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審決分類 |
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する G01G 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する G01G 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G01G 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G01G 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する G01G |
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管理番号 | 1155880 |
審判番号 | 訂正2007-390016 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2007-02-13 |
確定日 | 2007-03-20 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2681104号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2681104号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
【1】請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第2681104号発明(昭和61年11月15日特許出願、平成9年8月8日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)及び(2)のとおり訂正することを求めるものである。 (1)訂正事項1 請求項1において、 「1.被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする計量装置。」 とあるのを、 「1.被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、前記入力手段はコントロールパネルに含まれており、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする計量装置。」 と訂正する。 (2)訂正事項2 明細書【発明の詳細な説明】(特許掲載公報2頁3欄27?35行)において、 「本発明の計量装置は、被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである。」 とあるのを、 「本発明の計量装置は、被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、前記入力手段はコントロールパネルに含まれており、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである。」 と訂正する。 なお、下線部は、訂正箇所を示すために当審で付したものである。 【2】当審の判断 そこで、これらの訂正事項について以下検討する。 【2-1】新規事項の追加の有無及び訂正の目的の適合性について (1)訂正事項1は、願書に添付された明細書の特許請求の範囲の第1項に係る記載中の「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段」について、「前記モータの動特性データとしてテーブルに」を直列的に付加する(以下、「限定事項1」という。)ことにより、訂正前の「任意に設定する入力手段」における「設定」内容をより具体化するものであり、また、「入力手段」について、「前記入力手段はコントロールパネルに含まれており」を直列的に付加する(以下、「限定事項2」という。)ことにより、訂正前の「入力手段」の構成をより具体化するものである。 そして、上記限定事項1及び2は、願書に添付された明細書の次の記載事項に基づくものである。 すなわち、 ア.特許掲載公報2頁3欄37行?43行 「本発明の計量装置は、ホッパゲートを開閉駆動するモータの動特性データを、被計量物品の種類や供給量に応じて予めテーブルに、パルス周期、パルス数、回転方向等に関して設定しておき、該テーブルの情報に応じてホッパゲートを開閉制御するので、ゲート開度を被計量物の供給量に応じて任意に調整でき、計量スピードも任意に変えることができる。」 イ.特許掲載公報2頁4欄14行?23行 「…ステップモータを例えば、第2図のように、 t1期間は等速 t2期間は漸次減速 t3期間は停止 t4期間は逆方向に漸次増速 t5期間は逆方向に等速 t6期間は逆方向に漸次減速 となるように動作させる場合、第2図に対応させた第3図から第1表のテーブルを作ることができる。」 及び、ゲートの開き始めから閉じるまでのホッパゲートの動作変化を例示する図面の【第3図】に対応して作成されたモータの刻々の動作特性値を表す第1表のテーブル。 ウ.特許掲載公報3頁6欄15行?16行 「ステップモータは、ドライバ用のテーブルを作ることによって任意に制御できる」 エ.特許掲載公報4頁7欄31行?32行 「ゲート開閉の動作特性を入力装置で簡単に変えることができる」 オ.特許掲載公報2頁4欄1行?2行 「入力装置や表示装置を含むコントロールパネル3」及び図面の【第1図】 (2)訂正事項2は、訂正後の特許請求の範囲第1項に係る記載に、【発明の詳細な説明】中の(問題点を解決するための手段)の記載事項を整合させるものである。 (3)すると、訂正事項1及び2は、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、訂正事項2は、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。 【2-2】特許請求の範囲の実質的な拡張又は変更の有無について 訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲第1項に係る特許発明の構成要件について、限定的減縮を目的とするものであって、該特許発明に、新たな構成要件を付加するものではない。 そして、上記限定事項1及び2は、いずれも、願書に添付された明細書の実施例に記載された事項に基づくものであるから、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲第1項に係る特許発明を、実質的に願書に添付した明細書及び図面に記載された実施例が有する構成に限定するものである。 よって、本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 【2-3】独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲第1項に係る特許発明(以下、「訂正特許発明」という。)が、請求人の提示した本願出願前に頒布された刊行物である以下の甲第1ないし第5号証に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるか検討する。 【2-3-1】甲各号証について ア.甲第1号証(特開昭60-238722号公報) 甲第1号証には、図面とともに、以下の記載がある。 (1a)「この発明は、第2図に示すように連続的に供給する物品の供給量を供給制御信号の大きさに応じて制御する供給装置4と、この供給装置4から供給された物品を計量する計量部6と、この計量部6の計量信号を予め定めた多数の設定重量と比較し、上記各設定重量を上記計量信号が超えるごとにそれぞれ大きさが異なる上記供給制御信号を生成する比較部8とを備えた構成である。このように構成した定量秤では、計量部6の計量信号と多数の設定重量とを比較部8で比較し、計量信号が各設定重量を超えるごとに比較部8が生成する供給制御信号に基づいて物品供給装置4からの物品供給量が制御される。」(公報第2頁左上欄7行?19行) (1b)「供給装置4は、供給制御信号の大きさに応じて供給量を調整するものであるから、供給装置に収容されている物品の種類が変更されて、供給流量を変更する場合も、供給制御信号の大きさを変えるだけでよく、非常に簡単に行なえる。」(公報第2頁右上欄4行?8行) (1c)「第3図において、供給装置10は、溜めホツパ12を有する。この溜めホツパ12の下端開口には投入ゲート14がその下端開口を開閉するように矢印16方向に駆動軸18を中心として回動可能に設けられている。この投入ゲート14の駆動軸18は、変速ギヤ20を介してサーボモータ22の回転軸に結合され、この回転軸にはポテンシヨメータ24も結合されている。このポテンシヨメータ24の出力は、サーボアンプ26に入力されている。このサーボアンプ26にはD/A変換器28から出力も供給されている。サーボアンプ26は両入力の電位差が零になるようにサーボモータ22を駆動する。これによつて、D/A変換器28の出力に応じた量だけ、投入ゲート14が開かれる。」(公報第2頁右上欄10行?同左下欄3行) (1d)「次に第4図のフローチヤートに基づいてマイクロコンピユータ40の各機能を説明する。まず、ステツプ46において、キースイツチ48を用いて流量GA乃至GB、切替重量WA乃至WEをそれぞれ設定する。・・・入力されると、ステツプ52に移り、流量GAをD/A変換器28に供給する。これによつて、上述したようにD/A変換器28からの出力に応じて投入ゲート14が開かれ、溜めホツパ12から流量GAで物品が計量ホツパ30に投入される。次にステツプ54において、A/D変換器38のデイジタル計量信号Wが設定重量WA以上であるか否か判断し、以上でなければステツプ54を繰返し、以上であればステツプ56に移り、流量GBをD/A変換器28に供給する。これによつて投入ゲート14の開度が変化し、流量がGBになる。・・・そして、ステツプ70においてデイジタル計量信号Wが設定重量WE以上であるか否か判断し、以上でなければステツプ70を繰返し、以上であればステツプ72においてD/A変換器28に供給停止信号を供給する。これによつて、投入ゲート14が閉じられ、物品の供給が停止される。ここまでが、比較部として機能する。第5図にここまでの計量信号の変化を示す。」(公報第2頁左下欄18行?同第3頁左上欄19行) (1e)「上記の実施例ではGA乃至GE、WA乃至WEを全て設定したが、第6図に示すように最初と最後の流量GA、GE及び最初と最後から2番目と最後の切替重量WA、WD、WEだけを設定し、これらの間の流量、切替重量はマイクロコンピユータ40で演算してもよい。」(公報第3頁右上欄12行?17行) (1f)「上記の実施例ではロードセル32、32を計量ホツパ30に設けたが、溜めホツパ12側に設けてもよい。」(公報第3頁左下欄1行及び2行) (1g)「この実施例では駆動部にサーボモータを用いたが、その代わりにパルスモータポジシヨナー、多点位置決めシリンダ等を用いてもよい。」(公報第3頁左下欄9行?12行) すると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 『被計量物を貯蔵する溜めホツパ12と、該ホツパの排出口に設けられたゲート14と、該ゲート14を開閉駆動するパルスモータポジシヨナーとからなる、該被計量物の供給量を供給制御信号の大きさに応じて制御する供給装置4と、この被計量物を計量する計量部6と、この計量部6の計量信号を予め定めた多数の設定重量と比較し、上記各設定重量を上記計量信号が超えるごとにそれぞれ大きさが異なる上記供給制御信号を生成する比較部8とを備え、 この比較部8はマイクロコンピユータ40によって構成され、このマイクロコンピユータ40に、キースイツチ48を用いて流量や切替重量を予め設定・入力し、このマイクロコンピユータ40によって生成された上記供給制御信号を、D/A変換器28を介して上記パルスモータポジシヨナーに出力することにより、上記ゲート14の開度を変化させ、上記被計量物の種類が変更されて、供給流量が変更される場合も、上記設定・入力によって上記供給制御信号の大きさを変えることにより上記ゲート14の開度を任意に制御できる定量秤。』 イ.甲第2号証(特開昭60-79228号公報) 甲第2号証には、図面とともに以下の記載がある。 (2a)「第3図は、本発明の穀物計量排出装置の一実施例を示す図で、Tは穀物が貯蔵されるタンク、3a,3bは該タンクTから穀物を計量機Mの二つの計量槽6a,6bに各々供給する供給槽、4a,4bはシャッターで、5a,5bは該シャッター4a,4bを作動させるエアシリンダ,ソレノイド、モータ等のアクチュエータで、本実施例ではエアシリンダを使用している。7a,7bは、計量槽6a,6bに投入された穀物の重量を測定するロードセルである。9a,9bは弁開度制御手段を構成するサーボモータで本実施例ではパルスモータを使用しており、該パルスモータ9a,9bが開閉弁8a,8bを作動させ、該開閉弁8a,8bの開度によって穀物の排出量が制御される。10は排出ホッパー、11はコントロールボックスで、制御部へ接続されており、穀物の排出重量,開閉弁の開度等を設定するようになっている。」(公報第3頁左上欄18行?同右上欄15行) (2b)「第4図は本実施例の制御部のブロック図で、12は中央処理装置(以下CPUという)、13はメモリで、本穀物計量排出装置の制御を行なう制御プログラムや、コントロールボックス11から設定される排出流量と、開閉弁8a,8bの開度、即ち、パルスモータ9a,9bの回転位置の関係等を記憶している。14は入力インターフェイス回路で、ロードセル7a,7bからの出力信号をA/D変換器21,22を介して受入れており・・・なお、本実施例では・・・位置検出器23,24を設けない、いわゆるオープンループ方式を取ってもよい。15は出力インターフェイス回路で、該出力インターフェイス回路には、シャッタ4a,4bを開閉するエアシリンダ5a,5bのエアシリンダ駆動回路16,17、パルスモータ9a,9bを駆動するパルスモータ駆動回路18,19及び表示装置20が接続されている。」(公報第3頁右上欄16行?同左下欄17行) (2c)「コントロールボックス11から設定された排出流量に基づいて、メモリ13内に記憶された該排出流量に対応するパルスモータ9aの回転位置までパルスモータ9aを駆動し、開閉弁8aを開放する。」(公報第4頁左上欄2行?6行) (2d)「上記位置検出器を設けないオープンループ方式の場合には、上記ステップS6でタイマーをスタートさせ、パルスモータ9aが設定位置に達するのに十分な時間をとつた後、ロードセル7aの値W2を読取るようにして、一定流量になった後の重量を読取るようにすればよい。」(公報第4頁右上欄3行?8行) (2e)「穀物の種類によって摩擦係数の異なる場合や、粒大変化がある場合等も、実施の流量測定で流量が補正され設定流量で排出させることができる。」(公報第4頁左下欄5行?7行) ウ.甲第3号証(特開昭54-31005号公報) 甲第3号証は、図面とともに以下の記載がある。 (3a)「1)ベルレス炉頂装入装置において、原料条件、分配パターン、原料流出量特性を基に演算器で最適な流量調整ゲートの開度と分配シュートの旋回速度を演算し、この演算に基づきパルス発振器から所要のパルス信号を発振せしめ、流量調整ゲート開閉機構に連結されたデイジタルアクチユエータと、分配シユートの旋回機構に連結されたステツピングモータとに上記パルス信号を送り原料分配制御を行うことを特徴とする原料分配制御方法。」(公報第1頁特許請求の範囲) (3b)「ホツパー(6)の原料排出口部に開閉可能に配設された流量調整ゲート(5)の開閉機構(8)にデイジタルアクチユエータ(9)を連結し、このアクチユエータ(9)に作動及び停止等のパルス信号を発振するパルス発振器(10)を、開度及び旋回指令信号に応じてパルス発振数とパルス発振周波数とを演算する演算器(11)に接続する」(公報第2頁左下欄2行?8行) (3c)「デイジタルアクチユエータ(9)は上記ステツピングモータ(12)と作動原理が同じであり、パルス数により流量調整ゲート(5)の開度を定め又パルス発振周波数により開或いは閉の所要速度を定めるようにしたものである。」(公報第2頁右下欄1行?5行) エ.甲第4号証(実願昭56-132244号(実開昭58-37520号)のマイクロフィルム) 甲第4号証には、組合せ計量機におけるホッパーの駆動装置として、ステッピングモータを利用してもよいことが記載されている(明細書9頁13行?18行)。 オ.甲第5号証(実願昭57-123283号(実開昭59-27425号)のマイクロフィルム) 甲第5号証には、一台の組合せ計量装置で多品目、多種目標値で被計量物を処理する場合において、計量に必要な諸条件を予め予約登録し、計量毎にこの予約値を呼び出す技術が開示されている(明細書2頁11行?15行)。 なお、ステッピングモータや開ループ制御の一般的技術水準を示す文献として、以下の甲第6ないし第8号証が提示されている。 甲第6号証(財団法人国際科学振興財団編『科学大辞典』丸善株式会社昭和60年3月5日発行) 甲第7号証(見城尚志・菅原晟著『ステッピングモータとマイコン制御』総合電子出版社1994年4月1日発行) 甲第8号証(海老原大樹・岩佐孝夫編著『ステッピングモータ活用技術』株式会社工業調査会昭和59年9月5日発行) すなわち、甲第6号証および甲第7号証には、ステッピングモータの定義が記載され、甲第8号証51頁の図6.1及び図6.2には、開ループ制御の一般技術が開示され、52頁6行には「閉ループ制御時には、検出器からの位置信号がパターン制御部に入力される。」と記載されている。 【2-3-2】対比 ア.訂正特許発明と引用発明との比較 訂正特許発明(以下、「前者」という。)と引用発明(以下、「後者」という。)とを比較する。 (1)後者の「被計量物を貯蔵する溜めホツパ12」、「該ホツパの排出口に設けられたゲート14」、「該ゲート14を開閉駆動するパルスモータポジシヨナー」及び「定量秤」は、前者の「被計量物品を貯蔵し排出するホッパ」、「該ホッパの排出口に設けられたゲート」、「該ゲートを開閉駆動するモータ」及び「計量装置」に相当する。 (2)後者の「キースイツチ48」は、「設定値を任意に設定する入力手段」の点で、前者の「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」と共通する。 (3)後者の「マイクロコンピユータ40」は、「設定された設定値に基づいてモータを制御する制御手段」の点で、前者の「設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段」に相当する。 (4)後者の「上記被計量物の種類が変更されて、供給流量が変更される場合も、上記設定・入力によって上記供給制御信号の大きさを変えることにより上記ゲート14の開度を任意に制御できる」は、前者の「被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できる」に相当する。 そうすると、両者は以下の点で一致し、その他の点で相違する。 (一致点) 「被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、設定値を任意に設定する入力手段と、設定された設定値に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする計量装置。」 (相違点) 前者は、ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化をモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを有し、前記入力手段はコントロールパネルに含まれているのに対し、後者は、そのことが明らかでない点。 【2-3-3】判断 上記相違点について検討する。 前者の「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を・・・任意に設定する」の意義は、願書に添付された明細書及び図面中のゲートの開き始めから閉じるまでのホッパゲートの動作変化を例示する図面の【第2図】、【第3図】及びそれに対応して作成されたモータの刻々の動作特性値を表す第1表のテーブル等を参酌すると、ゲートをできるだけ速く開放させて、排出スピードを速めたり、或は、ゲートの急激な開閉運動による衝撃音を和らげるために、運動の始めと終わりを指数関数的に立ち上げ、或は、収束させることを目的に、ゲートの開き始めから閉じるまでの期間毎のゲートの開度、速度や加速度等の刻々の動作変化を任意に設定することと解され、その設定された目標値であるゲートの開度、速度や加速度等を、「モータの動特性データ」、すなわち、モータのパルス周期、パルス数、回転方向等として、ゲートの動作期間毎に「テーブル」に任意に設定することによって実現することと解される。 そうすると、甲第2号証及び甲第3号証には、ゲートの開度を設定するためにパルスモータを用いることや、パルス数やパルス発振周波数等によってゲートの開度や速度を調整することは記載されているものの、ゲートの開き始めから閉じるまでの期間毎のゲートの開度、速度や加速度等の刻々の動作変化をモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定することは記載も示唆もされていない。これは、甲第4号証及び甲第5号証においても同様である。 したがって、後者に甲第2号証ないし甲第5号証を適用しても、上記相違点に係る構成を導き出すことはできない。 よって、訂正特許発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものとすることはできない。 【3】むすび したがって、本件審判の請求は、平成6年改正前の特許法第126条第1項ただし書きに適合し、同項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、同条第2項及び第3項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 計量装置 (57)【特許請求の範囲】 1.被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、 前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と、 設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、前記入力手段はコントロールパネルに含まれており、 被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする計量装置。 【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ホッパゲートの開閉をモータにより自由に制御できるようにした計量装置に関する。 (従来の技術) 計量装置には種々のホッパが用いられているが、第9図には組合せ計量装置Aの概略構成が示されている。図において、被計量物品は、分散テーブルa、供給トラフb、プールホッパdを介して計量ホッパeに供給され、ロードセル等の重量検出器により重量が計量される。ハウジングcは、分散テーブルa、供給トラフbを支持している。 計量ホッパで計量された被計量物品は、外側シュートf、または内側シュートgよりタイミングホッパh,jに供給され、下側シュートiまたはkより排出される。 このような計量装置のホッパゲートを開閉するアクチュエータとしては、特開昭59-74092号公報に開示されたエアシリンダによるものや、実開昭58-37520号公報、実開昭58-169532号公報等に開示されたモータによるもの等が知られている。 (発明が解決しようとする問題点) ところが、これら従来のアクチュエータは、ゲートの開閉を自由に、かつ細かに制御することができないので、種々の問題が生じていた。即ち、 (1)ホッパに供給される毎回の供給量が第10図のように僅かな場合は、ゲートを半開にするだけで直ちに排出されるにもかかわらず、従来のアクチュエータでは、ゲートを必ず全開にしなければならなかったので、ゲートの開閉周期の短縮による計量速度の向上は望めなかった。 (2)ゲートの開閉リングの摩耗等によってクリアランスが拡大するとゲート開閉時の騒音が大きくなるが、従来のアクチュエータでは、このクリアランスを補正するような動作特性の変更、例えばゲートが閉じる直前のスピードをより遅くするような変更ができなかった。 (3)エアシリンダを使用するものでは、各ホッパのゲート開閉スピードを個別に変えることは容易であるが、逆に全てのスピードを同じに調節することは難かしいので、計量スピードは、ゲート開閉のスピードが最も遅いものに合さなければならないという難点があった。又、エアシリンダを使用するものでは、特性の経時変化が大きいので、メンテナンスを欠かすことはできず、整備のための時間とコストが多くかかるという問題があった。 そこで、本発明はこのような従来技術の問題点の解消を目的とした計量装置を提供するものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明の計量装置は、被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、前記入力手段はコントロールパネルに含まれており、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである。 (作用) 本発明の計量装置は、ホッパゲートを開閉駆動するモータの動特性データを、被計量物品の種類や供給量に応じて予めテーブルに、パルス周期、パルス数、回転方向等に関して設定しておき、該テーブルの情報に応じてホッパゲートを開閉制御するので、ゲート開度を被計量物の供給量に応じて任意に調整でき、計量スピードも任意に変えることができる。また、前記モータの動特性データを外部記憶装置に複数記憶し、必要に応じて切り替えられるので、複数の被計量物のデータを記憶しておき被計量物が変わったときに迅速にデータの変更ができる。 (実施例) 以下、図により本発明の実施例について説明する。第1図は、本発明の概略構成を示すブロック図である。 図において、1はコンピュータでタイマ2と接続され、また、入力装置や表示装置を含むコントロールパネル3と通信ラインで接続される。コンピュータの出力指令は、ドライバ4を介してステップモータ5に送出され、ステップモータは図示しないリンク機構を介してホッパのゲートと連結されてホッパ6のゲートを開閉制御する。コンピュータとコントロールパネルを接続する通信ラインには、他のメモリから後述するテーブルデータをロードする。 第2図は、ステップモータの動作サイクル図であり、例えば、ステップモータを100パルスドライブするとホッパゲートが半開となり、200パルスドライブしたときにホッパゲートが全開となるように設定されているとする。 このようなステップモータを例えば、第2図のように、 t1期間は等速 t2期間は漸次減速 t3期間は停止 t4期間は逆方向に漸次増速 t5期間は逆方向に等速 t6期間は逆方向に漸次減速 となるように動作させる場合、第2図に対応させた第3図から第1表のテーブルを作ることができる。但し、このテーブルは、ホッパゲートの半開を基準に作成している。 ここで、第1表のようなテーブルを基に、各パラメータ(Ti,Pi,Fi)の定数を、入力装置を用いて、予めコンピュータに登録しておき、ホッパゲートの開度設定に際しては、例えば、第4図(a)に示すようなメッセージを表示装置に表示させて、開度、周期を指定する。そして、例えば開度が100%、周期も100%に指定された時は、パルス周期(Ti)の各定数をそれぞれ1/2に、パルス数(Pi)の各定数をそれぞれ2倍にした新たなテーブルをコンピュータ内部で作成して記憶する。これにより、変更後のテーブル情報は、第2図の点線で示す全開の動作曲線に対応したものとなる。同様に、開度が75%であれば、Tiの各定数は3/4に、Piの各定数は4/3倍にそれぞれ変更され、又、周期が200%に指定された時は、パルス周期(Ti)の各定数はそれぞれ2倍に変更される。 但し、以上の例は、半開の場合を基準にしたものであって、全開のテーブル情報を予めコンピュータに登録した場合は、開度指定に伴う各パラメータ(Ti,Pi)の倍率は異なって来る。即ち、開度100%と指定された時は、各パラメータの定数はそのままで良いが、開度が50%に指定された時は、パルス周期(Ti)の各定数は2倍に、パルス数(Pi)の各定数は、それぞれ1/2に変更される。 こうして、ステップすなわち、ゲートの開閉スピード、加速度、開度を計量物品の種類や貯蔵量に応じたそれぞれのモータの動作特性値が作成され記憶されると、コンピュータは、この情報に基づいてステップモータを駆動する。 次に、テーブル情報を基にした制御動作の一例を第5図フローチャートにより説明する。 (1)コンピュータは、イニシャル処理を実行した後、テーブルから最初のパルス周期T1=0.67をリードして、タイマ(外部タイマ或は内部のソフトタイマ)にセットする(ステップS1?S3)。 (2)0.67msec経過でタイマがタイムアップになると、ステップモータを正方向(+)に1ステップ回転させるパルスを作ってドライバに出力し、次に出力した回数、即ちパルス数(Pi)を1カウントして、その値が89に達したか否かをチェックする(ステップS4?S8)。 (3)未達成であれば、Piが89になるまで、上記(1)→(2)の処理を繰り返して、0.67msec毎にステップモータを1ステップ正方向(+)に回転させて行く。こうして、Piが89になると、 (4)次にコンピュータは、パルス周期T2=1.2msecをリードして、前述同様に(1),(2)に対応する処理を繰り返して行く(ステップS9,S2?S8)。 (5)ステップS5において、回転方向が正方向(+)でない場合には、パラメータFiが0でないことを確認して、ステップモータを負方向(-)に1ステップ回転させるパルスを形成する(ステップS10,S11)。 以後、こうした手順を順次繰り返して第2図に示すような動作特性を描かせる所定の制御を実行して行く。 以上の説明のように、本発明によれば、 (1)ステップモータは、ドライバ用のテーブルを作ることによって任意に制御できるので、ホッパゲートをできるだけ速く開放させて、排出スピードを速めたり、或は、ゲートの急激な開閉運動による衝撃音を和らげるために、運動の始めと終わりを指数関数的に立ち上げ、或は収束させるようにして、騒音を押えることができる。 (2)又、粘着性のある被計量物を計量する場合は、ホッパ内面やゲートへの被計量物の付着が問題となるがこのような場合は第7図のようにゲートが開ききった時に、ステップモータを微小期間、微小ステップ幅だけ正転、逆転させてゲートに微振動を与え、これによって、被計量物の付着を防止することもできる。 (3)ホッパゲートの開度指定やスピード変更は、全てのホッパを対象にして一括して設定することもできれば、個々のホッパ毎に個別に指定することもできる。 例えば、第4図(b)に示すようなメッセージを表示させて、ホッパ毎に個別に指定しても良い。このように個別に指定できるようにすると、例えば、特開昭58-223718号公報に開示されているような、所謂親子計量において有効となる。即ち、親機と子機とでは、それぞれ動作スピードが異なるし、又、ホッパへの供給量も異なるので、それぞれに適したスピードとゲート開度を指定することによって最適制御を行わせることができる。 ところで、計量ホッパは、計量中においてはアクチュエータに連結されたレバーと分離されていなければならないので、ゲートが閉じた状態では、レバーとゲート開閉リンクのローラとの間には第9図Bの部分を示した第8図のように所定のクリアランスが設けてある。 このためゲートを開放させる指令を受けてもレバーがローラに当接してゲートが開き始めるまでには、若干の遅れ(50msec程度)が発生する。これが計量スピードを遅らせる1つの原因となっていたが、この発明では、この応答遅れをなくすことができる。 次に、このような本発明の制御について、第6図のフローチャートにより説明する。 計量中は他の処理例えば、入出力装置からの信号をチェックし、その信号に基づいた処理を行ない(ステップP2)、レバーをローラから退避させて、ローラとの間に所定のクリアランスを設けておくが、計量が終ると、直ちにステップモータを微小ステップ数だけドライブして、レバーをローラに軽く接触させておく(ステップP1,P3)。この場合、ゲートの開閉リンクには若干の遊びがあるので、ゲートは閉じたままである。そして、組合せ演算の結果、選択されて排出指令を受けると、ステップモータを直ちにドライブして、レバーにより、応答遅れなくローラをプッシュしてゲートを開放させる(ステップP4?P6)。そして、ゲートの閉鎖サイクルでは、レバーとローラとの間に所定のクリアランスが生じる初期位置まで、ステップモータの逆回転でレバーを引き戻す(ステップP7)。また、組合せ選択されなかった計量ホッパに対しても、次の計量に備えて、レバーを初期位置まで引き戻しておく。 こうした制御は、ステップモータをどのようにドライブするかの動作曲線を前述のように描き、これに基づいてデータを設定してテーブルを登録しておくことにより、容易に実現できる。 以上、発明の主旨をその特定された実施例について説明したが、既に述べたところに基づく本発明についての変形あるいは修正は、種々に可能であることが明らかである。 (発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば次のような効果が得られる。 (1)ホッパの供給量に応じてゲート開度を任意に調整することができるので、供給量に応じて計量スピードを変えることができる。 (2)ゲート開閉の動作特性を入力装置で簡単に変えることができるので、設計の自由度が増し、あらゆる被計量物の性状に応じたゲート開閉制御を行なうことができる。特に粘着性のある被計量物に対しては、ゲートを開放した姿勢でゲートに微振動を与えることができるので、付着による計量誤差をなくすことができる。 (3)各ホッパ毎に任意に開閉スピードを変えることができるので、親子計量のような特殊な計量方式のものにも使用でき、又、各ホッパの開閉スピードを異ならせることにより特開昭58-41324号公報のような時間差排出を行なわせることもできる。さらには、上部分散供給部をパーティションで複数に分割して、各々に種類の異なる被計量物を供給して所謂ミックス計量(特開昭58-19516号公報)する場合にも有効となる。 (4)ゲートをどのように開閉させるかは、データとして登録しておくことができるので、実開昭59-27425号公報に示すように、被計量物の性状に応じた最適なゲート開閉データを被計量物毎にメモリに登録しておき、被計量物を指定すれば、登録された所定のデータが呼び出されて最適なゲート開閉を行なわせることができる。又、目標重量値の大小に応じても同様にできる。 (5)ゲート開閉リンクの摩耗によってゲート開閉時の騒音が大きくなっても、ゲート開閉特性をデータの変更によって調整することにより簡単に騒音を押えることができる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の概略構成を示すブロック図、第2図、第3図はホッパゲートの動作特性図、第4図(a),(b)は説明図、第5図、第6図はフローチャート、第7図はホッパゲートの動作特性図、第8図は説明模式図、第9図は組合せ計量装置の概略構成図、第10図は説明図である。 1……コンピュータ、2……タイマ、3……コントロールパネル、4……ドライバ、5……ステップモータ、6……ホッパ。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2007-03-08 |
出願番号 | 特願昭61-272685 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(G01G)
P 1 41・ 851- Y (G01G) P 1 41・ 856- Y (G01G) P 1 41・ 854- Y (G01G) P 1 41・ 841- Y (G01G) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 榮永 雅夫 |
特許庁審判長 |
上田 忠 |
特許庁審判官 |
小川 浩史 山口 敦司 |
登録日 | 1997-08-08 |
登録番号 | 特許第2681104号(P2681104) |
発明の名称 | 計量装置 |
代理人 | 吉村 雅人 |
代理人 | 吉村 雅人 |