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審決分類 審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  D05B
審判 全部無効 産業上利用性  D05B
審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備  D05B
審判 全部無効 特174条1項  D05B
管理番号 1152386
審判番号 無効2004-80082  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-06-23 
確定日 2007-01-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3401657号発明「シリンダー型ミシン」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3401657号に係る発明についての出願は、平成6年10月15日に特許出願されたものであって、平成15年2月28日に特許権の設定登録がされたものである。
これに対して、平成16年6月23日付けで、株式会社森本製作所(以下「請求人」という)より無効審判の請求がなされ、被請求人から平成16年9月10日付けで答弁書が提出され、その後、請求人から平成16年11月25日付けで、被請求人から平成16年11月19日付けでそれぞれ口頭審理陳述要領書が提出され、平成17年1月27日に口頭審理が行なわれたものである。
請求人は、被請求人の答弁書を受け、口頭審理陳述要領書において、無効理由3で新規事項の追加として指摘した事項は、特許法第36条にも違反する旨主張し、被請求人は、これを本件審判事件で併せて審理することに同意したので、審判長は、被請求人に対し、口頭審理陳述要領書に追加された部分を含めた請求人の主張に対し、答弁書を提出するよう、期間を指定して答弁指令の告知を行なった。
その後、被請求人から平成17年2月18日付けで、審判事件答弁書(第2回)と訂正請求書が提出され、請求人から平成17年3月18日付けで、弁駁書が提出された。

2.訂正の適否
被請求人は、平成17年2月18日付け訂正請求書により、本件特許明細書の訂正を請求しているので、まずこの訂正の可否について検討する。

(A)訂正の内容
上記訂正請求書の訂正の内容は、本件特許の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであり、その訂正の内容は、以下の訂正事項(a)ないし(g)のとおりである。

訂正事項(a)
特許請求の範囲の請求項1における「該主軸の回転運動」を「該主軸の一方向回転運動」と訂正する。
訂正事項(b)
特許請求の範囲の請求項1における「上記主軸」を「主軸」と訂正する。
訂正事項(c)
特許請求の範囲の請求項1における「挿入配置」を「挿通配置」と訂正する。
訂正事項(d)
特許請求の範囲の請求項2における「挿入配置」を「挿通配置」と訂正する。
訂正事項(e)
明細書の段落【0007】における「上記主軸と、この主軸と平行状に配置されて該主軸の回転運動」を、「主軸と、この主軸と平行状に配置されて該主軸の一方向回転運動」と訂正する。
訂正事項(f)
明細書の段落【0007】における二箇所の「挿入配置」を、「挿通配置」と訂正する。
訂正事項(g)
明細書の段落【0010】における「挿入配置」を、「挿通配置」と訂正する。
(B)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項(a)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「該主軸の回転運動を」を、それよりも下位概念である「該主軸の一方向回転運動を」に限定しようとするものである。
そして、「主軸の一方向回転運動」は、願書に添付した明細書の【0009】段落等に記載されている事項である。
したがって、上記訂正事項(a)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

上記訂正事項(b)は、「上記主軸」と記載されているよりも前の文章中に、引用すべき「主軸」との文言が使用されていないことから、「上記」が誤記であることは明らかであるので、誤記の訂正を目的とするものである。
そして、訂正事項(b)は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

上記訂正事項(c)及び(d)について検討すると、願書に最初に添付した明細書中には、第2送り上下軸と第2送り前後軸の配置について「挿通配置」という文言が、【0024】段落に使用されており、「挿入配置」との文言は、「挿通配置」と類似する文言であることから、訂正事項(c)及び(d)は、その後の明細書の補正で、第2送り上下軸と第2送り前後軸の配置について、「挿通配置」と記載すべき部分を誤って「挿入配置」とした誤記の訂正を、目的とするものであると認められる。
そして、願書に添付した明細書の【0019】及び【0022】段落に、第2送り上下軸と第2送り前後軸の配置について、「挿通配置」と記載されているので、訂正事項(c)及び(d)は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

訂正事項(e)ないし(g)は、訂正事項(a)ないし(d)の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と、明細書の発明の詳細な説明の記載とを整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項(e)ないし(g)は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(C)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年改正前の特許法第134条第2項ただし書の規定及び同条第5項において準用する平成6年改正前の特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件発明
上記訂正が認められるので、本件の請求項1ないし3に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものである。

【請求項1】 ほぼ矩形箱状のベッド部主部とこのベッド部主部から側方へ突出し、その上面には針板が設けられている筒状のシリンダー部とからなるベッド部を備え、上記シリンダー部に、上記針板の針落ち孔前後に形成された送り歯用溝に対して出没する前送り歯および後送り歯を設け、この前送り歯および後送り歯を取り付けた前送り台および後送り台をそれぞれ送り方向の前後において上下方向に駆動移動させる上下方向駆動機構と前後方向駆動機構との合成により前送り歯および後送り歯を楕円状に循環運動させるように構成してなるシリンダー型ミシンであって、
主軸と、この主軸と平行状に配置されて該主軸の一方向回転運動を運動変換機構を介して所定角度範囲内の往復回転運動に変換された第1送り上下軸および第1送り前後軸とが上記ベッド部におけるベッド部主部内の配置に止められる構成で設けられているとともに、上記第1送り上下軸の往復回転運動を上記上下方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸と上記第1送り前後軸の往復回転運動を上記前後方向駆動機構に伝達する第2送り前後軸のみが上記ベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置される構成で設けられていることを特徴とするシリンダー型ミシン。
【請求項2】 ほぼ矩形箱状のベッド部主部とこのベッド部主部から側方へ突出し、その上面には針板が設けられている筒状のシリンダー部とからなるベッド部を備え、上記シリンダー部に、上記針板の針落ち孔前後に形成された送り歯用溝に対して出没する前送り歯および後送り歯を設け、この前送り歯および後送り歯を取り付けた前送り台および後送り台をそれぞれその前後において上下方向に駆動移動させる上下方向駆動機構と前後方向駆動機構との合成により前送り歯および後送り歯を楕円状に循環運動させるように構成してなるシリンダー型ミシンであって、
上記ベッド部におけるベッド部主部内に設けた主軸及びこの主軸と平行状に配置されて該主軸の一方向回転運動をベッド部主部内の運動変換機構を介して所定角度範囲内の往復回転運動に変換された第1送り上下軸および第1送り前後軸を上記ベッド部におけるベッド部主部内の配置に止めて設けるとともに、上記第1送り上下軸に連動してその往復回転運動を上記前送り歯および後送り歯の上下方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸と、上記第1送り前後軸に連動してその往復回転を上記前送り歯および後送り歯の前後方向駆動機構に伝達する第2送り前後軸のみを、上記ベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置して設けていることを特徴とするシリンダー型ミシン。
【請求項3】 上記第2送り上下軸が縫製部の送り方向の前後に2本配置され、これら2本の第2送り上下軸を介して上記上下方向駆動機構を上下に駆動することで、前送り歯と後送り歯の上下運動量が同一になるように構成している請求項2に記載のシリンダー型ミシン。

4.請求人の主張及び証拠
請求人は、証拠を提出するとともに、本件特許には、概略以下の無効理由1ないし3がある旨主張している。

【無効理由1】(記載要件違反)
(縫い調子の良い位置、小径のシリンダについて:特許法第36条第5項第2号違反)
請求人の主張の概要:
本件明細書には、本件発明は、「主軸を針板に対して縫い調子のよい位置に配置しながらも、シリンダー部を小径化して、手首部のような小径縫製物の縫製にも適用することができるシリンダー型ミシンを提供することを目的とする」と記載されている(本件特許公報第4欄第29?33行)。
かかる目的を達成するためには、必須構成として、縫い調子のよい位置に配置した構成、このよい位置に配置した状況下においてシリンダー部内の機構等が小型化されてシリンダー部が小径化された構成が把握できなければならない。
ところが、本件特許明細書の請求項1は、縫い調子のよい位置に配置した構成が見受けられず,また、その特徴構成においても、シリンダー部内の機構・軸部材等が小型化されてシリンダー部が小径化された構成が見受けられず、さらに、運動変換機構については、その大きさのみならず、その構成すら不明であり、さらには、上下方向駆動機構・前後方向駆動機構については、従来の前提構成を引用しているもので、従来に比べて小型化されているとは認められず、これでは、上記目的を達成するための必須構成が記載されているとは到底いえないものである。
本件特許明細書の請求項2についても、同様の理由により、請求項1の場合と同様、上記目的を達成するための必須構成が記載されているとは到底いえないものである。
本件特許明細書の請求項3は、上記請求項2を引用する形式で記載されており、請求項3で加わった構成をふまえても、必須の構成が記載されていない。
以上のとおり、本件特許明細書の請求項1?3の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項を記載しているものではないため、第36条第5項第2号の規定に違反するものである。

【無効理由2】(記載要件違反等)
(第1送り上下軸22等のベッド部主部への配置、第2送り上下軸等のシリンダー部内への配置:特許法第36条第4項第29条第1項柱書、第36条第5項第2号違反)
請求人の主張の概要:
本件明細書の、発明の詳細な説明及び図面の記載によっては、第1送り上下軸22及び第1送り前後軸23をベッド部主部13内に配置させることができず、また、第2送り上下軸32A、32Bと第2送り前後軸35もシリンダー部14内に挿入配置させることができないので、本件明細書は、当業者が容易に本件発明の実施をすることができる程度に記載されていない。
すなわち、第1送り上下軸22及び第1送り前後軸23をベッド部主部の軸受に挿入するためには、これらの先端に腕部が突出して設けられているため、これらの後端をシリンダー部14側に位置させ、シリンダー部14側から軸受に向けて挿入するほかない。
一方、本件特許公報第6欄第38?39行には、シリンダー部14について、「ベッド部主部13の左端部の手前側上部から左側方へ一体に突出する筒状のシリンダー部14」と記載されており、この筒状のシリンダー部14がベッド部主部13から「一体に突出する」構成とされているため、第1送り上下軸22及び第1送り前後軸23をシリンダー部14側に位置させて、ベッド部主部13の軸受に向け挿入することはできず、第1送り上下軸22及び第1送り前後軸23をベッド部主部13内に配置させることは不可能である。
また、第2送り上下軸32A及び32Bをそれぞれシリンダー部の軸受に挿入するためには、これらの先端に偏心部が突出して設けられているため、これらをシリンダー部14の先端側から軸受に向けて挿入するほかない。しかし、本件特許公報第6欄第38?39行記載のように、筒状のシリンダー部14がベッド部主部13から「一体に突出する」構成とされているため、第2送り上下軸32A、32Bの後端を、シリンダー部14の先端側から軸受に向けて挿入し、シリンダー部14内に配置させることは不可能である。
また、筒状のシリンダー部14をベッド部主部13から一体に突出する構成では、第2送り上下軸32A及び32Bを、ベッド部主部13内にセッテイングされた第1送り上下軸22と筒状のシリンダー部14内に挿入配置された上下方向駆動機構とに連結することも事実上無理であり、第2送り前後軸35を、ベッド部主部13内にセッテイングされた第1送り前後軸23と、筒状のシリンダー部14内に挿入配置された前後方向駆動機構とに連結することも事実上無理である。
したがって、本件特許明細書の「発明の詳細な説明」は、当業者が容易に本件発明の実施をすることができる程度に記載されていない。
また、本件特許請求の範囲に記載の請求項1ないし請求項3の発明は、実施が不可能であって、産業上利用することができる発明ではない。
さらに、本件特許請求の範囲に記載の請求項1ないし請求項3の発明は、実施が不可能なのであるから、請求項1ないし請求項3の記載は、実施を可能にするための必須構成(発明の構成に欠くことができない事項)が欠けているものである。
よって、本件特許明細書の「発明の詳細な説明」は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしておらず、また、この発明の詳細な説明に記載された発明に基づく特許請求の範囲に記載の請求項1ないし3の発明は、特許法第29条第1項柱書の規定に違反し、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないものである。

【無効理由3】(新規事項の追加等)
(その1)(主軸回転について:特許法第17条第2項第36条違反)
請求人の主張の概要:
本件の願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」と言う)では、請求項1に「主軸の一方向回転運動」と記載されていたところ、平成12年1月28日付けの手続補正書(甲第3号証)により、該記載は「主軸の回転運動」と補正された。
この結果、本件請求項1の発明は、一方向回転運動をするものだけでなく、例えば往復回転運動をするものも含むことになる。
しかし、本件の当初明細書及び図面には、主軸が一方向回転運動をするものしか記載されていない。
よって、本件特許は、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正をした特許出願に対してなされたものではなく、この補正可能範囲を逸脱して補正した特許出願に対してなされたものである。

なお、被請求人の答弁書の主張に対して、口頭審理陳述要領書で、上記(その1)に関し、次の無効理由が主張された。
本件明細書には、主軸が一方向回転運動以外の回転運動をするミシンについて、当業者が容易に実施できるようには記載されていないので、本件特許明細書の「発明の詳細な説明」は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしておらず、また、請求項1の発明は実施できないものを含むから、請求項1の記載は、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないものである。

(その2)(挿入配置について:特許法第17条第2項違反)
請求人の主張の概要:
平成14年8月26日付け手続補正(甲第4号証)の結果、本件特許明細書の請求項1は、「第2送り上下軸」及び「第2送り前後軸」が「ベッド部主部からシリンダー部にまで延出させて設け」られている構成から、「ベッド部におけるシリンダー部内に挿入配置される構成で設けられている」との構成を含むように補正されたが、この構成は、上記「第2送り上下軸」及び「第2送り前後軸」を実施不可能なべッド部主部側からシリンダー部内に挿入して配置するものだけでなく、たとえばシリンダー部先端側からシリンダー部内に挿入して配置するものも含むものである。
しかし、当初明細書の「発明の詳細な説明」及び図面には、上記「第2送り上下軸」及び「第2送り前後軸」を実施不可能なべツド部主部側からシリンダー部内に挿入配置するものしか記載されておらず、「第2送り上下軸」及び「第2送り前後軸」をシリンダー部先端側からシリンダー部内に挿入配置することは記載されていない。
したがって、請求項1の発明についての特許は、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正をした特許出願に対してなされたものではない。
また、請求項2及び請求項3の発明についての特許も、上記と同様の理由により、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正をしたものではない特許出願に対してなされたものである。
よって、本件特許は、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正をした特許出願に対してなされたものではなく、特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。

〈証拠方法〉
甲第1号証 :特許第3401657号公報
甲第2号証 :平成6年10月15日出願の願書・明細書・図面・要約書
甲第3号証 :平成12年1月28日提出の手続補正書
甲第4号証 :平成14年8月26日提出の手続補正書

5.被請求人の主張及び証拠
被請求人は、請求人の主張はいずれも失当であるから、本件無効審判は理由がないとの審決を求める旨主張している。各無効理由に対する被請求人の主張の概要は、次のとおりである。

【無効理由1について】
本件明細書記載の発明の目的または課題は、シリンダー型ミシンについて、主軸と針板との縫い調子の良い位置関係を担保しながら、かつシリンダー部を従来のものよりも小径化することである。
そして、縫い調子の良い主軸の位置関係は、技術常識であるので、これを特許請求の範囲で殊更特定することは必要ではない。
また、本件発明は、「主軸と、この主軸と平行状に配置されて該主軸の一方向回転運動を運動変換機構を介して所定角度範囲内の往復回転運動に変換された第1送り上下軸および第1送り前後軸とが上記ベッド部におけるベッド部主部内の配置に止められる構成で設けられているとともに、上記第1送り上下軸の往復回転運動を上記上下方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸と上記第1送り前後軸の往復回転運動を上記前後方向駆動機構に伝達する第2送り前後軸のみが上記ベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置される構成」の採用によって、主軸がシリンダー部内にまで延出されていた従来のシリンダー型ミシンよりもシリンダー部を小径化するという目的を達成したものである。
したがって、請求人が必須の構成として主張する、縫い調子のよい位置に配置した構成、及びシリンダー部内の機構・軸部材、さらには上下方向駆動機構・前後方向駆動機構が小型化された構成を、特許請求の範囲で殊更特定することは必要ではない。

【無効理由2について】
ミシンの種類や形態等に対応してベッド部全体の大きさや外観形状が種々異なることは当然であり、そのべッド部全体の大きさや外観形状、さらには、ベッド内部への機構・部品の組付け、コストなどを総合的に勘案して、ベッド部を単体品となるように完全一体成形して製作する場合もあれば、複数に分割して成形した後、それら複数の分割成形体を溶接やボルト締結手段等により一体に結合するといった分割成形・一体結合方式で製作する場合もあり、このようなミシンベッド部の製作手段は、当該技術分野において従前からも極く一般的に採用されている自明な設計事項であって、当業者にとっては技術常識である。
本件発明において、第1送り上下軸22及び第1送り前後軸23をベッド部主部13内に配置させることも、第2送り上下軸32A,32B及び第2送り前後軸35を筒状シリンダー部14内に配置させることも、当業者が技術常識として持ち合わせているべき設計事項、つまり、ミシンベッド部を製作する際にその形態等に応じて複数に分割成形し、それら分割成形体内に必要部品を組付けた後に分割成形体を一体に接合するという設計常識を適用することによって、当業者であれば容易に実施することが可能である。
したがって、本件明細書は当業者が容易に発明の実施をすることができる程度に記載されていないとする請求人の主張は失当であり、また、必須構成要件に欠け、実施が不可能であって、産業上利用することができる発明でないとする主張も、ともに失当である。

【無効理由3について】
ミシンにおける「主軸」の回転運動方向は、ミシンの形態に関係なく、特殊な場合を除いて普通は一方向に特定(限定)されており、もし、主軸がその特定一方向とは逆方向に回転すると、ミシン本来の縫製機能が全く確保されず、これは最早、ミシンとは言えないのである。すなわち、「主軸の回転運動」とは一方向回転運動そのものを指し、「主軸の一方向回転運動」と「主軸の回転運動」とは同義語であるから、この補正は当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、新規事項の追加にはあたらない。
各軸のベッド部主部やシリンダー部への挿入配置は、当業者の技術常識からすれば適宜に採用される設計事項で容易に実現可能である。また、「第2送り上下軸及び第2送り前後軸のみがベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置される構成で設けられている」という補正事項は、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
なお、訂正請求書により、「主軸の回転運動」及び「挿入配置」という用語を、願書に最初に添付した明細書に記載のある「主軸の一方向回転運動」及び「挿通配置」という用語に訂正したので、請求人の主張する無効理由3は解消した。

また、被請求人は、ミシンフレームが、ベッド部、アーム部、シリンダー部等のパーツに適宜分割されるとともに、各パーツがさらに適宜分割されて成形され、その後これらがネジ止め等により一体に結合された構造のミシンが周知であったことを立証するとの趣旨で、口頭審理陳述要領書に添えて、乙第1?7号証を提出するとともに、同様の趣旨で、平成17年1月24日付け上申書に添えて、乙第8?11号証を提出している。

〈証拠方法〉
乙第 1号証 :実願昭59-24299号(実開昭60-137986号)のマイクロフィルム
乙第 2号証 :特公昭61-24039号公報
乙第 3号証 :Union speciaI CLASS 80800のカタログNO.137M,3,14,16,18頁、Union Special Corporation,1978年2月発行、
乙第 4号証 :Union Special CLASS 200のカタログNO.194‐4,2,14,18,20,24,28頁、Union Special MACHINE COMPANY,1970年2月発行
乙第 5号証 :Union speciaI CLASS 31200のカタログNO.257,1頁,12頁(図「2」),14頁(図「3」)、Union Special MASCHINENFABRIK,1969年1月発行
乙第 6号証 :Yamato INDUSTRIAL SEWING MACHINE, MODELS FD-62のパーツブックEDITION NO.2,1,2,4頁、ヤマトミシン製造株式会社、1982年8月発行
乙第 7号証 :E SERIES E‐32,E52,E56 MODELSのパーツカタログ第四版、2頁、ペガサスミシン製造株式会社、1983年8月発行、
乙第 8号証 :Union speciaI CLASS 34700のカタログNO.282,30?31頁、Union Special Corporation,1978年3月発行、
乙第 9号証 :Yamato INDUSTRIAL SEWING MACHINE, MODELS VC2600他のパーツブックEDITION NO.2,1頁、ヤマトミシン製造株式会社、1986年12月発行
乙第10号証 :W664・W644のパーツカタログ第三版、8?9頁、ペガサスミシン製造株式会社、1989年11月発行、
乙第11号証 :brother FD3-B256,FD3-B257のパーツブック、1?2頁、ブラザー工業株式会社、1993年5月発行、

6.当審の判断
6-1.【無効理由1】について
【無効理由1】は、要するに、本件の請求項1ないし3に係る発明には、課題達成のために、必須構成として、縫い調子の良い位置に配置した構成、シリンダー部が小径化された構成が含まれるべきであるが、本件特許請求の範囲の記載は、これらの構成に欠けるので特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。

そこで、検討すると、本件明細書には、発明が解決しようとする課題として、本件発明は、主軸がシリンダー部内にまで延出されていた従来のシリンダー型ミシンでは解決できなかった、「主軸を針板に対して縫い調子の良い位置に配置しながらも、シリンダー部を小径化して、手首部のような小径縫製物の縫製にも適用することができるシリンダー型ミシンを提供することを目的とする。」(【0004】?【0006】段落)旨記載されている。
したがって、明細書の上記記載より、本件の発明の目的は、シリンダー型ミシンについて、主軸と針板との縫い調子の良い位置関係を担保しながら、かつシリンダー部を従来のものよりも小径化することであると認められる。
そして、本件請求項1ないし3に係る発明はそれぞれ、主軸、運動変換機構、第1送り上下軸および第1送り前後軸を、シリンダー部に比べて広い空間のあるベッド部主部内の配置に止めることにより、主軸と針板とが縫い調子の良い位置関係をとることを担保しつつ、第1送り上下軸と第1送り前後軸の運動をそれぞれ上下方向駆動機構と前後方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸と第2送り前後軸のみを、シリンダー部内に挿通配置するようにして、主軸がシリンダー部内にまで延出されていた従来のシリンダー型ミシンに比べ、シリンダー部内の配置に自由度を持たせ、その結果、従来のものに比べ、シリンダー部の小径化を可能としたものである。
そして、シリンダー型ミシンにおける主軸と針板との縫い調子の良い位置関係がどのようなものであるかは、本件明細書の記載を待つまでもなく、本件出願時当業者にとり技術常識であったと認められるので、縫い調子の良い位置関係を特定するための構成を、殊更特許請求の範囲に記載する必要があるとは言えない。
また、主軸がシリンダー部内にまで延出されていた従来のシリンダー型ミシンに比べ、主軸と針板との縫い調子の良い位置関係を担保しながら、シリンダー部を小径化するという本件発明の目的は、シリンダー部内に配置される第2送り上下軸や第2送り前後軸、あるいは、上下方向駆動機構や前後方向駆動機構自体を格別小型化することを要さずに、本件請求項1ないし3にそれぞれ記載された、本件発明の構成によって達成可能であると認められるから、これらの機構・軸部材等を小型化することについての構成を、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項として、特許請求の範囲に記載することが必要であるとも言えない。
したがって、請求人が主張する、本件の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではないから、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていない旨の無効理由1は、採用できない。

6-2.【無効理由2】について
【無効理由2】は、要するに、明細書記載のミシンは、筒状のシリンダー部14がベッド部主部13から「一体に突出する」構成とされているため、第1送り上下軸22及び第1送り前後軸23をベッド部主部13内に配置させられず、また、第2送り上下軸、第2送り前後軸についても同様であるから、本件特許明細書の「発明の詳細な説明」は、当業者が容易に本件発明の実施をすることができる程度に記載されていないので、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしておらず、また、本件の請求項1ないし3に係る発明は、各々「ベッド部主部から側方へ突出」するシリンダー部を、その構成に含むところ、シリンダー部がベッド部主部から一体に側方へ突出するミシンについては、実施不能であるので、本件の請求項1ないし3に係る発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する産業上利用することができる発明ではないから、特許を受けることができないものであり、本件の特許請求の範囲は、実施のための要件に欠ける発明を記載していることから、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものとは言えないので、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。

そこで、検討すると、本件請求項1ないし3に係る発明は、それぞれ、ベッド部について、「ほぼ矩形箱状のベッド部主部とこのベッド部主部から側方へ突出し、その上面には針板が設けられている筒状のシリンダー部とからなるベッド部を備え」と規定している。
一方、ミシンの製造にあたり、一般にミシンフレームを適宜複数のパーツに分割して成形し、内部機構を組み込んだ後、これらを溶接やボルト締結手段等により一体に組み立て、結合するという製造方法は、例えば、被請求人が提出した乙各号証にも示されるように、本件出願時すでに当業者の技術常識となっており、また、フレームの分割成形にあたっては、成形の容易性や、内部機構の組み込み及び組み立ての容易性、製造コスト等を勘案してこれを行うことも、同様に設計事項として技術常識となっていたと認められる。
そして、本件発明のシリンダー型ミシンは、かかる技術常識を勘案して、ミシンフレームを適宜分割して成形し、第1送り上下軸等の所要の内部機構を組み込んだ後、組み立て結合することにより、本件明細書に格別製造方法についての記載がなくても、当業者が容易に製作し得るものと認められる。
さらに、本件明細書記載の実施例のように、シリンダー部がベッド部主部から一体に突出するものを成形するにあたっても、ベッド部主部とシリンダー部とが一体であることは、ベッド部主部やシリンダー部に、内部機構組み込みのための開口部を適宜設けて成形することを、なんら否定するものではないから、同様に技術常識を勘案して、例えば、乙第4?6号証や乙第8?11号証に示すように、開口部を形成するように適宜パーツを分割し、所要の内部機構を組み込んだ後、組み立て結合することにより、当業者が容易に製作し得るものと認められる。
したがって、本件特許明細書の「発明の詳細な説明」は、かかる技術常識を勘案すると、当業者が容易に本件発明の実施をすることができる程度に記載されていると認められるので、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしている。
また、本件請求項1ないし3に係る発明は、当業者にとって実施可能であるから、特許法第29条第1項柱書に規定する産業上利用可能な発明である。
さらに、本件特許請求の範囲の記載は、上記技術常識を勘案すると、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項に欠けるとは言えないから、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしているものである。
したがって、請求人の無効理由2に関する主張は、採用できない。

6-3.【無効理由3】について
【無効理由3】の(その1)は、要するに、請求項1について「主軸の一方向回転運動」が「主軸の回転運動」に補正され、「回転運動」について上位概念化された結果、本件請求項1の発明は、出願当初の明細書に記載のない、一方向以外の回転を行う主軸を有するミシンも、その対象に包含するものとなったので、この補正は新規事項の追加に当たるというものであり、本件特許は、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正をした特許出願に対してなされたものではなく、特許法第17条の2第2項で準用する、同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであるというものであり、さらに、新たに対象として加わった、例えば主軸が往復回転運動をするような、一方向回転運動以外の回転運動をするミシンが実施不能であるならば、本件特許は、特許法第36条第5項第2号及び第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたというものである。
また、(その2)は、請求項の記載が、「第2送り上下軸」及び「第2送り前後軸」が「ベッド部主部からシリンダー部にまで延出させて設け」られている構成から、「ベッド部におけるシリンダー部内に挿入配置される構成で設けられている」と補正された結果、本件発明が、当初明細書に記載された実施不可能な、第2送り上下軸及び第2送り前後軸をベッド部主部側からシリンダー部内に挿入して配置するもの以外に、当初明細書に記載がなく実施可能な、シリンダー先端側から挿入して配置するものをも含むようになったので、この補正は新規事項の追加に当たるから、本件特許は、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正をした特許出願に対してなされたものではなく、特許法第17条の2第2項で準用する、特許法第17条第2項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたというものである。

そこで、被請求人は訂正請求を行い、上記のようにその訂正が認められたので、この訂正事項を考慮して検討すると、請求人が【無効理由3】の(その1)で指摘した、請求項1の「主軸の回転運動」という記載は、「主軸の一方向回転運動」に訂正された。
該訂正により、請求項1の発明は、もはや、一方向以外の回転を行う主軸を有するミシンを、その対象に包含するものではなくなったので、【無効理由3】の(その1)に係る無効理由は解消したものと認められる。
次に、請求人が【無効理由3】の(その2)で指摘した、「挿入配置」については、当初明細書に記載のある「挿通配置」に訂正された。
そして、第2送り上下軸及び第2送り前後軸を、ベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置することは、上記2.(B)で検討したように、当初明細書の【0024】段落に記載されているので、この事項は、補正によって追加されたものではなく、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであると認められる。
したがって、本件特許は、特許法第17条第2項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされた旨の請求人の主張は採用できない。。
なお、(その2)について、請求人は、当初明細書には、第2送り上下軸及び第2送り前後軸のシリンダー部内への配置に関し、実施不可能なものが記載されている旨主張しているが、上記「6-2.【無効理由2】について」で述べたとおり、技術常識を勘案すれば、当初明細書に記載されたものは、当業者が容易に実施可能なものであり、補正の結果実施可能となったものではないので、請求人の該主張も採用できない。

6.むすび
以上のとおりであるから、請求項1ないし3に係る本件発明についての特許は、審判請求人の主張する理由によって無効にすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
シリンダー型ミシン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】ほぼ矩形箱状のベッド部主部とこのベッド部主部から側方へ突出し、その上面には針板が設けられている筒状のシリンダー部とからなるベッド部を備え、上記シリンダー部に、上記針板の針落ち孔前後に形成された送り歯用溝に対して出没する前送り歯および後送り歯を設け、この前送り歯および後送り歯を取り付けた前送り台および後送り台をそれぞれ送り方向の前後において上下方向に駆動移動させる上下方向駆動機構と前後方向駆動機構との合成により前送り歯および後送り歯を楕円状に循環運動させるように構成してなるシリンダー型ミシンであって、
主軸と、この主軸と平行状に配置されて該主軸の一方向回転運動を運動変換機構を介して所定角度範囲内の往復回転運動に変換された第1送り上下軸および第1送り前後軸とが上記ベッド部におけるベッド部主部内の配置に止められる構成で設けられているとともに、上記第1送り上下軸の往復回転運動を上記上下方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸と上記第1送り前後軸の往復回転運動を上記前後方向駆動機構に伝達する第2送り前後軸のみが上記ベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置される構成で設けられていることを特徴とするシリンダー型ミシン。
【請求項2】ほぼ矩形箱状のベッド部主部とこのベッド部主部から側方へ突出し、その上面には針板が設けられている筒状のシリンダー部とからなるベッド部を備え、上記シリンダー部に、上記針板の針落ち孔前後に形成された送り歯用溝に対して出没する前送り歯および後送り歯を設け、この前送り歯および後送り歯を取り付けた前送り台および後送り台をそれぞれその前後において上下方向に駆動移動させる上下方向駆動機構と前後方向駆動機構との合成により前送り歯および後送り歯を楕円状に循環運動させるように構成してなるシリンダー型ミシンであって、
上記ベッド部におけるベッド部主部内に設けた主軸及びこの主軸と平行状に配置されて該主軸の一方向回転運動をベッド部主部内の運動変換機構を介して所定角度範囲内の往復回転運動に変換された第1送り上下軸および第1送り前後軸を上記ベッド部におけるベッド部主部内の配置に止めて設けるとともに、上記第1送り上下軸に連動してその往復回転運動を上記前送り歯および後送り歯の上下方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸と、上記第1送り前後軸に連動してその往復回転を上記前送り歯および後送り歯の前後方向駆動機構に伝達する第2送り前後軸のみを、上記ベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置して設けていることを特徴とするシリンダー型ミシン。
【請求項3】上記第2送り上下軸が縫製部の送り方向の前後に2本配置され、これら2本の第2送り上下軸を介して上記上下方向駆動機構を上下に駆動することで、前送り歯と後送り歯の上下運動量が同一になるように構成している請求項2に記載のシリンダー型ミシン。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば首周りや袖口などような筒状の縫製物の縫製に使用されるもので、詳しくは、筒状の縫製物を側方から嵌め込むシリンダー部を有し、このシリンダー部に針板および縫製物に送りを与える前後の送り歯を設けてなるシリンダー型ミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の一般的なシリンダー型ミシンにおいては、図11に示すように、ほぼ矩形箱状のベッド部主部1とこのベッド部主部1から側方へ突出し、その上面にはミシンアーム2の先端の縫い針3に対向する針板4が設けられているシリンダー部5とからなるベッド部6を備えており、上記シリンダー部5に、上記針板4の針落ち孔前後に形成された送り歯用孔に対して出没する前送り歯および後送り歯(図示省略する)が設けられているとともに、シリンダー部5内に、縫い針3との協働により縫い目を形成するルーパーや上記両送り歯の駆動機構などが設けられている。
【0003】
このようなシリンダー型ミシンにおいて、上記両送り歯の駆動機構およびそれへの動力伝達機構として、従来では、例えば特開平4-20372号公報(第1図や第13図、第14図)に示すようなものが知られていた。これら従来の駆動および伝達機構は、いずれもミシンの主軸がベッド部の主部からシリンダー部にまで延出されて設けられているものであり、この主軸の一方向回転によりルーパーを針棒と同期させて駆動させるとともに、この主軸の先端部および該主軸の途中に所定角度範囲内に往復回転運動するように連動されて上記シリンダー部にまで延出された上下送り軸および前後送り軸の先端部に上記両送り歯を針棒及びルーパーに同期して上下運動および前後運動させるための上下方向および前後方向駆動機構を設けたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリンダー型ミシンにあっては、主軸の軸心と針板との関係を、縫い調子を良好にすることから、一定の配置関係、特に上下方向に一定の間隔を隔てて配置することが望ましい。もし、主軸の軸心と針板との配置関係が所定の関係にないと、主軸から動力分配されている針棒、ルーパー、送り歯などの動作タイミングに微妙なずれが生じて良好な縫い調子が保てなくなる。
【0005】
ところが、従来のシリンダー型ミシンにおいては、上記送り歯を駆動するための動力伝達機構の一部としてシリンダー部にまで延出されている主軸を送り歯の駆動に適した位置に配置する場合は、該主軸と針板とが縫い調子の良好な位置関係に配置されないために、縫い調子のよい作動状態が得られず、また、逆に上記主軸を針板に対して縫い調子の最もよい位置関係に配置する場合は、主軸と送り歯の駆動装置との間の運動変換機構を、主軸の端部や送り台の周辺に設置する必要があり、それにともなって、シリンダー部を小さくしようとしても、それには自ずと制約があり、手首部のように径の小さい縫製物はシリンダー部に嵌めることができず、縫製物の適用範囲が限定されるという課題があった。
【0006】
この発明は上記の実情に鑑みてなされたもので、主軸を針板に対して縫い調子のよい位置に配置しながらも、シリンダー部を小径化して、手首部のような小径縫製物の縫製にも適用することができるシリンダー型ミシンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の請求項1に係るシリンダー型ミシンは、ほぼ矩形箱状のベッド部主部とこのベッド部主部から側方へ突出し、その上面には針板が設けられている筒状のシリンダー部とからなるベッド部を備え、上記シリンダー部に、上記針板の針落ち孔前後に形成された送り歯用溝に対して出没する前送り歯および後送り歯を設け、この前送り歯および後送り歯を取り付けた前送り台および後送り台をそれぞれ送り方向の前後において上下方向に駆動移動させる上下方向駆動機構と前後方向駆動機構との合成により前送り歯および後送り歯を楕円状に循環運動させるように構成してなるシリンダー型ミシンであって、主軸と、この主軸と平行状に配置されて該主軸の一方向回転運動を運動変換機構を介して所定角度範囲内の往復回転運動に変換された第1送り上下軸および第1送り前後軸とが上記ベッド部におけるベッド部主部内の配置に止められる構成で設けられているとともに、上記第1送り上下軸の往復回転運動を上記上下方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸と上記第1送り前後軸の往復回転運動を上記前後方向駆動機構に伝達する第2送り前後軸のみが上記ベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置される構成で設けられていることを特徴とし、また、請求項2に係るシリンダー型ミシンは、ほぼ矩形箱状のベッド部主部とこのベッド部主部から側方へ突出し、その上面には針板が設けられている筒状のシリンダー部とからなるベッド部を備え、上記シリンダー部に、上記針板の針落ち孔前後に形成された送り歯用溝に対して出没する前送り歯および後送り歯を設け、この前送り歯および後送り歯を取り付けた前送り台および後送り台をそれぞれその前後において上下方向に駆動移動させる上下方向駆動機構と前後方向駆動機構との合成により前送り歯および後送り歯を楕円状に循環運動させるように構成してなるシリンダー型ミシンであって、上記ベッド部におけるベッド部主部内に設けた主軸及びこの主軸と平行状に配置されて該主軸の一方向回転運動をベッド部主部内の運動変換機構を介して所定角度範囲内の往復回転運動に変換された第1送り上下軸および第1送り前後軸を上記ベッド部におけるベッド部主部内の配置に止めて設けるとともに、上記第1送り上下軸に連動してその往復回転運動を上記前送り歯および後送り歯の上下方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸と、上記第1送り前後軸に連動してその往復回転を上記前送り歯および後送り歯の前後方向駆動機構に伝達する第2送り前後軸のみを、上記ベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置して設けていることを特徴とするものである。
【0008】
上記構成のシリンダー型ミシンにおいて、請求項3のように、上記第2送り上下軸が縫製部の送り方向の前後に2本配置され、これら2本の第2送り上下軸を介して上記上下方向駆動機構を上下に駆動することで、前送り歯と後送り歯の上下運動量が同一になるように構成することが好ましい。
【0009】
【作用】
この発明によれば、ベッド部におけるほぼ矩形箱状のベッド部主部内に設けられた主軸の一方向回転運動が運動変換機構を介して、該ベッド部主部内に設けられた第1送り上下軸および第1送り前後軸それぞれの所定角度範囲内の往復回転運動に変換されたのち、それら第1送り上下軸および第1送り前後軸の往復回転運動がベッド部における筒状のシリンダー部内に設けられた第2送り上下軸および第2送り前後軸を経て前送り歯および後送り歯の上下方向駆動機構および前後方向駆動機構に伝達されて前送り台および後送り台がそれぞれその前後において上下方向に駆動移動され、これら上下方向駆動機構と前後方向駆動機構との合成により前送り歯および後送り歯が楕円状に循環運動し、縫い針およびルーパーの動作に同期して筒状のシリンダー部に嵌め込まれた筒状縫製物を後方へ所定量づつ送りながら、所定の縫製が行われる。
【0010】
ここで、上記両送り歯の上下方向駆動機構および前後方向駆動機構に往復回転運動を伝達するための動力伝達機構として、主軸とこの主軸の一方向回転運動を上記両送り歯の作動に適した所定角度範囲内の往復回転運動に変換する運動変換機構により運動変換されて所定角度内で往復回転運動する第1送り上下軸及び第1送り前後軸はともにベッド部におけるベッド部主部内の配置に止めるとともに、上記第1送り上下軸及び第1送り前後軸の所定角度範囲内の往復回転運動を上記両送り歯の上下方向駆動機構および前後方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸および第2送り前後軸のみをベッド部におけるシリンダー部内に挿通配置する構成としたので、主軸を針板に対して縫い調子の点で最も理想的な位置に配置しながら、第2送り上下軸および第2送り前後軸は両送り歯の上下方向及び前後方向駆動機構への専用の動力伝達軸になるために、それらをシリンダー部内の任意の位置に配置することが可能となり、したがって、これら第2送り上下軸および第2送り前後軸を収納するシリンダー部をできるだけコンパクトかつ小径化することが可能となり、このシリンダー部に嵌め込んで縫製される筒状縫製物の最小径を小さくすることができる。
【0011】
特に、請求項3のように、前送り歯および後送り歯の上下方向駆動装置を2本の第2送り上下軸を介して上下に駆動させて、両送り歯の上下運動量を同一にする構成を採用する場合は、両送り歯の軌跡を水平送りの理想的な軌跡にして、縫製物への食い込みが良好で、かつ、送りむらのない均一な送りを行わせることができる。
【0012】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図面にもとづいて説明する。
図1はこの発明に係るシリンダー型ミシンの全体構成を示す概略斜視図であり、同図において、10はベッド部で、このベッド部10の右端部から上方へ一体的にアーム部11を延設してミシン本体12が構成されている。上記ベッド部10は、ほぼ矩形箱状のベッド部主部13と、このベッド部主部13の左端部の手前側上部から左側方へ一体に突出する筒状のシリンダー部14とから構成され、上記シリンダー部14の上面には針板15が固定されている。上記アーム部11の先端下部には、上記針板15に対向して、例えば3本の縫い針16aを備えた針棒16が図示しない駆動機構を介して上下に往復運動自在に設けられている。また、上記針板15下方のシリンダー部14内にはルーパー51(図6参照)が設けられているとともに、該針板15には、上記縫い針16aが上下に挿通移動する針落ち孔が形成され、この針落ち孔の前後に前送り歯17および後送り歯18がそれぞれ出没する送り歯用溝19および20(図9参照)が形成されている。したがって、筒状の縫製物は、上記シリンダー部14に左側方から嵌め込まれて針板15上にセットされ、上記前送り歯17および後送り歯18により後方に所定量づつ送られつつ、上記縫い針16aとルーパー51との協働により縫い目が形成されるように縫製されるようになっている。
【0013】
図2?図4は上記前送り歯17および後送り歯18を駆動するために上記ベッド部10内に設けられた機構の分解斜視図、図5はその機構の一部を分解した状態の組立斜視図、図6?図10はその機構の各構成要素の配置関係を示す図であり、これら各図を参照して上記前送り歯17および後送り歯18の上下方向駆動機構および前後方向駆動機構ならびにそれら各駆動機構への動力伝達機構を説明する。
【0014】
図2?図5において、21は主軸であって、この主軸21は図示しないモータを介して一方向に回転駆動されるもので、上記ベッド部10におけるベッド部主部13内に配設されている。22,23は上記主軸21と平行状に上記ベッド部主部13内に配設された第1送り上下軸および第1送り前後軸であって、第1送り上下軸22は送り上下ロッド24、送り上下軸腕25からなり、上記ベッド部主部13内に配置された運動変換機構26を介して上記主軸21の一方向回転運動が所定角度範囲内の往復回転運動に変換されて伝達され、かつ、第1送り前後軸23は前送りロッド27、長短一対の前送りレバーリンク28,29および前送りレバー30からなり、上記ベッド部主部13内に配置された運動変換機構31を介して上記主軸21の一方向回転運動が所定角度範囲内の往復回転運動に変換されて伝達される。
【0015】
32A,32Bは上記ベッド部10におけるシリンダー部14内に設けられた第2送り上下軸であって、これら2本の第2送り上下軸32A,32Bは上記シリンダー部14の上部の針板15近くで、前後両送り歯17,18による送り方向の前後に配置されており、上記第1送り上下軸22に、前後一対の送り上下リンク33A,33Bおよび送り上下軸腕34A,34Bを介して連動されて所定角度範囲内で往復回転運動するように構成されている。35は上記ベッド部10におけるシリンダー部14内に設けられた第2送り前後軸であって、この第2送り前後軸35は上記シリンダー部14内において後部に配置された上記第2送り上下軸32Bのやや下方に配置されており、上記第1送り前後軸23に、送り前後リンク36および送り前後軸腕37を介して連動されて所定角度範囲内で往復回転運動するように構成されている。
【0016】
38は上記前送り歯17を取り付けた前送り台、39は上記後送り歯18を取り付けた後送り台であって、これら両送り台38,39は共に板状で、上記シリンダー部14内において互いに板面を合わせた状態で上下方向および前後方向に移動自在に配設されている。上記両送り台38,39の送り方向前後両側の上下中間位置には矩形状の切欠部38a,39aが形成され、これら切欠部38a,39aに両送り台38,39に跨がる状態で該送り台38,39を上下方向に移動させるための角駒40,41が嵌合保持されており、これら角駒40,41に上記2本の第2送り上下軸32A,32Bの先端部が嵌合固定されている。これによって、上記2本の第2送り上下軸32A,32Bの往復回転運動にともない、上記前送り台38および後送り台39、ひいては前送り歯17および後送り歯18を上記針棒16およびルーパー51に同期して上下方向に同一量、駆動移動させる上下方向駆動機構が構成されている。
【0017】
42は上記第2送り前後軸35の先端部に固定させた後送り前後腕であり、その偏心位置に連結した後送り前後リンク43の一端部を上記後送り台39の略中央部に固定している。44は上記第2送り前後軸35の先端部に固定させた前送り前後腕であり、その偏心位置に調節ピン45を介して連結した前送り前後リンク46の一端部を上記前送り台38の左側面に固定した送り台補助板47に固定連結している。これによって、上記第2送り前後軸35の往復回転運動にともない、上記前送り台38および後送り台39、ひいては前送り歯17および後送り歯18を上記針棒16およびルーパー51に同期して前後方向に駆動移動させる前後方向駆動機構が構成されているとともに、調節ピン45を介して前送り前後腕44と前送り前後リンク46との偏心位置を調節することによって、前送り歯17と後送り歯18との送り量を調節可能な差動調節機構が構成されている。なお、図中、48は送り量調節機構であり、49は上記ベッド部10のベッド部主部13からシリンダー部14に向けて突出させたルーパー軸で、上記ルーパー51を取り付けており、図示は省略するが、上記主軸21に連動している。また50は送り台ガイドである。
【0018】
以上のように構成されたシリンダー型ミシンにおいては、ベッド部主部13内に設けられた主軸21が駆動されてミシンが作動すると、針棒16およびルーパー51が動作されるとともに、上記主軸21の一方向回転運動が運動変換機構26,31により所定角度範囲内の往復回転運動に変換されて、ベッド部主部13内に設けられた第1送り上下軸22および第1送り前後軸23に伝達されてこれら第1送り上下軸22および第1送り前後軸23がそれぞれ所定角度範囲内で往復回転運動する。これら第1送り上下軸22および第1送り前後軸23の往復回転運動が前後一対の送り上下リンク33A,33B、送り上下軸腕34A,34Bおよび送り前後リンク36および送り前後軸腕37を介してシリンダー部14内に設けられた2本の第2送り上下軸32A,32Bおよび第2送り前後軸35に伝達されて、これら各軸32A,32Bおよび35が所定角度範囲内で往復回転運動し、さらに、これら軸32A,32Bおよび35の往復回転運動が上述した前送り歯17および後送り歯18の上下方向駆動機構および前後方向駆動機構に伝達されて、これら上下方向駆動機構と前後方向駆動機構との合成により前送り歯17および後送り歯18が楕円状に循環運動し、縫い針16aおよびルーパー51の動作に同期して筒状のシリンダー部14に嵌め込まれた筒状縫製物を後方へ所定量づつ送りながら、所定の縫製が行われる。
【0019】
このように動作するシリンダー型ミシンにおいて、上記主軸21及びこの主軸21の一方向回転を上記両送り歯17,18の作動に適した所定角度範囲内の往復回転運動に変換する運動変換機構26,31並びに運動変換されて往復回転する第1送り上下軸22、第1送り前後軸23がともにベッド部10におけるベッド部主部13内の配置に止められており、ベッド部10におけるシリンダー部14には上記運動変換機構26,31により変換された第1送り上下軸22及び第1送り前後軸23の所定角度範囲内の往復回転運動を上記両送り歯17,18の上下方向駆動機構および前後方向駆動機構に伝達する第2送り上下軸32A,32Bおよび第2送り前後軸35のみを挿通配置する構成としているので、主軸21と針板15とは縫い調子の点で最も理想的な位置関係に配置しながら、両送り歯17,18の上下方向および前後方向の駆動機構への専用の動力伝達軸となる上記第2送り上下軸32A,32Bおよび第2送り前後軸35はシリンダー部14内の任意の位置に配置することが可能となる。したがって、これら第2送り上下軸32A,32Bおよび第2送り前後軸35を収納するシリンダー部14をできるだけコンパクトに、かつ小径化することが可能となり、このシリンダー部14に嵌め込んで縫製可能な筒状縫製物の最小径を小さくして、該シリンダー型ミシンにより縫製可能な筒状縫製物の適用範囲を拡大することができる。
【0020】
特に、上記実施例のように、前送り歯17および後送り歯18の上下方向駆動機構を2本の第2送り上下軸32A,32Bを介して上下に駆動させて、両送り歯17,18の上下運動量を同一にする場合は、両送り歯17,18の軌跡を水平送りの理想的な軌跡にして、縫製物への食い込みが良好で、かつ、送りむらのない均一な送りを行わせることができる。
【0021】
また、前送り歯17と後送り歯18との送り量を調節ピン45の調整によって簡単に調節することが可能であり、縫製物を構成する生地の材質に応じて常に適切な差動送りを行わせることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、主軸をベッド部におけるベッド部主部内の配置に止めた構成とすることにより、該主軸と針板とを縫い調子の点で最も理想的な位置関係に配置することができる。それでいて、主軸の一方向回転運動を所定角度範囲内の往復回転運動に変換させて前送り歯および後送り歯の上下方向および前後方向の駆動機構への専用の動力伝達軸となる第2送り上下軸および第2送り前後軸のみをベッド部におけるシリンダー部に挿通配置させればよいので、これら両第2送り軸をシリンダー部内において両送り歯の作動に適した範囲で任意の位置に配置することができる。したがって、これら第2送り上下軸および第2送り前後軸と送り歯駆動機構との間に特別に偏心量の大きいアーム等を配置する必要がなく、それらを収納するシリンダー部を可及的にコンパクトに、かつ小径化することが可能となり、このシリンダー部に嵌め込んで縫製可能な筒状縫製物の最小径を小さくして、該シリンダー型ミシンにより縫製可能な筒状縫製物の適用範囲を著しく拡大することができるという効果を奏する。
【0023】
特に、請求項3のように、前送り歯および後送り歯の上下方向駆動装置を2本の第2送り上下軸を介して上下に駆動させて、両送り歯の上下運動量を同一にする構成を採用する場合は、両送り歯の軌跡を水平送りの理想的な軌跡にして、縫製物への食い込みが良好で、かつ、送りむらのない均一な送りを行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の一実施例によるシリンダー型ミシンの全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】
ベッド部内に設けられる機構のうち、主軸から第1送り軸への動力伝達機構を示す分解斜視図である。
【図3】
ベッド部内に設けられる機構のうち、第1送り軸から第2送り軸への動力伝達機構を示す分解斜視図である。
【図4】
ベッド部内に設けられる機構のうち、第2送り軸から送り歯駆動機構への動力伝達機構を示す分解斜視図である。
【図5】
図2?図5に示す各動力伝達機構の組立斜視図である。
【図6】
ベッド部における構成部材のうち、上部側に位置する構成部材の配置状態示す平面図である。
【図7】
ベッド部における構成部材のうち、下部側に位置する構成部材の配置状態示す平面図である。
【図8】
図6のA-A線に沿った縦断面図である。
【図9】
図7のB-B線に沿った縦断面図である。
【図10】
図7のC-C線に沿った縦断面図である。
【図11】
従来のシリンダー型ミシンの全体構成を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 ベッド部
13 ベッド部主部
14 シリンダー部
15 針板
17 前送り歯
18 後送り歯
19,20 送り歯用溝
21 主軸
22 第1送り上下軸
23 第1送り前後軸
26,31 運動変換機構
32A,32B 第2送り上下軸
35 第2送り前後軸
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2005-05-26 
結審通知日 2005-06-01 
審決日 2005-06-27 
出願番号 特願平6-275639
審決分類 P 1 113・ 531- YA (D05B)
P 1 113・ 55- YA (D05B)
P 1 113・ 14- YA (D05B)
P 1 113・ 534- YA (D05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西山 真二  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 山崎 豊
鈴木 公子
登録日 2003-02-28 
登録番号 特許第3401657号(P3401657)
発明の名称 シリンダー型ミシン  
代理人 鈴江 正二  
代理人 藤本 英夫  
代理人 木村 俊之  
代理人 藤本 英夫  

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