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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
管理番号 1156907
審判番号 不服2004-11017  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-27 
確定日 2007-05-07 
事件の表示 平成10年特許願第114980号「インクジェットヘッドの駆動調整方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月 2日出願公開、特開平11-300964〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年4月24日に出願したものであって、平成16年4月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年5月27日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月23日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成18年12月7日付けで平成16年6月23日付け手続補正を補正却下するとともに、同日付けで拒絶の理由を通知したところ、請求人は平成19年2月6日付けで意見書及び手続補正書を提出した。

2.平成19年2月6日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年2月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正により、【請求項1】は、
「アクチュエータに駆動電圧を印加することによりインクが充填されたインク室から、インク液滴をノズルより噴射させるインクジェットヘッドの駆動調整方法であって、
インク液滴を噴射させてその噴射速度についてのインクジェットヘッドごとの第1の情報と、噴射されるインク液滴の噴射速度が予め決めた基準噴射速度になるように駆動電圧を調整してその基準噴射速度で噴射したインク液滴の体積についてのインクジェットヘッドごとの第2の情報とを測定する第1の工程と、
前記第1の情報と第2の情報とに応じて、インクジェットヘッドごとに前記アクチュエータに印加する駆動電圧を決定し、いずれのインクジェットヘッドにおいても前記インク滴の噴射速度、およびインク滴の体積をそれぞれ基準噴射速度及び基準体積に近づける第2の工程とを備えることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動調整方法。」
と補正された。

(2)新規事項についての検討
本件補正により請求項1には「いずれのインクジェットヘッドにおいても前記インク滴の噴射速度、およびインク滴の体積をそれぞれ基準噴射速度及び基準体積に近づける」という記載が加わった。
基準噴射速度及び基準体積に近づける点に関し、本願当初明細書には、以下の記載のみである。
「【0039】
この場合、インク液滴の噴射速度が基準噴射速度に対し速ければ駆動電圧を低くし、遅ければ高くするように、またインク液滴の体積が基準体積に対し大きければ駆動電圧を低くし、小さければ高くするように、駆動電圧が決定される。このように駆動電圧を決定することで、目標となるインク液滴の噴射速度及び体積に近づくようにされる。」
本願明細書におけるインクジェットヘッドにおけるインクの吐出原理を検討すると、インク室の両側に一組のアクチュエータが設けられ、該アクチュエータに駆動電圧が印加され、インク室の容積が変化する方向に変形され、インク室内のインクがノズルから噴射するようになっている。
アクチュエータに印加する駆動電圧を大きくすると、インク室の容積の変化が大きくなるのだから、噴射速度が高くなり、インク液滴の体積が大きくなり、駆動電圧を小さくすると、インク室の容積の変化が小さくなるのだから、噴射速度が低くなり、インク液滴の体積が小さくなることは自明のことである。
そのことは、上記「この場合、インク液滴の噴射速度が基準噴射速度に対し速ければ駆動電圧を低くし、遅ければ高くするように、またインク液滴の体積が基準体積に対し大きければ駆動電圧を低くし、小さければ高くするように、駆動電圧が決定される。」の記載からも、特開平8-52871号公報の【図7】からも明らかである。
補正後の請求項1において、インク液滴の噴射速度、インク液滴の体積の高低を決定するために調整される調整対象は駆動電圧のみである。そうすると、インクジェットヘッドのインク液滴の体積、インク液滴の噴射速度がいずれも駆動電圧を高くしなければいけない方向あるいは減少しなければいけない方向に片寄っていれば、両方の値を基準値に近づけることができるが、そうでない場合は、インク液滴の体積、インク液滴の噴射速度の内、一方を基準噴射速度あるいは基準体積に近づけると、他方は遠ざからざるを得ない。
よって、上記【0039】に「このように駆動電圧を決定することで、目標となるインク液滴の噴射速度及び体積に近づくようにされる。」と記載されているが、これは、いずれのインクジェットヘッドにおいてもインク液滴の噴射速度及び体積に近づくようにするという意味ではなく、インク液滴の体積、インク液滴の噴射速度がいずれも駆動電圧を高くしなければいけない方向あるいは減少しなければいけない方向に片寄っている場合について述べているか、基準となるインク液滴の噴射速度及び体積に、片方が若干遠ざかることも認容してまあまあ近づく程度の意味合いと解釈せざるを得ない。
したがって、出願当初明細書には、「速度と体積」全体で最も良さそうな値に近づけることが記載されていたとしても、個別に近づけることが記載されていたと認定できず、補正後の「いずれのインクジェットヘッドにおいても前記インク滴の噴射速度、およびインク滴の体積をそれぞれ基準噴射速度及び基準体積に近づける」ことは、出願当初の明細書及び図面に記載された範囲の事項とはいえなので、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するもので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成19年2月6日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年2月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定されるものであり、その請求項に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「アクチュエータに噴射信号を印加することによりインクが充填されたインク室から、インク液滴をノズルより噴射させるインクジェットヘッドの駆動調整方法であって、
インクジェットヘッドごとに、インク液滴の噴射速度についての第1の情報と、予め決めた基準噴射速度で噴射したインク液滴の体積についての第2の情報とを測定する第1の工程と、
前記第1の情報と第2の情報との組み合わせに基づいて前記アクチュエータに印加する駆動電圧を決定する第2の工程とを備えることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動調整方法。」

(1)引用刊行物
(a)原査定の拒絶の理由に引用された、特開平9-174835号公報(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載が図示とともにある。
ア.【0013】本発明は前記従来の課題を解決するため次のように構成した。
(1):インクが供給される圧力室2と、前記圧力室2を加圧してインクを噴射させる加圧手段4aと、該加圧手段4aへの入力波形を生成する波形生成手段12aとを備え、前記波形生成手段12aは、インクの飛翔特性に関する評価関数を最適化する前記入力波形を作成する。
イ.【0014】(2):前記(1)のインクジェット装置において、インクの粒速、インクの粒量、サテライト粒子の数のインクの飛翔特性を計測する粒子特性計測手段15aを備え、前記インクの飛翔特性の計測結果を前記評価関数の最適化に用いる。
ウ.【0015】(3):前記(1)、(2)のインクジェット装置において、前記評価関数として、インクの粒速についての項、インクの粒量についての項、サテライト粒子の数についての項、前記加圧手段4aの振動状態についての項の一部又は全部の線形和を用いる。
エ.【0059】上記の例では、ノズル1個のみ扱ったが、これに限定されるものではなく、複数個の場合は各ノズルについてのデータを取得し、その平均を評価の基準に使えばよい。また、複数のインクジェットヘッドを対象とする場合は、各ヘッドについて計量し、各ヘッドにおいて飛翔特性を調査し、その結果を用いて所定値との差を調べ、圧電素子に入力する波形を生成してもよい。
オ.【0066】S1:まず、利用者は、全体の制御装置17に対して、所望のインクの飛翔特性、対象とするヘッドm個、初期の圧電素子駆動波形、及び、波形生成の繰り返し回数Nを指定し、繰り返し回数Iを1として処理S2に移る。なお、初期の駆動波形は、図3(b)のように複数の折れ線で表すものとし、その複数の折れ線の時間間隔と傾きθnを指定して与える。この例では、インクの飛翔特性としてインクの粒速、インクの粒量、サテライト粒子の数、周波数特性の4項目を指定するものとする。
カ.【0067】S2:全体の制御装置17は、指定されたインクジェットヘッド10を位置決めし、波形生成装置12は、圧電素子を駆動(最初は初期波形で駆動)し、ノズルからインク粒子を噴射させる。粒子特性計測装置15は、CCDカメラ13と画像処理装置14を用いてヘッドの飛翔特性を調査する。この調査で指定されたm個のヘッドの調査が完了した場合は処理S4に移り、もし、m個のヘッドの調査が未完了の場合は処理S3に移る。
キ.【0070】S6:波形生成装置12は、波形生成の最初の段階では、初期の駆動波形を用いる。また、生成すべき入力波形の折れ線の時間間隔は初期の駆動波形と同じとし、その折れ線の傾きθnを変数として、運動方程式(図4参照)を用いて評価関数Jを最適化する波形の再生成を行い処理S7に移る。

上記記載及び図面を含む刊行物1全体の記載から、刊行物1には、以下のものが開示されていると認められる。
「加圧手段4aを駆動することによりインクが充填された圧力室2から、インク液滴をノズルより噴射させるインクジェットヘッドの駆動調整方法であって、
複数のインクジェットヘッドを対象とし、各ヘッドについて、インクの粒速、インクの粒量、サテライト粒子の数を計測する工程と、
前記インクの粒速、インクの粒量、サテライト粒子の数に基づいて前記アクチュエータに印加する駆動波形を決定する工程とを備えるインクジェットヘッドの駆動調整方法。」

(b)原査定の拒絶の理由に引用された、特開平8-52871号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載が図示とともにある。
ク.【0038】
【発明が解決しようとする課題】これまでに述べてきたように、インクジェットプリンタ用印字ヘッドの吐出特性は多数の要素が複雑に影響を及ぼしており、製作時に特性改善、コストダウン、仕様変更などによる寸法変更が行われると、時により完成したヘッドの吐出特性が所望の値からずれてしまうことがある。
ケ.【0039】例えば所望の液滴吐出速度に対し液滴径が所望の径より小さかったり大きかったりした時は、電圧を調整し径を合わせ込むことはできるがその時は吐出速度のほうがずれてしまう。これは本来の最適液滴吐出速度、液滴径を同時に満足しないために前述したような画質の低下を引き起こしてしまうという課題がある。

(2)対比・判断
本願発明と刊行物1記載の発明とを比較すると、刊行物1記載の発明の「加圧手段4aを駆動すること」は、本願発明の「アクチュエータに噴射信号を印加すること」に相当し、刊行物1記載の発明の「複数のインクジェットヘッドを対象とし、各ヘッドについて、インクの粒速、インクの粒量、サテライト粒子の数を計測する工程」と、本願発明の「インクジェットヘッドごとに、インク液滴の噴射速度についての第1の情報と、予め決めた基準噴射速度で噴射したインク液滴の体積についての第2の情報とを測定する第1の工程」は、いずれも「インクジェットヘッドごとに、少なくともインク液滴の噴射速度についての第1の情報と、インク液滴の体積についての第2の情報とを測定する第1の工程」の点で共通し、刊行物1記載の発明の「インクの粒速、インクの粒量、サテライト粒子の数に基づいて前記アクチュエータに印加する駆動波形を決定する工程」と、本願発明の「第1の情報と第2の情報との組み合わせに基づいて前記アクチュエータに印加する駆動電圧を決定する第2の工程」は、いずれも「複数の測定情報に基づいて前記アクチュエータの動きを決定する第2の工程」の点で共通する。よって、両者は、
「アクチュエータに噴射信号を印加することによりインクが充填されたインク室から、インク液滴をノズルより噴射させるインクジェットヘッドの駆動調整方法であって、
インクジェットヘッドごとに、少なくともインク液滴の噴射速度についての第1の情報と、インク液滴の体積についての第2の情報とを測定する第1の工程と、
前記複数の測定情報に基づいて前記アクチュエータの動きを決定する第2の工程とを備えるインクジェットヘッドの駆動調整方法。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]第1の工程の測定情報に関して、本願発明は、インク液滴の噴射速度についての第1の情報と、予め決めた基準噴射速度で噴射したインク液滴の体積についての第2の情報であるのに対し、刊行物1記載の発明は、インクの粒速、インクの粒量、サテライト粒子の数である点。
[相違点2]第2の工程のアクチュエータの動きの決定に関して、本願発明は、第1の情報と第2の情報との組み合わせに基づいたアクチュエータに印加する駆動電圧を決定するのに対し、刊行物1記載の発明は、インクの粒速、インクの粒量、サテライト粒子の数に基づいたアクチュエータに印加する駆動波形を決定する点。

上記相違点2に関して検討する。(ただし、第2の情報について、予め決めた基準噴射速度で噴射した点については、相違点1で挙げているので除く。)
上記2.(2)新規事項についての検討の項で述べた(補正後の請求項1に係る発明について言及であるが、本願発明についても同じである。)ように、本願明細書におけるインクジェットヘッドにおけるインクの吐出原理、及び、調整対象が駆動電圧のみであることから、インクジェットヘッドのインク液滴の体積、インク液滴の噴射速度がいずれも駆動電圧を高くしなければいけない方向あるいは減少しなければいけない方向に片寄っていれば、両方の値を基準値に近づけることができるが、そうでない場合は、インク液滴の体積、インク液滴の噴射速度の内、一方を基準噴射速度あるいは基準体積に近づけると、他方は遠ざかざるを得ない。つまり、本願発明は、基準となるインク液滴の噴射速度及び体積に、片方が若干遠ざかることも認容してまあまあ近づく程度の調整を目指しているものといえる。刊行物1記載の発明は、インク液滴の噴射速度及び体積のいずれも所望の値にすることを目指しているから駆動波形を決定しているが、本願発明のように、基準となるインク液滴の噴射速度及び体積に、片方が若干遠ざかることも認容してまあまあ近づく程度の調整を目指すのであれば、もっと簡単に決定できるものを調整対象とすれば良く、刊行物2に駆動電圧を調整対象とすることが記載されているから、刊行物1記載の発明の調整対象を駆動電圧に代えることは当業者が容易になし得る程度のことである。そして、調整対象となるインクジェットヘッドのインク液滴の体積、インク液滴の噴射速度がいずれも駆動電圧を高くしなければいけない方向あるいは減少しなければいけない方向に片寄っていない場合は、インク液滴の体積、インク液滴の噴射速度の内、一方を基準噴射速度あるいは基準体積に近づけると、他方は遠ざかってしまうことは明らかである。そうすると、インク液滴の体積、インク液滴の噴射速度を測定し、インク液滴の体積、インク液滴の噴射速度の組み合わせに基づいて決定することは、駆動電圧を調整対象とした場合の必然である。
以上のとおり、相違点2のような構成とすることは当業者が容易になし得る程度のことである。

(3)本願発明の特徴的構成
相違点2は、当業者が容易になし得る程度のことであるから、進歩性判断を行うに当たり、最も重要な相違点は、相違点1であり、相違点1の内、インク液滴の噴射速度についての第1の情報と、インク液滴の体積についての第2の情報を測定情報とすることは、既に相違点2で検討したように、駆動電圧を調整対象とした場合の必然であるから、本願発明の特徴的構成は、インク液滴の体積についての第2の情報が予め決めた基準噴射速度で噴射したものである点である。

(4)当審の拒絶理由
平成18年12月7日付けでした当審の拒絶理由の内容は以下の通りである。
「本件出願は、明細書の記載が下記の点で不備のため、平成14年改正前特許法第36条第6項第2号及び第4項に規定する要件を満たしていない。



請求項1に「予め決めた基準噴射速度で噴射したインク液滴の体積についての第2の情報とを測定する」とあり、予め決めた基準噴射速度で噴射しているから、第2の情報を測定する際には、既に第1の情報を利用しているものと認められる。第1の情報が既に織り込み済みであるから、第2の情報を測定後、インク液滴の体積の多少により、アクチュエータに印加する駆動電圧を加減して調整すればよいはずである。一方、請求項1に「第1の情報と第2の情報との組み合わせに基づいて前記アクチュエータに印加する駆動電圧を決定する」とあるが、第1の情報が既に織り込まれている第2の情報に、第1の情報をどのように組み合わせるか、また、組み合わせた結果、どのようにアクチュエータに印加する駆動電圧を決定するのか不明である。」

(5)記載要件についての判断
上記(3)に記載したように、本願発明の特徴的構成は、インク液滴の体積についての第2の情報が予め決めた基準噴射速度で噴射したものである点であって、発明の詳細な説明は、特徴的構成について当業者が容易に実施し得る程度に記載されなければならない。
第1の情報と第2の情報との組み合わせについて具体的に記載されたマップは、【図7】とそれに関する記載のみである。【図7】の下方に体積大と記載され、右方向に矢印が付記されているから、横軸はインク液滴の体積であることは認められるが、「基準噴射速度で噴射したインク液滴の体積」であるか否かは明示されていない。
本願出願当初明細書の請求項1の記載は、「アクチュエータに噴射信号を印加することによりインクが充填されたインク室から、インク液滴をノズルより噴射させるインクジェットヘッドの駆動調整方法であって、
インクジェットヘッドごとに、インク液滴の噴射速度についての第1の情報と、インク液滴の体積についての第2の情報とを測定する第1の工程と、
前記第1及び第2の情報に基づいて、インクジェットヘッドに印加する駆動電圧を決定する第2の工程とを備えることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動調整方法。」であって、「インク液滴の体積についての第2の情報」は、基準噴射速度で噴射したものに限定されていない。また、1回の噴射(デフォルト値での噴射であろう。)によってインク液滴の噴射速度についての情報と、インク液滴の体積についての情報を得ることは可能であって、1回の噴射によって両方の情報を得た方が、本願発明のようにわざわざ2回の噴射(「インク液滴の噴射速度についての第1の情報」を得るための噴射(デフォルト値での噴射であろう。)と、「予め決めた基準噴射速度で噴射したインク液滴の体積についての第2の情報」を得るための予め決めた基準噴射速度となるように調整した噴射)で、両方の情報を得るより簡単であることは明らかであるから、【図7】に記載の横軸は、「デフォルト値で噴射したインク液滴の体積」と考えるのが自然である。
そうすると、本願発明の特徴的構成であるインク液滴の体積についての第2の情報が予め決めた基準噴射速度で噴射したものである点について、当業者が実施し得る程度に記載されているということができず、平成14年改正前特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないものである。
仮に、【図7】のマップの横軸が「予め決めた基準噴射速度で噴射したインク液滴の体積」であって、上記マップを用いることにより、基準となるインク液滴の噴射速度及び体積に、片方が若干遠ざかることも認容してまあまあ近づけることができるとしても、インク液滴の体積についての第2の情報が予め決めた基準噴射速度で噴射したものであろうと、基準噴射速度で噴射したものでないものであろうと、要は、インク液滴の噴射速度とインク液滴の体積という2因子によって、まあまあの結果となる駆動電圧に調整するだけであって、本願発明の特徴的構成である予め決めた基準噴射速度で噴射する点の技術的意義が全く記載されておらず、平成14年改正前特許法第36条第4項で委任されている特許法施行規則第24条の2に規定する要件を満たしていない。

(6)むすび
以上のとおり、本願明細書の記載が、不備であり、特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-01 
結審通知日 2007-03-06 
審決日 2007-03-19 
出願番号 特願平10-114980
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 時男  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 長島 和子
尾崎 俊彦
発明の名称 インクジェットヘッドの駆動調整方法  
代理人 鳥巣 実  
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