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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B41J 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B41J 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 B41J 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J |
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管理番号 | 1156393 |
審判番号 | 不服2004-23433 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-11-16 |
確定日 | 2007-04-26 |
事件の表示 | 平成10年特許願第101520号「インクジェット記録装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月26日出願公開、特開平11-291475〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は平成10年4月13日の出願であって、平成16年10月8日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年11月16日付けで本件審判請求がされるとともに、同年12月15日付けで明細書についての手続補正がされたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成16年12月15日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正内容 本件補正は特許請求の範囲を補正(それとともに、請求項1と実質同文の段落【0009】が補正されている。)するものであり、本件補正後の【請求項1】及び【請求項3】の記載は次のとおりである(下線部が補正箇所)。 【請求項1】 主走査方向に延びるガイド上を記録ヘッドが移動しながら前記記録ヘッドのノズルよりインク滴を被印刷面に向けて吐出して当該被印刷面に印刷を行うオンデマンド方式のインクジェット記録装置において、 前記記録ヘッドが前記主走査方向に移動する間に、当該記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を計測する距離計測手段と、 前記記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を変化させるアクチュエータと、 前記距離計測手段による計測結果に基づいて前記アクチュエータを駆動制御し、前記記録ヘッドが前記主走査方向に移動しながら印刷しようとする前記被印刷面と前記記録ヘッドとの相対距離を調整する離間距離制御手段と を有し、 前記記録ヘッドには前記主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように複数の前記ノズルが形成されており、前記距離計測手段は前記記録ヘッドの前記主走査方向における幅寸法に相当する検出範囲を持つことを特徴とするインクジェット記録装置。 【請求項3】 請求項1において、前記記録ヘッドは、前記主走査方向に離間した位置で前記主走査方向に直交する前記副走査方向に向けてずれるように形成された複数のノズル開口を備え、 当該ノズル開口により吐出されたインク滴が繋がって前記副走査方向に延びる線が印刷されるように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。 2.新規事項追加 補正後請求項1記載の「前記記録ヘッドには前記主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように複数の前記ノズルが形成されており、」について検討する。 補正後請求項3は請求項1を引用するものであるが、上記文言とは別に「前記記録ヘッドは、前記主走査方向に離間した位置で前記主走査方向に直交する前記副走査方向に向けてずれるように形成された複数のノズル開口を備え」との限定があり、請求項1と請求項3の文言の相違は「前記主走査方向に離間した位置で」との文言の有無である。同文言がない請求項1については、副走査方向に向けてずれるように形成された複数のノズルが「前記主走査方向に離間した位置」に形成される場合に限定されないと解さざるを得ない。 請求人は補正の根拠として、願書に最初に添付した明細書(以下、添付図面を含めて「当初明細書」という。)の段落【0012】及び【図3】をあげている。しかし、当初明細書の段落【0012】には「前記記録ヘッドが主走査方向に離間した位置で当該主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように形成された複数のノズル開口を備え」(同文言は当初明細書の【請求項3】にもある。)とあり、【図3】を含めても副走査方向に向けてずれるように形成された複数のノズルが「前記主走査方向に離間した位置」に形成される場合に限定されている。 したがって、請求項1の上記補正事項は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてされたものと認めることはできず、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反している。 3.補正目的違反 請求項1の補正事項は上記のとおり新規事項追加に該当するが、本件補正後の請求項1には「前記距離計測手段は前記記録ヘッドの前記主走査方向における幅寸法に相当する検出範囲を持つ」との限定もあり、複数のノズルが「前記主走査方向に離間した位置」に形成されないとすれば、上記限定事項の技術的意義を理解できない。 そこで、本項及び次項以下では、「前記記録ヘッドには前記主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように複数の前記ノズルが形成されており、」を「前記記録ヘッドには、前記主走査方向に離間した位置で前記主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように複数の前記ノズルが形成されており、」の趣旨に解して、補正要件の検討を行う。 「前記記録ヘッドには、前記主走査方向に離間した位置で前記主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように複数の前記ノズルが形成されており、」との限定について、本件補正後を含めて本願明細書にはその技術課題が明示されていないけれども、副走査方向の解像度を向上する技術であることは技術常識に属する(主走査方向に離間させない場合、副走査方向に隣接するノズル間隔を小さくすることには限界がある。)。 本件補正前の請求項1には前示のとおり「前記距離計測手段は前記記録ヘッドの前記主走査方向における幅寸法に相当する検出範囲を持つ」との限定があり、複数のノズルが主走査方向に離間しているであろうことは推認できるものの、主走査方向に離間したノズルについては、異なるインク色用のノズルの場合が想定できるから、副走査方向の解像度を向上する技術とは何の関係もない。 したがって、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)は、本件補正前請求項1に係る発明には存在しない課題を追加するものであるから、特許法17条の2第4項2号の「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正又は明りようでない記載の釈明の何れにも該当しないことはいうまでもない。 すなわち、本件補正は特許法17条の2第4項の規定に違反している。 4.独立特許要件欠如その1 仮に、本件補正が特許請求の範囲の減縮に該当するとした場合の検討を以下において行う。 まず問題となるのは、2.で述べた請求項1と請求項3の文言の関係である。請求項1の文言が「前記記録ヘッドには、前記主走査方向に離間した位置で前記主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように複数の前記ノズルが形成されており、」の趣旨であれば、そのように記載し、請求項3からはそれに相当する文言を削除しなければならないのにそれを怠っているのだから、請求項1の文言が極めて不明確となっている。 したがって、補正後の請求項1の記載は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていないから、補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。すなわち、本件補正は、特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反している。 5.独立特許要件欠如その2 (1)補正発明の認定 補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される(【請求項1】の記載は1.に示したとおりなので再掲しない。)ものである。 (2)引用刊行物記載の発明の認定 原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-217278号公報(以下「引用例」という。)には、「従来のシリアル式記録装置、例えば、シリアル式のインクジェット記録装置は、記録媒体と記録ヘッドの間隔が所定距離、例えば、1mm±0.1mmになるように要請されている。そこで、記録媒体の厚さを考慮して記録ヘッドとプラテンとの間隔を手動操作により調節し、同一厚さの用紙を使用する間は、同一間隔を維持するようになっていた。しかし、記録媒体の皺や、記録媒体の厚みや腰の弱さに起因する浮き上がりにより、記録途中で記録媒体と記録ヘッドの間隔が狭くなった場合は、記録媒体が記録ヘッドに接触して記録媒体が汚れる恐れがあった。他方、間隔が広くなった場合は、記録媒体上のインク滴着弾点に狂いが生じ、画像品位が低下する恐れがあった。 このような問題点を解決する方法としては、例えば、特願昭62-232428号(昭和62年9月18日出願)公報に開示されている方法がある。この方法は、記録途中に、記録媒体とヘッドの距離を測定し、測定した距離に基づいて、記録ヘッドを数msecの間に移動させるものである。」(2頁左下欄9行?右下欄8行)との記載がある。上記記載における、特願昭62-232428号は特開昭64-75248号公報(以下「従来例」という。)として出願公開されたものであり、技術常識等を参酌する上で、必要な限度で従来例を引用する。 上記記載によれば、引用例には従来技術として次のような発明が記載されていると認めることができる。 「記録途中に、記録媒体とヘッドの距離を測定し、測定した距離に基づいて、記録ヘッドを数msecの間に移動させるシリアル式のインクジェット記録装置。」(以下「引用発明」という。) (3)補正発明と引用発明との一致点及び相違点の認定 以下、本審決では「発明を特定するための事項」という意味で「構成」との用語を用いることがある。 引用発明は「シリアル式のインクジェット記録装置」であり、それが「主走査方向に延びるガイド上を記録ヘッドが移動しながら前記記録ヘッドのノズルよりインク滴を被印刷面に向けて吐出して当該被印刷面に印刷を行うインクジェット記録装置」である(「被印刷面」に相当するのは「記録媒体」である。)ことは自明である。また、「シリアル式のインクジェット記録装置」として「オンデマンド方式」でないものもあるが、非オンデマンド方式であれば、画像情報に関係なくインクを吐出し、記録媒体にインクを付着させない場合には、記録媒体到達前にインクを回収する必要があるところ、記録媒体と記録ヘッドの間隔が1mm±0.1mm程度では回収が困難であることから、引用発明を「オンデマンド方式」と解すべきである。実際、従来例には「記録データDに対応した駆動信号をヘッドドライバ24に供給することにより記録ヘッド6を駆動し、インクを選択的に吐出させる。」(2頁右下欄6?9行)との記載があり、この記載はオンデマンド方式であることを意味するから、「オンデマンド方式」は補正発明と引用発明の一致点として処理する。 引用発明は、記録媒体とヘッドの距離を測定し、測定した距離に基づいて記録ヘッドを移動させるのだから、補正発明の「当該記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を計測する距離計測手段」及び「前記記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を変化させるアクチュエータ」を有することは自明である。 また、引用発明では、記録ヘッドを数msecの間に移動させており、数msecは1行印刷に要する時間よりも遙かに短いから、距離計測は「前記記録ヘッドが前記主走査方向に移動する間に」行われ、記録ヘッドの移動は「前記記録ヘッドが前記主走査方向に移動しながら」行われると解さねばならない。そのことは、従来例の「記録動作中、常に測距センサ101からの距離情報をCPU200にフィードバックするようになし、その情報に基づいて距離が一定に保たれるよう移動モータ102を駆動制御するようにすることもできる。このようにすれば、例えば被記録材の厚さが一杯でなく、途中に段がついていたり、切り張りのあるような場合であっても、それに追随して記録ヘッド6が記録紙から一定の距離を保ち、安定した画像記録を得ることができる。」(5頁左下欄15行?右下欄3行)との記載によっても裏付けられる。すなわち、引用発明は補正発明の「前記距離計測手段による計測結果に基づいて前記アクチュエータを駆動制御し、前記記録ヘッドが前記主走査方向に移動しながら印刷しようとする前記被印刷面と前記記録ヘッドとの相対距離を調整する離間距離制御手段」を有するものと認める。 したがって、補正発明と引用発明とは、 「主走査方向に延びるガイド上を記録ヘッドが移動しながら前記記録ヘッドのノズルよりインク滴を被印刷面に向けて吐出して当該被印刷面に印刷を行うオンデマンド方式のインクジェット記録装置において、 前記記録ヘッドが前記主走査方向に移動する間に、当該記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を計測する距離計測手段と、 前記記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を変化させるアクチュエータと、 前記距離計測手段による計測結果に基づいて前記アクチュエータを駆動制御し、前記記録ヘッドが前記主走査方向に移動しながら印刷しようとする前記被印刷面と前記記録ヘッドとの相対距離を調整する離間距離制御手段と を有するインクジェット記録装置。」である点で一致し次の点で相違する。 〈相違点1〉補正発明が「前記記録ヘッドには前記主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように複数の前記ノズルが形成されており、」としているのに対し、引用発明が同構成を有するかどうか不明な点。 〈相違点2〉補正発明が「前記距離計測手段は前記記録ヘッドの前記主走査方向における幅寸法に相当する検出範囲を持つ」としているのに対し、引用発明が同構成を有するかどうか不明な点。 (4)相違点についての判断及び補正発明の独立特許要件の判断 〈相違点1について〉 シリアル式のインクジェット記録装置では、副走査方向に複数のノズルを配置することが普通であり、その複数のノズルは「副走査方向に向けてずれる」ことになる。 「前記記録ヘッドには前記主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように複数の前記ノズルが形成されており、」が「前記記録ヘッドには、前記主走査方向に離間した位置で前記主走査方向に直交する副走査方向に向けてずれるように複数の前記ノズルが形成されており、」の趣旨だとしても、そのようなノズル配置も周知であるから、相違点1に係る補正発明の構成を採用することはせいぜい設計事項というよりない。 〈相違点2について〉 シリアル式のインクジェット記録装置では、主走査方向に複数のノズルを離間して配置したものは周知である。従来例においても、第4図には主走査方向に4つのノズル列が存する様子が図示されている。 主走査方向に離間したノズルは、インク吐出時に被印刷面の異なる位置に対向することになり、ノズルと被印刷面との相対距離はノズル毎に異なる。(3)で摘記した従来例の「被記録材の厚さが一杯でなく、途中に段がついていたり、切り張りのあるような場合」に対処するには、ノズル毎にノズル位置を移動するのが理想的であるが、それは非現実的であるから、引用発明においては記録ヘッドを移動しており、補正発明でも同様である。その場合、ノズル毎に被印刷面までの距離が異なる以上、すべてのノズルに対応するためには、各ノズルから被印刷面までの距離の代表値(例えば平均値)に基づいてアクチュエータを駆動制御することは、当業者であれば難なく想到できる事項といわざるを得ない。 他方、「前記記録ヘッドが前記主走査方向に移動しながら」、すなわち印刷途中で相対距離を調整するためには、その以前に相対距離を取得しなければならないから、距離計測手段は主走査方向又は副走査方向においてノズルよりも下流側に配置するのが自然である。距離計測手段をそのように配置した場合には、各ノズルが対向する被印刷面までの距離は既に計測されているから、「主走査方向における幅寸法に相当する検出範囲を」持つ持たないに関係なく、「主走査方向における幅寸法に相当する範囲」の検出を終了し、当然同範囲の計測値の代表値を算出することが可能である。 そうすると、相違点2に係る補正発明の構成を採用することの技術的意義は、計測値の代表値を算出する必要がないといった程度である。しかし、前示のとおり、計測値の代表値に基づいてアクチュエータを駆動制御すべきことには何の困難性もなく、代表値以外の個々の計測値は駆動制御にとって不要であるから、計測値の代表値を直接計測できる距離計測手段があれば、それを採用することは当業者にとって想到容易というべきである。そして、主走査方向における幅寸法に相当する検出範囲を持つ距離計測手段とは、上記の意味での計測値の代表値を直接計測できる距離計測手段にほかならない(従来例第4図によれば、主走査方向最上流側ノズルから最下流側ノズルまでの距離は記録ヘッドの主走査方向における幅寸法に匹敵する寸法である。)ところ、同距離計測手段について、本願明細書には出願当初から一貫してその具体的実施例の記載は一切ないのだから、同距離計測手段自体は公知又は周知と解さざるを得ない(そうでなければ、重大な記載不備があることになる。)。そうである以上、同距離計測手段を採用、すなわち、相違点2に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。 〈独立特許要件の判断〉 相違点1,2に係る補正発明の構成を採用することは設計事項又は当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。 したがって、補正発明は引用発明(及び周知技術)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。すなわち、本件補正は、特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反している。 [補正の却下の決定のむすび] 以上述べたとおり、本件補正は特許法17条の2第3項及び4項の規定に違反しており、仮に同条4項の規定に違反しないとした場合は、同条5項で準用する同法126条5項の規定に違反しているから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件審判請求についての判断 1.本願発明の認定 本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年4月1日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。 「主走査方向に延びるガイド上を記録ヘッドが移動しながらインク滴を被印刷面に向けて吐出して当該被印刷面に印刷を行うオンデマンド方式のインクジェット記録装置において、 前記記録ヘッドが主走査方向に移動する間に、当該記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を計測する距離計測手段と、 前記記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を変化させるアクチュエータと、 前記距離計測手段による計測結果に基づいて前記アクチュエータを駆動制御し、前記記録ヘッドが主走査方向に移動しながら印刷しようとする前記被印刷面と前記記録ヘッドとの相対距離を調整する離間距離制御手段と を有し、 前記距離計測手段は前記記録ヘッドの主走査方向における幅寸法に相当する検出範囲を持つことを特徴とするインクジェット記録装置。」 2.本願発明の進歩性の判断 本願発明と引用発明とは、 「主走査方向に延びるガイド上を記録ヘッドが移動しながらインク滴を被印刷面に向けて吐出して当該被印刷面に印刷を行うオンデマンド方式のインクジェット記録装置において、 前記記録ヘッドが主走査方向に移動する間に、当該記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を計測する距離計測手段と、 前記記録ヘッドと前記被印刷面との相対距離を変化させるアクチュエータと、 前記距離計測手段による計測結果に基づいて前記アクチュエータを駆動制御し、前記記録ヘッドが主走査方向に移動しながら印刷しようとする前記被印刷面と前記記録ヘッドとの相対距離を調整する離間距離制御手段と を有するインクジェット記録装置。」である点で一致し、「第2[理由]5(3)」で述べた〈相違点2〉において相違する(「補正発明」を「本願発明」と読み替え、「前記」との文言の有無は相違点を検討する上では無関係である。)。 そして、相違点2に係る本願発明の構成を採用することが当業者にとって想到容易であることは「第2[理由]5(4)〈相違点2について〉」で述べたとおりであり(「補正発明」を「本願発明」と読み替える。)、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。 したがって、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-02-23 |
結審通知日 | 2007-02-27 |
審決日 | 2007-03-12 |
出願番号 | 特願平10-101520 |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(B41J)
P 1 8・ 121- Z (B41J) P 1 8・ 537- Z (B41J) P 1 8・ 561- Z (B41J) P 1 8・ 575- Z (B41J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 門 良成 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
島▲崎▼ 純一 藤井 勲 |
発明の名称 | インクジェット記録装置 |
代理人 | 上柳 雅誉 |
代理人 | 藤綱 英吉 |
代理人 | 須澤 修 |