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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1157769
審判番号 不服2005-152  
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-04 
確定日 2007-05-17 
事件の表示 特願2002-102877「ガスセンサの取付構造」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月15日出願公開、特開2003-294674〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成14年4月4日の出願であって、平成16年11月16日付で拒絶査定がなされ(発送日:同年11月30日)、これに対し、平成17年1月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成17年2月2日付で手続補正がなされたものである。

II.平成17年2月2日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年2月2日付の手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成16年8月6日付手続補正により補正された
(1)「固体高分子型燃料電池のカソード側のオフガス配管内を流通する水素ガスの濃度を検出するガスセンサの取付構造であって、配管の内壁に孔部を設けると共に、ガスセンサに配管内でその一面が開口するガス導入部を設け、該ガス導入部が配管内壁から突出しない状態で、ガスセンサを配管の重力方向上側に取り付けることを特徴とするガスセンサの取付構造。」
から、
(2)「固体高分子型燃料電池のカソード側のオフガス配管内を結露した反応水と共に流通する水素ガスの濃度を検出するガスセンサの取付構造であって、上記ガスセンサは接触燃焼式の水素ガスセンサであり、前記配管の内壁に孔部を設けると共に、ガスセンサに配管内でその一面が開口するガス導入部を設け、上記孔部は貫通孔であり、ガスセンサは配管の外側から、突出するガス導入部を該貫通孔に挿入し、ガスセンサのフランジ部を締結具により配管に固定して、該ガス導入部が配管内壁から突出しない状態で、ガスセンサを配管の重力方向上側に取り付けることを特徴とするガスセンサの取付構造。」
へと補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ガスセンサ」、「孔部」、及びガスセンサの取り付け形態について、それぞれ「接触燃焼式の水素ガスセンサ」、「貫通孔」、「配管の外側から、突出するガス導入部を該貫通孔に挿入し、ガスセンサのフランジ部を締結具により配管に固定」との限定を付加することを含むものであって、特許法第17条の2第4項第2号に規定する、請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例
ア.原査定の拒絶の理由に引用した実願平4-75544号のCD-ROM(実開平6-40853号)(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(1)実用新案登録請求の範囲として;
「【請求項1】 流路(7)を有するボディ(6)に取り付けられて、前記流路(7)を流通する雰囲気ガス中に含まれた特定の成分ガスの濃度を検出するガスセンサにおいて、該ガスセンサを、前記ボディ(6)に設けられて、前記流路(7)を開口する検知室(8)を閉塞するセンサ本体(2)と、回路基板(3)と、前記検知室(8)内の流路(7)側に位置される検知部材(4)とで形成したことを特徴とするガスセンサ。」
(2)作用について;
「【0008】
【作用】
この考案は上記の手段を採用したことにより、流路を流通する雰囲気ガスの流量に対する出力値の依存性が解消されるようになっている。
すなわち、ガスセンサの検知部材を、ボディの流路に対してずれた部位に形成された検知室内に位置させるようにしたことによって、検知部材が雰囲気ガスの流れを阻害しないようになるため、これによって、流路を流通する雰囲気ガスの本流が、検知部材の周りに存在する雰囲気ガスの流れを乱さないようになり、この結果として、ガスセンサの出力値が安定するようになっている。」
(3)流路と外部に開口した検知室に関し;
「【0012】
図1において、ボディ6は、その内部に雰囲気ガスの流路7を有していて、この流路7と連通する検知室8が形成されている。この検知室8は、流路7の軸線に対して直交する方向へ向けて形成されるとともに、その一方は流路7に、また他方は外部にそれぞれ開口した状態で形成され、これにより、流路7が検知室8を介して外部と連通している。」
(4)検知室へのガスセンサの取り付け形態に関し;
「【0010】
・・・ すなわち、図1に示すガスセンサ1は、流路7を有するボディ6に設けられて、流路7を流通する雰囲気ガス中に含まれる特定の成分ガスの濃度を検出するものであって、ガスセンサ1は、センサ本体2に、検知センサ5aと温度補償センサ5bとで形成された検知部材4と、基板上に検知センサ5aと温度補償センサ5bとでブリッジ回路を構成した回路基板3とを設けて形成され、センサ本体2が、ボディ6に形成されて流路7を外部に連通させる検知室8の外部側の開口部を閉塞するとともに、検知部材4を検知室8内に位置させた状態で設けられ、さらに、防爆メッシュ12が、検知室8内に位置して流路7に突出しない状態で検知部材4を被包している。
【0011】
そして、検知部材4およびこれを被包する防爆メッシュ12を、ボディ6の流路7を開口するように形成された検知室8内に、流路7に突出しない状態で位置させることにより、ガスセンサ1の出力において、雰囲気ガスの流量に対する依存性が低減するようになっている。」
「【0019】
そして、上記のように構成されたガスセンサ1をボディ6に取り付ける際には、ガスセンサ1は、検知部材4およびこれを被包する防爆メッシュ12を、流路7に突出させないように、完全に検知室8内に位置させた状態で配置し、検知部材4および防爆メッシュ12がボディ6の流路7を妨げないようにしておく。この場合、ガスセンサ1は、センサ本体2で検知室8の外部側の開口部を閉塞し、これによって検知室8を密封する。」
(5)センサ本体の形状に関し;
「【0014】
ガスセンサ1を形成するセンサ本体2は、ボディ6に形成された検知室8の外部側の開口部を閉塞可能な大きさを有しているもので、検知センサ5aと温度補償センサ5bとで形成された検知部材4が設けられるとともに、回路基板3が内蔵されている。」
(6)ガスセンサの種類に関し;
「【0001】
【産業上の利用分野】
この考案はガスセンサに関し、特に、パージされる雰囲気ガス中に含まれる特定の成分ガスを検出または定量するガスセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】
従来、この種のガスセンサとしては、例えば、所謂HCセンサ(ハイドロカーボンセンサ)と呼ばれるものが既に知られている。」
「【0013】
・・・ このガスセンサ1は、所謂HCセンサと呼ばれるもので、熱伝導方式が用いられ、センサ本体2と検知部材4と回路基板3とで形成されている。」
(7)防爆メッシュに関し;
「【0018】
また、センサ本体2には、検知部材4を被包する防爆メッシュ12が設けられる。この防爆メッシュ12は、通気性を有しているものが用いられていて、これに被包される検知部材4は外気との接触が可能となっている。」
(8)図1には、センサ本体2の検知センサ5a側である小径部先端に、該検知センサを取り囲むように防爆メッシュ12を流路側へ突出させて設け、流路の検知室8内に外部側から、該防爆メッシュからなる突出部を、その先端面が流路内に突出しないように挿入し、センサ本体の前記検知センサとは反対側の大径部で検知部の開口部を閉塞してなる、ガスセンサの流路への取り付け構造が記載されている。

これらの記載を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されている(以下、「引用発明1」という。)。

「流路を流通するガス中に含まれた特定の成分ガスの濃度を検出するガスセンサの取り付け構造に於いて、上記ガスセンサは例えば熱伝導方式のHCセンサであって、流路の軸線に対して直交する方向へ向けて流路と連通する検知室が形成され、ガスセンサの検知部材を被包し通気性を有する防爆メッシュを設け、前記検知室は外部に開口しており、ガスセンサは、流路の外部側から、突出する防爆メッシュを前記検知室に挿入し、ガスセンサの大径部で検知室の開口部を閉塞して密封し、該防爆メッシュの先端面が流路に突出しないように配置してなるガスセンサの取り付け構造。」

イ.原査定の拒絶の理由に引用した特開平6-223850号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(1)請求項1として;
「【請求項1】 固体高分子電解質燃料電池のカソード極側に配した残存酸化剤排出通路に水素ガス検知器を設け、電解質である高分子イオン交換膜の含水状況の低下に起因する水素ガスの漏洩を検知する・・・。」
(2)固体高分子電解質燃料電池の発電原理及びそれに伴う水の生成に関し;
「【0006】
(3)固体高分子電解質燃料電池の発電原理
図2に固体高分子電解質燃料電池の一例を示す。電解質01としてフッ素樹脂系の高分子イオン交換膜(例えばスルホン酸基を持つフッ素樹脂系イオン交換膜)を用い、これを中央にして両面に触媒電極02,03(例えば白金)を付着させ、さらにその両面を多孔質カーボン電極04,05でサンドウィッチ状にはさみ重ねてた電極接合体06を構成している。アノード極側に供給された燃料中の水素(H2 )は、触媒電極(アノード極)02上で水素イオン化され、水素イオンは電解質01中を水の介在のもと、H+・xH2 Oとしてカソード極側へ移動する。触媒電極(カソード極)03上で酸化剤中の酸素(O2 )及び外部回路07を流通してきた電子と反応し水を生成、燃料電池外へ排出される。」
(4)全体構成と動作に関し;
「【0014】本実施例では図1に示すように、燃料供給ライン17中途に遮断弁16を設け、かつ残存酸化剤排出ライン20の中途に水素ガス検知器15を設ける。・・・。
【0015】次に動作システムを説明する。図1に示すように、燃料電池の残存酸化剤排出ライン17中途に水素ガス検知器12を設ける結果、固体高分子電解質燃料電池の電解質11である高分子イオン交換膜に含水量不足の部分が発生し、アノード極12側からカソード極13側に水素ガスが漏洩していることを検知して間接的に電解質(高分子イオン交換膜)11が含水不足状況に陥いっていることを確認できる。」

ウ.原査定の拒絶の理由に引用した特開平7-55740号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(1)「【0005】
【発明の構成】この発明は、基板の下面に外気汚染検出用のガスセンサを取り付けると共に、基板の下面にガスセンサを取り囲むようにカバーを取り付け、かつカバーにはガスセンサよりも下方の位置にガス導入用の開口をカバー下端にはドレイン用の開口を設け、さらにガスセンサとカバー内周との間で基板に通気穴を設けた、自動車の外気導入制御用ガス検出装置にある。」
(2)「【0006】
【発明の作用】この発明では、基板が上でカバーの先端が下となるようにガス検出装置を取り付け、ガスセンサよりも下方の位置でカバーにガス導入用の開口を設ける。開口はガスセンサよりも下にあるので、ガスセンサが直接風に曝されることはない。・・・ガス検出装置は自動車のカウルボックスの中やラジエターグリルの前面などに取り付け、基板に対してガスセンサやカバーの先端が下になるように取り付ける。・・・カバーにはゴミや水滴などが侵入し、これらはカバーの内壁に衝突して付着する。ここでカバーの先端を下にし、カバー内でガスセンサが上にあるようにすると、ガスセンサにはゴミや水滴などが付着せず、ゴミや水滴はカバーの底の開口から排出される。」

エ.原査定の拒絶の理由に引用した特開昭63-30751号公報(以下、「引用例4」という。)には、燃料電池発電プラントで燃料として用いられる水素ガスの漏洩を検知するために、接触燃焼式の水素ガス検知素子を用いることが記載されている(第1ページ左下欄第15行乃至同ページ右下欄第7行)

オ.特開平10-10084号公報(以下、「引用例5」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(1)配管にガスセンサを取り付ける構造に関し;
「【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の一実施の形態について説明する。図1(a)において、ガス濃度センサのハウジング1は、中央部にセンサ素子2が挿通保持される貫通穴11を有し、外周のフランジ部に設けた複数の取り付け穴12にて、例えば内燃機関の排気管壁に固定される。図2は、内燃機関の排気管P壁に図1のガス濃度センサを取り付けた状態を示し、上記取り付け穴12にボルト13を挿通することにより、排気管P壁に溶接固定した取り付け部材P1に固定している。」

3.対比
引用発明1の
(a)「流路」、(b)「検知室」、(c)「防爆メッシュ」、(d)「大径部」
は、それぞれ本願補正発明の
(a)「配管」、(b)「孔部」及び「貫通孔」、(c)「ガス導入部」、(d)「フランジ部」
に相当することが明らかである。よって両者は、
(一致点)
「配管内を流通するガスの濃度を検出するガスセンサの取付構造であって、前記配管の内壁に孔部を設けると共に、ガスセンサに配管内でその一面が開口するガス導入部を設け、上記孔部は貫通孔であり、ガスセンサは配管の外側から、突出するガス導入部を該貫通孔に挿入し、ガスセンサのフランジ部を配管に固定して、該ガス導入部が配管内壁から突出しない状態で取り付けることを特徴とするガスセンサの取付構造。」
で一致し、以下の各点で相違する。
(相違点1)
本願補正発明は、固体高分子型燃料電池のカソード側のオフガス中を結露した反応水と共に流通する水素ガス濃度を測定対象としているのに対し、引用発明1は、測定対象ガスの性状や成分、配管の種別や条件について特に限定はなく、実施例に於いて、測定対象成分ガスとしてHCが例示されているに過ぎない点。
(相違点2)
本願補正発明のガスセンサは、接触燃焼式の水素ガスセンサであるのに対し、引用発明1では、ガスセンサの種別について特に限定が無く、実施例で熱伝導方式のHCセンサが例示されているに過ぎない点。
(相違点3)
本願補正発明は、ガスセンサのフランジ部の配管への固定が締結具によりなされているのに対し、引用発明1では、固定手段に関し具体的記載がない点。
(相違点4)
本願補正発明では、ガスセンサを配管の重力方向上側に取り付けているのに対し、引用発明1では、ガスセンサが重力方向に対し配管の上下左右何れに設けられているのか、明記がない点。

4.判断
上記各相違点について以下に検討する。
(1)相違点1について
固体高分子型燃料電池のカソード側のオフガス配管中に水素ガスセンサを設け、該配管中の水素ガス濃度を測定すること、該配管には燃料電池からの反応生成水(水蒸気)が流通することは、共に引用例2にも記載されたとおり周知である。よって、引用発明1に於いて、測定対象ガスの性状や成分、配管の種別や条件について、前記周知のものに限定することは、当業者が容易に為し得たことである。
(2)相違点2について
ガスセンサとして接触燃焼式の水素ガスセンサは引用例4にも記載されたとおり周知のものに過ぎないから、引用発明1に於いて、ガスセンサを単に接触燃焼式の水素ガスセンサと限定した点は、当業者が容易に為し得たことである。
(3)相違点3について
配管壁に設けた貫通孔の外部からガスセンサを取り付ける構造として、ガスセンサに設けたフランジ部と配管とをネジなどの締結具で固定する構造は、引用例5にも記載されたとおり周知慣用のものに過ぎない。
よって、引用発明1に於いて、ガスセンサの大径部を検知室の開口部外壁に取り付ける際に、ネジなどの締結具を採用することは、前記周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得た事項である。
(4)相違点4について
ガスの流通部にガスセンサを設ける際に、ガスセンサへのゴミや水滴の付着を避けるために、ガスの流通部やガスの流入する開口部よりも重力方向上側にセンサを取り付けることは、引用例3にも記載されたとおり周知慣用の技術である。よって、引用発明1に於いて、センサの設置位置を配管の重力方向上側とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。

また、審判請求理由に於いて請求人は、接触燃焼式の水素ガスセンサを水滴に晒される部位に使用することは当業者であれば想定しないであろうこと、このような部位で極めて微量な水素ガスを精度良く検出することが困難であったことに鑑みれば、本願補正発明が引用例を寄せ集めて容易に想到できるものではない旨主張している。
しかし、燃料電池発電プラントに於いて、信頼性良く漏洩水素ガス濃度を検出するために接触燃焼式の水素センサを使用することは、引用例4に記載されているとおり公知であり、この場合の水素ガス濃度の測定部位としてカソード側オフガス配管内は前述のとおり周知であるし、燃料電池の排出ガスに水蒸気(水)が含まれることも前述のとおり周知である。そして、排気配管内のガスが水蒸気を含んでいる場合、結露が生じうることもまた、自明である。
さらに、一酸化炭素や水素などの濃度を検知する接触燃焼式のガスセンサに於いて、結露がセンサの検出精度や劣化に悪影響を与えることから、センサへの結露の付着防止策が必要であることも、特開2002-71615号公報、特開平11-352086号公報、特開平9-5279号公報に記載されたとおり、周知の課題に過ぎない。
よって、請求人の前記主張は採用するに足るものではなく、引用発明1に引用例2乃至5記載の発明を組み合わせることが、当業者にとって格別の困難性を有するものとは言えない。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明1および上記周知技術から当業者であれば予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

III.本願発明について
平成17年2月2日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という)は、平成16年8月6日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「固体高分子型燃料電池のカソード側のオフガス配管内を流通する水素ガスの濃度を検出するガスセンサの取付構造であって、配管の内壁に孔部を設けると共に、ガスセンサに配管内でその一面が開口するガス導入部を設け、該ガス導入部が配管内壁から突出しない状態で、ガスセンサを配管の重力方向上側に取り付けることを特徴とするガスセンサの取付構造。」

1.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「II.2.」に記載したとおりである。

2.対比
本願発明は、前記II.で検討した本願補正発明から、測定対象ガス、「ガスセンサ」、「孔部」、及びガスセンサの取り付け形態に関する限定事項である、それぞれ「結露した反応水と共に流通する」、「接触燃焼式の水素ガスセンサ」、「上記孔部は貫通孔であり」及び「ガスセンサのフランジ部を締結具により配管に固定」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記II.4.に記載したとおり、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2乃至4に係る発明について審理するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-19 
結審通知日 2007-03-20 
審決日 2007-04-02 
出願番号 特願2002-102877(P2002-102877)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
P 1 8・ 575- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 洋介  
特許庁審判長 高橋 泰史
特許庁審判官 樋口 宗彦
黒田 浩一
発明の名称 ガスセンサの取付構造  
代理人 鈴木 三義  
代理人 西 和哉  
代理人 青山 正和  
代理人 村山 靖彦  
代理人 高橋 詔男  
代理人 志賀 正武  

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