有する魚類に給餌すると、ウロコの剥がれが極めて少なくて、外見が良好な商品価値の高い養殖魚を生産することができる。
更に、魚類におけるウロコの剥がれが少ないので、魚の体表にウロコの剥がれによる傷が生じにくく、病原微生物がウロコが剥がれて傷になった箇所に寄生したり、その箇所から魚類の体内に侵入することが少なくなり、生育状態の良好な魚類を生産性よく得ることができる。
そして、本発明の飼料は、多穫性赤身魚類から採取された安価な未精製魚類を使用しているために、配合飼料の生産コストおよび養殖魚の生産コストを従来よりも下げることができる。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは特許明細書の特許請求の範囲の請求項1における「未精製魚油を添加したことを特徴とする」の記載を「多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、」と限定するとともに、上記限定に伴い請求項2を削除し、訂正前の請求項3を請求項2に繰り上げる、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するとともに、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項bないしgは、訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための明りょうでない記載の釈明と誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当しており、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるので、本件の請求項1及び2に係る発明(以下、順に「本件発明1」及び「本件発明2」という)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりの次のものと認められる。
【請求項1】 多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料。

【請求項2】 体表面にウロコを有する魚類に、請求項1の養魚用配合飼料を給与して、ウロコの剥がれを防止する方法。

(2)当審における取り消しの理由
当審が平成17年5月9日付けで通知した取消しの理由の概要は以下のとおりである。
特許第3402763号の請求項1に係る発明は、引用例1ないし6のいずれかに記載された発明であり、または少なくとも引用例1ないし6のいずれかに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、もしくは引用例7に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第1項第3号または第2項の規定に違反してなされたものである。
特許第3402763号の請求項2に係る発明は、引用例1ないし6のいずれかに記載された発明に引用例7に記載された発明を適用することにより、もしくは引用例7に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
特許第3402763号の請求項3に係る発明は、引用例1ないし7のいずれかに記載された発明であり、または少なくとも引用発明1ないし7のいずれかに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第1項第3号または第2項の規定に違反してなされたものである。
(ただしその後の訂正により特許第3402763号は請求項1及び2に訂正された。)

引用例
引用例1:ERLAND AUSTRENG and TORGER GJEFSEN “FISH OILS WITH
DIFFERENT CONTENTS OF FREE FATTY ACIDS IN DIETS FOR
RAINBOW TROUT FINGERLINGS AND SALMON PARR”
Aquaculture,25(1981) 173-183
引用例2:TESS INFORMASJON,FOR OG FORING 1985-86
引用例3:FISKEFORKATALOG 1984/85
引用例4:TOR HJERTNES and JOHANNES OPSTVEDT“Effects of Dietary
Protein Levels on Growth in Juvenile Halibut”,189-193,
The Proceedings of the Third International Symposium on
Feeding and Nutrition in Fish,August 28-September 1,
1989,Toba,Japan
引用例5:WERNER STEFFENS “PRINCIPLES OF FISH NUTRITION”,3.2 Fats 142 ,ELLIS HORWOOD LIMITED,1989
引用例6:「添加油のハマチにおよぼす影響について」塚原宏子・古川厚・ 船江克美著 水産庁 内海区水産研究所研究報告第24号
第29-50頁 昭42-3-25
引用例7:特開昭57-83255号公報
参考資料:Norsildmel “Norsalmoil”Updated10.11.98
上記引用例1ないし5及び参考資料は、それぞれ順に、特許異議申立人ヌトレコ・アクアカルチャー・リサーチ・センター・エーエスが提示した甲第1ないし3、5、7、10号証であり、上記引用例6、7はそれぞれ順に、特許異議申立人坂本飼料株式会社及びマリンネット株式会社が提示した甲第1、3号証である。

(3) 引用発明
(3-1) 引用例の頒布性について
上記引用例1、4ないし7は本件特許出願前に頒布された刊行物である。また上記引用例2、3は魚用飼料のカタログであり、引用例2の表紙には「1985-86」と、また引用例3の表紙には「1984/85」と、それぞれ記載されており、これらの引用例における引用箇所(後記)である「ノルサームオイル(Norsalmoil)」に関する記載は、本件特許出願前に頒布された刊行物である、引用例1(第1頁下から2行目)及び引用例4(第190頁 脚注2)にも共通して記載されていることから、同引用例2、3は本件特許出願前に頒布された刊行物であると推認される。

(3-2) 引用発明
引用例1ないし7には、それぞれつぎの発明が記載されていると認められる。 (以下、順に「引用発明1」ないし「引用発明7」という。)

(3-2-1)引用例1
引用例1(ERLAND AUSTRENG and TORGER GJEFSEN “FISH OILS WITH
DIFFERENT CONTENTS OF FREE FATTY ACIDS IN DIETS FOR RAINBOW TROUT
FINGERLINGS AND SALMON PARR”Aquaculture,25(1981)173-183)には、以下の記載が認められる。
(1-a) 「虹鱒と鮭の養魚の餌中の種々の遊離脂肪酸を含む魚油」(第173頁標題)
(1-b) 「従って、水産養殖で使用されるノルウェー・ヘリング・オイル・アンド・ミール・インダストリによって生産された魚油(ノルサームオイル)は、保証含有量が4.5%以下の遊離脂肪酸量である。」(第173頁下から第3-末行)
(1-c) 「これは、・・・一部は、添加油の約半分をペレット状とした後の給餌内に吸収させることにより促進された。これにより、実験1及び実験2の給餌に、それぞれ13.5%及び15.0%の添加油を含ませることが可能となった。」(第174頁下から8-3行)
(1-d) 第175頁の表Iには、実験に使用した、種々の遊離脂肪酸を含むカラフトシシャモ油を添加した、虹鱒と鮭の養魚の配合飼料の組成が記載されており、上記組成中には、米ヌカ油は含まれていない。
(1-e) 第175頁の表IIには、実験に使用したカラフトシシャモ油に含まれる遊離脂肪酸量(%)が記載されており、「実験1」の「L」及び「H」、「実験2」の「1」及び「2」には未精製油(crude oil)が用いられている。
上記の事項より、引用例1には次の発明(引用発明1)が記載されていると認められる。
「カラフトシシャモの未精製油(crude oil)を13.5%または15.0%添加し、米ヌカ油を添加しない、虹鱒と鮭の養魚の成育実験に用いる配合飼料。」

(3-2-2)引用例2
引用例2(TESS INFORMASJON,FOR OG FORING 1985-86)は魚用飼料のカタログであり、以下の記載が認められる。
(2-a) 第2頁には「ノルシルドメル(norsildmel)」による「ノルサームオイル(NorSalmOil)」の広告が掲載されている。
(2-b) 第20頁には、「ペレット5.0」の組成が記載されており、右上の図によれば、「ノルサームオイル(NorSalmOil)」を15.0%含むものであり、米ヌカ油は含まれていない。
(2-c) 第21頁には、「ペレット7.0又は10.0」の組成が記載されており、右上の図によれば、「ノルサームオイル(NorSalmOil)」を18.0%含むものであり、米ヌカ油は含まれていない。
上記の事項より、引用例2には次の発明(引用発明2)が記載されていると認められる。
「『ノルサームオイル(NorSalmOil)』を15.0%または18.0%含み、米ヌカ油を添加しない、魚用ペレット。」

(3-2-3)引用例3
引用例3(FISKEFORKATALOG 1984/85)は魚用飼料のカタログであり、以下の記載が認められる。
(3-a) 巻頭には「ノルシルドメル(norsildmel)」による「ノルサームオイル(NorSalmOil)」の広告が掲載されている。
(3-b) 第16頁には、「ノルサームオイル(NorSalmOil)」を11.3%含むペレット状飼料が記載されており、具体的な組成をみると、米ヌカ油は含まれていない。
(3-c) 第17頁には、「ノルサームオイル(NorSalmOil)」を12.0%含むペレット状飼料が記載されており、具体的な組成をみると、米ヌカ油は含まれていない。
上記の事項より、引用例3には次の発明(引用発明3)が記載されていると認められる。
「『ノルサームオイル(NorSalmOil)』を11.3%または12.0%含み、米ヌカ油を添加しない、魚用ペレット状飼料。」

(3-2-4)引用例4
引用例4(TOR HJERTNES and JOHANNES OPSTVEDT“Effects of Dietary
Protein Levels on Growth in Juvenile Halibut”,189-193,The
Proceedings of the Third International Symposium on Feeding and
Nutrition in Fish,August 28-September 1,1989,Toba,Japan)には以下の記載が認められる。
(4-a) 「飼料中の蛋白質の数値がオヒョウの幼魚に与える影響」(第189頁標題)
(4-b) 第190頁の表2には、実験に使用した配合飼料(1ないし3)の組成が記載されており、配合飼料1は魚油を16.0%、同じく配合飼料2は17.5%、配合飼料3は19.0%、それぞれ含むことが記載されている。そして、上記表2に記載された組成によれば、実験に使用した餌には米ヌカ油は添加されていない。
(4-c) 第190頁の表2における上記した「魚油」には脚注(脚注2)が付されており、同頁下部の欄外には「2 NorSalmOil」(ノルサームオイル)と記載されている。
上記の事項より、引用例4には次の発明(引用発明4)が記載されていると認められる。
「『ノルサームオイル(NorSalmOil)』を16.0%、17.5%、19.0%、それぞれ含み、米ヌカ油を添加しない、オヒョウの養魚の成育実験に使用した配合飼料。」

(3-2-5)引用例5
引用例5(WERNER STEFFENS “PRINCIPLES OF FISH NUTRITION”,3.2 Fats 142 ,ELLIS HORWOOD LIMITED,1989)には、以下の記載が認められる。
(5-a) 「油以外に固形脂肪も虹鱒のエネルギー源として考えられる。ジャン(1975)による実験で、脂肪補給剤に動物の死体が多く含まれているとき、虹鱒にとって不利な結果はなかった。天然のカラフトシシャモの油と比較して、カラフトシシャモからの固形の脂肪は成長を減らした。これはω3系のPUFAの減少が原因だった(オストレング1976c)。」(第142頁下から第12-7行)
上記の事項より、引用例5には次の発明(引用発明5)が記載されていると認められる。
「油以外に固形脂肪も虹鱒のエネルギー源として考えられ、脂肪補給剤に動物の死体が多く含まれていても虹鱒にとって不利な結果はなく、天然のカラフトシシャモの油と比較して、カラフトシシャモからの固形の脂肪は成長を減らした。」
(「動物の死体が多く含まれてい」る「天然のカラフトシシャモの油」は実質的に未精製の「カラフトシシャモの油」を意味しており、「カラフトシシャモからの固形の脂肪」は実質的に加工された「カラフトシシャモの油」を意味しているといえる。)

(3-2-6)引用例6
引用例6(「添加油のハマチにおよぼす影響について」塚原宏子・古川厚・船江克美著 水産庁 内海区水産研究所研究報告第24号 第29-50頁 昭42-3-25)には、以下の記載が認められる。
(6-a) 第30頁の表1 には、実験に使用した配合飼料(1ないし8)の組成が記載されており、配合飼料5はタラ肝油を5%、同じく配合飼料6は15%、配合飼料7は30%、それぞれ含むことが記載されている。そして、上記表1に記載された配合飼料の組成によれば、実験に使用した配合飼料には米ヌカ油は添加されていない。
(6-b) 「タラ肝油は分子蒸溜など行なわない原油であり・・・」(第31頁第3行)
上記の事項より、引用例6には次の発明(引用発明6)が記載されていると認められる。
「分子蒸溜など行なわない原油であるタラ肝油を5%、15%、30%、それぞれ含み、米ヌカ油を添加しない、添加油のハマチにおよぼす影響についての実験に使用した配合飼料。」

(3-2-7)引用例7
引用例7(特開昭57-83255号公報)には、以下の記載が認められる。
(7-a) 「残サイ魚油および米ヌカ油よりなり、ヨウ素価125より150の範囲であることを特徴とする養魚用飼料添加油。」(特許請求の範囲)
(7-b) 「残サイ魚油のヨウ素価は一般に高く、例えばイワシ主体の製造原料より採油された残サイ油の場合には、ヨウ素価190を示すことがあった。かかる残サイ魚油をそのまゝウナギに与えた場合にも健康なウナギを得ることも可能であったが、白焼きとした場合特にその保存中に変性することなど、製品のフレーバー保持の上で問題があった。」(第2頁左上欄第10-17行)
(7-c) 「残サイ魚油は缶詰工場、魚市場等より副生する魚腸骨より製造されるが、常用のアルカリ脱酸、湯洗、および脱臭処理を行った方がよい。」(第2頁左下欄第2-4行)
(7-d) 「養鰻用配合飼料に対し、5%および10%の本発明品を添加した投与区は、無添加区に較べ表-1に示すごとく3ヶ月の飼育試験の結果、それぞれ1.2?1.3倍の通算増重率を示した。更に対照区として使用したスケトウダラ肝油由来のフィードオイルにくらべても損色のない成績を示した。」(第2頁左下欄第12-18行)
(7-e) 「本発明にかかる混合油はウナギのみならず、タイ、ヒラメ、ハマチ等の海産魚に対する配合飼料飼育時の添加油として使用されうることは云うまでもない。」(第2頁右下欄第8-11行)
上記の事項より、引用例7には次の発明(引用発明7)が記載されていると認められる。
「缶詰工場、魚市場等より副生する魚腸骨より製造される、イワシ主体の製造原料より採油された残サイ魚油および米ヌカ油よりなり、ウナギのみならず、タイ、ヒラメ、ハマチ等の海産魚に対する配合飼料飼育時の添加油として使用されうる養魚用飼料添加油。」

(3-3) 対比・判断
(3-3-1) 本件発明1に対して
[理由1]
引用発明7は「イワシ主体の製造原料より採油された残サイ魚油および米ヌカ油よりなり、ウナギのみならず、タイ、ヒラメ、ハマチ等の海産魚に対する配合飼料飼育時の添加油として使用されうる養魚用飼料添加油」であり、上記「残サイ魚油」は「そのまゝ」(摘示事項(7-b))でも使用可能であるが、「常用のアルカリ脱酸、湯洗、および脱臭処理を行った方がよい」(摘示事項(7-c))とされている。
そして、魚油を未精製の状態で養魚用飼料に添加することは、例えば上記引用例1ないし6に記載されているようによく知られていることを勘案すると、同引用発明7は、「イワシ主体の製造原料より採油された残サイ魚油」を「タイ、ヒラメ、ハマチ等の海産魚に対する配合飼料飼育時の添加油」として「そのまゝ」で使用することを実質上開示しているといえる。
そこで、本件発明1と引用発明7とを対比すると、両者は「養魚用配合飼料」である点で共通しており、さらに引用発明7における「イワシ主体の製造原料より採油された残サイ魚油」は、本件発明1における「多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油」に実質的に対応するということができ、また引用発明7における「飼育時の添加油として使用されうる」は、本件発明1における「(魚油を)添加し」に、同様に「タイ、ヒラメ、ハマチ等の海産魚」は「体表面にウロコを有する魚類」に、それぞれ対応している。
そうすると、両者は「多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加した、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料」である点で一致し、
本件発明1は米ヌカ油を添加しないものであるのに対して、引用発明7は米ヌカ油を添加するものである点で相違している。
上記の相違点について検討すると、未精製魚油を添加した、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料において、米ヌカ油を添加しないことは引用発明1ないし4並びに引用発明6に例示されるようにむしろ普通のことであるから、引用発明7において米ヌカ油を添加しないこととすることは当業者が飼料設計上、適宜になし得る設計変更にすぎない。
ところで、本件発明の効果について、本件の明細書には、「養殖魚の商品価値を高める上で、ウロコの剥がれや体表の傷などがなくて外見的に優れていること、疾病に感染しておらず生育状態が良好であることが求められている」(段落【0002】【従来の技術】)という課題のもとに、「本発明の飼料を体表面にウロコを有する魚類に給餌すると、ウロコの剥がれが極めて少なくて、外見が良好な商品価値の高い養殖魚を生産することができる。
更に、魚類におけるウロコの剥がれが少ないので、魚の体表にウロコの剥がれによる傷が生じにくく、病原微生物がウロコが剥がれて傷になった箇所に寄生したり、その箇所から魚類の体内に侵入することが少なくなり、生育状態の良好な魚類を生産性よく得ることができる。
そして、本発明の飼料は、多穫性赤身魚類から採取された安価な未精製魚類を使用しているために、配合飼料の生産コストおよび養殖魚の生産コストを従来よりも下げることができる。」(段落【0022】【発明の効果】)という作用効果を奏するものであると記載されている。
ここで、養殖技術の分野において、養殖魚の商品価値を高めるために魚体に傷などがなく外見的に優れていること、魚体の傷に起因する疾病に感染しておらず生育状態が良好であることは当業者にとって自明な課題であり、上記した、魚体に傷などがなく外見的に優れていることはウロコの剥がれがないことでもあり、養殖魚の商品価値を高める上でウロコの剥がれがないこともまた、当業者にとって自明な課題であることは明らかである。
そして、「タイ、ヒラメ、ハマチ等」の体表面にウロコを有する「海産魚」の「配合飼料飼育時の添加油として使用されうる養魚用飼料添加油」である引用発明7において、米ヌカ油を添加しないといった、若干の設計変更を行って、これを「養魚用」、すなわち養殖用に用いれば、比較的安価な「イワシ主体の製造原料より採油された残サイ魚油」を用いることで生産コストが低く、またウロコの剥がれがない、商品価値の高い養殖魚を生産することができるであろうと、当業者であれば容易に予測するものであるから、本件発明1の上記効果も格別顕著なものとはいえない。
したがって、本件発明1は周知技術を参酌し、引用発明7に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

[理由2]
(i) 引用発明1は「カラフトシシャモの粗製油(crude oil)を13.5%または15.0%添加し、米ヌカ油を添加しない、虹鱒と鮭の養魚の成育実験に用いる配合飼料」であり、引用発明1における「虹鱒」及び「鮭」は本件発明1における「体表面にウロコを有する魚類」に、また、「カラフトシシャモの粗製油」は「未精製魚油」に、それぞれ対応している。
そうすると、引用発明1は、「未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料」を実質的に開示しているといえる。
(ii) 引用発明2は「『ノルサームオイル(NorSalmOil)』を15.0%または18.0%含み、米ヌカ油を添加しない、魚用ペレット」であり、引用例2の第20頁及び第21頁の右上の図が示す組成表から明らかなように、引用発明2に係る「魚用ペレット」は養魚用配合飼料であるといえる。
ところで上記参考資料によれば、「ノルサームオイル(NorSalmOil)」はカラフトシシャモとニシンから作られる未精製の魚油であり、引用発明2は該「ノルサームオイル(NorSalmOil)」を含む魚用ペレットとして、実質上、「体表面にウロコを有する魚類」の飼料としても使用されるものである。なお、参考資料は「10.11.98」に更新されたものであり、参考資料自体は本件特許の出願前に頒布された刊行物であるとはいえないが、該参考資料に記載されている「ノルサームオイル(NorSalmOil)」は本件特許の出願前に頒布された刊行物である引用例1(摘示事項(1-b))や引用例4(摘示事項(4-c))にも記載されているように本件特許の出願前既に公知であったことが明らかであって、「ノルサームオイル(NorSalmOil)」が未精製の魚油であることを参考資料により参酌することを妨げられるものではない。
そうすると、引用発明2は、「未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用としても使用される養魚用配合飼料」を実質的に開示しているといえる。
(iii) 引用発明3は「『ノルサームオイル(NorSalmOil)』を11.3%または12.0%含み、米ヌカ油を添加しない、魚用ペレット状飼料」であり、引用例3の第16頁及び第17頁の組成表から明らかなように、引用発明3に係る「魚用ペレット状飼料」は養魚用配合飼料であるといえる。
そして上記(ii)に記載したように、「ノルサームオイル(NorSalmOil)」は未精製の魚油であり、引用発明3は該「ノルサームオイル(NorSalmOil)」を含む「魚用ペレット状飼料」として、実質上、「体表面にウロコを有する魚類」の飼料としても使用されるものである。
そうすると、引用発明3は、「未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用としても使用される養魚用配合飼料」を実質的に開示しているといえる。
(iv) 引用発明4は「ノルサームオイル(NorSalmOil)」を16.0%、17.5%、19.0%、それぞれ含み、米ヌカ油を添加しない、オヒョウの養魚の成育実験に使用した配合飼料」であり、上記したように「ノルサームオイル(NorSalmOil)」は未精製の魚油である。そして、上記配合飼料は「オヒョウの養魚の成育実験に使用」したものであり、「オヒョウ」は「体表面にウロコを有する魚類」に属するものである。
そうすると、引用発明4は、「未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料」を実質的に開示しているといえる。
(v) 引用発明6は「分子蒸溜など行わない原油であるタラ肝油を5%、15%、30%、それぞれ含み、米ヌカ油を添加しない、添加油のハマチにおよぼす影響についての実験に使用した配合飼料」であり、「分子蒸溜など行わない原油であるタラ肝油」は未精製魚油であるとともに、「ハマチ」は「体表面にウロコを有する魚類」に属するものである。
そうすると、引用発明6は、「未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料」を実質的に開示しているといえる。
以上(i)ないし(v)をまとめると、引用発明1ないし4並びに引用発明6はいずれも、「未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料」を実質的に開示しているということができる。
そこで本件発明1(以下、「前者」という。)と引用発明1ないし4並びに引用発明6(以下、「後者」という。)とを対比すると、
両者は、未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料である点で一致しており、
添加する未精製魚油が、前者においては、多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油であるのに対して、後者においては、多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油であるか明確でない(引用発明1ないし4)か、あるいは多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油ではない(引用発明6)点で両者は相違すると認められる。
上記の相違点について検討すると、上記[理由1]に記載したように、引用発明7は「イワシ主体の製造原料より採油された残サイ魚油および米ヌカ油よりなり、ウナギのみならず、タイ、ヒラメ、ハマチ等の海産魚に対する配合飼料飼育時の添加油として使用されうる養魚用飼料添加油」であり、上記「残サイ魚油」は「イワシ主体の製造原料より採油された」ものであるから、多穫性赤身魚類から採取されたものであり、しかも同引用発明7は上記「残サイ魚油」を「そのまゝ」で使用することを実質上開示しているから、引用発明7は上記の相違点に係る構成を開示している。
さらに、多穫性赤身魚類から魚油を採取することは、例えば下記の周知例1ないし4にも例示されるように工業的にも確立した周知技術としてきわめて普通に行われている。
これらの事項を総合すると、後者における養魚用配合飼料に添加する未精製魚油として、多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を用いることは当業者であれば容易に想到することができたものである。
ところで上記[理由1]に記載したように、養殖技術の分野において養殖魚の商品価値を高める上でウロコの剥がれがないことは当業者にとって自明な課題である。そして、上記したとおり、未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料は引用発明1ないし4並びに引用発明6に開示されるように従来より様々な形で用いられており、一方、比較的安価な多穫性赤身魚類から魚油を採取することは従来周知であるとともに、多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を養魚用配合飼料に添加することも引用発明7が開示するところであり、それぞれの技術的意義は当業者に熟知されているから、引用発明1ないし4並びに引用発明6が開示する未精製魚油として、多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を用いれば、多穫性赤身魚類を用いることで生産コストが低く、またウロコの剥がれがない、商品価値の高い養殖魚を生産することができるであろうと、当業者であれば容易に予測するものであり、本件発明1の上記効果も格別顕著なものとはいえない。
したがって、本件発明1は、周知技術を参酌し、引用発明1ないし4並びに引用発明6のいずれかの発明と、引用発明7に基いて当業者が容易になし得たものであるから、本件発明1の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(3-3-2) 本件発明2に対して
[理由1]
本件発明2は「体表面にウロコを有する魚類に、請求項1の養魚用配合飼料(本件発明1)を給与して、ウロコの剥がれを防止する方法」であるところ、本件発明1については「(3-3-1) 本件発明1に対して」において、[理由1]に記載したとおり、周知技術を参酌し、引用発明7に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。しかもウロコの剥がれを防止するという課題は養殖技術の分野において自明な課題であり、本件発明1の効果についても、引用発明7から当業者であれば容易に予測し得るものであって、格別顕著なものとはいえない。
そうすると、当業者であれば、体表面にウロコを有する魚類に本件発明1に係る養魚用配合飼料を給与して、ウロコの剥がれを防止することは容易に想到することができたものである。
さらに具体的な給与方法について本件明細書を参照すると、段落【0018】に《実施例1》として、「市販のギンザケ用飼料」に対して、「その給与直前に該ギンザケ用飼料の重量に基づいて・・・未精製のイワシ油を10重量%の割合で添加」するものであり、「市販のギンザケ用飼料」に対して添加する「10重量%」という割合は、引用発明7における「10%」(摘示事項(7-d))という割合と一致しており、本件発明2の実施例をみても、当業者の予測の範囲を超えた独特な給与方法によるものではない。
したがって、本件発明2は、周知技術を参酌し、引用発明7に基いて当業者が容易になし得たものであるから、本件発明2の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

[理由2]
本件発明2は「体表面にウロコを有する魚類に、請求項1の養魚用配合飼料(本件発明1)を給与して、ウロコの剥がれを防止する方法」であるところ、本件発明1については「(3-3-1) 本件発明1に対して」において、[理由2]に記載したとおり、周知技術を参酌し、引用発明1ないし4並びに引用発明6のいずれかの発明と、引用発明7に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。しかもウロコの剥がれを防止するという課題は養殖技術の分野において自明な課題であり、本件発明1の効果についても、引用発明1ないし4並びに引用発明6のいずれかの発明と、引用発明7から予測しうる範囲内のものであって、格別顕著なものとはいえない。
そうすると、当業者であれば、体表面にウロコを有する魚類に本件発明1に係る養魚用配合飼料を給与して、ウロコの剥がれを防止することは容易に想到することができたものである。
さらに具体的な給与方法について本件明細書を参照すると、本件発明2の実施例は「市販のギンザケ用飼料」に対して「未精製のイワシ油を10重量%の割合で添加」(本件明細書の段落【0018】)するものである。
一方、引用発明1ないし4並びに6は、配合飼料に対してつぎの重量割合で未精製油を添加するものである。
引用発明1 13.5%または15.0%(摘示事項(1-c))
引用発明2 15.0%または18.0%(摘示事項(2-b)(2-c))
引用発明3 11.3%または12.0%(摘示事項(3-b)(3-c))
引用発明4 16.0% 、17.5%、19.0%(摘示事項(4-b))
引用発明6 5% 、15%、30%(摘示事項(6-a))
以上を総合すると、本件発明2が実施例において養魚用配合飼料に添加する未精製魚油の重量割合(10重量%)と、引用発明1ないし4並びに6の各発明が養魚用配合飼料に添加する未精製油の重量割合とは大きく相違するものではなく、本件発明2の実施例をみても、当業者の予測の範囲を超えた独特な給与方法というわけでもない。
したがって、本件発明2は、周知技術を参酌し、引用発明1ないし4並びに引用発明6のいずれかの発明と、引用発明7に基いて当業者が容易になし得たものであるから、本件発明2の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

【周知例】
1.松下七郎著「魚油とマイワシ」 初版第1刷 1991年11月25日 株式会社恒星社厚生閣 第59頁、第62頁
(特に第59頁下から第4-3行には「表4.13a,bは道東釧路の魚油・魚粉工場で・・・魚油・魚粉用原料魚としてのマイワシの・・・」と、また第62頁第14-19行には「魚油・魚粉工場における採油歩留り・・・現在のように装置産業化され,プラントの性能,搾油技術レベルが全国的に揃っている生産状況のもとでは工場別,月別採油歩留りは,それぞれの海区での漁獲時期におけるマイワシの含油率の実態を最も正しく示す数字である・・・」と、それぞれ記載されており、これらの記載から、周知例1には、マイワシから魚油を搾油することが記載されているといえる。)
2.外山健三外2名編「水産油糧学」 初版 1988年5月30日 株式会社恒星社厚生閣 第174頁
(第174頁第10-11行には、「養魚飼料用添加油としては,上述したフィードオイル(タラ肝油精製油)以外にイカ肝油,サバ油,イワシ油,サケ油,カツオ油などが使用されている」と記載されており、上記記載から、周知例2には、養魚飼料用添加油としてサバ油,イワシ油などが使用されていることが記載されているといえる。)
3.日本油化学協会編「油脂化学便覧」 第3版第2刷 昭和41年10月30日 丸善株式会社 第16-21頁
(第16-17頁には、「魚油」(表1・9)として「イワシ油」、「サバ油」、「サンマ油」、「マアジ油」が、また第20-21頁には、「銀サメ肝油,その他の肝油」(表1・12)として「イワシ肝油」、「サバ肝油」が、それぞれ記載されている。)
4.FRANK D. GUNSTONE 外2名編 「THE LIPID HANDBOOK」1986 ,第134頁(3.186表には、「市販魚油の性状」として「イワシ」が例示されている。)
(上記周知例1ないし4は、それぞれ特許異議申立人青山琢が提示した甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証である。)
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件発明1及び2は、上記理由1または2に記載した理由により、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明1及び2についての特許は拒絶の査定をしなけらばならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
養魚用配合飼料
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料。
【請求項2】体表面にウロコを有する魚類に、請求項1の養魚用配合飼料を給与して、ウロコの剥がれを防止する方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料および該養魚用配合飼料を体表面にウロコを有する魚類に給与してウロコの剥がれを防止する方法に関する。詳細には、体表面にウロコを有する魚類におけるウロコの剥がれが極めて少なくて、外見が良好で、商品価値の高い魚類を生産することのできる養魚用配合飼料および該養魚用配合飼料を体表面にウロコを有する魚類に給与してウロコの剥がれを防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
200海里問題、漁業資源の減少、魚類が生息する水域環境の汚染などの種々の理由により、魚介類を人工的に飼育する養殖業が近年盛んに行われるようになり、その規模もますます大きなものとなっており、魚種によっては天然魚よりも養殖魚の生産量が上まわっているものもある。そして、養殖魚の商品価値を高める上で、ウロコの剥がれや体表の傷などがなくて外見的に優れていること、疾病に感染しておらず生育状態が良好であることが求められている。
【0003】
魚類を養殖して流通、販売するに当たっては、育成期間の途中で大きさを揃えるために網などを使用して選別作業を行ったり、飼育水域の浄化のために魚類を別の水域に移したり、流通や販売のために魚類を生きたまま出荷して移動したり輸送したりすることが度々行われているが、そのような作業に際して魚体に無理やストレスなどがかかることが多い。また、魚類は通常養殖水域中でかなり密集した状態で飼育されるところから、魚類同士の体が互いに触れたり、水槽の内壁に触れたりして魚類の体表などに傷を生じることも多い。そして、上記のような状況下において、サケ類、マス類、タイ類、コイ、フナなどの比較的大きなウロコを有する魚類ではウロコの剥がれがたびたび生ずる。ウロコの剥がれた魚類は外見が不良になって商品価値が著しく低下し、しかも病原微生物がウロコの剥がれて傷になった箇所に寄生したり、その箇所から魚類の体内に侵入し易くなって、疾病、発育不全などを生じ易く、例えばウロコの剥がれたサケ類などではビブリオ病、せっそう病などの疾病に感染し易く、かかる点からも魚類の商品価値の低下、および生産性の低下を招く原因ともなっている。そのようなウロコの剥がれを防止するための方策が従来からも色々検討されているが、充分に満足のゆく方法が見いだされていないのが現状である。
【0004】
一方、魚類の養殖に用いられる飼料は、▲1▼生鮮魚および/または冷凍魚をそのまま用いる生餌;▲2▼生鮮魚および/または冷凍魚と魚粉、植物油粕、その他の乾燥飼料を混合成形して得られるモイストペレット;並びに▲3▼魚粉やその他の蛋白質源、植物油粕、小麦粉などの穀粉類、油脂類、その他の乾燥した飼料成分に、ビタミン類やミネラル類などを添加してマッシュまたはペレット状に加工した配合飼料の3種類に大別される。
【0005】
そして、上記した3種の養魚用飼料のうちで、配合飼料は、魚の種類や月令などに応じて飼料中の成分の調節が容易で栄養のバランスの採れた飼料を調製できる、保存性が良好である、保存、運搬、魚類への給与時などの取扱い性に優れている、一定の品質のものを安定して製造、供給、入手することができるなどの種々の点で優れており、近年その使用量が大幅に伸びている。そして、ブリ類などの特定の魚を除いて、大半の養殖魚では養魚用飼料中に占める配合飼料の使用割合がますます増加する傾向にある。
【0006】
魚類は一般に蛋白質の要求量が多いため、養魚用配合飼料は上記したような魚粉などの蛋白質飼料を主成分とし、これに植物油粕、小麦粉等の穀粉類、油脂類、ビタミン、ミネラル類などを少量成分と配合して調製されている。魚類は蛋白質の消化能力および代謝能力に優れているが、炭水化物の消化および代謝能力が低く小麦粉などの炭水化物をエネルギーに変える能力に劣っており、そのため魚類を成長させるために給与される貴重な蛋白質が成長に使用されずにエネルギー源として消費されることが多い。そこで、蛋白質がエネルギー源として過度に消費されるのを防止する目的で、養魚用配合飼料に対してその製造時または魚類への給与時に油脂類がエネルギー源として添加される。
【0007】
配合飼料に添加される油脂類としては、必須脂肪酸の供給源としてタラ肝油またはイカ肝油が最も汎用されており、その他に大豆油、米糠油などの植物油、イワシ油などの他の魚油が用いられているが、変色や酸敗の防止、その他の変質の防止、においの除去、取扱い性などの点から、いずれの油脂を使用する場合であっても精製油が専ら用いられている。すなわち、未精製油は、変色や酸敗などの変質が起こり易く、においが強く、低温時に白く固まって取扱が困難になるなどの種々の理由から養魚用配合飼料には従来用いられていなかった。そして、配合飼料に添加される精製タラ肝油、精製イワシ油などの精製魚油は、一般に、油中に含まれる不溶性の夾雑物および水を除去した後に、脱ガム-脱酸-水洗-乾燥-脱色-水素化反応-脱臭という極めて多くの工程を経て製造されており、そのため精製油を得るのに繁雑な手間およびコストがかかり、これが養魚用配合飼料の価格の上昇の一因ともなっている。
【0008】
【発明の内容】
上記のような状況下に、本発明者らは、多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を、魚類のエネルギー源用の油脂分として使用して養魚用配合飼料に添加して魚類に給与してみたところ、予想外にもウロコの剥がれを大幅に低減することができ、外見および生育状態の極めて良好な商品価値の高い養殖魚を得ることができ、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない、体表面にウロコを有する魚類用の養魚用配合飼料である。
そして、本発明は、
(2)体表面にウロコを有する魚類に、前記(1)の養魚用配合飼料を給与して、ウロコの剥がれを防止する方法である。
【0010】
養魚用配合飼料において従来使用されてきた精製魚油は、通常、(a)イワシ等の魚の組織からまず原油を採取する工程;(b)原油から不溶性夾雑物および水分を除去する工程;(c)酸などを添加してリン脂質、ガム質、金属塩、ステロールなどを除去する脱ガム工程;(d)アルカリなどを添加して遊離酸、着色成分、金属塩、油溶性リン脂質、有臭成分などを除去する脱酸工程;(e)石鹸分などを除くための水洗工程;(f)乾燥工程;(g)着色成分、石鹸分、不鹸化物、金属化合物などを除くための脱色工程;(h)油脂中の不飽和基をなくす水素化反応工程;(i)遊離脂肪酸、色素、不鹸化物などを除く脱臭工程などの一連の工程を経て製造されており、工程(a)から得られる原油および工程(b)から得られる粗油は未精製魚油として取り扱われている。そしてその場合に、工程(a)および工程(b)を分けて行わずに遠心分離機を利用して未精製油を採取する方法もある。
【0011】
そして、本発明では、イワシ等の多穫性赤身魚類の組織から採取した上記の工程(a)で得られた原油、または工程(a)で得られる原油から不溶性夾雑物および水を除去しただけの工程(b)で得られる粗油を養魚用配合飼料中に添加する。その場合に、工程(a)における原油の採取方法、工程(b)における粗油中に含まれる不溶性夾雑物および水の除去方法などは特に制限されず、上記した工程(a)および工程(b)として従来から採用されているいずれの方法で採取したものであってもよい。また、工程(b)の後に、水を加えて水溶性夾雑物を除去する工程を付加して得られた油を用いてもよい。いずれにしろ、本発明でいう未精製魚油とは、多穫性赤身魚類の組織から採取したままの原油、或いは原油から採取夾雑物や水などを物理的手段により除去しただけで脱ガムや脱酸などの化学的処理を施してないものをいう。
また、本発明の目的の達成のために、本発明では未精製魚油として、イワシ、アジ、サバ、サンマなどの多穫性赤身魚類から採取されたものを用いる(以下、本発明で用いる「多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油」を単に「未精製魚油」ということがある)。
【0012】
配合飼料への未精製魚油の添加量は配合飼料を給与する魚類の種類、月令などに応じて適宜調節できるが、一般に、未精製魚油をも含めた配合飼料の全重量に基づいて、約5?40重量%とするのが、ウロコの剥がれ防止および成長促進の点から好ましく、約10?30重量%とするのがより好ましい。配合飼料における未精製魚油の添加量が5重量%未満であると、ウロコの剥がれ防止効果が充分ではなく、一方40重量%を超えると配合飼料がべとついて取り扱い性が劣り、成形等が困難となる。
【0013】
配合飼料への未精製魚油の添加は配合飼料の製造時または配合飼料の魚類への給与時のいずれの時点で行ってもよい。配合飼料の製造時に未精製魚油を添加する場合は、未精製魚油を魚粉やその他の配合飼料用の原料と混合して従来既知の方法によってペレット状やマッシュ状などの形態の配合飼料を製造すればよく、また配合飼料を魚類に給与する際に未精製魚油を添加する場合はペレット状やマッシュ状などに形成加工された配合飼料に未精製魚油を混合してそれを魚類に給与するとよい。いずれの場合も未精製魚油は常温では固形状をなしていることが多いので、約50?90℃程度の温度に加熱して溶融して配合飼料に添加するのがよい。未精製魚油は、精製処理が施されていないことにより、リン脂質、ガム質、金属塩、ステロール、遊離酸、着色成分、有臭成分などの種々の成分を含有していて変色や酸敗などの変質が起こり易いので、未精製魚油を配合飼料の製造時に添加した場合には得られた配合飼料の変質などが生じ易く、かかる点から魚類への配合飼料の給与時に配合飼料中に未精製魚油を添加するのが好ましい。
また、未精製魚油を配合飼料の製造時に添加する場合は、エトキシキン、BHTなどの通常配合飼料に用いられる抗酸化剤を0.05%程度添加しておくと、変質が防止される。
【0014】
そして本発明では、多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しないこと以外の点では、配合飼料を構成する原料の種類、配合飼料の組成や製法などは何ら制限されず、魚類の種類や月令などに応じて従来から既知の養魚用配合飼料のいずれをも使用することができるが、特に未精製魚油と共に他の精製油脂類を含有すると、未精製魚油の前記欠点が緩和されるので好ましい。限定されるものではないが、本発明の養魚用配合飼料は、例えば、魚粉、骨粉、フェザーミール、カキ殻、スキムミルク、チキンミール、肉骨粉、フィッシュソリュブル、甲殻類ソリュブル、大豆粕、綿実粕、トウモロコシ、小麦粉、小麦胚芽、米糠、食塩、ビタミン類、ミネラル類、ビール酵母、精製油脂類(但し米ヌカ油を除く)、抗酸化剤などのうちの1種または2種を用いて製造することができる。
【0015】
多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない本発明の配合飼料は、サケ類、マス類、タイ類、コイ、フナ、スズキ、ボラなどの体表面に比較的大きなウロコを有していてウロコの剥がれを生じ易い魚類に給与するのに適しており、特にサケ類、マス類などに適している。魚類への配合飼料の給与方法は特に制限されず、魚類の種類や月令などに応じてそれぞれの魚類に対して従来から採用されている方法で給与すればよい。ウロコの剥がれにくい養殖魚を生産するには、所定の期間に亙って多穫性赤身魚類から採取された未精製魚油を添加し、米ヌカ油を添加しない本発明の配合飼料を継続して給与するのが望ましい。
【0016】
【実施例】
以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが本発明はそれにより限定されない。
【0017】
《参考例 1》(未精製イワシ油の採取)
イワシの組織から採取したイワシ原油を加熱しながら撹拌して約65℃の溶融状態にし、約65℃に達した時点で撹拌を停止し、約12時間静置して水分および夾雑物を沈降させて除去した。得られたイワシ粗油を再び加熱して約80℃の溶融状態にし、これに同程度の温度の温水を30?50%程度加え、静置した後、下層の水分および夾雑物を除去し、得られたイワシ粗油を減圧乾燥機で乾燥して水分を除去して、未精製イワシ油(イワシ粗油)を得た。
【0018】
《実施例 1》
(1)淡水飼育池で平均体重190?200g/匹に飼育したギンザケ種苗をそれぞれ11050匹(第1区;試験区)および10000匹(第2区;対照区)用意し、これらのギンザケ種苗を4日間かけて海水に馴致させた。
(2)市販のギンザケ用飼料(日清製粉株式会社製「ギンザケXP」)(魚粉50?60重量%含有;粗蛋白質含量43重量%、粗脂肪含量15重量%に調整)に対して、その給与直前に該ギンザケ用飼料の重量に基づいて上記の参考例1で得られた未精製イワシ油を10重量%の割合で添加して、これを第1区のギンザケ種苗に、平成4年11月13日から平成5年8月10日の出荷時まで約9カ月間に亙って給与した。その結果、飼育期間中のギンザケの平均体重の推移は下記の表1に示すとおりであった。また、出荷時のギンザケのウロコの剥がれ具合を、Aランク(殆ど脱鱗なし)、Bランク(体表の1/8未満で脱鱗)、Cランク(体表の1/8以上?1/4未満で脱鱗)およびDランク(体表の1/4以上で脱鱗)の4つのランクに分けて数えて、ウロコの剥がれ具合を評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0019】
(3)上記(2)で使用したのと同じギンザケ用飼料(日清製粉株式会社製「ギンザケXP」)に対して、その給与直前に該ギンザケ用飼料の重量に基づいて市販の精製イワシ油(日清飼料株式会社製「A-オイル」)を10重量%の割合で添加して、これを第2区のギンザケに、やはり平成4年11月13日から平成5年8月10日の出荷時まで約9カ月間に亙って第1区のギンザケの場合と同様にして給与した。その結果、飼育期間中のギンザケの平均体重の推移は下記の表1に示すとおりであった。また、出荷時のギンザケのウロコの剥がれ具合のランク付けを、上記の(2)と同様に行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0020】
【表1】

【0021】
上記表1の結果から、未精製イワシ油を添加した配合飼料を給与している第1区(試験区)では、Aランク(殆ど脱鱗なし)のギンザケの割合が43%と高く、しかもAランクおよびBランク(体表の1/8程度まで脱鱗)のギンザケの合計割合が71%であり、ウロコの剥がれが極めて少なく、外見的に良好なギンザケが得られること、またはギンザケの生育状態も良好で体重の増加が大きいことがわかる。
それに対して、精製イワシ油を添加した配合飼料を給与している第2区(対照区)では、Cランク(体表の1/8以上?1/4未満で脱鱗)およびDランク(体表の1/4以上で脱鱗)のギンザケの合計割合が48%にも達していて、ウロコの剥がれが大きく、外見的に不良なギンザケになること、さらにギンザケの生育状態も不良で、増体重効果が劣っていることがわかる。
【0022】
【発明の効果】
本発明の飼料を体表面にウロコを有する魚類に給餌すると、ウロコの剥がれが極めて少なくて、外見が良好な商品価値の高い養殖魚を生産することができる。
更に、魚類におけるウロコの剥がれが少ないので、魚の体表にウロコの剥がれによる傷が生じにくく、病原微生物がウロコが剥がれて傷になった箇所に寄生したり、その箇所から魚類の体内に侵入することが少なくなり、生育状態の良好な魚類を生産性よく得ることができる。
そして、本発明の飼料は、多穫性赤身魚類から採取された安価な未精製魚類を使用しているために、配合飼料の生産コストおよび養殖魚の生産コストを従来よりも下げることができる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-12-22 
出願番号 特願平6-167500
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A23K)
最終処分 取消  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 渡部 葉子
白樫 泰子
登録日 2003-02-28 
登録番号 特許第3402763号(P3402763)
権利者 日清丸紅飼料株式会社
発明の名称 養魚用配合飼料  
代理人 辻 良子  
代理人 藤 文夫  
代理人 辻 良子  
代理人 西島 孝喜  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 箱田 篤  
代理人 今城 俊夫  
代理人 村社 厚夫  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 辻 邦夫  
代理人 小川 信夫  
代理人 箱田 篤  
代理人 大塚 文昭  
代理人 今城 俊夫  
代理人 西島 孝喜  
代理人 中村 稔  
代理人 中村 稔  
代理人 小川 信夫  
代理人 河野 哲  
代理人 辻 邦夫  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 大塚 文昭  
代理人 中村 誠  
代理人 村社 厚夫  
代理人 宍戸 嘉一  

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