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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1156402
審判番号 不服2005-2808  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-17 
確定日 2007-04-26 
事件の表示 平成 9年特許願第 15430号「光ビーム走査装置および像面湾曲の補正方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月11日出願公開、特開平10-213775〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年1月29日の出願であって、平成17年1月7日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年2月17日付で拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年3月16日付で特許法第17条の2第1項第3号の規定による手続補正がなされたものである。

2.平成17年3月16日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年3月16日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を下記のように補正することを含むものである。
「【請求項1】 光源からの光束を偏向器によって偏向させた後に当該光束を、画角中央部分の焦点距離が周辺部に比べて長い加工誤差を有する走査レンズによって被走査媒体面に結像させる光ビーム走査装置であって、
前記走査レンズに入射する光束を、主走査面内において収束光とするコリメートレンズを備え、
前記コリメートレンズは、前記走査レンズに入射する光束を、前記走査レンズの前記加工誤差に応じた収束度で収束させるものであることを特徴とする光ビーム走査装置。」

上記補正は、補正前の請求項1をさらに具体的に限定しようとするものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の請求項1(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

(2)刊行物記載の事項
原審における拒絶の理由に引用した刊行物:特開平8-240768号公報には、下記の事項が記載されている。
「【請求項1】偏向器を備え、この偏向器によって等角速度的に偏向された光束を被走査面上に結像させるとともに、光束が被走査面上を実質的に等速で主走査するように作用する走査レンズを備えた走査光学系であって、
主走査断面において、前記走査レンズに入射する光束は収束光であり、前記走査レンズは前記偏向器側から順に近軸屈折力が正のレンズと負のレンズとの2枚のレンズから成ることを特徴とする走査光学系。

【0056】
この走査光学系において、まず半導体レーザ等から成る光源1から発せられた発散光は、集光レンズ2によって主走査方向(y方向)に収束光LRとされる。この収束光LRは、走査レンズSLがない場合、自然収束点位置(不図示)で集光することになる。収束光LRは、要求されるビーム径となるように、絞り3によって光束幅が規制され、副走査方向(z方向)にのみ屈折力を有するシリンドリカルレンズ4に入射する。そして、シリンドリカルレンズ4を出た光束は、ポリゴンミラー5に入射するが、図2に示すように副走査方向についてのみ偏向反射面9a位置で集光され、偏向点9bで主走査方向に長い線状の光束として反射される。
【0057】
高速で回転(副走査方向に対して平行な回転軸5Xを中心とした回転)するポリゴンミラー5によって、等角速度的に偏向走査された収束光LRは、走査レンズSLに入射する。走査レンズSLは樹脂成形で加工されるため、その形状等には金型加工の容易さ,成形のし易さ等が要求される。走査レンズSLにより、収束光LRは感光体等の被走査面(像面)8上でfθ性,像面性,コマ収差等が良好な均一光束に集光されて、被走査面8を実質的に等速で走査する。

【0061】
次に、走査レンズSLの特徴を説明する。主走査断面での近軸屈折力は、第1レンズG1が正、第2レンズG2が負であり、収束光LRを入射させることと合わせて主走査方向の光学的性能を満足させている。副走査断面では、第1レンズG1は回転対称なレンズであり、第2レンズG2の少なくとも1面に設けられている拡張トーリック面と合わせて主走査方向と同様に光学的性能を満足させている。」

(3)対比判断
本願補正発明と上記刊行物記載の事項(以下、「引用発明」という。)を対比する。
(ア)引用発明の「偏向器を備え、この偏向器によって等角速度的に偏向された光束を被走査面上に結像させるとともに、光束が被走査面上を実質的に等速で主走査するように作用する走査レンズを備えた走査光学系」(【請求項1】参照。)は、本願補正発明の「光源からの光束を偏向器によって偏向させた後に当該光束を走査レンズによって被走査媒体面に結像させる光ビーム走査装置」に相当する。

(イ)引用発明において、「光源1から発せられた発散光は、集光レンズ2によって主走査方向(y方向)に収束光LRとされ」(【0056】)、「偏向走査された収束光LRは、走査レンズSLに入射する」(【0057】)のであるから、本願補正発明の「前記走査レンズに入射する光束を、主走査面内において収束光とするコリメートレンズ」が実質的に備わっている。

(ウ)引用発明において、「主走査断面での近軸屈折力は、第1レンズG1が正、第2レンズG2が負であり、収束光LRを入射させることと合わせて主走査方向の光学的性能を満足させている。」(【0061】)、「走査レンズSLにより、収束光LRは感光体等の被走査面(像面)8上でfθ性,像面性,コマ収差等が良好な均一光束に集光されて、被走査面8を実質的に等速で走査する。」(【0057】)とされている。よって、上記「第2レンズG2が負」であるレンズが、「画角中央部分の焦点距離が周辺部に比べて長い」ものであることは自明であり、さらに、引用発明の「走査レンズ」は、入射する収束光とあいまって、像面性が良好になる(本願補正発明の効果である「像面湾曲の補正を行うことができた」に相当。)ように構成されているのであるから、走査レンズ全体としても、画角中央部分の焦点距離が周辺部に比べて長い傾向のレンズを用いていることは明らかである。
すなわち、加工誤差によるか否かにかかわらず、走査レンズとして両者は、見かけ上同一の構成を有し、同じ作用効果を奏するのであるから、引用発明の「走査レンズ」と本願補正発明の「画角中央部分の焦点距離が周辺部に比べて長い加工誤差を有する走査レンズ」の間に実質的な相違はない。

なお、本願補正発明が、例えば、許容される誤差範囲の大きい従来の1枚又は数枚のレンズからなる走査レンズの加工誤差を計測し、それを相殺するような収束光ないしは発散光を生ずるコリメートレンズを選んで組み合わせる走査装置の組立方法などとして表現されているのであれば、容易性はさておき、従来の誤差範囲の大きいレンズを有効活用する上で技術的な意味があり、本願明細書の【0075】に記載の「「芯落ち」のレンズに対してレンズ面の加工精度を上げることなく像面湾曲の補正を行うことができ、良好な描画品質が得られる光ビーム走査装置を提供することができる。」などという効果を奏するということができる。しかし、本願補正発明においては、「加工誤差」がどのような数値範囲のものかなど、具体的に特定されていないので、引用発明の「走査レンズ」に許容される加工誤差に本願補正発明のものが含まれる場合もあり得るから、この点でも区別ができない。

(エ)本願補正発明の「前記走査レンズに入射する光束を、前記走査レンズの前記加工誤差に応じた収束度で収束させる」コリメートレンズについて検討するに、明細書の記載を見ても、走査レンズの局所的な誤差に対応するように特殊なコリメートレンズを用いているわけではなく、像面湾曲を許容範囲に補正できる所定の収束度のものを用いているに過ぎない。(例えば、本願明細書の【0030】参照。)
してみると、引用発明の「主走査方向の光学的性能を満足させている、収束光」と本願補正発明の「走査レンズの加工誤差に応じた収束度で収束させた、収束光」との間に格別な差異は認められない。

以上のとおり、上記刊行物には、本願補正発明の発明特定事項が実質的に全て記載されている。
したがって、本願補正発明は、刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用するの同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成17年3月16日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成16年12月10日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。
「【請求項1】 光源からの光束を偏向器によって偏向させた後に当該光束を走査レンズによって被走査媒体面に結像させる光ビーム走査装置であって、前記走査レンズに入射する光束を、主走査面内において収束光とするコリメートレンズを備え、前記コリメートレンズは、前記走査レンズに入射する光束を、前記走査レンズの加工誤差に応じた収束度で収束させるものであることを特徴とする光ビーム走査装置。」(以下、「本願発明」という。)

(2)刊行物記載の事項
原審における拒絶の理由に引用した刊行物:特開平8-240768号公報には、上記2.(2)に摘記した事項が記載されている。

(3)対比判断
本願発明は、本願補正発明に比べて、走査レンズが「画角中央部分の焦点距離が周辺部に比べて長い加工誤差を有する」という限定がないものに相当する。
したがって、本願発明は、上記限定に関する記載を除き、上記2.(3)対比判断に記載されたとおり、上記刊行物に実質的に全て記載されている。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-02-23 
結審通知日 2007-02-27 
審決日 2007-03-15 
出願番号 特願平9-15430
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三橋 健二  
特許庁審判長 向後 晋一
特許庁審判官 吉田 禎治
小牧 修
発明の名称 光ビーム走査装置および像面湾曲の補正方法  
代理人 吉竹 英俊  
代理人 有田 貴弘  
代理人 吉田 茂明  
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