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審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A47H
審判 一部無効 特174条1項  A47H
審判 一部無効 2項進歩性  A47H
管理番号 1152388
審判番号 無効2006-80062  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-04-14 
確定日 2007-01-19 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3379934号発明「ローマンシェード」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3379934号の請求項1ないし6、8ないし10に係る発明についての特許を無効とする。 特許第3379934号の請求項7に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その10分の1を請求人の負担とし、10分の9を被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
出願(特願2000-101804号)平成12年4月4日
(優先権主張;平成11年11月26日)
設定登録(請求項1?11) 平成14年12月13日
(特許第3379934号)
異議申立(異議2003-72092)(異議申立人 トーソー株式会社、立川ブラインド工業株式会社) 平成15年8月18日、平成15年8月25日
訂正請求 平成16年10月4日
異議決定(請求項1?9取消、10、11維持)
平成17年1月13日
出訴(平17(行ケ)10152) 平成17年2月22日
訂正審判請求(訂正2005-39081)
平成17年5月20日
訂正認容審決 平成17年6月15日
判決(「請求項1?9取消」部分を取り消す。)
平成17年7月21日
異議決定(請求項1?9維持) 平成17年8月19日

審判請求(請求人トーソー株式会社) 平成18年4月14日
(無効2006-80062号)
答弁書、訂正請求書 平成18年7月7日
弁駁書 平成18年8月23日

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
平成18年7月7日付けの訂正請求書による訂正請求は、本件特許発明の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであって、その内容は以下のとおりである。
(1)【請求項3】について、訂正前の「ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、 ヘッドレール(12)から昇降可能に垂下され、それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地(22)の後面側に配すると共に、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
前記ヘッドレール(12)内でドラム(32)を回動可能に支持し、前記第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の他端を、該ドラム(32)に巻き取り、巻き解き可能に連結することを特徴とするローマンシェード。」を、
「ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、 ヘッドレール(12)から昇降可能に垂下され、それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地(22)の後面側に配すると共に、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
前記ヘッドレール(12)内で複数のドラム(32)を回動可能に支持し、前記第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の他端を、それぞれ該複数のドラム(32)のいずれかのドラム(32)に巻き取り、巻き解き可能に連結することを特徴とするローマンシェード。」と訂正する。

(2)【請求項10】について、「壁面または天井面に固定されたブラケット(13)が取付け可能な支持部(12f)を有する天板部(12e)と、天板部(12e)の前後から適宜間隔を隔てて垂下する少なくとも2つ以上の生地取付壁(12a、12b)と、生地取付壁(12a、12b)の下端に形成されるレール部(12c、12d)と、レール部(12c、12d)の長手方向の任意の位置に取付け可能なコード挿通リング(14)と、を有するヘッドレール(12)と、少なくとも1つの生地取付壁(12a、12b)に上端が取り付けられる生地(20,22)と、コード挿通リング(14)を挿通するとともに生地を昇降可能な昇降コード(24a、24b)と、からなるローマンシェード。」を
「壁面または天井面に固定されたブラケット(13)が取付け可能な支持部(12f)を有する天板部(12e)と、天板部(12e)の前後から適宜間隔を隔てて垂下する少なくとも2つ以上の生地取付壁(12a、12b)と、各生地取付壁(12a、12b)の下端にそれぞれ形成されるレール部(12c、12d)と、レール部(12c、12d)の長手方向の任意の位置に取付け可能なコード挿通リング(14)と、を有するヘッドレール(12)と、少なくとも1つの生地取付壁(12a、12b)に上端が取り付けられる生地(20,22)と、コード挿通リング(14)を挿通するとともに生地を昇降可能な昇降コード(24a、24b)と、からなるローマンシェード。」と訂正する。

(3)特許明細書の段落【0011】について、「請求項3記載の発明は、ヘッドレールに形成される前後の壁に第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、ヘッドレールから昇降可能に垂下され、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し、第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設け、第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地の後面側に配すると共に、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、前記ヘッドレール内で複数のドラムを回動可能に支持し、前記第1及び第2の昇降コードの他端を、それぞれ該複数のドラムのいずれかのドラムに巻き取り、巻き解き可能に連結することを特徴とする」と訂正する。

(4)特許明細書の段落【0018】について、「請求項10記載の発明によるローマンシェードは、壁面または天井面に固定されたブラケットが取付け可能な支持部を有する天板部と、天板部の前後から適宜間隔を隔てて垂下する少なくとも2つ以上の生地取付壁と、各生地取付壁の下端にそれぞれ形成されるレール部と、レール部の長手方向の任意の位置に取付け可能なコード挿通リングと、を有するヘッドレールと、少なくとも1つの生地取付壁に上端が取り付けられる生地と、コード挿通リングを挿通するとともに生地を昇降可能な昇降コードと、からなる。コード挿通リングをレール部の長手方向の任意の位置に取付け可能とすることにより、昇降コードの配回しの自由度が増加し、多様な生地使いに対応することができるようになる。例えば、2つ以上の生地取付壁に生地の上端を取り付け、各生地取付壁の下端に形成されるレール部にコード挿通リングを取り付けることにより、多重生地使いのローマンシェードとすることもでき、または、1つの生地取付壁に複数の生地の上端を取り付け、該1つの生地取付壁の下端に形成されるレール部にコード挿通リングを取り付けることにより、生地の左右並列使いに対応することができるようになる。コード挿通リングをレール部の長手方向の任意の位置に取り付けるのは、例えば、コード挿通リングをレール部に着脱可能にはめ込むことで行うことができる。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記(1)の訂正は、請求項3における「ドラム(32)」に関して、「複数のドラム(32)」と限定し、昇降コード(24a,24b)の他端との関係を、「昇降コード(24a,24b)の他端を、それぞれ該複数のドラム(32)のいずれかのドラム(32)に巻き取り、巻き解き可能に連結する」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

上記(2)の訂正は、生地取付壁(12a、12b)とレール部(12c、12d)との関係を、「各生地取付壁(12a、12b)の下端にそれぞれ形成されるレール部(12c、12d)」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

上記(3)、(4)の訂正は、特許請求の範囲の訂正に係る上記(1)、(2)の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の欄の記載との整合をとるものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。

そして、上記(1)?(4)の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.訂正請求の適否についての結論
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き各号に列挙された事項を目的としており、特許法第134条の2第5項で準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、訂正を認める。
なお、審判請求人は、後記「審判請求人の主張」で述べるように、訂正審判請求(訂正2005-39081)による請求項1?9に係る発明の訂正事項については、新規事項の追加、不明瞭を無効理由としているが、上記訂正の適否については、弁駁書において特に意見を述べていない。

第3 本件発明
特許第3379934号の請求項1?11に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明11」という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)にそれぞれ設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を、それぞれヘッドレール(12)の長手方向に沿って別々の経路で配すると共に、ヘッドレール(12)の長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、
垂下された第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、 それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設けることを特徴とするローマンシェード。
【請求項2】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)にそれぞれコードガイド部(15a,15b)を設け、コードガイド部(15a,15b)によって、第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を、それぞれヘッドレール(12)の長手方向に沿って別々の経路で配すると共に、ヘッドレール(12)の長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、
垂下された第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
前記第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の他端部を、コードガイド部(15a,15b)に案内させてヘッドレール(12)に取り付けられた停止手段(28a,28b)内に導き、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設けることを特徴とするローマンシェード。
【請求項3】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)から昇降可能に垂下され、それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地(22)の後面側に配すると共に、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
前記ヘッドレール(12)内で複数のドラム(32)を回動可能に支持し、前記第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の他端を、それぞれ該複数のドラム(32)のいずれかのドラム(32)に巻き取り、巻き解き可能に連結することを特徴とするローマンシェード。
【請求項4】ヘッドレール(12)に形成される前壁(12a)に第1の生地(20)の上端を取付け、後壁(12b)に第2の生地(22)の上端を取付け、
ヘッドレール(12)から昇降可能に垂下され、それぞれ第1の生地(20)及び第2の生地(22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地(22)の後面側に配すると共に、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
前記ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)の少なくとも一方にコードガイド部(15a,15b)を設け、ヘッドレール(12)内でドラム(32)を回動可能に支持し、前記第2の昇降コード(24b)の他端部を、コードガイド部(15b)に案内させてヘッドレール(12)に取り付けられた停止手段(28b)内に導く一方で、前記第1の昇降コード(24a)の他端を、前記ドラム(32)に巻き取り、巻き解き可能に連結することを特徴とするローマンシェード。
【請求項5】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)の前側及び後側に前側コードガイド部(15a)及び後側コードガイド部(15b)をそれぞれ設け、第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を、それぞれヘッドレール(12)の長手方向に沿って別々の経路で配すると共に、ヘッドレール(12)の長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、
垂下された第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
第1の昇降コード(24a)の他端部を前記前側コードガイド部(15a)に案内させてヘッドレール(12)の端部に誘導してヘッドレール(12)の端部から導出させて第1の操作部(30a)に連結し、第2の昇降コード(24b)の他端部を前記後側コードガイド部(15b)に案内させてヘッドレール(12)の端部に誘導してヘッドレール(12)の端部から導出させて第2の操作部(30b)に連結することを特徴とするローマンシェード。
【請求項6】前記第1の昇降コード(24a)及び第2の昇降コード(24b)の移動をそれぞれ停止可能な第1の停止手段(28a)及び第2の停止手段(28b)を前記ヘッドレール(12)の前側コードガイド部(15a)及び後側コードガイド部(15b)にそれぞれ整列するようにして、ヘッドレール(12)の両端部よりも幅方向内側にそれぞれ設けることを特徴とする請求項5記載のローマンシェード。
【請求項7】前記前側コードガイド部(15a)を、ヘッドレールに形成された前側レール部(12c)と該前側レール部(12c)に取り付けられたコード挿通リング(14)とから構成し、前記後側コードガイド部(15b)を、ヘッドレールに形成された後側レール部(12d)と該後側レール部(12d)に取り付けられたコード挿通リング(14)とから構成し、前記第1の停止手段(28a)を前記前側レール部(12c)にその前側レール部長手方向に位置調整可能に取り付け、前記第2の停止手段(28b)を前記後側レール部(12d)にその後側レール部長手方向に位置調整可能に取り付けることを特徴とする請求項6記載のローマンシェード。
【請求項8】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)にそれぞれ設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を、それぞれヘッドレール(12)の長手方向に沿って配すると共に、ヘッドレール(12)の長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、
垂下された第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地(22)の後面側に配すると共に挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部(30a、30b、40)をそれぞれ設けることを特徴とするローマンシェード。
【請求項9】前記第1の生地(20)及び第2の生地(22)のいずれか一方を不透明生地とし、いずれか他方を暗幕生地とすることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のローマンシェード。
【請求項10】壁面または天井面に固定されたブラケット(13)が取付け可能な支持部(12f)を有する天板部(12e)と、天板部(12e)の前後から適宜間隔を隔てて垂下する少なくとも2つ以上の生地取付壁(12a、12b)と、各生地取付壁(12a、12b)の下端にそれぞれ形成されるレール部(12c、12d)と、レール部(12c、12d)の長手方向の任意の位置に取付け可能なコード挿通リング(14)と、を有するヘッドレール(12)と、少なくとも1つの生地取付壁(12a、12b)に上端が取り付けられる生地(20,22)と、コード挿通リング(14)を挿通するとともに生地を昇降可能な昇降コード(24a、24b)と、からなるローマンシェード。
【請求項11】さらに、レール部(12c、12d)の長手方向の任意の位置に取付け可能で且つ昇降コード(24a、24b)の移動を停止可能な停止手段(28a、28b)を備える請求項10記載のローマンシェード。」

第4 審判請求人の主張
1.新規事項
異議2003-72092、及び訂正2005-39081でなされた請求項1?9における、「挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、」の構成は、出願当初の明細書又は図面に記載されていない。

2.不明瞭
(1)サポート要件違反
請求項1?9における、「挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、」の構成は、明細書に記載されていない。

(2)不明確
請求項1?9における、「挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、」の構成は、いわゆる「作用的な記載」であるが、明細書に開示されておらず、自明でもないから、機能により物を特定することができない。
請求項3における「ドラム」は、1つの場合も含むが、その場合第1の生地及び第2の生地を独立に昇降することができず、「挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、」の構成と齟齬し、所定の効果が生じないので発明が明確でない。

3.容易
本件特許の請求項1?6、8?10に係る特許は、本願出願前に頒布された書証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

審判請求人は、証拠方法として以下の刊行物を提出している。
甲第1号証:実用新案登録公報第2580414号(平成10年9月10日発行)、
甲第2号証:特開平11-46972号公報(平成11年2月23日公開)、
甲第3号証:実願平5-12302号(実開平6-64591号)のCD-ROM 、
甲第4号証:特開平8-154811号公報、
甲第5号証:実願昭62-3657号(実開昭63-112878号)のマイクロフィルム 、
甲第6号証:実願昭57-18665号(実開昭58-121292号)のマイクロフィルム、
甲第7号証:実願昭59-30901号(実開昭60-142692号)のマイクロフィルム、
甲第8号証:実願昭57-78266号(実開昭58-178988号)のマイクロフィルム、
甲第9号証:特開平7-227348号公報、
甲第10号証:特開平9-252930号公報、
甲第11号証:登録実用新案公報第3049889号(平成10年6月26日発行)、
甲第12号証:特開平11-169285号公報(平成11年6月29日公開)、
甲第13号証:特開平9-296666号公報、
甲第14号証:米国特許第4953610号明細書

第5 被請求人の主張
1.新規事項
段落【0036】の「第1の生地20のみがたくし上げられた状態では、第2の生地22が露出する。このとき、生地22の第2の昇降コード24bは、生地22の後面側を配されているため、正面側から見て露出せず、良好な見栄えを維持することができる。」の記載を満足するためには、訂正事項である「挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにする」構成が一義的に得られ、それ以外の構成は考えられない。

2.不明瞭
(1)サポート要件違反
「挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、」の構成は、段落【0036】、図3及び図5に記載または示唆されている。

(2)不明確
本件発明の目的を達成するためには、第1の生地20のたくし上げた高さに拘わらず、常に第2の昇降コードが見えないようにすることである。「使用条件の限定」の議論は的を得ていない。
請求項3については、ドラムが複数であることを明確にした。

3.容易
本件特許の請求項1?6、8?10に係る特許は、本願出願前に頒布された書証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 新規事項についての当審の判断
本件発明の目的は、段落【0008】に「本発明の他の目的は、正面側から見て昇降コードが露出しないようにして、見栄えを向上させることができるローマンシェードを提供することである。」と記載され、その具体的構成としては、段落【0024】に「各第2の昇降コード24bの一端部は、対応する所定のコード挿通リング14から垂下され、第2の生地22の上端付近に形成された挿通孔22aを挿通して、第2の生地22の前面側から後面側へと導かれ、さらに、第2の生地22に沿ってその後面に上下方向に所定間隔を空けて取り付けられた複数のコードリング25bを挿通して、上下方向に配され、第2の生地22の下端に取り付けられたウエイトバー26bまたは最下端のコードリング25b1に連結される。」と記載され、その効果は、段落【0036】に「第1の生地20のみがたくし上げられた状態では、第2の生地22が露出する。このとき、生地22の第2の昇降コード24bは、生地22の後面側を配されているため、正面側から見て露出せず、良好な見栄えを維持することができる。」と記載されている。

これらの記載、及び「挿通孔22a」の大きさが、昇降コード24bに比し、通常、それほど大きいものとは考えにくい点を考慮すれば、挿通孔22aが第2の生地22の上端付近に形成されており、第1の生地20のみがたくし上げられた状態では、第2の昇降コード24bは、生地22の後面側を配されているため、正面側から見て露出しないのであるから、挿通孔22aも当然露出しないことは、出願当初の明細書に記載、ないしは開示されていた事項といえる。

したがって、訂正審判請求による請求項1?9に係る発明の訂正事項は、特許法第126条第3項の規定に違反してされたものではなく、請求項1?9についての本件特許は、同法第123条第1項第8号の規定によっては無効とすることはできない。
また、平成16年10月4日付訂正請求による請求項2?9に係る発明の訂正事項は、平成15年改正前特許法第126条第2項の規定に違反してされたものではなく、請求項2?9についての本件特許は、同法第123条第1項第8号の規定によっては無効とすることはできない。

第7 記載不備(不明りょう)についての当審の判断
請求項1?9における、「挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、」の構成は、上記「第6 新規事項についての当審の判断」で述べたように出願当初の明細書に記載されていた事項といえ、また、特許明細書にも同様に記載されている。
請求人は、第1の生地(20)のたくし上げの条件によって挿通孔(22a)が露出することもあり、発明の構成が明確でないと主張しているが、ローマンシェードの通常の使い方で前面側の第1の生地(20)をたくし上げたときに、挿通孔(22a)が前面側から見て露出しない、という構成は、何ら不明確なものではない。
請求項3については、訂正により、明確となった。

したがって、請求項1?9に係る発明は、明細書に記載されており、不明確でもないので、請求項1?9についての本件特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号の規定する要件を満たしており、同法第123条第1項第4号の規定によっては無効とすることはできない。

第8 甲号各証の記載内容
上記無効理由の根拠として挙げられた甲第1号証ないし甲第14号証には、概略以下の技術的事項が開示されている。
1.甲第1号証
ア.【請求項1】
ローマンシェードのトップレール(10)端部に取付け結可能な本体(20)と、入口(19)が前トップレール内部と連通し出口(29)が下方に開口する前記本体(20)と、前記本体の内部に上下移動可能に内装したロックロール(30)と、前記本体内に固定されて上昇した前記ロックロールと平行に周接するロックバー(32)と、同じく前記本体内に固定されて操作コード(15)を前記ロックロールと前記ロックバーの間に案内するガイドロール(31)とからなるローマンシェード用操作コードストッパにおいて、前記ストッパの内部を前記トップレール(10)の前後面部(11、12)に沿う前後板部(21、22)とその両側を接続する内外側板部(24、25)から形成し、前記内部を1個以上の前後板部に平行な仕切板部(26)により等分して各室(17、18)を形成し、各室(17、18)ごとに前記ロックロール(30)を内装し、前記ロックロールの片側端面中央にピン(37)を植設し、前記前後板部及び前記仕切板部の前記ピンが当たるものにガイド孔(35、36)をあけてそのピンをはめ、前記内側板(24)内面及び前記ロックロール(30)周面に相互に係合する歯面(33、34)を形成し、前記ロックロール(30)の軸方向幅を各室の前後内幅に等しくし、前記ガイド孔と前記ピンによって、常に前記歯面(33、34)同士をかみ合うように前記ガイド孔を形成したことを特徴としてなるローマンシェード用操作コードストッパ。

イ.【0005】【作用】
本考案のコードストッパを設けたローマンシェードは本体内に設けた室数と同本数の操作コードを使用することが可能である。例えば、本体を前後2室に仕切ると、図7に示すように、レース地スクリーン41と厚地スクリーン42からなる2重ローマンシェードを片側で独立して開閉することができる。ストッパ20の前室17に厚地スクリーン42の操作コード15aを、後室18にレース地スクリーン41の操作コード15bを通す。それぞれの操作コードを引くとスクリーンが上昇し、操作コードを内方に寄せて放すと、スクリーンが自重で少し下降するとき、ロックロールが操作コードと共に内側板部に沿って上昇し、ロックロールとロックバーの間に操作コードを挟んで把持するから、スクリーンはその位置で停止する。把持された操作コードを引いて放すと、ロックロールは出口まで落下して操作コードを解放するから、スクリーンは下降する。

ウ.【0006】【実施例】
本考案のストッパを図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1、図2、図3に示すように、ストッパの本体20をローマンシェードのトップレール10の端部に固定する。本体20は合成樹脂製であり、その前後板部21、22はトップレール10の前後面部11、12を外側から挟む。本体20の底板部23はトップレール10の底面部13の下面に接する。

エ.【0008】
図1に示すように、操作コード15は1本以上の昇降コード14に連結され、トップレール10の端部に接続したストッパ20の入口19から本体20内に入り、ガイドロール31を回って垂下し、ロックロール30とロックバー32の間を通って出口29から引き出され、下端につまみ16が取り付けられる。ここで操作コード15を引くと、図6に示すように、ロックロール30は落下し、操作コード15は解放されるから、つまみ16を上下させてスクリーンを自由に昇降することができる。

オ.【図1】から、昇降コード14・操作コード15はトップレール10に形成される前面部11、後面部12の間に設けたコードガイドローラ(符号のない丸い部分)に案内されてトップレール10の端部に取り付けられたストッパの本体20内に導かれ、さらにつまみ16に連結されていることが読み取れる。
また、【図1】、【図2】から、ストッパ本体20の仕切板部26によって分離された前室17、後室18には、ロックロール30、ロックバー32等が配置され、内側板部24と共に、操作コード15の停止手段を構成していることが読み取れる。
また、【図7】、【図8】は、二重ローマンシェードと一枚のローマンシェードを表す別実施例のものであるが、両者を併せてみれば、レース地スクリーン41,厚地スクリーン42の上端はそれぞれトップレール10に取り付けられ、前面側の厚地スクリーン42は、ストッパ20の前室17を通す操作コード15a、それに連結された1本以上の前側昇降コードにより、後面側のレース地スクリーン41は、ストッパ20の後室18を通す操作コード15b、それに連結された1本以上の後側昇降コードにより、昇降されることが読み取れる。

したがって、上記各記載事項および図面を参照すると、甲第1号証には、
「トップレール10に前面側スクリーン42及び後面側スクリーン41の上端をそれぞれ取付け、
トップレールに設けたコードガイドローラによって、前側昇降コード・操作コード15a、及び後側昇降コード・操作コード15bを、それぞれトップレールの長手方向に沿って配し、ストッパ本体20の仕切板部26によって分離すると共に、トップレールから昇降可能に垂下させ、
前面側スクリーンに連結される前側昇降コード・操作コード15aを前面側スクリーンの後面側に、後面側スクリーンに連結される後側昇降コード・操作コード15bを後面側スクリーンの前面側に、それぞれ配し、
前側昇降コード・操作コード15a及び後側昇降コード・操作コード15bの他端部を、コードガイドローラに案内させてトップレール10に取付けたストッパ本体20に通し、
前側昇降コード・操作コード15a、及び後側昇降コード・操作コード15bを昇降させるためのつまみ16をそれぞれ設け、
前側昇降コード・操作コード15a、及び後側昇降コード・操作コード15bをコードガイドローラに案内させてトップレール10の端部に誘導し、トップレール10の端部から導出させてつまみ16に連結したローマンシェード。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

2.甲第2号証
カ.【0002】【従来の技術】 たくし上げカーテン装置のヘッドレールから垂下するスクリーンは、その上縁部がヘッドレールの正面又は背面に商品名マジックテープと呼ばれる脱着可能な接合部材を介して添着されていた。

キ.【0012】
図3のヘッドレール1bは正面部11と背面部15の底面部12、16がそれぞれ外方へ少し突出し、ついで上方に折れてスクリーン掛け部13、17となる。これらのスクリーン掛け部13、17によって形成した2つの取付溝14、18と、その取付溝によって取り付けた二つのスクリーン2、2の関係は実施例1及び実施例2のものと全く同じである。

3.甲第3号証
ク.【0009】【実施例】
この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図2はカーテンレール1の使用状態の一例を示す斜視図であり、この図に示すように、カーテンレール1一側の取付け面1aには、カーテン地2の上縁部が一組の面ファスナ3a,3bを介して着脱可能に取付けられている。
・・・
【0011】
上述のカーテンレール1はアルミニウムのダイキャストによって成形されて、図1に示すように、上端の両縁にブラケット4取付け用の係止部5,5を有し、両側面に、面ファスナ固定用の係合溝6,6を有した形状に形成されている。

4.甲第4号証
ヘッドレールのカーテン取付構造に関するもので、ヘッドレールの側面に設けた溝に第1面ファスナーを挿入し、カーテンの上端部に設けた第2面ファスナーを第1面ファスナーに係合して取り付けた点が記載されている。

5.甲第5号証
ケ.カーテン5は当該カーテン5の上部に取付けた面ファスナー43の一方をたくし上げカーテン支持材41、42の一面に取付けた面ファスナー43の他方に合わせることにより取付けてある。そして、伸縮たくし上げカーテン支持材4の右側にまとめられた、たくし上げコード6を操作することによりカーテン5を開閉することができる。(明細書第6頁5?11行)

コ.案内溝13には複数の溝が形成してあるので、コードが他のコードとからむことを防止する。またローラ2により引き上げられたコードは案内孔12を通り、他のコードは案内孔13を通るので、互いに絡むことがない。(明細書第7頁14?18行)

6.甲第6号証
サ.吊り紐ガイド5・・の吊り紐誘導孔6に上記各吊り紐3・・各他端を挿通し一側方(実施例では右方)へ導き最終端(実施例では最右端)にある吊り紐ガイド5の吊り紐誘導孔6に全吊り紐3・・を集束挿通した後垂下されている。(明細書第3頁12?17行)

シ.吊り紐誘導孔6を長円状にしておくと吊り紐3同士が重ならないので、円滑な操作が可能となり(明細書第5頁16?18行)

7.甲第7号証
ス.本考案はテンションプーリーなどの装置を必要とせずに使用することのできるカーテンレールを提供しようとするもので、以下図面について説明すると、1は箱型を呈する本体で、下面中央に溝2を設け、その両側にカーテンランナーの走行片3.3を形成している。4.4は走行片3.3の上方に突設した引紐載置片で、夫々の端縁には立上片5.5を形成している。(明細書第2頁7?14行)

セ.引紐載置片4.4の端縁に形成した立上片5.5と引紐の直径程度の間隙をおいて垂下片7.7を設けて成るから、引紐載置片4.4を移行する引紐は立上片5.5と垂下片7.7とにより引紐載置片4.4からの離脱ないしは垂れ下がりが防止でき(明細書第3頁5?10行)

8.甲第8号証
巻上げ紐25の引き下げ操作によってカーテン地を縦方向に開閉させるようにしたカーテンの開閉装置に関するもので、以下の事項が記載されている。
ソ.カーテン地20の一方の端部は、カーテン支持枠1の前面より垂下させる場合(第6図参照)と、上側案内溝2の内部に収納する場合(第7図参照)とがあり、後者の連結には、カーテン支持枠1の前面に化粧板6を取付けておくのがよい。また、カーテン支持枠1の下側案内溝3には支持板7が挿入され、この支持板7の下面に取付けた複数のプーリ支持枠8にプーリ9が回転可能に支持されている。(明細書第4頁1?10行)

タ.カーテン地20の上下方向に並ぶ紐案内リング24には巻上げ紐25が挿入され、その各巻上げ紐25の一方の端部は最下部の紐案内リング24’に連結されている。また、巻上げ紐25の他方の端部は、支持板7の下面に設けた前記プーリ9にかけられて横方向に案内され、さらに支持板7端部のローラ11と係止ローラ13との間に挿入されて上記ローラ11から垂下し、その垂れ下がった部分が操作部25’となっている。
なお、第1図および第2図に示すように、カーテン地20の背面側に巻上げ紐25を配置する場合は、カーテン地20の上部に挿入孔26を形成し、この挿入孔26に巻上げ紐25を挿入してカーテン地20の表面側に巻上げ紐25の上部を位置させるようにする。(明細書第5頁13行?第6頁7行)

チ.第6図、第7図から、上側案内溝2のある部分が天板に相当し、天板の前後から垂下する2つの側壁を有し、側壁下端が下側案内溝3となっており、下側案内溝3には複数のプーリ支持枠8・プーリ9が取り付けられている構成が読み取れる。側壁間の間隔を適宜とすることができることは自明である。
また、カーテン地20の表面側に位置する巻上げ紐25の上部は、カーテン支持枠1の前面より垂下させたカーテン地20の一方の端部により、前面側から見てほぼ露出しないようにされている構成が読み取れる。

したがって、上記各記載事項および図面を参照すると、甲第8号証には、
「天板の前後から適宜間隔を隔てて垂下する2つの側壁と、側壁の下端に形成される下側案内溝3と、下側案内溝3の長手方向に取り付けられたプーリ支持枠8・プーリ9と、を有するカーテン支持枠1と、一方の側壁を介し天板に上端が取り付けられるカーテン地20のと、プーリ支持枠8・プーリ9を挿通するとともにカーテン地20を昇降可能な巻上げ紐25と、からなるカーテン。」の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

9.甲第9号証
ツ.【0012】
且つ、レール本体4a内の各軌条4b,4b間に適宜数の各巻取りユニット9…を所定間隔に隔てて固定し、同各巻取りユニット9…に収納された各巻取りドラム10…の軸中心部に回転軸11を挿通して、カーテンレール4の左側端部に垂下した操作コード12の引下げ操作により回転軸11を正逆回転させ、各巻取りドラム10…上に各昇降コード13…を巻取り又は巻戻して、前後面の各カーテン8,8を任意高さに引上げ開閉する。

テ.【0027】
上述の実施例では、カーテンレール4の長手側前後面に各カーテン8,8を吊設しているが、例えば、カーテンレール4の長手側前面部のみにカーテン8を開閉可能に吊設するもよい。

10.甲第10号証
後側クロスの前面に複数枚の前側クロスの上端がそれぞれ連結されたローマンシェードに関するもので、前側クロスは、ヘッドレール下部に垂下するコードガイドを挿通した開閉用コードを操作して開閉し、後側クロスの開閉は、ヘッドレール内に回転駆動可能に設けられているドラムに巻取り、巻解き可能に巻き付けられた昇降コードにより昇降する点が記載されている。

11.甲第11号証
ト.【0008】【考案の効果】この考案は、昼間においては、厚地織物などのカーテン(A),(A')は、両方の窓際(W),(W')に引き寄せて、それぞれタッセル(R),(R')で止めておけば、薄地織物などのカーテン(B),(B')、およびレースなどの薄地カーテン(C),(C')は閉じた状態となり、これによって外部の光線が充分に部屋の中に入ってくる状態となる。これにより反射光は入るが直進光は透過が制限されることとなり、紫外線、赤外線の透過も制限される。薄地織物などのカーテン(B),(B')に、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤などを予め含浸固着させておくことにより、一層、これらの紫外線、赤外線を遮断することができる。
【0009】
また昼間において、さらに外部の光線を部屋の内部に採り入れたいときは、薄地織物などのカーテン(B),(B')も窓際(W),(W')に引き寄せ、厚地織物などのカーテン(A),(A')といっしょに、薄地織物などのカーテン(B),(B')も、それぞれタッセル(R),(R')で止めた状態とする。このようにして一本のカーテンレールの存在にもかかわらず、レースなどの薄地カーテン(C),(C')のみとしても使用でき、また厚地織物などのカーテン(A),(A')を閉じれば、厚地織物などのカーテン(A),(A')としても使用できるところの、多目的な三重カーテン(X),(X')を得ることができる。

12.甲第12号証
畳み上げた時のカーテン裾部の形状を多様に変化させることができる畳み上げ式装飾カーテンに関する発明が記載されている。

13.甲第13号証
上下方向の位置合わせや縫製作業なしに前側クロスを後側クロスに取付けることができるローマンシェードに関する発明が記載されている。

14.甲第14号証
ナ.第5欄20行から第7欄34行には、大略、以下の技術事項が記載されている。
ウィンドシェードアッセンブリ20は、フロントシェード22とバックシェード24からなる。フロントシェード22は、多くのプリーツ28を有するパネル26からなり折りたたまれる。パネル26の長手方向に亘って、実質的に窓枠と同じ幅を有する。各パネル26は、両端近くに一対の孔30a、30bを含む。孔30aは、第1引きコード34を通し、孔30bは、第2引きコード36を通す。引きコード34、36の一端は、ボトムヘッダビーム40に固定され、トップヘッダビーム46は挿入ビーム47を含み、挿入ビーム47には、孔30a、30bと垂直方向に一致して孔50a、50bが設けられ、孔50aは、第1引きコード34を通し、孔50b第2引きコード36を通す。
フロントシェード22同様、バックシェード24は、プリーツ54を有するパネル52からなっている。バックシェード24の底部60は、中間ヘッダビーム62に固定されている。第5引きコード64、第6引きコード66の端部が中間ヘッダビーム62に固定され、トップヘッダビーム46には、第5引きコード64、第6引きコード66を通す孔70a、70bが設けられる。引きコード34、36、64、66の動きは、コードロック機構72、74に引きコードには、より制御される。フロントシェード22と一体となった引きコード34、36は、コードロック機構72を通って握り部材76に接続され、バックシェード24と一体となった引きコード64、66は、コードロック機構74を通って握り部材78に接続される。

ニ.FIG1ないしFIG3から、フロントシェード22昇降用第1引きコード34、第2引きコード36は、トップヘッダビーム46に設けられた、それぞれ孔50a、50bを通って、さらにまとめてコードロック機構72を通る経路で配され、バックシェード24昇降用第5引きコード64、第6引きコード66は、トップヘッダビーム46に設けられた、それぞれ孔70a、70bを通って、さらにまとめてコードロック機構74を通る経路で配されていることが見てとれる。

第9 当審の判断
1.本件発明1に対して
(1)対比
本件発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「トップレール10」は、本件発明1の「ヘッドレール(12)」に相当し、以下、同様に「前面側スクリーン42」は「第1の生地(20)」に、「後面側スクリーン42」は、「第2の生地(22)」に、「コードガイドローラ」は「コードガイド部」に、「前側昇降コード・操作コード15a」は、「第1の昇降コード(24a)」に、「後側昇降コード・操作コード15b」は「第2の昇降コード(24b)」に、「つまみ16」は「操作部」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「ヘッドレールに第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレールに設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って配すると共に、ヘッドレールから昇降可能に垂下させ、
それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地に配し、
第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設けたローマンシェード。」である点で一致し、次の各点で相違する。

(相違点1)
第1の生地及び第2の生地の上端を、本件発明1は「ヘッドレールに形成される前後の壁にそれぞれ取付け」るのに対し、引用発明1はヘッドレールの前後の壁にそれぞれ取付けられていない点。

(相違点2)
本件発明1が「ヘッドレールにそれぞれ設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って別々の経路で配する」のに対し、引用発明1は、ストッパ本体20の仕切板部26によって分離されている点。

(相違点3)
第1及び第2の昇降コードを、本件発明1は「ヘッドレールの長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ」るのに対し、引用発明1は、そのような記載がない点。

(相違点4)
本件発明1が「垂下された第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し」たのに対し、引用発明1は、前面側スクリーンに連結される前側昇降コード・操作コード15aを前面側スクリーンの後面側に、後面側スクリーンに連結される後側昇降コード・操作コード15bを後面側スクリーンの前面側に、それぞれ配した点。

(2)判断
(相違点1)について
ヘッドレールに形成される前後の壁にそれぞれ第1の生地及び第2の生地の上端を取り付けられるようにすることは、甲第2号証、甲第3号証に記載されているように周知技術にすぎず、該周知技術を引用発明1のヘッドレールに形成される前後の壁に適用して上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易である。

(相違点2)について
甲第14号証に記載されたトップヘッダビーム46、及びそれに設けられた孔50a、50b、孔70a、70bは、フロントシェード22昇降用第1引きコード34、第2引きコード36、バックシェード24昇降用第5引きコード64、第6引きコード66を、トップヘッダビーム46長手方向に沿って別々の経路で配するものである。
昇降コードが絡まないように、経路を分けることは、他に甲第5号証、甲第6号証に記載されているように周知技術である。
結局、引用発明1に甲第14号証に記載された発明、及び周知技術を適用することにより、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易である。

(相違点3)について
引用発明1において、昇降コードをヘッドレールの長手方向のどの位置から垂下させるかは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計事項である。

(相違点4)について
甲第8号証には、カーテン地20の上部に形成した挿入孔26に巻上げ紐25を挿入して、カーテン地20の背面側に巻上げ紐25を配置し、巻上げ紐25の上部をカーテン地20の表面側に位置させるようにした点が記載されている。そして、巻上げ紐25の上部は、カーテン支持枠1の前面より垂下させたカーテン地20の一方の端部により、前面側から見てほぼ露出しないようにされている構成も記載されている。
甲第8号証のカーテンは、上記記載事項ソ、タ、チからみて、本件発明と同様のローマンシェードに係るものであることは明らかであるので、甲第8号証に記載された発明を引用発明1の後面側スクリーンに適用して、上記相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易である。

そして、本件発明1の作用・効果も引用発明1、及び甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術から予測される範囲内のものである。

よって、本件発明1は、甲第1号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

2.本件発明2に対して
(1)対比
本件発明2と引用発明とを対比すると、引用発明の「トップレール10」は、本件発明2の「ヘッドレール(12)」に相当し、以下、同様に「前面側スクリーン42」は「第1の生地(20)」に、「後面側スクリーン42」は、「第2の生地(22)」に、「コードガイドローラ」は「コードガイド部」に、「前側昇降コード・操作コード15a」は、「第1の昇降コード(24a)」に、「後側昇降コード・操作コード15b」は「第2の昇降コード(24b)」に、「ストッパ本体20」は「停止手段(28a,28b)」に、「つまみ16」は「操作部」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「ヘッドレールに第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレールに設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って配すると共に、ヘッドレールから昇降可能に垂下させ、 それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地に配し、
前記第1及び第2の昇降コードの他端部を、コードガイド部に案内させてヘッドレールに取り付けられた停止手段内に導き、
第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設けたローマンシェード。」である点で一致し、次の各点で相違する。

(相違点1)
第1の生地及び第2の生地の上端を、本件発明2は「ヘッドレールに形成される前後の壁にそれぞれ取付け」るのに対し、引用発明1はヘッドレールの前後の壁にそれぞれ取付けられていない点。

(相違点2’)
本件発明2が「ヘッドレールに形成される前後の壁にそれぞれコードガイド部を設け、コードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って別々の経路で配する」のに対し、引用発明1は、ストッパ本体20の仕切板部26によって分離されている点。

(相違点3)
第1及び第2の昇降コードを、本件発明2は「ヘッドレールの長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ」るのに対し、引用発明1は、そのような記載がない点。

(相違点4)
本件発明2が「垂下された第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し」たのに対し、引用発明1は、前面側スクリーンに連結される前側昇降コード・操作コード15aを前面側スクリーンの後面側に、後面側スクリーンに連結される後側昇降コード・操作コード15bを後面側スクリーンの前面側に、それぞれ配した点。

(2)判断
(相違点1)、(相違点3)、(相違点4)についての判断は、本件発明1に対して行ったものと同様である。

(相違点2’)について
甲第14号証に記載されたトップヘッダビーム46、及びそれに設けられた孔50a、50b、孔70a、70bは、フロントシェード22昇降用第1引きコード34、第2引きコード36、バックシェード24昇降用第5引きコード64、第6引きコード66を、トップヘッダビーム46長手方向に沿って別々の経路で配するものである。
昇降コードが絡まないように、経路を分けることは、他に甲第5号証、甲第6号証に記載されているように周知技術である。
また、ヘッドレールに形成される前後の壁にそれぞれコードガイド部を設けた点は、甲第7号証に本体1の両側に設けた「引紐載置片4.4、立上片5.5、」として記載されている。
結局、引用発明1に甲第7号証、甲第14号証に記載された発明、及び周知技術を適用することにより、上記相違点2’に係る本件発明2の構成とすることは、当業者にとって容易である。

そして、本件発明2の作用・効果も引用発明1、及び甲第7号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術から予測される範囲内のものである。

よって、本件発明2は、甲第1号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明2についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

3.本件発明3に対して
(1)対比
本件発明3と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「トップレール10」は、本件発明3の「ヘッドレール(12)」に相当し、以下、同様に「前面側スクリーン42」は「第1の生地(20)」に、「後面側スクリーン42」は、「第2の生地(22)」に、「コードガイドローラ」は「コードガイド部」に、「前側昇降コード・操作コード15a」は、「第1の昇降コード(24a)」に、「後側昇降コード・操作コード15b」は「第2の昇降コード(24b)」に、「つまみ16」は「操作部」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「ヘッドレールに第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレールから昇降可能に垂下され、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地に配し、
第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設けたローマンシェード。」である点で一致し、次の各点で相違する。

(相違点1)
第1の生地及び第2の生地の上端を、本件発明3は「ヘッドレールに形成される前後の壁にそれぞれ取付け」るのに対し、引用発明1はヘッドレールの前後の壁にそれぞれ取付けられていない点。

(相違点4’)
本件発明3が「第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し、・・・第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地の後面側に配すると共に、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし」たのに対し、引用発明1は、前面側スクリーンに連結される前側昇降コード・操作コード15aを前面側スクリーンの後面側に、後面側スクリーンに連結される後側昇降コード・操作コード15bを後面側スクリーンの前面側に、それぞれ配した点。

(相違点5)
本件発明3が「ヘッドレール内で複数のドラムを回動可能に支持し、第1及び第2の昇降コードの他端を、それぞれ該複数のドラムのいずれかのドラムに巻き取り、巻き解き可能に連結する」のに対し、引用発明1はそのような記載がない点。

(2)判断
(相違点1)についての判断は、本件発明1に対して行ったものと同様である。

(相違点4’)について
(相違点4’)は、(相違点4)と実質的に同じ相違点であり、その判断も、本件発明1に対して行ったものと同様である。

(相違点5)について
甲第9号証には、カーテンレール4内に各巻取りドラム10支持し、各巻取りドラム10上に各昇降コード13を巻取り又は巻戻して、前後面の各カーテン8,8を任意高さに引上げ開閉する点が記載されている。そして、「カーテンレール4の長手側前面部のみにカーテン8を開閉可能に吊設するもよい。」とも記載され、カーテンが一枚でも、同様の機構で昇降できることが開示されている。
結局、引用発明1の前面側スクリーン42及び後面側スクリーン41に甲第9号証に記載された発明を適用することにより、上記相違点5に係る本件発明3の構成とすることは、当業者にとって容易である。

そして、本件発明3の作用・効果も引用発明1、及び甲第8号証、甲第9号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術から予測される範囲内のものである。

よって、本件発明3は、甲第1号証、甲第8号証、甲第9号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明3についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

4.本件発明4に対して
(1)対比
本件発明4と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「トップレール10」は、本件発明4の「ヘッドレール(12)」に相当し、以下、同様に「前面側スクリーン42」は「第1の生地(20)」に、「後面側スクリーン42」は、「第2の生地(22)」に、「コードガイドローラ」は「コードガイド部」に、「前側昇降コード・操作コード15a」は、「第1の昇降コード(24a)」に、「後側昇降コード・操作コード15b」は「第2の昇降コード(24b)」に、「ストッパ本体20」は「停止手段(28a,28b)」に、「つまみ16」は「操作部」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「ヘッドレールに第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレールから昇降可能に垂下され、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地に配し、
第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
前記第2の昇降コードの他端部を、コードガイド部に案内させてヘッドレールに取り付けられた停止手段内に導くローマンシェード。」である点で一致し、次の各点で相違する。

(相違点1’)
第1の生地及び第2の生地の上端を、本件発明4は「ヘッドレールに形成される前壁に第1の生地を取付け、後壁に第2の生地を取付け」るのに対し、引用発明1はヘッドレールの前後の壁にそれぞれ取付けられていない点。

(相違点4’)
本件発明4が「第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し、・・・第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地の後面側に配すると共に、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし」たのに対し、引用発明1は、前面側スクリーンに連結される前側昇降コード・操作コード15aを前面側スクリーンの後面側に、後面側スクリーンに連結される後側昇降コード・操作コード15bを後面側スクリーンの前面側に、それぞれ配した点。

(相違点6)
本件発明4が「ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)の少なくとも一方にコードガイド部(15a,15b)を設け、ヘッドレール(12)内でドラム(32)を回動可能に支持し、第1の昇降コード(24a)の他端を、前記ドラム(32)に巻き取り、巻き解き可能に連結する」のに対し、引用発明1はそのような記載がない点。

(2)判断
(相違点1’)(相違点4’)は、(相違点1)(相違点4)と実質的に同じ相違点であり、その判断も、本件発明1に対して行ったものと同様である。

(相違点6)について
ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)の少なくとも一方にコードガイド部(15a,15b)を設けた点は、本件発明2に対しての(相違点2’)についてで検討したように、甲第7号証に記載された発明から容易である。
甲第9号証には、カーテンレール4内に各巻取りドラム10支持し、各巻取りドラム10上に各昇降コード13を巻取り又は巻戻して、前後面の各カーテン8,8を任意高さに引上げ開閉する点が記載されている。そして、「カーテンレール4の長手側前面部のみにカーテン8を開閉可能に吊設するもよい。」とも記載され、カーテンが一枚でも、同様の機構で昇降できることが開示されている。
結局、引用発明1の前面側スクリーン42に甲第9号証に記載された発明を適用することにより、上記相違点6に係る本件発明4の構成とすることは、当業者にとって容易である。

そして、本件発明4の作用・効果も引用発明1、及び甲第7号証?甲第9号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術から予測される範囲内のものである。

よって、本件発明4は、甲第1号証、甲第7号証?甲第9号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明4についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

5.本件発明5に対して
(1)対比
本件発明5と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「トップレール10」は、本件発明5の「ヘッドレール(12)」に相当し、以下、同様に「前面側スクリーン42」は「第1の生地(20)」に、「後面側スクリーン42」は、「第2の生地(22)」に、「コードガイドローラ」は「コードガイド部」に、「前側昇降コード・操作コード15a」は、「第1の昇降コード(24a)」に、「後側昇降コード・操作コード15b」は「第2の昇降コード(24b)」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の「つまみ16」の一方が、本件発明5「第1の操作部(30a)」に、他方が「第2の操作部(30b)」に、相当することは明らかである。

したがって、両者は、
「ヘッドレールに第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレールに設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って配すると共に、ヘッドレールから昇降可能に垂下させ、
それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地に配し、
第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
第1の昇降コードの他端部を前記コードガイド部に案内させてヘッドレールの端部に誘導してヘッドレールの端部から導出させて第1の操作部に連結し、第2の昇降コードの他端部を前記コードガイド部に案内させてヘッドレールの端部に誘導してヘッドレールの端部から導出させて第2の操作部に連結するローマンシェード。」である点で一致し、次の各点で相違する。

(相違点1)
第1の生地及び第2の生地の上端を、本件発明5は「ヘッドレールに形成される前後の壁にそれぞれ取付け」るのに対し、引用発明1はヘッドレールの前後の壁にそれぞれ取付けられていない点。

(相違点2’’)
本件発明5が「ヘッドレールの前側及び後側に前側コードガイド部及び後側コードガイド部をそれぞれ設け、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って別々の経路で配する」のに対し、引用発明1は、ストッパ本体20の仕切板部26によって分離されている点。

(相違点3)
第1及び第2の昇降コードを、本件発明5は「ヘッドレールの長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ」るのに対し、引用発明1は、そのような記載がない点。

(相違点4)
本件発明5が「垂下された第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し」たのに対し、引用発明1は、前面側スクリーンに連結される前側昇降コード・操作コード15aを前面側スクリーンの後面側に、後面側スクリーンに連結される後側昇降コード・操作コード15bを後面側スクリーンの前面側に、それぞれ配した点。

(相違点7)
本件発明5が、第1の昇降コードを前側コードガイド部に案内させ、第2の昇降コードを後側コードガイド部に案内させているのに対し、引用発明1は、そのような記載がない点。

(2)判断
(相違点1)、(相違点3)、(相違点4)についての判断は、本件発明1に対して行ったものと同様である。

(相違点2’’)について
(相違点2’’)は、(相違点2’)と実質的に同じ相違点であり、その判断も、本件発明2に対して行ったものと同様である。

(相違点7)について
ヘッドレールの前側及び後側に前側コードガイド部及び後側コードガイド部をそれぞれ設けることは、上記「(相違点2’’)について」で引用した本件発明2における「(相違点2’)について」で、検討したように当業者にとって容易であり、前側にある第1の昇降コードを前側コードガイド部に案内させ、後側にある第2の昇降コードを後側コードガイド部に案内させることも、技術的に何ら格別のことではない。

そして、本件発明5の作用・効果も引用発明1、及び甲第7号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術から予測される範囲内のものである。

よって、本件発明5は、甲第1号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

6.本件発明6に対して
本件発明6は、本件発明5に「第1の昇降コード(24a)及び第2の昇降コード(24b)の移動をそれぞれ停止可能な第1の停止手段(28a)及び第2の停止手段(28b)をヘッドレール(12)の前側コードガイド部(15a)及び後側コードガイド部(15b)にそれぞれ整列するようにして、ヘッドレール(12)の両端部よりも幅方向内側にそれぞれ設けること」の構成をさらに限定したものである。

(1)対比
本件発明6と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「トップレール10」は、本件発明6の「ヘッドレール(12)」に相当し、以下、同様に「前面側スクリーン42」は「第1の生地(20)」に、「後面側スクリーン42」は、「第2の生地(22)」に、「コードガイドローラ」は「コードガイド部」に、「前側昇降コード・操作コード15a」は、「第1の昇降コード(24a)」に、「後側昇降コード・操作コード15b」は「第2の昇降コード(24b)」に、それぞれ相当する。
そして、甲第1号証の上記記載事項オ.に記載した【図1】、【図2】の認定事項から、ストッパ本体は、本件発明6の第1の停止手段(28a)及び第2の停止手段(28b)に相当する構成を有していることは明らかである。

したがって、本件発明6で限定された部分と引用発明1とは、
「第1の昇降コード及び第2の昇降コードの移動をそれぞれ停止可能な第1の停止手段及び第2の停止手段をヘッドレールのコードガイド部にそれぞれ整列するようにして、ヘッドレールの幅方向にそれぞれ設けること」である点で一致し、次の各点で相違する。

(相違点8)
本件発明6は、第1の停止手段(28a)及び第2の停止手段(28b)をヘッドレール(12)の前側コードガイド部(15a)及び後側コードガイド部(15b)にそれぞれ整列するようにしているのに対して、引用発明1は、そのような記載がない点。

(相違点9)
本件発明6は、第1の停止手段(28a)及び第2の停止手段(28b)をヘッドレール(12)の両端部よりも幅方向内側にそれぞれ設けるのに対して、引用発明1は、そのような記載がない点。

(2)判断
(相違点8)について
ヘッドレール(12)の前側コードガイド部(15a)及び後側コードガイド部(15b)に相当する構成を設けることは、甲第14号証に記載され、直線的ではないにしても、コードガイドと整列してコードロック機構72、74(本件発明6の第1の停止手段及び第2の停止手段に相当する。)も記載されている。
結局、引用発明1に甲第14号証に記載された発明を適用することにより、上記相違点8に係る本件発明6の構成とすることは、当業者にとって容易である。

(相違点9)について
第1の停止手段(28a)及び第2の停止手段(28b)をヘッドレール(12)の幅方向にそれぞれ設ける際に、両端部よりも幅方向内側に設けることは、当業者が必要に応じてなし得る設計事項である。

そして、本件発明6の作用・効果も引用発明1、及び甲第7号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術から予測される範囲内のものである。

よって、本件発明6は、甲第1号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明6についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

7.本件発明7に対して
本件発明7は、本件発明6に「前側コードガイド部(15a)を、ヘッドレールに形成された前側レール部(12c)と該前側レール部(12c)に取り付けられたコード挿通リング(14)とから構成し、後側コードガイド部(15b)を、ヘッドレールに形成された後側レール部(12d)と該後側レール部(12d)に取り付けられたコード挿通リング(14)とから構成し、第1の停止手段(28a)を前記前側レール部(12c)にその前側レール部長手方向に位置調整可能に取り付け、前記第2の停止手段(28b)を前記後側レール部(12d)にその後側レール部長手方向に位置調整可能に取り付けること」の構成をさらに限定したものである。

(1)対比
本件発明7と引用発明1とを対比すると、少なくとも、次の各点で相違する。

(相違点10)
本件発明7は、前側コードガイド部を、ヘッドレールに形成された前側レール部と該前側レール部に取り付けられたコード挿通リングとから構成し、後側コードガイド部を、ヘッドレールに形成された後側レール部と該後側レール部に取り付けられたコード挿通リングとから構成しているのに対して、引用発明1は、そのような記載がない点。

(相違点11)
本件発明7は、第1の停止手段を前記前側レール部にその前側レール部長手方向に位置調整可能に取り付け、前記第2の停止手段を前記後側レール部にその後側レール部長手方向に位置調整可能に取り付けるのに対して、引用発明1は、そのような記載がない点。

(2)判断
(相違点10)について
甲第8号証には、下側案内溝3(本件発明7の「レール部」に相当。)に取り付けられたプーリ支持枠8・プーリ9(本件発明7の「コード挿通リング」に相当。)が記載されている。また、ヘッドレールの両側壁の下端にレール部を設けることは、甲第2号証、甲第7号証に記載されている。甲第8号証のものは、カーテン地が1枚のためプーリ支持枠8・プーリ9は、1列であるが、引用発明1,甲第2号証のもののような2枚構成のものである場合に、両側壁の下端に形成されるレール部にコード挿通リングを設けることは、当業者にとって容易である。
結局、引用発明1に甲第2号証、甲第7号証、甲第8号証に記載された発明、及び周知技術を適用することにより、上記相違点10に係る本件発明7の構成とすることは、当業者にとって容易である。

(相違点11)について
(相違点11)に係る本件発明7の構成は、甲第1?14号証のいずれにも記載されておらず、当業者にとって容易に想到できるものではない。

したがって、本件発明7は、甲第1?14号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

8.本件発明8に対して
本件発明8と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「トップレール10」は、本件発明8の「ヘッドレール(12)」に相当し、以下、同様に「前面側スクリーン42」は「第1の生地(20)」に、「後面側スクリーン42」は、「第2の生地(22)」に、「コードガイドローラ」は「コードガイド部」に、「前側昇降コード・操作コード15a」は、「第1の昇降コード(24a)」に、「後側昇降コード・操作コード15b」は「第2の昇降コード(24b)」に、「つまみ16」は「操作部」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「ヘッドレールに第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレールに設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って配すると共に、ヘッドレールから昇降可能に垂下させ、
それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地に配し、
第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設けたローマンシェード。」である点で一致し、次の各点で相違する。

(相違点1)
第1の生地及び第2の生地の上端を、本件発明8は「ヘッドレールに形成される前後の壁にそれぞれ取付け」るのに対し、引用発明1はヘッドレールの前後の壁にそれぞれ取付けられていない点。

(相違点2’’’)
本件発明8が「ヘッドレールにそれぞれ設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って配する」のに対し、引用発明1は、ストッパ本体20の仕切板部26によって分離されている点。

(相違点3)
第1及び第2の昇降コードを、本件発明8は「ヘッドレールの長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ」るのに対し、引用発明1は、そのような記載がない点。

(相違点4)
本件発明8が「垂下された第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し」たのに対し、引用発明1は、前面側スクリーンに連結される前側昇降コード・操作コード15aを前面側スクリーンの後面側に、後面側スクリーンに連結される後側昇降コード・操作コード15bを後面側スクリーンの前面側に、それぞれ配した点。

(2)判断
(相違点1)(相違点3)(相違点4)についての判断は、本件発明1に対して行ったものと同様である。

(相違点2’’’)について
(相違点2’’’)は、(相違点2)より狭い範囲の相違点であり、その判断も、本件発明1に対して行ったものと同様である。

なお、本件発明8では、第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部に参照符号(30a、30b、40)を付しているが、その参照符号のみでは、発明の構成を特定することはできず、単に「操作部」として、引用発明1と対比した。また、40で表すものが、本件発明3、4が有するドラムの巻き取り、巻き解きの操作部としても、甲第9号証、甲第10号証に記載されており、何ら格別のものではない。

そして、本件発明8の作用・効果も引用発明1、及び甲第7号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第9号証、甲第10号証に記載された周知技術から予測される範囲内のものである。

よって、本件発明8は、甲第1号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第9号証、甲第10号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明8についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

9.本件発明9に対して
本件発明9は、本件発明1ないし8のいずれかの発明に「第1の生地(20)及び第2の生地(22)のいずれか一方を不透明生地とし、いずれか他方を暗幕生地とする」の構成をさらに限定したものである。

甲第1号証には、上記記載事項イ.に「レース地スクリーン41と厚地スクリーン42からなる2重ローマンシェード」が記載され、甲第11号証には、厚地織物などのカーテン、薄地織物などのカーテン、およびレースなどの薄地カーテンと種々の遮光度のカーテンを組み合わせて用いた点が記載されている。
したがって、どのような種類の生地を用いるかは、当業者が必要に応じて適宜決定しうる設計事項である。

よって、本件発明9は、甲第1号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第14号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第9号証、甲第10号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明9についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

10.本件発明10に対して
(1)対比
本件発明10と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「天板」は、本件発明10の「天板部(12e)」に相当し、以下、同様に「カーテン地20」は「生地」に、「下側案内溝3」は「レール部(12c、12d)」に、「プーリ支持枠8・プーリ9」は「コード挿通リング(14)」に、「カーテン支持枠1」は「ヘッドレール(12)」に、「巻上げ紐25」は「昇降コード(24a、24b)」に、「カーテン」は「ローマンシェード」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「天板部(12e)の前後から適宜間隔を隔てて垂下する少なくとも2つ以上の側壁部と、側壁部の下端に形成されるレール部(12c、12d)と、レール部(12c、12d)の長手方向の位置に取付け可能なコード挿通リング(14)と、を有するヘッドレール(12)と、上端が取り付けられる生地(20,22)と、コード挿通リング(14)を挿通するとともに生地を昇降可能な昇降コード(24a、24b)と、からなるローマンシェード。」である点で一致し、次の各点で相違する。

(相違点12)
本件発明10の天板部(12e)が、壁面または天井面に固定されたブラケット(13)が取付け可能な支持部(12f)を有するのに対し、引用発明2は、そのような記載がない点。

(相違点13)
側壁部が、本件発明10は、「生地取付壁」であり、「少なくとも1つの生地取付壁(12a、12b)に」生地が取り付けられるのに対し、引用発明2は、カーテン地は1枚で側壁を介し天板に取り付けられている点。

(相違点14)
レール部が、本件発明10は、各生地取付壁(12a、12b)の下端にそれぞれ形成されるのに対し、引用発明2は、そのような記載がない点。

(相違点15)
コード挿通リングが、本件発明10は、長手方向の任意の位置に取付け可能なのに対し、引用発明2は、そのような記載がない点。

(2)判断
(相違点12)について
甲第3号証の上記記載事項ク.には、カーテンレール1上端の両縁にブラケット4取付け用の係止部5,5を有した点が記載され、これが本件発明10の支持部(12f)に相当することは明らかである。
結局、引用発明2に甲第3号証に記載された発明を適用することにより、上記相違点12に係る本件発明10の構成とすることは、当業者にとって容易である。

(相違点13)について
ヘッドレールに形成される前後の側壁部にそれぞれ第1の生地及び第2の生地の上端を取り付けられるようにすることは、甲第2号証、甲第3号証に記載されているように周知技術にすぎず、該周知技術を引用発明2の側壁部に適用して上記相違点13に係る本件発明10の構成とすることは、当業者にとって容易である。

(相違点14)について
両側壁の下端にレール部を設けることは、甲第2号証、甲第7号証に記載されている。引用発明2は、カーテン地が1枚のためプーリ支持枠8・プーリ9は、1列であるが、引用発明1,甲第2号証のもののような2枚構成のものである場合に、両側壁の下端にそれぞれ形成されるレール部コード挿通リングを設けることは、当業者にとって容易である。
結局、引用発明2に引用発明1、及び甲第2号証、甲第7号証に記載された発明を適用することにより、上記相違点14に係る本件発明10の構成とすることは、当業者にとって容易である。

(相違点15)について
引用発明2においても、コード挿通リングを長手方向のどの位置に取付け可能とするかは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計事項である。

そして、本件発明10の作用・効果も引用発明2、及び甲第1号証ないし甲第3号証、甲第7号証に記載された発明、及び周知技術から予測される範囲内のものである。

よって、本件発明10は、甲第1号証ないし甲第3号証、甲第8号証に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明10についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

第10 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1?6、8?10についての特許は、いずれも特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
また、本件発明7についての特許は、請求人の主張によっては、無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、その10分の1を請求人の負担とし、10分の9を被請求人の負担とする。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ローマンシェード
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)にそれぞれ設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を、それぞれヘッドレール(12)の長手方向に沿って別々の経路で配すると共に、ヘッドレール(12)の長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、
垂下された第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設けることを特徴とするローマンシェード。
【請求項2】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)にそれぞれコードガイド部(15a,15b)を設け、コードガイド部(15a,15b)によって、第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を、それぞれヘッドレール(12)の長手方向に沿って別々の経路で配すると共に、ヘッドレール(12)の長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、
垂下された第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
前記第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の他端部を、コードガイド部(15a,15b)に案内させてヘッドレール(12)に取り付けられた停止手段(28a,28b)内に導き、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設けることを特徴とするローマンシェード。
【請求項3】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)から昇降可能に垂下され、それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地(22)の後面側に配すると共に、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
前記ヘッドレール(12)内で複数のドラム(32)を回動可能に支持し、前記第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の他端を、それぞれ該複数のドラム(32)のいずれかのドラム(32)に巻き取り、巻き解き可能に連結することを特徴とするローマンシェード。
【請求項4】ヘッドレール(12)に形成される前壁(12a)に第1の生地(20)の上端を取付け、後壁(12b)に第2の生地(22)の上端を取付け、
ヘッドレール(12)から昇降可能に垂下され、それぞれ第1の生地(20)及び第2の生地(22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地(22)の後面側に配すると共に、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
前記ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)の少なくとも一方にコードガイド部(15a,15b)を設け、ヘッドレール(12)内でドラム(32)を回動可能に支持し、前記第2の昇降コード(24b)の他端部を、コードガイド部(15b)に案内させてヘッドレール(12)に取り付けられた停止手段(28b)内に導く一方で、前記第1の昇降コード(24a)の他端を、前記ドラム(32)に巻き取り、巻き解き可能に連結することを特徴とするローマンシェード。
【請求項5】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)の前側及び後側に前側コードガイド部(15a)及び後側コードガイド部(15b)をそれぞれ設け、第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を、それぞれヘッドレール(12)の長手方向に沿って別々の経路で配すると共に、ヘッドレール(12)の長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、
垂下された第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部をそれぞれ設け、
第1の昇降コード(24a)の他端部を前記前側コードガイド部(15a)に案内させてヘッドレール(12)の端部に誘導してヘッドレール(12)の端部から導出させて第1の操作部(30a)に連結し、第2の昇降コード(24b)の他端部を前記後側コードガイド部(15b)に案内させてヘッドレール(12)の端部に誘導してヘッドレール(12)の端部から導出させて第2の操作部(30b)に連結することを特徴とするローマンシェード。
【請求項6】前記第1の昇降コード(24a)及び第2の昇降コード(24b)の移動をそれぞれ停止可能な第1の停止手段(28a)及び第2の停止手段(28b)を前記ヘッドレール(12)の前側コードガイド部(15a)及び後側コードガイド部(15b)にそれぞれ整列するようにして、ヘッドレール(12)の両端部よりも幅方向内側にそれぞれ設けることを特徴とする請求項5記載のローマンシェード。
【請求項7】前記前側コードガイド部(15a)を、ヘッドレールに形成された前側レール部(12c)と該前側レール部(12c)に取り付けられたコード挿通リング(14)とから構成し、前記後側コードガイド部(15b)を、ヘッドレールに形成された後側レール部(12d)と該後側レール部(12d)に取り付けられたコード挿通リング(14)とから構成し、前記第1の停止手段(28a)を前記前側レール部(12c)にその前側レール部長手方向に位置調整可能に取り付け、前記第2の停止手段(28b)を前記後側レール部(12d)にその後側レール部長手方向に位置調整可能に取り付けることを特徴とする請求項6記載のローマンシェード。
【請求項8】ヘッドレール(12)に形成される前後の壁(12a,12b)に第1の生地(20)及び第2の生地(22)の上端をそれぞれ取付け、
ヘッドレール(12)にそれぞれ設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を、それぞれヘッドレール(12)の長手方向に沿って配すると共に、ヘッドレール(12)の長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、
垂下された第2の昇降コード(24b)を、第2の生地(22)の上端付近に形成した挿通孔(22a)を通して、第2の生地(22)の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地(22)の後面側に配すると共に挿通孔(22a)を昇降可能な第1の生地(20)によって前面側から見て露出しないようにし、
それぞれの生地(20,22)に連結される第1及び第2の昇降コード(24a,24b)の一端部を、それぞれの生地(20,22)の後面側に配し、
第1及び第2の昇降コード(24a,24b)を昇降させるための操作部(30a、30b、40)をそれぞれ設けることを特徴とするローマンシェード。
【請求項9】前記第1の生地(20)及び第2の生地(22)のいずれか一方を不透明生地とし、いずれか他方を暗幕生地とすることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のローマンシェード。
【請求項10】壁面または天井面に固定されたブラケット(13)が取付け可能な支持部(12f)を有する天板部(12e)と、天板部(12e)の前後から適宜間隔を隔てて垂下する少なくとも2つ以上の生地取付壁(12a、12b)と、各生地取付壁(12a、12b)の下端にそれぞれ形成されるレール部(12c、12d)と、レール部(12c、12d)の長手方向の任意の位置に取付け可能なコード挿通リング(14)と、を有するヘッドレール(12)と、少なくとも1つの生地取付壁(12a、12b)に上端が取り付けられる生地(20,22)と、コード挿通リング(14)を挿通するとともに生地を昇降可能な昇降コード(24a、24b)と、からなるローマンシェード。
【請求項11】さらに、レール部(12c、12d)の長手方向の任意の位置に取付け可能で且つ昇降コード(24a、24b)の移動を停止可能な停止手段(28a、28b)を備える請求項10記載のローマンシェード。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローマンシェードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ローマンシェードの普及に伴い生地の前後二重使いまたは左右並列使い等の要望が増えてきている。例えば、従来、前後二重使いをするには、二台のローマンシェードを用意するか、または、例えば実用新案登録第2580414号公報に開示された構成とすることが知られている。この公報に示されるものは、1つのヘッドレールから2枚の生地が垂下されており、このヘッドレールの端部にコードストッパが取付け可能となっており、コードストッパは、その内部が仕切板部によって前後2室に区分されて、各室に前側の生地と後側の生地をそれぞれ昇降する昇降コードに連結された操作コードがそれぞれ挿通されている。ヘッドレール内を水平方向に配された各操作コードは、コードストッパの各室に設けたガイドロールを回り垂下されており、さらに、各室に配置されるロックロールとロックバーとの間を挿通している。ロックロールは、各室内で上下方向に移動可能となっており、生地が自重で少し下降して操作コードが移動すると、操作コードと共に動き、ロックバーとの間で操作コードを挟持して、操作コードの移動を停止させるようになっている。各室にこのロックロールとロックバーからなるストッパー機構を設けたため、操作コードをそれぞれ独立に操作することができ、2枚の生地をそれぞれ独立に昇降させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報を含め従来のローマンシェードでは、後側の生地については、昇降コードが前面側に配されるため、前側の生地が上昇して後側の生地が下降している状態では、後側の生地の昇降コードが露出して、見栄えが悪いという問題がある。
【0004】
また、ヘッドボックスにおける昇降コードの配回し経路が固定的であるため、1つのヘッドボックスで生地の前後二重使いや左右並列使い等の多様な生地使いに対応することが困難である。
【0005】
同様に、昇降コードの移動を停止させる停止手段の位置も固定的であるため、1つのヘッドボックスで生地の前後二重使いや左右並列使い等の多様なローマンシェードに対応することが困難である。
【0006】
さらには、コードストッパがヘッドレールの端部から側方に張り出されるため、コードストッパの張り出し部分については、生地を設けることができない。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたもので、本発明の第1の目的は、多様な生地使いに対応することができるローマンシェードを提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、正面側から見て昇降コードが露出しないようにして、見栄えを向上させることができるローマンシェードを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項1記載の発明によるローマンシェードは、ヘッドレールに形成される前後の壁に第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、ヘッドレールにそれぞれ設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って別々の経路で配すると共に、ヘッドレールの長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、垂下された第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し、第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設けることを特徴とする。前後の壁面にそれぞれ生地を取り付けることで、多重生地使いのローマンシェードとすることができる。また、第1の昇降コード及び第2の昇降コード共にその一端部が第1及び第2の生地の後面側に配されるため、正面側から見て昇降コードが露出しないようにすることができ、見栄えを向上させることができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、ヘッドレールに形成される前後の壁に第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、ヘッドレールに形成される前後の壁にそれぞれコードガイド部を設け、コードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って別々の経路で配すると共に、ヘッドレールの長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、垂下された第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し、前記第1及び第2の昇降コードの他端部を、コードガイド部に案内させてヘッドレールに取り付けられた停止手段内に導き、第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設けることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、ヘッドレールに形成される前後の壁に第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、ヘッドレールから昇降可能に垂下され、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し、第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設け、第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地の後面側に配すると共に、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、前記ヘッドレール内で複数のドラムを回動可能に支持し、前記第1及び第2の昇降コードの他端を、それぞれ該複数のドラムのいずれかのドラムに巻き取り、巻き解き可能に連結することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、ヘッドレールに形成される前壁に第1の生地の上端を取付け、後壁に第2の生地の上端を取付け、ヘッドレールから昇降可能に垂下され、それぞれ第1の生地及び第2の生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し、第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設け、第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地の後面側に配すると共に、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、前記ヘッドレールに形成される前後の壁の少なくとも一方にコードガイド部を設け、ヘッドレール内でドラムを回動可能に支持し、前記第2の昇降コードの他端部を、コードガイド部に案内させてヘッドレールに取り付けられた停止手段内に導く一方で、前記第1の昇降コードの他端を、前記ドラムに巻き取り、巻き解き可能に連結することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、ヘッドレールに形成される前後の壁に第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、ヘッドレールの前側及び後側に前側コードガイド部及び後側コードガイド部をそれぞれ設け、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って別々の経路で配すると共に、ヘッドレールの長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、垂下された第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し、第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設け、第1の昇降コードの他端部を前記前側コードガイド部に案内させてヘッドレールの端部に誘導してヘッドレールの端部から導出させて第1の操作部に連結し、第2の昇降コードの他端部を前記後側コードガイド部に案内させてヘッドレールの端部に誘導してヘッドレールの端部から導出させて第2の操作部に連結することを特徴とする。第1の昇降コード及び第2の昇降コードは、それぞれ前側コードガイド部及び後側コードガイド部によって誘導されるため、ヘッドレールに沿って移動する際に互いに絡み合うことが防止される。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の前記第1の昇降コード及び第2の昇降コードの移動をそれぞれ停止可能な第1の停止手段及び第2の停止手段を前記ヘッドレールの前側コードガイド部及び後側コードガイド部にそれぞれ整列するようにして、ヘッドレールの両端部よりも幅方向内側にそれぞれ設けることを特徴とする。停止手段がヘッドレールの側方に張り出すことがないため、幅方向において生地の設けられていない部分を少なくすることができる。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の前記前側コードガイド部を、ヘッドレールに形成された前側レール部と該前側レール部に取り付けられたコード挿通リングとから構成し、前記後側コードガイド部を、ヘッドレールに形成された後側レール部と該後側レール部に取り付けられたコード挿通リングとから構成し、前記第1の停止手段を前記前側レール部にその前側レール部長手方向に位置調整可能に取り付け、前記第2の停止手段を前記後側レール部にその後側レール部長手方向に位置調整可能に取り付けることを特徴とする。第1及び第2の停止手段が前側レール部及び後側レール部にそれぞれ位置調整可能となっているため、停止手段を適宜位置に取り付けることができるようになる。
【0016】
請求項8記載の発明は、ヘッドレールに形成される前後の壁に第1の生地及び第2の生地の上端をそれぞれ取付け、ヘッドレールにそれぞれ設けたコードガイド部によって、第1及び第2の昇降コードを、それぞれヘッドレールの長手方向に沿って配すると共に、ヘッドレールの長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下させ、垂下された第2の昇降コードを、第2の生地の上端付近に形成した挿通孔を通して、第2の生地の前面側から後面側へと導き、その一端部を第2の生地の後面側に配すると共に挿通孔を昇降可能な第1の生地によって前面側から見て露出しないようにし、それぞれの生地に連結される第1及び第2の昇降コードの一端部を、それぞれの生地の後面側に配し、第1及び第2の昇降コードを昇降させるための操作部をそれぞれ設けることを特徴とする。第2の昇降コードの他端部が第2の生地の前面側にあっても、一端部を第2の生地の後面側へ配することができる。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の前記第1の生地及び第2の生地のいずれか一方を不透明生地とし、いずれか他方を暗幕生地とすることを特徴とする。2枚の生地を使用することにより、完全な遮光を行うことができる。
【0018】
請求項10記載の発明によるローマンシェードは、壁面または天井面に固定されたブラケットが取付け可能な支持部を有する天板部と、天板部の前後から適宜間隔を隔てて垂下する少なくとも2つ以上の生地取付壁と、各生地取付壁の下端にそれぞれ形成されるレール部と、レール部の長手方向の任意の位置に取付け可能なコード挿通リングと、を有するヘッドレールと、少なくとも1つの生地取付壁に上端が取り付けられる生地と、コード挿通リングを挿通するとともに生地を昇降可能な昇降コードと、からなる。コード挿通リングをレール部の長手方向の任意の位置に取付け可能とすることにより、昇降コードの配回しの自由度が増加し、多様な生地使いに対応することができるようになる。例えば、2つ以上の生地取付壁に生地の上端を取り付け、各生地取付壁の下端に形成されるレール部にコード挿通リングを取り付けることにより、多重生地使いのローマンシェードとすることもでき、または1つの生地取付壁に複数の生地の上端を取り付け、該1つの生地取付壁の下端に形成されるレール部にコード挿通リングを取り付けることにより、生地の左右並列使いに対応することができるようになる。コード挿通リングをレール部の長手方向の任意の位置に取り付けるのは、例えば、コード挿通リングをレール部に着脱可能にはめ込むことで行うことができる。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項10記載のものにおいて、さらに、レール部の長手方向の任意の位置に取付け可能で且つ昇降コードの移動を停止可能な停止手段を備える。停止手段をレール部の長手方向の任意の位置に取付け可能とすることにより、任意の生地の配置の自由度が増加し、多様な生地使いに対応することができるようになる。例えば、2つ以上の生地取付壁に生地の上端を取り付け、各生地取付壁の下端に形成されるレール部に停止手段を取り付けることにより、多重生地使いのローマンシェードとすることもでき、または1つの生地取付壁に複数の生地の上端を取り付け、該1つの生地取付壁の下端に形成されるレール部に複数の停止手段を取り付けることにより、生地の左右並列使いに対応することができるようになる。停止手段をレール部の長手方向の任意の位置に取り付けるのは、例えば、停止手段をレール部に滑動可能にはめ込むことで行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図4は本発明に係るローマンシェードの第1実施形態を表す図である。
【0021】
このローマンシェード10は、壁面または天井面に取り付けられるヘッドレール12を有している。ヘッドレール12は、図3に示す横断面形状をなしており、天板部12eと、該天板部12eの前後から適宜間隔を隔てて垂下する前壁12a及び後壁12bとを有している。天板部12eは、壁面または天井面に固定されるブラケット13に取付け可能な支持部12fをさらに有している。また、その前壁12aと後壁12bの下部にはそれぞれ下向きの小さなコ字状をなした前側レール部12cと後側レール部12dとが形成されている。前側レール部12cと後側レール部12dには、それぞれ複数(図の例では4個)のコード挿通リング14がヘッドレール12の長手方向の任意の位置に取り付けられる。コード挿通リング14は、その上端が前側レール部12cまたは後側レール部12dに着脱可能にはめ込まれている。これらの前側レール部12cと該前側レール部12cに取り付けられるコード挿通リング14とで、前側コードガイド部15aが構成され、後側レール部12dと該後側レール部12dに取り付けられるコード挿通リング14とで、後側コードガイド部15bが構成される。
【0022】
ヘッドレール12の前壁12aと後壁12bは、生地取付壁となっており、それぞれ面ファスナ16a、16bが取り付けられており(図4参照)、面ファスナ16aには、第1の生地20の上端に固着された面ファスナ21が係合され、第1の生地20が着脱可能にヘッドレール12の前壁12aに取り付けられる。同様に、面ファスナ16bには、第2の生地22の上端に取り付けられた面ファスナ23が係合され、第2の生地22が着脱可能にヘッドレール12の後壁12bに取り付けられる。第1の生地20と第2の生地22とは、全く同じ生地としても良いが、例えば、第1の生地20を不透明生地とし、第2の生地22を暗幕生地として、2枚の生地で遮光効果を持たせるようにすることができる。但し、この組み合わせに限られず、一方の生地をシースル生地、他方の生地を不透明生地としたり、または2枚の生地を互いに異なる柄の生地としたり、といった種々の組み合わせとすることが可能である。
【0023】
前記前側コードガイド部15aのコード挿通リング14には、複数本の第1の昇降コード24aが挿通される。各第1の昇降コード24aの一端部は、対応する所定のコード挿通リング14から垂下されて、第1の生地20に沿ってその後面に上下方向に所定間隔を空けて取り付けられた複数のコードリング25aを挿通して、上下方向に配され、第1の生地20の下端に取り付けられたウエイトバー26aまたは最下端のコードリング25a1に連結される。また、第1の昇降コード24aの他端部は、コード挿通リング14を挿通して、図1において、ヘッドレール12の右側に導かれて、コード挿通リング14と整列してヘッドレール12の幅方向内側に設けられた停止手段であるストッパ28aを挿通した後、ヘッドレール12の右端部から垂下されて、操作つまみ30aに連結される。
【0024】
一方、前記後側コードガイド部15bのコード挿通リング14には、複数本の第2の昇降コード24bが挿通される。各第2の昇降コード24bの一端部は、対応する所定のコード挿通リング14から垂下され、第2の生地22の上端付近に形成された挿通孔22aを挿通して、第2の生地22の前面側から後面側へと導かれ、さらに、第2の生地22に沿ってその後面に上下方向に所定間隔を空けて取り付けられた複数のコードリング25bを挿通して、上下方向に配され、第2の生地22の下端に取り付けられたウエイトバー26bまたは最下端のコードリング25b1に連結される。また、第2の昇降コード24bの他端部は、コード挿通リング14を挿通して、図1において、ヘッドレール12の左側に導かれて、コード挿通リング14と整列してヘッドレール12の幅方向内側に設けられた停止手段であるストッパ28bを挿通した後、ヘッドレール12の左端部から垂下されて、操作つまみ30bに連結される。
【0025】
前記ストッパ28aはひとつのコード挿通リング14とサイドキャップ29とに挟まれて、前側レール部12cの右端に取り付けられているが、その上端部にあるスライド部28a1(図4参照)が前側レール部12cに対して滑動可能に嵌め込まれており、該スライド部28a1を滑動させた後、例えば、コード挿通リング14でストッパ28aの両側を挟み付けることにより、前側レール部12cの長手方向任意の位置にストッパ28aを配置することができ、ストッパ28aの位置調整をすることができるようになっている。ストッパ28bについても同様に、ひとつのコード挿通リング14とサイドキャップ29とに挟まれて、後側レール部12dの左端に取り付けられているが、その上端部は後側レール部12dに滑動可能に嵌め込まれたスライド部28b1(図4参照)となっており、スライド部28b1を滑動させた後、例えば、コード挿通リング14でストッパ28bの両側を挟み付けることにより、後側レール部12dの長手方向任意の位置にストッパ28bを配置することができ、ストッパ28bの位置調整をすることができるようになっている。
【0026】
以上のように構成されるローマンシェードにおいて、各生地20,22をそれぞれ昇降させるのは、生地20または22に対応してヘッドレール12の左右側方にそれぞれ配される操作つまみ30aまたは30bを操作することにより、従来方法と同様に行うことができる。例えば、第1の生地20を上昇させる場合には、操作つまみ30aを下方に引き下ろすことにより、第1の昇降コード24aの一端が上昇し、生地20にひだを形成しながらウエイトバー26aが上昇する。そして、第1の昇降コード24aの一端が順次コードリング25aに当接し、生地20は隣接するコードリング25a間でひだを形成しながら、たくし上げられる。操作つまみ30aの引き下ろし操作を緩めると、ストッパ28aが締結して、第1の昇降コード24aの移動が停止される。生地20を下降させる場合には、操作つまみ30aを操作して(下方に少し引き下ろして)、ストッパー28aの締結を解除し、ウエイトバー26a及び生地20の自重により下降させる。第2の生地22についても、同様に操作を行うことができる。
【0027】
2枚の生地を独立的に操作することができるため、種々の変形を行わせることができる。独立的に操作する際に、操作つまみ30a、30bがそれぞれ備えられており、操作が簡単にできる。また、第1及び第2の昇降コード24a、24bは、それぞれヘッドレール12の長手方向に沿って別々の経路で配されており、即ち、ヘッドレール12の前壁12a及び後壁12bの下方に設けられた前側コードガイド部15aと後側コードガイド部15bに案内されて配されるため、この経路中において絡み合うことはない。また、この前側コードガイド部15aと後側コードガイド部15bは、ヘッドレール12の下方に突出しているため、第1と第2の昇降コード24a、24bの挿通作業を行う際にも、容易に行うことができる。
【0028】
さらには、ストッパ28a、28bがヘッドレール12の両端部より内側に配置されており、ヘッドレール12の端部からは、昇降コード24a、24bのみが導出されるだけであるので、ヘッドレール12のほぼ全幅に亘り生地20,22を配することができる。さらには、ストッパ28a、28bがヘッドレール12の前側レール部12cと後側レール部12dにそれぞれ位置調整可能となっているので、複数のストッパが配置可能となり、ヘッドレール12の前壁12aまたは後壁12bに複数の生地を取付けて、それぞれを分割して操作し、昇降させる所謂生地の左右並列使いをすることもできる。
【0029】
図5ないし図6は本発明に係るローマンシェードの第2実施形態を表す図である。第1実施形態と同様・同一の部品、部材は同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0030】
このローマンシェード10のヘッドレール12内には、ヘッドレール12の長手方向に所定間隔を空けて複数のドラム受け34が固定されており、各ドラム受け34には、ドラム32が回転可能に支持されている。各ドラム32には、第1の昇降コード24aの他端が巻き取り、巻き解き可能に連結されている。第1の昇降コード24aの一端部は、ドラム32から垂下されて、第1の生地20の後面に沿って複数のコードリング25aを挿通して、上下方向に配され、第1の生地20の下端に取り付けられたウエイトバー26aまたは最下端のコードリング25a1に連結される。
【0031】
各ドラム32には、回転軸36が挿通されており、各ドラム32は回転軸36に対して一体回転するようになっている。回転軸36はヘッドレール12内を伸びて、その一端が操作部40に連結される。操作部40は、図示しないプーリーと、プーリーの下部に配置される係止部と、該プーリーに巻き掛けられる操作チェーン42とからなり、操作チェーン42を回転操作することで、プーリー及び回転軸36が回転し、ドラム32が回転することができる。また、生地20を任意の高さで停止させる場合及びウエイトバー26a及び生地20の自重によるドラム32の回転の阻止は、操作チェーン42を係止部に係止させることによって行うことができる。
【0032】
一方、ヘッドレール12の後側レール部12dには、第1実施形態と同じように複数のコード挿通リング14がヘッドレール12の長手方向任意の位置にはめ込まれており、コード挿通リング14を通り、複数本の第2の昇降コード24が挿通され、各第2の昇降コード24bの一端部は、対応する所定のコード挿通リング14から垂下され、第2の生地22の上端付近に形成された挿通孔22aを挿通して、第2の生地22の前面側から後面側へと導かれ、複数のコードリング25bを挿通して、上下方向に配され、第2の生地22の下端に取り付けられたウエイトバー26bまたは最下端のコードリング25b1に連結される。
【0033】
このように構成されるローマンシェードにおいても、第1実施形態と同様に、操作つまみ30bを操作することにより、第2の昇降コード24bを昇降させて、第2の生地22を昇降させることができる。また、操作部40の操作チェーン42を操作してドラム32を回転させて、第1の昇降コード24aをドラム32に巻き取りまたはドラム32から巻き解いて、第1の昇降コード24aの一端部を上昇または下降させて、第1の生地22を昇降させることができる。
【0034】
この実施形態においても、2枚の生地を独立的に操作することができるため、種々の変形を行わせることができる。独立的に操作する際に操作つまみ30bと操作部40がそれぞれ備えられており、操作が簡単にできる。また、第2の昇降コード24bが後側コードガイド部15bに案内されて配され、第1の昇降コード24aがドラム32に連結されるため、この経路中においてこれらの昇降コード24a、24bが絡み合うことはない。
【0035】
尚、以上説明した実施形態に限ることなく、例えば、前側レール部12cにコード挿通リング14をはめ込み、このコード挿通リング14に第1の昇降コード24aを挿通させる一方で、第2の昇降コード24bの他端をドラム32に巻き取り、巻き解き可能に連結することも可能である。または、ヘッドレール12内に2列のドラム32を配置し、一列のドラム32に第1の昇降コード24aの他端を巻き取り、巻き解き可能に連結し、他列のドラム32に第2の昇降コード24bの他端を巻き取り、巻き解き可能に連結し、それぞれのドラム列を挿通する回転軸を回転操作可能な操作部を2つ設け、各操作部を操作して、対応する昇降コード24a、24bを昇降させることも可能である。または、生地の左右並列使いを行い、並列された一つの生地に一端が連結される昇降コードの他端をドラムに、並列された別の生地に一端が連結される昇降コードの他端側をコード挿通リングに通して、操作つまみに連結することも可能である。
【0036】
以上の各実施形態において、第1の生地20のみがたくし上げられた状態では、第2の生地22が露出する。このとき、生地22の第2の昇降コード24bは、生地22の後面側を配されているため、正面側から見て露出せず、良好な見栄えを維持することができる。
【0037】
例えば、生地20、22のいずれか一方をシースル生地として、他方を不透明生地とした場合には、不透明生地のみを上昇させて、シースル生地のみが下降している状態とし、採光機能及び眺望機能を持たせることができる。
【0038】
第1の生地20を不透明生地、第2の生地22を暗幕生地にした場合には、2枚の生地20,22がそれぞれ下降された状態で、完全な遮光効果を得ることができる。従来、遮光効果を持たせるために、不透明生地の裏面に暗幕生地を縫製により貼り合わせて1枚の生地を用いたローマンシェードとして使用されているものもあるが、このような生地であると、洗濯をしたときに、両生地の収縮率の違いによって、しわが発生してしまうという不具合がある。この実施形態のように、2枚の生地をそれぞれ別々に使用することにより、洗濯をしても、しわの発生を抑えることができる。生地20及び22を洗濯するときには、第1及び第2の昇降コード24a、24bの一端部をそれぞれウエイトバー26a、26bまたは最下端のコードリング25a1、25b1から外し、さらに、各生地20,22の上端の面ファスナ21,23をヘッドレール12から取り外すことにより、簡単に分解して行うことができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし9記載の発明によれば、前後の壁面にそれぞれ生地を取り付けることで、多重生地使いのローマンシェードとすることができる。また、第1の昇降コード及び第2の昇降コード共にその一端部が第1及び第2の生地の後面側に配されるため、正面側から見て昇降コードが露出しないようにすることができ、見栄えを向上させることができる。
【0040】
請求項2ないし4記載の発明によれば、第1の昇降コード及び第2の昇降コードの配回しの自由度を上げることができる。
【0041】
請求項5記載の発明によれば、第1の昇降コード及び第2の昇降コードが、それぞれ前側コードガイド部及び後側コードガイド部によって案内されるため、ヘッドレールに沿って移動する際に互いに絡み合うことが防止される。
【0042】
請求項6記載の発明によれば、停止手段がヘッドレールの側方に張り出すことがないため、幅方向において生地の設けられていない部分を少なくすることができる。
【0043】
請求項7記載の発明によれば、第1及び第2の停止手段が前側レール部及び後側レール部にそれぞれ位置調整可能となっているため、第1の停止手段及び第2の停止手段を適宜位置に取り付けることができるようになり、よって、第1の操作部及び第2の操作部を適した位置に配置することができるようになる。
【0044】
請求項8記載の発明によれば、第2の昇降コードの他端部が第2の生地の前面側にあっても、一端部を第2の生地の後面側へ配することができる。
【0045】
請求項9記載の発明によれば、正面側から見て不透明生地となったローマンシェードに完全な遮光効果を持たせることができる。さらには、不透明生地と暗幕生地とを貼り合わせて1枚の生地にした場合には、洗濯した場合に、収縮率の相違によりしわが発生したりといった不具合を生じるおそれがあるが、本発明によれば、かかる不具合の発生を排除することができる。
【0046】
請求項10記載の発明によれば、コード挿通リングをレール部の長手方向の任意の位置に取付け可能とすることにより、昇降コードの配回しの自由度が増加し、多様な生地使いに対応することができる。
【0047】
また、請求項11記載の発明によれば、停止手段をレール部の長手方向の任意の位置に取付け可能とすることにより、任意の生地の配置の自由度が増加し、多様な生地使いに対応することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のローマンシェードの第1実施形態を表す正面図である。
【図2】
図1のローマンシェードの背面図である。
【図3】
図1のローマンシェードの断面図(図1の3-3線に沿って見た断面図)である。
【図4】
図1のローマンシェードの生地を除いた分解斜視図である。
【図5】
本発明の第2実施形態を表す図3相当図である。
【図6】
図5のローマンシェードの生地を除いた分解斜視図である。
【符号の説明】
10 ローマンシェード
12 ヘッドレール
12a 前壁(生地取付壁)
12b 後壁(生地取付壁)
12c 前側レール部(レール部)
12d 後側レール部(レール部)
12e 天板部
12f 支持部
13 ブラケット
14 コード挿通リング
15a 前側コードガイド部
15b 後側コードガイド部
20 第1の生地
22 第2の生地
22a 挿通孔
24a 第1の昇降コード
24b 第2の昇降コード
28a ストッパ(停止手段)
28b ストッパ(停止手段)
30a 第1の操作部(操作つまみ)
30b 第2の操作部(操作つまみ)
32 ドラム
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2006-11-22 
結審通知日 2006-11-27 
審決日 2006-12-08 
出願番号 特願2000-101804(P2000-101804)
審決分類 P 1 123・ 55- ZD (A47H)
P 1 123・ 537- ZD (A47H)
P 1 123・ 121- ZD (A47H)
最終処分 一部成立  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 森内 正明
江塚 政弘
登録日 2002-12-13 
登録番号 特許第3379934号(P3379934)
発明の名称 ローマンシェード  
代理人 光田 敦  
代理人 清永 利亮  
代理人 城山 康文  
代理人 山口 栄一  
代理人 石戸 久子  
代理人 城山 康文  
代理人 石戸 久子  
代理人 山口 栄一  

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