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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16H
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16H
管理番号 1156547
審判番号 不服2004-25321  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-10 
確定日 2007-04-25 
事件の表示 特願2000-336337「無段変速機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月17日出願公開、特開2002-139117〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【一】 手続の経緯
本願は、平成12年11月2日の出願であって、平成16年11月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成16年12月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成17年1月11日付けで特許法第17条の2第1項第4号に掲げる場合に該当する明細書についての手続補正がなされたものである。

【二】平成17年1月11日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年1月11日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「 【請求項1】 主軸上に設けた一対のディスク間に回転伝達体を介装すると共に、一方のディスクを主軸の軸線方向に移動可能とし、ローディングカムにより一方のディスクを他方のディスク側に押付けて、一方のディスク、回転伝達体および他方のディスクの間で回転伝達を行う無段変速機において、主軸と一方のディスクとの間に、軸線方向の移動を許容し且つ回転を拘束するボールスプラインを備えると共に、ボールスプラインが、主軸側およびディスク側の各々に軸線方向に沿って形成したスプライン溝と、両スプライン溝に転動自在に係合するボールと、軸線方向を主軸の軸線方向として両スプライン溝に転動自在に係合し且つディスクから主軸側への所定荷重によりボールが変形した際に荷重分担をするローラを備え、スプライン溝がボールの曲率半径よりも大きい曲率半径を有し、ボールの直径に対して、ローラの直径が、ディスクから主軸側への所定荷重によるボールの弾性歪み量の分だけ小さいと共に、ローラの軸線方向の両側にボールを配置したことを特徴とする無段変速機。」
と補正された。

上記補正は、「スプライン溝」について、「ボールの曲率半径よりも大きい曲率半径を有し」と限定する補正を行うものと認められる。

上記補正は、「スプライン溝」について限定事項を付加するものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正を行うものと認められる。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項の規定により準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例
本願出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である「特開平11-182645号公報」(以下、「刊行物1」という。)、「特開昭57-190119号公報」(以下、「刊行物2」という。)には、それぞれ、以下の事項が記載されていると認められる。

(1)刊行物1
〔あ〕「【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型無段変速機は、例えば自動車用変速機として利用する。」(段落【0001】、3欄17?18行参照)
〔い〕「【0008】この図12に示した従来構造に於いては、ハウジング14の内側に回転軸であるトルク伝達軸15を、回転のみ自在に支持している。そして、このトルク伝達軸15を、クラッチの出力軸等に結合される駆動軸16により回転駆動自在としている。又、上記トルク伝達軸15の軸方向両端部に1対の入力側ディスク2、2を、それぞれの入力側凹面2a、2a同士を互いに対向させた状態で、ボールスプライン17、17を介して支持している。従って上記各入力ディスク2、2は上記トルク伝達軸15の軸方向両端部に、このトルク伝達軸15と同期した回転及びこのトルク伝達軸15の軸方向に亙る変位自在に支持されている。」(段落【0008】、5欄4?15行参照)
〔う〕「上記トルク伝達軸15の中間部周囲には1対の出力側ディスク4、4を、それぞれの出力側凹面4a、4aと上記各入力側凹面2a、2aとを対向させた状態で、このトルク伝達軸15に対する回転を自在として支持している。又、複数のトラニオン5、5に変位軸6、6を介して回転自在に支持した複数のパワーローラ7、7(図10?11参照。図12では表裏両側に存在する為、表われない。)を、上記各入力側、出力側両凹面2a、4aの間に挟持している。又、上記ハウジング14の内側には、上記1対の出力側ディスク4、4の間部分に於いて隔壁22を設けている。そして、この隔壁22に設けた通孔23の内側部分に、それぞれがアンギュラ型玉軸受である1対の転がり軸受24、24によって、円管状のスリーブ25を支持している。上記1対の出力側ディスク4、4は、このスリーブ25の両端部にスプライン係合させて、このスリーブ25と共に回転自在としている。又、このスリーブ25の中間部で上記隔壁22の内側部分には、出力歯車26を固設している。一方、上記ハウジング14の内側には、上記トルク伝達軸15と平行に出力軸27を、回転自在に支持している。そして、この出力軸27の一端(図12の左端)に固定した歯車28と上記出力歯車26とを噛合させて、上記1対の出力側ディスク4、4の回転を取り出し自在としている。更に、前記駆動軸16と一方(図12の左方)の入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の加圧装置8を設け、上記駆動軸16の回転に伴ってこの一方の入力側ディスク2を、この一方の入力側ディスク2が対向する出力側ディスク4に向け軸方向に押圧しつつ、回転駆動自在としている。」(段落【0009】、5欄28行?6欄6行参照)
〔え〕「更に、前記1対の入力側ディスク2、2を上記トルク伝達軸15の両端寄り部分に支持する為の前記各ボールスプライン17、17を構成する為、上記トルク伝達軸15の外周面両端寄り部分には外周面側スプライン溝35、35を、上記各入力側ディスク2、2の内周面には内周面側スプライン溝36、36を、それぞれ形成している。そして、これら外周面側、内周面側両スプライン溝35、36同士の間に、それぞれ複数個ずつのボール37、37を介在させて、上記各ボールスプライン17、17を構成している。」(段落【0011】、6欄29?38行参照)
等の記載があり、併せて図面を参照すると、刊行物1には、
“トルク伝達軸15上に設けた入力側ディスク2及び出力側ディスク4間にパワーローラ7を介装すると共に、入力側ディスク2をトルク伝達軸15の軸線方向に移動可能とし、ローディングカム式の加圧装置8により入力側ディスク2を出力側ディスク4側に押付けて、入力側ディスク2、パワーローラ7および出力側ディスク4の間で回転伝達を行う無段変速機において、トルク伝達軸15と入力側ディスク2との間に、軸線方向の移動を許容し且つ回転を拘束するボールスプライン17を備えると共に、ボールスプライン17が、トルク伝達軸15側および入力側ディスク2側の各々に軸線方向に沿って形成した外周面側スプライン溝35、内周面側スプライン溝36と、両スプライン溝に転動自在に係合するボール37を備え、入力側ディスク2からトルク伝達軸15側への荷重がボール37を介して伝達される無段変速機”
の発明が記載されていると認められる。

(2)刊行物2
〔お〕「この発明は、ボールスプライン装置の改良に関し、特に過負荷時の高トルクを安全に支承できるボールスプライン装置に関する。」(1頁左下欄14?16行参照)
〔か〕「軸1は、断面円弧状のボール転動溝2を4条軸方向に形成した外面を有している。
外筒3は、軸のボール転動溝2と対向する断面円弧状のボール転動溝4を4条内面に有する環状部材で、この内孔には軸1が挿通されている。
軸のボール転動溝2とこれと対向する外筒のボール転動溝4との間には転動自在な多数のボール5およびこのボール5の外径寸法より僅か小さい外径寸法を有し軸線の向きを軸方向とされ軸方向に滑動自在な円筒ころ6が配されている。」(2頁右上欄13行?左下欄2行参照)
〔き〕「円筒ころ6の径はボール5の径より小さいので、軸1と外筒3は、円周方向のトルクが小さい時はボール5によりトルクの伝達がなされ、従来のボールスプライン装置と変りはない、この場合軸1と外筒3が軸方向に相対移動するとき円筒ころ6はボール転動溝2または4に沿って摺動する。
大きなトルクが軸1と外筒3に作用すると、ボール5の弾性変形が大きくなり、ついにボール転動溝2、4に挿入した円筒ころ6がボール転動溝2とボール転動溝4とに接するようになり、トルクは円筒ころ6を介して軸1と外筒3の間を伝達される。この場合軸1と外筒3の軸方向の相対移動は、円筒ころ6の摺動を介して行なわれることになる。」(2頁左下欄9行?右下欄2行参照)
〔く〕「このような観点から円筒ころ6の径寸法は、常用トルクより少し大きなトルクが作用した場合、ボール5に加えて円筒ころ6がボール転動溝2、4と接触するように選ばれる。」(2頁右下欄8?11行参照)
等の記載があり、また、第1図には、
〔け〕「円筒ころ6の軸線方向の両側にボール5を配置した」構成が示されていると認められる。
したがって、刊行物2には、
“軸1側および外筒3側の各々に軸線方向に沿って形成したボール転動溝2、4と、両ボール転動溝2,4に転動自在に係合するボール5と、軸線方向を軸1の軸線方向として両ボール転動溝2、4に転動自在に係合し且つ軸1および外筒3の一方から他方への所定荷重によりボール5が変形した際に荷重分担をする円筒ころ6を備え、ボール5の直径に対して、円筒ころ6の直径が、所定荷重によるボール5の弾性歪み量の分だけ小さいと共に、円筒ころ6の軸線方向の両側にボール5を配置したボールスプライン装置”
が記載されていると認められる。

3.対比・判断
(1)本願補正発明と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、後者の「トルク伝達軸15」が前者の「主軸」に相当し、以下同様に、後者の「入力側ディスク2及び出力側ディスク4」が前者の「一対のディスク」に、後者の「パワーローラ7」が前者の「回転伝達体」に、後者の「入力側ディスク2」が前者の「一方のディスク」に、後者の「ローディングカム式の加圧装置8」が前者の「ローディングカム」に、後者の「出力側ディスク4」が前者の「他方のディスク」に、後者の「ボールスプライン17」が前者の「ボールスプライン」に、後者の「外周面側スプライン溝35、内周面側スプライン溝36」が前者の「スプライン溝」に、後者の「ボール37」が前者の「ボール」に、それぞれ相当するから、両者は、
「主軸上に設けた一対のディスク間に回転伝達体を介装すると共に、一方のディスクを主軸の軸線方向に移動可能とし、ローディングカムにより一方のディスクを他方のディスク側に押付けて、一方のディスク、回転伝達体および他方のディスクの間で回転伝達を行う無段変速機において、主軸と一方のディスクとの間に、軸線方向の移動を許容し且つ回転を拘束するボールスプラインを備えると共に、ボールスプラインが、主軸側およびディスク側の各々に軸線方向に沿って形成したスプライン溝と、両スプライン溝に転動自在に係合するボールを備え、ディスクから主軸側への荷重がボールを介して伝達される無段変速機」
で一致し、次の点で相違するものと認められる。
[相違点A]
本願補正発明では、前記「ボールスプライン」が「軸線方向を主軸の軸線方向として両スプライン溝に転動自在に係合し且つディスクから主軸側への所定荷重によりボールが変形した際に荷重分担をするローラを備え」、「ボールの直径に対して、ローラの直径が、ディスクから主軸側への所定荷重によるボールの弾性歪み量の分だけ小さいと共に、ローラの軸線方向の両側にボールを配置した」のに対して、上記刊行物1に記載された発明では、前記「ボールスプライン」がローラを備えない点
[相違点B]
本願補正発明では、「スプライン溝がボールの曲率半径よりも大きい曲率半径を有し」ているのに対して、上記刊行物1に記載された発明では、このようなものか否か不明な点

(2)次に、上記各相違点について検討する。
(2-1)相違点Aについて
上記刊行物2には、先に説示のとおり、「軸1側および外筒3側の各々に軸線方向に沿って形成したボール転動溝2、4と、両ボール転動溝2、4に転動自在に係合するボール5と、軸線方向を軸1の軸線方向として両ボール転動溝2、4に転動自在に係合し且つ軸1および外筒3の一方から他方への所定荷重によりボール5が変形した際に荷重分担をする円筒ころ6を備え、ボール5の直径に対して、円筒ころ6の直径が、所定荷重によるボール5の弾性歪み量の分だけ小さいと共に、円筒ころ6の軸線方向の両側にボール5を配置したボールスプライン装置」が記載されており、上記刊行物1に記載された発明におけるボールスプラインと上記刊行物2に記載されたボールスプライン装置とは、軸線方向の移動が許容され且つ回転が拘束された軸部材と環部材との間で、スプライン溝と両スプライン溝に転動自在に係合するボールを介して、回転荷重を伝達する作用機能が共通するので、上記刊行物1に記載された発明におけるボールスプラインに上記刊行物2に記載されたボールスプライン装置の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、上記刊行物1に記載された発明において、前記「ボールスプライン」が「軸線方向を主軸の軸線方向として両スプライン溝に転動自在に係合し且つディスクから主軸側への所定荷重によりボールが変形した際に荷重分担をするローラを備え」、「ボールの直径に対して、ローラの直径が、ディスクから主軸側への所定荷重によるボールの弾性歪み量の分だけ小さいと共に、ローラの軸線方向の両側にボールを配置した」ものとすることは、上記刊行物2に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。

(2-2)相違点Bについて
一般にボールスプラインの分野において、スプライン溝がボールの曲率半径よりも大きい曲率半径を有するようになすことは、ボールを円滑にスプライン溝で転動させるために当業者が当然考慮すべき事項であり、実際にそうすることが本願出願前周知のことと認められる(例えば、実公昭45-19206号公報、特開昭63-231056号公報(第5図)、特開2000-257630号公報、等参照)。
したがって、上記刊行物1に記載されたものにおいて、「スプライン溝がボールの曲率半径よりも大きい曲率半径を有し」ているものとすることは、上記本願出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。

(3)請求人の主張について
(3-1)審判請求人は、審判請求書の手続補正書において、上記相違点Bに関連し、上記刊行物2に記載されたボールスプライン装置について、「例えば第2図を参照しますと、軸及び外筒に形成したボール転動溝とこれに係合するボールとが円弧状に接触したものとなっています。この場合、常用トルクより大きなトルクが作用して、ボールに加えて円筒ころがボール転動溝に接触した状態、つまり、ボールが押し潰される状態になると、ボールの潰れ代が無いことから、ボールとボール転動溝との接触面圧が著しく増大します。」と主張し、本願補正発明は、「ディスクから主軸への荷重が所定以上になり、ボールに加えてローラがスプライン溝に接触した状態、つまり、ボールが押し潰される状態になると、上記した曲率半径の相違によりスプライン溝にボールの潰れ代が確保されることから、押し潰されたボールとスプライン溝との接触面積が増大し、引用文献2(上記刊行物2)とは逆に、ボールとスプライン溝との接触面圧を低減することになり、このほか、接触面積の増大に伴ってボールとスプライン溝との間のがたつきを無くすといった利点がある」旨主張している。
(3-2)しかしながら、上記刊行物2の第2図は、第1図のA-A線断面図であるから、軸1、外筒3、保持器7、円筒ころ6の組付状況を概略示したものに過ぎず、ボール転動溝とボールとが円弧状に接触することを示すものとは認められないから、上記刊行物2に記載された「ボールスプライン装置」を、ボールの潰れ代が無いものに特定されたものとは認められない。
そして、前記「(2-2)相違点Bについて」に説示のとおり、スプライン溝がボールの曲率半径よりも大きい曲率半径を有するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることであり、その構成によって、ディスクから主軸への荷重が所定以上になり、ボールが押し潰される状態になると、押し潰されたボールとスプライン溝との接触面積が増大することは、上記周知の構成から予測し得ることである。

(4)このように、本願補正発明は、その発明を特定する事項が、上記刊行物1、2に記載された事項及び上記本願出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものであり、また、作用効果も、上記刊行物1、2に記載された事項及び上記本願出願前周知の事項から予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
したがって、本願補正発明は、上記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定により準用する特許法第126条第5項の規定に適合しないものであり、特許法第159条第1項の規定により読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

【三】本願発明について
1.本願発明
平成17年1月11日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年10月1日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 主軸上に設けた一対のディスク間に回転伝達体を介装すると共に、一方のディスクを主軸の軸線方向に移動可能とし、ローディングカムにより一方のディスクを他方のディスク側に押付けて、一方のディスク、回転伝達体および他方のディスクの間で回転伝達を行う無段変速機において、主軸と一方のディスクとの間に、軸線方向の移動を許容し且つ回転を拘束するボールスプラインを備えると共に、ボールスプラインが、主軸側およびディスク側の各々に軸線方向に沿って形成したスプライン溝と、両スプライン溝に転動自在に係合するボールと、軸線方向を主軸の軸線方向として両スプライン溝に転動自在に係合し且つディスクから主軸側への所定荷重によりボールが変形した際に荷重分担をするローラを備え、ボールの直径に対して、ローラの直径が、ディスクから主軸側への所定荷重によるボールの弾性歪み量の分だけ小さいと共に、ローラの軸線方向の両側にボールを配置したことを特徴とする無段変速機。」

2.引用例
本願出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である前記「特開平11-182645号公報」(以下、「刊行物1」という。)、「特開昭57-190119号公報」(以下、「刊行物2」という。)には、前記「【二】平成17年1月11日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.引用例」に記載したとおりの事項が記載されているものと認める。

3.対比・判断
本願発明は、前記「【二】平成17年1月11日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.対比・判断」で検討した本願補正発明から、「スプライン溝」についての限定事項である「スプライン溝がボールの曲率半径よりも大きい曲率半径を有し」との事項を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定する事項のすべてを含み、さらに他の発明を特定する事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「【二】平成17年1月11日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.対比・判断」に記載したとおり、上記刊行物1、2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記刊行物1、2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、上記刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-02-28 
結審通知日 2007-03-01 
審決日 2007-03-13 
出願番号 特願2000-336337(P2000-336337)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16H)
P 1 8・ 575- Z (F16H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谿花 正由輝平瀬 知明高山 芳之  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 町田 隆志
大町 真義
発明の名称 無段変速機  
代理人 的場 基憲  

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