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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1152463
審判番号 不服2005-15718  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-17 
確定日 2007-02-15 
事件の表示 特願2001-176126「表示装置の製造方法及び表示装置並びに投射装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月20日出願公開、特開2002-366046〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年6月11日に出願された特願2001-176126号の特許出願であって、原審において平成17年4月22日付の拒絶理由を通知したところ、平成17年5月23日付の意見書及び明細書を補正する手続補正書が提出され、前記拒絶理由により平成17年7月22日付で拒絶査定がなされ、その後、前記拒絶査定を不服として平成17年8月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付の明細書を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成17年8月17日付の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成17年8月17日付の手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成17年8月17日付の手続補正(以下、この補正を「本件補正」という。)は、平成17年5月23日付の手続補正に基づく明細書の特許請求の範囲についての
「【請求項1】 表示パネルと、
前記表示パネルの入射面及び出射面に配置される2枚の防塵ガラスと、
積層された前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを収納するケースと、
前記表示パネルと2枚の防塵ガラスとの間並びに前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスと前記ケースの内壁との間に設けられて、前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとを接着固定すると共に、前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを前記ケース内に接着固定する接着剤とを具備した表示装置の製造方法であって、
前記ケースの底面に、前記2枚の防塵ガラスのうちの一方の防塵ガラスを配置し、前記一方の防塵ガラスの表面及び側面に前記接着剤を充填する工程と、
その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置して、前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面に前記接着剤を充填する工程と、
前記2枚の防塵ガラスのうちの他方の防塵ガラスを、前記表示パネル上に配置し、前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスの側面とケースの内壁との間の隙間を前記接着剤で充填する工程と、
を備えることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項2】 表示パネルと、
前記表示パネルに接続固定されるフレキシブル基板と、
前記表示パネルの入射面及び出射面に配置される2枚の防塵ガラスと、
積層された前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを収納するケースと、
前記ケースの段部上に前記フレキシブル基板を挟んで取り付けられる埋込部材と、
前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとの間並びに前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスと前記ケースの内壁との間、並びに前記ケース内における前記フレキシブル基板の周囲と前記埋込部材の壁面に設けられて、前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとを接着固定すると共に、前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスを前記ケース内に接着固定する接着剤と、
を具備したことを特徴とする表示装置。
【請求項3】 前記接着剤は、前記ケース内の隙間の全てにも一体的に充填されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】 請求項2又は3のいずれか一項に記載の表示装置を用いたことを特徴とする投射装置。」
の記載を、
「【請求項1】 表示パネルと、
前記表示パネルの入射面及び出射面に配置される2枚の防塵ガラスと、
前記表示パネルに接続固定されるフレキシブル基板と、 積層された前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを収納するケースと、
前記表示パネルと2枚の防塵ガラスとの間並びに前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスと前記ケースの内壁との間に設けられて、前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとを接着固定すると共に、前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを前記ケース内に接着固定する一体化された一種類の接着剤とを具備した表示装置の製造方法であって、
前記ケースの底面に、前記2枚の防塵ガラスのうちの一方の防塵ガラスを配置し、前記一方の防塵ガラスの表面及び側面に前記接着剤を充填する工程と、
その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置して、埋込部材を前記フレキシブル基板を挟んで前記ケース上に配置し、前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面及び前記フレキシブル基板の周囲に前記接着剤を充填する工程と、
前記2枚の防塵ガラスのうちの他方の防塵ガラスを、前記表示パネル上に配置し、前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスの側面とケースの内壁との間の隙間を前記接着剤で充填する工程と、
を備えることを特徴とする表示装置の製造方法。」
と補正(下線は当審が付与)することを含むものである。

2 本件補正についての検討
(1)本件補正が特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第4号の規定によりなされた特許請求の範囲についてする補正が、同法第17条の2第4項の第1号ないし第4号に規定する補正の目的に該当する補正であるか否かについて検討する。

(2)本件補正の内容
本件補正は、本件補正前の請求項2、請求項3及び請求項4を削除するとともに、本件補正後の請求項1の発明特定事項として、本件補正前の請求項2に記載されていた「前記表示パネルに接続固定されるフレキシブル基板と、」を加え、さらに、本件補正前の請求項1に記載されていた「接着剤」及び「その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置して、前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面に前記接着剤を充填する工程」の各発明特定事項について、本件補正後の請求項1における発明特定事項として、それぞれ「一体化された一種類の接着剤」及び「その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置して、埋込部材を前記フレキシブル基板を挟んで前記ケース上に配置し、前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面及び前記フレキシブル基板の周囲に前記接着剤を充填する工程」のように、前記各発明特定事項を限定することを、その内容とする補正である。

本件補正は以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項に掲げられている「請求項の削除」(第1号)及び「特許請求の範囲の減縮」(第2号)の各事項を目的とする補正に該当する。

(3)まとめ
上記のとおり、本件補正に係る請求項1についての補正が、特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正を含んでいるので、前記請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

3 独立特許要件の有無
(1)本願の本件補正後の発明
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、これを「本願補正発明1」という。)は、請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(上記「第2」の「1 補正の内容」欄を参照)。
「【請求項1】 表示パネルと、
前記表示パネルの入射面及び出射面に配置される2枚の防塵ガラスと、
前記表示パネルに接続固定されるフレキシブル基板と、
積層された前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを収納するケースと、
前記表示パネルと2枚の防塵ガラスとの間並びに前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスと前記ケースの内壁との間に設けられて、前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとを接着固定すると共に、前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを前記ケース内に接着固定する一体化された一種類の接着剤とを具備した表示装置の製造方法であって、
前記ケースの底面に、前記2枚の防塵ガラスのうちの一方の防塵ガラスを配置し、前記一方の防塵ガラスの表面及び側面に前記接着剤を充填する工程と、
その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置して、埋込部材を前記フレキシブル基板を挟んで前記ケース上に配置し、前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面及び前記フレキシブル基板の周囲に前記接着剤を充填する工程と、
前記2枚の防塵ガラスのうちの他方の防塵ガラスを、前記表示パネル上に配置し、前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスの側面とケースの内壁との間の隙間を前記接着剤で充填する工程と、
を備えることを特徴とする表示装置の製造方法。」

(2)本願補正発明1について
ア 特許法第36条第6項第1号要件違反
本願補正発明1は、上記(1)の【請求項1】に記載のとおりであり、その請求項1の中に、「その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置して、埋込部材を前記フレキシブル基板を挟んで前記ケース上に配置し、前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面及び前記フレキシブル基板の周囲に前記接着剤を充填する工程」が記載されている。
しかしながら、請求項1の前記「工程」中の「前記フレキシブル基板の周囲に前記接着剤を充填する」工程(以下、「d工程」という。)が、前記「工程」中の「その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置する」工程(以下、「a工程」という。)の後の「埋込部材を前記フレキシブル基板を挟んで前記ケース上に配置する」工程(以下、「b工程」という。)の後に行われる工程であって、かつ、「前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面に前記接着剤を充填する」工程(以下、「c工程」という。)と同時に行われる工程であることを裏付ける記載が、明細書の発明の詳細な説明に記載されていない。そして、前記d工程が、a工程及びb工程の後に行われる工程であって、かつ、c工程と同時に行われる工程であることを示唆する記載がないばかりでなく、本願明細書において自明のことと認めることもできない。
ちなみに、本願明細書の発明の詳細な説明においては、その段落【0060】に「なお、接着剤110は、埋込部材116の壁面まで流れ、ケース101内において、FPC114の周囲も含み、全ての隙間に充填される。」と記載されているのであり、前記「d工程」に同定される「FPC114の周囲への接着剤110の充填」の工程は、段落【0059】に記載されている「適宜の時間をかけながら、接着剤110を更に適量充填する。接着剤110が素子基板103上及び素子基板103の側面111に略充填されると、防塵ガラス106を載置する。更に、接着剤110を充填を行って、液晶パネル102及び防塵ガラス105,106の全側面111とケース101の全内壁112との間の隙間を接着剤110で充填する」場合において、「接着剤110は、埋込部材116の壁面まで流れ、ケース101内において、FPC114の周囲も含み、全ての隙間に充填される」工程の中の一連の作業の一環として成されるものとして記載されている。
したがって、請求項1に記載されているa工程、b工程、c工程及びd工程の各工程からなる「その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置して、埋込部材を前記フレキシブル基板を挟んで前記ケース上に配置し、前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面及び前記フレキシブル基板の周囲に前記接着剤を充填する工程」は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載されていない事項を、請求項1の発明特定事項として記載されているものである。
上記のとおりであり、本願補正発明1は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載されていない前記「その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置して、埋込部材を前記フレキシブル基板を挟んで前記ケース上に配置し、前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面及び前記フレキシブル基板の周囲に前記接着剤を充填する工程」の事項をその発明特定事項としているので、本願補正発明1が、特許法第36条第6項第1号に規定する「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」の要件を満たしているということができない。

イ 特許法第36条第6項第2号要件違反
本願補正発明1では、その請求項1の中に、
「前記ケースの底面に、前記2枚の防塵ガラスのうちの一方の防塵ガラスを配置し、前記一方の防塵ガラスの表面及び側面に前記接着剤を充填する工程(以下、この工程を「A工程」という。)と、
その後に前記表示パネルを前記一方の防塵ガラス上に配置して、埋込部材を前記フレキシブル基板を挟んで前記ケース上に配置し、前記表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面及び前記フレキシブル基板の周囲に前記接着剤を充填する工程(以下、この工程を「B工程」という。)と、
前記2枚の防塵ガラスのうちの他方の防塵ガラスを、前記表示パネル上に配置し、前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスの側面とケースの内壁との間の隙間を前記接着剤で充填する工程(以下、この工程を「C工程」という。)と、を備えることを特徴とする表示装置の製造方法」
が記載されている。
請求項1に記載されている前記A?Cの工程によれば、本願補正発明1の表示装置の製造方法は、まず、A工程において、一方の防塵ガラスの表面及び側面に接着剤が充填され、次に、B工程において、表示パネルの上及び前記表示パネルのうちの上側基板の側面及び前記フレキシブル基板の周囲に接着剤が充填され、最後に、C工程において、表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスの側面とケースの内壁との間の隙間が接着剤で充填されることになる。
そうすると、上記A工程及びB工程のいずれにおいても、表示パネルのうちの下側基板の側面には、接着剤が充填されていないのであり、最後にまとめて表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスの側面とケースの内壁との間の隙間が接着剤で充填されることになるから、結局のところ、A工程において充填された、表示パネルのうちの下側基板の側面の直下にある一方の防塵ガラス側面の接着剤と、B工程において充填された、表示パネルのうちの下側基板の側面の直上にある表示パネルのうちの上側基板の側面の接着剤とで、表示パネルのうちの下側基板の側面の上部と下部とが包囲されていることになり、しかも、本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0059】に「適宜の時間をかけながら、接着剤110を更に適量充填する。」旨が記載されていることからみて、前記A工程及びB工程で充填された前記接着剤は、適宜の時間の経過により固化しているものと考えられる。
そうすると、請求項1に記載されている前記A?Cの工程に従えば、前記A工程及びB工程の後に、最後にC工程において、表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスの側面とケースの内壁との間の残余の空隙を接着剤でまとめて充填したとしても、前記表示パネルのうちの下側基板の側面の近傍には、固化した接着剤により充填が阻まれて、接着剤が十分に充填されて得ない隙間である空泡部(void)が形成されることが容易に予測できる。
したがって、特許請求の範囲の請求項1に記載されている表示装置の製造方法の工程において、表示パネルのうちの下側基板の側面に、敢えて接着剤を充填しないことを発明特定事項としている本願補正発明1は、本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0065】に記載の「また、ケース101内には隙間がないので、湿気がケース101内に混入することはなく、防湿性に優れている。」の記載にてらしてみても、明確であるということができない。
上記のとおり、本願補正発明1は、その発明特定事項が明確でないので、本願補正発明1が、特許法第36条第6項第2号に規定する「特許を受けようとする発明が明確であること。」の要件を満たしているということができない。

ウ まとめ
したがって、本願補正発明1は、特許法第36条第6項第1号に規定する「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」の要件を満たしておらず、また、特許法第36条第6項第2号に規定する「特許を受けようとする発明が明確であること。」の要件を満たしていないので、本願補正発明1を含む本願特許出願の特許請求の範囲の記載が、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていないことにより、同法第49条第4項の規定により本願特許出願は拒絶されるべきものとされるから、したがって、本件補正により補正された本願補正発明1は、特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおりであり、本件補正後の特許請求の範囲に記載された請求項1に係る発明を含む本願の特許請求の範囲の記載が、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定するところの「特許出願の際独立して特許を受けることができるもの」に適合していないから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記「第2」欄に前述した理由により、平成17年8月17日付の手続補正が却下されたことにより、本願発明は、平成17年5月23日付の手続補正に基づく明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものであるところ、特にその請求項2に係る発明は次のとおりのものである(上記「第2」の「1 補正の内容」欄を参照)。
「【請求項2】 表示パネルと、
前記表示パネルに接続固定されるフレキシブル基板と、
前記表示パネルの入射面及び出射面に配置される2枚の防塵ガラスと、
積層された前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを収納するケースと、
前記ケースの段部上に前記フレキシブル基板を挟んで取り付けられる埋込部材と、
前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとの間並びに前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスと前記ケースの内壁との間、並びに前記ケース内における前記フレキシブル基板の周囲と前記埋込部材の壁面に設けられて、前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとを接着固定すると共に、前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスを前記ケース内に接着固定する接着剤と、
を具備したことを特徴とする表示装置。」(以下、これを「本願発明2」という。)

2 引用刊行物
(1)原審における拒絶査定の理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開平10-186333号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「液晶表示装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、液晶駆動基板と対向基板との間に液晶を封入した液晶表示装置に関する。」
「【0031】 次に、図3の概略断面図に基づいて第3実施形態における液晶表示装置を説明する。第3実施形態における液晶表示装置1は、液晶パネル部材の液晶駆動基板2側に金属枠M1が取り付けられ、対向基板3側に金属枠M2が取り付けられ、また金属枠M1内および金属枠M2内に透明樹脂5が充填されている点に特徴がある。
【0032】 第3実施形態の液晶表示装置1は、主として、液晶駆動基板2と対向基板3とを重ね合わせて成る液晶パネル部材と、この液晶パネル部材の液晶駆動基板2側に取り付け部を有する金属枠M1と、対向基板3側に取り付け部を有する金属枠M2とを備えた構成となっており、この金属枠M1の取り付け部が、液晶駆動基板2の画素領域Gと対応する部分以外で遮光性接着部材4を介して取り付けられ、金属枠M2の取り付け部が、対向基板3の画素領域Gと対応する部分以外で遮光性接着部材4を介して取り付けられている。
【0033】 このような構造では、液晶パネル部材が金属枠M1、M2に遮光性接着部材4を介して取り付けられていることで、液晶パネル部材で発生する熱が金属枠M1、M2を介して効率良く放熱され、液晶パネル部材の冷却効率を高めることができるようになる。
【0034】 遮光性接着部材4は、前記実施形態と同様に例えば黒色両面テープを使用して、簡単に取り付けられるようになっている。金属枠M1および金属枠M2と遮光性接着部材4により、液晶駆動基板2の画素領域Gの周辺に設けられた液晶駆動回路領域(図示せず)へ迷光が入射するのを防止でき、TFT等の素子のしきい値変動による画質劣化を防止できるようになる。また、黒色両面テープから成る遮光性接着部材4により、煩雑な作業を必要とせず遮光性を得ることができるようになる。
【0035】 また、第3実施形態の液晶表示装置1では、液晶パネル部材に金属枠M1および金属枠M2を取り付けた状態で、その金属枠M1および金属枠M2内に透明樹脂5が埋め込まれた構造となっている。
【0036】 この透明樹脂5としては、前記実施形態と同様に、耐光性および所定の光学特性を備えたエポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤を用いる。また、透明樹脂5は、硬化収縮ストレスによる液晶ギャップ変動低減のためにゲル状、ゴム状、リジット状いずれであってもよい。このような透明樹脂5で液晶パネル部材を覆うことによって、液晶駆動基板2や対向基板3等から発生した熱を効率良く外部へ逃がすことができるようになる。
【0037】 また、この透明樹脂5として液状、グリース状、コンパウンド状等のオイル状のエポキシ、アクリルまたはシリコーンを用いてもよい。これにより透明樹脂5が液晶駆動基板2や対向基板3等から発生した熱によって金属枠M1内および金属枠M2内を対流し、高い冷却効果を得ることができる。また、硬化収縮ストレスによる液晶ギャップ変動を防止できる。
【0038】 第3実施形態における液晶表示装置1を製造するには、先ず、金属枠M1の底部開口部に黒色両面テープから成る遮光性接着部材4を介してカバーガラスCG1(例えば、0.7mm厚のほうけい酸ガラス)を取り付け、金属枠M1との隙間をシリコーン樹脂R(黒色が望ましい。以下同様)で埋めておく。次に、この金属枠M1の取り付け部に液晶パネル部材の液晶駆動基板2側を黒色両面テープから成る遮光性接着部材4で取り付ける。
【0039】 次いで、金属枠M2の上部開口部にカバーガラスCG2を黒色両面テープから成る遮光性接着部材4で取り付け、またカバーガラスCG2の縁と金属枠M2との隙間をシリコーン樹脂Rで埋めておく。
【0040】 次に、液晶パネル部材の対向基板3の画素領域Gと対応する部分以外で、黒色両面テープから成る遮光性接着部材4を介して金属枠M2を取り付ける。また、同時に金属枠M2を金属枠M1に遮光性接着部材4を介して取り付ける。この際、金属枠M1と金属枠M2とでフレキシブル配線Fを挟むようにする。
【0041】 次に、金属枠M1と金属枠M2との間に設けられている注入口7より透明樹脂5を注入し、金属枠M1内および金属枠M2内に充填する。この際、注入口7から注入された透明樹脂5は、金属枠M1に設けられた通気孔6を通過して液晶パネル部材の下側へ充填され、徐々に上がって金属枠M2に設けられた通気孔6を通過して液晶パネル部材の上側まで充填されるようになる。この通気孔6によって注入した透明樹脂5内に気泡を生じさせずに充填できるようになる。
【0042】 透明樹脂5としてゲル状、ゴム状等の加熱硬化型接着剤を用いた場合には、注入を行った後に、真空脱泡または高圧脱泡処理を施して硬化処理を行う。
【0043】 そして、注入口7および金属枠M1と金属枠M2との間のつなぎ目(溝部)にシリコーン樹脂Rを埋め込み、カバーガラスCG1に偏光板Hを取り付ける(偏光板HはカバーガラスCG1を金属枠M1に取り付ける際、または取り付ける前に付けておいてもよい)。
【0044】 これによって、画素領域Gと対応する部分以外に遮光性接着部材4を備え、しかも液晶パネル部材の液晶駆動基板2側、対向基板3側および液晶パネル部材の側部を透明樹脂5によって覆った液晶表示装置1が完成する。
【0045】 特に、第3実施形態の液晶表示装置1において、透明樹脂5として液状樹脂を用いた場合、液晶駆動基板2や対向基板3等から発生した熱によって透明樹脂5が対流を起こし、金属枠M1と金属枠M2とに設けられた通気孔6を介して液晶パネル部材の上側と下側との間を循環するようになり、高い冷却効果を得ることができるようになる。」
「【0086】 また、第3、第4、第5、第6、第7実施形態のように、金属枠M1と金属枠M2とで液晶パネル部材を挟む構造のものは、金属枠M1と液晶駆動基板2との間および金属枠M2と対向基板3との間に遮光性接着部材4を介すことなく直接接触させるようにしてもよい。これによって、発熱する液晶パネル部材から金属枠M1や金属枠M2へ直接熱を伝え、さらに放熱硬化を高めることができるようになる。」

そうすると、上記引用刊行物1における前記摘記事項及び添付図面における記載からみて、引用刊行物1には、次の発明(以下、これを「引用発明」という。)の記載が認められる。
「液晶駆動基板2と対向基板3とを重ね合わせて成る液晶パネル部材と、この液晶パネル部材の液晶駆動基板2側に取り付け部を有する金属枠M1と、対向基板3側に取り付け部を有する金属枠M2とを備え、液晶パネル部材に金属枠M1および金属枠M2を取り付けた状態で、その金属枠M1および金属枠M2内に透明樹脂5が注入されて、液晶パネル部材の液晶駆動基板2側、対向基板3側および液晶パネル部材の側部を透明樹脂5によって覆う液晶表示装置1において、
金属枠M1の底部開口部にカバーガラスCG1が取り付けられ、金属枠M1の取り付け部に液晶パネル部材の液晶駆動基板2側が取り付けられ、金属枠M2の上部開口部にカバーガラスCG2が取り付けられ、液晶パネル部材の対向基板3の画素領域Gと対応する部分以外に金属枠M2が取り付けられ、金属枠M2を金属枠M1に取り付ける際、金属枠M1と金属枠M2とでフレキシブル配線Fを挟み、金属枠M1と金属枠M2との間に設けられている注入口7より透明樹脂5が注入されて、金属枠M1内および金属枠M2内に透明樹脂5が充填されており、注入口7および金属枠M1と金属枠M2との間のつなぎ目(溝部)にシリコーン樹脂Rが埋め込まれてなる液晶表示装置」

(2)原審における拒絶査定の理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開平11-126033号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、「電気光学装置及びこれを備えた投射型表示装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は電気光学装置に係り、特に、電気光学パネルを取付体に取付けてなる電気光学パネルモジュールとして、液晶を電気光学物質として用いた液晶プロジェクタなどの投射型表示装置に用いる場合に好適な電気光学装置の構造に関する。」
「【0068】〔第4実施形態〕 次に、図8を参照して本発明に係る第4実施形態について説明する。この実施形態においては、パネル取付枠40及び電気光学パネル50については上記第3実施形態と全く同じであるので、その説明は省略する。この実施形態の保持板70は、枠板71と、枠板71の側部に設けられた一対の係合部72と、枠板71から外側に張り出すように形成された配線被覆部である張出被覆部73とから構成される。枠板71及び係合部72は上記各実施形態のものと同様である。
【0069】 張出被覆部73は、パネル取付枠40の収容凹部41に電気光学パネル50がセットされたとき、電気光学パネル50から引き出されるフレキシブル配線基板56の表面56aを覆うように構成されている。この張出被覆部73によってフレキシブル配線基板56の導電接続部周辺は外部から被覆されることとなるため、フレキシブル配線基板56の変形が妨げられ、導電接続部に過大な応力が加わることを防止することができるとともに、フレキシブル配線基板56の表面56aに接着剤などが溢れ出していても、接着剤の溢れ出し部分が外部に露出しないので、取り扱いが容易になる。特に、電気光学パネル構成用の透明基板と防塵用の透明基板とを接着する透明接着剤は、硬化前にはかなりの流動性があり、しかも、硬化後においても弾力性があり、べとつくため、この透明接着剤のしみだし部分を張出被覆部73によって覆うことによって取り扱い性が向上する。特に、第3実施形態の末尾に記載したように透明接着剤のしみだし方向をフレキシブル配線基板の導電接続部に導き、当該導電接続部にて硬化させてフレキシブル配線基板の付着状態を接着力によって補強する場合には、張出被覆部73を設けてフレキシブル配線基板の導電接続部周辺を覆うことが特に有効である。
【0070】 張出被覆部73はフレキシブル配線基板56の基板表面56aになるべく接触するか接近していることが好ましいが、或る程度基板表面56aから離れていても効果がある。張出被覆部73をフレキシブル配線の表面56aに接触させるか、或いは充分に接近させるために、図8に一点鎖線で示すような折り曲げ形状若しくは段差を有する形状の張出被覆部73’を形成してもよい。また、二点鎖線で示すようにフレキシブル配線基板56の延長方向に間隔を隔てて伸ばした先をフレキシブル配線基板56の表面上に向けて接近させるように構成した張出被覆部73”を形成することにより、フレキシブル配線基板56の表面上にしみだした接着剤(特に透明接着剤)が張出被覆部73”に触れてその表面に沿って吸い上げられることを防止できる。これらの張出被覆部73,73’,73”は、図示のようにフレキシブル配線基板56の導電接続部周辺において幅方向の全部を被覆していることが好ましい。」

(3)原審における拒絶査定の理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開平10-123964号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には、「液晶表示装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、液晶駆動基板と対向基板との間に液晶を封入した液晶表示装置に関する。」
「【0023】 次に、図2?図4に基づいて本実施形態における液晶表示装置の組み立て状態を説明する。先ず、図2に示す組み立て状態においては、本実施形態の液晶表示装置1の上部に金属枠M1を取り付け、下部に金属枠M2を取り付けた構造となっている。特に図2に示す組み立てでは、金属枠M1、M2を高熱伝導性シリコーン樹脂Rによって取り付けている点に特徴がある。しかも、この高熱伝導性シリコーン樹脂Rはフレア防止の観点から、カーボン添加による黒色のもので1成分形、縮合型を適用するのが望ましい。
【0024】 また、ゴム弾性の高熱伝導性シリコーン樹脂Rによって、TFT基板2、対向基板3や放熱用ガラス板G1、G2、金属枠M1、M2との熱膨張係数差によるストレスを緩和し、液晶ギャップの変動を防止し表示画質の劣化を防止する。また、ストレスによるTFT基板2、対向基板3、放熱用ガラス板G1、G2のクラック、割れを防止する。
【0025】 金属枠M1、2としては、例えばアルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウムおよびそれらの合金をダイキャスト加工または切削加工によって成形し、フレア防止のために黒色の塗料をコートしたものを使用し、高熱伝導性シリコーン樹脂Rとしては、例えば熱伝導率1.0W/mK以上の1成分形縮合型の黒色のものを使用する。
【0026】 金属枠M1、M2を取り付けるには、先ず図中丸1矢印で示す部分に紫外線照射硬化型接着剤(図示せず)を用いて金属枠M2を仮固定しておき、この状態でTFT基板2およびこれに貼り合わされた放熱用ガラス板G2との隙間に高熱伝導性シリコーン樹脂Rを埋め込む。
【0027】 次いで、TFT基板2にフレキシブル配線Fを接続した後、金属枠M1を対向基板3およびこれに貼り合わされた放熱用ガラス板G1を覆う状態で高熱伝導性シリコーン樹脂Rを介して取り付ける。
【0028】 このようにして金属枠M1、M2を取り付けることによって、液晶表示装置1から放熱用ガラス板G1、G2に伝わった熱は高熱伝導性シリコーン樹脂Rから金属枠M1、M2へ効率良く伝わり、金属枠M1、M2から外部へ放出されることになる。なお、この金属枠M1、M2に対して外部からファンの風を当てることによって、更なる放熱効果を得ることができるようになる。なお、偏光板41を放熱用ガラス板G1、偏光板42を放熱用ガラス板G2へ取り付けるが、この偏光板41、42には反射防止膜、ハードコート処理を施しておくのが望ましい。」

3 対比
本願発明2と前記引用発明とを比較すると、引用発明における「液晶駆動基板2と対向基板3とを重ね合わせて成る液晶パネル部材」、「フレキシブル配線F」、「カバーガラスCG1とカバーガラスCG2」、「液晶パネル部材の液晶駆動基板2側に取り付け部を有する金属枠M1と、対向基板3側に取り付け部を有する金属枠M2」及び「液晶表示装置1」のそれぞれは、本願発明2における「積層された表示パネル」、「前記表示パネルに接続固定されるフレキシブル基板」、「前記表示パネルの入射面及び出射面に配置される2枚の防塵ガラス」、「積層された前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを収納するケース」及び「表示装置」にそれぞれ相当する。
そして、引用発明の「液晶パネル部材に金属枠M1および金属枠M2を取り付けた状態で、その金属枠M1および金属枠M2内に注入されて、液晶パネル部材の液晶駆動基板2側、対向基板3側および液晶パネル部材の側部を覆う透明樹脂5」は、金属枠M1および金属枠M2内に注入される前記透明樹脂5が、液晶パネル部材の液晶駆動基板2とカバーガラスCG1及び対向基板3とカバーガラスCG2との間、並びに液晶パネル部材の液晶駆動基板2と対向基板3及びカバーガラスCG1とカバーガラスCG2に対する金属枠M1と金属枠M2との間隙に充填されるものであり、その結果、金属枠M1と金属枠M2とで挟まれるフレキシブル配線Fの周囲にも設けられるものであるから、本願発明2の「前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとの間並びに前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスと前記ケースの内壁との間、並びに前記ケース内における前記フレキシブル基板の周囲と前記埋込部材の壁面に設けられて、前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとを接着固定すると共に、前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスを前記ケース内に接着固定する接着剤」に相当する。
また、引用発明の「金属枠M1と金属枠M2との間のつなぎ目(溝部)に埋め込まれているシリコーン樹脂R」と本願発明2の「前記ケースの段部上に前記フレキシブル基板を挟んで取り付けられる埋込部材」とは、ともに「フレキシブル基板をケース枠体に固定保持することを目的とする役割を果たすもの」であるから、両者は「フレキシブル基板を挟んで取り付けられる保持部材」である点で共通する。
そうすると、本願発明2と引用発明とは、「表示パネルと、前記表示パネルに接続固定されるフレキシブル基板と、前記表示パネルの入射面及び出射面に配置される2枚の防塵ガラスと、積層された前記表示パネル及び2枚の防塵ガラスを収納するケースと、前記フレキシブル基板を挟んで取り付けられる保持部材と、前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとの間並びに前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスと前記ケースの内壁との間、並びに前記ケース内における前記フレキシブル基板の周囲と前記埋込部材の壁面に設けられて、前記表示パネルと前記2枚の防塵ガラスとを接着固定すると共に、前記表示パネル及び前記2枚の防塵ガラスを前記ケース内に接着固定する接着剤と、を具備したことを特徴とする表示装置」である点で一致し、次の点で構成が相違する。
相違点1:本願発明2の保持部材が「前記ケースの段部上に前記フレキシブル基板を挟んで取り付けられる埋込部材」であるのに対し、引用発明の保持部材は「金属枠M1と金属枠M2との間のつなぎ目(溝部)に埋め込まれているシリコーン樹脂R」である点。

4 相違点についての検討
(1)相違点1について
上記引用刊行物2には、フレキシブル配線基板56の固定手段に関して、「枠板71から外側に張り出すように形成された配線被覆部である張出被覆部73が、パネル取付枠40の収容凹部41に電気光学パネル50がセットされたとき、電気光学パネル50から引き出されるフレキシブル配線基板56の表面56aを覆うように構成されていて、張出被覆部73によってフレキシブル配線基板56の導電接続部周辺は外部から被覆されることとなるため、フレキシブル配線基板56の変形が妨げられ、導電接続部に過大な応力が加わることを防止することができる」ことが記載されている。
また、上記引用刊行物3には、フレキシブル配線Fの固定手段に関して、「TFT基板2にフレキシブル配線Fを接続した後、金属枠M1を対向基板3およびこれに貼り合わされた放熱用ガラス板G1を覆う状態で高熱伝導性シリコーン樹脂Rを介して取り付ける」ことが記載されている。
このように、ケースの段部上にフレキシブル基板を挟んで取り付けるフレキシブル基板の固定手段は、本件特許出願時の周知技術である。
そうしてみると、引用発明の「金属枠M1と金属枠M2との間のつなぎ目(溝部)に埋め込まれているシリコーン樹脂R」に代えて、周知技術の「ケースの段部上にフレキシブル基板を挟んで取り付けるフレキシブル基板の固定手段」を採用することにより、本願発明2の前記相違点1に係る「前記ケースの段部上に前記フレキシブル基板を挟んで取り付けられる埋込部材」の構成とすることは、当業者が困難性を伴うことなく容易に想到し得たことである。

そして、本願発明2の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

(2)まとめ
したがって、本願発明2は、上記引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明2は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明2は、上記引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明2が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-06 
結審通知日 2006-12-12 
審決日 2006-12-25 
出願番号 特願2001-176126(P2001-176126)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
P 1 8・ 537- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河原 英雄加藤 隆夫  
特許庁審判長 佐藤 昭喜
特許庁審判官 森内 正明
柏崎 正男
発明の名称 表示装置の製造方法及び表示装置並びに投射装置  
代理人 須澤 修  
代理人 上柳 雅誉  
代理人 藤綱 英吉  

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