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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1158548
審判番号 不服2006-15520  
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-20 
確定日 2007-06-07 
事件の表示 平成9年特許願第107977号「液晶表示パネルとその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年11月13日出願公開、特開平10-301507〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
1 本願は、平成9年4月25日に特許出願された特願平9-107977号である。

2 原審における平成17年12月5日付の拒絶理由通知に対し、平成18年2月13日付の意見書及び同日付の特許請求の範囲、明細書及び図面を補正する手続補正書が提出され、さらに、原審における平成18年3月10日付の最後の拒絶理由通知に対し、平成18年5月29日付の意見書及び同日付の特許請求の範囲及び明細書を補正する手続補正書が提出されたところ、前記平成18年5月29日付の手続補正書による補正(以下、これを「本件補正」という。)について、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するという理由により、平成18年6月12日付で、補正の却下の決定がなされた。
そして、本願特許出願は、前記平成18年3月10日付の最後の拒絶理由により、平成18年6月12日付で拒絶査定がなされ、その後、前記補正の却下の決定及び拒絶査定を不服として平成18年7月20日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

3 審判請求人は、前記本件補正における請求項1に「前記遮光膜が前記TFTの両側の側面を覆っている」の事項を追加する補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした補正であり、特許法第17条の2第3項に規定する、いわゆる新規事項の追加には該当しないから、上記本件補正は、同法第53条第1項の規定により却下されるべきものではない、よって、本願特許出願は拒絶されるべきものではない旨を主張している。

第2 補正の却下の決定の当否に対する判断
1 本件補正の内容
本件補正は、平成18年2月13日付の手続補正に基づいて補正された特許請求の範囲について、
「【請求項1】 走査信号配線及び画像信号配線と、
前記走査信号配線及び画像信号配線に電気的に接続されたTFTとを有する絶縁基板と、
前記絶縁基板に対向する対向基板と、
前記絶縁基板と前記対向基板との間に挟持された液晶と、
前記絶縁基板側に設けられるとともに、前記走査信号配線、前記画像信号配線及び前記TFTの上に設けられた遮光膜と、
前記絶縁基板側に設けられるとともに、前記遮光膜の上に設けられた着色層と、
前記着色層の上に設けられた画素電極とを具備し、
前記画素電極と前記TFTのドレイン電極との電気的接続点が前記走査信号配線上に位置する液晶表示パネル。
【請求項2】 請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法であって、前記着色層をレーザー照射による熱転写法で形成する液晶表示パネルの製造方法。」
の記載を、
「【請求項1】 走査信号配線及び画像信号配線と、
前記走査信号配線及び画像信号配線に電気的に接続されたTFTとを有する絶縁基板と、
前記絶縁基板に対向する対向基板と、
前記絶縁基板と前記対向基板との間に挟持された液晶と、
前記絶縁基板側に設けられるとともに、前記走査信号配線、前記画像信号配線及び前記TFTの上に設けられた遮光膜と、
前記絶縁基板側に設けられるとともに、前記遮光膜の上に設けられた着色層と、
前記着色層の上に設けられた画素電極とを具備し、
前記画素電極と前記TFTのドレイン電極との電気的接続点が前記走査信号配線上に位置するとともに、前記遮光膜が前記TFTの両側の側面を覆っている液晶表示パネル。
【請求項2】 請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法であって、前記着色層をレーザー照射による熱転写法で形成する液晶表示パネルの製造方法。」
と補正することを含むものである。

2 本件補正における補正事項についての検討
(1)本件補正が特許法第17条の2第3項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第3号(最後に受けた拒絶理由通知に係る同法第50条の規定により指定期間内に補正をするとき)の規定によりなされた本件補正が、補正の却下の決定の理由であるところの、同法第17条の2第3項に規定する、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、これを「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてした補正であるか否かについて検討する。

(2)当審の判断
ア 本件補正により請求項1に新たに記載された「前記遮光膜が前記TFTの両側の側面を覆っている」の補正事項について、当初明細書等の記載事項を検討する。
審判請求人が主張するところの、前記補正事項に関連する当初明細書等の記載事項として、当初明細書等の段落【0025】に、「走査信号配線12とTFT15と画素信号配線14[当審注:「画像信号配線14」の明らかな誤記と認める。]の上層に、遮光帯として膜厚500nm?1μmの黒色樹脂膜からなるブラックマトリックス(以下、樹脂BMと略称する)遮光膜18を設けた。さらに、その上層にレーザによって、所定の画素電極16上に0.5μm以上の赤、緑、青の顔料からなる着色層17を形成した。」の記載があり、また、同じく当初明細書等の【図2】の「本発明の実施の形態の液晶表示基板における部分断面図」を示した「(b)B-B’断面」に、「遮光膜18が、半導体層20、耐薬液性の保護膜21、画像信号配線14及びドレイン電極19等からなるTFT15の両側の側面を覆い、さらに前記遮光膜18の上に着色層17を介して画素電極16が積層され、そして該画素電極16が前記ドレイン電極19と電気的接続をしている液晶表示基板の部分断面図」の記載が認められる。
また、前記補正事項に関連する当初明細書等の記載事項として、審判請求人は言及してはいないが、当初明細書等の【0030】にも、「次に、黒色樹脂を走査信号配線12とTFT15と画素信号配線14[当審注:「画像信号配線14」の明らかな誤記と認める。]の上層のみに膜厚500nm?1μmに塗布して遮光帯を形成し、これをブラックマトリックス遮向膜[当審注:「遮光膜」の明らかな誤記と認める。](以下、単に樹脂BMと略称する)18とした。この樹脂BM18は、炭素を主体とした黒色顔料を5wt%混入したポリイミド樹脂を用い、基板全体にスピンコートにより塗布し、摂氏220度で30分間硬化させた。直接、フォトリソグラフィーを行い、パターニングを行った。光学濃度が3以上となるよう膜厚を調整した。」の記載がある。

イ そうしてみると、当初明細書等における段落【0025】及び【0030】の前記記載事項の中には、請求項1に新たに記載される「前記遮光膜が前記TFTの両側の側面を覆っている」の補正事項についての本件補正の明確な根拠となる記載を見いだすことができない。
しかしながら、当初明細書等の【図2】の「本発明の実施の形態の液晶表示基板における部分断面図」を示した「(b)B-B’断面」に図示された「遮光膜18が、半導体層20、耐薬液性の保護膜21、画像信号配線14及びドレイン電極19等からなるTFT15の両側の側面を覆い、さらに前記遮光膜18の上に着色層17を介して画素電極16が積層され、そして該画素電極16が前記ドレイン電極19と電気的接続をしている液晶表示基板の部分断面図」の中に、「遮光膜がTFTの両側の側面を覆っている」ことが少なくとも図示されていると認めることができるから、請求項1に新たに記載される「前記遮光膜が前記TFTの両側の側面を覆っている」の補正事項は、少なくとも当初明細書等の記載した事項の範囲内でした補正であるということができる。

ウ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定を満たしていないということができないから、同法第53条第1項の規定により却下されるべきものであるとした原審における補正の却下の決定は、取り消されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記「第2」欄に前述した理由により、本件補正についての補正の却下の決定が取り消されたことにより、本願発明は、前記本件補正に基づいて補正された特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、これを「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである(上記「第2」の「1 本件補正の内容」欄を参照)。
「【請求項1】 走査信号配線及び画像信号配線と、
前記走査信号配線及び画像信号配線に電気的に接続されたTFTとを有する絶縁基板と、
前記絶縁基板に対向する対向基板と、
前記絶縁基板と前記対向基板との間に挟持された液晶と、
前記絶縁基板側に設けられるとともに、前記走査信号配線、前記画像信号配線及び前記TFTの上に設けられた遮光膜と、
前記絶縁基板側に設けられるとともに、前記遮光膜の上に設けられた着色層と、
前記着色層の上に設けられた画素電極とを具備し、
前記画素電極と前記TFTのドレイン電極との電気的接続点が前記走査信号配線上に位置するとともに、前記遮光膜が前記TFTの両側の側面を覆っている液晶表示パネル。」

2 引用刊行物
(1)原審における最後の拒絶理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開平2-54217号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「マトリクス型表示装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「(1)複数の走査電極線およびこの走査電極線と交差する複数の信号電極線の各交点に能動素子および画素電極等を形成してなる能動素子アレイ基板と、カラー表示のためのカラーフィルタおよびブラックマトリクスと、上記能動素子基板と対向する対向電極基板と、上記両基板間に挟持された表示材料とを有するマトリクス型表示装置において、
上記カラーフィルタおよびブラックマトリクスは上記能動素子アレイ基板上に接し、該能動素子アレイ基板と一体化して構成されていることを特徴とするマトリクス型表示装置。」(1頁左欄5?16行)
「〔産業上の利用分野〕
この発明は、能動素子アレイ基板と、カラー表示のためのカラーフィルタおよびブラックマトリクスと、上記能動素子基板と対向する対向電極基板とを備え、上記両基板間に液晶等の表示材料を挟持した構造のマトリクス型表示装置に関するものである。」(1頁左欄18行?同頁右欄4行)
「〔課題を解決するための手段〕
この発明に係るマトリクス型表示装置は、カラー表示のためのカラーフィルタおよびブラックマトリクスを能動素子アレイ基板上に接し、該能動素子アレイ基板と一体化して構成したものである。
〔作用〕
この発明においては、カラー表示のためのカラーフィルタおよびブラックマトリクスを能動素子アレイ基板上に接し、該能動素子アレイ基板と一体化して構成したから画素電極とカラーフィルタの位置合わせ精度が高く、実効的な開口率が高く、色ズレのないものが得られ、またその製造歩留りも高くできる。
〔実施例〕
以下、この発明の一実施例を図について説明する。
第1図は本発明の一実施例によるマトリクス型表示装置を示す断面図であり、図において、第7図と同一符号は同一または相当部分であり、図に示すように、カラーフィルタ10,11,12およびブラックマトリクス13は、TFT4等の能動素子を備えた能動素子アレイ基板8側に形成されている。
本発明の能動素子アレイ基板8は第3図、第4図、及び第5図に示すように、ガラス等の透明な基板上にITO等の透明導電膜よりなる画素電極5を例えば反応性スパッタ法を用いて成膜し、パターニングして形成する。次いでクロム(Cr)等よりなるゲート電極線2をスパッタ法等で成膜し、パターニングして形成する。この後ゲート絶縁膜17,アモルファスシリコン(a-Si)等の半導体15および図示しないリン(P)等の半導体不純物をドープしたN型アモルファスシリコン(a-Si(n))等をプラズマCVD法等を用いて連続的に成膜した後にa-Si等よりなる半導体15,ゲート絶縁膜17を各々所望形状のパターンに加工する。そして、ソース電極線2およびドレイン電極3として例えばAlをスパッタ法等で形成し、ドレイン電極3と画素電極5を接続するとともにソース電極線2とドレイン電極3間のa-Si(n)をエッチング除去して、TFT4,ドレイン電極3によりTFT4に接続された画素電極5,ゲート電極線1,およびソース電極線2よりなるマトリクス電極配線が完成する。この後、必要に応じて該マトリクス電極配線構造の機能を検査し、選別してもよい。次に、例えばゼラチンを主体とした染色法で能動素子アレイ基板8上の画素電極5の上部にカラーフィルタ10,11,12、およびブラックマトリクス13をそれぞれの色が所定の色配列になるように、順次ゼラチン形成?染色のプロセスを繰り返して形成する。これらカラーフィルタ10,11,12、およびブラックマトリクス13を形成する際には能動素子アレイ基板8上に形成された図示しない写真製版用の高精度位置決め用レジスターマークを使用する。
このようにして作成された能動素子アレイ基板8を用いて構成される本実施例によるマトリクス型表示装置では、
丸1 画素電極5とカラーフィルタ10,11,l2およびブラックマトリクス13が同一の能動素子アレイ基板8に同一の位置決め用レジスターマークを基準に形成されているので極めて相互の位置精度がよく、実効的な画素の開口率が向上し、画素電極5とカラーフィルタ10,11,12との重ね合わせのズレにより生じる色ズレ不良が皆無となる。
丸2 また、ブラックマトリクス13をTFT4等の上部に接して設けるように構成したので、TFT4等のフォトコンによる特性劣化を回避するために設ける専用の遮光膜が不要となる結果、能動素子アレイ基板8と対向電極基板9を含めた製造プロセスが簡略化され、製造歩留りが向上し、コストが低減できる。
丸3 さらに、本実施例において、半導体層15を薄膜化(約500Å以下)して、フォトコンによる劣化を低減する場合、ブラックマトリクス13により外部光が完璧に遮光でき、フォトコンの全くない良好な表示性能を有するマトリクス型表示装置を実現できる。
丸4 また、本実施例のマトリクス型表示装置は上述の能動素子アレイ基板8を用いて構成するから、表示する場合に必要な殆どすべての構成要素が能動素子アレイ基板8側に最適化して組み込まれているために、対向電極基板9側はITO等の透明電極よりなる対向電極14のみの単純な構成で良く、両基板8,9の全体を含めた製造プロセスが単純化、簡略化でき、セルギャップ5?10μmによるバララックスもなくなる等多くの利点を有する。
なお、上記実施例では、TFT4等の能動素子の上部にブラックマトリクス13、カラーフィルタ10,11,12等を直接形成したが、TFT4等の上部にこれら能動素子の特性を安定させるための保護膜として、SiN、またはSiO2膜16を形成してからカラーフィルタ10,11,12、ブラックマトリクス13を形成してもよい。
また、上記実施例では、能動素子アレイ基板8の画素電極5の上部にブラックマトリクス13およびカラーフィルタ10,11,12等を形成したが第2図に示すように、カラーフィルタ10,11,12およびブラックマトリクス13を形成してから画素電極5を形成し、ドレイン電極3に接続するようにしてもよい。この構成の例ではTFT4を介して供給されるビデオ信号が効果的に液晶6等の表示材料に伝達できる特徴を有している。」(3頁右上欄1行?4頁左下欄7行)
「〔発明の効果〕
以上のように、この発明によればマトリクス型表示装置において、カラー表示のためのカラーフィルタおよびブラックマトリクスを能動素子アレイ基板上に接し、一体化して構成したから画素電極とカラーフィルタの位置合わせ精度が高く、実効的な開口率が高く、色ズレのないものが得られ、またその製造歩留りも高くできるという効果を有する。」(4頁左下欄17行?同頁右下欄5行)

そして、引用刊行物1の第3図には、マトリクス状に配線されたゲート電極線1とソース電極線2とに囲まれた領域の一隅角部に、半導体15等からなるTFT4が形成されている、マトリクス型表示装置の能動素子アレイ基板を示す平面図が記載されている。また、同第4図には、TFTアレイ基板8上に配線されたゲート電極線1の上にゲート絶縁体17を介して半導体15が配置され、前記ゲート絶縁体17と前記半導体15の上部両側にそれぞれソース電極線2とドレイン電極3とが形成され、前記ソース電極線2及びドレイン電極3の上に保護層16を介して、ブラックマトリクス13が積層されるとともに、前記TFTアレイ基板8上に積層されたゲート絶縁体17に隣接して、前記TFTアレイ基板8上に画素電極5がドレイン電極3に電気的接続するように形成され、さらにカラーフィルタ(赤)10が前記画素電極5及びブラックマトリクス13の上に積層されている、第3図に示されたマトリクス型表示装置の能動素子アレイ基板の断面図が示されている。さらに、第2図には、TFTアレイ基板8上に形成されたTFT4に隣接してTFTアレイ基板8上に配置されるカラーフィルタ(赤)10、カラーフィルタ(緑)11及びカラーフィルタ(青)12の各カラーフィルタの上面と前記TFT4の上面とにブラックマトリクス13が積層され、さらに該ブラックマトリクス13の上面と前記カラーフィルタの各上面とに画素電極5が形成され、該画素電極5が前記TFT4に接続するように形成されたTFTアレイ基板8を有する能動素子アレイ基板と、表面に対向電極14を有する対向電極基板9との間に、液晶6が挟持されているマトリクス型表示装置の断面図が示されている。

そうすると、上記引用刊行物1における前記摘記事項及び添付図面における記載からみて、引用刊行物1には、次の発明(以下、これを「引用発明」という。)の記載が認められる。
「TFTアレイ基板8上にマトリクス状に配線されたゲート電極線1とソース電極線2とに囲まれた領域の一隅角部に、前記ゲート電極線1の上にゲート絶縁体17を介して積層された半導体15の上部両側にそれぞれソース電極線2とドレイン電極3とが形成され、前記半導体15のドレイン電極3に画素電極5が電気的接続するようにしてTFT4が形成されたマトリクス型表示装置の能動素子アレイ基板と、表面に対向電極14を有する対向電極基板9との間に、液晶6が挟持されているマトリクス型表示装置において、
前記能動素子アレイ基板が、TFTアレイ基板8上に形成された前記TFT4に隣接してTFTアレイ基板8上に配置されるカラーフィルタ(赤)10、カラーフィルタ(緑)11及びカラーフィルタ(青)12の各カラーフィルタの上面と前記TFT4の上面とにブラックマトリクス13が積層され、さらに該ブラックマトリクス13の上面と前記カラーフィルタの各上面とに画素電極5が形成され、該画素電極5が前記TFT4に接続するように形成されたマトリクス型表示装置」

(2)原審における最後の拒絶理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開平8-122824号公報(以下、「周知技術文献1」という。)には、「カラー表示装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】 本発明はカラー表示装置に関する。より詳しくは、画素電極を駆動するスイッチング素子が形成された駆動基板側にカラーフィルタを備えた構造を有するアクティブマトリクス型のカラー表示装置に関する。」
「【0008】【実施例】 以下、本発明にかかるカラー表示装置の好適な実施例を詳細に説明する。図1は第一実施例の要部を示す模式的な断面図である。図1において、0はガラス等の絶縁材料からなるTFT基板、1は画素(液晶セル)を構成する透明な画素電極、2はTFTの活性層となる半導体薄膜、3はゲート電極、4は第一層間絶縁膜、5は第二層間絶縁膜、6はTFTのソース領域Sに電気接続する信号ライン側の配線電極、7は同じくTFTのドレイン領域Dに電気接続する画素電極1側の配線電極、8はTFTを遮光するブラックマスク、9は細分化されたセグメント9R,9G,9Bの集合からなるカラーフィルタ、10は平坦化膜、11は透明導電膜からなる対向電極、12は対向基板、13は電気光学物質として用いられる液晶である。
【0009】 ガラス等の透明絶縁基板0上に薄膜トランジスタTFTを構成する半導体薄膜2、例えば多結晶シリコン薄膜が形成され、この半導体薄膜2上にゲート絶縁膜を介してゲート電極3がパタニング形成されている。かかる構成を有するTFTはPSG等からなる第一層間絶縁膜4により被覆されている。第一層間絶縁膜4の上にはソース領域S及びドレイン領域Dに接続する配線電極6,7がパタニング形成されている。これらの配線電極6,7は同じくPSG等からなる第二層間絶縁膜5により被覆されている。この上にはブラックマスク8、カラーフィルタ9、平坦化膜10、ITO等の透明導電膜等からなる画素電極1がこの順序で形成されている。ドレイン領域D側の配線電極7は金属膜からなるブラックマスク8を介して画素電極1と電気的に接続している。配線電極7と画素電極1の間に介在するこの金属膜はバリヤフィルムとして機能し、両電極7,1間の電気的な接触を良好なものとしている。なお、このバリヤフィルムはブラックマスク8と同一の金属膜であれば良く、バリヤフィルム自体が下地のTFTを遮光する位置になくても良い。一方、対向電極11が全面に形成されたガラス等からなる対向基板12はTFT基板0に対向して配置され、両基板0,12間に液晶13が保持されカラー表示装置を構成する。」
「【0011】 第二層はカラーフィルタ9に加えてブラックマスク8を含んでおり、少なくともTFTを遮光している。オンチップカラーフィルタ構造に加えオンチップブラック構造が実現でき、画素の高精細化及び高開口率化を促進できる。本例では、ブラックマスク8は金属膜からなり、第四層に属する画素電極1はこの金属膜を介して第一層に属するTFTの配線電極7に電気接続している。この金属膜はバリヤフィルムとして機能し両電極1,7の電気接続を良好なものとする。TFTは画素電極1を駆動するスイッチング素子であり、本例ではトップゲート型構造を採用している。」
「【0013】 続いて、……。この上に、遮光性を有する金属膜、例えばTi,Al,TiNx,Mo,Cr,W又はこれらのシリサイドをスパッタ等の手段により50?1000nm程度の厚みで成膜し、所定の形状にパタニングしてブラックマスク8に加工する。
【0014】 このブラックマスク8上に、例えば顔料を分散した有機感光材料からなるカラーレジストを0.5?3.0μm程度の膜厚で塗布し、露光、現像、焼成を行ない、カラーフィルタ9の各セグメントを形成する。この工程は、RGB毎に異なったカラーレジストを用い、上述した露光、現像、焼成を3回繰り返し、セグメント9R,9G,9Bを集積形成する。
【0015】 このカラーフィルタ9上に、有機透明材料からなる平坦化膜をスピンコートし、1.0?3.0μm程度の膜厚で塗布する。……。次いで、例えばITO等からなる透明導電膜を50?200nmの厚みでスパッタ等により成膜し、所定の形状にパタニングして画素電極1に加工する。以上で図1に示したTFT基板0の積層構造が完成する。この後、配向膜を塗布しラビング処理後、所定の間隙を介して対向基板12と接合する。この間隙に液晶13を注入して、アクティブマトリクス型のカラー表示装置が完成する。」
「【0018】 図4は、本発明にかかるカラー表示装置の第四実施例を示す模式的な部分断面図である。基本的には図1に示した第一実施例と同様であり、対応する部分には対応する参照番号を付して理解を容易にしている。異なる点は、第一実施例がトップゲート型のTFTを採用したのに対し、本実施例はボトムゲート型のTFTを画素電極駆動用のスイッチング素子に用いている。……。次いで、金属膜、例えばTi,Al,TiNx,Mo,Cr,W又はこれらの金属シリサイド等をスパッタ法等により50?1000nm程度の厚みで成膜し、所定の形状にパタニングしてブラックマスク8に加工する。このブラックマスク8の上にカラーフィルタ9を形成する。この形成方法は第一実施例と同様である。さらに、カラーフィルタ9を被覆する様に平坦化膜10を成膜する。」
「【0019】【発明の効果】 以上説明した様に、本発明によれば、カラーフィルタと画素電極は平坦化膜を介して隔てられている為、カラーフィルタの表面がスパッタダメージを受ける事はなく、フィルタの表面荒れの問題は解決できた。さらにカラーフィルタ中に含まれる不純物の液晶層への拡散を防ぐ事ができる。又、カラーフィルタの段差も平坦化膜で緩和される為、段差起因のリバースチルトドメインも大幅に減少した。以上により、実用的なオンチップカラーフィルタ構造を提供する事が可能になった。勿論、オンチップカラーフィルタ構造では、画素部の開口率を大きくとれ、又画素電極とカラーフィルタのアライメント誤差が殆んどなくなるので、画素部が微細化しても高開口率を保持できる様になり、アクティブマトリクス型カラー表示装置の高開口率化及び高透過率化に大きな効果が得られる。」
そして、周知技術文献1の【図1】ないし【図4】には、TFT上に形成されたブラックマスク8と、前記ブラックマスク8の上に形成されたカラーフィルタ9と、前記カラーフィルタ9の上に形成された画素電極1が順に積層された、オンチップカラーフィルタ構造及びオンチップブラック構造を有するアクティブマトリクス型カラー表示装置の要部断面図が図示されている。

(3)原審における最後の拒絶理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開平6-242433号公報(以下、「周知技術文献2」という。)には、「アクティブマトリクス基板」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】 本発明は、アクティブマトリクス型液晶表示装置に関する。より詳しくは、画素電極とスイッチング用の薄膜トランジスタ(TFT)とが集積的に形成されたアクティブマトリクス基板の平坦化技術に関する。」
「【0030】 図18はカラーフィルタ層をアクティブマトリクス基板側に設けた本発明にかかるアクティブマトリクス型カラー液晶表示装置の実施例を示す模式的な断面図である。図示する様に、本カラー液晶表示装置は所定の間隙を介して対面配置されたアクティブマトリクス基板71、対向基板72と両基板の間隙内に挿入された液晶73とから構成されている。絶縁基板74の表面にはTFTが集積的に形成されている。TFTは島状にパタニングされた第一ポリシリコン75と、ゲート絶縁膜76を介してパタニング形成されたゲート電極77とから構成されている。このゲート電極77は例えば第二ポリシリコンからなる。このTFTは第一層間絶縁膜78により被覆されている。TFTのソース領域Sには第一層間絶縁膜78に設けられた第一コンタクトホール79を通して金属配線パタン80が電気接続している。この金属配線パタン80は第二層間絶縁膜81により被覆されている。さらに、その上にはパッシベーション膜82がパタニング形成されている。このパッシベーション膜82は、例えばプラズマCVD法により成膜されたp-SiNからなる。パッシベーション膜82の上には遮光膜83が形成されており、TFTを遮閉する。TFTや金属配線膜80の凹凸を埋める様に平坦化膜84が堆積されている。この平坦化膜84は1μm?2μm程度の凹凸を埋める為、少なくとも2.0μm程度の膜厚を有する。平坦化膜84、第二層間絶縁膜81、第一層間絶縁膜78を挿通して第二コンタクトホール85が設けられている。第二コンタクトホール85の内部及びその周辺は金属からなる遮光層86により被覆されている。この第二コンタクトホール85を介して画素電極87がTFTのドレイン領域Dに電気接続している。本実施例の特徴事項として、画素電極87に整合する平坦化層84の部分は所定の色相で着色処理されており、カラーフィルタを構成する。平坦化層84の選択的な着色処理は、例えば染色法等を用いる事ができる。従来と異なり、カラーフィルタをアクティブマトリクス基板71側に一体的に設ける事により、画素電極とカラーフィルタのアライメントマージンを考慮する必要がなくなる。なお、画素電極87の表面は配向膜88により被覆されている。一方、対向電極72の内表面には対向電極89及び配向膜90が重ねて成膜されている。上下一対の配向膜90,88により挟持された液晶73は所望の配向状態に均一制御される。」
そして、周知技術文献2の【図18】には、TFT上に形成された遮光膜83と、前記遮光膜83の上に形成された平坦化層84を兼ねるカラーフィルタと、前記平坦化層84を兼ねるカラーフィルタの上に形成された画素電極87が順に積層され、カラーフィルタをアクティブマトリクス基板71側に一体的に設けたアクティブマトリクス型カラー液晶表示装置のオンチップカラーフィルタ構成の断面図が図示されている。

(4)原審における最後の拒絶理由に引用された刊行物であって本願特許出願前に頒布された特開平9-54342号公報(以下、「周知技術文献3」という。)には、「アクティブマトリクス液晶表示パネル及びその製造方法」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は液晶表示パネルに関し、特に薄膜電界効果型トランジスタおよび電極をもつ透明絶縁性基板で液晶を挟んだ構造の液晶表示パネル及びその製造方法に関する。」
「【0045】【実施形態1】 図1は、本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス液晶表示パネルのTFTアレイの画素部を示す平面図であり、図2(A)は、図1のA-A′線の断面を示し、図2(B)は、図1のB-B′線の断面を示している。
【0046】 図1及び図2を参照して、ガラス板等の透光性絶縁基板(「ガラス基板」ともいう)9の上に複数の走査線1と複数の信号線2とを交差させて格子状に配置する。
【0047】 各格子内には、走査線1と信号線2の交点近傍に配置されるTFTと、このTFTから駆動される画素電極6とから構成される1組のアクティブ画素エレメントがそれぞれ配置される。
【0048】 TFTは走査線1をゲート電極とし、ゲート電極上に絶縁膜(ゲート絶縁膜)10を介して設けられた非晶質シリコン膜11からなるチャネル部と、非晶質シリコン膜11の表面上に設けられたドレイン電極3およびソース電極4からなる。
【0049】 そして、非晶質シリコン膜11、ドレイン電極3、およびソース電極4を覆うように、保護絶縁膜12が設けられている。
【0050】 さらに、保護絶縁膜12上には、信号線2と、ソース電極4を画素電極6に電気的に接続する配線7とが配置されている。
【0051】 信号線2とドレイン電極3とは、ドレイン電極3上に形成されたコンタクトホール5を介して接続されている。」
「【0073】【実施形態2】 次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図3は、本発明の第2の実施形態のアクティブマトリクス液晶表示パネルのTFTアレイの画素部の平面図を示す。図4(A)は、図3におけるC-C′線の断面を示し、図4(B)は、図3におけるD-D′線の断面を示す。
【0074】 図3及び図4を参照して、ガラス板などの透光性絶縁基板9の上に複数の走査線1と複数の信号線2とを交差させて格子状に配置する。各格子内には、走査線1と信号線2の交点近傍に配置されるTFTと、このTFTから駆動される画素電極6とから構成される1組のアクティブ画素エレメントがそれぞれ配置される。
【0075】 TFTは走査線1をゲート電極とし、ゲート電極上に絶縁膜10を介して設けられた非晶質シリコン膜11からなるチャネル部と、非晶質シリコン膜11の表面上に設けられたドレイン電極3およびソース電極4からなる。
【0076】 さらに、非晶質シリコン膜11およびドレイン電極3およびソース電極4を覆うように、保護絶縁膜12が設けられている。そして、保護絶縁膜12上には信号線2、および、ソース電極と画素電極をつなぐ配線7、および、TFT遮光層24が配置されている。
【0077】 この時、ソース電極4と画素電極6をつなぐ配線7は、図3に示すように、画素電極6の周囲を覆い、互いに隣りあう走査線と重なるように配置する。
【0078】 画素電極6とこれに隣りあう2本の信号線2との間には、それぞれ信号線とオーバーラップさせるパタン14を設ける。
【0079】 このパタン14上には信号線2と十分離れたところにコンタクトホール5″を形成し、ソース電極4と画素電極6をつなぐ配線7によりパタン14の最下層の金属層16と接続する(図4(A)参照)。
【0080】 信号線2とドレイン電極3とは、ドレイン電極3上に形成されたコンタクトホール5を介して接続されている。さらに、TFT遮光層24はTFTのチャネル部を覆うように形成されている。」
「【0102】【実施形態3】 次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0103】 図5は、本発明の第3の実施形態に基づくTFT部の平面図である。図6(A)は、図5のE-E′の断面図、図6(B)は、図5のF-F′の断面図を示したものである。
【0104】 本発明の第3の実施形態のアクティブマトリクス液晶パネルでは、前記第1の実施形態のパネルとTFTのソース・ドレイン電極部を除いては全く同じ構造をとる。
【0105】 本実施形態の場合は、ITO等の透明電極で構成されたドレイン電極3およびソース電極4の下および周囲にイオンドーピングにより形成したn型非晶質シリコン層17を有する。
【0106】 また、ドレイン電極3と信号線2を接続するためのコンタクトホール、およびソース電極4と配線7(ソース電極4と画素電極6をつなぐ)を接続するためのコンタクトホールは、サイドエッチさせることにより、19に示す形状をとる。」
そして、周知技術文献3の【図1】、【図3】及び【図5】のそれぞれには、画素電極6が、ソース電極4と画素電極6をつなぐ配線7を介して、TFTのソース電極4と電気的接続をするコンタクトホール5’が、走査線1上に配置されている平面図が図示されている。

(5)本願特許出願前に頒布された刊行物である特開平2-176726号公報(以下、「周知技術文献4」という。)には、「液晶表示装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「〔産業上の利用分野〕
本発明は、複数の画素をマトリクス配列してなる液晶表示装置に関する。」(1頁左欄12?14行)
「〔課題を解決するための手段〕
本発明は、スイッチングトランジスタを有する複数の画素がマトリクス配列されてなる液晶表示装置において、上記スイッチングトランジスタを高移動度を有する薄膜トランジスタ例えば超薄膜トランジスタ(2)にて形成し、この薄膜トランジスタ(2)を信号線(4)の下に形成して構成する。
〔作 用〕
上述の本発明の構成によれば、高移動度を有する薄膜トランジスタ(2)を液晶ディスプレイパネルのスイッチングトランジスタに用いるようにしたので、上記トランジスタ(2)を信号線(4)の下に設けて選択線(3)を直線状に形成することができ、設計ルールの許す限り画素の開口率を向上させることができる。また、この構成は、高解像度化に伴って画素面積が縮小化されていくに従って有効となる。」(2頁右上欄5行?同頁左下欄3行)
「従って、本実施例では同図に示すように、信号線(4)及び選択線(3)を直線状に形成し、選択線(3)と信号線(4)とに囲まれた四角形領域とこれに連続して一部(1a)が信号線(4)下に入り込むような形状の表示電極(1)を形成し、信号線(4)と選択線(3)の交点の下にW/Lの小さい細長い形の高移動度を有する超薄膜トランジスタ(2)を形成するようにしている。
尚、超薄膜トランジスタ(2)のドレイン(2d)は上記表示電極(1)の一部(1a)に、ソース(2s)は信号線(4)に接続され、ゲート(2g)は直接選択線(3)として機能する。」(2頁右下欄1?12行)
「まず、ガラス等の絶縁基板(5)上に、後に形成される信号線(4)の方向に沿って第1層の多結晶シリコン膜又は非晶質シリコン膜等による半導体膜(6)を形成し、この半導体薄膜(6)のゲート部上に例えばSiO2等よりなるゲート絶縁膜(7)を介して第2層の不純物ドープの半導体層例えば不純物ドープした多結晶シリコン層(8)よりなり、後に選択線(3)として機能するゲート電極(9)を形成し、半導体薄膜(6)のゲート電極(9)を挟む両領域をソース領域(6S)及びドレイン領域(6d)として構成され、後述するように少くともゲート部が信号線(4)下に存するように形成される。
その後、SiO2等よりなる絶縁層(10)を形成したのち、この層(10)の上記ドレイン領域(6d)に対応する箇所にコンタクトホール(11)を形成する。次に、表示電極(1)を形成する。このとき、表示電極(1)の-部(1a)をコンタクトホール(11)を介してドレイン領域(6d)に接続させるようにする。その後、SiO2等からなる眉間絶縁膜(12)を形成したのち、該膜(12)及び上記絶縁層(10)の上記ソース領域(6s)に対応する箇所にコンタクトホール(13)を形成する。そして、ソース領域(6s)に接続するようにAlからなる信号線(4)を形成する。」(2頁右下欄16行?3頁左上欄18行)
そして、周知技術文献4の【図1】には、画素の開口率を向上させるために、表示電極1の一部1aとTFTのドレイン領域6dとの電気的接続点が信号線4上に配置されている平面図が図示されている。

(6)本願特許出願前に頒布された刊行物である特開平7-72473号公報(以下、「周知技術文献5」という。)には、「カラー液晶表示装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】 本発明はカラー液晶表示装置に関する。より詳しくは、同一基板上に画素電極、スイッチング素子、カラーフィルタ等が集積的に形成されたアクティブマトリクス型のカラー液晶表示装置に関する。さらに詳しくは、カラーフィルタの形成技術に関する。」
「【0011】【課題を解決するための手段】 上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明はコントラストの低下や消費電力の増大を招く事なく位置合わせ不要のオンチップカラーフィルタ構造を提供する事を目的とする。又、低コストで平坦性及び寸法精度に優れたカラーフィルタを提供し高解像度及び高精細のアクティブマトリクス型液晶表示装置の開口率を改善する事を目的とする。かかる目的を達成する為に以下の手段を講じた。即ち本発明にかかるカラー液晶表示装置は基本的に、一対の主基板及び対向基板と、両者の間に介在する液晶層とからなるパネル構造を有する。主基板には画素電極、カラーフィルタ及びスイッチング素子が形成されており、対向基板には対向電極が形成されている。本発明の特徴事項として前記カラーフィルタは、各スイッチング素子に電気接続してパタニングされた下地電極上に堆積した電着膜からなり、前記画素電極は同じく各スイッチング素子に電気接続して該電着膜上にパタニング形成された透明導電膜からなる。好ましくは、前記カラーフィルタは三原色毎に区画してマトリクス状に配置されており、区画間に略同一厚みでブラックマスクが形成されている。前記スイッチング素子としては、トップゲートTFT、ボトムゲートTFT、MIMダイオード等を用いる事が可能である。」
「【0014】【実施例】 以下図面を参照して本発明の好適な実施例を詳細に説明する。図1は本発明にかかるカラー液晶表示装置の第1実施例を示す模式的な部分断面図である。ガラス又は石英等の絶縁材料からなる主基板0の上には多結晶シリコン膜(もしくはアモルファスシリコン膜)1が所定の形状でパタニング形成されている。この多結晶シリコン膜1を素子領域としてトップゲート型のTFTが形成されスイッチング素子として機能する。この多結晶シリコン膜1の上にゲート絶縁膜2を介しゲート電極3が形成されている。同時に、ゲートライン及び蓄積容量ライン(図示せず)も形成される。その上にはPSG等からなる層間絶縁膜4及びアルミニウム等の導電性薄膜からなる信号ライン5がこの順で形成されている。一方画素領域にはTFTのドレインDに電気接続して下地電極6が所定の形状にパタニング形成されている。この下地電極6はITO等の透明導電薄膜から構成されている。この下地電極6に整合して電着膜からなるカラーフィルタ7が形成されている。又、カラーフィルタ7以外の部分にはブラックマスク8が形成されている。ブラックマスク8とカラーフィルタ7の表面は略同一レベルにあり主基板0は平坦化されている。最後に、カラーフィルタ7と整合する様に画素電極9が形成されている。この画素電極9はコンタクトを介してTFTのドレインDに電気接続している。画素電極9は下地電極6と同様にITO等の透明導電薄膜からなる。
【0015】 一方該主基板0に対して所定の間隙を介して対面配置された対向基板11はガラス等の絶縁材料から構成されている。対向基板の内表面には全面的にITO等からなる対向電極10が形成されている。対向電極10の表面にはポリイミド等の配向膜12が塗布され、所定の配向処理を施されている。なお、主基板0の内表面にも同様に配向膜12が形成されている。対向基板11と主基板0の間隙内には例えばツイストネマティック配向された液晶層13が封入され、アクティブマトリクス型のカラー液晶表示装置が構成される。」
「【0016】 ……。次に工程FにおいてRGBカラーフィルタを遮光膜として背面露光法によりブラックマスク8を部分的に形成する。この背面露光法はRGBカラーフィルタを紫外線の遮光膜として活用し、RGBカラーフィルタ間のギャップ部に整合して主基板の上にブラックマスク8を設けるものである。紫外線の光量を調整する事によりブラックマスク8の厚さが制御でき、RGBカラーフィルタと同一膜厚に成膜可能である。ブラックマスク用材料は主に光硬化性樹脂と黒色着色材の混合物からなる。なお遮光性の信号ライン5の上にはブラックマスクは形成されない。最後に工程Gにおいて、主基板平坦化の為、全ての信号ラインを選択した状態でブラックの電着液に浸漬し、信号ライン5上に他のブラックマスク8を堆積する。なお、この工程Gは前述した工程Fの先に実施しても良い。又全信号ラインに電圧を印加する時、TFTは非導通状態にしておき画素電極9に電圧が加わらない様にしてある。」
「【0019】 図4は、本発明にかかるカラー液晶表示装置の第2実施例を示す模式的な部分断面図である。図示する様に、ガラス又は石英等の絶縁材料からなる主基板30の上にゲートライン31が形成されている。このゲートライン31はモリブデン/タングステン合金等の導電性薄膜を所定の形状にパタニングして得られる。このゲートライン31を被覆する様に2層のゲート絶縁膜32,33が形成されている。その上には多結晶シリコン層(もしくはアモルファスシリコン層)34が所定の形状にパタニング形成されている。この多結晶シリコン層34を素子領域としてボトムゲート型のTFTが形成される。多結晶シリコン層34の上には二酸化シリコン等からなる絶縁膜35がゲートライン31に整合して設けられる。この絶縁膜35をエッチングストッパとしてn+のシリコン膜36を所定の形状にパタニング形成し、ボトムゲート型TFTのソース及びドレインとする。ソースに電気接続して信号ライン37を形成する。又ドレインと電気接続して下地電極38を形成する。下地電極38の上には電着膜からなるカラーフィルタ39が形成されている。又カラーフィルタ39以外の領域にはブラックマスク40が埋め込まれている。最後に、画素電極41がカラーフィルタ39の上に整合して設けられている。この画素電極41はボトムゲート型TFTのドレインに電気接続している。
【0020】 一方、全面に対向電極42が形成されたガラス等からなる対向基板43が、主基板30に対面して配置されている。これら対向基板43、主基板30の内表面には夫々配向膜44が塗布され所定の配向処理が施されている。両基板30,43の間隙内には液晶層45が封入され、アクティブマトリクス型のカラー液晶表示装置が構成される。」
「【0021】 ……。次に工程Fにおいて、RGBカラーフィルタを遮光膜として背面露光法によりブラックマスク36を形成する。なお、背面露光法を用いた場合には遮光性の信号ライン37の領域にブラックマスクが形成できない。最後に工程Gにおいて、信号ライン37に所定の電圧を印加しブラックの電着液に浸漬して信号ライン37上に別のブラックマスク36を堆積する。」
そして、周知技術文献5の【図1】及び【図4】には、ブラックマスクがTFTの両側の側面を覆っている構造のアクティブマトリクス型のカラー液晶表示装置の部分断面図が図示されている。

(7)本願特許出願前に頒布された刊行物である特開平8-179376号公報(以下、「周知技術文献6」という。)には、「カラー表示装置」に関し、図面の図示とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】 本発明はカラー表示装置に関する。より詳しくは、画素電極を駆動するスイッチング素子が形成された駆動基板にカラーフィルタを備えた構造を有するアクティブマトリクス型のカラー表示装置に関する。」
「【0006】【課題を解決するための手段】 ……。又、駆動基板には非開口部に形成した薄膜トランジスタからなるスイッチング素子を被覆する様に遮光膜(ブラックマスク)がパタニング形成されている。」
「【0008】【実施例】 以下、本発明にかかるカラー表示装置の好適な実施例を詳細に説明する。図1は第1実施例の要部を示す模式的な断面図である。図1において、0はガラス等の透明絶縁材料からなる駆動基板、1は画素を構成する透明な画素電極、2はTFTの活性層となる半導体薄膜、3はゲート電極、4は第1層間絶縁膜、5は第2層間絶縁膜、6はTFTのソース領域Sに電気接続する信号線側の配線電極、7はTFTを被覆する遮光膜(ブラックマスク)、8,9,10は各々赤色、緑色、青色に着色したカラーフィルタ、11は平坦化膜、12は対向基板、13は透明導電膜からなる対向電極、14は電気光学物質として用いられる液晶である。
【0009】 駆動基板0の上にTFTを構成する半導体薄膜2として、例えば多結晶シリコン薄膜が形成され、この半導体薄膜2上にゲート絶縁膜15を介してゲート電極3がパタニング形成されている。かかる構成を有するTFTはPSG等からなる第1層間絶縁膜4により被覆されている。第1層間絶縁膜4の上にはソース領域Sに接続する配線電極6がパタニング形成されている。この配線電極6は同じくPSG等からなる第2層間絶縁膜5により被覆されている。この上には遮光膜7、カラーフィルタ8,9,10、平坦化膜11、ITO等の透明導電膜からなる画素電極1がこの順序で形成されている。TFTのドレイン領域Dは金属膜からなるブラックマスク7を介して画素電極1と電気的に接続している。ドレイン領域Dと画素電極1の間に介在するブラックマスク7はバリヤフィルムとして機能し、ドレイン領域Dと画素電極1との電気的な接触を良好なものとしている。一方、対向電極13が全面に形成されたガラス等からなる対向基板12は駆動基板0に対向して配置され、両基板0,12間に液晶14が保持されカラー表示装置を構成する。」
「【0010】 ……。なお、駆動基板0には非開口部Bに形成したTFTを被覆する様にブラックマスク7がパタニング形成されている。以上の説明から明らかな様に、画素開口部Aは光透過性であり、非開口部Bは光不透過性である。」
「【0013】 ……。この上に、遮光性を有する金属膜、例えばTi,Al,TiNx,Mo,Cr,W又はこれらのシリサイドをスパッタ等の手段により50?1000nm程度の厚みで成膜し、所定の形状にパタニングしてブラックマスク7に加工する。」
「【0016】 図3は、本発明にかかるカラー表示装置の第2実施例を示す模式的な部分断面図である。基本的には図1及び2に示した第1実施例と同様であり、……。次いで、金属膜、例えばTi,Al,TiNx,Mo,Cr,W又はこれ等の金属シリサイド等をスパッタ法により50?1000nm程度の厚みで成膜し、所定の形状にパタニングしてブラックマスク7に加工する。」
そして、周知技術文献6の【図1】及び【図3】には、ブラックマスク(遮光膜)7がTFTの両側の側面を覆っている構造のアクティブマトリクス型のカラー液晶表示装置の模式的な部分断面図が図示されている。

3 対比
本願発明1と前記引用発明とを比較すると、引用発明における「マトリクス状に配線されたゲート電極線1とソース電極線2」、「TFT4」、「TFTアレイ基板8」、「表面に対向電極14を有する対向電極基板9」、「液晶6」、「カラーフィルタ(赤)10、カラーフィルタ(緑)11及びカラーフィルタ(青)12」、「カラーフィルタの各上面に形成された画素電極5」、「ドレイン電極3」、「ドレイン電極3に画素電極5が電気的接続する」及び「マトリクス型表示装置」のそれぞれは、本願発明1における「走査信号配線及び画像信号配線」、「TFT」、「絶縁基板」、「前記絶縁基板に対向する対向基板」、「前記絶縁基板と前記対向基板との間に挟持された液晶」、「前記絶縁基板側に設けられる着色層」、「前記着色層の上に設けられた画素電極」、「前記TFTのドレイン電極」、「前記画素電極と前記TFTのドレイン電極との電気的接続点」及び「液晶表示パネル」のそれぞれに相当する。
そして、引用発明のTFT4は、TFTアレイ基板8上にマトリクス状に配線されたゲート電極線1とソース電極線2とに囲まれた領域の一隅角部に、前記ゲート電極線1の上にゲート絶縁体17を介して積層された半導体15の上部両側にそれぞれソース電極線2とドレイン電極3とが形成され、前記半導体15のドレイン電極3に画素電極5が電気的接続するようにして形成されており、しかも、前記TFT4の上面にブラックマトリクス13が積層しているのであるから、引用発明のブラックマトリクス13は、結局のところ、TFTアレイ基板8上のゲート電極線1とソース電極線2と前記TFT4との上に設けられていることになるから、引用発明の「TFT4の上面に積層されたブラックマトリクス13」が、本願発明1の「前記絶縁基板側に設けられるとともに、前記走査信号配線、前記画像信号配線及び前記TFTの上に設けられた遮光膜」に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明とは、
「走査信号配線及び画像信号配線と、
前記走査信号配線及び画像信号配線に電気的に接続されたTFTとを有する絶縁基板と、
前記絶縁基板に対向する対向基板と、
前記絶縁基板と前記対向基板との間に挟持された液晶と、
前記絶縁基板側に設けられるとともに、前記走査信号配線、前記画像信号配線及び前記TFTの上に設けられた遮光膜と、
前記絶縁基板側に設けられる着色層と、
前記着色層の上に設けられた画素電極とを具備した液晶表示パネル」
である点で一致し、次の点で構成が相違する。
相違点1:本願発明1では「遮光膜が走査信号配線、画像信号配線及びTFTの上に設けられ、着色層が前記遮光膜の上に設けられ、画素電極が前記着色層の上に設けられ」るのに対し、引用発明では、ブラックマトリクス13、カラーフィルタ及び画素電極5の積層順が本願発明1の順ではない点。
相違点2:本願発明1が「画素電極とTFTのドレイン電極との電気的接続点が走査信号配線上に位置する」のに対し、引用発明は、ドレイン電極3に画素電極5が電気的接続しているが、その電気的接続する位置がゲート電極線1上ではない点。
相違点3:本願発明1が「前記遮光膜が前記TFTの両側の側面を覆っている」のに対し、引用発明は、前記構成を有していない点。

4 相違点についての検討
(1)相違点1について
上記周知技術文献1〔特開平8-122824号公報〕には、「画素電極を駆動するスイッチング素子が形成された駆動基板側にカラーフィルタを備えた構造を有するアクティブマトリクス型のカラー表示装置において、TFT上に形成されたブラックマスク8と、前記ブラックマスク8の上に形成されたカラーフィルタ9と、前記カラーフィルタ9の上に形成された画素電極1を順に積層する」技術が開示されている。そして、前記周知技術文献1の【図1】ないし【図4】の図示から、TFT上に形成されたブラックマスク8と、前記ブラックマスク8の上に形成されたカラーフィルタ9と、前記カラーフィルタ9の上に形成された画素電極1が順に積層された、オンチップカラーフィルタ構造及びオンチップブラック構造を有するアクティブマトリクス型カラー表示装置の記載が看取できる。
また、上記周知技術文献2〔特開平6-242433号公報〕にも、「画素電極とスイッチング用の薄膜トランジスタ(TFT)とが集積的に形成されたアクティブマトリクス基板を有するアクティブマトリクス型液晶表示装置において、TFT上に形成された遮光膜83と、前記遮光膜83の上に形成された平坦化層84を兼ねるカラーフィルタと、前記平坦化層84を兼ねるカラーフィルタの上に形成された画素電極87を順に積層させる」技術が開示され、そして、前記周知技術文献2の【図18】には、TFT上に形成された遮光膜83と、前記遮光膜83の上に形成された平坦化層84を兼ねるカラーフィルタと、前記平坦化層84を兼ねるカラーフィルタの上に形成された画素電極87が順に積層させ、カラーフィルタをアクティブマトリクス基板71側に一体的に設けたアクティブマトリクス型カラー液晶表示装置のオンチップカラーフィルタ構成が図示されている。
上記周知技術文献1及び周知技術文献2に開示されているかかる技術事項から、「遮光膜が走査信号配線、画像信号配線及びTFTの上に設けられ、着色層が前記遮光膜の上に設けられ、画素電極が前記着色層の上に設けられ」る構成とすることは、本願特許出願時の周知技術であるといえる。
そうすると、引用発明に、周知技術文献1及び周知技術文献2に開示されている周知技術を適用することにより、本願発明1の相違点1に係る前記構成とすることは、当業者が困難性を伴うことなく容易に想到し得ることである。

(2)相違点2について
上記周知技術文献3〔特開平9-54342号公報〕には、薄膜電界効果型トランジスタおよび電極をもつ透明絶縁性基板で液晶を挟んだ構造を有し、ガラス板等の透光性絶縁基板9の上に複数の走査線1と複数の信号線2とを交差させて格子状に配置するアクティブマトリクス液晶表示パネルにおいて、画素電極6が、ソース電極4と画素電極6をつなぐ配線7を介して、TFTのソース電極4と電気的接続をするためのコンタクトホール5’(本願発明1の「電気的接続点」に相当する。)を、走査線1(本願発明1の「走査信号配線」に相当する。)上に配置する」技術が開示されている。そして、前記周知技術文献3の【図1】、【図3】及び【図5】の図示から、画素電極6が、ソース電極4と画素電極6をつなぐ配線7を介して、TFTのソース電極4と電気的接続をするコンタクトホール5’が、走査線1上に配置されていることが看取できる。この場合、走査線1上に配置されているコンタクトホール5’で、画素電極6とTFTのソース電極4とを電気的接続しているが、画素の開口率を向上させる目的においては、走査線1上に配置されるコンタクトホール5’で画素電極6と電気的接続するTFTの電極を、ソース電極4ではなくドレイン電極3とすることも可能であることを参酌すると、前記周知技術文献3には、画素電極6と少なくともTFTのいずれかの電極との電気的接続をするコンタクトホール5’を、走査線1上に配置することが開示されているといえる。
また、上記周知技術文献4〔特開平2-176726号公報〕にも、「複数の画素をマトリクス配列してなる液晶表示装置において、表示電極1の一部1a(本願発明1の「画素電極」に相当する。)とTFTのドレイン領域6d(本願発明1の「ドレイン電極」に相当する。)との電気的接続点を信号線4(本願発明1の「走査信号配線」に相当する。)上に配置する」技術が開示され、そして、前記周知技術文献4の【図1】には、画素の開口率を向上させるために、表示電極1の一部1aとTFTのドレイン領域6dとの電気的接続点が信号線4上に配置されていることが図示されている。
上記周知技術文献3及び周知技術文献4に開示されている技術事項から、画素の開口率を向上させるために、「画素電極とTFTのドレイン電極との電気的接続点が走査信号配線上に位置する」技術は、本願特許出願時の周知技術であるといえる。
そうすると、引用発明に、周知技術文献3及び周知技術文献4に開示されている周知技術を採用することにより、本願発明1の相違点2に係る前記構成とすることは、当業者が困難性を伴うことなく容易に想到し得ることである。

(3)相違点3について
上記周知技術文献5〔特開平7-72473号公報〕には、「同一基板上に画素電極、スイッチング素子、カラーフィルタ等が集積的に形成されたアクティブマトリクス型のカラー液晶表示装置において、ブラックマスクがTFTの両側の側面を覆う」技術が開示されている。そして、前記周知技術文献5の【図1】及び【図4】の図示から、ブラックマスクがTFTの両側の側面を覆っている構造のアクティブマトリクス型のカラー液晶表示装置が看取できる。
また、上記周知技術文献6〔特開平8-179376号公報〕にも、「画素電極を駆動するスイッチング素子が形成された駆動基板にカラーフィルタを備えた構造を有するアクティブマトリクス型のカラー表示装置において、ブラックマスク(遮光膜)7がTFTの両側の側面を覆う」技術が開示され、そして、前記周知技術文献6の【図1】及び【図3】には、ブラックマスク(遮光膜)7がTFTの両側の側面を覆っている構造のアクティブマトリクス型のカラー液晶表示装置が図示されている。
上記周知技術文献5及び周知技術文献6に開示されている技術事項から、「遮光膜がTFTの両側の側面を覆っている」ようにする技術は、本願特許出願時の周知技術であるといえる。

そうすると、引用発明に、周知技術文献5及び周知技術文献6に開示されている周知技術を付加することにより、本願発明1の相違点3に係る前記構成を得ることは、当業者が困難性を伴うことなく容易に想到し得ることである。

そして、本願発明1の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

(4)まとめ
したがって、本願発明1は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明1が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-27 
結審通知日 2007-04-03 
審決日 2007-04-16 
出願番号 特願平9-107977
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 吉喜  
特許庁審判長 佐藤 昭喜
特許庁審判官 辻 徹二
森口 良子
発明の名称 液晶表示パネルとその製造方法  
代理人 峰 隆司  
代理人 福原 淑弘  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 橋本 良郎  
代理人 村松 貞男  
代理人 河野 哲  
代理人 中村 誠  

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